JP2017226893A - ガス供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材料を熱処理する熱処理炉に雰囲気ガスを供給するガス供給システムにおいて、雰囲気ガスの供給および処理に要するコストを抑えながら、金属材料の熱処理において高い昇温特性および均熱性を提供することができるガス供給システムを提供する。
【解決手段】一酸化炭素を含んだ還元ガスRXを熱処理炉F1〜F3に供給する還元ガス供給部12と、水素ガスHを熱処理炉F1〜F3に供給する水素供給部11と、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスを回収し、再利用ガスRUとして熱処理炉F1〜F3内に戻す再利用部と、熱処理炉F1〜F3内の雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値が所定の値となるように、水素ガスH、再利用ガスRU、還元ガスRXの少なくとも1つの熱処理炉F1〜F3への供給量を制御する供給制御を行う供給制御部17と、を有するガス供給システム1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス供給システムに関し、さらに詳しくは、金属材料を熱処理する熱処理炉に雰囲気ガスを供給するガス供給システムに関する。
鋼をはじめとする金属材料を熱処理する際に、材料表面からの脱炭および浸炭(脱浸炭)を制御して、金属材料中の炭素量を実質的に不変に維持すること、あるいは所望の炭素量を得ることが図られる。従来一般には、特許文献1等に示されるように、メタンガスやブタンガスに代表される炭化水素ガスと空気の間で吸熱反応を起こし、得られたCOを含むRXガスを利用して、COとCOの分圧比から定まるカーボンポテンシャル値(CP値)を制御することで、脱浸炭を制御している。通常、RXガスにおいては、吸熱反応に用いる空気由来の窒素ガスや、別途添加される窒素ガスが、ベースガスとして用いられ、窒素ガスによる炉内の雰囲気ガスの希釈の程度によって、CP値を制御することができる。
また、RXガスを利用する以外の熱処理方法も用いられている。例えば、水素ガスを用いて、脱浸炭を行う方法がある。特許文献2には、水素ガスと窒素ガス等の不活性ガスを混合して雰囲気ガスとして用い、不活性ガスの炉内への送入量を調節することで、雰囲気ガスの制御を行うことが開示されている。また、特許文献3には、水素100%の雰囲気で熱処理を行う方法が開示されている。水素ガスは、高い熱伝導率および熱伝達率を有するので、熱処理炉中の雰囲気ガスとして金属材料の脱浸炭の制御に用いることで、金属材料の昇温特性および均熱性を高めることができる。
特開2010−285642号公報 特開2010−255056号公報 特表2015−507084号公報
特許文献1のように、RXガスと窒素ガスよりなる雰囲気ガスを用いる場合に、その雰囲気ガスは、CP値の制御に加え、熱処理炉の炉圧を維持する役割も果たす。そのため、雰囲気ガスは、基本的に熱処理炉内に連続的に投入される。その結果、熱処理に使用された後のガスも、連続的に熱処理炉から排出されることになる。熱処理炉から排出されたガスの中には、余剰のHやCOが含まれる場合があり、大気中への放出時には、燃焼させる必要がある。雰囲気ガスを定常的に熱処理炉に供給するコストに加え、排出ガスの燃焼の工程が、雰囲気ガスの供給および処理において、大きなコストの要因となる。
また、水素100%ガスを用いる場合をはじめとして、特許文献2,3に記載されるように、脱浸炭制御そのものに水素ガスを用いる場合には、多量の水素ガスを使用する必要が生じ、雰囲気ガスの供給に特に大きなコストを要する。さらに、水素ガスを脱浸炭に用いる場合には、金属材料中に不純物として含まれるスケールが水素によって還元され、水が生成しやすい。すると、水は強い脱炭性を有するので、脱浸炭の制御が困難になってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、金属材料を熱処理する熱処理炉に雰囲気ガスを供給するガス供給システムにおいて、雰囲気ガスの供給および処理に要するコストを抑えながら、金属材料の熱処理において高い昇温特性および均熱性を提供することができるガス供給システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるガス供給システムは、雰囲気ガス中で金属材料の熱処理を行う熱処理炉に前記雰囲気ガスを供給するガス供給システムにおいて、前記ガス供給システムは、一酸化炭素を含んだ還元ガスを前記熱処理炉に供給する還元ガス供給部と、水素ガスを前記熱処理炉に供給する水素供給部と、前記熱処理炉から排出されたガスを回収し、再利用ガスとして前記熱処理炉内に戻す再利用部と、前記熱処理炉内の雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値が所定の値となるように、前記水素ガス、前記再利用ガス、前記還元ガスの少なくとも1つの前記熱処理炉への供給量を制御する供給制御を行う供給制御部と、を有するものである。
ここで、前記還元ガスは、炭化水素ガスと酸素の吸熱反応よって得られる一酸化炭素と水素とを含んだガスであるとよい。
また、前記再利用部は、前記熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去する吸着部を有するとよい。この場合に、前記吸着部は、それぞれ、二酸化炭素および水の吸着と、既に吸着した二酸化炭素および水の脱離による再生とが可能な、第一の吸着室と第二の吸着室とを並列に有し、前記第一の吸着室および第二の吸着室の一方が、前記熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去している間に、他方が、既に吸着した二酸化炭素および水を脱離されて再生される工程が、前記第一の吸着室と第二の吸着室の間で交互に切り替えて行われるとよい。
前記ガス供給システムは、複数の熱処理炉に並列に前記雰囲気ガスを供給するものであるとよい。
前記再利用部は、前記熱処理炉に供給する前記再利用ガスを貯留できる貯留部を有するとよい。
前記供給制御部は、前記再利用ガスの成分を検知する検知部を有し、前記検知部によって検知された前記再利用ガスの成分に基づいて、前記供給制御を行うものであるとよい。
上記発明にかかるガス供給システムにおいては、一酸化炭素を含んだ還元ガスと水素ガスを合わせて熱処理炉に雰囲気ガスとして供給している。これにより、金属材料の還元を、一酸化炭素を含んだ還元ガスによって主に行うとともに、還元ガスを希釈するベースガスとして水素を利用することができる。その結果、水素ガスにみによって金属材料の脱浸炭制御を行う場合とは異なり、多量の水素の使用によるコストの上昇および金属材料の脱浸炭制御の困難化を避けながら、水素によってもたらされる高昇温特性および高均熱性の効果を享受することができる。
また、熱処理炉から排出されたガスを再利用ガスとして熱処理炉に戻し、雰囲気ガスとして再利用することで、熱処理によって減少した一酸化炭素および水素ガスを補うだけで、熱処理炉に供給する雰囲気ガスにおいて、カーボンポテンシャル値を一定に保つことができる。よって、雰囲気ガスの再利用を行わない場合と比較して、還元ガスおよび水素ガスの使用量を大幅に低減することができ、雰囲気ガスの供給に要するコストを低減することができる。また、熱処理炉から排出されたガスを外部に放出せずに再利用することで、外部に放出する場合とは異なり、熱処理炉から排出されるガスを燃焼させる必要がない。これにより、排出ガスの燃焼に要するコストを排除することができる。
ここで、還元ガスが、炭化水素ガスと酸素の吸熱反応よって得られる一酸化炭素と水素とを含んだガスである場合には、公知のRXガス発生装置を用いて、簡便に、還元ガスを製造し、また、熱処理炉に供給される雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値の制御を行うことができる。
また、再利用部が、熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去する吸着部を有する場合には、雰囲気ガスの再利用を繰り返しても、熱処理炉に供給する雰囲気ガス中に二酸化炭素や水が蓄積されることがなくなり、それらによる脱浸炭制御の困難化や、凝集等の影響を避けることができる。
この場合に、吸着部が、それぞれ、二酸化炭素および水の吸着と、既に吸着した二酸化炭素および水の脱離による再生とが可能な、第一の吸着室と第二の吸着室とを並列に有し、第一の吸着室および第二の吸着室の一方が、熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去している間に、他方が、既に吸着した二酸化炭素および水を脱離されて再生される工程が、第一の吸着室と第二の吸着室の間で交互に切り替えて行われる場合には、ガス供給システムおよび熱処理炉の運転を停止させることなく、再利用ガスからの二酸化炭素および水の除去を伴う雰囲気ガスの再利用を継続することができる。
ガス供給システムが、複数の熱処理炉に並列に雰囲気ガスを供給するものである場合には、個々の熱処理炉の運転が停止されることがあっても、全熱処理炉の運転が同時に停止されなければ、還元ガス供給部を含むガス供給システムを定常的に運転し続けることができる。ガス供給システム、特にRXガス発生装置のような還元ガス供給部は、定常的に運転し続けることで、効率的に稼働させることができる。
再利用部が、熱処理炉に供給する再利用ガスを貯留できる貯留部を有する場合には、所望のカーボンポテンシャル値を実現するために必要な再利用ガスの需要量が変動することがあっても、貯留部を用いて再利用ガスの余剰分の貯留および不足分の放出を行うことで、その変動に対応することができる。
供給制御部が、再利用ガスの成分を検知する検知部を有し、検知部によって検知された再利用ガスの成分に基づいて、供給制御を行うものである場合には、熱処理炉内の状態の変化等により、再利用ガスの成分組成が変化しても、熱処理炉に供給する雰囲気ガスにおいて、カーボンポテンシャル値を正確に制御することができる。
本発明の一実施形態にかかるガス供給システムを熱処理炉とともに示すブロック図である。
以下、本発明の一実施形態にかかるガス供給システムについて、図面を参照しながら説明する。
[ガス供給システムの構成]
本発明の一実施形態にかかるガス供給システム1の一例を図1に示す。ガス供給システム1は、鋼材に代表される金属材料を雰囲気ガス中で熱処理する熱処理炉に、雰囲気ガスを供給する役割を果たす。図1に示した形態では、共通のガス供給システム1に、複数(ここでは3基)の熱処理炉F1〜F3が並列に接続され、ガス供給システム1から各熱処理炉F1〜F3に並列に雰囲気ガスを供給する。なお、図1ではでは、実線でガスの流通路を示し、破線で制御信号の経路を示している。
ガス供給システム1は、水素供給部11、還元ガス供給部としてのRXガス発生装置(RXGG)12、吸着部13、貯留部としての雰囲気吸蔵ステーション14およびタンク16、コンプレッサ15、供給制御部17を有している。供給制御部17は、検知部としてのガスセンサ17aと、制御手段としてのCPU17bとを有している。上記のうち、吸着部13、雰囲気吸蔵ステーション14、コンプレッサ15、タンク16は、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスを回収して再利用ガスRUとして熱処理炉F1〜F3に戻す再利用部を構成している。ガス供給システム1にはさらに、複数のバルブV1〜V7が設けられている。
水素供給部11は、熱処理炉F1〜F3に水素(H)ガスを供給するものである。具体的な水素供給部11は、Hガスを発生、供給することができるものであれば、どのようなものであってもよく、Hボンベ等を用いて外部からHガスを供給する形態や、水の電気分解等を用いてHを生成する水素発生装置を用いる形態を例示することができる。水素供給部11は、雰囲気吸蔵ステーション14、コンプレッサ15、タンク16を介して熱処理炉F1〜F3に接続されている。
RXガス発生装置12は、メタン、ブタンに代表される炭化水素ガスCと空気中の酸素の吸熱反応によって、一酸化炭素(CO)と水素(H)、窒素(N)を含んだRXガスを発生させるものであり、公知の装置を利用することができる。炭化水素ガスと空気の間の吸熱反応は、以下の反応式(1)によって表される。
+m/2(O+4N)→mCO+n/2H+2mN (1)
なお、ここでは、COを含み、熱処理炉F1〜F3内の金属材料に対して還元(浸炭)を行うことができる還元ガスを得られる簡便な装置の例として、RXガス発生装置12を用いているが、COを含む還元ガスを熱処理炉F1〜F3に供給することができる手段であればどのようなものを還元ガス供給部として用いてもよい。例えば、炭化水素ガスと水との反応によってCOとHを含んだガスを得ることができるガス改質装置を用いてもよい。
吸着部13は、各熱処理炉F1〜F3に接続されており、熱処理炉F1〜F3から排出されたガス(再利用ガスRU)を導入される。そして、導入されたガスから、二酸化炭素(CO)および水(HO)を、吸着によって除去する。吸着部13の出口は、雰囲気吸蔵ステーション14に接続されており、吸着部13でCOおよびHOを除去された再利用ガスRUは、雰囲気吸蔵ステーション14に導入される。
熱処理炉F1〜F3から排出されるガスの中には、COおよびHOに加えて、Hが含まれているが、吸着部13において、実質的にHは吸着されない。吸着部13に用いることができるCOおよびHOを吸着し、Hを実質的に吸着しない吸着剤として、モレキュラーシーブ、ゼオライト、活性炭等の多孔質材料を例示することができる。これらのうち、特にHOに対する吸着効率に優れるモレキュラーシーブを好適に利用することができる。吸着剤は、加熱や脱気等によって、既に吸着したCOおよびHOを脱離させ、再生(活性化)させられるものであることが好ましい。上記で列挙した吸着剤は、いずれも脱離による再生が可能である。また、脱離による再生が可能な吸着剤を用いる場合に、吸着部13には、ヒータ等の加熱手段やポンプ等の脱気手段と、脱離したガスを排出するための排出口を設けることが好ましい。排出口には、脱離したガスを燃焼させる燃焼手段を設ける必要はない。
図1に示した形態では、単一の吸着室よりなる吸着部13を設けているが、第一の吸着室と第二の吸着室を並列に設けてもよい。この場合には、バルブ等を用いて、一方の吸着室を吸着によるCOおよびHOの除去に用いている間に、他方の吸着室において脱離による再生を行えるように構成し、これらの工程を2つの吸着室の間で交互に切り替えて行えるようにしておけばよい。
雰囲気吸蔵ステーション(ガスステーション)14は、吸着部13を通過して供給された再利用ガスRUを、水素供給部11から供給されたHガスとともに、貯蔵することができる。さらに、タンク16は、再利用ガスRUおよびHガスを、雰囲気吸蔵ステーション14よりも高圧で貯蔵することができる。雰囲気吸蔵ステーション14およびタンク16は、ともに熱処理炉F1〜F3に供給する再利用ガスRUを貯留できる貯留部として機能するものであり、図1の形態では、雰囲気吸蔵ステーション14の下流にタンク16を設けているが、いずれか一方のみ設ける形態としてもよい。再利用ガスRUを高圧で貯留するタンク16を用いる場合には、図1のように、タンク16の上流にコンプレッサ15を設け、ガスを圧縮してタンク16に送り込むように構成する。タンク16の出口は、熱処理炉F1〜F3に接続されており、貯留していたガスを熱処理炉F1〜F3に供給することができる。
さらに、再利用部においては、吸着部13と雰囲気吸蔵ステーション14の間に、ガスセンサ17aが設けられている。ガスセンサ17aは、吸着部13を通過した再利用ガスRUの成分、つまり再利用ガスRU中に含まれる分子の種類と濃度を検知することができる。
本ガス供給システム1においては、複数のバルブV1〜V7が各所に設けられている。各バルブV1〜V7は、開度を調整することで、通過するガスの流量を制御できるものである。水素供給部11と雰囲気吸蔵ステーション14の間には、水素部バルブV1が設けられており、雰囲気吸蔵ステーション14において再利用ガスRUと混合されるHガスの流量を調整することができる。また、タンク16と熱処理炉F1〜F3のそれぞれの間には、再利用部バルブV2〜V4が設けられており、タンク16から各熱処理炉F1〜F3への、再利用ガスRUとHガスの混合ガスの供給流量を、独立に制御することができる。そして、RXガス発生装置12と熱処理炉F1〜F3のそれぞれの間には、RXガス供給部バルブV5〜V7が設けられており、RXガス発生装置12から各熱処理炉F1〜F3へのRXガスの供給流量を独立に調整することができる。
CPU17bは、ガスセンサ17aとともに、供給制御部17を構成している。CPU17bは、ガスセンサ17aによって検知された再利用ガスRUの成分の情報を入力され、それをもとに、各バルブV1〜V7の開度を調整する。つまり、再利用ガスRUの成分に基づいて、各熱処理炉F1〜F3内において、雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値(CP値)が所定の値となるように、Hガス、再利用ガスRU、RXガスの各熱処理炉F1〜F3への供給量を調整する。なお、CP値は、P(CO)をCOの分圧、P(CO)をCOの分圧として(それぞれ%表示)、
CP={P(CO)}/P(CO) (2)
で表される。
図1に示した形態においては、全てのバルブV1〜V7が各ガスの供給量の制御に基づくCP値の制御に利用できるようになっているが、Hガス、再利用ガスRU、RXガスの少なくとも1つに対して、各熱処理炉F1〜F3への供給量を制御することで、雰囲気ガスのCP値を制御することができる。例えば、水素部バルブV1の開度を調整し、Hガスの供給量を制御することでCP値を調整する形態を、好適なものとして挙げることができる。上記式(2)から分かるように、各熱処理炉F1〜F3に雰囲気ガスとして供給するCOを含んだRXガスを、ベースガスとしてのHガスで希釈するほど、CP値を減少させることができる。
[ガス供給システムの運転方法]
本ガス供給システム1を停止させた状態から起動する初期においては、各熱処理炉F1〜F3において、所望のCP値が得られるように、RXガス発生装置12から供給されるRXガスと、水素供給部11から供給されるHガスの混合ガスを各熱処理炉F1〜F3に雰囲気ガスとして供給する。バルブV1〜V7の制御により、RXガスとHガスの混合比を調整することで、所望のCP値を達成することができる。
熱処理炉F1〜F3において金属材料の熱処理を行っている間、RXガス発生装置12および水素供給部11から熱処理炉F1〜F3への雰囲気ガスの供給を定常的に継続するので、熱処理炉F1〜F3から熱処理に使用された後のガスが排出され続ける。熱処理炉F1〜F3から排出されたガスの中には、CO、HO、H、Nが含まれている。CP値の制御が効果的に行われていれば、COは、ほぼ金属材料の還元に消費され、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスの中に実質的に含まれない。
熱処理炉F1〜F3から排出されたガスは、再利用ガスRUとして、ガス供給システム1の再利用部に回収される。具体的には、吸着部13において、再利用ガスRU中のCOとHOが除去され、実質的にHとNのみを含むガスとなる。この再利用ガスRUは、熱処理炉F1〜F3における雰囲気ガスの需要量の変動に応じて、適宜雰囲気吸蔵ステーション14およびタンク16において余剰分を貯留され、また既に貯留されている再利用ガスRUによって不足分を補われて、熱処理炉F1〜F3の中に雰囲気ガスとして戻される。この際、ガスセンサ17aによって検出される再利用ガスRUの成分組成、主にH濃度に基づいて、CPU17bによって水素部バルブV1を制御することで、水素供給部11から雰囲気吸蔵ステーション14へのHガスの供給量が調整される。水素供給部11からのHガスの供給量は、ガスセンサ17aによって検出された再利用ガスRU中のHとの合計のHによって、RXガス供給装置12から供給されるRXガスを希釈した際に、熱処理炉F1〜F3内の雰囲気ガスにおいて所望のCP値を達成できるように定めればよい。CP値を一定に保つ場合には、原理的には、金属材料の還元によって消費された量に相当するCOおよびHのみを、RXガス発生装置12からのRXガスの供給および水素供給部11からのHの供給によって補うだけで、熱処理炉F1〜F3から排出された雰囲気ガスを何度も繰り返して再利用することができる。
図1に示した形態では、3つの熱処理炉F1〜F3が並列に設けられており、金属材料の出し入れ等に伴って、熱処理炉F1〜F3のうちいずれかの運転が停止される場合がある。運転が停止される熱処理炉に対しては、雰囲気ガスの供給も停止される。しかし、他の熱処理炉が運転されている限り、RXガス発生装置12によるRXガスの供給は継続され、RXガス発生装置12は定常的に運転され続ける。
また、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスの再利用を長時間にわたって継続すると、吸着部13に充填された吸着剤にCOおよびHOが蓄積され続け、その吸着能力が低下してしまう。そのような状態に達すると、吸着剤を交換するか、加熱や脱気によってCOおよびHOを脱離させ、吸着剤を再生させる必要がある。上で述べたように、第一の吸着室と第二の吸着室を並列に設け、交互に吸着と再生を切り替えて行えるように構成する場合には、一方の吸着室を再生させている間も、他方の吸着室を吸着に用いることで、ガス供給システム1を停止させることなく、吸着能の高い状態の吸着剤を用いて、COおよびHOの除去を含むガスの再利用工程を継続することができる。
[ガス供給システムにおけるコスト抑制等の効果]
以上で説明したガス供給システム1においては、RXガス発生装置12から供給されるRXガスを希釈し、その希釈の程度によって熱処理炉F1〜F3内の雰囲気ガスのCP値を調整するためのベースガスとして、従来一般に用いられてきたNガスではなく、Hガスを用いている。Hガスは、非常に高い熱伝導性および熱伝達性を有するので、ベースガスとして利用することで、金属材料の加熱において、高い昇温特性および均熱性を達成することができる。昇温特性および均熱性の向上の効果は、少量のHガスを用いるだけでも、享受することができる。
上記特許文献2,3のように、金属材料の還元による脱浸炭の制御自体をHによって行う方法もあるが、本ガス供給システム1においては、金属材料の還元は、RXガスに含まれるCOガスによって行い、雰囲気ガス中のCOとCOの分圧によって定まるCP値に基づいて、脱浸炭を制御している。つまり、Hガスは、金属材料の還元には、ほぼ寄与させないようにし、もっぱらRXガスの希釈用のベースガスとして用いることができる。
これにより、Hを浸炭制御自体に用いる場合と比較して、Hガスの持つ昇温特性および均熱性の向上の効果は享受しながら、Hガスの使用量を減らすことができる。その結果、Hガスの供給に要するコストを削減することができるとともに、Hによる金属材料中のスケールの還元に伴ってHOが発生し、脱浸炭制御を困難化させることを回避することができる。
さらに、本熱処理システムにおいては、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスを外部に放出するのではなく、再利用ガスRUとして回収し、熱処理炉F1〜F3に戻して、雰囲気ガスとして再利用している。これにより、雰囲気ガスとして熱処理炉F1〜F3に供給するRXガスおよびHガスの使用量を抑制することができる。また、熱処理炉F1〜F3から排出されたガスを大気中に放出する際に必要となるガスの燃焼処理を省略することができる。その結果、RXガスおよびHガスの供給自体に要するコストに加え、排出ガスの燃焼処理に要する分のコストを大幅に削減することができる。なお、吸着部13において、吸着した分子の脱離によって吸着剤を再生できるように構成する場合に、排出口を設け、再生時に脱離したガスをその排出口から大気中に放出することになるが、排出口から排出されるガスは、実質的にCOとHOからなるので、燃焼させることなく大気中に放出することができる。
そして、本ガス供給システム1を、上記のように、複数並列に設けた熱処理炉F1〜F3に接続し、熱処理炉F1〜F3のいずれかが停止される間もRXガス発生装置12を定常的に運転し続けることにより、RXガス発生装置12の運転効率を高め、運転コストの削減につなげることができる。また、吸着室を2つ並列に設け、再生と吸着を交互に切り替えて行えば、吸着部13を含むガス供給システム1全体を定常的に運転し続けることができ、さらなる運転コストの削減を達成することができる。
本ガス供給システム1においては、凝集性を有する分子や、金属材料の還元に寄与しない、あるいは悪影響を与える分子が、再利用される雰囲気ガスの中に含まれると、それらの蓄積により、何度も繰り返して雰囲気ガスを再利用することが難しくなる場合がある。そのような問題を生じうる分子として、COとHOが挙げられるが、それらは、吸着部13において吸着されるので、蓄積が問題とならない。もう1つ、そのような問題を生じうる分子として、Nが挙げられる。Nは、RXガス発生装置12においてRXガスの原料として用いる空気に由来して、雰囲気ガス中に含まれる(式(1)参照)。Nの蓄積を回避するための方策としては、例えば、RXガスを発生させるために炭化水素と反応させるガスとして、空気ではなくOガスを用いればよい。すると、ガス供給システム1にNが導入されないことになる。Oガスは空気よりも高価であるが、上記のように、雰囲気ガスの再利用に際し、CP値を一定に保つ限りにおいて、RXガスは、金属材料の還元によってCOが消費された分を補充するだけで足りるので、Oガスの消費量を少なく抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 ガス供給システム
11 水素供給部
12 RXガス発生装置(還元ガス供給部)
13 吸着部
14 雰囲気吸蔵ステーション(貯留部)
15 コンプレッサ
16 タンク(貯留部)
17 供給制御部
17a ガスセンサ
17b CPU
F1〜F3 熱処理炉
V1〜V7 バルブ

Claims (7)

  1. 雰囲気ガス中で金属材料の熱処理を行う熱処理炉に前記雰囲気ガスを供給するガス供給システムにおいて、
    前記ガス供給システムは、
    一酸化炭素を含んだ還元ガスを前記熱処理炉に供給する還元ガス供給部と、
    水素ガスを前記熱処理炉に供給する水素供給部と、
    前記熱処理炉から排出されたガスを回収し、再利用ガスとして前記熱処理炉内に戻す再利用部と、
    前記熱処理炉内の雰囲気ガスのカーボンポテンシャル値が所定の値となるように、前記水素ガス、前記再利用ガス、前記還元ガスの少なくとも1つの前記熱処理炉への供給量を制御する供給制御を行う供給制御部と、を有することを特徴とするガス供給システム。
  2. 前記還元ガスは、炭化水素ガスと酸素の吸熱反応よって得られる一酸化炭素と水素とを含んだガスであることを特徴とする請求項1に記載のガス供給システム。
  3. 前記再利用部は、前記熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去する吸着部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のガス供給システム。
  4. 前記吸着部は、それぞれ、二酸化炭素および水の吸着と、既に吸着した二酸化炭素および水の脱離による再生とが可能な、第一の吸着室と第二の吸着室とを並列に有し、
    前記第一の吸着室および第二の吸着室の一方が、前記熱処理炉から排出されたガスから二酸化炭素および水を吸着によって除去している間に、他方が、既に吸着した二酸化炭素および水を脱離されて再生される工程が、前記第一の吸着室と第二の吸着室の間で交互に切り替えて行われることを特徴とする請求項3に記載のガス供給システム。
  5. 前記ガス供給システムは、複数の熱処理炉に並列に前記雰囲気ガスを供給することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のガス供給システム。
  6. 前記再利用部は、前記熱処理炉に供給する前記再利用ガスを貯留できる貯留部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス供給システム。
  7. 前記供給制御部は、前記再利用ガスの成分を検知する検知部を有し、前記検知部によって検知された前記再利用ガスの成分に基づいて、前記供給制御を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のガス供給システム。
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