JP2017227149A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標駆動力に基づいてエンジンと無段変速機とを制御するにあたり、目標駆動力に対する車速の影響を排除して、駆動力イナーシャ分の加減速を抑制しつつ、駆動力の応答性の悪化を抑制する。【解決手段】エンジン1と無段変速機10とを備えた車両に適用され、目標駆動力に基づいてエンジン1と無段変速機10とを制御するように構成された車両の制御装置において、目標駆動力を、車速を用いることなく、少なくともエンジントルクと無段変速機の変速比とを用いて算出する。目標駆動力を算出するために車速を用いないので、目標駆動力に対する車速の影響を排除して、駆動力イナーシャ分の加減速を抑制しつつ、駆動力の応答性の悪化を抑制することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンと無段変速機とを備えた車両に適用される制御装置に関するものである。
エンジンの出力側に無段変速機を配置した車両において、エンジンの回転数を無段変速機によって制御し、またエンジンの出力トルクをスロットル開度などの負荷によって制御する装置が種々提案されている。
特許文献1が開示する無段変速機制御装置は、要求駆動量の一例であるアクセル開度papと車速vとに基づいて目標駆動力Fを求めるとともに、この目標駆動力Fを達成するためのエンジンの目標パワーPを求め、この目標パワーPを最小燃費で発生させるための目標回転数Netを求める。そしてエンジンの出力回転数Neがこの目標回転数Netとなるように、無段変速機の変速比γを制御する。他方、エンジン制御装置は、目標パワーPから目標エンジントルクT0を求め、エンジンの出力トルクが目標エンジントルクT0となるように、エンジンの負荷(スロットル開度あるいは燃料噴射量)を制御する。この装置はこのような制御によって、エンジンを最適燃費線上で運転するように構成されている。
ところで、このような制御を行う装置では、目標駆動力Fをアクセル開度papとなまし処理(ローパスフィルタ)の強い車速vとに基づいて算出しているため、アクセル操作の有無にかかわらず、目標エンジントルク、もしくは目標エンジン回転数などのフィードバック系でなんらかの原因(特に、車速なまし処理等)により車速vが変動した場合に、目標駆動力Fが変動してしまい、駆動力イナーシャ分の加減速が発生してしまう。なまし処理(ローパスフィルタ)の強い車速vを目標駆動力Fの演算に用いているが、このなまし処理に起因して駆動力の応答性の悪化が生じて、ドライバーの無駄な加速操作を招いてしまう。すなわち、アクセル操作に対する駆動力の応答が遅いため、ドライバーはアクセルを踏んでも思い通りの駆動力が得られず、更にアクセルを踏み込むが、遅れた駆動力が車両から発生するため、ドライバーはすぐにアクセルを戻す、という無駄な加速操作が生じてしまい、定常走行を作りにくく運転快適性が損なわれると共に、燃費が悪化するおそれもある。
本発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、目標駆動力に基づいてエンジンと無段変速機とを制御するにあたり、目標駆動力に対する車速の影響を排除して、駆動力イナーシャ分の加減速を抑制しつつ、駆動力の応答性の悪化を抑制することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明は、
エンジンと無段変速機とを備えた車両に適用され、目標駆動力に基づいて前記エンジンと前記無段変速機とを制御するように構成された車両の制御装置において、
前記目標駆動力を、車速を用いることなく、少なくともエンジントルクと前記無段変速機の変速比とを用いて算出する手段を備えたことを特徴とする。
エンジンと無段変速機とを備えた車両に適用され、目標駆動力に基づいて前記エンジンと前記無段変速機とを制御するように構成された車両の制御装置において、
前記目標駆動力を、車速を用いることなく、少なくともエンジントルクと前記無段変速機の変速比とを用いて算出する手段を備えたことを特徴とする。
本発明では、目標駆動力を算出するために、少なくともエンジントルクと無段変速機の変速比とを用いる一方、車速を用いない。このため本発明では、目標駆動力に対する車速の影響を排除して、駆動力イナーシャ分の加減速を抑制しつつ、駆動力の応答性の悪化を抑制することができる。
本発明の実施形態につき、以下に図面に従って説明する。まず本発明が対象とする車両の動力伝達系統の一例を説明する。図1において、エンジン1が変速機構2に連結され、その変速機構2の出力軸3が、終減速機構15及びディファレンシャル4を介して左右の駆動輪5に連結されている。エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であるが、内燃機関と電動機とを組み合わせた装置であってもよい。
エンジン1は、燃料をシリンダの内部に直接噴射し、その噴射量およびタイミングを制御することにより均質燃焼や成層燃焼の可能ないわゆる直噴ガソリンエンジンであり、スロットル開度を電気的に制御できる電子スロットルバルブと、燃料噴射量を電気的に制御できる燃料噴射弁とを備えている。エンジン1は、吸気弁と排気弁とを所定のタイミングで開閉させるための可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing;VVT)を備えている。VVTは、カムシャフトとクランク軸との間の相対的な回転位相を調整することによって、吸気弁及び排気弁の開弁及び閉弁のタイミングを調整することができる。VVTは、更に吸気弁および排気弁のリフト量を調整することができるものであってもよい。エンジン1は更に、既燃焼ガスを吸気通路に導入するために排気通路と吸気通路とを連結するEGR通路と、このEGR通路を開閉するEGR弁とを備えている。
エンジン1を電気的に制御するために、電子制御装置であるエンジンECU6が設けられている。エンジンECU6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えた周知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
エンジンECU6は、少なくともエンジン1の出力を制御するように構成されている。エンジンECU6には、エンジン1の制御のためのデータとして、不図示のクランク角センサからのエンジン回転数Ne、不図示のアクセルペダルセンサからのアクセル開度pap、不図示のエアフローメータからの吸入空気量KL、不図示の車速センサからの車速vを含む各種信号が入力される。エンジン回転数Neとアクセル開度papは、エンジン1の出力の増大・減少のための要求駆動量信号である。要求駆動量信号としては、車速を設定車速に維持するためのクルーズコントロールシステムなどからの信号を用いても良い。
エンジンECU6には更に、ブロアモータ及びワイパー等の電気負荷からの動作状態信号、バッテリ電流センサからの電流値、バッテリ温度センサからのバッテリ温度値が入力されている。エンジンECU6はこれら信号とバッテリ電圧とに基づいて、オルタネータのICレギュレータに対する発電電圧指示信号を出力する。エンジンECU6は更に、後述する目標駆動力F0の算出に用いるために、オルタネータが必要とする電気負荷必要パワー(オルタネータパワー)[kW]とエアコン必要パワー[kW]を算出する。電気負荷必要パワーは、オルタネータ単体試験結果から得られるオルタネータ発生トルク(オルタネータトルク)に、エンジン回転数Neとオルタネータプーリー比の掛け算として得られるオルタネータ回転数を乗算することにより算出される。エアコン発生パワーも同様に算出される。エンジンECU6の出力側には、上述した電子スロットルバルブと、燃料噴射弁と、VVTと、EGR弁のための各アクチュエータが接続され制御可能とされている。
変速機構2は、流体伝動機構8と、前後進切替機構9と、無段変速機(Continuously Variable Transmission;CVT)10とから構成されている。流体伝動機構8は、オイルなどの流体を介して入力側の部材と出力側の部材との間でトルクを伝達するように構成された流体式トルクコンバータである。この流体伝動機構8は、ロックアップクラッチ11とダンパー12とを備えている。ロックアップクラッチ11は、入力側の部材と出力側の部材とを摩擦板などの機械的手段で直接連結するように構成されている。ダンパー12は、緩衝をおこなうためのものであり、コイルスプリングなどの弾性体からなる。なお、車両が停止している状態であってもエンジン1を駆動させ続ける目的で流体伝動機構8を設けている場合には、車両の状態に基づいて自動的に断続される自動クラッチを、上記の流体伝動機構8に置換して使用することができる。
流体伝動機構8の入力部材がエンジン1の出力部材に連結され、また流体伝動機構8の出力部材が前後進切替機構9の入力部材に連結されている。前後進切替機構9は、複数の歯車と、前進用クラッチおよび後進用ブレーキとを有し、複数の歯車によって形成されるトルクの伝達経路を、前進用クラッチおよび後進用ブレーキの係合および解放によって変更することにより、入力部材と出力部材との回転方向を正逆に変更するように構成されている。この前後進切替機構9として、例えば、シングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構、ラビニヨ型遊星歯車機構を用いた機構、あるいは常時噛み合っている複数対のギヤ対を同期連結機構(シンクロナイザー)によって選択的に出力部材や入力部材に連結するように構成された機構などを採用することができる。
無段変速機10は、その入力側の部材の回転数と出力側の部材の回転数との比率すなわち変速比を無段階に(連続的に)変化させることのできる機構である。無段変速機10は、入力側の回転部材と出力側の回転部材との間に、動力を伝達するための伝動部材を、入力側および出力側の部材に接触させて配置し、その伝動部材と各回転部材との接触位置を連続的に変化させることにより、入力側の回転部材と出力側の回転部材との回転数の比率である変速比γを連続的に変化させるように構成されている。無段変速機10は、溝幅を変更可能な入力プーリと出力プーリとにベルトを巻き掛けたベルト式の無段変速機である。なお無断変速機10として、トロイダル面を有する一対のディスクの間に、傾動可能なパワーローラを挟み込んだトロイダル式無段変速機を採用してもよい。
上記の変速機構2におけるロックアップクラッチ11の係合・解放ならびに滑りを伴う半係合の各状態の制御、および前後進切替機構9での変速比の制御、ならびに無段変速機10での変速比γの制御は、基本的には、車両の走行状態に基づいて制御されるようになっている。その制御のための電子制御装置として、CVT−ECU13が設けられている。CVT−ECU13は、上述したエンジンECU6と同様に、CPU、ROM、RAMおよびバックアップRAMなどを備えた周知のハードウェア構成を有する。
このCVT−ECU13は、前述したエンジンECU6とデータ通信可能に連結される一方、制御のためのデータとして、車速センサからの車速v、無段変速機10の入力軸の近傍に設けられた入力軸回転センサ17によって検出される入力回転数Nin、無段変速機10の入力軸の近傍に設けられた出力軸回転センサ18によって検出される出力回転数Noutなどの信号が入力されている。
また、変速機構2を停止状態(パーキング)、後進状態(リバース)、中立状態(ニュートラル)、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定する自動前進状態(ドライブ:D)すなわち自動変速モード、変速状態を手動操作で設定する手動状態(マニュアル:M)すなわち手動変速モードの各状態を選択するシフト装置14が設けられており、このシフト装置14がCVT−ECU13に電気的に連結されている。
他方、CVT−ECU13の出力側には、無段変速機10及びロックアップクラッチ11を含む油圧機器を制御するための油圧制御回路16が接続されている。無段変速機10については、CVT−ECU13によってプライマリプーリ及びセカンダリプーリの各油圧アクチュエータが制御され、変速比γ及びトルク容量(例えばベルト挟圧力)が制御される。
上記の本発明に係る制御装置では、無段変速機10の変速比γを適宜に設定することによりエンジン回転数を制御し、またエンジン1の出力トルクをスロットル開度等によって制御する。図2は、そのエンジン回転数およびエンジン出力の制御のメインルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、車両の動作中、例えば不図示のパワースイッチがオンされている間にわたり、所定のサイクルタイムΔtごとに繰り返し実行される。
まずステップS10において、エンジンECU6によって、目標駆動力F0[N]が算出される。この目標駆動力F0の算出は後述するとおり、図3のサブルーチンに従って実行される。
算出された目標駆動力F0と、車速v[km/h]、電気負荷必要パワー(オルタネータパワー)[kW]及びエアコン必要パワー[kW]とに基づいて、次にエンジンECU6によって、エンジン1の目標パワーP[kW]が算出される(ステップS20)。その演算は、例えば次の数式(1)によって行われる。
目標パワーP=目標駆動力F0×車速v×1000/3600+電気負荷必要パワー+エアコン必要パワー・・・(1)
目標パワーP=目標駆動力F0×車速v×1000/3600+電気負荷必要パワー+エアコン必要パワー・・・(1)
こうして目標パワーPが算出されると、CVT−ECU13によって、エンジン1の目標回転数Net[rpm]が算出される(ステップS30)。ここでは、目標パワーPに対して燃費が最小となるエンジン回転数が算出される。
ここで、図4は、エンジン1の動作特性と燃料消費率との関係を示すグラフ、すなわち正味燃料消費率(Brake Specific Fuel Consumption;BSFC)マップであり、横軸をエンジン回転数Ne[rpm]とし、縦軸をエンジントルクTeng[Nm]としている。図4において、実線は最適燃費線L、点線は等燃費線E1、E2、E3、一点鎖線は等パワー線P1、P2、P3、P4を示す。等燃費線E1、E2、E3は、燃費(エンジン1の効率)が等しくなるエンジン1の動作点の集合である。等パワー線P1、P2、P3、P4は、エンジン1のパワーが等しくなるエンジン1の動作点の集合である。最適燃費線Lは、等パワー線上で燃費が最小となる点をプロットしたものであり、エンジン1を最適な燃費で(効率良く)運転できるエンジン1の動作点の集合である。ここで燃費とは、単位仕事量あたりの燃料消費量をいい、当該車両が単位距離を走行するために必要な燃料量、あるいは、当該車両が単位燃料量で走行できる距離に相当するものである。そしてCVT−ECU13は、目標パワーPに対応する等パワー線を特定すると共に、その等パワー線と最適燃費線Lとが交差する点に相当するエンジン回転数を、目標エンジン回転数Netとして決定する。
そしてCVT−ECU13は、エンジン回転数Neが目標エンジン回転数Netと一致するように、無段変速機10を制御する(ステップS40)。この目標エンジン回転数Netに基づく制御はフィードバック制御によって行われ、具体的には、目標エンジン回転数Netと実エンジン回転数Neとの差が無くなるように、変速比γが調整される。なお、エンジン回転数Neと無段変速機10の入力側回転部材の回転数(入力回転数Nin)とは等価な関係にあり、無段変速機10の変速比の制御において、エンジン回転数Neに代えて入力回転数Ninを用いることもできる。
他方、ステップS20で算出された目標パワーPに基づいて、エンジンECU6によって、目標エンジントルクT0[Nm]が算出される(ステップS50)。この演算は、目標パワーPとその時点の実際のエンジン回転数Ne(入力回転数)あるいは目標エンジン回転数Netとをパラメータとする所定の関数(例えばT0=30P/π・Ne)によって実行される。こうして求められた目標エンジントルクT0に基づいて、エンジンECU6が例えば、スロットル開度、点火時期、VVT進角量、及びEGR量を求め、その結果に基づいてエンジン1を制御する(ステップS60)。この目標エンジントルクT0に基づく制御はフィードバック制御によって行われ、具体的には、目標エンジントルクT0と実エンジントルク(推定エンジントルク)との差が無くなるように、各パラメータ(スロットル開度、点火時期、VVT進角量、EGR量)が調整される。実エンジントルクは、吸入空気量KL、及びエンジン回転数Neに基づき、実機で測定したマップによって算出することができる。
ここで、上述したステップS10における目標駆動力F0の算出の詳細に係るサブルーチンにつき、図3に従って説明する。このサブルーチンが開始すると、エンジンECU6はまず、定常走行分目標駆動力F[N]を算出する(ステップS110)。この演算は、次の数式(2)によって行われる。
F=エンジントルク×CVT変速比×CVT効率×デフ比/タイヤ径 ・・・(2)
F=エンジントルク×CVT変速比×CVT効率×デフ比/タイヤ径 ・・・(2)
ここで、エンジントルクは、アクセル開度papに応じて設定されるスロットル開度と、エンジン回転数Neとに基づく実機で測定したマップを用いて推定演算される。変速比γは入力軸回転センサ17によって検出される入力回転数Ninと、出力軸回転センサ18によって検出される出力回転数Noutとに基づく計算により算出される。CVT効率ηは、CVT入力回転数、変速比及び入力トルク(実エンジントルク)に基づく実機で測定したマップを用いて算出される。デフ比は終減速機構15及びディファレンシャル4における減速比であって、その駆動系に固有の既知の値として固定値が採用される。タイヤ径も既知の値として固定値が採用される。この定常走行分目標駆動力Fの算出(ステップS110)は、上の数式(2)のとおり、車速vを用いることなしに行われる。
次にエンジンECU6は、過渡状態を反映させる目的で、定常走行分目標駆動力Fからその全微分値dFを減算するための準備として、過渡微係数d(エンジントルク)、d(変速比)及びd(CVT効率)を算出する(ステップS120)。これら過渡微係数は、それぞれ以下の数式(3)〜(5)によって算出される。これら数式において、Tengはエンジントルク、papはアクセル開度、Neはエンジン回転数、Ninは無段変速機10の入力回転数、Noutは無段変速機10の出力回転数、ηはCVT効率(無段変速機10の効率)、γは無段変速機10の変速比、Ttは無段変速機10の入力トルクを示す。
例えばd(エンジントルク)の演算における偏微分∂Teng/∂papは、実際には、エンジン回転数Neとアクセル開度papとをエンジントルクTengと関連付けてなるマップ(map(pap, Ne))を使用して、アクセル開度papの微小変化に対してエンジントルクTengの変化量がなす比率(すなわち、エンジントルクTengのpap感度)として算出される。例えばアクセル開度papが30度、エンジン回転数Neが1500rpmである場合における当該演算は、以下の数式(6)のように行われる。アクセル開度papの微小変化量Δpapとしては十分に小さい値、例えば0.01が用いられる。他の偏微分演算も同様の手法により行われる。
次にエンジンECU6は、目標駆動力の全微分値dFを算出する前に、これら過渡微係数に対するガード処理を行う(S130)。このガード処理は、過渡微係数またはその要素となるパラメータの値が極端に急激に変化した場合に、これをノイズとしてマスクするために、前回値をもって代用するものである。具体的には、ガード処理は以下のようにして行われる。なお、以下において添字n,n−1,n−2・・・はそれぞれn回目、n−1回目、n−2回目・・・の検出値ないし算出値であることを示す。
次にステップS140において、エンジンECU6は、目標駆動力Fからその全微分値dFを減算して、過渡変動も考慮した目標駆動力F0を算出する(F0=F−dF)。ここで全微分値dFは、以下の数式(13)によって算出される。本来であれば、駆動力イナーシャはその位置に残ろうとする余分なトルクであり、減算されて目標値を設定されるべきである。
全微分値dF=d(エンジントルク)×CVT変速比×CVT効率×デフ比/タイヤ径
+エンジントルク×d(CVT変速比)×CVT効率×デフ比/タイヤ径
+エンジントルク×CVT変速比×d(CVT効率)×デフ比/タイヤ径
・・・(13)
全微分値dF=d(エンジントルク)×CVT変速比×CVT効率×デフ比/タイヤ径
+エンジントルク×d(CVT変速比)×CVT効率×デフ比/タイヤ径
+エンジントルク×CVT変速比×d(CVT効率)×デフ比/タイヤ径
・・・(13)
次に、駆動力補正量ΔFfbが算出される(ステップS150)。この駆動力補正量ΔFfbは、目標駆動力F0のフィードバック制御に係る補正量であり、次の数式(14)により算出される。
駆動力補正量ΔFfb=Kp×ΔF+Ki×(∫ΔFdt) ・・・(14)
駆動力補正量ΔFfb=Kp×ΔF+Ki×(∫ΔFdt) ・・・(14)
ここで、ΔFは駆動力であり、ΔF=目標駆動力F−全微分値dF−計算駆動力F1によって算出される。計算駆動力F1は、定常走行分目標駆動力Fの算出のための上述した数式(1)と同様に、F1=エンジントルク×CVT変速比×CVT効率×デフ比/タイヤ径によって算出されるが、エンジントルク、CVT変速比及びCVT効率はリアルタイムの検出値が毎回用いられ、これらを反映した計算駆動力F1及び駆動力偏差ΔFが算出される。Kpは比例項ゲインであり、Kiは積分項ゲインである。
次にエンジンECU6は、目標駆動力F0に、フィードバック量としての駆動力補正量ΔFfbを加算する(F0=F0+ΔFfb、ステップS160)。
次にエンジンECU6は、アクセル開度がほぼ一定に維持されているかを判断する(ステップS170)。この判断は、以下の数式(15)〜(19)の不等式がすべて成立するかによって行われる。なお、所定値7<所定値8<所定値9<所定値10<所定値11である。
ステップS170で肯定、すなわちアクセル開度がほぼ一定に維持されている場合には、目標駆動力F0につき前回値を維持する(ステップS180)。これは、アクセル開度の変化が微小である場合に車速の変動を抑制するためである。
他方、ステップS170で否定、すなわちアクセル開度がある程度より大きく変動している場合には、エンジンECU6は、目標駆動力と計算駆動力のフィードバックの改良を実行する(ステップS190)。このフィードバックの改良は、上述した駆動力補正量ΔFfbの算出に係る数式(14)における比例項ゲインKp及び積分項ゲインKiについて行われ、例えば目標回転数とエンジントルクとのステップ的な増減を繰り返して駆動力の現在値の振幅と周期を計測し、これに応じて比例項ゲインKp及び積分項ゲインKiを自動的に増減することによって行われる。
以上のとおり、本実施形態では、目標駆動力F0に基づいてエンジン1の目標パワーPを算出すると共に、この目標パワーPを最小燃費で達成するように無段変速機10を制御し、また目標駆動力F0に基づいて目標エンジントルクT0を算出すると共に、この目標エンジントルクT0を達成するようにエンジン1を制御する。これによって、本実施形態では、エンジン1を最適燃費線L上で運転することができる。
ここで本実施形態では、目標駆動力F0を、エンジントルク、無段変速機の変速比、デフ比、無段変速機効率及びタイヤ径のみを用いて算出することとし(ステップS110・数式2)、車速vを用いないこととした。このため本実施形態では、目標駆動力F0に対する車速vの影響を排除して、駆動力イナーシャ分の加減速を抑制しつつ、駆動力の応答性の悪化を抑制することができる。したがって本実施形態では、定常走行を作り易いことによって運転快適性を向上でき、また燃費の悪化を抑制することができる。また、目標駆動力F0の算出に無段変速機効率を用いたので、より精度の高い制御を実行できる。
また、本実施形態では、定常走行分の目標駆動力Fの全微分値dFを算出し、これを定常走行分の目標駆動力Fから減算(ステップS140)することとしたので、目標駆動力F0を実際の物理現象に近づけることができ、目標駆動力F0を精度よく算出することができる。
また本実施形態では、目標駆動力の全微分値dFを算出する前に、過渡微係数に対するガード処理(S130)を行うこととしたので、過渡微係数またはその要素となるパラメータの値が極端に急激に変化した場合に、これをノイズとしてマスクすることによって、目標駆動力の変動を抑制することができる。
本発明は上述した態様のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上記実施形態ではエンジンECU6とCVT−ECU13とにより、エンジン回転数NeとエンジントルクTengについてフィードバックを実行したが、このような構成に代えて、エンジンパワー(スロットル開度、点火時期、VVT進角量、EGR量に基づいて算出する)と車速とについてフィードバックを実行することも可能である。また、目標駆動力F0の算出に、エンジントルク、無段変速機の変速比、デフ比、無段変速機効率及びタイヤ径を用いたが、エンジントルク及び無段変速機の変速比以外の各パラメータについてはこれを用いるかは任意であり、例えば無段変速機効率を用いず且つデフ比及びタイヤ径に代わる定数を用いることも可能であって、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
1 エンジン
2 変速機構
6 エンジンECU
10 無段変速機(CVT)
13 CVT−ECU
2 変速機構
6 エンジンECU
10 無段変速機(CVT)
13 CVT−ECU
Claims (1)
- エンジンと無段変速機とを備えた車両に適用され、目標駆動力に基づいて前記エンジンと前記無段変速機とを制御するように構成された車両の制御装置において、
前記目標駆動力を、車速を用いることなく、少なくともエンジントルクと前記無段変速機の変速比とを用いて算出する手段を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
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| JP7694106B2 (ja) | 2021-03-30 | 2025-06-18 | マツダ株式会社 | 車両制御システム |
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