JP2017503486A - エンベロープウイルス又はウイルスベクターを精製するためのプロセス - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、前記精製の収率に対する、エンベロープウイルスの精製中に使用される溶液のpHの影響、及び特定の添加剤のプラスの影響の、本発明者らによってなされた予期せぬ観察からもたらされる。
エンベロープウイルス及びベクターの産生
エンベロープウイルス又はベクターの産生は当技術分野の技術水準において周知である。当業者は、特にAnsorge et al. 2010; Schweizer and Merten 2010; Rodrigues et al. 2011によって示されたこの分野における一般的な知識を参照し得る。
−該エンベロープベクターの産生のために、又は構成的に若しくは誘導後にベクターを産生する安定な産生細胞の使用のために必要とされる、配列をコードする、1つ又はいくつかのプラスミドを用いてのHEK293T細胞の一過性トランスフェクション;
−pHが約6又は約7である適切な培地中での該細胞の培養;
−培養上清中へのエンベロープウイルスの収集。
本出願の実施例から分かるように、産生されたエンベロープウイルスの精製収率は、該精製中に使用される緩衝液のpH条件を適応させることによって顕著に改善され得る。
(a)細胞培養培地の清澄化;
(b)限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程;
(c)陰イオン交換クロマトグラフィー;
(d)排除クロマトグラフィー
を含み、工程(b)及び(c)は逆でもよい。好ましい実施態様では、工程(c)は工程(b)の後である。
i)陰イオン交換クロマトグラフィー基材上に、限外ろ過工程の終了時に得られた溶液をローディング、該溶液は特に以下である:
−5.5と6との間に含まれるpHであり、かつ0と200mMとの間のNaCl濃度を含むか;
−又は、pH7であり、NaCl濃度が0と350mMとの間に含まれるか;のいずれか
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー基材からウイルス、特にウイルスベクターを緩衝液を用いて溶出:
−又は、5.5と6との間のpHであり、かつ450と800mMとの間に含まれるNaCl濃度を含むか;
−又は、pH7であり、NaCl濃度が600と1,000mMとの間に含まれる。
i)陰イオン交換クロマトグラフィー基材上に、限外ろ過工程の終了時に得られた溶液をローディング、該溶液は加えられたNaClを全く含まない、
ii)陰イオン交換クロマトグラフィー基材の1回目の溶出(混入物を除去するために)、1回目の溶出緩衝液は、
−5.5と6との間に含まれるpHであり、0と350mMとの間のNaCl濃度を含むか;
−又は、pH7であり、NaCl濃度が0と450mMとの間に含まれるか;のいずれか
iii)陰イオン交換クロマトグラフィー基材の2回目の溶出(ウイルス、特にウイルスベクターを回収するために)、2回目の溶出緩衝液は:
−5.5と6との間に含まれるpHであり、かつ450と800mMとの間のNaCl濃度を含むか;
−又は、pH7であり、NaCl濃度が600と1,000mMとの間に含まれるか;のいずれか。
細胞:
HEK293T細胞株及びHCT116細胞株(結腸直腸癌細胞CCL−247;入手源:ATCC)を、2〜10%のウシ胎児血清(FCS)(Life Technologies)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(Gibco)(DMEM+グルタマックス)中で5%CO2の存在下で37℃で培養する。培養培地:塩酸(HCl37%、Sigma-Aldrich)の添加によってpH6.0で緩衝化し、次いで、Corning(登録商標)1,000mLのフィルター(0.22μmPES(ポリエーテルスルホン))を用いてろ過した、DMEM/FCS。
様々な糖タンパク質を用いてシュードタイプ化されたHIV−1由来のウイルスベクターは、Merten et al.(2011)によって記載されているような4つのプラスミドによる、293T細胞におけるリン酸カルシウムを用いての一過性の四重トランスフェクションによって産生される。2×108個の293T細胞を、1,760cm2のハイパーフラスコ(Corning)中のDMEM10%FCS 550mLに蒔いた(Kutner et al. 2009)。24時間後、培養培地を、トランスフェクション培地の中でDNA/CaCl2/HBS複合体を合わせることによって、該トランスフェクション培地と交換する。4つのプラスミド:gagpol(pKLgagpol)136μg、rev(pKrev)52.25μg、トランスジェニックプラスミド(pCCL−eGFP)206.8μg、各シュードタイプに対して適切なエンベローププラスミド:LV−GaLV−TRを作製するためのGaLV−TR:pBA.GALV−TR/Ampho−Kana(テナガザル白血病ウイルス)223μg;LV−VSV−gを作製するためのVSV−GpMDG(水疱性口内炎ウイルス−g)68.13μg;LV−MVを作製するためのpFΔ30及びpHCMH2(麻疹ウイルスの改変されたエンベロープタンパク質)40μg及び14μg;十分量のH2O 18mL及びTE0.1× 8.9mLを、CaCl2(2.5M)3mLと混合し、次いでHBS2X 30mLを加え、複合体の形成を4分間待ち、混合物を培養培地に加える。16時間後、上清を、2%FCS 15Uベンゾナーゼ(Merck)及び2mM MgCl2(Sigma-Aldrich)の新たな培地と交換する。トランスフェクションから48時間後に収集を行ない、酢酸セルロース(CA)1L(Corning)中の上清を0.45μmのフィルターでろ過する。
この工程は、産物の上清を濃縮し、次いでプロセスの継続のために培養培地を適切な緩衝液と交換することからなる。
第一の手順では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程を、TFFの下流で行なう。いくつかのクロマトグラフィー基材を試験する:一体型カラムCIMD DEAE、CIMD Q(BIAseparation, Villach, Austria)、カラム容量:1mL;サルトバインドD 75MA、容量:2.1mL(Sartorius Stedim Biotech);Poros PI、カラム容量:4mL;Poros D 50、カラム容量:4mL、Poros HQ、カラム容量:4mL(LifeTechnologies)、トヨパール650C DEAE、カラム容量:2mL(Tosoh)。
これは、プロセスA及びBのための滅菌ろ過前の最終工程である(図1)。この工程は、使用されるゲル(例えば、750kDa、又はさもなくば500kDa)よりも小さなサイズを有する混入物を除去することからなる。Captocore700カラムをこの工程のために使用した。これは以下の2つの機能を有するゲルである:排除クロマトグラフィー及び吸着ゲルクロマトグラフィー。
レポーター遺伝子eGFPを有するベクターの形質導入単位(TU)でのウイルス力価を、HCT116細胞の形質導入によって分析する。形質導入から72時間後に、細胞を、以前に記載されているように(Pfeifer et al. 2009)、力価(TU/mL)を決定するためにFACSに通す。ウイルス粒子の物理的分析のために、キットELISAp24(PerkinElmer)を、業者の説明書に従ってレンチウイルスのキャプシドタンパク質p24を定量するのに使用した。
CD34+細胞を、免疫磁気選択法(Miltenyi Biotec)によって臍帯血から単離する。CD34+細胞の培養及び形質導入は、記載のように(Charrier et al. 2011)成し遂げられる:まず細胞を、培地X−Vivo20(Lonza)中で一晩かけて予め刺激し、サイトカインを補充する。予め活性化された細胞を48ウェルプレートに蒔く(5×104個の細胞/100μl)。形質導入は、8μg/mLのベクトフシン(vectofusine)−1の存在下で精製されたベクター100μl(106のTU)を添加することによって成し遂げられる。6時間のインキュベート後、分化培地1mL(10%血清を、記載のように(Charrier et al. 2011)サイトカイン(hSCF、h−Il−3 h−Flt3 h−Il−6)の存在下で補充されたX−VIVO−20)を各ウェルに加え、5日後に、形質導入効率を、FACSによってGFPの発現を測定することによって評価する(FC500, BD Biosciences)。
レンチウイルスベクターを含有している培養試料又は精製された試料を、SDS−PAGE及びウェスタンブロットによって分析して、p24キャプシドタンパク質の存在を検出する。p24タンパク質の顕現を、LI−CORによって開発された方法に従って、Odyssey装置及びOdyssey2.1ソフトウェアパッケージを用いて行なう。使用される一次抗体は、HIVのp24キャプシドタンパク質の検出のための抗p24抗体(Santa-Cruz 番号SC−57823)である。抗体を、0.1%PBS1×−Tween+ブロッカーOdyssey(1:1)中1/200の希釈度で使用する。Li−CORの蛍光色素「Dey800」と結合させて使用される二次ヤギ抗体は、一次抗体に対して指向される。
全タンパク質を、標準物質として血清アルブミンを用いてブラッドフォード法(Bio-Rad)によって定量する。試験は、業者の説明書に従って実施される。
本発明は、精製されたウイルス粒子の良好な収率及び良好な品質を確保しつつ、GaLV−TR、VSV−G、麻疹ウイルスなどの様々なエンベロープ糖タンパク質を有する、一過性トランスフェクションによって又は安定でシュードタイプ化された産生細胞を用いて産生された、HIV−1に由来するか又は他のレトロウイルスに由来するレンチウイルスベクター、及びPG13などの安定な細胞から産生されたγ−レトロウイルスベクターGaLVのための新規精製プロトコールの開発及び確立に関する。この開発は、本質的にであって排他的ではないが、以下の3つの精製技術に基づく:TFF(タンジェンシャルフローろ過)、陰イオン交換クロマトグラフィー、及び排除クロマトグラフィー。様々な組合せを図1に示す。
これらの工程は、定期的に培地が交換され、レンチウイルスベクターの産生を誘導するために3個又は4個のプラスミド(レンチウイルスの「ヘルパー」機能及び組換えベクターの配列を与える)でトランスフェクトされなければならないHEK293又はHEK293Tなどの細胞を用いての連続培養における、レトロウイルスベクターの安定かつ持続的な産生によって特徴付けられる、PG13などの安定な細胞を使用することによる、レトロウイルス及びレンチウイルスベクターの産生からなる。一過性産生は時間が限られ、トランスフェクションから数日後における1回又は数回の収集が可能である。力価は一般的に、ベクターの構成(配列)に依存するがエンベロープタンパク質にも依存する。以下の力価は、これらの産生系を用いて得ることができる(表1)。
タンジェンシャルフローろ過は、限外ろ過及びダイアフィルトレーション(UF/DF)の2つの連続した工程を含む。これらの両方の工程は、サイズが、使用される膜の孔の排除サイズよりも小さい大部分の混入物を除去する可能性を与える。このUF/DF工程はまた、ウイルス粒子を濃縮し、精製しようとする産物の容量を減少させる可能性を与える。750kDaの孔の排除サイズを有する110cm2の膜(GE HealthCare)を使用した。UFを開始するために、様々な濃度のスクロース(特に5%スクロース(重量/容量))、及び様々な濃度のMgCl2(特に2mM MgCl2(最終濃度))を、清澄化した産物に加える。次に、UF濃縮工程を、流速80mL/分、7プサイグで行なう。TFFタンクをアイスボックスに入れ、UF/DF中の低温を確保する。ダイアフィルトレーション工程は、UF中に500mLから20mLへと容量を減少させた後に開始する。DFのために、200mL(濃縮産物の10倍容量)のダイアフィルトレーション緩衝液:PBS、5%スクロース、2mM MgCl2を使用する。この工程の終了時に、20mLのUF/DF産物を50mLのCorningチューブに回収する。緩衝液の選択は、調製物の用途又は濃縮/ダイアフィルトレーション後の工程の最適条件に依存する(例えば、この場合、他の緩衝液、例えばビス−トリス(pH6.0)、5%スクロース、2mM MgCl2を使用し得る)(表A参照)。試料を、Fenard et al.(2013)によって記載されているようなHCT116細胞上で滴定する。
1.レンチウイルス粒子は、80〜120nmの範囲の直径を有し、このことは濃縮/ダイアフィルトレーションのために使用され得る膜の孔サイズは、最大で約50nm(又は750kDa)までの範囲であり得ることを意味する。本発明の範囲内において、500kDa及び750kDaのカットオフサイズを評価した。収率(TU)は以下であった:750kDaの膜については64%の収率(TU)に対して、500kDaの膜については34%の収率(TU)。
本出願人によって提出された出願FR1358909において、様々なエンベロープタンパク質を用いてシュードタイプ化されたエンベロープベクターの産生が、pH6.0の使用時に増加する(2倍まで)ことが示された。タンジェンシャルろ過の効率に対する、レンチウイルスベクターを含有している上清のpHの選択の影響を評価することを決断した。この脈絡において、2つの異なるpHを、GaLV−TFシュードタイプ化レンチウイルスベクターの濃縮/ダイアフィルトレーション中に評価した(pH6及びpH7)(表3)。7.0から6.0へのpHの低減により、収率は約10%低減した(73.6%から64%に)。しかしながら、この収率は依然として許容されるものであり、それ故、酸性pHでの濃縮/ダイアフィルトレーションを想定することが可能である。
GaLV−TRレンチウイルスに関して、最善の濃縮/ダイアフィルトレーション(タンジェンシャルろ過)条件は以下であった:LV−GaLV−TRベクター(1L)を、5%スクロース及び2mM MgCl2の存在下で0.45μmの酢酸セルロース膜を通して清澄化し、続いてTFF工程(カートリッジ750kDa、410cm2)を行ない、容量を低減させて20mL(50倍)に達する。次いでダイアフィルトレーション工程を、容量200mLの適切な緩衝液(例えば、ビス−トリス20mM pH6.0、5%スクロース、及び2mM MgCl2、又はPBS pH7.0、5%スクロース及び2mM MgCl2)に対して行なう。
科学文献において、レトロウイルス及びレンチウイルスベクターの指向性を研究及び改良するために、様々なエンベロープタンパク質が評価された。この脈絡において、GaLV−TRレンチウイルスベクターの濃縮/ダイアフィルトレーションのために確立された条件を、様々なエンベロープタンパク質を用いてシュードタイプ化されたレトロウイルス及びレンチウイルスベクターの濃縮/ダイアフィルトレーションについて評価した(表4)。GaLV−TRシュードタイプ化レンチウイルスベクターを用いて得られた結果が基準として示されている。
タンジェンシャルフローろ過による濃縮/ダイアフィルトレーション工程は、タンパク質及びDNAの積載量をかなり低減させ(上記参照)、このことはクロマトグラフィーのリガンドへの接近に関して精製しようとするベクターの競合物質であり得る混入物のかなりの割合が低減されることを意味する。原則的に、その後の用途に応じて、精製を検討する際に2つの異なる方法を想像することが可能である。それらは図1に示されている:1回の排除クロマトグラフィー工程を適用する単純化されたプロセス(図1のA)、及び臨床使用のためのレンチウイルスベクターを調製するための追加の陰イオン交換クロマトグラフィー工程を適用するより精巧なプロセス(図1のB)。
TFF UF/DF工程後に、混入物を低減させ、ウイルス粒子を良好に分離するために、陰イオン交換クロマトグラフィー工程を追加する。この技術は、pH及び塩濃度に応じて、その等電点に従って生体分子の分離を可能とする。それ故、所与のpH値において、捕捉された生体分子を脱離するために特定の塩濃度(しばしばNaCl)が必要とされ、この濃度は、生体分子とリガンドとの間の相互作用力に従って選択されなければならない:この相互作用が大きいほど、塩濃度(塩分)は高くなければならない。更に、クロマトグラフィー緩衝液のpHが、精製しようとする生体分子種の等電点に近いほど、クロマトグラフィーリガンドから生体分子を脱離するために必要とされる塩は少ない。しかしながら、レトロウイルス及びレンチウイルスベクターは、塩濃度に依存してその感染力を急速に失うことが知られている(Segura et al. 2006によって概説されている)。それ故、第一段階で、様々なNaCl濃度に対するレンチウイルスベクターの安定性を評価した。
上記に示されているように、クロマトグラフィーカラムによって捕捉された生体分子の溶出はしばしば、塩勾配(NaClを含有している緩衝液)を用いて又は塩濃度(NaCl)を増加させる工程を用いて成し遂げられる。それ故、NaCl濃度の影響を評価するために、TFF後のレンチウイルスベクターのインキュベーション試験を、50mMから1,500mMの範囲の様々なNaCl濃度で室温で4時間かけて行なった。図3は、NaCl濃度による室温でのレンチウイルスベクターの感染力を、全くNaClを加えない条件又はNaClを加えずに4℃でインキュベートされた同じベクター調製物と比較して示す。この試験は明らかに、50mMと1Mとの間に含まれるNaCl濃度が、GaLV−TRレンチウイルスベクターの安定性に対してやや有害な作用を及ぼし、感染力は29.52%(50mM NaCl)から43.86%(1M NaCl)(4℃で保存された調製物に対する比率)の範囲で低下することを示す。他方で、1.5M NaClの濃度は、ベクターの調製物を室温で4時間保存した場合には63.8%の感染力の低下をもたらす。NaClを加えずに20℃(室温)で4時間保存しても、4℃での保存と比較して、ベクターの感染力は約23%とある程度減少することを注記すべきである。
本発明者らは、低級陰イオン交換クロマトグラフィー基材(DEAD(D))を使用して、特にクロマトグラフィーカラムから該ベクターを脱離させるために必要とされる塩濃度を減少させようと試みることによって、このタイプの基材によるベクターの失活を制限することが可能であるかどうかを決定した。PG13細胞(MLV−GaLV)の培養物から濃縮された上清を使用した予備試験においては、DEAE(東ソーTSKゲルDEAE 5PW)に基づいたクロマトグラフィー基材の使用により、収率が僅か16%であった(溶出中に失活を引き起こす強力すぎる相互作用に因る)強力な交換体(GE HealthCareのQセファロースFF)の使用中よりも高い約71%という感染性ベクターの収率をもたらすことを示すことが可能であった。この例では、レトロウイルスベクターの脱離のために必要とされる塩濃度は、それぞれ655mM及び915mMであった。これらの結果に基づいて、低級陰イオン交換体が、展開の継続のために選択された:いくつかのクロマトグラフィー基材を評価した:モノリスCIM D(DEAE)、PorosD50(Life Technologies)、サルトバインド(Sartorius)(Bandeira et al. 2012)、トヨパール650C DEAE(Merten et al. 2011)。
pHを、5%スクロースの存在下及び非存在下において5.5〜8.0の範囲内で変化させた。5%スクロースの存在は、pHが5.5を超える場合には陰イオン交換クロマトグラフィー工程中の収率にプラスの効果を及ぼす(例:PorosD)(表5)。収率に対するスクロースの存在のプラスの効果は、pH5.5ではもはや観察されない。他方で、スクロースの存在は、pH8.0においては、約58%の感染性ベクターの回収のために不可欠である。6.0から7.0の範囲のpHの使用中に、収率は52〜65%であり、最善の収率(約100%)はpH5.5で得られる。
本発明者らは、清澄化工程の直後に陰イオン交換クロマトグラフィー工程を適用した時に得られた収率を評価した。これらの条件下で観察された収率は、限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程を、清澄化と陰イオン交換クロマトグラフィーとの間に適用した場合よりも低い。それ故、後者の手順が、その後の精製のために選択された。
排除クロマトグラフィーは、その分子サイズに従って生体分子を分離するために選択された方法であり、これにより、粒子を混入物から分離することが可能となる。
最も重要なパラメーターは、全収率、並びに、混入タンパク質及び混入DNAの積載量の低減時のレンチウイルスベクター調製物の純度に関する。
CD34+細胞の形質導入:
精製ベクターの品質を決定するために、臍帯血細胞CD34+を形質導入する。細胞を、サイトカインで予め刺激した18時間後に解凍する。形質導入を6時間かけて行なう。次に、細胞を、5日間、分化培地に入れる。次いで細胞を、GFPの発現率を測定するために、FACS FC500(BD Biosciences)に通過させる。以下の結果が典型的には得られる(図6):レンチウイルスベクター(GaLV−TR)の濃縮/ダイアフィルトレーションによる精製により、CD34+細胞の形質導入効率(GFPを発現している細胞の比率として表現される)は、粗上清の使用時の9%から、濃縮/ダイアフィルトレーションにかけられたLVベクターの調製物の使用時の70%まで増加する。
麻疹ウイルスのエンベロープの改変された糖タンパク質を用いてシュードタイプ化(MVシュードタイプ化)されたレンチウイルスベクターの精製プロセスをここに記載する。上記に示された手順に従って産生されたLV−MV−CMHII(CMHII=抗CMHII抗体)レンチウイルスベクターを、以下の工程に従って精製する:
−使用する膜:1リットルの産物の精製のための、GE 番号UFP−750−E−3MA 110cm2
−ダイアフィルトレーション緩衝液:PBS((pH7.0)、2mM MgCl2、5%スクロース)
−容量の低減:500mL/1,000mLから20mLへ、緩衝液をダイアフィルトレーション緩衝液と交換する。
−感染性ベクターの収率:64〜70%。
−使用するカラム:CaptoCore700 4.7mL
−製剤化用緩衝液:PBS、5%スクロース、2mm MgCl2、又はさもなくば5%スクロース及び2mM MgCl2を含有しているX−vivo又はHANKS
−10CVの製剤用緩衝液を用いてのカラムの平衡化
−TFFからの濃縮液を、0.5mL/分の速度でCaptoCore700カラムにローディング
−20CVの製剤化用緩衝液を用いてのカラムの洗浄
−ODピークに対応する試料の収集(50倍で容量21mL)
−感染性ベクターの収率:90%超(TU)。
Claims (19)
- 陰イオン交換クロマトグラフィー工程を含む、エンベロープウイルスを精製するためのプロセスであって、該クロマトグラフィー中に使用される緩衝液が、
−pHが6未満、又は
−pHが6以上であり、かつ更にポリオールを含む、プロセス。 - 前記陰イオン交換クロマトグラフィーの緩衝液(単数又は複数)のpHが6未満であり、かつポリオールも含む、請求項1記載のプロセス。
- 前記緩衝液のpHが5.5と6との間に含まれ、pHがより詳細には5.5又は6に等しい、請求項1記載のプロセス。
- 前記陰イオン交換クロマトグラフィー工程の前に、限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程、特にタンジェンシャルフローろ過を行なう、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセス。
- 前記限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程が、ポリオールを含んでいてもよい5.5と7.5との間に含まれるpHを有する1つ又はいくつかの緩衝液の使用を含む、請求項4記載のプロセス。
- エンベロープウイルスを産生する細胞の細胞培養物の培養培地からエンベロープウイルスを精製するための、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセスであって、
(a)該細胞培養培地の清澄化;
(b)清澄化されたウイルスのための限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程;
(c)陰イオン交換クロマトグラフィー;
(d)排除クロマトグラフィー
を含む、プロセス。 - 工程(a)が、捕捉閾値が0.2と0.45μmとの間に含まれる捕捉フィルター上での培養培地のろ過によって行なわれる、請求項6記載のプロセス。
- 工程(b)が、タンジェンシャルフローろ過を用いて行なわれる、請求項6又は7記載のプロセス。
- 工程(d)が、300と1,000kDaとの間に含まれる排除サイズを有する排除樹脂の使用を含む、請求項6〜8のいずれか一項記載のプロセス。
- 前記排除クロマトグラフィーに使用される樹脂が、排除及び吸着の2つの機能を有するマルチモード樹脂である、請求項6〜9のいずれか一項記載のプロセス。
- 限外ろ過/ダイアフィルトレーション工程、特にTFF工程を含む、エンベロープウイルスを精製するためのプロセスであって、該工程が、ポリオールを含有する緩衝液を使用することによって行なわれる、プロセス。
- 精製されたウイルスが、中性培地中で、又は、特にpH6とpH7との間に含まれるpHのやや酸性の培地中で産生される、請求項1〜11のいずれか一項記載のプロセス。
- ポリオールが、スクロース、マンニトール、ソルビトール、及びトレハロースから選択される、請求項1〜12のいずれか一項記載のプロセス。
- ポリオールが、緩衝液中に、1.5重量%と15重量%との間に含まれる濃度、特に2重量%と5重量%との間に含まれる濃度、より詳細には5重量%の濃度で存在する、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセス。
- ポリオールが、タンジェンシャルフローろ過及び陰イオン交換クロマトグラフィー中に使用される緩衝液中に存在する、請求項1〜14のいずれか一項記載のプロセス。
- ポリオールが、精製プロセスの全工程における緩衝液中に存在する、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセス。
- 前記プロセス中に使用される緩衝液がまた、特に0.1mMと5mMとの間に含まれる濃度、特に1と3mMとの間に含まれる濃度、より詳細には2mMの濃度で、マグネシウム塩、特に塩化マグネシウムを含む、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセス。
- GaLV、GaLV−TR、VSV−g又はMVエンベロープ糖タンパク質を用いてシュードタイプ化された、エンベロープウイルス、特にレトロウイルス、特にレンチウイルスの精製のための、先行する請求項のいずれか一項記載のプロセス。
- 前記陰イオン交換クロマトグラフィーが、弱陰イオン交換カラムクロマトグラフィー及び/又は陰イオン交換カラムクロマトグラフィーである、請求項1〜10及び15〜18のいずれか一項記載のプロセス。
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