JP2017504594A - アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法 - Google Patents

アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017504594A
JP2017504594A JP2016539064A JP2016539064A JP2017504594A JP 2017504594 A JP2017504594 A JP 2017504594A JP 2016539064 A JP2016539064 A JP 2016539064A JP 2016539064 A JP2016539064 A JP 2016539064A JP 2017504594 A JP2017504594 A JP 2017504594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogenation
adipic acid
acid
liquid
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016539064A
Other languages
English (en)
Inventor
ピンコス ロルフ
ピンコス ロルフ
ボック マーティン
ボック マーティン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF SE
Original Assignee
BASF SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BASF SE filed Critical BASF SE
Publication of JP2017504594A publication Critical patent/JP2017504594A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • C—CHEMISTRY; METALLURGY
    • C07—ORGANIC CHEMISTRY
    • C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/347—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reactions not involving formation of carboxyl groups
    • C07C51/36—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reactions not involving formation of carboxyl groups by hydrogenation of carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C—CHEMISTRY; METALLURGY
    • C07—ORGANIC CHEMISTRY
    • C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C209/00—Preparation of compounds containing amino groups bound to a carbon skeleton
    • C07C209/04—Preparation of compounds containing amino groups bound to a carbon skeleton by substitution of functional groups by amino groups
    • C07C209/14—Preparation of compounds containing amino groups bound to a carbon skeleton by substitution of functional groups by amino groups by substitution of hydroxy groups or of etherified or esterified hydroxy groups
    • C07C209/16—Preparation of compounds containing amino groups bound to a carbon skeleton by substitution of functional groups by amino groups by substitution of hydroxy groups or of etherified or esterified hydroxy groups with formation of amino groups bound to acyclic carbon atoms or to carbon atoms of rings other than six-membered aromatic rings
    • C—CHEMISTRY; METALLURGY
    • C07—ORGANIC CHEMISTRY
    • C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/132—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by reduction of an oxygen containing functional group
    • C07C29/136—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by reduction of an oxygen containing functional group of >C=O containing groups, e.g. —COOH
    • C07C29/147—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by reduction of an oxygen containing functional group of >C=O containing groups, e.g. —COOH of carboxylic acids or derivatives thereof
    • C07C29/149—Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by reduction of an oxygen containing functional group of >C=O containing groups, e.g. —COOH of carboxylic acids or derivatives thereof with hydrogen or hydrogen-containing gases
    • C—CHEMISTRY; METALLURGY
    • C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G69/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/02—Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/26—Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/28—Preparatory processes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Polyamides (AREA)

Abstract

本発明は、アジピン酸、又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物を製造する方法に関し、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の遷移金属触媒(K)及び含水液体(A)の存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸は、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性である。

Description

本発明は、ムコン酸の接触水素化によるアジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物(Folgeprodukt)の製造法に関する。
先行技術
アジピン酸は、工業的に重要な材料であり、ナイロンとも称されるポリアミド66の製造のために特に使用される。アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの脱水素重縮合によるポリアミド66の製造は、ずっと以前から知られている。ポリアミド66の製造に際して用いられるアジピン酸は、大規模工業的に、なかでもシクロヘキサノール又はアノロンとも称されるシクロヘキサノール/シクロヘキサノン−混合物の濃硝酸による酸化によって製造される。アノロンは、大気中酸素によるシクロヘキサンの酸化によって入手される。
アジピン酸を製造するための更なる公知の出発物質がムコン酸である。ムコン酸(系統名:2,4−ヘキサジエンジカルボン酸)は、シス,シス立体配座、シス,トランス立体配座又はトランス,トランス立体配座で存在してよい。ムコン酸は、例えば、グルコース又はリグニンといった再生原料から生化学的方法によって取得されることができる。ムコン酸における炭素−炭素二重結合の完全な水素化によって、アジピン酸が得られる。
ムコン酸は、アジピン酸とは対照的に、水やエタノールといった普通の溶媒に際立って難溶性であることを特徴とする。例えば、シス,シス−ムコン酸は、約47℃で、水100gにつき約1gの水への溶解性を示す。それゆえ、工業的規模におけるムコン酸の、例えばアジピン酸への変換は、一般に複雑性の増大を伴う。この理由から、ムコン酸を、例えばアジピン酸へのその更なる変換前に、より溶解しやすい形に変えるために様々な手法が文献中に見出される。それらに含まれるのは、例えば、可溶性ムコン酸塩を得るための、短鎖アルカノールによるエステル化及び塩基による中和である。
E.H.Farmer及びL.A.Hughes,J.Chem.Soc.1934,1929〜1938は、ニッケル又は白金をベースとする水素化触媒を用いた水性媒体中でのムコン酸のジナトリウム塩から出発するアジピン酸の製造を記載している。
J.A.Elvidge et.al.,J.Chem.Soc.1950,2235−2241は、シス,トランス−ムコン酸の製造及び白金触媒の存在下にエタノール中でのアジピン酸への当該ムコン酸の水素化を記載している。用いられる溶媒及び触媒の量に関する説明は行われていない。
US4,968,612は、トルエンから出発してムコン酸を製造する発酵法及びそのようにして得られたムコン酸のアジピン酸への水素化を記載している。具体的には、ムコン酸は、酢酸中で40質量%のスラリーとして、そしてチャコールベースのパラジウム触媒の存在下に反応させられる。用いられる酢酸の含水量は示されていない。この反応モードの欠点は、腐食性の酢酸を用いることであり、そのため高品質な耐腐食性の反応器を用いる必要がある。更にこの方法の欠点は、出発材料として再生可能な供給源に由来しないトルエンが用いられることである。
K.M.Drahts及びJ.W.Frost,J.Am.Chem.Soc.1994,116,399−400及びW.Niu et al.,Biotechnol.Prog.2002,18,201−211には、グルコースから生体触媒合成によってシス,シス−ムコン酸を製造し、引き続きシス,シス−ムコン酸を白金触媒によってアジピン酸へと水素化することが記載されている。いずれの場合においても、発酵混合物のpH値は、水素化前に6.3を上回る値に又は7.0の値に調節される。その際、ムコン酸塩の溶液が生じる。いずれの場合においても、発酵ブロスはまず遠心分離されて上澄みだけが水素化のために用いられ、その際、Niu et al.の手法に従って、これに付加的に水素化前に活性炭が2回混ぜられて濾過されることから、水素化混合物は固体のムコン酸を含んでいないと想定される。
再生可能な供給源からムコン酸を製造する更なる方法が、例えばWO2010/148080A2に記載されている。この文献の段落[0065]及び[0066]における例4によれば、シス,シス−ムコン酸15g及び水150mlが、水の還流下で15分間の長さで加熱される。室温への冷却、濾過及び乾燥後に、シス,トランス−ムコン酸10.4g(69%)が得られる。母液(4.2g=シス,シス−ムコン酸をベースに28質量%)は、もはやムコン酸から成らない。それはラクトンと更なる知られていない反応生成物とを含有する。
J.M.Thomas et.al.,Chem.Commun.2003,1126−1127には、メソポーラスな二酸化ケイ素の細孔に特定のアンカー基によって組み込まれているバイメタルナノ触媒を使って純エタノール中でムコン酸をアジピン酸へと水素化することが記載されている。
WO2010/141499は、バニリン酸へのリグニンの酸化、2−メトキシフェノールへのバニリン酸の脱カルボキシル化及びカテコールへの更なる変換及び最終的にムコン酸への酸化並びにこのようにして得られたムコン酸の様々な遷移金属触媒を用いたアジピン酸への水素化を記載している。水素化のために用いられる溶媒は示されていない。
WO2012/170060は、窒素含有化合物、殊にヘキサメチレンジアミンの製造法を記載している。出発生成物として、アジピン酸ジアンモニウム含有の発酵ブロスが用いられる。その製造のために、適した実施形態においては、D−グルコースがシス,シス−ムコン酸塩へと発酵変換されることができる。その際、pH値は、アンモニアの添加によって7より低く保たれる。引き続き、シス,シス−ムコネートは、チャコールベースの白金10%の存在下に50psi(3.4474bar)の水素圧で室温にて水素化される。その際、低い温度が必要とされる。それというのも、より温度が高いと、アンモニアがマイケル付加に従ってムコン酸又はその塩に付加すると考えられるからである。生じる水素化された発酵ブロスは、アジピン酸ジアンモニウム(DAA)並びに場合によりアジピン酸モノアンモニウム(MAA)及び/又はアジピン酸(AA)を含有する。WO2010/170060に記載された方法の欠点は、DAA及びMAAが更なる変換前にAAに変換すること、すなわち、アンモニアが除去されなければならないことである。これは蒸留により2工程で行われ、その際、第一の工程では、DDA−水溶液が、頂部を介してアンモニア及び水が除去されるように蒸留される。蒸留の塔底生成物は冷却され、かつその際に形成されたMAAから成る固体が分離される。第二の工程では、MAA−水溶液が、水の添加下で加熱され、かつアンモニアを含有する水蒸気が分離される。冷却後に得られる固体はアジピン酸から成る。そのようにして得られたアジピン酸は1,6−ヘキサンジオールへと水素化され、かつ1,6−ヘキサンジオールはアンモニアによりヘキサメチレンジアミンへとアミノ化される。どの条件下でかつどの触媒の存在下でヘキサンジオールへのMAA及びAAの水素化及びヘキサメチレンジアミンへのヘキサンジオールのアミノ化が行われるのかは示されていない。これに関する唯一の示唆が、図3、4及び5の式図である。
X.She et al.,ChemSusChem 2011,4,1071−1073には、二酸化チタンを担体とするレニウム触媒を用いたトランス,トランス−ムコン酸のアジピン酸への水素化を、メタノール、エタノール、1−ブタノール、アセトン、トルエン及び水から選択される溶媒中で行うことが記載されている。この文献の図1にまとめられた結果は、トランス,トランス−ムコン酸の水素化に際してメタノール中で得られたジメチルエステル 1(アジピン酸ジメチルエステル)、2(2−ヘキセン二酸ジメチルエステル)及び3(2,4−ヘキサジエンジカルボン酸ジメチルエステル)の変換率及び分布を示す。最良の結果は、Re/TiO2触媒により達成されていた。しかしながらこの反応は、ムコン酸の水素化によるアジピン酸の製造法ではない。それというのも、いかなる場合にもエステル形成が実質的な反応工程として進行するからである。この文献に関する追加の情報では、溶媒として水中で120℃及び1000psi(68.95bar)の水素圧にてRe/TiO2触媒によるトランス,トランス−ムコン酸の水素化も記載されている。溶解度が低いゆえに、溶媒として用いられる水中でのムコン酸濃度は50mg/ml(5質量%)でしかなかった。使用される触媒では、水中でアジピン酸に対するごく僅かな選択率のみが達成され、主生成物はジヒドロムコン酸である。そのため、5時間の反応時間後のアジピン酸への選択率は約10%に過ぎず、かつジヒドロムコン酸への選択率は約90%であった。それゆえ著者は、水素化反応のための溶媒として水を使用しないようにはっきりと促している。したがって、追加の情報の第4頁、第1行目〜第2行目には、「水は(I)(=アジピン酸)の形成に対する不十分な反応媒体である」と記されている。
先行技術から公知のムコン酸からアジピン酸を製造する方法は、多数の欠点を有している。ムコン酸が塩として用いられる場合、これはまず付加的な工程で製造されなければならない。さらに、ムコン酸塩を用いると、生成物混合物中で塩が不所望に発生することになり、これは手間をかけて分離されなければならない。アルコール性溶媒、例えばメタノール又はエタノール中でのムコン酸の水素化は、副生成物、例えばムコン酸、ジヒドロムコン酸及びアジピン酸と前述のアルコールとのモノエステル及びジエステルを生む。それによりアジピン酸の収率は低減され、かつアジピン酸の単離が阻害される。腐食性の溶媒、例えば酢酸の使用には、高価で、耐腐食性の反応容器が必要である。例えばエタノールといった多くの溶媒中では、低い濃度のムコン酸溶液しか得ることができず、そのため、これらの溶液のみが用いられ、かつ懸濁液が水素化のために用いられない場合には、空時収量は僅かなものとなる。しばしば、高価な触媒、例えば白金ベースの触媒が用いられる。用いられる有機溶媒は、しばしば可燃性でありかつ/又はその使用は健康及び環境の観点から所望されていない。アジピン酸の収率は、先行技術に記載されている方法では不十分であることが多い。
本発明の課題は、ムコン酸をアジピン酸へと高い収率及び選択率で水素化することを可能にする方法を提供することである。その際、前で記載した先行技術の欠点は回避されるべきである。殊に、水素化のために、可能な限りムコン酸それ自体であり、かつムコン酸塩ではないものが用いられることができるべきである。この方法は、副生成物の手間のかかる分離を特に必要とせずに、単純で、低コストであり、かつ環境に優しい反応媒体中で実施されることができるべきである。
そうして意想外にも、これらの課題が、少なくとも部分的に固体の形で存在するムコン酸を、含水液体中で遷移金属触媒の存在下に水素で水素化することによって解決されることがわかった。
本発明の概要
それゆえ、本発明は、アジピン酸、又は1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミン及びポリアミド66の中から選択される当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法に関し、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の不均一系遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸は、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性であり、かつ遷移金属触媒Kが、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Fe、Pd、Pt、Cu及びAuの中から選択される少なくとも1種の遷移金属を有する。
特別な実施形態においては、ムコン酸は、懸濁液の形で水素化のために用いられる。その際、ムコン酸は、粒子状の分散された相として含水液体中に存在する。
更なる特別な実施形態においては、液体Aは水のみから成る。
更なる特別な実施形態は、アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法に関し、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸が、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性であり、そして
− 液体Aは、当該液体Aの全質量に対して95〜100質量%の範囲の含水率を有し、
− 遷移金属触媒Kは、金属ニッケル、金属コバルト、金属ロジウム又はこれらの金属の少なくとも2種の混合物を含み、かつ
− 反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、取り出された反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画との分離に供し、このアジピン酸が低減された分画を、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送する。
本発明の更なる対象は、1,6−ヘキサンジオールを、
a)上記及び下記で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供する工程と、
を行って製造する方法である。
本発明の更なる対象は、ヘキサメチレンジアミンを、
a)上記及び下記で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
を行って製造する方法である。
本発明の更なる対象は、ポリアミド66を、
a)上記及び下記で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
d)工程c)で得られたヘキサメチレンジアミンをアジピン酸との重縮合に供してポリアミド66を得る工程と、
を行って製造する方法である。
特別な実施形態においては、工程d)で用いられるアジピン酸は、少なくとも部分的に本発明によるムコン酸の水素化にも由来する。
特に、前述の方法の場合、工程a)で用いられるムコン酸は、塩の形では存在しない。
前述の方法の特別な実施形態においては、ムコン酸の水素化は連続的に行われる。
本発明の実施形態
本発明は、次の有利な実施形態を個別的に含む:
1.アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物を製造する方法であって、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸が、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性である、前記方法。
2.実施形態1に記載の方法であって、反応混合物が、当該反応混合物の全質量に対して水50質量%の最小含有率のときに、60℃で1〜6の範囲のpH値、有利には1〜5の範囲のpH値、特に有利には1〜4の範囲のpH値を有する、前記方法。
3.実施形態1又は2に記載の方法であって、液体Aが、当該液体Aの全質量に対して5〜100質量%、有利には30〜100質量%、特に有利には50〜100質量%、殊に65〜100質量%、とりわけ95〜100質量%の範囲の含水率を有する、前記方法。
4.実施形態1から3までのいずれか1つに記載の方法であって、ムコン酸が、水素化条件下で最大で50g/Lの液体Aへの溶解度を有する、前記方法。
5.実施形態1から4までのいずれか1つに記載の方法であって、ムコン酸が、水素化に際して少なくとも部分的に液体A中に懸濁された粒子の形で存在する、前記方法。
6.実施形態1から5までのいずれか1つに記載の方法であって、水素化のために、アジピン酸が反応条件下で少なくとも100g/L、有利には少なくとも200g/Lの溶解度を有する液体Aを用いる、前記方法。
7.実施形態1から6までのいずれか1つに記載の方法であって、ムコン酸が再生可能原料に由来し、ここで、その製造を、好ましくは、少なくとも1種の再生可能原料からの生体触媒合成によって行う、前記方法。
8.実施形態1から7までのいずれか1つに記載の方法であって、0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C/12C同位体比を有するムコン酸を用いる、前記方法。
9.実施形態1から8までのいずれか1つに記載の方法であって、遷移金属触媒Kが不均一系触媒である、前記方法。
10.実施形態1から9までのいずれか1つに記載の方法であって、遷移金属触媒Kが周期律表(IUPAC)の第7族、第8族、第9族、第10族及び第11族の少なくとも1種の遷移金属であって、好ましくはRe、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu及びAuの中から選択される、殊にRe、Ru、Co、Rh、Ir、Niの中から選択される、とりわけNi、Co及びRhの中から選択される遷移金属を有する、前記方法。
11.実施形態1から10までのいずれか1つに記載の方法であって、遷移金属触媒Kが、金属ニッケル、金属コバルト、金属ロジウム又はこれらの金属の少なくとも2種の混合物を含む、前記方法。
12.実施形態1から11までのいずれか1つに記載の方法であって、遷移金属触媒Kが、ラネーニッケル、ラネーコバルト、担体材料に担持されたロジウム及びそれらの混合物の中から選択されている、前記方法。
13.実施形態1から12までのいずれか1つに記載の方法であって、反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、取り出された反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に供し、かつ場合によりこのアジピン酸が低減された分画を、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送する、前記方法。
14.実施形態13に記載の方法であって、反応混合物をアジピン酸の結晶化に供し、かつ母液の少なくとも一部を反応ゾーン中に返送する、前記方法。
15.アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物を製造する方法であって、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸が、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性であり、そして
− 液体Aは、当該液体Aの全質量に対して95〜100質量%の範囲の含水率を有し、
− 遷移金属触媒Kは、金属ニッケル、金属コバルト、金属ロジウム又はこれらの金属の少なくとも2種の混合物を含み、かつ
− 反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、取り出された反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に供し、このアジピン酸が低減された分画を、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送する、前記方法。
16.実施形態1から15までのいずれか1つに記載の方法であって、水素化を、20℃〜250℃、有利には40℃〜150℃の範囲の温度で実施する、前記方法。
17.実施形態1から16までのいずれか1つに記載の方法であって、反応を、1〜300bar、有利には2〜100barの範囲の絶対水素圧で実施する、前記方法。
18.実施形態1から17までのいずれか1つに記載の方法であって、水素化を連続的に実施する、前記方法。
19.実施形態1から18までのいずれか1つに記載の方法であって、水素化をn個の直列接続された水素化反応器中で実施し、ここで、nは、少なくとも2の整数である、前記方法。
20.実施形態19に記載の方法であって、1番目〜(n−1)番目の反応器が、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有する、前記方法。
21.実施形態19又は20に記載の方法であって、水素化をn番目の反応器中で断熱して実施する、前記方法。
22.1,6−ヘキサンジオールを、
a)実施形態1から21までのいずれか1つに定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供する工程と、
を行って製造する、前記方法。
23.実施形態22に記載の方法であって、工程b)で用いられる水素化触媒が、還元された触媒の全質量に対して少なくとも50質量%の、レニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル及び銅の中から選択される元素を含む、前記方法。
24.ヘキサメチレンジアミンを、
a)実施形態9から12までのいずれか1つに定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
を行って製造する、前記方法。
25.ポリアミド66を、
a)実施形態9から12までのいずれか1つに定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
d)工程c)で得られたヘキサメチレンジアミンをアジピン酸との重縮合に供してポリアミド66を得る工程と、
を行って製造する、前記方法。
26.実施形態25に記載の方法であって、工程d)で用いられるアジピン酸を、少なくとも部分的に実施形態1から21までのいずれか1つに記載の方法に従って製造する、前記方法。
本発明の説明
本発明による方法は、次の利点によって際立っている:
− 再生可能原料から製造されたムコン酸からは、一般に水溶液が発生する。本発明による方法によれば、溶媒を交換せずに水素化が可能になる。
− 有利な大規模工業的な後処理法が再結晶であることから、この場合も溶媒を交換する必要がない。
− 後処理に際して得られたアジピン酸含有の水性母液は、水素化に返送することができる。
アジピン酸
有利には、本発明による水素化法では、実質的にムコン酸から成るムコン酸出発材料が用いられる。特に有利には、本発明による方法で用いられるムコン酸出発材料は、当該ムコン酸出発の全質量に対してそれぞれ少なくとも90質量%、極めて有利には少なくとも95質量%のムコン酸を含む。
本発明による方法において使用可能なムコン酸は、再生可能な供給源に由来していてよく、それらは天然源、例示的に糖類、例えばデンプン、セルロース及びグルコース、又はリグニンを指す。例示的にムコン酸の、例えばデンプン、セルロース、グルコース又はリグニンから成るムコン酸の製造は、当業者に公知のあらゆる方法で、例えば生体触媒を用いて行われることができる。酵素プロセスによるシス,シス−ムコン酸の生体触媒を用いた製造は、例えば冒頭で引用した先行技術におけるグルコースの箇所に記載されている。本発明による方法で使用可能なムコン酸は、非再生可能な供給源に由来していてもよい。原則的に本発明による方法に適しているのは全てのムコン酸であって、どの再生可能な又は非再生可能な供給源に由来し、かつどの合成経路で製造されたかとは無関係である。有利には、本発明により使用可能なムコン酸は、再生可能な供給源に由来する。再生可能な供給源から取得された化合物、例えばムコン酸は、化石源、例えば石油から取得された化合物とは異なる14C対12C同位体比を有する。それに応じて、再生可能な供給源から取得された、有利には用いられるムコン酸は、有利には0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C対12C同位体比を有する。
“ムコン酸”との用語は、本発明に従って、ムコン酸の異なる異性体、すなわち、シス,シス−ムコン酸、シス,トランス−ムコン酸及びトランス,トランス−ムコン酸を任意の組成で含む。本発明による方法の出発材料として、ムコン酸の全ての異性体が適している。有利には、本発明による方法で用いられるムコン酸は、この用いられるムコン酸に含まれる全てのムコン酸異性体の全質量に対して少なくとも80質量%が、特に有利には少なくとも90質量%がシス,シス−ムコン酸から成る。
本発明の範囲内で“ムコン酸”との用語は、完全にプロトン化された、誘導化されていないムコン酸から実質的に成る出発材料を表す。有利には、水素化のために用いられるムコン酸は、少なくとも80質量%が、有利には少なくとも95質量%が、殊に少なくとも99質量%が、完全にプロトン化された、誘導体化されていないムコン酸から成る。
ムコン酸の本発明による水素化の場合、中間生成物及び副生成物が生じてよい。中間生成物は、水素化の影響をまだ受ける部分水素化されたジヒドロムコン酸である。副生成物は、例えば、用いられるムコン酸の一方の又は両方の二重結合への水の付加及び場合により引き続き起こるラクトン形成によって生じてよい。したがって、本発明による方法により得られたアジピン酸は、ジヒドロムコン酸の異性体、殊に2−ヘキセンジカルボン酸及び3−ヘキセンジカルボン酸、ムコン酸の飽和及び不飽和のモノラクトン及びジラクトン(III)、(IV)及び(V)の中から選択される少なくとも1種の中間生成物又は副生成物、並びにこれらの中間生成物又は副生成物の複数を含有する混合物を含んでよい。
Figure 2017504594
好ましくは、本発明による方法により得られた水素化生成物は、当該水素化生成物の全質量に対して最大で5質量%、特に有利には最大で2質量%の式III〜Vのラクトンを含有する。
含水液体Aは、水素化条件下で液相を形成する物質又は物質混合物である。液体Aは、水素化条件下で実質的に不活性であり、すなわち、それは実質的に水素化されない。それに応じて、含水液体Aは、好ましくはエチレン性不飽和二重結合を有さない。
液体Aは、好ましくは、生じる方法生成物のアジピン酸が、液体A中に水素化条件下で、当該液体Aの全質量に対して少なくとも1質量%、有利には少なくとも10質量%、特に有利には少なくとも20質量%の割合で溶解するように選択される。
本発明により、液体Aは水を含むか、又は液体Aは水から成る。有利には、液体Aは、当該液体Aの全質量に対してそれぞれ1〜100質量%、特に有利には10〜100質量5、殊に50〜100質量%の含水率を有する。極めて有利には、液体Aは、もっぱら水から成り、それに応じて液体Aは、極めて有利には、当該液体Aの全質量に対して95〜100質量%の範囲の含水率を有する。
含水液体Aは、特に有利にはもっぱら水である。しかし、含水液体Aは、水素化条件下で液状で存在する少なくとも1種の有機溶媒を含有してもよい。有利には、有機溶媒は水と少なくとも部分的に混和可能である。有利には、有機溶媒は、C1〜C6−カルボン酸、線状及び環状の脂肪族及び芳香族エーテル並びにそれらの混合物の中から選択される。有利なC1〜C6−カルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸及びそれらの混合物である。有利なエーテル含有溶媒の例は、モノ−C2〜C4−アルキレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル及びジ−C2〜C4−アルキレングリコール−C1〜C4−アルキルエーテル並びにC4〜C8−シクロアルキルエーテル、例えば非置換の又はC1〜C4−アルキル置換されたテトラヒドロフランである。特に有利なエーテルは、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1,3−プロパンジオールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、ジオキサン及びそれらの混合物である。
含水液体Aが少なくとも1種の有機溶媒を含有する場合には、有機溶媒の割合は、有利には、当該液体Aの全質量に対して1〜99質量%、有利には1〜90質量%、特に有利には1〜50質量%である。本発明による方法の有利な実施形態においては、液体A中での有機溶媒の割合は、当該液体Aの全質量に対して10質量%未満、特に有利には5質量%未満、殊に1質量%未満である。
ムコン酸は、水素化条件下で液体A中に少なくとも部分的に不溶性である。有利には、ムコン酸及び液体Aの混合物は、液体A中でのムコン酸の懸濁液である。
好ましくは、反応混合物は、当該反応混合物の全質量に対して水50質量%の最小含有率のときに、60℃で1〜6の範囲のpH値、有利には1〜5の範囲のpH値、特に有利には1〜4の範囲のpH値を有する。
好ましくは、液体Aは、当該液体Aの全質量に対して5〜100質量%、有利には30〜100質量%、特に有利には50〜100質量%、殊に65〜100質量%、とりわけ95〜100質量%の範囲の含水率を有する。
有利には、ムコン酸は、水素化条件下で、好ましくは最大で80g/L、特に有利には最大で50g/Lの液体Aへの溶解度を有する。
有利には、ムコン酸の懸濁液が用いられ、ここで、ムコン酸の固体含有率は、液体A及びムコン酸の全質量に対して少なくとも1質量%、有利には少なくとも10質量%、特に有利には少なくとも20質量%である。水素化条件下における液体Aへのムコン酸の溶解度は、当業者により、文献値から及び場合により簡単な実験によって突き止められることができる。
有利には、ムコン酸の水素化に際して得られるアジピン酸は、液体Aと一緒に反応ゾーンから排出される。そのために、アジピン酸が液体A中で一定の溶解度を有している場合に好ましい。好ましくは、本発明による方法では、アジピン酸が反応条件下で少なくとも50g/L、有利には少なくとも100g/Lの溶解度を有する液体Aが用いられる。
遷移金属触媒Kとして、本発明による方法では、原則的に、炭素−炭素二重結合の水素化のために当業者に公知のあらゆる遷移金属触媒が使用されることができる。一般に、遷移金属触媒Kは、IUPACに従った周期律表の第7族、第8族、第9族、第10族及び第11族の少なくとも1種の遷移金属を含む。好ましくは、遷移金属触媒Kは、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu及びAuの群からの少なくとも1種の遷移金属を含む。特に有利には、遷移金属触媒Kは、Re、Ru、Co、Rh、Ir及びNiの群からの少なくとも1種の遷移金属を有する。極めて有利には、遷移金属触媒Kは、Ni、Co及びRhの群からの少なくとも1種の遷移金属を有する。遷移金属触媒Kは、上述の遷移金属、殊に有利なものとして挙げた遷移金属を、一般に、担体に施与されたものとして、沈殿触媒として、ラネー触媒として又はそれらの混合物として含む。とりわけ、遷移金属触媒Kは、ラネーニッケル、ラネーコバルト、担体材料に担持されたロジウム、例えば炭素に担持されたロジウム、及びそれらの混合物の中から選択される。
本発明による遷移金属触媒Kのための不活性担体材料として、実際には、好ましくは担持触媒の製造に際して使用されるような先行技術のあらゆる担体材料、例えば炭素、SiO2(石英)、磁器、酸化マグネシウム、二酸化スズ、炭化ケイ素、TiO2(ルチル、アナターゼ)、Al2O3(アルミナ)、ケイ酸アルミニウム、ステアタイト(ケイ酸マグネシウム)、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸セリウム又はこれらの担体材料の混合物を用いてよい。有利な担体材料は、炭素、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素である。特に有利な担体材料は炭素である。二酸化ケイ素−担体材料として、起源及び製造が異なる二酸化ケイ素材料、例えば熱分解法により作製されたシリカ又は湿式化学的に製造されたシリカ、例えばシリカゲル、エーロゲル又は沈降シリカを触媒製造のために用いてよい(様々なSiO2出発材料の製造に関して:W.Buechner,R.Schliebs,G.Winter,K.H.Buechel:Industrielle Anorganische Chemie、第2版、第532頁〜第533頁、VCG Verlaggesellschaft,Weinheim 1986を参照されたい)。
遷移金属触媒Kは、成形体として、例えば球体形、リング形、円筒形、立方体形、直方体形又は他の幾何学体の形で用いられることができる。非担持触媒は、通常の方法に従って、例えば押出、タブレット化などによって成形されることができる。担持触媒の形状は、担体の形によって決められる。選択的に、担体は、触媒活性成分の施与前又は施与後に成形法に供されることができる。遷移金属触媒Kは、例えば、圧縮成形された円筒体形、タブレット形、ペレット形、車輪形、リング形、星形又は押出材、例えば中実押出材、多葉状押出材、中空押出材及びハニカム体又は他の幾何学体の形で用いられることができる。
触媒粒子は、一般的には、0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmの(最大)直径の平均値を有する。これらに含まれるのは、例えば、タブレット体の形の、例えば1〜7mm、好ましくは2〜6mmの直径及び3〜5mmの高さを有する遷移金属触媒K、リング体の形の、例えば外径4〜7mm、好ましくは5〜7mm、高さ2〜5mm及び孔径2〜3mmを有する遷移金属触媒K、又は例えば1.0〜5mmの直径を有する異なる長さの押出材の形の遷移金属触媒Kである。このような形状は、自体公知の方法により、タブレット化、圧出成形(Strangpressen)又は押出成形によって得られることができる。このために、触媒材料に、通常の助剤、例えば、滑剤、例えばグラファイト、ポリエチレンオキシド、セルロース若しくは脂肪酸(例えばステアリン酸)並びに/又は成形助剤及び補強剤、例えばガラス繊維、アスベスト又は炭化ケイ素を加えることができる。
遷移金属触媒Kは、水素化条件下で、均一系触媒としても不均一系触媒としても存在してよい。有利には遷移金属触媒Kは、水素化条件下で不均一系触媒として存在する。不均一系遷移金属触媒Kが使用される場合には、これは、例えばメッシュ状担体に施与されていてよい。選択的に又は付加的に、不均一系遷移金属触媒Kは、管状担体の内壁に施与されていてよく、その際、この管状担体を反応混合物が貫流する。ムコン酸は液体A中で実質的に固体として存在することから、ムコン酸の粒子により閉塞及び/又は損傷されない遷移金属触媒K及び/又は当該遷移金属触媒Kが施与されている担体の形態が有利である。選択的に又は付加的に、遷移金属触媒Kは、粒状固体として用いられることができる。有利な実施形態においては、遷移金属触媒Kは、液体A中に懸濁液の形で存在する。液状の反応排出物が反応ゾーンから取り出される場合には、懸濁された遷移金属触媒Kは、当業者に公知の滞留法(Rueckhalteverfahren)によって反応ゾーン中に保持されることができる。これらの滞留法は、有利には、クロスフロー濾過、重力濾過及び/又は例えば焼結された金属フリットとしての少なくとも1つの濾過材を用いた濾過を含む。
有利には、水素化は、20℃〜250℃の範囲の温度で、特に有利は30℃〜200℃の範囲の温度で、極めて有利には40℃〜150℃の範囲の温度で行われる。
本発明による水素化は、有利には、1〜300barの範囲、特に有利には1.5〜200barの範囲、極めて有利には2〜100barの範囲の絶対水素圧で実施される。
水素化のために用いられる水素は、1種以上の不活性希釈ガス、例えば窒素及び/又はアルゴンを含有してよい。有利には、水素化のために用いられる水素は、本質的に純粋な形で用いられ、すなわち、水素化のために用いられる水素は、水素化のために用いられるガスの全質量に対して、水素とは異なるガスを一般に10質量%未満、有利には5質量%未満で含有する。
反応ゾーン中での反応混合物の平均滞留時間は、一般に0.1時間〜48時間の範囲、有利には0.2時間〜24時間の範囲、特に有利には0.3時間〜10時間の範囲にある。
本発明による方法は、製造量に応じて、バッチ法、セミバッチ法として又は連続法として有意に実施されることができる。工業量(>100t)の製造に際しては、本発明による方法を連続的に行うことが有利である。
本発明による方法がバッチ法として実施される場合、一般に、ムコン酸、液体A及び遷移金属触媒Kを反応容器中に初めに装入し、かつ一度だけ水素を圧入して行う。本発明による方法がセミバッチ法として実施される場合、一般に、ムコン酸、液体A及び遷移金属触媒Kを反応容器中に初めに装入し、かつ連続的に水素を供給して行う。反応が起こった後、一般に、得られたアジピン酸溶液を反応容器から排出し、かつ場合により後処理に、好ましくは連続法のときの反応ゾーンから取り出される反応混合物の一部と同じ後処理に供する。遷移金属触媒Kは、場合により、上述の滞留装置及び/又は滞留法によって分離され、かつ好ましくは少なくとも1つの更なる本発明によるバッチ法又はセミバッチ法において用いられることができる。
本発明による方法は、有利には連続法として実施される。この場合、反応ゾーンに、連続的にムコン酸、液体A、水素及び場合により遷移金属触媒Kが供給され、かつアジピン酸含有反応混合物の少なくとも一部が連続的に取り出される。ムコン酸は、反応ゾーンに、有利には溶媒を添加せずに固体として又は懸濁液として供給される。ムコン酸が、これを溶媒抜きで固体として反応ゾーン中に導入されるべき場合には、空間的及び/又は時間的に液体Aの供給とは別個に反応ゾーン中に供給されることは自明である。ムコン酸が懸濁液として反応ゾーン中に導入されるべき場合には、反応ゾーンの上流に、好ましくは少なくとも1つの容器が設置されており、ここで、例えば撹拌又はポンプ循環させながらムコン酸の懸濁液が、好ましくは液体A中で製造される。遷移金属触媒Kが懸濁された形で用いられる場合には、遷移金属触媒懸濁液の製造は、ムコン酸の懸濁液の製造と一緒に少なくとも1つの上流に設置された反応容器中で実施されることができる。
本発明による方法の有利な実施形態においては、反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、かつ取り出された反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に供する。アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に適しているのは、当業者に大筋で知られている分離法、好ましくは結晶化法、蒸留法、吸着法、イオン交換法、膜分離法、抽出法又はこれらの方法の2つ以上の組合せの中から選択される方法である。特に有利には、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離は、アジピン酸を少なくとも部分的に結晶化するための単段法又は多段法を含む。結晶化は、有利には10〜80℃の温度で実施される。
好ましくは、アジピン酸が低減された分画は、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送される。有利な態様においては、反応ゾーンから取り出された反応混合物が少なくとも部分的にアジピン酸の結晶化に供され、かつアジピン酸が低減された(母液の)上澄みの少なくとも一部が反応ゾーン中に返送される。アジピン酸の結晶化は、多段階で行われることもできる。不純物の蓄積を回避するために、母液の一部を排出してよい。
更なる態様においては、均一系、つまり、液体に本質的に溶解した遷移金属触媒Kが使用され、これは母液と一緒に少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送される。この実施形態の更なる態様においては、均一系遷移金属触媒Kが、反応ゾーンから取り出された反応混合物の一部から、当業者に大筋で知られている抽出法によって回収される。回収された均一系遷移金属触媒Kの一部は、場合により反応ゾーン中に返送されることができる。
有利には、用いられるムコン酸は、再生可能な供給源に由来する。用いられるムコン酸の純度に応じて、これは遷移金属触媒Kにとって触媒毒として作用する物質をなお含有している可能性がある。これらは、例えば、硫黄、リン、窒素及び/又はハロゲンを含有する化合物であってよい。それゆえ、消費された遷移金属触媒Kを、未消費の、なお反応性の遷移金属触媒Kと連続的に交換する必要性があり得る。遷移金属触媒Kが、未消費の、なお反応性の遷移金属触媒Kと連続的に交換される場合には、本発明による方法において、液体A中で懸濁液として存在する遷移金属触媒Kが有利である。懸濁された遷移金属触媒Kが用いられ、かつ方法が連続法として実施される場合には、それに応じて、特に有利なのは、懸濁された遷移金属触媒Kの少なくとも一部が、反応ゾーンから、例えば濾過法によって、又は反応ゾーンから取り出された反応混合物の一部からの部分的な若しくは完全な除去によって、取り出された反応混合物の遷移金属触媒Kが低減された部分の返送を伴って若しくは伴わないで連続的に取り去られる本発明による方法の実施形態と、なお反応性の遷移金属触媒Kが反応ゾーンに連続的に供給される実施形態とである。反応ゾーンへの遷移金属触媒Kの連続的な供給は、固体の形で又は懸濁液の形で、有利には液体A中での懸濁液の形で行われることができる。
連続モードでの触媒空間速度は、1時間当たりの遷移金属触媒K 1kgに対しての、好ましくは0.01〜100kg、特に有利には0.1〜50kgの水素化されるべきムコン酸の量である。
水素対ムコン酸化合物のモル比は、好ましくは2:1〜20:1、特に有利には2:1〜3:1である。
本発明による方法の特別な実施態様においては、水素化は、n個の直列に(連続して)接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは、少なくとも2の整数である。nの適した値は、2、3、4、5、6、7、8、9及び10である。有利には、nは2〜6であり、殊に2又は3である。この実施態様においては、水素化は、有利には連続的に行われる。
水素化のために用いられる反応器は、互いに無関係に1つ以上の反応ゾーンを反応器内部に有してよい。反応器は、同じ又は異なる反応器であってよい。これらは、例えば、それぞれ同じ又は異なる混合特性を有していてよく、かつ/又は内部構造物によって一箇所以上で区切られていてよい。
水素化のための適した耐圧性反応器は、当業者に公知である。これらは、気−液反応用に一般的に用いられる反応器、例えば管型反応器、管束反応器、ガス循環式反応器、気泡塔、ループ型装置、撹拌槽(これは撹拌槽カスケードとして配置されていてもよい)、エアリフト反応器などを含む。
不均一系遷移金属触媒Kを使用した本発明による方法は、固定床モード又は懸濁モードで実施されることができる。ここで、固定床モードは、例えば液相モード又は細流モードで実施されることができる。ここで、遷移金属触媒Kは、前で記載しているように、好ましくは成形体として、例えば圧縮成形された円筒体形、タブレット形、ペレット形、車輪形、リング形、星形又は押出材、例えば中実押出材、多葉状押出材、中空押出材及びハニカム体などの形で用いられる。
固体含有混合物、例えばムコン酸懸濁液の水素化に固定床反応器は適していない。それらは、しかしながら本発明による方法において、例えば、均一な液相が供給される後反応器として用いられることができる。
懸濁モードの場合、同様に不均一系触媒が用いられる。その際、不均一系触媒は、たいてい微細に分散された状態で用いられ、かつ反応媒体中で微細に懸濁されて存在する。
適した不均一系触媒及びその製造法は、前で記載している。
固定床上での水素化の場合、内部空間に固定床が配置されている反応器が用いられ、そこを反応媒体が貫流する。その際、固定床は、単一の又は複数の充填層から形成されていてよい。その際、どの充填層も1つ以上のゾーンを有していてよく、ここで、当該ゾーンの少なくとも1つが水素化触媒として活性な材料を含有する。その際、どのゾーンも、1種以上の異なる触媒活性材料及び/又は1種以上の異なる不活性材料を有していてよい。異なるゾーンは、それぞれ同じ又は異なる組成を有してよい。例えば不活性充填層によって互いに分けられている複数の触媒活性ゾーンを準備することも可能である。個々のゾーンは、異なる触媒活性を有していてもよい。そのために、異なる触媒活性材料を用いること及び/又は当該ゾーンの少なくとも1つに不活性材料を混ぜることが可能である。固定床を貫流する反応媒体は、本発明により、少なくとも1つの液相、すなわち不活性液体Aを含有する。反応媒体は、付加的に気相を含んでいてもよい。
懸濁液中での水素化に際して用いられる反応器として、殊にループ型装置、例えばジェットループ又はプロペラループ、撹拌槽(これは撹拌槽カスケードとして配置されていてもよい)、気泡塔又はエアリフト反応器が用いられる。
所望されている場合、n個の反応器から成る水素化装置において、当該反応器の少なくとも2個(すなわち2個〜n個の反応器)は互いに異なる温度を有してよい。特別な実施態様においては、後接続されたどの反応器も、先行する反応器より高い温度で運転される。さらに、反応器のそれぞれは、異なる温度を有する2つ以上の反応ゾーンを有してよい。そのため、例えば、水素化に際して可能な限り完全な変換を達成するために、第二の反応ゾーンにおいて、第一の反応ゾーンにおける温度とは異なる、好ましくは、より高い温度を設定してよく、又は後続のどの反応ゾーンにおいても、先行する反応ゾーンにおける温度より高い温度を設定してよい。
所望されている場合、n個の反応器から成る水素化装置において、当該反応器の少なくとも2個(すなわち2個〜n個の反応器)は互いに異なる圧力を有してよい。特別な実施態様においては、後接続されたどの反応器も、先行する反応器より高い圧力で運転される。
水素化のために必要とされる水素は、第一の反応器中に及び場合により更に少なくとも1つの反応器中に供給されることができる。好ましくは、水素の供給は、第一の反応器中でのみ行われる。反応器に供給される水素の量は、水素化反応において消費される水素の量及び場合によりオフガスと共に排出される水素の量とから計算される。
それぞれの反応器中で変換されるムコン酸の割合は、例えば反応器体積及び/又は反応器中での滞留時間により調節されることができる。ムコン酸に関する第一の反応器中での変換率は、好ましくは少なくとも60%、特に有利には少なくとも70%である。ムコン酸に関するムコン酸の水素化に際しての全体の変換率は、好ましくは少なくとも97%、特に有利には少なくとも98%、殊に少なくとも99%である。
発熱水素化に際して生じる反応熱を排出するために、1つ以上の反応器に少なくとも1つの冷却装置が備わっていてよい。特別な実施態様においては、少なくとも第一の反応器に冷却装置が備わっている。反応熱の排出は、外部循環流の冷却によって又は内部冷却によって反応器の少なくとも1つの中で行われることができる。内部冷却のために、このために通常用いられる装置、一般的には中空モジュール、例えばフィールド管、管コイル、熱交換プレートなどを用いることが可能である。選択的に、反応は、冷却された管束反応器中でも行われることができる。
好ましくは、水素化は、n個の直列接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは、少なくとも2の整数であり、かつ少なくとも1つの反応器は、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有する(外部循環流、液体循環系、ループモード)。好ましくは、ここで、nは2又は3である。
有利には、水素化は、n個の直列接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは、好ましくは2又は3であり、かつ1番目〜(n−1)番目の反応器は、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有する。
有利には、水素化は、n個の直列接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは、好ましくは2又は3であり、そして反応は、n番目の反応器(水素化されるべき反応混合物が貫流する最後の反応器)中で断熱して実施される。
有利には、水素化は、n個の直列接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは、好ましくは2又は3であり、かつn番目の反応器はシングルパスで運転される。
反応器が“シングルパスで”運転される場合、これ以降、これは、反応器が反応生成物を返送せずにループモードに従って運転されることを意味するものとする。ここで、シングルパスにおける運転モードは、反応器中での逆混合内部構造物及び/又は撹拌装置を原則的に排除しない。
第一の反応器に後接続された反応器(すなわち2番目〜n番目の反応器)中で水素化される反応混合物が、反応に際して生じる発熱が所望の温度を反応器中で維持するのに十分ではないほどごく僅かな割合の水素化可能なムコン酸又は中間生成物しか有さない場合には、反応器(又は第二の反応器の個々の反応ゾーン)を加熱する必要もあり得る。これは、前で記載した反応熱の排出と同じように、外部循環流の加熱又は内部加熱によって行ってよい。適した実施態様においては、反応器の温度調節のために、先行する反応器の少なくとも1つからの反応熱を使用することができる。
さらに、反応混合物から取り出された反応熱を、反応器の供給流を加熱するために使用することができる。そのために、例えば、第一の反応器に供給されるムコン酸の流を、少なくとも部分的にこの反応器の外部循環流と混合し、かつ合一された流を、次いで第一の反応器中に導いてよい。さらに、m=2〜n個の反応器の場合、(m−1)番目の反応器からの供給流を、それからm番目の反応器中で当該m番目の反応器の循環流と混合し、かつ合一された流を、m番目の反応器中に導いてよい。さらに、ムコン酸の供給流及び/又は他の供給流は、取り出された水素化熱により運転される熱交換器を用いて加熱することができる。
本方法の特別な態様においては、n個の連続して接続された反応器から成る反応器カスケードが用いられ、その際、反応は、n番目の反応器中で断熱して実施される。この用語は、本発明の範囲内では、技術的な意味において理解され、物理化学的な意味においては理解されない。このように、反応混合物は、第二の反応器を貫流する際に発熱水素化反応に基づき一般に温度が上昇する。断熱的な反応操作とは、水素化に際して放出される熱量が反応混合物により反応器中で取り込まれ、かつ冷却装置による冷却が適用されない手法を意味する。したがって、反応熱は、自然な熱伝導及び熱放射によって反応器から周囲に放出される残留分は除き、反応混合物と共に第二の反応器から排出される。好ましくは、n番目の反応器はシングルパスで運転される。
有利な実施態様においては、水素化のために二段の反応器カスケードが用いられ、ここで、第一の水素化反応器は、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有する。本方法の特別な形態においては、2つの連続して接続された反応器から成る反応器カスケードが用いられ、ここで、反応は、第三の反応器中で断熱して実施される。
更なる有利な実施態様においては、水素化のために三段の反応器カスケードが用いられ、ここで、第一及び第二の水素化反応器は、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有する。本方法の特別な形態においては、3つの連続して接続された反応器から成る反応器カスケードが用いられ、ここで、反応は、第三の反応器中で断熱して実施される。断熱的な反応操作とは、水素化に際して放出される熱量が反応混合物により反応器中で取り込まれ、かつ冷却装置による冷却が適用されない手法を意味する。
1つの実施形態においては、用いられる反応器の少なくとも1つおいて付加的な混合を行ってよい。付加的な混合は、殊に水素化が反応混合物の長い滞留時間で行われるときに好ましい。混合のために、例えば反応器中に導入される流を、これらを適した混合装置、例えばノズルにより、それぞれの反応器中に導入することによって用いることができる。混合のために、外部循環に導かれるそれぞれの反応器からの流も用いることができる。
水素化を完了するために、まだ水素化可能なムコン酸及び/又は中間生成物を含有する排出物が1番目〜(n−1)番目の反応器からそれぞれ取り出され、かつそのつど後接続された水素化反応器中に送り込まれる。特別な実施態様においては、この排出物は、第一と第二の部分流とに分けられ、ここで、第一の部分流は、循環流として反応器(ここから当該部分流が取り出されていた)に再び供給され、かつ第二の部分流は、後接続された反応器に供給される。排出物は、溶解された又はガス状の成分の水素を含有してよい。特別な実施態様においては、1番目〜(n−1)番目の反応器からの排出物は、相分離容器に供給され、液相と気相とに分離され、液相は、第一と第二の部分流とに分けられ、かつ気相は、少なくとも部分的に後続反応器に別個に供給される。選択的な実施態様においては、1番目〜(n−1)番目の反応器からの排出物は、相分離容器に供給され、かつ水素が低減された第一の液状の部分流と、水素が富化された第二の部分流とに分けられる。それから第一の部分流は、循環流として反応器(ここから当該部分流が取り出されていた)に再び供給され、かつ第二の部分流は、後続反応器に(ムコン酸化合物−M−及び水素を含有するフィードとして)供給される。更なる選択的な実施態様においては、2番目〜n番目の反応器に、水素が、前接続された反応器から取り出された水素含有フィードを介して入れられるのではなく、新たな水素が、別個の供給管を介して入れられる。
前で記載した方法の変形例は、特に好ましくは、反応温度と、並びに反応媒体、境界をなす装置壁、周囲の間での熱伝達とを制御するために適している。熱収支を制御するための更なる手段が、ムコン酸のフィードの入口温度を制御することである。例えば、流入してくるフィードの温度が比較的低いと、一般に水素化熱の排出が改善されることになる。触媒活性が弱まったら、より高い反応速度を達成し、ひいては弱まっている触媒活性を補償するために、入口温度をより高く選択してよい。好ましくは、このようにして、用いられる遷移金属触媒Kの可使時間を一般に延ばすことができる。
1,6−ヘキサンジオール
そのほかに、本発明は、1,6−ヘキサンジオールを、
a)前で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、水素化触媒の存在下で水素化に供して1,6−ヘキサンジオールを得る工程と、
を行って製造する方法に関する。
本発明による方法は、特に天然原料源からの1,6−ヘキサンジオールの製造に適している。完全に天然原料源から製造された1,6−ヘキサンジオールは、一般に0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C/12C同位体比を有する。
1,6−ヘキサンジオールへのアジピン酸の水素化は、原則的に公知である。これは、有利には液相中で行われる。その際、水素化は、外部溶媒を添加せずに又は外部溶媒の存在下で行われることができる。適した外部溶媒は、好ましくは、水、脂肪族C1〜C5−アルコール(殊にメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノール及びt−ブタノールから選択される)、脂肪族C2〜C6−α,ω−ジオール(すなわち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール又は1,6−ヘキサンジオール)、エーテル(殊にテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びメチル−t−ブチルエーテルから選択される)並びにそれらの混合物の中から選択されている。有利なのは、脂肪族C1〜C5−アルコール、水及びこれらの溶媒の混合物である。特に有利なのは、メタノール、n−ブタノール、イソブタノール、水及びこれらの溶媒の混合物である。さらに、目標生成物の1,6−ヘキサンジオールを溶媒として使用することが有利である。ここで、1,6−ヘキサンジオールをそれ単独で又はアルコール及び/若しくは水との混合物において用いることができる。
工程b)における接触水素化のために、10〜60質量%、特に有利には20〜50質量%、極めて有利には30〜50質量%のアジピン酸を含有する溶液を用いることが有利である。
好ましくは、工程b)で用いられる水素化触媒は、還元された触媒の全質量に対して少なくとも50質量%の、レニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル及び銅の中から選択される元素を含む。
工程b)での本発明による水素化のために、有利には、還元された触媒の全質量に対して少なくとも50質量%のコバルト並びに少なくとも0.1質量%のルテニウム及び/又は少なくとも0.1質量%のレニウムを含む触媒が使用される。さらに、少なくとも50質量%のコバルトを含む触媒が、殊にリン酸及び更なる遷移金属、例えば銅、マンガン及び/又はモリブデンを含んでよい。
適した助触媒前駆体の製造は、DE2321101から公知である。これは、還元されていない、焼成された状態で、コバルト40〜60質量%(Coとして計算)、銅13〜17質量%(Cuとして計算)、マンガン3〜8質量%(Mnとして計算)、リン酸塩0.1〜5質量%(H3PO4として計算)及びモリブデン0.5〜5質量%(MoO3として計算)を含む。EP636409B1は、55〜98質量%がコバルトから、0.2〜15質量%がリンから、0.2〜15質量%がマンガンから、かつ0.2〜15質量%がアルカリ金属(酸化物として計算)から成る更なる適したコバルト触媒前駆体の製造を記載している。このような触媒前駆体は、水素又は水素と不活性ガス、例えば窒素の混合物による処理によって、金属コバルトを含有する活性触媒へと還元されることができる。これらの触媒は、極めて大部分が金属から成っていて触媒担体を含まない非担持触媒である。
触媒として、原則的に、カルボニル基の水素化のために適した全ての均一系及び不均一系触媒、例えば金属、金属酸化物、金属化合物又はそれらの混合物が考慮される。均一系触媒の例は、例えばHouben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,volume IV/1c,Georg Thieme Verlag Stuttgart,1980の第45頁〜第67頁中に記載されており、かつ不均一系触媒の例は、例えばHouben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,volume IV/1cの第16頁〜第26頁に記載されている。
有利には、元素の周期律表(IUPAC)の第3族及び第6族〜第11族からの1種以上の元素、有利には銅、クロム、モリブデン、マンガン、レニウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル又はパラジウム、特に有利には銅、コバルト又はレニウムを含む触媒が使用される。
触媒は、活性成分のみから成っていてよいか、又はそれらの活性成分が、担体に施与されていてよい。担体材料として、殊にCr2O3、Al2O3、SiO2及びZrO2又はそれらの混合物が適している。
特に有利なのは、EP0552463A1に記載されているような触媒である。これらは、酸化物の形で、次の組成:
CuaAlbZrcMndOx
[ここで、a>0、b>0、c≧0、d>0、a>b/2、b>a/4、a>c及びa>dが適用され、かつxは、化学式単位当たりの電子中性を維持するために必要な酸素イオンの数を表す]を有する触媒である。これらの触媒の製造は、例えばEP552463A1の記載によれば、相応する金属イオンをその塩の形で含む溶液からの難溶性化合物の沈殿によって行われることができる。適した塩は、例えばハロゲン化物、硫酸塩及び硝酸塩である。沈殿剤として、熱処理によって酸化物に変換されることができる不溶性の中間体の形成をもたらす全ての試剤が適している。特に適した中間体は、水酸化物及び炭酸塩又は炭酸水素塩であり、そのため特に有利な沈殿剤としてアルカリ金属炭酸塩又は炭酸アンモニウムが用いられる。中間体の熱処理は500℃〜1000℃の範囲の温度で行われる。かかる触媒のBET表面積は10〜150m2/gである。
さらに、50〜120m2/gのBET表面積を有し、完全に又は部分的にスピネル構造を持つ結晶を含み、かつ銅を酸化銅の形態で含む触媒が適している。
WO2004/085356A1も、本発明による方法に適した銅触媒を記載しており、当該触媒は、酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン又はジルコニウムの酸化物の少なくとも1種並びに付加的に粉末状の金属銅、銅フレーク、粉末状セメント、グラファイト又はそれらの混合物を含む。
工程b)における1,6−ヘキサンジオールへのアジピン酸の水素化は、有利には、160〜240℃、特に有利には170〜230℃、極めて有利には170〜220℃の範囲にある温度で行われる。
1,6−ヘキサンジオールをムコン酸から製造する本発明による方法の有利な実施形態においては、工程a)におけるムコン酸の水素化が第一のループ型反応器中で行われ、かつ工程b)における工程a)で得られたアジピン酸の水素化が第二のループ型反応器中で行われる。好ましくは、工程b)で得られた水素化生成物は、シングルパスで運転される後続の管型反応器中で後水素化される。
ループ型反応器とは、反応器の内容物が循環させられる反応器を意味する。フィードは、反応器の貫流後に、例えば熱交換器といった冷却装置中で冷却され、冷却された流の部分流が反応器中に返送され、かつ残留流が次の方法段階に導かれる。ここで、循環は、内部循環又は外部循環であってよい。好ましくは、外部循環流は、例えば熱交換器といった冷却装置中で冷却されることができる。熱交換器として、プレート式、管束式又は二重管式熱交換器が有利である。反応熱を排出することによって、発熱水素化に際しての反応器中での温度上昇をコントロールすることができる。ループ型反応器中での平均滞留時間は、有利には0.1〜10時間、特に有利には0.2〜4時間である。
本発明による方法の更なる有利な実施形態においては、工程a)及びb)は同じループ型反応器中で行われ、ここで、このループ型反応器中には、異なる温度で2つの反応ゾーンが存在する。有利には、この実施形態においては、シングルパスで運転される管型反応器が続き、ここで、工程b)で得られた水素化生成物が後水素化される。
有利には、ループ型反応器中での水素化は、液相モード又は細流モードで行われる。
溶媒として水中でのアジピン酸の水素化に際して得られる反応排出物は、1,6−ヘキサンジオール水溶液である。水素化排出物の冷却及び減圧後に、水が一般に蒸留により除去され、かつ1,6−ヘキサンジオールが高い純度(>97%)で得られることができる。
ヘキサメチレンジアミン
そのほかに、本発明は、ヘキサメチレンジアミンを、
a)前とこれ以降で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
を行って製造する方法に関する。
方法工程a)及びb)に関しては、これらの工程に関する前出の実施態様が全面的に参照される。
工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールは、工程c)において、好ましくはアミノ化触媒の存在下でアンモニアと反応されてヘキサメチレンジアミンが形成される。
本発明による方法において合成されたヘキサメチレンジアミンは、一般に0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C/12C同位体比を有する。
本発明によるアミノ化は、水素を供給せずに、有利にはしかし水素を供給して実施されることができる。
触媒として、本発明の一つの実施形態においては、好ましくは、主としてコバルト、銀、ニッケル、銅若しくはルテニウム又はこれらの金属の混合物が使用される。ここで“主として”とは、これらの金属の1つが触媒中に(担体なしで計算)50質量%より多く含まれていることを意味する。触媒は、非担持触媒として、つまり、触媒担体なしで、又は担持触媒として使用されることができる。担体として、好ましくはSiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、活性炭、ケイ酸塩及び/又はゼオライトが使用される。上述の触媒は、有利には固定床触媒として使用される。コバルト、ニッケル及び/又は銅をラネー型の懸濁触媒の形で用いることも可能である。
本発明の1つの実施形態においては、1,6−ヘキサンジオールのアミノ化は均一相で行われ、かつ触媒は、周期律表(IUPAC)の第8族、第9族及び第10族から選択される少なくとも1種の元素並びに少なくとも1つのドナー配位子を含む錯体触媒である。かかる触媒は、例えばWO2012/119929A1から公知である。
アミノ化は、有利には、100〜250℃、特に有利には120〜230℃、極めて有利には100〜210℃の温度で行われる。
全圧は、有利には、5〜30MPa、特に有利には7〜27MPa、極めて有利には10〜25MPaの範囲にある。
1,6−ヘキサンジオール対アンモニアのモル比は、有利には1:30、特に有利には1:25、極めて有利には1:20である。
アミノ化は、溶媒不含で行われることができる。しかしながら有利には、これは少なくとも1種の溶媒の存在下で実施される。溶媒として、水、エーテル又はこれらの溶媒の混合物が有利であり、ここで、エーテルは、特に有利には、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジブチルエーテル及びメチル−t−ブチルエーテルの中から選択されている。
本発明による方法の有利な実施形態においては、ムコン酸の水素化に際して発生する1,6−ヘキサンジオール水溶液は、後処理なしでアミノ化工程において用いられる。
特に有利な実施形態においては、アミノ化は、溶媒としてヘキサメチレンイミン又はヘキサメチレンイミン/水−混合物の存在下で実施される。
溶媒の量は、好ましくは、5〜80質量%の、有利には10〜70質量%の、特に有利には15〜60質量%の1,6−ヘキサンジオール溶液が生じるように決められる。
1,6−ヘキサンジオール1モル当たり、有利には10〜150リットル、特に有利には10〜100リットルの水素が供給される。
水素分圧は、有利には、1〜40MPa、特に有利には5〜30MPa、極めて有利には10〜25MPaの範囲にある。
本発明の実施形態においては、第一の部分工程c1)においてアンモニアによる1,6−ヘキサンジオールのアミノ化が行われて、1−アミノ−6−ヒドロキシヘキサンとヘキサメチレンジアミンとの、50質量%超の1−アミノ−6−ヒドロキシヘキサンを含む混合物が形成される。これは、部分工程c2)においてヘキサメチレンジアミンと一緒に、変換されなかった1,6−ヘキサンジオールから分離され、かつ部分工程c3)において更なるアンモニアと反応されてヘキサメチレンジアミンが形成される。
アミノ化は、不連続的に又は連続的に、液相又は気相中で実施されることができ、ここで、連続的な方法操作が有利である。
なお1−アミノ−6−ヒドロキシヘキサンを含有するヘキサメチレンジアミン目標生成物の後処理は、好ましくは蒸留により行われる。1−アミノ−6−ヒドロキシヘキサン及びヘキサメチレンジアミンは非常に似た蒸気圧を有していることから、純粋なヘキサメチレンジアミンが排出される。1−アミノ−6−ヒドロキシヘキサンとヘキサメチレンジアミンとの混合物は、蒸留段階に返送される。
ポリアミド66
そのほかに、本発明は、ポリアミド66を、
a)前とこれ以降で定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
d)工程c)で得られたヘキサメチレンジアミンをアジピン酸との重縮合に供してポリアミド66を得る工程と、
を行って製造する方法に関する。
ポリアミド66(ナイロン、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド)の製造法は、原則的に当業者に公知である。ポリアミド66の製造は、主として、いわゆるAH−塩溶液、すなわち、アジピン酸及び1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)を化学量論量で含有する水溶液の重縮合によって行われる。ポリアミド66の慣用の製造法が、例えばKunstostoffhandbuch,3/4 Technische Thermoplast:Polyamide,Carl Hanser Verlag,1998,Muenchenの第42頁〜第71頁に記載されている。殊にHans−Georg Elias,Makromolekuele,4th editionの第796頁〜第797頁,Huethig−Verlag(1981)から公知である規定に従って処理することもできる。ここで、前述の文献は、参照をもって完全に引用される。
ポリアミド66の本発明による製造は、好ましくは、
d1)アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンを約1:1のモル比で反応させて、アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム(AH−塩)を形成する工程と、
d2)アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウムを変換してポリアミド66を形成する工程と、
を含む。
工程d2)におけるポリアミド66へのアジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウムの変換は、殊に水の存在下で、最大280℃、特に有利には最大275℃の温度にて行われる。
本発明による方法は、天然原料源からのポリアミド66の部分的な又は完全な製造に特に適している。したがって、本発明の更なる観点は、天然ムコン酸源からのアジピン酸、ヘキサメチレンジアミン及びそれらより製造されるポリアミド66の生態学的及び経済的に改善された提供である。完全に天然原料源から製造されたポリアミド66は、一般に0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C/12C同位体比を有する。
ポリアミド66を製造するための有利な実施形態においては、工程a)〜c)を含む本発明による方法に従って製造されたヘキサメチレンジアミンが、本発明による方法の工程a)に従って製造されたアジピン酸と重縮合されてポリアミド66が形成される。
以下の例は、本発明を詳述するのに用いられ、本発明を制限するものと理解されるべきではない。
例:
使用される供給材料:
シス,シス−ムコン酸(Aldrich社)
水
水素
ラネーニッケル
ラネーコバルト
炭素に担持されたロジウム2%
例1〜3の試験規定:
Figure 2017504594
シス,シス−ムコン酸24g、水56g及び表1に記される遷移金属触媒K 1gから懸濁液を製造し、かつ当該懸濁液を1.4571ステンレス鋼製の300mL撹拌オートクレーブ中に入れた。30barの水素を圧入し、撹拌機を始動させ(700rpm)、かつ混合物を20分間にわたって80℃に加熱した。混合物が80℃に加熱された後、水素圧を100barに高め、かつこの水素圧を、更に水素を計量供給することによって反応時間のあいだ一定に保った。12時間の反応時間後、反応混合物を約60℃に冷却し、圧力を標準圧力に下げ、かつ反応混合物から触媒を濾過分離した。濾液を1H−NMR−分光法によって調べた。1H−NMR−分光法によって、アジピン酸の収率、変換されなかったシス,シス−ムコン酸の量及び形成された副生成物(式III、IV及びVの化合物)の量を測定した。
例4:
2%Rh/C触媒15gを水150mL中に懸濁し、かつ当該懸濁液を250mL反応器中に加えた。懸濁液を撹拌し(700rpm)、かつ80℃(反応器内部温度)に加熱した。この温度を、反応器に取り付けられた温度制御装置によって反応時間にわたり一定に保った。シス,シス−ムコン酸の33質量%の水中懸濁液30g/時間及び水素ガス50標準リットル/時間を反応器中に連続的に導入した。同時に、連続的に液体及び過剰のガスを反応器から導出し、その際、液体の体積及び圧力(約50bar)を反応器中で一定に保った。反応器は、排出口の上流に金属焼結フリット(孔径5マイクロメートル)を有し、それによって、懸濁された触媒粒子及びムコン酸粒子を反応器中で保持した。排出口の下流には、排出ラインが存在していた。排出ラインはバルブを有し、当該バルブにより、排出された反応混合物と排出されたガスの混合物を80℃で周囲圧力に減圧した。60℃で測定した反応溶液のpH値は、約3であった。全体では、シス,シス−ムコン酸懸濁液の約5kgを反応器中で変換した。排出された液体を、1H−NMR−分光法によって調べた。1H−NMR−分析によれば、排出された液体は、水の除去後に、アジピン酸96質量%、ムコン酸0.5質量%、ジヒドムコン酸2質量%及びラクトンI 1質量%を含有していた。引き続き、排出された液体を結晶化によって精製するか又は後水素化を、引き続き行われる結晶化と共に実施した。
結晶化:
反応器から排出された液体を、結晶化によって精製した。このために、排出された液体1kgを60℃から徐々に20℃へと冷却し、その際、アジピン酸が晶出した。結晶を濾過分離し、かつ乾燥した。約300gのアジピン酸を99.85%の純度で得た。このようにして得られたアジピン酸を水600g中に溶解し、溶液を80℃に加熱し、かつ溶液を徐々に20℃に冷却し、その際、アジピン酸が晶出した。結晶を濾過分離し、かつ乾燥した。約270gのアジピン酸を99.92%の純度で得た。母液を、そのつど水素化に返送した。
後水素化及び結晶化:
反応器から排出された液体を後水素化し、かつ結晶化によって精製した。排出された液体4kgをトリクルベッド反応器中で50barの水素圧にて200mgの2%Rh/C上で150℃にて後水素化した。その際、当該トリクルベッド反応器に、排出された液体50g/時間及び水素ガス20標準リットル/時間を供給した。トリクルベッド反応器中からの反応排出物中には、1H−NMR−分析によりエチレン性不飽和化合物はもはや検出され得なかった。トリクルベッド反応器中から排出された液体を80℃に加熱し、かつ液体を徐々に20℃に冷却し、その際、アジピン酸が晶出した。結晶を濾過分離し、かつ乾燥した。約310gのアジピン酸を99.95%の純度で得た。

Claims (23)

  1. アジピン酸、又は1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミン及びポリアミド66から選択される当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物を製造する方法であって、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の不均一系遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸が、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性であり、かつ遷移金属触媒Kが、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Fe、Pd、Pt、Cu及びAuから選択される少なくとも1種の遷移金属を有する、前記方法。
  2. 反応混合物が、当該反応混合物の全質量に対して水50質量%の最小含有率のときに、60℃で1〜6の範囲のpH値、有利には1〜5の範囲のpH値、特に有利には1〜4の範囲のpH値を有する、請求項1記載の方法。
  3. 液体Aが、当該液体Aの全質量に対して5〜100質量%、有利には30〜100質量%、特に有利には50〜100質量%、殊に65〜100質量%、とりわけ95〜100質量%の範囲の含水率を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 水素化を連続的に実施する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. ムコン酸が、水素化条件下で最大で50g/Lの液体Aへの溶解度を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. ムコン酸が、水素化に際して少なくとも部分的に液体A中に懸濁された粒子の形で存在する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 水素化のために、アジピン酸が反応条件下で少なくとも100g/L、有利には少なくとも200g/Lの溶解度を有する液体Aを用いる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. ムコン酸が再生可能な供給源に由来し、ここで、当該ムコン酸の製造を、好ましくは、少なくとも1種の再生原料からの生体触媒合成によって行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 0.5×10-12〜5×10-12の範囲の14C/12C同位体比を有するムコン酸を用いる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 遷移金属触媒Kが、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu及びAuから選択される、殊にRu、Co、Rh、Ir、Niから選択される、とりわけNi、Co及びRhから選択される少なくとも1種の遷移金属を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 遷移金属触媒Kが、金属ニッケル、金属コバルト、金属ロジウム又はこれらの金属の少なくとも2種の混合物を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 遷移金属触媒Kが、ラネーニッケル、ラネーコバルト、担体材料に担持されたロジウム及びそれらの混合物から選択されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、取り出された当該反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に供し、かつ場合により当該アジピン酸が低減された分画を、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 反応ゾーンから取り出された反応混合物を、アジピン酸の結晶化に供し、かつ母液の少なくとも一部を反応ゾーン中に返送する、請求項13記載の方法。
  15. アジピン酸、又は1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジアミン及びポリアミド66から選択される当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物を製造する方法であって、ここで、反応ゾーンにおいて、ムコン酸を少なくとも1種の不均一系遷移金属触媒K及び含水液体Aの存在下に水素で水素化し、ここで、ムコン酸が、液体A中に水素化条件下で少なくとも部分的に不溶性であり、そして
    − 液体Aは、当該液体Aの全質量に対して95〜100質量%の範囲の含水率を有し、
    − 遷移金属触媒Kは、金属ニッケル、金属コバルト、金属ロジウム又はこれらの金属の少なくとも2種の混合物を含み、かつ
    − 反応混合物の少なくとも一部を反応ゾーンから取り出し、取り出された当該反応混合物を、アジピン酸が富化された分画と、アジピン酸が低減された分画とへの分離に供し、当該アジピン酸が低減された分画を、少なくとも部分的に反応ゾーン中に返送する、前記方法。
  16. 水素化を、20℃〜250℃、有利には40℃〜150℃の範囲の温度で実施する、請求項1から15までのいずれか1つに記載の方法。
  17. 反応を、1〜300bar、有利には2〜100barの範囲の絶対水素圧で実施する、請求項1から16までのいずれか1つに記載の方法。
  18. 水素化を、n個の直列接続された水素化反応器中で実施し、ここで、nは、少なくとも2の整数であり、かつ1番目〜(n−1)番目の反応器が、外部循環に導かれる反応ゾーンからの流を有しており、そして水素化をn番目の反応器中で断熱して実施する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. 1,6−ヘキサンジオールの製造法であって、
    a)請求項1、10、11又は12のいずれか1項において定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
    b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供する工程と、
    を行う、前記方法。
  20. 工程b)で用いられる水素化触媒が、還元された触媒の全質量に対して少なくとも50質量%の、レニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル及び銅から選択される元素を含む、請求項19記載の方法。
  21. ヘキサメチレンジアミンの製造法であって、
    a)請求項1、10、11又は12のいずれか1項において定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
    b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
    c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
    を行う、前記方法。
  22. ポリアミド66の製造法であって、
    a)請求項1、10、11又は12のいずれか1項において定義されているように、ムコン酸を、含水液体A及び少なくとも1種の遷移金属触媒Kの存在下で水素による水素化に供し、ここで、アジピン酸を得る工程と、
    b)工程a)で得られたアジピン酸を、少なくとも1種の水素化触媒の存在下で水素との反応に供して1,6−ヘキサンジオールを形成する工程と、
    c)工程b)で得られた1,6−ヘキサンジオールを、アミノ化触媒の存在下でアンモニアによるアミノ化に供してヘキサメチレンジアミンを得る工程と、
    d)工程c)で得られたヘキサメチレンジアミンをアジピン酸との重縮合に供してポリアミド66を得る工程と、
    を行う、前記方法。
  23. 工程d)で用いられるアジピン酸を、少なくとも部分的に請求項1から18までのいずれか1項記載の方法に従って製造する、請求項22記載の方法。
JP2016539064A 2013-12-13 2014-12-12 アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法 Pending JP2017504594A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP13197159.0 2013-12-13
EP13197159.0A EP2883857A1 (de) 2013-12-13 2013-12-13 Verfahren zur Herstellung von Adipinsäure oder wenigstens einem Folgeprodukt davon
PCT/EP2014/077598 WO2015086827A1 (de) 2013-12-13 2014-12-12 Verfahren zur herstellung von adipinsäure oder wenigstens einem folgeprodukt davon

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017504594A true JP2017504594A (ja) 2017-02-09

Family

ID=49816824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016539064A Pending JP2017504594A (ja) 2013-12-13 2014-12-12 アジピン酸又は当該アジピン酸の少なくとも1種の反応生成物の製造法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20160311746A1 (ja)
EP (2) EP2883857A1 (ja)
JP (1) JP2017504594A (ja)
WO (1) WO2015086827A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021014427A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法
JP2021014429A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法
JP2022112396A (ja) * 2021-01-21 2022-08-02 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018094145A1 (en) * 2016-11-18 2018-05-24 Alliance For Sustainable Energy, Llc Catalysts, systems, and methods for the conversion of biomass to chemicals
KR20250027572A (ko) 2022-06-30 2025-02-26 코베스트로 도이칠란트 아게 수성 모액으로부터 유기 산을 수득하는 방법
KR20240034394A (ko) 2022-09-07 2024-03-14 현대자동차주식회사 아디프산의 제조방법
CN118287080B (zh) * 2024-06-06 2024-09-17 北京化工大学 一种生物基己二酸的制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4968612A (en) * 1984-07-27 1990-11-06 Celgene Corporation Continuous fermentation process for aromatic hydrocarbon bioconversion
WO2012170060A1 (en) * 2011-06-10 2012-12-13 Bioamber S.A.S. Processes for producing hexanediol (hdo), hexamethylenediamine (hmd), and derivatives thereof

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021014427A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法
JP2021014429A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法
JP2022112396A (ja) * 2021-01-21 2022-08-02 旭化成株式会社 ヘキサメチレンジアミンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015086827A1 (de) 2015-06-18
US20160311746A1 (en) 2016-10-27
EP3080062A1 (de) 2016-10-19
EP2883857A1 (de) 2015-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017502949A (ja) ヘキサメチレンジアミンの製造方法
US8759594B2 (en) Method for producing 1,6-hexanediol by hydrogenation of oligo- and polyesters
JP2017502128A (ja) ポリアミド66の製造方法
CN102388009B (zh) 生产1,6-己二醇的方法
CN107001197B (zh) 由hmf生产bhmf、bhmthf、hdo和hto的方法
US9663426B2 (en) Composite metal catalyst composition, and method and apparatus for preparing 1,4-cyclohexanedimethanol using same
JP5566450B2 (ja) 1,6−ヘキサンジオールおよびカプロラクトンの製造方法
US20160311746A1 (en) Method of producing adipic acid or at least a resultant product thereof
CN101265158B (zh) 一种生产1,6-己二醇的方法
JPH01299239A (ja) ネオペンチルグリコールの製造方法
US6403844B1 (en) Condensed phase catalytic hydrogenation of lactic acid to propylene glycol
CN107721821B (zh) 一种制备1,3-丙二醇的方法
CN101891592B (zh) 一种制备1,4-丁二醇并联产四氢呋喃和γ-丁内酯的方法
US10450252B2 (en) Method for hydrogenating carboxylic acids in order to form alcohols
CN107848921B (zh) 用于生产单乙二醇的方法
JP2000080053A (ja) シクロアルキルジメタノ―ルの製造方法
KR102273086B1 (ko) 2,3-부탄다이올을 제조하기 위한 방법
CN116789555A (zh) 一种糠醛为原料连续制备5-氨基-1-戊醇、1-氨基-2-戊醇、1,5-戊二胺的方法
JP2017504592A (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造方法
JPH1045645A (ja) 1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法
WO2012008894A1 (en) Production of 1,6-hexanediol
CN120040293A (zh) 一种连续催化合成1,2-环己二胺的方法
CN110963887A (zh) 1,6-己二酸直接制备1,6-己二醇固定床反应工艺
JP2005272373A (ja) 4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A529

Effective date: 20160812