JP2018013380A - 振動解析方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動の解析をより詳細に行うことができる振動解析方法および装置を提供する。【解決手段】振動解析装置10は、振動データをフーリエ変換した後に特異値分解することによって特異値と周波数との関係を求めるとともに、求めた関係に基づいて特異値と周波数が特定された際、特定された周波数における右特異値行列から特定された特異値の成分を抽出して測定点の振動データに掛けた後、逆フーリエ変換処理を行うことによって、測定点での方向ベクトルを算出する。【選択図】図1

Description

本発明は振動解析方法および装置に係り、特に車両内の音響を解析する方法と装置に関する。
走行中の車両は、エンジンやロードノイズを要因とする様々な振動が発生しており、その振動が車室内に音として伝達している。車室内の音が大きくなると不快に感じるので、振動が車室内へ伝達することをいかに抑制するかが、乗り心地の点で重要になる。
そこで、車両の開発段階では、車両の様々な位置で振動(または音)を計測し、そのデータを解析することによって、どの部位がどのように振動に影響するかを判断している。このような振動の解析方法としては、伝達経路解析(TPA)が知られている。これは、音源位置から受音位置までの様々な経路について伝達特性を求め、振動の原因となる部位を同定(寄与解析)する方法である(たとえば特許文献1、特許文献2参照)。この手法を用いれば、周波数ごとに振動の影響の大きい部位を特定することができる。
特許第5493373号 特開平11−94642
しかしながら、従来の解析方法では、周波数ごとに振動の影響を把握できるものの、それ以上の解析が十分にできず、振動の改善に繋がらないという問題があった。たとえば、従来の方法では、特定の振動がどの方向に振動しているか分からず、さらには、全体としてどのように変形しているかが分からないという問題があった。
さらに、従来の方法では、振動の過渡特性が分からないという問題もあった。具体的に説明すると、従来の方法で周波数解析を行った場合、所定の時間間隔(たとえば10秒間)の振動データを用いて処理を行っており、その結果は10秒間の平均値での振動特性でしかない。このため、振動が時間的にどう変化しているかという過渡特性は分からないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、振動の解析をより詳細に行うことができる振動解析方法および装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、複数の測定点で得られた複数の測定回分の振動データを用いて振動を解析する振動解析方法であって、前記振動データをフーリエ変換するステップと、フーリエ変換した結果に基づいて前記測定回数と前記測定点の行列を周波数毎に作成して特異値分解を行うことによって特異値と周波数との関係を求めるステップと、前記特異値と周波数との関係から特定された特異値と周波数に基づいて、前記特異値分解での右行列から方向成分を抽出し、該方向成分を前記行列に掛けた後、逆フーリエ変換を行うステップと、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は前記目的を達成するために、複数の測定点で得られた複数の測定回分の振動データを用いて振動を解析する振動解析装置であって、前記振動データをフーリエ変換した後、周波数毎に前記測定回数と前記測定点の行列に作成して特異値分解を行うことによって特異値と周波数との関係を求めるとともに、前記特異値と周波数との関係から特定された特異値と周波数に基づいて、前記特異値分解での右行列から方向成分を抽出し、該方向成分を前記行列に掛けた後、逆フーリエ変換を行う演算手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、複数の測定点と複数の測定回分の振動データを用いてフーリエ変換処理と特異値分解処理を行い、特異値と周波数との関係を求めるようにしたので、特徴の顕著な振動を特定することが可能となる。また、本発明によれば、抽出した方向成分を振動データの行列に掛けるようにしたので、抽出した方向の振動を求めることができ、さらに逆フーリエ変換を行うようにしたので、振動が経時的にどのように変化しているかを求めることができる。
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、演算手段は、予め入力された前記測定点の位置情報に基づいて、振動の状況を3次元的に表示させることを特徴とする。本発明によれば、振動を3次元的に表示できるので、振動の挙動を一目で把握することができる。
本発明によれば、振動の顕著な方向と、その方向における経時変化を求めることができる。したがって、本発明によれば、振動の状況について詳細を把握できるので、振動の抑制対策を十分に検討することが可能となる。
本発明を適用した振動解析システムの概略構成を示す模式図 振動解析フローを示す図 特異値と周波数との関係の一例を示す図 振動解析結果の一例を示す図 振動解析結果の一例を示す図 振動解析結果の一例を示す図 振動解析結果の一例を示す図
添付図面に従って本発明に係る振動解析装置の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の振動解析装置10を用いた振動解析システムを模式的に示す図である。
同図に示す振動解析システムは、車両12の振動を解析するためのシステムであり、車両12に搭載された複数の振動センサ14a〜14gを備える。振動センサ14a〜14gは、振動を検知するものであればよく、たとえば加速度センサやマイクが用いられる。この振動センサ14a〜14gの配置は特に限定するものでは無いが、振動源(エンジンやタイヤ等)から受音位置(車室)までの伝達経路に配置することが好ましい。本実施例では7個の振動センサ14a〜14gが設けられており、振動センサ14a、14b、14c、14dはそれぞれ、右前輪、左前輪、右後輪、左後輪のサスペンションの位置に取り付けられ、振動センサ14e、14f、14gはそれぞれ車室内の前側、中央、後側に取り付けられる。なお、振動センサ14a〜14gの個数や配置は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な態様が可能である。
振動センサ14a〜14gは、車両12に搭載された車載器16に接続されており、振動センサ14a〜14gの振動データが車載器16に記憶される。車載器16は走行試験の後に有線または無線で振動解析装置10に接続され、車載器16に記憶された振動データが振動解析装置10に送信される。なお、振動センサ14a〜14gの振動データをリアルタイムで無線により振動解析装置10の送信してもよい。また、振動解析装置10を車載器16の代わりに車両12に搭載し、走行しながら解析するようにしてもよい。
振動解析装置10は、振動センサ14a〜14gの振動データを演算処理して振動の解析を行う装置であり、各種の演算処理を行う演算処理部20と、多数の操作ボタンによって入力や設定を行う操作部22と、解析結果などを表示するモニタ24とを備える。なお、モニタ24をタッチパネルにして操作手段を兼ねるようにしてもよいし、PC等の外部機器を接続して操作手段や表示手段を代用するようにしてもよい。
図2は、演算処理部20におけるフローを示している。同図に示すように、演算処理部20では、まず、振動データに対してフーリエ変換を行う(ステップS1)。その際、7個の3軸加速度センサ14a〜14gに対してそれぞれ複数回試験を行ったデータを用いて演算処理する。例として、加速度データの取得サンプリングレートを50000Hzとして試験を30回行い、試験1回ごとに、3秒間分に相当する150000点のデータが各加速度センサで得られた場合のデータで本解析手法を実行する。この時、14a〜14gの7個の測定点に対し、X軸、Y軸、Z軸方向に加速度データが得られるため試験一回当たり21個の時系列データが得られる。試験を30回行うと21×30個の時系列データが得られることとなる。これらのデータすべてに対し、フーリエ変換を行う。なお、例では30回の試験を行っているが、1回の試験データを同じデータ長の30個のデータに分けたものでもよい。この時、30個のデータの中に互いにオーバーラップする部分があってもかまわない。しかし完全に同じデータを含んではいけない。
フーリエ変換した結果は周波数別に一つの複素数の数値として現れるため、周波数別に21×30個の複素数値が得られることになる。これは周波数f[Hz]ごとに下のような行列Aにまとめることができる。
Figure 2018013380
本実施形態では行番号を試験番号、列番号を計測データ番号とした30×21の行列としている。上の行列はすべての周波数ごとに存在するため、全周波数域のデータを表現するためには上の行列を周波数データの個数分、今回の例では150000個用意する必要があることに注意する。
次に、周波数ごとに用意された行列Aに対し特異値分解処理を行う(ステップS2)。特異値分解とは、行列Aを3つの行列に分解する操作であり、下式で表わされる。
Figure 2018013380
この式においてUは左特異行列、Sは特異値行列、Vは右特異行列である。VはV行列を転置して複素共役を取ったものであることを意味する。それらを具体的に表示すると、以下のようになる。
Figure 2018013380
この式において特異値行列Sの行番号と列番号が一致する成分S1,1〜S21,21が特異値である。特異値は測定データの数だけあり、21個の特異値が算出される。以下、順番に第1特異値、第2特異値・・・第21特異値という。
上で示した特異値分解は元の信号Aを互いに無相関な方向の成分に分解する計算である。ここで計算される互いに無相関な方向は、上述した特異値分解の式において右特異行列Vを構成する各列のベクトルである。Vのj列目の成分は下式のようなベクトルである。
Figure 2018013380
このベクトルの行番号は、それぞれ行列Aの列番号に対応しているため21個の要素がある。そして行列Aの列番号はそもそも計測データ番号によって決めたものであるため、上ベクトルの行番号は計測データ番号に対応したものとなっている。
Figure 2018013380
よってV(f)のj列目のベクトルは、V行列を構成する他の列と互いに無相関な方向ベクトルであり、その値は各測定データ点の加速度の方向、つまりは振動形状を示す。また、特異値行列SのSj,j成分は、右特異行列Vのj列目が表わすベクトルが示す方向に対応しており、それぞれの方向の振動がもとの行列Aで示される振動に占める寄与の大きさに比例する。以下、このような周波数f[Hz]における第j特異値に対応したベクトルを周波数f[Hz]における第j主成分モードベクトル、このベクトルが示す振動形状を第j主成分モード形状と呼ぶ。
行列Aは周波数ごとに作成されるので、周波数ごとに特異値分解が行われ、周波数と特異値との関係が求められる。求められた関係はモニタ24に表示される。図3は周波数と特異値との関係の一例として第7特異値までのデータを示しており、横軸に周波数、縦軸に特異値を示している。
次に、周波数と特異値の関係から、特徴の顕著な振動の周波数を特定する(ステップS3)。ここで言う特徴の顕著な振動とは作業者の解析対象により異なるが、特異値の大きな成分について着目する場合が多い。例えば作業者が図3のグラフを見て、特異値がピークとなる点を選び、その周波数と特異値を特定するような場合を考える。図3の例では、最も大きい第1特異値がピークとなっている部分を探し、いくつか(たとえば14Hz、27Hz、33Hz、44Hz)を選択した。なお、本実施の形態では、作業者がモニタ24を見ながら手動で特定するようにしたが、これに限定するものではなく、予め入力した閾値を超えた場合に自動的に特定するようにしてもよい。
次に方向成分の抽出を行う(ステップS4)。まず、特定した特異値に対応する主成分モードベクトルを方向ベクトルとして抽出する。先ほどの例でいえば、周波数f=14Hz、27Hz、33Hz、44Hzにおける右特異ベクトルVの第1列を第1主成分モードベクトルとして抽出することに対応する。この抽出した第1主成分モードベクトルを、元の振動データの行列Aに右から乗じた結果をPとする。例えばf=14Hzにおける第1主成分モードベクトルを抽出し、それを行列Aに乗じた場合下の式のようになる。
Figure 2018013380
これにより計算されたPは、30×1の大きさを持ち、その行番号は行列Aの試験番号に対応している。この処理は全周波数の行列Aについて行う。このように試験30回分のf=14Hzにおける第1特異値に対応した方向成分Pを全周波数域で抽出する。f=27Hz、33Hz、44Hzにおける第1主成分モードベクトルについても同様の計算を行える。
次に得られた方向成分Pの全周波数領域データに対して逆フーリエ変換を行う(ステップS5)。これにより、選択した主成分モード形状ごとに振動の経時変化が求まる。先程のf=14Hzにおける第1主成分モードベクトルの例で、第1回試験について経時変化を知りたければ、周波数データ列P(f)を逆フーリエ変換し、時系列データp(t)とすればよい。P(f)が周波数ごとに値をもつことを思い出し、全周波数域のデータを明示的に書けば下式のような150000点のデータとなり、これを処理することになる。
Figure 2018013380
ここで第1主成分モードベクトルの値が複素数であるため、得られるp(t)が複素数値となる。この中の虚数成分は物理的な意味を持たないため、p(t)のうち、実数成分Re(p(t))のみを時系列情報として算出する。このように求めた時系列データRe(p(t))を抽出したf=14Hzにおける第1主成分モードベクトルに乗じることで計測データ各々の経時変化を計算することができる。
Figure 2018013380
ここでも主成分モードベクトルの虚数成分が物理的意味のない虚数信号を生み出すため実部のみの値を取っている。この結果を時系列順に次々と表示することで、14Hzにおける第1主成分モードの各計測データの経時変化を算出できる。もちろん他の試験番号の場合でも、f=27Hz、33Hz、44Hzの場合でも同様の計算を行える。
次に各測定点での振動の状況をモニタ24に表示する(ステップS6)。本実施の形態では、振動センサ14a〜14gの位置情報を予め入力しておき、その位置情報に基づいて振動の状況を3次元的にモニタ24に表示する。
図4〜図7の(1)は、モニタ24に表示する3次元画像の例を示している。上述のステップS4の説明で示したように主成分モードベクトルは各加速度データの方向を示すベクトルとなっている。そのため各測定データの位置が分かっていれば、この主成分モードベクトルからどのような方向に振動を持つか、つまり主成分モード形状を図示できる。このとき主成分モードベクトルの虚部は物理的な意味を持たないため主成分モード形状として図示するのは実部のみである。図4は周波数14Hzにおける第1主成分モード形状を示しており、図5、図6、図7はそれぞれ周波数27Hz、34Hz、44Hzにおける第1主成分モード形状を示している。また、図4〜図7において、a〜gの各点はぞれぞれ振動センサ14a〜14gに対応している。
また図4〜図7の(2)は(1)の主成分モード形状の第1回試験における経時変化の値を示す。上述のステップS5の説明で行ったような計算により、各点の経時変化を求めることができ、これを時系列順に図示していけば振動形状をアニメーションとして出力することができる。
図4に示す14Hzにおける第1主成分モード形状では、右前輪と左後輪の位置において上方に振動しており、左前輪と右後輪の位置において下方に振動している。したがって、全体としては捩じれるような振動をしている。このため、14Hzの振動を抑制するためには、捩じれを抑制するような対策が必要になる。
図5に示す27Hzにおける第1主成分モード形状では、左後輪の位置で大きく上方に振動している。したがって、27Hzの振動を抑制するためには、左後輪の位置、或いはその近辺に上下方向に振動を抑制する対策が必要になる。また時刻1秒において急激に大きな振動となっている。この現象は他のモード形状では見られないことからこの振動形状に特有の経時的な現象が起きたと考えられ、対策するうえで重要な情報となる。
このように本実施の形態によれば、顕著な振動の方向と大きさが分かり、全体としての挙動も把握できるので、振動を抑制するために十分な対策を練ることができる。
10…振動解析装置、12…車両、14a〜14g…振動センサ、16…車載器、20…演算処理部、22…操作部、24…モニタ

Claims (3)

  1. 複数の測定点で得られた複数の測定回分の振動データを用いて振動を解析する振動解析方法であって、
    前記振動データをフーリエ変換するステップと、
    前記フーリエ変換した結果に基づいて前記測定回数と前記測定点の行列を周波数毎に作成して特異値分解を行うことによって特異値と周波数との関係を求めるステップと、
    前記特異値と周波数との関係から特定された特異値と周波数に基づいて、前記特異値分解での右行列から方向成分を抽出し、該方向成分を前記行列に掛けた後、逆フーリエ変換を行うステップと、を備えることを特徴とする振動解析方法。
  2. 複数の測定点で得られた複数の測定回分の振動データを用いて振動を解析する振動解析装置であって、
    前記振動データをフーリエ変換した後、周波数毎に前記測定回数と前記測定点の行列に作成して特異値分解を行うことによって特異値と周波数との関係を求めるとともに、
    前記特異値と周波数との関係から特定された特異値と周波数に基づいて、前記特異値分解での右行列から方向成分を抽出し、該方向成分を前記行列に掛けた後、逆フーリエ変換を行う演算手段を備えたことを特徴とする振動解析装置。
  3. 演算手段は、予め入力された前記測定点の位置情報に基づいて、振動の状況を3次元的に表示させることを特徴とする請求項2に記載の振動解析装置。
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