JP2018024648A - ボルテゾミブを含有する医薬製剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
安定で再溶解性に優れたボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法を提供することが課題となっている。
【解決手段】
(工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を、pH8.0〜14.0の水系溶剤に溶解して、溶液を調製する工程、(工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程、(工程3)水系溶剤を除去する工程、を含むボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボルテゾミブを含有する凍結乾燥医薬製剤の製造方法について、安定であり再溶解性が優れた凍結乾燥製剤の製造方法に関する。
ボルテゾミブは、化学名(N‐(2‐ピラジンカルボニル)‐L‐フェニルアラニン‐L‐ロイシンボロン酸)とするプロテアソーム阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在、多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫の治療剤として用いられている。臨床に供されているボルテゾミブの医薬製剤は、有効成分であるボルテゾミブと添加剤のD−マンニトールを含む凍結乾燥製剤であって、ボルテゾミブ注射用製剤(ベルケイド(Velcade) (登録商標))として提供されている。該製剤は、静脈内投与と皮下投与で承認がなされており、その投与方法によって溶解液の量が異なる。静脈内投与を行う場合は生理食塩水3mLに、皮下投与を行う場合は生理食塩水1.2mLに溶解して用いられている。
アミノアルキルボロン酸であるボルテゾミブは、酸化や化学的な分解を受けやすく、不安定な物性であることが知られている。また、ボロン酸自体が脱水的に反応して酸無水物化をして多量体化する物性であり、水への溶解度が著しく低いことが知られている。このため、ボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤を調製する場合、酸化や分解に対する安定化、酸無水物化による多量体化を抑制するための対策が必要である。
例えば、特許文献1には、ボルテゾミブのボロン酸とマンニトール等の糖類とのボロン酸エステル誘導体を開示しており、これを用いた医薬製剤が教唆されている。これは、ボルテゾミブ及びマンニトールのtert−ブタノール溶液又はtert−ブタノール含水溶液を凍結乾燥することで調製されている。また、特許文献2には、ボルテゾミブとトロメタミンを含む凍結乾燥製剤が記載されている。これは、強いB−N結合を有するボルテゾミブのトロメタミン塩であることが記載されている。特許文献3には、ボルテゾミブ誘導体の凍結乾燥製剤であって、シクロデキストリン及び単糖を有する増量剤と界面活性剤とからなる群から選択される医薬製剤が記載されているが、ボルテゾミブ誘導体の溶解にはtert−ブタノールを使用している。
このように、ボルテゾミブを含むアミノアルキルボロン酸の溶解にはtert−ブタノールを使用することが多い。現在販売されているボルテゾミブ凍結乾燥製剤は凍結乾燥ケーキの濡れ性が悪く、非特許文献1には溶解に最大120秒程度要することが記載されている。また、非特許文献2には現在市販されているボルテゾミブ凍結乾燥製剤はtert−ブタノールが残留しているとの報告もある。さらに、tert−ブタノールを実際に生産規模の製造で使用すると、廃液、汚泥等の廃棄、埋め立て、下水道や河川への放流を行うことができないため、廃液処理にコストや手間がかかる。そのため、tert−ブタノールなどの溶媒を使用せず、安定で濡れ性が良好であり溶解性に優れた製剤を製造することが可能な製造方法が望まれている。
特許第4162491号公報 特許第5689816号公報 特許第5722871号公報
医薬品インタビューフォーム 抗悪性腫瘍剤(プロテアソーム阻害剤)ベルケイド注射用3mg 2016年1月(第10版)6頁 AAPS PharmSciTech,Vol.12(2) 2011,461−467頁
本発明は、安定で再溶解性に優れたボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、(工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を、pH8.0〜14.0の水系溶剤に溶解して、溶液を調製する工程、(工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程、(工程3)水系溶剤を除去する工程、を含む製造方法とすることで、再溶解性に優れたボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤を提供できることを見出した。本願は、以下の[1]〜[7]に記載の発明を要旨とする。
[1] (工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を、pH8.0〜14.0の水系溶剤に溶解して、溶液を調製する工程、
(工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程、
(工程3)水系溶剤を除去する工程、
を含むボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法。
[2] (工程2)がpHを5.0〜6.5に調整する工程である、[1]に記載の製造方法。
[3] 水系溶剤が、沸点が150℃以下であるアルコールを含まない水系溶剤である、[1]又は[2]の何れか一項に記載の製造方法。
沸点が150℃以下のアルコールであるtert−ブタノールを使用しないため、tert−ブタノールが残留する恐れがなく、また製造時にtert−ブタノール廃液処理が必要ない製造方法である。
[4] 前記溶液に、水溶性の医薬添加物を含有する、[1]〜[3]の何れか一項に記載の製造方法。
[5] 水溶性の医薬添加剤が、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、没食子酸プロピル、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、N−アセチルトリプトファン、L−システイン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上である、[1]〜[4]の何れか一項に記載の製造方法。
[6] 水溶性の医薬添加剤が、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、N−アセチルトリプトファン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上である、[1]〜[5]の何れか一項に記載の製造方法。
[7] (工程3)が凍結乾燥工程であって、医薬製剤が凍結乾燥製剤である[1]〜[6]の何れか一項に記載の製造方法。
本発明のボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法は、安定で溶解性に優れた医薬製剤を提供することができる。特に、安定で溶解性に優れた凍結乾燥医薬製剤を提供することができる。
本発明は、(工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を、pH8.0〜14の水系溶剤に溶解して、溶液を調製する工程、(工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程、(工程3)水系溶剤を除去する工程、を含むボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法である。以下に、その詳細について説明する。
本発明は、ボルテゾミブ又はその誘導体を有効成分とする医薬組成物に関する。ボルテゾミブは、プロテアソーム阻害活性を有する化学名(N‐(2‐ピラジンカルボニル)‐L‐フェニルアラニン‐L‐ロイシンボロン酸)である。当該化合物は、特許第3717934号にて開示されるボロン酸誘導体であって、それに記載の方法により入手可能である。
本発明のボルテゾミブは、医薬的に許容される適当な塩であっても良い。医薬的に許容される塩とは、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウムなど)、アンモニウム塩及び医薬的に許容可能なアミンの塩(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジエチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジンモノエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン及びN−メチル−D−グルカン)が含まれる。
また、本発明は有効成分としてボルテゾミブの誘導体であっても良い。当該誘導体とは、ボルテゾミブのボロン酸官能基とのエステル誘導体、酸無水物誘導体、酸無水物‐エステル混合誘導体であって、水溶液中で、加水分解的に開裂してボルテゾミブを再生する物性である誘導体である。すなわち、1,2−ジオールを含むポリオール化合物、α‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物とボルテゾミブとの反応生成物が挙げられる。例えば、ボルテゾミブとグリセリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、メグルミン、イノシトール、シクロデキストリン等のポリオール化合物とのボロン酸エステル誘導体。クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、サリチル酸、マンデル酸、3−ヒドロキシ酪酸等のα‐ヒドロキシ‐β‐カルボン酸とボルテゾミブとの酸無水物‐エステル混合誘導体、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸との酸無水物等が挙げられる。
本発明において、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体は、ボルテゾミブ、ボルテゾミブの塩、又はボルテゾミブの誘導体の何れか1種の化学種であっても良く、2種以上の混合物であっても良い。また、一部が、ボルテゾミブの3量体等の自己脱水縮合体を含んでいても良い。しかしながら、該3量体は難溶性であり、水溶液として投与する際に不溶性異物となるため、該3量体等の自己脱水縮合物は含まないことが好ましい。当該ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体としては、医薬品用の有効成分として用いることができる品質レベルである事が好ましい。
本発明は(工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体をpH8.0〜14.0の水系溶剤に溶解して溶液を調製する工程を含む。pHを8.0〜14.0に調製するpH調整剤としては、医薬製剤において一般的に使用されているものであり、本発明の医薬組成物に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸のアルカリ土類金属塩等といったアルカリ性剤を挙げることができる。また、前記アルカリ性剤と酸性剤を混合してpH調整した緩衝剤を用いても良い。緩衝剤としては、TRIS緩衝剤、グリシン緩衝剤及びヒスチジン緩衝剤等が挙げられる。これらのpH調整剤は単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。さらに添加剤によりpHを調整してもよく、その添加剤としてはグアニジノ基を有する化合物、例えばグアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン等を挙げることができる。本発明においてpHを8.0〜14.0に調整するために水酸化ナトリウム、アルギニンを用いることが好ましい。
pH調整剤は、医薬組成物を製造する際に、溶液のpHを目的のpHに調整することができればよく、適量で使用される。本発明の医薬組成物の製造に使用されるpH調整剤の配合量は、pHを上記の範囲に調整できれば特に限定されない。通常、pH調整剤はpHを目的の範囲に調整できるように適量使用される。
該工程1の水系溶剤はボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体及びpHを8.0〜14.0に調整するpH調整剤及び添加剤を溶解でき、医薬的に許容される溶剤であれば特に限定されるものではなく、適宜選択して適当な溶剤を用いて良い。例えば、水、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの単独使用若しくは、2種以上の混合溶剤として用いても良い。水、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。水を用いることがさらに好ましい。
前記工程1において、pH10.5以上の水系溶剤に溶解して溶液を調製することが好ましく、pH10.5〜13.0の水系溶剤に溶解して溶液を調製することがより好ましい。
本発明は(工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程を含む。pHを3.0〜6.5に調整するpH調製剤としては医薬製剤において一般的に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸及び酢酸等の有機酸、といった酸性剤が挙げられる。また、前記酸性剤及びアルカリ性剤を混合してpH調整した緩衝剤を用いても良い。緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤等が挙げられる。これらのpH調整剤は単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。本発明においてpHを3.0〜6.5に調整するために、塩酸、リン酸又はその塩(リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム等)を用いることが好ましい。すなわちリン酸又はリン酸緩衝液もしくは塩酸を用いることが好ましい。
pH調整剤は、医薬組成物を製造する際に、溶液のpHを目的のpHに調整することができればよく、適量で使用される。本発明の医薬組成物の製造に使用されるpH調整剤の配合量は、pHを上記の範囲に調整できれば特に限定されない。通常、pH調整剤はpHを目的の範囲に調整できるように適量使用される。
前記工程2で調製された溶液はpH調整剤を含み、有効成分であるボルテゾミブ又はボルテゾミブの誘導体の濃度として1.0〜2.5mg/mLとした本発明の医薬組成物水溶液において、pHが3.0〜6.5である、医薬組成物であることが好ましい。該ボルテゾミブの誘導体は、水溶液中にてボルテゾミブが再生される物性であることから、有効成分であるボルテゾミブの濃度として1.0〜2.5mg/mLの水溶液において、pHが3.0〜6.5である、医薬組成物であることが好ましい。好ましくは、前記水溶液としてpH4.5〜6.5である医薬組成物である。更に好ましく、pH5.0〜6.5の範囲に調整するのが特に好ましい。
本発明は(工程3)水系溶剤を除去する工程を含む。水系溶剤を除去する方法としては、溶剤を除去できれば特に限定されないが、例えば溶媒留去処理や凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。
前記工程1における水系溶剤は沸点が150℃以下のアルコールを含有しないことが好ましい。本発明における沸点が150℃以下のアルコールとは、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等である。
前記工程1における水系溶剤は沸点が150℃よりも高いアルコールを含有していても良い。沸点が150℃よりも高いアルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
また、該水系溶剤はその他の親水性有機溶剤を含有していても良い。含有していても良い親水性有機溶剤としては、例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
本発明は水系溶剤に水溶性の医薬添加剤を含有するボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法を含む。前記pH調整剤以外に水溶性の医薬添加剤としては、ボルテゾミブの安定性を維持する範囲において通常の医薬製剤に用いられる等張化剤、賦形剤、溶解補助剤、抗酸化剤等を添加しても良い。
等張化剤としては塩化ナトリウム等の塩類、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン等の糖又は糖アルコールが挙げられる。
賦形剤としても、塩化ナトリウム等の塩類、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、グルコース、フルクトース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン等の糖又は糖アルコールを用いることができる。
溶解補助剤としては、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール等のポリオール類、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油等のポリエーテル系化合物等を挙げることができる。
抗酸化剤としては、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、L‐システイン等が挙げられる。
また、ボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の安定化及び再溶解性を維持するために、グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物、ピリジン誘導体を水溶性添加剤として添加しても良い。
グアニジノ基を有する化合物としては、例えばグアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン等を挙げることができる。
ウレイド基を有する化合物としては、例えば尿素、エチル尿素等を挙げることができる。
ピリジン誘導体としては、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等を挙げることができる。
水溶性の医薬添加剤の含有量は、ボルテゾミブの安定性を考慮して適切な量を適宜設定して用いられるが、有効成分であるボルテゾミブ又はその誘導体1質量部に対し、それぞれ30質量部以下で添加して用いることが好ましい。より好ましくは、ボルテゾミブ1質量部に対し、それぞれ25質量部以下の適用量である。すなわち本発明は水溶性の添加剤が、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、没食子酸プロピル、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、N−アセチルトリプトファン、L−システイン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上であるボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製剤方法を含む。水溶性の添加剤がマンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、N−アセチルトリプトファン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。マンニトール、ラクトース、フルクトース、グルコン酸又はその塩、グリセリン、アルギニン、ニコチン酸アミドからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。グルコン酸又はその塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウムであることが好ましい。
上記の水溶性の医薬添加剤は、上記工程1及び工程2のいずれの工程で添加されてもよく、工程1で添加されることが好ましい。さらに、工程1の中でもボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩を溶解する前に水溶性の医薬添加剤を溶解させておくことがより好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物において、グリセリンを含有することが好ましい。グリセリンは有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の溶解性を向上させることができる。例えば、本発明の医薬製剤が凍結乾燥製剤の態様であって、投与時に例えば生理食塩水を用いて水溶液を再構成する場合、該グリセリンを含む製剤は水溶性が向上しているため、凍結乾燥製剤の濡れ性が向上し速やかに溶解して投与用の水溶液を容易に調製することができる。
本発明の医薬製剤にグリセリンを用いる場合、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、グリセリンが0.01〜10質量部を含有することが好ましい。好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対して、グリセリンは0.1〜2質量部である。
本明細書における濡れ性とは、固体表面に対する液体の親和性のことを示す。固体表面とは例えば凍結乾燥ケーキの表面であり、液体とは凍結乾燥製剤を再溶解する際に用いる液体であり例えば生理食塩水等が挙げられる。この液体が生理食塩水である場合、凍結乾燥ケーキの親水性が向上することで濡れ性が向上することが考えられる。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物において、グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物を含有することが好ましい。グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物の適用量は、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物が0.1〜25質量部を含有することが好ましい。ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してグアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物が0.1質量部より少ない場合、所望のボルテゾミブの類縁物質生成抑制効果が奏功し得ない懸念がある。一方、グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物は、医薬品として容認できる範囲において用いることができる。より好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してグアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物は0.25〜10質量部である。グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物の適用量は、0.4〜5質量部であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物はピリジン誘導体を含有することが好ましい。ピリジン誘導体は有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の溶解性を向上させることができる。例えば、本発明の医薬組成物が凍結乾燥製剤の態様であって、投与時に例えば生理食塩水を用いて水溶液を再構成する場合、該ピリジン誘導体を含む製剤は水溶性が向上しているため、速やかに溶解して投与用の水溶液を容易に調製することができる。
本発明の医薬組成物にピリジン誘導体を用いる場合、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、ピリジン誘導体が0.1〜30質量部を含有することが好ましい。好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対して、ピリジン誘導体は1〜15質量部である。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物はフルクトースを含有することが好ましい。フルクトースは有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の溶解性と安定性を向上することができる。例えば、本発明の医薬組成物が凍結乾燥製剤の態様であって、投与時に例えば生理食塩水を用いて水溶液を再構成する場合、該フルクトースを含む製剤は水溶性が向上しているため、速やかに溶解して投与用の水溶液を容易に調整することができる。
本発明の医薬組成物にフルクトースを用いる場合、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、フルクトースが0.1質量部〜30質量部を含有することが好ましい。ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してフルクトースが0.1質量部より少ない場合、所望のボルテゾミブの類縁物質生成抑制効果が奏功し得ない懸念がある。一方、フルクトースは、医薬品として容認できる範囲において用いることができる。より好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してフルクトースは0.5〜25質量部である。フルクトースの適用量は、1〜15質量部であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物はラクトースを含有することが好ましい。ラクトースは有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の安定性を向上することができる。ラクトースの適用量は、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、ラクトースが1〜100質量部を含有することが好ましい。ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してラクトースが1質量部より少ない場合、所望のボルテゾミブの類縁物質生成抑制効果が奏功し得ない懸念がある。一方、ラクトースは、医薬品として容認できる範囲において用いることができる。より好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してラクトースは5〜50質量部である。ラクトースの適用量は、10〜25質量部であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物はグルコン酸又はその塩を含有することが好ましい。グルコン酸又はその塩は有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体の溶解性と安定性を向上することができる。例えば、本発明の医薬組成物が凍結乾燥製剤の態様であって、投与時に例えば生理食塩水を用いて水溶液を再構成する場合、該グルコン酸又はその塩を含む製剤は水溶性が向上しているため、速やかに溶解して投与用の水溶液を容易に調整することができる。
本発明の医薬組成物にグルコン酸又はその塩を用いる場合、有効成分であるボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体が1質量部に対し、グルコン酸又はその塩が0.1質量部〜30質量部を含有することが好ましい。ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してグルコン酸又はその塩が0.1質量部より少ない場合、所望のボルテゾミブの類縁物質生成抑制効果が奏功し得ない懸念がある。一方、グルコン酸又はその塩は、医薬品として容認できる範囲において用いることができる。より好ましくは、ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体1質量部に対してグルコン酸又はその塩は0.5〜25質量部である。グルコン酸又はその塩の適用量は、1〜15質量部であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物は、それを含む適当な医薬製剤形に調製することにより医薬製剤として提供することができる。ボルテゾミブを有効成分とする医薬品は、注射剤の製剤形で静脈内投与又は皮下投与にて抗腫瘍剤として提供されていることから、本発明の医薬製剤も注射用製剤であることが好ましい。すなわち凍結乾燥製剤若しくは注射液製剤等の製剤型であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、所定量のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体、グアニジノ基を有する化合物及び/又はウレイド基を有する化合物、並びに任意の添加成分であるpH調整剤、ピリジン誘導体、その他の添加剤を含有する溶液を調製し、これをメンブランフィルターにて濾過し、ガラス製バイアルに分注することで調製できる。注射液製剤の場合は、これを無菌的に封止することで調製することができ、凍結乾燥製剤の場合は、溶液を分注したバイアルを凍結乾燥して無菌的に封止すれば良い。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、所定量のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体、マンニトール、並びに任意の添加成分であるpH調整剤、その他の添加剤を含有する溶液を調製し、これをメンブランフィルターにて濾過し、ガラス製バイアルに分注することで調製できる。注射液製剤の場合は、これを無菌的に封止することで調製することができ、凍結乾燥製剤の場合は、溶液を分注したバイアルを凍結乾燥して無菌的に封止すれば良い。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、所定量のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体、フルクトース、ラクトース、並びに任意の添加成分であるpH調整剤、その他の添加剤を含有する溶液を調製し、これをメンブランフィルターにて濾過し、ガラス製バイアルに分注することで調製できる。注射液製剤の場合は、これを無菌的に封止することで調製することができ、凍結乾燥製剤の場合は、溶液を分注したバイアルを凍結乾燥して無菌的に封止すれば良い。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、所定量のボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体、グルコン酸又はその塩、並びに任意の添加成分であるpH調整剤、その他の添加剤を含有する溶液を調製し、これをメンブランフィルターにて濾過し、ガラス製バイアルに分注することで調製できる。注射液製剤の場合は、これを無菌的に封止することで調製することができ、凍結乾燥製剤の場合は、溶液を分注したバイアルを凍結乾燥して無菌的に封止すれば良い。
本発明は(工程3)が凍結乾燥工程であり、医薬製剤が凍結乾燥製剤であることを含む。
凍結乾燥製剤を調製する場合、本発明の医薬組成物を含む溶液を調製するための前記溶剤は、製剤調製工程を考慮すると融点−40℃以上であることが好ましい。例えば、水、グリセリン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等を用いることが好ましい。水又は水と有機溶剤の水系混合溶剤を用いることがより好ましい。この溶剤を用いた当該溶液を凍結乾燥し、無菌的に封止することで凍結乾燥製剤を調製することができる。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、製造直後の総類縁物質含量が0.9%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、60℃の保存安定性試験後の総類縁物質含量が1.0%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、製造直後の類縁物質Eの含量が0.5%以下である。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、60℃の保存安定性試験後の類縁物質Eの含量が0.5%以下である。
本明細書における類縁物質E(化学名:Pirazine−2−carboxylic acid[1−(1−hydroxy−3−methyl−butylcarbamoyl)−2−phenyl−ethyl]−amide)は、ボルテゾミブが分解して生成する最初の類縁物質である。類縁物質Eが分解すると類縁物質A(化学名:Pyrazine−2−carboxylic acid(1−carbamoyl−2−phenyl−ethyl)−amide)が生成し、さらに分解すると類縁物質B(化学名:(S)−3−phenyl−2−[(pyrazine−2−carbonyl)−amino]−propionic acid)が生成する。
本発明の製造方法により製造される医薬組成物及びそれを用いた医薬製剤は、ボルテゾミブの自己縮合による多量体形成が抑制されている。したがって、当該医薬製剤を投与のために溶液調製しても、ボルテゾミブ三量体といった不溶性成分生成の問題を解決できる。したがって、投与時の溶液調製の課題を解決した安全な医薬製剤を提供することができる。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤は、ボルテゾミブを有効成分とする医薬として使用することができる。ボルテゾミブ製剤は、プロテアソーム阻害作用に基づく多発性骨髄腫やマントル細胞リンパ腫といった悪性腫瘍治療剤として用いられていることから、同様に抗腫瘍剤として適用することができる。
以下に、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
グリセリン18mg、ニコチン酸アミド460mgを24mLの注射用水に溶解し、アルギニン40mgを加えて溶解し、水溶液のpHを約10.5としたものにボルテゾミブ60mgを加えて溶解した。適量のリン酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpH5.6に調整し、注射用水を加えて全量を60mLとした。その溶液はpH5.6であった。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例1に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[実施例2]
マンニトール600mgを24mLの注射用水に溶解し、適量の水酸化ナトリウムを加えて、水溶液のpHを約11.0としたものにボルテゾミブ60mgを加えて溶解した。適量の塩酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpH5.0に調整し、注射用水を加えて全量を60mLとした。その溶液はpH5.0であった。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例2に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[実施例3]
フルクトース22.5g、ラクトース90gを1.75Lの注射用水に溶解し、適量の水酸化ナトリウムを加えて、水溶液のpHを約11.0としたものにボルテゾミブ4.512gを加えて溶解した。適量の塩酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液でpH5.2に調整し、注射用水を加えて全量を1.80Lとした。その溶液はpH5.2であった。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を1.2mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例3に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[実施例4]
グルコン酸ナトリウム450mgとラクトース1.35gを36mLの注射用水に溶解し、0.5M水酸化ナトリウム溶液500μLを加えてpHを約11とした液に、ボルテゾミブを90mg加えて溶解した。この水溶液を0.5M塩酸溶液を用いてpH5.1に調整し、注射用水を加えて全量を90mLとした。その溶液はpH5.2であった。
この溶液を、孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例4に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[実施例5]
グルコン酸マグネシウム900mgを36mLの注射用水に溶解し、0.5M水酸化ナトリウム溶液500μLを加えてpHを約11とした液に、ボルテゾミブを90mg加えて溶解した。この水溶液を0.5M塩酸溶液を用いてpH5.1に調整し、注射用水を加えて全量を90mLとした。その溶液はpH5.2であった。
この溶液を、孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例5に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[実施例6]
グルコン酸カルシウム900mgを36mLの注射用水に溶解し、0.5M水酸化ナトリウム溶液500μLを加えてpHを約11とした液に、ボルテゾミブを90mg加えて溶解した。この水溶液を0.5M塩酸溶液を用いてpH5.2に調整し、注射用水を加えて全量を90mLとした。その溶液はpH5.2であった。
この溶液を、孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、実施例6に係る凍結乾燥製剤を調製した。
[比較例1]
ボルテゾミブ60mgを24mLのtert−ブタノールに溶解し、注射用水36mLを加えて混合した後、D−マンニトール600mgを加えて溶解した。
この溶液を孔径0.22μmのメンブレンフィルターを用いて無菌ろ過を行い、バイアルにろ過した液を3mL充填し、凍結乾燥を行い、比較例1に係る凍結乾燥製剤を調製した。
実施例1〜6、比較例1に係る医薬製剤の1バイアルあたりの各成分組成を表1及び表2にまとめた。
Figure 2018024648
Figure 2018024648
*1;生理食塩水1.2mLで再溶解したときのpH値
[試験例1](溶解性試験)
実施例1〜6、比較例1で得られた凍結乾燥製剤を用いて、溶解性試験を行った。
それぞれのサンプルに生理食塩水1.2mLをバイアルに加え、凍結乾燥ケーキが液になじむように優しく振り混ぜ、静置し、完全に溶解するまでの時間を測定した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 2018024648
Figure 2018024648
本明細書に記載の方法で製造を行った実施例1〜4は、溶解時間が30秒以内であった。実施例5〜6は1分以内であった。一方で、tert−ブタノールを用いて作製した比較例1は溶解までに120秒要した。
[試験例2]60℃保存安定性試験
実施例1〜6及び比較例1の注射用凍結乾燥製剤を、60℃の条件下にて1週間保存した。各製剤について、ボルテゾミブ由来の類縁物質をHPLCにて分析した。ボルテゾミブ類縁物質のHPLC分析条件を下に示した。
[ボルテゾミブ由来の類縁物質の分析条件]
実施例1〜6及び比較例1のボルテゾミブ分解由来の類縁物質を、以下の液体クロマトグラフィー(HPLC)条件にて分析した。
カラム:Waters Symmetry Shield RP18 5μm,4.6mm×250mm
カラム温度:35℃
移動相A:水/アセトニトリル/ギ酸混液(715:285:1)
移動相B:メタノール/水/ギ酸混液(800:200:1)
送液量:1.0mL/min.
波長:270nm
移動相の送液:表5に示す条件で送液した。

Figure 2018024648
実施例1〜6、比較例1の凍結乾燥製剤の60℃保存安定性試験における、各類縁物質含量を表6及び表7にまとめた。
Figure 2018024648




Figure 2018024648
*2 不純物A、B、E以外の個々の類縁物質の最大値。
実施例1〜6と比較例1は、60℃で1週間保存しても総類縁物質の増加量は0.5%以内であり、保存条件下において類縁物質の生成を抑制した。
この結果より、医薬製剤の安定性という観点でみると、本明細書で説明してきた製法はtert−ブタノールを用いた製法と比べて同等以上の安定な医薬製剤を調製することが可能であることが分かった。

Claims (7)

  1. (工程1)ボルテゾミブ又はその医薬的に許容される塩、若しくはボルテゾミブの誘導体を、pH8.0〜14.0の水系溶剤に溶解して、溶液を調製する工程、
    (工程2)前記溶液を、pH3.0〜6.5に調整する工程、
    (工程3)水系溶剤を除去する工程、
    を含むボルテゾミブを有効成分とする医薬製剤の製造方法。
  2. (工程2)がpHを5.0〜6.5に調整する工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 水系溶剤が、沸点が150℃以下であるアルコールを含まない水系溶剤である、請求項1又は2の何れか一項に記載の製造方法。
  4. 前記溶液に、水溶性の医薬添加物を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 水溶性の医薬添加剤が、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、没食子酸プロピル、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、トコフェロールポリエチレングリコールスクシナート、N−アセチルトリプトファン、L−システイン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜4の何れか一項に記載の製造方法。
  6. 水溶性の医薬添加剤が、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、フルクトース、グルコース、グルコン酸又はその塩、メグルミン、シクロデキストリン、塩化ナトリウム、グリセリン、チオグリセリン、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、N−アセチルトリプトファン、トレオニン、グアニジン又はその塩、クレアチン、クレアチニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸又はその塩、グリシン、尿素、エチル尿素、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミンからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法。
  7. (工程3)が凍結乾燥工程であって、医薬製剤が凍結乾燥製剤である請求項1〜6の何れか一項に記載の製造方法。
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