JP2018143244A - 揚げ物用バッターミックス - Google Patents

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亮佑 藤村
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総一郎 樋渡
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Abstract

【課題】製造直後はもとより、製造された揚げ物を冷蔵又は冷凍保存後に再加熱した場合でも、具材及び衣の食感が共に良好な揚げ物を製造することができる揚げ物用バッターミックスを提供すること。【解決手段】本発明の揚げ物用バッターミックスは、可逆性凝固素材0.5〜6質量%及び不可逆性熱凝固素材0.1〜20質量%を含有する。前記可逆性凝固素材は、ゼラチン、アガロース、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上であり得る。前記不可逆性熱凝固素材は、卵白粉末、乳清蛋白粉末、大豆蛋白粉末及び小麦蛋白粉末からなる群から選択される1種以上であり得る。さらに大豆繊維を0.1〜20質量%、穀粉を33〜90質量%含有してもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、フライなどの衣付揚げ物における衣の材料として使用される揚げ物用バッターミックスに関する。
揚げ物は、各種の食材からなる具材を油ちょうにより加熱調理して得られる食品である。揚げ物には、具材をそのまま油ちょうして得られる素揚げなどもあるが、その多くは、表面に衣材が付着した具材を油ちょうすることで得られ、具材の表面に衣材からなる衣が付着した衣付揚げ物であり、具体的には例えば、とんかつなどのフライや天ぷらである。表面に衣材が付着した具材を高温の油中で加熱することより、油に直接触れる衣は、サクミのある独特の食感と風味を有し、一方で中身の具材は、衣の内側で蒸されたように火が通っていて旨味が凝縮されたものとなる。
しかしながら衣付揚げ物は、調理直後から時間が経過すると、具材の水分が衣に移行することによって、具材のジューシーさが失われると共に衣が柔らかくなって、独特の食感が失われやすいという問題がある。特に近年は、工場やスーパーの小売店などで調理された衣付揚げ物が冷蔵や冷凍された状態で流通販売され、消費者がこれを購入してそのまま喫食するか又は電子レンジなどで加熱調理してから喫食するスタイルが普及しているが、斯かる食事スタイルにおいては、衣付揚げ物が製造されてから喫食されるまでに比較的長時間を要するため、前記の水分移行に起因する衣の品質低下が問題となりやすく、特に、喫食前に衣付揚げ物を電子レンジで加熱調理すると、電子レンジのマイクロ波によって具材の水分が加熱蒸散して衣に移行しやすくなるため、衣の品質低下はより一層深刻なものとなる。
また、衣付揚げ物は油ちょう時の衣材の形態によっていくつかのタイプに分類され、例えば、粉末状の衣材を具材表面にまぶしたものを油ちょうして得られるまぶしタイプ、衣材を水に溶かしたバッター液を具材表面に付着させ油ちょうして得られるバッタータイプがあり、さらに、該バッタータイプの一種として、具材表面に該バッター液に加えてさらにパン粉などの粉末を付着させ油ちょうして得られるものなどがあるところ、これらの衣付揚げ物の中でも特にバッタータイプは、具材に対する衣の量が比較的多く、それ故に、衣付揚げ物全体の食感に占める衣の食感の割合が大きいため、前記の水分移行に起因する衣の品質低下が問題となりやすい。
このような衣付揚げ物の品質低下の問題に対し、特許文献1には、揚げ種の周囲をプルラン、オブラート、ゼラチン等の加食性水溶液で被覆することが記載されている。これにより、衣付揚げ物の電子レンジ再加熱時において加食性水溶液による被膜が揚げ種の水分蒸散を防止するため、衣付揚げ物の品質低下を防止できるとされている。また、特許文献2には、α化澱粉及びゼラチンを含有するバッターミックスが記載され、特許文献3には、穀粉100質量部とゼラチン0.5〜2.25質量部とを含有する揚げ物用バッター液が記載されている。また特許文献4には、α化澱粉以外の澱粉50〜95質量%と、小麦蛋白、大豆蛋白、乳蛋白及び卵蛋白から選ばれた少なくとも1種の蛋白素材5〜30質量%と、コラーゲン及び/又はゼラチン1〜10質量%と、寒天0.25〜3質量%と、グルコマンナン0.05〜3質量%とを含む揚げ物用衣材が記載されており、この揚げ物用衣材に加水してバッター液としたものをとんかつなどの揚げ物の製造に使用することで、揚げ物の食感の経時変化が低減できるとされている。
特開平2−283248号公報 特開2002−142701号公報 特開2013−128420号公報 特開2002−315527号公報
本発明の課題は、製造直後はもとより、製造された揚げ物を冷蔵又は冷凍保存後に再加熱した場合でも、具材及び衣の食感が共に良好な揚げ物を製造することができる揚げ物用バッターミックスを提供することである。
本発明は、可逆性凝固素材0.5〜6質量%及び不可逆性熱凝固素材0.1〜20質量%を含有する揚げ物用バッターミックスである。
また本発明は、前記の本発明の揚げ物用バッターミックス100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含むバッター液である。
また本発明は、前記の本発明の揚げ物用バッターミックス100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含む、バッター液を具材に付着させ、油ちょうする工程を有する揚げ物の製造方法である。
また本発明は、ミックス原料として、可逆性凝固素材を含有する第1の原料と、不可逆性熱凝固素材を含有する第2の原料とを有し、未使用時には両原料が混合されずに各々独立した状態で存在し、使用時に両原料を混合する揚げ物用バッターミックスセットであって、前記ミックス原料において、前記可逆性凝固素材の含有量が0.5〜6質量%、前記不可逆性熱凝固素材の含有量が0.1〜20質量%である揚げ物用バッターミックスセットである。
本発明によれば、製造直後はもとより、製造された揚げ物を冷蔵又は冷凍保存後に再加熱した場合でも、具材及び衣の食感が共に良好な揚げ物を製造することができる。
本発明の揚げ物用バッターミックスは可逆性凝固素材を含有する。本発明で用いる可逆性凝固素材とは、高温(好ましくは50℃以上、さらに好ましくは40℃以上)で流動性を示し、低温(好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下)で凝固又はゲル化して非流動性を示し、その非流動性状態のものを高温にすると、再び流動性を示す素材をいう。
また、本発明の揚げ物用バッターミックスはさらに不可逆性熱凝固素材を含有する。本発明で用いる不可逆性熱凝固素材とは、低温(好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下)で流動性を示し、高温(好ましくは50℃以上、さらに好ましくは40℃以上)で凝固又はゲル化して非流動性を示し、その非流動性状態のものを低温にしても、再び流動性を示さない素材をいう。
前記の可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材を含有するバッターミックスを用い、常法に従って揚げ物を製造した場合、その油ちょう時において、具材表面に存する不可逆性熱凝固素材が高温(通常150℃以上)の油にさらされることで凝固又はゲル化する結果、該揚げ物の衣(バッターミックスあるいはそれを用いて調製されたバッター液を油ちょうすることで形成された衣)が、水分を透過させ難いバリアーとして機能するため、揚げ物における具材の水分蒸散あるいは具材から衣への水分移行が抑制され、具材の過乾燥によるパサつきや衣のサクミの低下といった不都合が効果的に防止される。また、前記バッターミックスを用いて製造された揚げ物を常温下で放置又は冷蔵若しくは冷凍するなどして保存した場合には、その保存中の揚げ物において衣に含まれる可逆性凝固素材が凝固又はゲル化するため、前記の衣によるバリアー効果が維持又は増強され、保存行為に起因する揚げ物の品質低下が効果的に防止される。さらに、室温以下の品温で保存された揚げ物を電子レンジなどで再加熱した場合には、衣に含まれる可逆性凝固素材の凝固又はゲル化が解消されて揚げたて直後と同様の流動性を再び示すようになるため、揚げたて直後のものと比べて遜色ない好ましい食感が再生される。このように、衣材として可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材を併用することにより、製造直後はもとより、製造された揚げ物を冷蔵又は冷凍保存後に再加熱した場合でも、具材及び衣の食感が共に良好な揚げ物の製造が可能となる。
本発明において好ましい可逆性凝固素材の例としては、ゼラチン(凝固又はゲル化温度約10〜20℃)、カラギーナン(凝固又はゲル化温度約30〜40℃)、ジェランガム(凝固又はゲル化温度約30〜40℃)、アガロース、キサンタンガム及びヒアルロン酸等が挙げられ、本発明ではこれらの可逆性凝固素材の1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
また、本発明において好ましい不可逆性熱凝固素材の例としては、卵蛋白、乳清蛋白、大豆蛋白及び小麦蛋白等の蛋白質;カードラン等が挙げられ、本発明ではこれらの不可逆性熱凝固素材の1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。これらの不可逆性熱凝固素材の形態は特に制限されないが、典型的には粉末である。
尚、本発明の揚げ物用バッターミックスは、基本的には水などの液体と混合させて使用するものであるから、該バッターミックスに含有される可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材は、水に可溶又は分散し得るもの、即ち水溶性又は水分散性を有するものが好ましい。例えば、特許文献4記載の揚げ物用衣材はコラーゲンを含有するが、コラーゲンは通常、水に不溶で水分散性にも乏しいため、本発明の揚げ物用バッターミックスではコラーゲンは使用しないことが好ましい。
本発明の揚げ物用バッターミックスにおける可逆性凝固素材の含有量は、該バッターミックスの全質量に対して0.5〜6質量%であり、好ましくは1〜5質量%、さらに好ましくは2〜4質量%である。
また、本発明の揚げ物用バッターミックスにおける不可逆性熱凝固素材の含有量は、該バッターミックスの全質量に対して0.1〜20質量%であり、好ましくは0.4〜10質量%、さらに好ましくは0.8〜4質量%である。
揚げ物用バッターミックスにおいて可逆性凝固素材の含有量が0.5質量%未満又は不可逆性熱凝固素材の含有量が0.1質量%未満であると、前記の本発明の効果が得られず、該バッターミックスを用いて得られる揚げ物の時間経過や再加熱による品質低下を防止できないおそれがあり、また、可逆性凝固素材の含有量が6質量%超又は不可逆性熱凝固素材の含有量が20質量%超であると、揚げ物の食感が低下し、特に衣の食感が硬くなるおそれがある。
本発明の揚げ物用バッターミックスは、可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材に加えてさらに、大豆繊維を含有していてもよい。揚げ物用バッターミックスに大豆繊維を配合することで、該バッターミックスを用いて得られた揚げ物において特に具材の水分が保持されやすくなるため、本発明の効果が一層高まり得る。本発明の揚げ物用バッターミックスにおいて大豆繊維の含有量は、該バッターミックスの全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。
本発明の揚げ物用バッターミックスは通常、前記の可逆性凝固素材、不可逆性熱凝固素材及び大豆繊維以外に、母体となる粉原料を含有する。このバッターミックスの粉原料としては、穀粉及び澱粉からなる群から選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、ここでいう「澱粉」とは、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を意味し、小麦粉等の穀粉中に含まれる澱粉とは区別される。穀粉としては、例えば、小麦粉、大麦粉、米粉が挙げられる。澱粉としては、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の未加工澱粉、及びこれら未加工澱粉に油脂加工、α化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化等の処理の1つ以上を施した加工澱粉等の澱粉が挙げられる。
本発明者らの知見によれば、前記の可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材と共に併用される粉原料としては、穀粉を多く配合するもの、特に小麦粉を使用するものが、揚げ物らしい衣の食感が得られるため好ましい。本発明の揚げ物用バッターミックスにおいて穀粉(好ましくは小麦粉)の含有量は、該バッターミックスの全質量に対して、好ましくは33〜90質量%、さらに好ましくは35〜86質量%、より好ましくは38〜82質量%である。
また、本発明の揚げ物用バッターミックスにおいて粉原料として澱粉を用いる場合、揚げ物らしい衣の食感を得るためには、澱粉の含有量は多すぎないことが好ましく、具体的には、該バッターミックスの全質量に対して、好ましくは63質量%以下、さらに好ましくは46質量%以下である。また、澱粉の含有量の下限に関しては、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは14質量%以上、より好ましくは31質量%以上である。
本発明の揚げ物用バッターミックスは、前記成分(可逆性凝固素材、不可逆性熱凝固素材、大豆繊維、穀粉、澱粉)以外の他の成分を含有していてもよく、例えば、この種の揚げ物用バッターミックスの製造に通常用いられ得る原料として、糖類、食塩や粉末醤油等の調味料、油脂、粉末乳化剤、増粘剤、膨張剤等が挙げられ、製造目的物たる揚げ物の種類などに応じてこれらの1種以上を適宜選択すればよい。これらの他の成分の含有量は、揚げ物用バッターミックスの全質量に対して通常、10質量%以下程度である。
本発明の揚げ物用バッターミックスは、常温常圧下で粉末状であり、これを用いて揚げ物を製造する際には、該バッターミックスと液体との混合物を含むバッター液を調製し、そのバッター液を具材表面に付着させて使用する。本発明の揚げ物用バッターミックスを液体と混合させずにその粉末状のまま具材表面に付着させて油ちょうしても、前記の本発明の効果は得られない。これは、本発明の揚げ物用バッターミックスの必須成分たる可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材が前記の作用効果を発現するためには、これらが水などの液体に分散又は溶解した状態で油ちょうされる必要があるためと考えられる。
本発明の揚げ物用バッターミックスの典型的な使用方法は、バッターミックスに液体を添加し混合してバッター液を調製し、そのバッター液を具材表面に絡ませる方法であるが、本発明の揚げ物用バッターミックスの使用方法はこれに限定されない。例えば、具材表面に多量の液体を付着させ、該具材表面にバッターミックスをまぶす方法、あるいは、具材表面にバッターミックスをまぶして付着させた後に、該具材表面に霧吹きなどで液体を散布して十分に湿らせる方法を採用することもできる。前記のいずれの使用方法であっても、本発明の揚げ物用バッターミックスと液体との混合物を含む、バッター液を具材に付着させ、油ちょうする工程を経て、揚げ物が製造される。
バッター液を調製する際に使用される液体としては水が一般的であるが、水以外の液体、例えば、牛乳、出し汁、煮汁などを用いることもでき、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の揚げ物用バッターミックスを用いてバッター液を調製する場合、該バッターミックスと混合される液体の分量は、具材の種類などに応じて適宜調整すればよいが、該揚げ物用バッターミックス100質量部に対して、好ましくは100〜500質量部、さらに好ましくは110〜350質量部である。
本発明の揚げ物用バッターミックスを用いて調製されたバッター液を、具材の表面の少なくとも一部に付着させ、必要に応じてさらにパン粉やブレッダーなどを付着させた後、油ちょうすることで、揚げ物を製造することができる。本発明は、種々の揚げ物の製造に適用することができるが、特に、天ぷら、フライ、から揚げに好適であり、とりわけ、とんかつなどのフライに好適である。揚げ物の具材としては、特に限定されず、例えば、鶏、豚、牛、羊、ヤギなどの畜肉類、イカ、エビ、アジなどの魚介類、野菜類などの種々のものを使用することができる。具材には、本発明の揚げ物用バッターミックスから調製されたバッター液を付着させる前に、必要に応じて、下味を付けてもよく、打ち粉をまぶしてもよい。
前述した本発明の揚げ物用バッターミックスは、未使用の時点、即ち例えば、工場から出荷され店頭で販売されている時点で、可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材を含む各種成分が混合されているものであるが、本発明には、未使用時には可逆性凝固素材と不可逆性熱凝固素材とが分離した非混合状態にあり、使用時に両素材を混合して使用するようになされている揚げ物用バッターミックスセットが包含される。以下、この本発明の揚げ物用バッターミックスセットについて説明するが、前述した本発明の揚げ物用バッターミックスと異なる構成部分を主として説明し、該バッターミックスと同様の構成部分は説明を省略する。本発明の揚げ物用バッターミックスセットにおいて特に説明しない構成部分は、前述した本発明の揚げ物用バッターミックスについての説明が適宜適用される。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットは、ミックス原料として、可逆性凝固素材を含有する第1の原料と、不可逆性熱凝固素材を含有する第2の原料とを有するところ、該バッターミックスセットの未使用時においては、両原料は混合されずに各々独立した状態で存在する。ここでいう、「第1の原料と第2の原料とが互いに独立した状態」は、典型的には、本発明の揚げ物用バッターミックスセットの未使用時において、第1の原料及び第2の原料がそれぞれ個包装され、互いに混ざらないようになされている状態である。両原料の個包装の形態は特に制限されず、この種のミックスの包装の形態を適宜採用することができ、例えば、樹脂製フィルム、紙などからなる包装袋や所定形状の包装容器に密封ないし収容された形態を例示できる。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットは、ミックス原料として、可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材の他に、前述した本発明の揚げ物用バッターミックスが含有し得る他の成分(大豆繊維、穀粉、澱粉など)を含有してもよい。その場合、可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材以外の他の成分は、前記の第1の原料及び第2の原料のどちらに含有させてもよく、あるいは第3の原料として、例えば個包装されるなどして、第1の原料及び第2の原料に対して独立した状態で存在させてもよい。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットにおいて、可逆性凝固素材の含有量は、該バッターミックスセットにおけるミックス原料の全質量に対して0.5〜6質量%であり、好ましくは1〜5質量%、さらに好ましくは2〜4質量%である。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットにおいて、不可逆性熱凝固素材の含有量は、該バッターミックスセットにおけるミックス原料の全質量に対して0.1〜20質量%であり、好ましくは0.4〜10質量%、さらに好ましくは0.8〜4質量%である。
また、前記ミックス原料に大豆繊維、穀粉、澱粉などの他の成分を含有させる場合、該ミックス原料における該他の成分の含有量については、前述した本発明の揚げ物用バッターミックスにおける当該成分の含有量と同様にすることができる。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットを使用する際には、互いに分離した状態にある第1の原料と第2の原料とを混合すればよい。例えば、個包装された状態の第1の原料及び第2の原料をそれぞれ開封し、混合すればよい。前記の第3の原料が個包装された状態で存在する場合は、その第3の原料の個包装も開封して、第1の原料及び第2の原料と共に混合する。こうして、未使用時に独立した状態で存在していた各原料を混合してミックス原料の混合物を得、該混合物に水などの液体を添加することで、バッター液を調製することができる。この「ミックス原料の混合物」は、前述した本発明の揚げ物用バッターミックスと同じである。あるいは、第1の原料及び第2の原料と、必要に応じて第3の原料とを、予め個別に水などの液体に添加して分散させ、これらの分散液を合一してバッター液を調製することもできる。本発明の揚げ物用バッターミックスセットを用いてバッター液を調製する場合、該バッターミックスと混合される液体の分量は、該バッターミックスセットにおけるミックス原料の合計量100質量部に対して、好ましくは100〜500質量部、さらに好ましくは110〜350質量部である。
本発明の揚げ物用バッターミックスセットによれば、吸湿性などの保存時の特性が互いに異なる複数種のミックス原料が、分離して包装されるなどして、未使用時に各々独立した状態とされているため、未使用時に複数種のミックス原料が予め混合されている揚げ物用バッターミックスに比して、長期間の保存性が向上している。また、本発明の揚げ物用バッターミックスセットによれば、バッター液を調製する場合に、水などの液体に対する分散性が互いに異なる複数種のミックス原料を別個に分散させることができるため、各原料がより均一に分散したバッター液を調製することができ、延いては、具材及び衣の食感が良好な揚げ物をより安定的に製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜37及び比較例1〜10〕
下記表1〜5の配合で各原料を均一に混合し、揚げ物用バッターミックスを製造した。使用した原料は下記の通り。
尚、下記の「コラーゲンペプチド」は、コラーゲンを加水分解して得られる水溶性の素材であり、低温(50℃以下)で凝固又はゲル化せずに流動性を示すため、本発明で用いる可逆性凝固素材ではなく、また、高温(50℃以上)で加熱してもゲル化しないため、本発明で用いる不可逆性熱凝固素材でもない。
また、下記の「HPMC」即ちヒドロキシプロピルメチルセルロースは、高温(62℃以上)で凝固又はゲル化して非流動性を示すため、本発明で用いる可逆性凝固素材ではなく、また、加熱ゲル化後、温度降下する(62℃以下にする)と流動性を示すため、本発明で用いる不可逆性熱凝固素材でもない。
・ゼラチン(可逆性凝固素材):水溶性ゼラチン(ニッピ製)
・キサンタンガム(可逆性凝固素材):カーギル製
・コラーゲンペプチド:商品名「ニッピペプタイド」、ニッピ製
・卵白粉末(不可逆性熱凝固素材):商品名「乾燥卵白Kタイプ」、キユーピータマゴ製
・乳清蛋白粉末(不可逆性熱凝固素材):カゼイン(「Refit(登録商標)」、日本新薬製)
・HPMC:「メトセル(登録商標)F50」、ダウ・ケミカル製
・小麦粉:薄力粉(商品名「フラワー」、日清フーズ製)
・澱粉:コーンスターチ
・大豆繊維:粉末大豆繊維(商品名「FIBRIM 2000」、光洋商会製)
・小麦繊維:粉末小麦繊維(商品名「ビタセル 小麦ファイバー」、Fiニュートリション製)
〔試験例〕
豚ロース肉を厚さ8mmに切り分け、打ち粉(薄力粉)を薄く全体にまんべんなく付着させた。また、各揚げ物用バッターミックス100質量部に対して水170質量部を混合し、軽くかき混ぜてバッター液を調製した。打ち粉が付着した豚ロース肉を、バッター液にくぐらせて全体に付着させた後、パン粉をつけてとんかつ用肉を成形した。これを170℃に熱したサラダ油で4分間油ちょうして、とんかつを製造した。揚げたてのとんかつを10名のパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準で評価してもらった。また、製造後に冷蔵庫で12時間保管後、電子レンジにより600Wで25秒間再加熱したとんかつを10名のパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準で評価してもらった。結果を下記表1に示す。
(とんかつの食感の評価基準)
5点:肉はジューシーさに富み、衣は非常にサクサクとし、極めて良好。
4点:肉はジューシー感があり、衣はサクサクとしており、良好。
3点:肉はややパサつき、衣はややサクサク感に欠ける。
2点:肉はパサつきがあり、衣はややしっとりしており、サクサク感に乏しい。
1点:肉はパサつきが強く、衣はしっとりしてサクサク感がなく、不良。
Figure 2018143244
表1に示す通り、可逆性凝固素材(ゼラチン又はキサンタンガム)及び不可逆性熱凝固素材(卵白粉末又は乳清蛋白粉末)をそれぞれ特定量含有する各実施例のミックスは、両素材の少なくとも一方を含有しない各比較例のミックスに比して、製造直後及び再加熱のいずれにおいてもとんかつの食感に優れていた。このことから、製造直後及び再加熱後のいずれにおいても具材及び衣の食感が共に良好な揚げ物を製造するためには、揚げ物用バッターミックスにおいて可逆性凝固素材及び不可逆性熱凝固素材を併用することが有効であることがわかる。
Figure 2018143244
表2に示す結果から、揚げ物用バッターミックスにおける可逆性凝固素材(ゼラチン)の含有量は、実施例の範囲内である0.5〜6質量%が好ましく、特に、実施例1及び7〜10の範囲内である1〜5質量%程度が好ましく、とりわけ、実施例1及び8〜9の範囲内である2〜4質量%程度が好ましいことがわかる。
Figure 2018143244
表3に示す結果から、揚げ物用バッターミックスにおける不可逆性熱凝固素材(卵白粉末)の含有量は、実施例の範囲内である0.1〜20質量%が好ましく、特に、実施例1及び13〜16の範囲内である0.4〜10質量%程度が好ましく、とりわけ、実施例1及び14〜15の範囲内である0.8〜4質量%程度が好ましいことがわかる。
Figure 2018143244
表4において、実施例1及び18〜25どうしの対比から、可逆性凝固素材(ゼラチン)及び不可逆性熱凝固素材(卵白粉末)を含有する揚げ物用バッターミックスに、大豆繊維を0.1〜20質量%程度配合することで、製造直後及び再加熱後のいずれにおいてもとんかつの食感が一層向上することがわかる。また、実施例21及び23と実施例26及び27との対比から、小麦繊維よりも大豆繊維の方が有効であることがわかる。
Figure 2018143244
表5に示す結果から、揚げ物用バッターミックスにおける穀粉(小麦粉)の含有量は、実施例1及び29〜36の範囲内である33〜90質量%が好ましく、特に、実施例1及び30〜35の範囲内である35〜86質量%程度が好ましく、とりわけ、実施例1及び31〜34の範囲内である38〜82質量%程度が好ましいことがわかる。また、高評価であった実施例1及び31〜34の揚げ物用バッターミックスにおける澱粉(コーンスターチ)の含有量は、14〜58質量%の範囲内であるので、澱粉の含有量としては斯かる範囲程度が特に好ましく、とりわけ、実施例1及び33が包含される30〜50質量%程度が好ましいことがわかる。

Claims (10)

  1. 可逆性凝固素材0.5〜6質量%及び不可逆性熱凝固素材0.1〜20質量%を含有する揚げ物用バッターミックス。
  2. 前記可逆性凝固素材が、ゼラチン、アガロース、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の揚げ物用バッターミックス。
  3. 前記不可逆性熱凝固素材が、卵白粉末、乳清蛋白粉末、大豆蛋白粉末及び小麦蛋白粉末からなる群から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の揚げ物用バッターミックス。
  4. さらに大豆繊維を0.1〜20質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の揚げ物用バッターミックス。
  5. さらに穀粉を33〜90質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の揚げ物用バッターミックス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の揚げ物用バッターミックス100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含むバッター液。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の揚げ物用バッターミックス100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含む、バッター液を具材に付着させ、油ちょうする工程を有する揚げ物の製造方法。
  8. ミックス原料として、可逆性凝固素材を含有する第1の原料と、不可逆性熱凝固素材を含有する第2の原料とを有し、未使用時には両原料が混合されずに各々独立した状態で存在し、使用時に両原料を混合する揚げ物用バッターミックスセットであって、
    前記ミックス原料において、前記可逆性凝固素材の含有量が0.5〜6質量%、前記不可逆性熱凝固素材の含有量が0.1〜20質量%である揚げ物用バッターミックスセット。
  9. 請求項8に記載の揚げ物用バッターミックスセットにおけるミックス原料の合計量100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含むバッター液。
  10. 請求項8に記載の揚げ物用バッターミックスセットにおけるミックス原料の合計量100質量部と液体100〜500質量部との混合物を含む、バッター液を具材に付着させ、油ちょうする工程を有する揚げ物の製造方法。
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