JP2018155308A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カバー形状を大きく変更することなく、回転トルクの増大を抑制し、泥水等の侵入を阻害することができる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】外輪2と、ハブ輪3、およびこのハブ輪3に圧入された少なくとも一つの内輪4からなる内方部材と、複列の転動体5a・5bと、内輪4の端部に設けられる磁気エンコーダ9と、外輪2に嵌合されているカップ状のカバー10と、検出部11aが前記磁気エンコーダ9に対向するようにして前記カバー10に設けられる磁気センサ11と、を備え、前記ハブ輪3と、等速自在継手を構成する外側継手部材12とが着脱可能に結合される車輪用軸受装置1であって、前記カバー10は、底部10bに前記外側継手部材12を連通する連通孔10cが形成され、前記連通孔10cの周囲にインナー側に向かうに従って拡径するとともに内周面にヘリングボーン形状溝20を設けたテーパ円筒部10dが形成される。
【選択図】図2
【解決手段】外輪2と、ハブ輪3、およびこのハブ輪3に圧入された少なくとも一つの内輪4からなる内方部材と、複列の転動体5a・5bと、内輪4の端部に設けられる磁気エンコーダ9と、外輪2に嵌合されているカップ状のカバー10と、検出部11aが前記磁気エンコーダ9に対向するようにして前記カバー10に設けられる磁気センサ11と、を備え、前記ハブ輪3と、等速自在継手を構成する外側継手部材12とが着脱可能に結合される車輪用軸受装置1であって、前記カバー10は、底部10bに前記外側継手部材12を連通する連通孔10cが形成され、前記連通孔10cの周囲にインナー側に向かうに従って拡径するとともに内周面にヘリングボーン形状溝20を設けたテーパ円筒部10dが形成される。
【選択図】図2
Description
本発明は車輪用軸受装置に関する。詳しくは、泥水等の排出性の向上を図った車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持するとともにアンチロックブレーキシステム(ABS)を制御するため、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置を備えた車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続されるハブ輪が転動体を介して回転自在に支持されている。回転速度検出装置は、円周方向に異なる磁極が交互に着磁された磁気エンコーダと磁気センサとから構成されている。回転速度検出装置は、ハブ輪と一体的に回転する磁気エンコーダが磁気センサ近傍を通過する際の磁性の変化の間隔からハブ輪に接続される車輪の回転速度を検出することができる。車輪用軸受装置には、回転速度検出装置の磁気エンコーダへの飛石等による破損、泥土や磁性体等の付着による誤検出を防止するために磁気エンコーダをカバーによって保護しているものがある。車輪用軸受装置の外輪の開口部を非磁性体のカバーで覆うことで外輪の内部に磁気エンコーダを密閉するものである。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、ハブ輪の一側端部に回転検出センサユニット(回転速度検出装置)を構成する磁気エンコーダが固定されている。磁気エンコーダの検出面と対向する外輪の開口部には、円筒状のカバー(側面カバー)が嵌合されている。カバーは、外輪に嵌合される大径円筒部とセンサや水抜き孔が設けられる小径円筒部とそれぞれを繋ぐ段部から構成されている。カバーは、段部が外輪の端面に接触することで軸方向の位置が定まる。小径円筒部には、回転検出センサユニットを構成するセンサ(磁気センサ)が設けられている。
特許文献1に記載のカバーは、内部への泥水等の侵入を防ぐため、通常、ドライブシャフト(等速自在継手等)との径方向隙間が小さくなるように構成される。また、泥水等(泥水や泥土、砂塵等を意味する)の侵入を防ぐために、当該径方向隙間をシール等により密封する構成が考えられるが、シール等の摺動により回転トルクが増大し、燃費悪化に繋がり、好ましくない。そのため、カバー形状を大きく変更することなく、簡易的に泥水等の侵入を防ぐことができる構成が求められている。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、カバー形状を大きく変更することなく、回転トルクの増大を抑制し、泥水等の侵入を阻害することができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、内周に複列の外側転走面が一体に形成され、車体に固定された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記内方部材のインナー側の端部に設けられる磁気エンコーダと、前記外方部材のインナー側の開口部に嵌合されているカップ状のカバーと、検出部が前記磁気エンコーダに対向するようにして前記カバーに設けられる磁気センサと、を備え、前記ハブ輪と、等速自在継手を構成する外側継手部材とが着脱可能に結合される車輪用軸受装置であって、前記カバーは、底部に前記外側継手部材を連通する連通孔が形成され、前記連通孔の周囲にインナー側に向かうに従って拡径するとともに内周面に動圧溝を設けたテーパ円筒部が形成されるものである。
車輪用軸受装置は、前記動圧溝がへリングボーン形状溝であるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置においては、カバーの底部に外側継手部材を連通する連通孔が形成され、連通孔の周囲にインナー側に向かうに従って拡径するとともに内周面に動圧溝を設けたテーパ円筒部が形成されている。これにより、例えば、テーパ円筒部に挿通される外側継手部材が回転している場合、動圧溝に生じる流体の動圧作用によって、テーパ円筒部と外側継手部材の間で流体がアウター側からインナー側へと流れる圧力差が生じ、テーパ円筒部と外側継手部材との間の泥水等の流体を外部に排出することができる。したがって、カバーの形状を大きく変更することなく、回転トルクの増大を抑制し、泥水等の侵入を阻害することができる。
以下に、図1と図2とを用いて、車輪用軸受装置の一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1と図2とに示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外輪2、ハブ輪3、内輪4、転動列であるインナー側ボール列5a(図2参照)、アウター側ボール列5b(図2参照)、インナー側シール部材6(図2参照)、アウター側シール部材7(図2参照)および回転速度検出装置8を具備する。なお、本明細書において、インナー側とは、車輪用軸受装置1を車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車輪用軸受装置1を車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
図2に示すように、外方部材である外輪2は、転動列5a、5bを介して、内方部材(ハブ輪3と内輪4)を支持するものである。外輪2は、例えば、略円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材7が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとが周方向に互いに平行になるように形成されている。インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとには、例えば、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。外輪2の外周面には、図示しない懸架装置のナックルに取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体に形成されている。車体取り付けフランジ2eの取り付け面である一側面および他側面は、好ましくは、切削加工等の機械加工が施されている。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪3は、例えば、円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3のインナー側端部には、外周面に縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。ハブ輪3の車輪取り付けフランジ3b側の外周面には、周方向に環状の内側転走面3cと環状のシール摺動面3dとが形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置にハブボルト3eが設けられている。ハブ輪3の内周面には等速自在継手を構成する外側継手部材12が内嵌されるトルク伝達用のセレーション3f(またはスプライン)が形成されている。
ハブ輪3は、例えば、インナー側の小径段部3aからアウター側の内側転走面3cまでを高周波焼入れにより表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3bに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪3の耐久性が向上する。ハブ輪3には、小径段部3aに内輪4が設けられる。ハブ輪3に形成されている内側転走面3cが外輪2のアウター側の外側転走面2dに対向するように配置されている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪4は、円筒状に形成されている。内輪4は、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側転走面4aが形成されている。内輪4は、圧入によりハブ輪3のインナー側端部に固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側転走面4aが構成されている。内輪4に形成されている内側転走面4aが外輪2のインナー側の外側転走面2cに対向するように配置されている。
転動列であるインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、ハブ輪3を回転自在に支持するものである。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで62〜67HRCの範囲で硬化処理されている。インナー側ボール列5aは、内輪4に形成されている内側転走面4aと、それに対向している外輪2のインナー側の外側転走面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列5bは、ハブ輪3に形成されている内側転走面3cと、それに対向している外輪2のアウター側の外側転走面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、外輪2に対してハブ輪3と内輪4とを回転自在に支持している。
車輪用軸受装置1には、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているがこれに限定されるものではなく、複列円錐ころ軸受等で構成されていてもよい。
インナー側シール部材6は、外輪2のインナー側開口部2aとハブ輪3との隙間を塞ぐものである。インナー側シール部材6は、略円筒状のシール板と一側端部に鍔を有する略円筒状のスリンガとを具備する。インナー側シール部材6は、例えば、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)等から構成されているシール板に、例えば、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数の一側シールリップが加硫接着されている。スリンガは、例えば、シール板と同等の鋼板から構成されている。インナー側シール部材6は、シール板が外輪2のインナー側開口部2aに嵌合され、スリンガの円筒部分が内輪4に嵌合され、パックシールを構成している。スリンガは、その鍔部分が外側(インナー側)に向くようにして内輪4に固定されている。スリンガの鍔部分の外側(インナー側)には、回転速度検出装置8の磁気エンコーダ9が接着されている。インナー側シール部材6は、シール板の一側シールリップが油膜を介してスリンガと接触することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、インナー側シール部材6は、外輪2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の侵入を防止する。
アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間を塞ぐものである。アウター側シール部材7は、例えば、ニトリルゴム等の合成ゴムからなる複数の他側シールリップが加硫接着によって略円筒状に形成された芯金に一体に接合されている。アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のシール摺動面3dに複数の他側シールリップが接触している。アウター側シール部材7は、他側シールリップが油膜を介してハブ輪3のシール摺動面3dと接触することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。これにより、アウター側シール部材7は、外輪2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の侵入を防止する。
図1と図2とに示すように、回転速度検出装置8は、ハブ輪3と内輪4との軸回りの回転速度を検出するものである。回転速度検出装置8は、磁気エンコーダ9とカバー10(図1、図2における薄墨部分)と磁気センサ11とから構成されている。
磁気エンコーダ9は、フェライト等の磁性紛体が混入された合成ゴムが環状に形成され、周方向に等ピッチで磁極Nと磁極Sとに着磁されたものである。磁気エンコーダ9は、インナー側シール部材6を構成するスリンガのインナー側端部に形成されている鍔部分に加硫接着によって一体的に接合されている。すなわち、磁気エンコーダ9は、外輪2のインナー側開口部2aに配置されている。また、磁気エンコーダ9は、スリンガを介してハブ輪3および内輪4と一体的に回転可能に構成されている。スリンガは、防錆性の向上と検出精度の安定性の向上のため強磁性体の鋼板、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。
カバー10は、外輪2のインナー側開口部2aを塞いで磁気エンコーダ9を保護するものである。カバー10は、例えば、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)等から構成されている。カバー10は、プレス加工によってカップ状に一体に形成されている。カップ状のカバー10は、円筒部10aと、底部10bと、連通孔10c、テーパ円筒部10dとから構成されている。なお、カバー10は、プレス加工によるプレス成形品であるが、特に限定するものではない。例えば、カバー10は、焼結品、鍛造品、切削品、射出成形品(金属、樹脂)のいずれから構成されるものあってもよい。
円筒部10aは、その内径が外輪2のインナー側開口部2aの外径よりも僅かに小さい外径に形成されている。これにより、円筒部10aは、外輪2のインナー側端に嵌合可能に形成されている。底部10bは、円筒部10aのインナー側端から径方向内側に突出して円環状に形成されている。連通孔10cは、底部10bの内周縁に形成される開口である。テーパ円筒部10dは、連通孔10cの周囲からインナー側に突出して形成される略円筒状の部分である。テーパ円筒部10dは、インナー側に向かうに従って僅かに拡径している。これにより、カバー10は、円筒部10aによって外輪2に嵌合され、インナー側開口部2a近傍に配置されている回転速度検出装置8の磁気エンコーダ9を保護している。円筒部10aと底部10bは、外輪2のインナー側端面から突出してカバー10の内側に磁気センサ11の検出部を配置するための空間を構成している。これにより、カバー10は、磁気エンコーダ9への飛石等による破損、泥土や磁性体等の付着による誤検出を防止するために磁気エンコーダ9を覆っている。また、底部10bには、磁気センサ11が設けられている。なお、底部10bには、カバー10内に入り込んだ粉塵や泥水等の異物を排出する図示しないドレーン孔が形成されている。
磁気センサ11は、非接触で磁気エンコーダ9から磁性を検出するものである。磁気センサ11は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等の磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子およびこの磁気検出素子の出力波形を整えるICが組み込まれた検出部11aと、信号線や電力線からなるハーネス部11bとから構成されている。磁気センサ11は、検出部11aが磁気エンコーダ9に対向するようにしてカバー10の底部10bに固定されている。磁気センサ11は、磁気エンコーダ9から検出部11aの略中央の磁気検出素子が配置されている磁気検出位置までの隙間がエアギャップ(軸方向すきま)になるように配置されている。磁気センサ11は、ハブ輪3および内輪4と一体的に回転することにより交互に検出部11aの磁気検出位置(磁気検出素子)を通過する磁気エンコーダ9の各磁性の変化を検出する。
このように構成される車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成され、ハブ輪3がインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bを介して外輪2に回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との隙間をインナー側シール部材6で塞がれ、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間をアウター側シール部材7で塞がれている。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの泥水等の侵入を防止しつつ、外輪2に支持されているハブ輪3が回転可能に構成されている。さらに、車輪用軸受装置1は、インナー側シール部材6のスリンガに設けられた磁気エンコーダ9と、外輪2に設けられたカバー10と、カバー10に設けられた磁気センサ11とから回転速度検出装置8が構成されている。これにより、車輪用軸受装置1は、ハブ輪3および内輪4と一体的に回転する磁気エンコーダ9の磁性の変化を外輪2に固定されている磁気センサ11により検出することでハブ輪3および内輪4の回転速度を検出可能に構成されている。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2が車体に固定され、ハブ輪3の内周面にその一側端部側からトルク伝達用の外側継手部材12がカバー10の連通孔10cを通じて嵌合されている。
次に、図3、図4および図5を用いて、カバー10(図3と図4とにおける薄墨部分)のテーパ円筒部10dの形状について詳細に説明する。
図3に示すように、テーパ円筒部10dは、底部10bからインナー側に離間するにつれて拡径するテーパ形状であり、軸方向に対して所定の傾斜角度θになるように形成されている。テーパ円筒部10dの内周面のアウター側端と外側継手部材12の肩部12aの外周面との間には、径方向の隙間G1が形成されている。また、テーパ円筒部10dの内周面のインナー側端と外側継手部材12の肩部12aの外周面との間において隙間G1の寸法より大きい寸法の径方向の隙間G2が形成されている。すなわち、テーパ円筒部10dの内周面は、アウター側端からインナー側端に向けて拡径して形成されているため、テーパ円筒部10dの内周面と外側継手部材12の肩部12aの外周面との間に、断面台形状の環状空間Sが形成されている。なお、図2、図3、図4においては、理解に供するためにテーパ円筒部10dの実際の傾斜角度より大きい傾斜角度で記載している。
また、傾斜角度θは、1度以上が好ましい。例えば、1度未満にした場合、後述する隙間G1と隙間G2における動圧効果による圧力差が小さくなり、十分な泥水等の侵入の阻害効果が期待できないからである。
また、図4に示すように、カバー10のテーパ円筒部10dの内周面には、動圧溝の一例であるへリングボーン形状溝20が形成されている。へリングボーン形状溝20は、V字形状の微細な凹凸部が複数周方向に並べられて形成されたものである。へリングボーン形状溝20は、動圧を発生させるための溝であり、流体の動圧効果で圧力を発生させることができる。また、隙間G1は、テーパ円筒部10dと対向する外側継手部材12の肩部12aの外周面との間に動圧効果が発生する程度に、近接している。なお、図4においては、理解に供するために実際のへリングボーン形状溝20とは大きさが異なるものであり、へリングボーン形状溝20の部分はイメージ図として記載している。また、図5において微小なサイズに形成されたへリングボーン形状溝20の一例を示す。
また、動圧溝としては、へリングボーン形状溝20以外に、例えば、複数の円弧からなる多円弧形状溝、スパイラル形状溝等であってもよく、溝内に満たされた流体が動圧作用を発生するものであればよい。
ここで、へリングボーン形状溝20が形成されたテーパ円筒部10dに連通孔10cを介して連通した外側継手部材12が周方向に回転した際に空間Sで発生する動圧効果によって発生する現象について説明する。
上述したように、隙間G2の寸法が隙間G1の寸法よりも大きくなっているため、外側継手部材12の回転時、動圧溝であるへリングボーン形状溝20による流体の引き込み力(ポンピング力)はインナー側(隙間G2側)よりもアウター側(隙間G1側)が相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の圧力差によって、テーパ円筒部10dの内周面と外側継手部材12の肩部12aの外周面との間の空間Sに流体が存在する場合は当該流体がインナー側へ流動する。すなわち、テーパ円筒部10dの内周面は、外側継手部材12の肩部12aに対して傾斜しているためへリングボーン形状溝20による動圧効果がインナー側とアウター側で異なり、狭い隙間側である隙間G1の発生圧力が隙間の広い側である隙間G2の発生圧力よりも高くなる。その発生圧力の差が流体の流れを生む原因となっているのである。したがって、本実施形態に係る車輪用軸受装置1は、上述した現象を利用したものであり、例えば、当該流体が泥水であった場合、泥水が空間Sに浸入した際には、上記発生圧力の圧力差により、泥水の外部から空間Sへの侵入を阻害することができる。したがって、本実施形態の車輪用軸受装置1によれば、カバー10の形状を大きく変更することなく泥水等の排出性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
加えて、本願における車輪用軸受装置1は、内方部材として一つの内輪が嵌合されたハブ輪を備え、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材である内輪とハブ輪の嵌合体で構成された第3世代構造としているが、これに限定するものではない。例えば、主に外方部材である外輪2と内方部材である一対の内輪3で構成された第1世代構造であってもよい。また、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材である一対の内輪で構成され、この一対の内輪がハブ輪の外周に嵌合される第2世代構造であってもよい。更に、内方部材としてハブ輪と自在継手が連結されており、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材であるハブ輪と自在継手の嵌合体で構成された第4世代構造であってもよい。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c・2d 外側転走面
2e 車体取り付けフランジ
3 ハブ輪
3a 小径段部
3b 車輪取り付けフランジ
4 内輪
5a インナー側ボール列
5b アウター側ボール列
9 磁気エンコーダ
10 カバー
10a 円筒部
10b 底部
10c 連通孔
10d テーパ円筒部
11 磁気センサ
11a 検出部
12 外側継手部材
20 ヘリングボーン形状溝(動圧溝)
2 外輪
2c・2d 外側転走面
2e 車体取り付けフランジ
3 ハブ輪
3a 小径段部
3b 車輪取り付けフランジ
4 内輪
5a インナー側ボール列
5b アウター側ボール列
9 磁気エンコーダ
10 カバー
10a 円筒部
10b 底部
10c 連通孔
10d テーパ円筒部
11 磁気センサ
11a 検出部
12 外側継手部材
20 ヘリングボーン形状溝(動圧溝)
Claims (2)
- 内周に複列の外側転走面が一体に形成され、車体に固定された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記内方部材のインナー側の端部に設けられる磁気エンコーダと、
前記外方部材のインナー側の開口部に嵌合されているカップ状のカバーと、
検出部が前記磁気エンコーダに対向するようにして前記カバーに設けられる磁気センサと、を備え、
前記ハブ輪と、等速自在継手を構成する外側継手部材とが着脱可能に結合される車輪用軸受装置であって、
前記カバーは、底部に前記外側継手部材を連通する連通孔が形成され、前記連通孔の周囲にインナー側に向かうに従って拡径するとともに内周面に動圧溝を設けたテーパ円筒部が形成される車輪用軸受装置。 - 前記動圧溝は、へリングボーン形状溝である請求項1に記載の車輪用軸受装置。
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-
2017
- 2017-03-16 JP JP2017051988A patent/JP2018155308A/ja active Pending
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| CN109980580A (zh) * | 2019-05-17 | 2019-07-05 | 上海电缆研究所有限公司 | 电缆敷设用装置 |
| CN109980580B (zh) * | 2019-05-17 | 2024-06-04 | 上海电缆研究所有限公司 | 电缆敷设用装置 |
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