JP2018167193A - 両面塗工装置および塗膜形成システム - Google Patents

両面塗工装置および塗膜形成システム Download PDF

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Abstract

【課題】 基材の両面に同時に塗工液を塗工する場合であっても、塗工液を均一に塗工することができる両面塗工装置および、その両面塗工装置を組み込んだ塗膜形成システムを提供する。【解決手段】 基材の搬送方向に対して上流側に位置し、基材と対向する上流側対向面を有する上流側リップと、基材の搬送方向に対して下流側に位置し、基材と対向する下流側対向面を有する下流側リップとを備える一対の塗工ノズルにおいて、それぞれの下流側リップは、下流側対向面から塗工液流路に連通する切り欠き部を有し、切り欠き部が吐出口の一部を構成することを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、基材の両面に化学電池材料などの塗工液を同時に塗工する両面塗工装置および、その両面塗工装置を組み込んだ塗膜形成システムに関する。
リチウムイオン電池などの化学電池の製造においては、金属箔等の基材をロールトゥロール方式にて搬送しつつ、その基材の表面に電極材料の塗工液を吐出して塗膜を形成する。また、電極を多層構造とするために、基材の表裏両面に塗膜を形成することが多く、基材の両面に電極材料の塗工液を吐出して塗膜を形成する両面塗工装置が知られている。このような両面塗工装置としては、まず基材の一方面に塗工液を塗工してから乾燥処理を行い、その後段で、さらに基材の他方面に塗工液を塗工して乾燥処理を行うものがある。このような両面塗工装置によっても、基材の両面に塗膜形成処理を行うことは可能であるが、該装置内に乾燥炉が2台必要となり、装置の全長が長くなるため、コストが増大する。
このため、乾燥処理を行う前に基材の両面に塗工液を塗工し、基材の両面に対して一括して乾燥処理を行う両面塗工装置が提案されている。
例えば、特許文献1では、基材を挟んで表面側と裏面側とに相対向するようにダイを設け、双方のダイから基材の表裏両面に塗工液を同時に吐出する両面塗工装置が提案されている。
また、特許文献2では、ノズルに塗工液を送液するポンプからの脈動を低減させる制御機構を設け、第1ノズルおよび第2ノズルの吐出圧力の脈動を制御することで、基材の表裏両面に塗工液を均一に塗工し、膜厚が均一な塗膜を形成できる両面塗工装置が提案されている。
特許文献1、2に開示されるような両面塗工装置では、基材の表裏両面に塗工液を塗工してから一括して乾燥処理を行うため、乾燥炉が1台で足りるとともに、電極の生産性が高まる。
特開2013−107053号公報 特開2015−150516号公報
しかし、特許文献1および特許文献2の両面塗工装置においては、基材のくせ、基材搬送時の振動、搬送張力などの不可避的要因によって塗工開始前に生じる、基材の搬送方向に対して直交する方向に波打ったような波板状の変形が考慮されていない。この波板状変形は、塗工が開始されると、塗工ノズルと基材との塗工ギャップが狭い場合や、塗工速度が速い場合、塗工液の粘度が高い場合において、塗工液の吐出圧によって基材の変形が助長される。このように基材に波板状変形があると、塗工ノズルと基材との塗工ギャップにバラツキが生じ、膜厚分布が不均一になるなど塗工ムラの原因となる。また、助長された波板状変形によって基材が塗工ノズルに接触すると、接触部分には塗工液が塗工されないため、基材の搬送方向に沿った筋状(ストライプ状)の塗工不良が発生する。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、基材の両面に同時に塗工液を塗工する場合であっても、膜厚が均一になるように塗工液を塗工することができる両面塗工装置および、その両面塗工装置を組み込んだ塗膜形成システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る両面塗工装置では、長尺状の基材を連続して搬送する搬送機構と、スリット状の吐出口が前記基材を挟んで対向して配置され、前記吐出口から前記基材の両面に塗工液を吐出する一対の塗工ノズルと、前記一対の塗工ノズルに塗工液を送液する送液手段と、を備え、前記一対の塗工ノズルは、前記基材の搬送方向に対して上流側に位置し、前記基材と対向する上流側対向面を有する上流側リップと、前記基材の搬送方向に対して前記上流側リップの下流側に位置し、前記基材と対向する下流側対向面を有する下流側リップと、前記上流側リップと前記下流側リップとの間に形成され、前記吐出口と連通する塗工液流路と、をそれぞれ有し、それぞれの少なくとも前記下流側リップが、前記下流側対向面から前記塗工液流路に連通し、前記吐出口が延びる方向に形成される下流側切り欠き部を有し、前記下流側切り欠き部が前記吐出口の一部を構成することを特徴とする。
第2の態様に係る両面塗工装置は、第1の態様に係る両面塗工装置であって、前記下流側切り欠き部は、前記下流側対向面と繋がり、前記基材から離間する方向に延びる下流側切り欠き側面と、前記塗工流路側面と繋がり、前記基材の搬送方向に延びるとともに前記切り欠き側面と繋がる下流側切り欠き底面と、を有し、前記下流側切り欠き側面と前記下流側切り欠き底面とのなす角が90度以上180度未満となることを特徴とする。
第3の態様に係る両面塗工装置は、第2の態様に係る両面塗工装置であって、前記下流側切り欠き側面と前記下流側切り欠き底面とのなす角が90度であることを特徴とする。
第4の態様に係る両面塗工装置は、第1ないし第3の態様のいずれか1つの態様に係る両面塗工装置であって、前記上流側リップは、前記上流側対向面から前記塗工液流路に連通し、前記吐出口が延びる方向に形成される上流側切り欠き部を有し、前記上流側切り欠き部が前記吐出口の一部を構成することを特徴とする。
第5の態様に係る塗膜形成システムは、第1ないし第4の態様のいずれか1つの態様に係る両面塗工装置と、前記両面塗工装置によって基材の両面に形成された塗工液の塗膜を乾燥させる乾燥部とを備えることを特徴とする。
第1から第4の何れの態様に係る両面塗工装置によっても、基材の両面に均一な膜厚となるように塗工液を塗工することができる。
第5の態様に係る塗膜形成システムによれば、基材の両面に均一な膜厚となるように塗工液を塗工することができ、さらに、それを乾燥させることで電極幕を形成することができる。
本発明に係る両面塗工装置を組み込んだ塗膜形成システムの全体構成を示す図である。 本発明の塗工ノズルの断面を示す模式図である。 図2の塗工ノズルの吐出口側から見た図である。 第1送液機構および第2送液機構の構成を示す図である。 比較例に係る従来の塗工ノズルの構成を示す断面図である。 基材の波板状変形を示す模式図である。 比較例に係る塗工ノズルを用いた場合の基材の波板状変形によって発生する筋状の塗工不良を示す模式図である。 比較例に係る塗工ノズルを用いた場合の筋状の塗工不良が発生するメカニズムを模式的に示す図である。 図2の吐出口近傍の拡大図である。 本発明に係る塗工ノズルを用いた場合の基材の波板状変形が押し戻されるメカニズムを模式的に示す図である。 本発明の塗工ノズルの他の例の構成を示す断面図である。 図11の吐出口近傍の拡大図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る両面塗工装置を組み込んだ塗膜形成システム1の全体構成を示す図である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
図1を参照しつつ塗膜形成システム1について説明する。この塗膜形成システム1は、基材5として長尺状の金属箔をロールトゥロール方式にて搬送しつつ、その基材5の両面に電極材料である活物質を含む塗工液を塗工し、その塗工液の乾燥処理を行ってリチウムイオン二次電池の電極製造を行う装置である。塗膜形成システム1は、主として両面塗工装置10と乾燥部80とで構成される。また、塗膜形成システム1は、システム全体を管理する制御部90を備える。
両面塗工装置10は、主として基材5を挟んで対向して配置され、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40とで構成される基材5の両面に塗工液を塗工する一対の塗工ノズル100(図2)と、基材5を搬送する搬送機構60と、第1塗工ノズル20に塗工液を供給する第1送液機構30および第2塗工ノズル40に塗工液を供給する第2送液機構50とを備える(図4)。
第1塗工ノズル20は、基材5の上方に配置され、基材5の表面に塗工液を吐出する。第2塗工ノズル40は、基材5の下方に配置され、基材5の裏面に塗工液を吐出する。なお、基材5の「表面」とは、基材5の2つの面のうちの一方主面(第1面)であり、「裏面」とはその反対側の他方主面(第2面)である。すなわち、基材5の表面および裏面は、基材5の両面を単に識別するための表記であり、いずれか特定の面が表面または裏面に限定されるものではない。本実施形態において、一対の塗工ノズル100を区別して説明するときは、第1塗工ノズル20、第2塗工ノズル40と称し、共通して説明する際は一対の塗工ノズル100と称して以降では説明する。一対の塗工ノズル100の詳細については後述する。
搬送機構60は、巻き出しローラ(第1ローラ)61、巻き取りローラ(第2ローラ)62および複数の補助ローラ63を備える。長尺の基材5は、巻き出しローラ61から送り出されて複数の補助ローラ63に案内されつつ巻き取りローラ62によって巻き取られることにより、一対の塗工ノズル100、乾燥部80の順にロールトゥロール方式にて連続して搬送される。なお、補助ローラ63の個数および配置については、図1の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜、増減することができる。但し、本発明に係る両面塗工装置10は、基材5の裏面にも第2塗工ノズル40から塗工液を塗工するため、裏面側の塗工液が乾燥していない第2塗工ノズル40と乾燥部80との間に、塗工液が塗工された領域に接触する補助ローラ63を設けることは好ましくない。なお、塗工液が塗工されていない非塗工領域にのみ接触する補助ローラを設けることは可能である。
乾燥部80は、一対の塗工ノズル100によって基材5の両面に形成された塗工液の塗膜の乾燥処理を行う。乾燥部80は、搬送機構60によって搬送される基材5を加熱することによって、塗工液に含まれる溶剤を蒸発させて乾燥処理を行う。乾燥部80は、例えば、塗工液の塗膜を緩やかに昇温させる予熱部、塗膜を所定温度にまで昇温して主たる加熱を行うメイン乾燥部、加熱された塗膜を冷却する冷却部などを備えていても良い。なお、このような乾燥機構としては、熱風を基材5の両面から吹き付ける熱風乾燥処理等を採用することができる。このような乾燥機構を用いることで、供給する気体の温度を変更するだけでメイン乾燥部、冷却部等を容易に実現できる。
制御部90は、塗膜形成システム1に設けられた各動作機構を制御して基材5に対する塗膜形成処理を進行させる。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって塗膜形成システム1における塗膜形成処理が進行する。
図2、3を用いて、一対の塗工ノズル100について説明する。図2は一対の塗工ノズル100から基材5に塗工液が吐出される状態を説明するため、一対の塗工ノズル100の断面を示す模式図である。また、図3は一対の塗工ノズル100の吐出口側から見た図である。
上述したように、一対の塗工ノズル100は、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40を備える。第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40は、搬送機構60によって搬送される基材5を挟んで相対向する位置に配置されている。本実施形態においては、搬送機構60によって略水平方向に沿って搬送される基材5の上方に第1塗工ノズル20が設けられ、下方に第2塗工ノズル40が設けられる。第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40は概ね基材5に対して上下対称となる構成を有する。また、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40は、例えばステンレススチールにて形成されている。
第1塗工ノズル20は、基材5の搬送方向に対して上流側に位置し、基材5と対向する上流側対向面221を有する第1上流側リップ22と、基材5の搬送方向に対して第1上流側リップ22の下流側に位置し、基材5と対向する下流側対向面231を有する第1下流側リップ23と、第1上流側リップ22と第1下流側リップ23との間に流路を形成するために設けられるシム25とを有し、第1上流側リップ22と第1下流側リップ23との間にシム25によって形成された第1塗工液流路24を通じて、基材5に塗工液を吐出する基材5の幅方向に沿ったスリット状の吐出口21を備えたスリットノズルである。
同様に、第2塗工ノズル40は、基材5の搬送方向に対して上流側に位置し、基材5と対向する上流側対向面421を有する第2上流側リップ42と、基材5の搬送方向に対して第2上流側リップ42の下流側に位置し、基材5と対向する下流側対向面431を有する第2下流側リップ43と、第2上流側リップ42と第2下流側リップ43との間に流路を形成するために設けられるシム45とを有し、第2上流側リップ42と第2下流側リップ43との間にシム45によって形成された第2塗工液流路44を通じて、基材5に塗工液を吐出する基材5の幅方向に沿ったスリット状の吐出口41を備えたスリットノズルである。
なお、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40の詳細については後述する。
続いて、第1塗工ノズル20、第2塗工ノズル40に塗工液を供給する送液手段について図4を用いて説明する。図4は、送液手段として、第1塗工ノズル20に塗工液を供給する第1送液機構30、第2塗工ノズル40に塗工液を供給する第2送液機構50の構成を示す図である。同図に示すように、第1送液機構30および第2送液機構50は同一の構成を備えるため、第1送液機構についてのみ説明し、第2送液機構については説明を省略する。
第1送液機構30は、塗工液を貯留するタンク31と、塗工液を圧送するポンプ32と、タンク31と第1塗工ノズル20とをつなぐ送液配管36と、送液配管36中に介挿されるバルブ33と、送液配管36内の液圧を測定する圧力センサ34と、第1塗工ノズル20の吐出圧を測定する圧力センサ35および送液配管36を備える。
タンク31は、リチウムイオン二次電池の電極材料である活物質を含む溶液を塗工液として貯蔵する。タンク31には、攪拌機およびエア加圧ユニットなどが付設されていても良い。攪拌機は、タンク31に貯留されている塗工液を攪拌して活物質の濃度分布を均一にする。エア加圧ユニットは、高圧の空気をタンク31内の気相部分に送り込んで貯留されている塗工液の液面を加圧する。
送液配管36はタンク31と第1塗工ノズル20との間を接続する。送液配管36の経路途中には、ポンプ32およびバルブ33が介挿されており、送液配管36を介してタンク31に貯留されている塗工液を第1塗工ノズル20に向けて送液する。このような、送液配管36としては、ステンレス管または樹脂管を用いることができる。
ポンプ32は、タンク31に貯留されている電極材料の塗工液を第1塗工ノズル20に向けて圧送する。ポンプ32としては、例えば駆動モータとしてサーボモータを用いた回転ポンプを採用することができる。バルブ33は、送液配管36の流路を開閉することによって第1塗工ノズル20への塗工液の供給を断続させる。バルブ33が送液配管36の流路を開放しているときには第1塗工ノズル20から塗工液が吐出され、閉止しているときには第1塗工ノズル20からの吐出が停止される。
送液配管36のポンプ32よりも下流側(第1塗工ノズル20に近い側)には圧力センサ34が接続されている。圧力センサ34は、送液配管36内の液圧を測定し、ポンプ32が第1塗工ノズル20に塗工液を圧送する送液圧を測定する。また、第1塗工ノズル20には圧力センサ35が付設されている。圧力センサ35は、第1塗工ノズル20の吐出口21からの吐出圧を測定する、圧力センサ34、35、ポンプ32およびバルブ33は制御部90に電気的に接続されている。圧力センサ34、35の測定結果は制御部90に伝達され、制御部90はポンプ32およびバルブ33の動作を制御して第1塗工ノズル20からの吐出圧を規定し、所定の吐出圧で第1塗工ノズル20から塗工液を吐出する。
以上、第1送液機構30について説明を行った。上述した第1送液機構30を第2送液機構50の説明に置き換える場合は、タンク31をタンク51、ポンプ32をポンプ52、送液配管36を送液配管56、バルブ33をバルブ53、圧力センサ34、35を圧力センサ54、55と読み替えれば良い。
第1送液機構30および第2送液機構50には、吐出停止時に塗工液をタンク31、51に還流する還流配管が設けられていても良い。還流配管は、送液配管36、56におけるポンプ32、52とバルブ33、53との間から分岐されてタンク31、51に接続される。塗工液の供給停止時に、ポンプ32、52の作動を継続しつつバルブ33、53が送液配管36、56の流路を閉止したときに、ポンプ32、52から圧送された塗工液は還流配管を通ってタンク31、51に戻される。
さらに、送液配管36、56にはフィルタが設けられていても良い。フィルタは、例えばバルブ33、53と第1塗工ノズル20、第2塗工ノズル40との間に設けられ、送液配管36、56を流れる塗工液から異物を取り除く。
上述のような構成を備える塗膜形成システム1にて電極製造を行うときには、搬送機構60によって基材5をロールトゥロールで連続搬送しつつ、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40によって基材5の表裏面に塗工液の同時塗工を行う。塗工の対象となる基材5は、リチウムイオン二次電池の集電体として機能する金属箔である。塗膜形成システム1にてリチウムイオン二次電池の正極を製造する場合には、基材5として例えばアルミニウム箔(Al)を用いることができる。また、塗膜形成システム1にて負極を製造する場合には、基材5として例えば銅箔(Cu)を用いることができる。基材5は長尺のシート状の金属箔であり、その幅および厚さについては特に限定されるものではないが、例えば幅600mm〜700mm、厚さ10μm〜20μmとすることができる。
塗膜形成システム1にて正極を製造する場合には、正極材料の塗工液として、例えば正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)、導電助剤であるカーボン(C)、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の混合液を用いる。コバルト酸リチウムに代えて、正極活物質としてニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、燐酸鉄リチウム(LiFePO)などを用いることもできる。
一方、塗膜形成システム1にて負極を製造する場合には、負極材料の塗工液として、例えば負極活物質である黒鉛(グラファイト)、結着剤であるPVDF、溶剤であるNMPの混合液を用いる。黒鉛に代えて、負極活物質としてハードカーボン、チタン酸リチウム(LiTi12)、シリコン合金、スズ合金などを用いることもできる。また、正極材料および負極材料の双方において、結着剤としてPVDFに代えてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを使用することができ、溶剤としてNMPに代えて水(HO)などを使用することができる。さらに、結着剤としてSBR、溶剤として水を用いる場合には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用することもできる。これら正極材料および負極材料の塗工液は固体(微粒子)が分散されたスラリーであって、その粘度はいずれも1Pa・s(パスカル秒)以上であり、一般的にチクソトロピー性を有する。
基材5の表面および裏面には同種の塗工液が塗工される。例えば、第1塗工ノズル20から基材5の表面に正極材料の塗工液を塗工するのであれば、第2塗工ノズル40からも基材5の裏面に正極材料の塗工液を塗工する。また、基材5の表面に第1塗工ノズル20から負極材料の塗工液を塗工するのであれば、基材5の裏面にも第2塗工ノズル40から負極材料の塗工液を塗工する。
次に、図5〜8に示す比較例を用いて筋状の塗工不良が発生するメカニズムについて説明する。図5は従来の塗工ノズルの構成を示す断面図であり、図6は、基材に生じる波板状の変形を模式的に示す図であり、図7は従来の塗工ノズルを用いた際に発生した筋状の塗工不良を模式的に示す図であり、図8は従来の塗工ノズルを用いた際に筋状の塗工不良が発生するメカニズムを模式的に示す図である。
図5に示すように従来の一対の塗工ノズル1000は、第1塗工ノズル200と第2塗工ノズル400とが基材50を挟んで相対向するように(厳密には、吐出口210と吐出口410とが相対向するように)設置されている。また、第1塗工ノズル200は、第1上流側リップ220と、第1下流側リップ230及び図示を省略するシムとによって構成されている。そして、基材50と対向する上流側対向面2210と下流側対向面2310とを有する。特に後述する本発明に係る第1塗工ノズル20(図9参照)と異なる点は、下流側対向面2310に第1塗工液流路240に連通する切り欠き部を有しない点である。言い換えると、第1下流側リップ230の下流側対向面2310は基材50に対して一の平行面を形成している。
図6で示すように、このような一対の塗工ノズル1000に対して、基材のくせ、基材搬送時の振動、搬送張力などに起因して基材50の幅方向に波板状の変形が生じた場合、波板状の基材50の頂点部分が第1塗工ノズル200および第2塗工ノズル400に接触すると、当該接触部分には塗工液が塗工されないため、図7で示すような搬送方向AR1に伸びる筋状の塗工不良が発生する。
図8を参照しつつ筋状の塗工不良が発生するメカニズムを説明する。図8は、第1塗工ノズル200と基材50および第2塗工ノズル400と基材50との間の塗工液のメニスカス位置M1、M2と、第1塗工ノズル200および第2塗工ノズル400のノズルの位置による塗工液が基材5に与える圧力分布を示す図である。
吐出口210および吐出口410付近で、基材5の波板状の変形の頂点部分が第2塗工ノズル400側(吐出口410側)に向いている場合、第1塗工ノズル200と基材50との塗工ギャップは広くなるため、第1塗工ノズル200と基材50との間の塗工液の流量は増加する。これに対し、第2塗工ノズル400と基材50との塗工ギャップは狭くなるため、第2塗工ノズル400と基材50との間の塗工液の流量は減少する。
そうすると、図8に示すように、第2塗工ノズル400と基材50との間の塗工液のメニスカス位置M2は、第1塗工ノズル200と基材50との間の塗工液のメニスカス位置M1よりも下流側になる。このときの塗工液が基材5に与える圧力分布の面積は、第2塗工ノズル400側より第1塗工ノズル200側の方が大きく、第1塗工ノズル200側から基材50にかかる圧力の方が大きい。すなわち、基材50が変形している方向へ掛かる圧力の方が大きいため、基材50の変形はさらに進む。このような現象が生じることで比較例においては、基材50上に筋状の塗工不良が発生する。
これに対し、本発明に係る一対の塗工ノズル100では図9、10に示すようにノズルを構成している。図9は、図2の吐出口近傍の拡大図であり、図10は、本発明に係る一対の塗工ノズル100を用いた場合の基材5の波板状変形が押し戻されるメカニズムを模式的に示す図である
図9に示すように、本発明に係る一対の塗工ノズル100は、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40における第1下流側リップ23および第2下流側リップ43の形状を変形している。具体的には、第1下流側リップ23は、下流側対向面231から第1塗工液流路24に連通し、吐出口21が延びる方向に形成される切り欠き部26を有し、切り欠き部26が吐出口21の一部を構成している。同様に、第2下流側リップ43は、下流側対向面431から第2塗工液流路44に連通し、吐出口41が延びる方向に形成される切り欠き部46を有し、切り欠き部46が吐出口41の一部を構成している。第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40は同一の構成を有しているため第1塗工ノズルについてのみ説明し、第2塗工ノズル40については説明を省略する。
第1塗工ノズル20の切り欠き部26は、吐出口21と同様に長尺状の形状であり下流側対向面231に対して、基材5の表面から遠ざかるように凹み状の段差を形成している。具体的には、切り欠き部26は、下流側対向面231と繋がり、下流側対向面231に対して基材5の表面から離間する方向に延びる下流側切り欠き側面L1と、塗工液流路側面と繋がり、基材5の搬送方向AR1に延びるとともに下流側切り欠き側面L1と繋がる下流側切り欠き底面L2とから構成されている。さらに下流側切り欠き側面L1と下流側切り欠き底面L2とのなす角αは、90度以上180度未満となる。このような角度αとなることで、基材5の変形が押し戻される方向に力が働くことから、基材5は平坦になる。したがって、基材5に対して塗工液を均一に塗工でき、塗工ムラ等の塗工不良は発生しなくなる。なお、角度αは90度とすることが好ましい。90度とすることでより加工が容易になりコスト増加を抑制できる。なお、角度αが90度をなすとは、下流側切り欠き側面L1と下流側切り欠き底面L2が直角に交わるだけなく、加工精度上の問題で局面を形成する状態も含むものである。すなわち、下流側切り欠き側面L1と下流側切り欠き底面L2が延びる先で理想的に90度に交わる関係を意味している。
以上、第1塗工ノズル20について説明を行った。上述した第1塗工ノズル20を第2塗工ノズル40の説明に置き換える場合は、吐出口21を吐出口41、切り欠き部26を切り欠き部46、下流側対向面231を下流側対向面431と読み替えれば良い。
図10は、第1下流側リップ23および第2下流側リップ43の形状を前述した形状に変形させた第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40のノズルの位置による塗工液が基材5に与える圧力分布を示す図である。吐出口21、41の幅を広げることで、従来の塗工ノズルを用いた図8の場合と比較して、第1塗工ノズル20側も第2塗工ノズル40側も圧力ピークの位置が広がっている。また、吐出口付近のみに着目した場合の塗工液が基材5に与える圧力は、吐出口21、41と基材5との距離では吐出口41と基材5の方が近いため、第1塗工ノズル20側よりも第2塗工ノズル40側からの方が大きい。すなわち、第1塗工ノズル20側より第2塗工ノズル40側の圧力分布の圧力ピークの方が高いことから、圧力分布の面積の大きさは逆転する。そのため、塗工液が基材5に与える圧力は、第2塗工ノズル40側からの方が大きくなり、基材5の変形は押し戻される。
また、吐出口21および吐出口41付近で、基材5の波板状の変形のピーク部分が第1塗工ノズル20側(吐出口21側)に向いている場合においても、上述の効果と同様の効果が得られ、基材5の変形は押し戻される。
すなわち、基材5の波板状の変形のピーク部分が第1塗工ノズル20側(吐出口21側)および第2塗工ノズル40側(吐出口41側)のどちら側に向いていようと、基材5の変形が押し戻される方向に力が働くことから、基材5は平坦になる。したがって、基材5に対して塗工液を均一に塗工でき、塗工ムラ等の塗工不良は発生しなくなる。
また、本実施形態では、上述したように第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40の吐出口21、41の形状を変形させることによって、基材5にかかる塗工液からの圧力を調整しているので、塗工時の塗工速度や塗工液の粘度などに制限がない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、第1下流側リップ23および第2下流側リップ43の下流側リップのみ形状を変形させたが、図11、12に示すように、第1上流側リップ22および第2上流側リップ42も下流側リップと同様の形状に変形させていてもよい
具体的には、上流側切り欠き部27は、上流側対向面221と繋がり、上流側対向面221に対して基材5の表面から離間する方向に延びる下流側切り欠き側面F1と、塗工液流路側面と繋がり、基材5の搬送方向AR1の反対方向に延びるとともに上流側切り欠き側面F1と繋がる上流側切り欠き底面F2とから構成されている。さらに上流側切り欠き側面F1と上流側切り欠き底面F2とのなす角βは、90度以上180度未満となる。このような角度βとなることで、基材5の変形が押し戻される方向に力が働くことから、基材5は平坦になる。
したがって、基材5に対して塗工液を均一に塗工でき、塗工ムラ等の塗工不良は発生しなくなる。なお、角度βは90度とすることが好ましい。90度とすることでより加工が容易になりコスト増加を抑制できる。なお、角度βが90度をなすとは、上流側切り欠き側面F1と上流流側切り欠き底面F2が直角に交わるだけなく、加工精度上の問題で局面を形成する状態も含むものである。すなわち、上流側切り欠き側面F1と上流側切り欠き底面F2が延びる先で理想的に90度に交わる関係を意味している。
以上、本発明について説明したが、第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40は、1本のスリット状の吐出口21、41を有するスリットノズルに限定されるものではなく、複数本のスリットを有するものであっても良い。
また、上記実施形態においては、基材5の上下に第1塗工ノズル20および第2塗工ノズル40を設けて両面同時塗工を行っていたが、基材5を水平面から傾けて搬送しつつ、その基材5を挟んで対向する位置に2つの塗工ノズルを設けて両面同時塗工を行うようにしても良い。例えば、基材5を鉛直方向に沿って搬送しつつ、その基材5を挟んで水平方向に沿って2つの塗工ノズルを設けて両面同時塗工を行うようにしても良い。
また、本発明に係る技術を用いて塗膜形成処理を行う対象となる塗工液はリチウムイオン二次電池の電極材料に限定されるものではなく、例えば太陽電池材料(電極材料、封止剤)の塗工液または電子材料の絶縁膜や保護膜の塗工液であっても良い。或いは、顔料や接着剤の塗工液を塗布するのに、本発明に係る技術を用いるようにしても良い。
1 塗膜形成システム
5 基材
10 両面塗工装置
20 第1塗工ノズル
21、41 吐出口
22 第1上流側リップ
23 第1下流側リップ
24 第1塗工液流路
26、46 切り欠き部
30 第1送液機構
40 第2塗工ノズル
42 第2上流側リップ
43 第2下流側リップ
44 第2塗工液流路
50 第2送液機構
60 搬送機構
61 巻き出しローラ(第1ローラ)
62 巻き取りローラ(第2ローラ)
80 乾燥部
90 制御部

Claims (5)

  1. 長尺状の基材を連続して搬送する搬送機構と、
    スリット状の吐出口が前記基材を挟んで対向して配置され、前記吐出口から前記基材の両面に塗工液を吐出する一対の塗工ノズルと、
    前記一対の塗工ノズルに塗工液を送液する送液手段と、を備え、
    前記一対の塗工ノズルは、
    前記基材の搬送方向に対して上流側に位置し、前記基材と対向する上流側対向面を有する上流側リップと、
    前記基材の搬送方向に対して前記上流側リップの下流側に位置し、前記基材と対向する下流側対向面を有する下流側リップと、
    前記上流側リップと前記下流側リップとの間に形成され、前記吐出口と連通する塗工液流路と、をそれぞれ有し、
    それぞれの少なくとも前記下流側リップが、前記下流側対向面から前記塗工液流路に連通し、前記吐出口が延びる方向に形成される下流側切り欠き部を有し、前記下流側切り欠き部が前記吐出口の一部を構成する、
    ことを特徴とする両面塗工装置。
  2. 請求項1に記載の両面塗工装置であって、
    前記下流側切り欠き部は、
    前記下流側対向面と繋がり、前記基材から離間する方向に延びる下流側切り欠き側面と、
    前記塗工液流路側面と繋がり、前記基材の搬送方向に延びるとともに前記切り欠き側面と繋がる下流側切り欠き底面と、を有し、
    前下流側記切り欠き側面と前記下流側切り欠き底面とのなす角が90度以上180度未満となることを特徴とする両面塗工装置。
  3. 請求項2に記載の両面塗工装置であって、
    前記下流側切り欠き側面と前記下流側切り欠き底面とのなす角が90度であることを特徴とする両面塗工装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の両面塗工装置であって、
    前記上流側リップは、前記上流側対向面から前記塗工液流路に連通し、前記吐出口が延びる方向に形成される上流側切り欠き部を有し、前記上流側切り欠き部が前記吐出口の一部を構成することを特徴とする両面塗工装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の両面塗工装置と、
    前記両面塗工装置によって基材の両面に形成された塗工液の塗膜を乾燥させる乾燥部と、を備える、
    ことを特徴とする塗膜形成システム。
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