JP2019014683A - 多能性幹細胞からのテラトーマ形成抑制剤及びその用途 - Google Patents

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Yusuke Furukawa
雄祐 古川
次郎 菊池
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次郎 菊池
祟史 梅原
Takashi Umehara
祟史 梅原
心 佐藤
Kokoro Sato
心 佐藤
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Abstract

【課題】多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体を移植した後に、該細胞又はその構造体において、腫瘍の形成を実質的に予防し得る手段の提供。【解決手段】式(I)で表される化合物を含む組成物。[LはC1〜C6アルキレンカルボニル等;Aは-NR3R4;R3及びR4はそれらが結合する窒素原子と一緒に、更にN,S及びOから選択される1ケ以上のヘテロ原子を含む4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルの形成]【選択図】なし

Description

本発明は、多能性幹細胞からのテラトーマ形成抑制剤及びその用途に関する。
誘導多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells、以下、「iPS細胞」とも記載する)及び胚性幹細胞(embryonic stem cells、以下、「ES細胞」とも記載する)等の多能性幹細胞を用いる再生医療は、これまで治療法のなかった疾患に対しても有効性が期待されている。例えば、日本においては、現在、加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞を用いた臨床研究が進行中である。
多能性幹細胞は、そのままの状態で対象に移植すると、細胞の分化及び増殖が無秩序に進み、奇形腫(以下、「テラトーマ」とも記載する)と呼ばれる腫瘍を形成する。形成初期のテラトーマは、良性の腫瘍であるが、やがて転移能を有する奇形癌腫(以下、「テラトカルシノーマ」とも記載する)に変化して、悪性腫瘍又は癌となる。それ故、多能性幹細胞に由来する細胞又はその構造体中に幹細胞が残存している場合、移植後にテラトーマの形成が危惧される。
多能性幹細胞を用いる再生医療において、腫瘍が形成された場合の処置としては、現在は、該腫瘍を外科的に切除する以外に有効な方法は確立されていない。このため、テラトーマ及び/又はテラトカルチノーマの形成の予防又は処置の技術が必要とされている。
例えば、特許文献1は、自殺遺伝子を用いる腫瘍細胞の除去方法を記載する。当該文献に記載の方法では、まず、ドキシサイクリン等の薬剤投与により発現が誘導されるプロモーターと共に、自殺遺伝子を多能性幹細胞に導入する。移植後に腫瘍が形成された場合、ドキシサイクリンの投与により、自殺遺伝子の発現を誘導して、腫瘍細胞を含む移植細胞に細胞死を誘導する。
また、腫瘍細胞の元になる多能性幹細胞を、移植前に除去する方法の開発が進められている。例えば、多能性幹細胞に特異的に細胞死を誘導する低分子阻害剤を用いる方法、或いは、多能性幹細胞に特異的に結合するレクチンに毒物を付加した化合物を用いる方法が開発されている(非特許文献1及び2)。
最近になって、iPS細胞から発生したテラトーマでは、遺伝子変異はみられず、DNAメチル化レベルの変化による遺伝子発現変化が報告された(非特許文献3)。この報告は、テラトーマ形成が、遺伝子変異ではなく遺伝子発現の変化、いわゆるエピジェネティクレベルの変化に依存することを示唆している。
特表2015-504678号公報
Tateno Hら, Stem Cell Rep, 第4巻, p. 811-820, 2015年 Lee MOら, Proc Natl Acad Sci, U.S.A, 第110巻, E3281, 2013年 Ohnishi Kら, Cell, 第156巻, p. 663-677, 2014年
多能性幹細胞に由来する腫瘍の形成の予防又は処置の公知技術には、いくつかの問題点が存在した。例えば、特許文献1に記載の方法の場合、移植した細胞の全てに自殺遺伝子が組み込まれるため、原理的に、腫瘍細胞のみを除去することは困難である。また、この方法は、腫瘍形成の予防に用いることができないだけでなく、外来遺伝子導入に伴う新たな腫瘍形成の可能性がある。
非特許文献1及び2に記載の方法の場合、移植後における腫瘍形成の予防、又は形成された腫瘍の除去は困難である。
このように、多能性幹細胞を用いる再生医療において、移植後の腫瘍形成の予防及び形成された腫瘍の除去に有効な方法は、現在のところ確立されていない。このため、多能性幹細胞を用いる再生医療においては、移植後の患者の安全性を十分に確保し得ない場合がある。加えて、多能性幹細胞からの機能細胞の作製及び単離技術の確立、並びに移植前の細胞の厳密な品質管理等に、多大な労力及びコストが必要となる。これらの点は、再生医療の進展及び安全性確保における、大きな隘路となっている。
それ故、本発明は、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体を移植した後に、該細胞又はその構造体において、腫瘍の形成を実質的に予防し得る手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、エピジェネティックな制御に関与する酵素であるリジン特異的脱メチル化酵素1(以下、「LSD1」とも記載する)に対して阻害活性を有する特定の新規化合物が、テラトーマ形成を抑制し得ることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I):
[式中、
Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成抑制剤。
(2) R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9は、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
R11は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
前記実施形態(1)に記載のテラトーマ形成抑制剤。
(3) R8は、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9は、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10は、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
前記実施形態(2)に記載のテラトーマ形成抑制剤。
(4) Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-である、前記実施形態(1)〜(3)のいずれかに記載のテラトーマ形成抑制剤。
(5) Lが、メチレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
R8が、メチルであり、
R9が、水素である、
前記実施形態(1)〜(4)のいずれかに記載のテラトーマ形成抑制剤。
(6) 式(I):
[式中、
Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成の抑制に使用するための医薬。
(7) R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9は、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
R11は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
前記実施形態(6)に記載の医薬。
(8) R8は、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9は、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10は、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
R11は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
前記実施形態(7)に記載の医薬。
(9) Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-である、前記実施形態(6)〜(8)のいずれかに記載の医薬。
(10) Lが、メチレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
R8が、メチルであり、
R9が、水素である、
前記実施形態(6)〜(9)のいずれかに記載の医薬。
(11) 多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍の予防又は治療に使用するための、前記実施形態(6)〜(10)のいずれかに記載の医薬。
(12) 式(I):
[式中、
Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む、テラトーマ形成の抑制に使用するための医薬組成物。
本発明により、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体を移植した後に、該細胞又はその構造体において、腫瘍の形成を実質的に予防し得る手段を提供することが可能となる。
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、健常人由来の線維芽細胞(フィブロブラスト)、末梢血T-リンパ球(T-細胞)、誘導多能性幹細胞(hiPSC)201B株、201B株を免疫不全マウス皮下に移植し3週間後に形成したテラトーマ、悪性腫瘍細胞K562株、HeLa細胞株、及びHEK293細胞株におけるタンパク質発現量をイムノブロットにより解析した結果を示す。A:イムノブロットの結果、B:フィブロブラストの値を1.0とした時の、各シグナル強度の相対値。 図2は、健常人由来のフィブロブラスト、T-細胞、hiPSC 201B株、201B株を免疫不全マウス皮下に移植し3週間後に形成したテラトーマ、悪性腫瘍細胞K562株、HeLa細胞株、及びHEK293細胞株における遺伝子発現量を定量PCR法により解析した結果を示す。 図3は、テラトーマ組織切片のHE染色、並びにHDAC1、HDAC6又はLSD1に対する特異抗体及びAlexa-488標識2次抗体を用いる蛍光免疫染色の結果を示す。図中、緑色は、HDAC1、HDAC6又はLSD1によるシグナルを、青色は、DAPI染色による細胞核を示す。 図4は、ChiPS17株にLSD1遺伝子を強発現させた3個のクローン亜株(E7、F6及びH12)におけるLSD1遺伝子発現を定量PCRにより解析した結果を示す。 図5は、ChiPS17株にLSD1遺伝子を強発現させた3個のクローン亜株(E7、F6及びH12)におけるタンパク質発現量をイムノブロットにより解析した結果を示す。A:イムノブロットの結果、B:ベクターのみを導入した亜株(mock)のタンパク質発現量を1.0 とした時の、それぞれのタンパク質発現量の相対値。 図6は、ChiPS17亜株(H12株)の細胞を6〜8週齢の免疫不全マウスの皮下へ移植後22日目及び49日目に採取したテラトーマの写真を示す。A:移植後22日目の結果、B:移植後49日目の結果。 図7は、ChiPS17亜株(H12株)の細胞を6〜8週齢の免疫不全マウスの皮下へ移植後22日目及び49日目に採取したテラトーマの重量(平均値±標準偏差値)を示す。A:移植後22日目の結果、B:移植後49日目の結果。*は、スチューデントt-検定により算出した、mockに対するp値が0.05以下であることを示す。 図8は、ChiPS17亜株(H12株)の細胞を6〜8週齢の免疫不全マウスの皮下へ移植後22日目及び49日目に採取したテラトーマ切片のHE染色結果を示す。A:移植後22日目の結果、B:移植後49日目の結果。 図9は、ChiPS17株の細胞を皮下移植した6〜8週齢の免疫不全マウスに公知の酵素阻害剤を投与した投与群及び対照群において、移植後56日目に採取したテラトーマの写真を示す。A:対照群、B:ツバスタチンA投与群、C:ボルテゾミブ投与群。 図10は、合成化合物1投与群及び対照群のマウスの移植後8日目及び40日目におけるルシフェラーゼ活性の測定結果を示す。 図11は、合成化合物1投与群及び対照群のマウスの移植後8日目及び40日目におけるルシフェラーゼ活性の平均値±標準偏差値を示す。*は、スチューデントのT検定により算出した、対照群の値に対するp値が0.05以下であったことを示す。 図12は、移植後40日目に採取したテラトーマの写真を示す。 図13は、移植後40日目に採取したテラトーマの重量(平均値±標準偏差値)を示す。*は、スチューデントt-検定により算出した、対照群の値に対するp値が0.05以下であることを示す。 図14は、移植後40日目に採取したテラトーマ切片のHE染色の結果を示す。 図15は、テラトーマの凍結切片の蛍光免疫染色の結果を示す。上段から順に、抗活性化型カスパーゼ-3(active-casp.3)抗体(赤色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、抗c-myc抗体(赤色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、抗H3K4me2抗体(緑色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、並びに抗H3K9me2抗体(緑色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 定義>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1〜C5アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても5個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-ペンチル等の直鎖又は分枝鎖のC1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、3-メチルブタ-2-エン-1-イル及び1-ペンテニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3〜C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3〜C6シクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4〜C6シクロアルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4〜C6シクロアルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3〜6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。好適なヘテロシクロアルケニルは、限定するものではないが、ジヒドロピロール及びテトラヒドロピリジン等の5員又は6員のヘテロシクロアルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7〜C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1〜C5アルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3〜C6シクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6〜C18アリールを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7〜C20アリールアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5〜15員のヘテロアリールを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6〜C15アリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7〜C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5〜15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される一価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1〜C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7〜C120芳香族アシルを包含するC1〜C20アシルを挙げることができる。
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の前記で説明した一価基によってさらに置換することもできる。
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
<2. テラトーマ形成抑制剤>
本明細書において、「エピジェネティックス」は、ゲノムDNAとヒストンタンパク質等とから構成されるクロマチンの化学的及び/又は構造的な修飾を介する遺伝子発現の制御機構を意味する。コアヒストンのN末端領域は、アセチル化、メチル化、リン酸化及びユビキチン化等の様々な修飾を受け得る。これに伴い、クロマチン構造が変化し、遺伝子発現に影響を与える。エピジェネティックな制御に関与するこれらの化学的及び/又は構造的な修飾は、クロマチンの部位、及び修飾を受けるリジン残基の位置等の点で多様性に富む。それ故、エピジェネティックな制御は、可塑性が高く、時空的に変化し得る特徴を有する。
リジン特異的脱メチル化酵素(以下、「LSD」とも記載する)は、真核生物において、エピジェネティックな制御に関与する酵素である。例えば、哺乳動物においては、LSD1及びLSD2のアイソザイムが知られている(Karytinos A,ら, The Journal of biological chemistry, 第284巻, p. 17775-82, 2009年)。このうち、LSD1は、ヒストンH3の4番目のリジン残基(H3K4)又は9番目のリジン残基(H3K9)に付加されたモノ又はジメチル基を脱メチル化する(Shi Y,ら, Cell 第119巻, p. 941-53, 2004年)。ヒストンH3において、エンハンサー領域のH3K4へのメチル化は転写活性化に、H3K9へのメチル化は転写抑制的に働く。それ故、LSD1は、転写活性化及び転写抑制のいずれにも関与し得る。
本明細書において、「奇形腫」又は「テラトーマ」は、内・中・外の三胚葉性の組織が混在した腫瘍を意味し、「奇形癌腫」又は「テラトカルチノーマ」は、奇形腫又はテラトーマにおいて転移能を有する幹細胞を有する悪性腫瘍又は癌を意味する。テラトーマ及びテラトカルチノーマは、生殖細胞においてだけでなく、iPS細胞及びES細胞等の多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体において形成される。本明細書において、「細胞の構造体」は、複数の細胞によって構成されるが特定の機能を有しない細胞塊だけでなく、複数の細胞によって構成され、且つ特定の機能を有する任意の組織及び器官をも意味する。本発明の各態様においては、通常は、前記で例示した多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体において形成されるテラトーマを対象とし、特に、iPS細胞由来の細胞又はその構造体において形成されるテラトーマを対象とする。多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体に対してLSD1阻害活性を有する化合物、又は該化合物を有効成分として含む医薬等を投与することにより、該細胞又はその構造体におけるテラトーマの形成を実質的に抑制することができる。
本発明の各態様において、テラトーマは、通常は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体において形成されるテラトーマであり、特に、ヒトの多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体において形成されるテラトーマである。
本発明の各態様において、有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成抑制効果は、限定するものではないが、例えば、対象化合物の存在下で多能性幹細胞を培養して、分化及び/又は増殖を示した細胞数を測定して、細胞の総数に対する分化及び/又は増殖を示した細胞数の割合(%)を算出することにより、評価することができる。この評価法の場合、分化及び/又は増殖を示した細胞数の割合が100%未満であれば、テラトーマ形成抑制効果を有すると評価し得る。或いは、多能性幹細胞を実験動物(例えば免疫不全マウス)の皮下に移植し、次いで該動物に対象化合物を投与する。所定期間、化合物を投与した後、移植部位におけるテラトーマの形成を確認することにより、対象化合物のテラトーマ形成抑制効果を評価する。この場合、移植部位におけるテラトーマの形成の確認は、例えば、形成されたテラトーマをそのまま又は摘出して、肉眼又は顕微鏡により観察することにより、実施することができる。或いは、ルシフェラーゼ遺伝子のようなレポーター遺伝子を導入した多能性幹細胞を移植に用い、形成されたテラトーマにおけるレポーター遺伝子の発現を通常の手段で検出することにより、実施してもよい。
本発明の一態様は、式(I):
で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成抑制剤に関する。
本発明者らは、2-フェニルシクロプロパン-1-イルアミン骨格において、フェニル環に特定の基を有し、且つアミノ基に特定の基を有する構造を有する式(I)で表される構造を有する化合物が、エピジェネティックな制御に関与する酵素であるLSD1に対して高い阻害活性を有することを見出した。また、本発明者らは、前記特徴を有するいくつかの新規化合物は、LSD1阻害に対して高い選択性を有することを見出した。さらに、本発明者らは、前記特徴を有する特定の新規化合物は、テラトーマ形成を顕著に抑制し得ることを見出した。
2-フェニルシクロプロパン-1-イルアミン骨格を有するいくつかの化合物がLSD1阻害活性を有することは知られている(例えば、国際公開第2010/043721号;国際公開第2012/013727号;国際公開第2013/057322号;国際公開第2012/135113号;Lee MGら, Chem Biol, 第13巻, p. 563-7, 2006年;及びSchmidt DMら, Biochemistry, 第46巻, p. 4408-16, 2007年)。しかしながら、フェニル環上の置換基の位置及び種類、並びにアミノ基の置換基の種類の組み合わせと、結果として得られる化合物のLSD1阻害活性との関係は明らかではなかった。
式(I)で表される化合物は、フェニル環上の2位にベンジルオキシを、3及び5位にフッ素を有し、且つアミノ基が特定の基で置換されている。このような新規の構造的特徴を有することにより、式(I)で表される化合物は、高いLSD1阻害活性、LSD1阻害に対する高い選択性、及び/又は様々な疾患に対する有用な治療効果を有することができる。
本発明者らは、エピジェネティックな制御に関与する酵素であるLSD1に対して阻害活性を有する式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物が、テラトーマ形成を実質的に抑制し得ることを見出した。エピジェネティックな制御に関与する酵素としては、LSD1の他に、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)等が知られている。多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体においてテラトーマが形成される際に、エピジェネティック変異が関与していることが示唆されていた(例えば、非特許文献3)。しかしながら、エピジェネティックな制御に関与する様々な酵素のいずれがテラトーマ形成に関与しているかは知られていなかった。エピジェネティックな制御に関与する酵素のうち、LSD1が、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体におけるテラトーマ形成に関与していることは、本発明者らが見出した新規な知見である。
本発明の各態様において、式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物は、LSD1に対して特異的な阻害活性を有することが好ましく、対象となるテラトーマが形成され得る細胞又はその構造体と同一の真核生物に由来するLSD1に対して特異的な阻害活性を有することがより好ましく、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)由来のLSD1に対して特異的な阻害活性を有することがさらに好ましく、ヒト由来のLSD1に対して特異的な阻害活性を有することが特に好ましい。多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体に対して前記特徴を有する式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物、又は該化合物を有効成分として含む医薬等を投与することにより、該細胞又はその構造体におけるテラトーマの形成を実質的に抑制することができる。
本発明の各態様において、有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物のLSD1阻害活性は、限定するものではないが、例えば、ヒストンH3の4番目のリジン残基(K4)をジメチル化した20残基の合成ペプチド(H3K4me2ペプチド)を基質として、対象化合物の存在下でLSD1による脱メチル化反応を行い、副生成物として産生する過酸化水素を、公知のペルオキシダーゼアッセイで定量的に測定することにより、評価することができる。LSD1は、脱メチル化反応に伴い、反応副生成物として過酸化水素を放出する。ペルオキシダーゼアッセイでは、ペルオキシダーゼが、この過酸化水素を基質として、カップリング剤である4-アミノアンチピリン(4-AA)と、水素供与体の水溶性アニリン誘導体であるN-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン(新トリンダー試薬)とを酸化縮合する。この反応において、量依存的に、555 nmの吸収極大波長を有する紫色の発色を示す。この紫色の発色を、562 nmの吸光度で測定することにより、過酸化水素を定量することができる。LSD1は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の細胞から調製した酵素タンパク質であってもよく、前記ヒト又は非ヒト哺乳動物のLSD1を高発現させた培養細胞から調製した組換え酵素タンパク質であってもよい。
有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物のLSD1に対する選択的阻害活性は、該化合物のLSD1阻害活性とモノアミンオキシダーゼ阻害活性とを比較することにより、決定することができる。モノアミンオキシダーゼA(以下、「MAO-A」とも記載する)及びモノアミンオキシダーゼB(以下、「MAO-B」とも記載する)は、LSD1と触媒反応機構が類似する酵素として知られている。MAO-A及びMAO-Bは、いずれもフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素として、ドパミン及びセロトニン等の生体内の低分子アミンを酸化する活性を有する。FADを補酵素としてアミンを酸化触媒する反応との類似性から、LSD1に対する阻害活性を有する化合物は、その構造によっては、MAO-A及び/又はMAO-Bを阻害する場合がある。例えば、公知のLSD1阻害剤の1種であるトラニルシプロミン(2-PCPA)は、元々、MAO-A及びMAO-Bに対する阻害剤として知られていたが、後に、LSD1も阻害できることが報告された(Leeら, Chemistry & Biology 第13巻, p. 563, 2006年)。それ故、LSD1に対する阻害活性を有する化合物において、LSD1に対する阻害活性をMAO-A及び/又はMAO-Bに対する阻害活性と比較することで、LSD1に対する選択性を評価することができる(Mimasuら, Biochemistry 第49巻, p. 6494, 2010年; Mohammadら, Cancer Cell 第28巻, p. 57, 2015年)。
有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物のLSD1に対する選択的阻害活性は、限定するものではないが、例えば、LSD1活性を50%阻害する該化合物の濃度(LSD1に対するIC50)と、MAO-A及び/又はMAO-B活性を50%阻害する該化合物の濃度(MAO-A及び/又はMAO-Bに対するIC50)とを決定し、LSD1阻害に対する選択性を、以下の式に基づき算出することにより、決定することができる。
LSD1阻害に対する選択性=
(MAO-A及び/又はMAO-Bに対するIC50)/(LSD1に対するIC50)
本発明の各態様において、有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物は、前記手順により決定したLSD1阻害活性のIC50値が、通常は10 μM以下、典型的には3 μM以下、特に1 μM以下である。また、有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物は、前記手順により決定したLSD1阻害に対する選択性の値が、通常は1を超える値であり、典型的には1.2以上、特に10以上である。前記範囲のIC50値の値を有する場合、有効成分として使用される式(I)で表される化合物、特に以下において説明する式(I-b)で表される化合物は、テラトーマの形成を実質的に抑制することができる。
式(I)において、Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-である。但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する。Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-であることが好ましく、置換若しくは非置換のC1〜C2アルキレン-CO-であることがより好ましく、メチレン-CO-であることがさらに好ましい。Lが前記で例示した基である場合、式(I)で表される化合物は、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体におけるテラトーマの形成を実質的に抑制することができる。
式(I)において、Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4である。Aは、-NR3R4であることが好ましい。
R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成することが好ましく、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する5〜6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成することがより好ましく、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有するピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル又は1,2,3,6-テトラヒドロピリジルを形成することがさらに好ましい。
R8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である。この場合、R8は、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素、ハロゲン、C4〜C6シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C3アルコキシ-C1〜C3アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、ジメチルアミノ、N-ピロリジノ、N-モルフォリノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C3アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることがより好ましく、水素、シクロヘキシル、シクロプロピル、-COCH3、-COC6H5、-COOCH2CH3、-CONH2、-CONHCH3、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCOCH3、-NHCOOCH3、-NHCONHCH3、-NHSO2CH3、メチル、2-メトキシ-1-エチル、3-メトキシ-2-ヒドロキシプロパン-1-イル、1-クロロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イル、3-ジメチルアミノプロパン-1-イル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル、2-オキソ-2-(ピペリジン-1-イル)エチル、ジフェニルメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であることがさらに好ましい。
或いは、R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成する。この場合、R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成することが好ましく、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC4〜C6シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された4〜6員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成することがより好ましく、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、フェニル、トリアゾリル、イミダゾリル、3-メチルピラゾリル、イソベンゾフラニル、2-ピロリドニル、ピロリジニル、N-メチルピロリジニル、2,3-ジメチルイミダゾリル、又は置換若しくは非置換のインドリルを形成することがさらに好ましい。
R9は、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である。R9は、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、アリール、又は5〜9員のヘテロアリールで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることがより好ましく、水素、オキセタン-3-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、3-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-カルボキシフェニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、2-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、ピリジン-2-イル、ピラジン-2-イル、メチル、及びベンジルからなる群より独立して選択される一価基であることがさらに好ましい。
R10は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基である。この場合、R10は、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素、オキソ、及びメチルからなる群より独立して選択される一価基であることがより好ましい。
或いはR10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成する。R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成することが好ましく、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、フェニルを形成することがより好ましい。
R11は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である。R11は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン又はヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であることがより好ましい。
R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である。R12及びR13は、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素、フェニル、メチル、及びエチルからなる群より独立して選択される一価基であることがより好ましい。
或いは、R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成する。R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成することが好ましく、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、ピペリジン-1-イルを形成することがより好ましい。
R14は、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である。R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であることが好ましく、水素であることがより好ましい。
前記で例示した各基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される1個以上の一価基又は二価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがより好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル、1-クロロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、2-メトキシエチル、2-オキソ-2-(ピペリジン-1-イル)エチル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ジフェニルメチル、カルボキシメチル、メチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、シクロプロピル、オキセタン-3-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、ピラジン-2-イル、ピリジン-2-イル、3-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-(ジメチルアミノ)フェニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル(カルバモイル)、メチルカルバモイル、アセチル、ベンゾイル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、メチルスルホンアミド、N-メチルカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがさらに好ましい。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
R11が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
R14が、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
R11が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13が、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する5〜6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、C4〜C6シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C3アルコキシ-C1〜C3アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、ジメチルアミノ、N-ピロリジノ、N-モルフォリノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C3アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC4〜C6シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された4〜6員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、オキソ、及びメチルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、フェニルを形成し、
R11が、水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13が、水素、フェニル、メチル、及びエチルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、ピペリジン-1-イルを形成し、
R14が、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Lが、メチレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有するピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル又は1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルを形成し、
R8が、水素、シクロヘキシル、シクロプロピル、-COCH3、-COC6H5、-COOCH2CH3、-CONH2、-CONHCH3、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCOCH3、-NHCOOCH3、-NHCONHCH3、-NHSO2CH3、メチル、2-メトキシ-1-エチル、3-メトキシ-2-ヒドロキシプロパン-1-イル、1-クロロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イル、3-ジメチルアミノプロパン-1-イル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル、2-オキソ-2-(ピペリジン-1-イル)エチル、ジフェニルメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、フェニル、トリアゾリル、イミダゾリル、3-メチルピラゾリル、イソベンゾフラニル、2-ピロリドニル、ピロリジニル、N-メチルピロリジニル、2,3-ジメチルイミダゾリル、又は置換若しくは非置換のインドリルを形成し、
R9が、水素、オキセタン-3-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、3-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-カルボキシフェニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、2-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、ピリジン-2-イル、ピラジン-2-イル、メチル、及びベンジルからなる群より独立して選択される一価基である。
本発明の各態様の一実施形態において、式(I)で表される化合物は、式(I-b):
で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物であることが好ましい。
式(I-b)において、Abは、-CHR3R4、又は-NR3R4である。Abは、-NR3R4であることが好ましい。
式(I-b)において、R3及びR4は、前記と同義である。
好ましい一実施形態において、Abは、置換若しくは非置換のC4〜C11シクロアルキル、又は置換若しくは非置換の4〜15員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルであることがより好ましく、置換若しくは非置換のC5〜C6シクロアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルであることがさらに好ましく、置換若しくは非置換のピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、又は1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルであることが特に好ましい。
前記で例示したAbの各基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される1個以上の一価基又は二価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがより好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル、1-クロロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、2-メトキシエチル、2-オキソ-2-(ピペリジン-1-イル)エチル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ジフェニルメチル、カルボキシメチル、メチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、シクロプロピル、オキセタン-3-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、ピラジン-2-イル、ピリジン-2-イル、3-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-(ジメチルアミノ)フェニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル(カルバモイル)、メチルカルバモイル、アセチル、ベンゾイル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、メチルスルホンアミド、N-メチルカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であることがさらに好ましい。前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
前記で例示したAbの各基が1個以上の基で置換されている場合、該置換基は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C7アリール、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニル、又はN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む4〜7員のヘテロアリールを形成してもよい。この場合、Abは、置換若しくは非置換の架橋環、縮合環又はスピロ環の多環であることが好ましく、置換若しくは非置換の5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル、5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル、6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-5(4H)-イル、3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン]-1'-イル、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-1-オン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-2-イル、5,6-ジヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-7(8H)-イル、1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-7-イル、1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル、1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-3-オン、1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-オン、1,3,7-トリアザスピロ[4.4]ノナン-2,4-ジオン、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル、又は3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-イルであることがより好ましい。前記多環が置換されている場合、該置換基は、前記で例示したAbの置換基から選択されることが好ましい。
好ましくは、式(I-b)で表される化合物は、
Abが、-CHR3R4、又は-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
R11が、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
R14が、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
より好ましくは、式(I-b)で表される化合物は、
Abが、-CHR3R4、又は-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC4〜C6シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
R11が、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13が、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
さらに好ましくは、式(I-b)で表される化合物は、
Abが、-CHR3R4、又は-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する5〜6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
R8が、水素、ハロゲン、C4〜C6シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C3アルコキシ-C1〜C3アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、ジメチルアミノ、N-ピロリジノ、N-モルフォリノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C3アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC4〜C6シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された4〜6員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
R9が、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R10が、水素、オキソ、及びメチルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R10が、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、フェニルを形成し、
R11が、水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であり、
R12及びR13が、水素、フェニル、メチル、及びエチルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R12及びR13が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、ピペリジン-1-イルを形成し、
R14が、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
前記基が置換されている場合、特に言及しない限り、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアミノカルボニル(カルバモイル)、置換若しくは非置換のC1〜C20アシル、置換若しくは非置換のC1〜C20アシルオキシ、置換若しくは非置換のアミノ、置換若しくは非置換のスルホンアミド、置換若しくは非置換のカルボニルジイミノ、カルボキシル、及びオキソからなる群より選択される少なくとも1個の一価基又は二価基であり、前記一価基が置換されている場合、該置換基は、前記一価基又は二価基からさらに選択されることができる。
特に好ましくは、式(I-b)で表される化合物は、
Abが、-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有するピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル又は1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルを形成し、
R8が、水素、シクロヘキシル、シクロプロピル、-COCH3、-COC6H5、-COOCH2CH3、-CONH2、-CONHCH3、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCOCH3、-NHCOOCH3、-NHCONHCH3、-NHSO2CH3、メチル、2-メトキシ-1-エチル、3-メトキシ-2-ヒドロキシプロパン-1-イル、1-クロロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イル、3-ジメチルアミノプロパン-1-イル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル、2-オキソ-2-(ピペリジン-1-イル)エチル、ジフェニルメチル、カルボキシメチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(N-ピロリジノ)エチル、2-(N-モルフォリノ)エチル、2-(カルボキシ)エチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
R8が、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、フェニル、トリアゾリル、イミダゾリル、3-メチルピラゾリル、イソベンゾフラニル、2-ピロリドニル、ピロリジニル、N-メチルピロリジニル、2,3-ジメチルイミダゾリル、又は置換若しくは非置換のインドリルを形成し、
R9が、水素、オキセタン-3-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、3-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-カルボキシフェニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、2-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル、ピリジン-2-イル、ピラジン-2-イル、メチル、及びベンジルからなる群より独立して選択される一価基である。
とりわけ特に好ましくは、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、以下の化合物からなる群より選択される。
特に好ましい実施形態において、式(I)で表される化合物は、
Lが、メチレン-CO-であり、
Aが、-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
R8が、メチルであり、
R9が、水素である。
特に好ましい別の実施形態において、式(I-b)で表される化合物は、
Abが、4-メチルピペラジン-1-イル又は-NR3R4であり、
R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
R8が、メチルであり、
R9が、水素である。
前記の特に好ましい実施形態の場合、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノン塩酸塩(合成化合物1);
である。
前記特徴を有する式(I)及び(I-b)で表される化合物は、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体におけるテラトーマの形成を、特に強く抑制することができる。
本発明の各態様において、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。式(I)及び(I-b)で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、乳酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)又は(I-b)で表される化合物が前記の塩の形態である場合、テラトーマ形成抑制効果を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。
本発明の各態様において、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。式(I)若しくは(I-b)で表される化合物、又はそれらの塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、水、又は低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1〜6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒が好ましい。式(I)若しくは(I-b)で表される化合物、又はそれらの塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、テラトーマ形成抑制効果を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。
本発明の各態様において、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、前記化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数個の官能基(例えばヒドロキシル基又はアミノ基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記化合物の保護形態を、前記化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、アミノ基の保護基の場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(BrZ)、又は9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。式(I)又は(I-b)で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、テラトーマ形成抑制効果を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる場合がある。
本発明の各態様において、式(I)又は(I-b)で表される化合物が1個又は複数個の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
また、本発明の各態様において、式(I)又は(I-b)で表される化合物が1個又は複数個の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物を含む、該化合物の立体異性体も包含する。
前記特徴を有することにより、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、テラトーマ形成に対して高い抑制効果を発現することができる。
<3. 医薬用途>
すでに説明したように、式(I)又は(I-b)で表される化合物を多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体に対して投与することにより、該細胞又はその構造体におけるテラトーマの形成を実質的に抑制することができる。それ故、本発明の別の一態様は、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成の抑制に使用するための医薬に関する。
式(I)又は(I-b)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、これらの化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物の立体異性体、それらの製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物も包含する。式(I)若しくは(I-b)で表される化合物又はその立体異性体の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物としては、限定するものではないが、例えば、前記で例示した塩又は溶媒和物が好ましい。式(I)若しくは(I-b)で表される化合物又はその立体異性体が前記の塩又は溶媒和物の形態である場合、テラトーマ形成抑制効果を実質的に低下させることなく、該化合物を所望の医薬用途に適用することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、これらの化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物のプロドラッグ形態も包含する。本明細書において、「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される化合物を意味する。前記化合物のプロドラッグ形態としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基と任意のカルボン酸とのエステル、及び該ヒドロキシル基と任意のアミンとのアミド等を挙げることができる。例えば、アミノ基が存在する場合、該アミノ基と任意のカルボン酸とのアミド等を挙げることができる。式(I)又は(I-b)で表される化合物が前記のプロドラッグ形態である場合、親薬物である式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成抑制効果を実質的に低下させることなく、対象へのプロドラッグ形態の投与時の薬物動態を向上させることができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、該化合物を単独で使用してもよく、1種以上の製薬上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の医薬はまた、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物の形態で提供されることもできる。本態様の医薬組成物は、前記成分に加えて、製薬上許容される1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等を含んでもよい。
式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本態様の医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の製薬上許容される媒体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤、ローション剤、軟膏剤、点眼剤及び座剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、D-マンノース若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)若しくはエステル(例えば安息香酸ベンジル)のような溶解補助剤、ポリソルベート80(商標)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当なバイアル(例えばアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
経口投与に使用するための製剤としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
本態様の医薬は、デポー製剤として製剤化することもできる。この場合、デポー製剤の剤形の本態様の医薬を、例えば皮下若しくは筋肉に埋め込み、又は筋肉注射により投与することができる。本態様の医薬をデポー製剤に適用することにより、式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成抑制効果を、長期間に亘って持続的に発現することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、医薬として有用な1種以上の他の薬剤と併用することもできる。本態様の医薬において、式(I)又は(I-b)で表される化合物と併用される他の薬剤としては、限定するものではないが、例えば、抗癌剤、ステロイド系抗炎症剤、サリドマイド及びレナリドマイド等を挙げることができる。このうち、抗癌剤としては、例えば、シクロホスファミド及びメルファラン等のアルキル化剤、ボリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、フェニル酪酸類、ツバスタチンA、並びにツバシン(Tubacin)等のHDAC阻害剤等を挙げることができる。ステロイド系抗炎症剤としては、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン及びベタメタゾン等を挙げることができる。この場合、本態様の医薬は、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを含む併用医薬の形態となる。前記併用医薬は、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物の形態であってもよく、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を含む、1種以上の前記他の薬剤と併用される医薬組成物の形態であってもよい。本態様の医薬が前記のような併用医薬の形態である場合、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の他の薬剤とを含む、単一製剤の形態で提供されてもよく、1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組合せ又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組合せ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、テラトーマ形成が関与する種々の疾患、症状及び/又は障害を、同様に予防又は治療することができる。前記疾患、症状及び/又は障害としては、限定するものではないが、例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍を挙げることができる。本発明の各態様において、悪性腫瘍は、造血器腫瘍、上皮細胞由来の癌、及び非上皮性細胞由来の肉腫を包含する。造血器腫瘍としては、限定するものではないが、例えば、白血病、悪性リンパ腫及び多発性骨髄腫を挙げることができる。癌としては、限定するものではないが、例えば、肺癌、乳癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、大腸癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌及び舌癌を挙げることができる。肉腫としては、限定するものではないが、例えば、骨肉腫及び軟部肉腫を挙げることができる。多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍は、造血器腫瘍、上皮細胞由来の癌、及び非上皮性細胞由来の肉腫からなる群より選択される1種以上の悪性腫瘍であることが好ましい。前記疾患、症状若しくは障害の予防又は治療を必要とする対象に本態様の医薬を投与することにより、テラトーマ形成が関与する前記疾患、症状若しくは障害、例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍を予防又は治療することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む本態様の医薬は、テラトーマ形成が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましい。前記対象に本態様の医薬を投与することにより、該対象が有するテラトーマ形成が関与する前記疾患、症状及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本明細書において、「予防」は、症状、疾患及び/又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、発生(発症又は発現)した症状、疾患及び/又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
式(I)又は(I-b)で表される化合物は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本態様の医薬は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)の予防又は治療に使用するための医薬であることが好ましく、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における、造血器腫瘍、上皮細胞由来の癌、及び非上皮性細胞由来の肉腫からなる群より選択される1種以上の悪性腫瘍の予防又は治療に使用するための医薬であることがより好ましい。本態様の医薬をテラトーマ形成が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成抑制効果を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、テラトーマ形成が関与する前記疾患若しくは症状の予防又は治療方法である。前記症状、疾患及び/又は障害は、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における、造血器腫瘍、上皮細胞由来の癌、及び非上皮性細胞由来の肉腫からなる群より選択される1種以上の悪性腫瘍であることが好ましい。テラトーマ形成が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、式(I)又は(I-b)で表される化合物を投与することにより、式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成阻害効果を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)の予防又は治療に使用するための、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物である。本発明の別の一態様は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍)の予防又は治療に用いるための医薬の製造のための、式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。前記症状、疾患及び/又は障害は、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における、造血器腫瘍、上皮細胞由来の癌、及び非上皮性細胞由来の肉腫からなる群より選択される1種以上の悪性腫瘍であることが好ましい。式(I)若しくは(I-b)で表される化合物、又は本態様の医薬を、テラトーマ形成が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成阻害効果を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
式(I)又は(I-b)で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用量及び用法(例えば、投与量、投与回数及び/又は投与経路)は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な投与量、投与回数及び投与経路等を考慮して、最終的に決定すべきである。それ故、本態様の医薬において、有効成分である式(I)又は(I-b)で表される化合物は、治療上有効な量及び回数で、対象に投与される。例えば、本態様の医薬をヒト患者に投与する場合、有効成分である式(I)又は(I-b)で表される化合物の投与量は、通常は、1回投与あたり、0.001〜100 mg/kg体重の範囲であり、典型的には、1回投与あたり、0.01〜10 mg/kg体重の範囲であり、特に、1回投与あたり、0.1〜10 mg/kg体重の範囲である。また、本態様の医薬の投与回数は、例えば、1日に1回又は複数回(例えば2若しくは3回)、或いは数日に1回とすることができる。また、本態様の医薬の投与経路は、特に限定されず、経口的に投与されてもよく、非経口的(例えば、直腸内、径粘膜、腸内、筋肉内、皮下、骨髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内又は眼内)に単回若しくは複数回投与されてもよい。本態様の医薬を、前記の用量及び用法で使用することにより、式(I)又は(I-b)で表される化合物のテラトーマ形成阻害効果を介して、テラトーマ形成が関与する前記症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
<4. 新規化合物の製造方法>
本発明の各態様の有効成分である式(I)及び(I-b)で表される化合物を製造する方法を説明する。
本開示の製造方法は、特に記載がない限り、種々の公知の化合物合成方法に基づき、実施することができる。以下において説明する本開示の製造方法の各工程において、必要に応じて、官能基の保護及び脱保護を行うことができる。官能基の保護及び脱保護は、限定するものではないが、例えば、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版に記載された方法のような、公知の保護及び脱保護方法を適用することにより、実施することができる。
本開示の製造方法において、式(I)及び(I-b)で表される化合物は、以下において例示する製造方法1と同一又は類似の方法により、製造することができる。
本開示の製造方法において、以下において説明する各工程で得られる化合物は、反応終了後の反応混合物のまま又は粗生成物の状態で、次の工程の反応に用いることができる。或いは、各工程で得られる化合物は、当該技術分野で通常使用される有機化合物の単離又は精製手段に基づき、反応混合物から単離又は精製した状態で、次の工程の反応に用いるか、又は最終生成物として得ることもできる。この場合、使用し得る化合物の単離又は精製手段としては、限定するものではないが、例えば、濃縮、抽出、濾過、遠心分離、吸着、再結晶、蒸留、及び各種クロマトグラフィー等を挙げることができる。
本開示の製造方法において、以下において説明する各工程で得られる化合物が立体異性体の混合物の形態である場合、該化合物は、そのままの状態で、次の工程の反応に用いることができる。或いは、立体異性体の混合物の形態である化合物は、キラルカラムクロマトグラフィー、光学分晶又はジアステレオマー誘導化等の公知の手段により、光学分割した状態、すなわち、実質的に光学的に純粋な状態で、次の工程の反応に用いるか、又は最終生成物として得ることもできる。
[4-1. 製造方法1]
例えば、本開示の製造方法は、以下に例示する工程1-1及び1-2を含む方法により、実施することができる(以下、「製造方法1」とも記載する)。製造方法1により、式(I)及び(I-b)で表される化合物を製造することができる。
製造方法1は、
式(II):
で表される化合物と、式(III):
RL1-L-ORL2 (III)
で表される化合物とを反応させて、式(IV):
で表される化合物を得る工程(工程1-1)、及び
式(IV)で表される化合物と、式(V):
RA1-A (V)
で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る工程(工程1-2)、
を含む方法により、実施することができる。
製造方法1において、式(I-b)で表される化合物を製造する場合、式(III)で表される化合物において、Lはメチレン-CO-である。この場合、式(III)で表される化合物は、式(III’):
RL1-CH2-CO-ORL2 (III’)
で表される化合物であることが好ましい。
また、製造方法1において、式(I-b)で表される化合物を製造する場合、式(V)で表される化合物は、式(V’):
RA1-Ab (V’)
で表される化合物であることが好ましい。
式(II)及び(IV)において、PGN1は、水素又は保護基である。保護基は、前記で例示したアミノ基の保護基であることが好ましい。
式(III)、(IV)、(V)及び(V’)において、L、A及びAbは、前記と同義である。
式(III)及び(III’)において、RL1は、ハロゲンである。RL1は、F、Cl、Br又はIであることが好ましく、Cl又はBrであることがより好ましい。
式(III)、(III’)及び(IV)において、RL2は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルである。RL2は、メチル、エチル又はプロピルであることが好ましい。
式(V)及び(V’)において、RA1は、水素である。
工程1-1は、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物とを、塩基存在下で反応させることにより、実施することができる。
製造方法1において、式(II)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、公知文献(Mimasu, Sら, Biochemistry, 第49(30)巻, p. 6494-6503; 2010年)に記載の方法に基づき調製してもよい。
工程1-1において、式(III)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよい。
工程1-1において、式(III)で表される化合物は、式(II)で表される化合物に対して、通常は1〜10モル当量の範囲の量で使用される。
工程1-1において、使用される塩基としては、限定するものではないが、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウム tert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リチウムヘキサメチルジシラザン、ナトリウムヘキサメチルジシラザン及びNaH等を挙げることができる。本工程において使用される塩基は、リチウムヘキサメチルジシラザン又はNaHであることが好ましい。
工程1-1において、塩基は、式(II)で表される化合物に対して、通常は1モル当量以上の量で使用される。
工程1-1において、本反応は、通常は、不活性溶媒中で実施される。本工程において、使用される溶媒としては、限定するものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの溶媒は、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
工程1-1において、本反応の反応温度は、通常は、0〜100℃の範囲である。本反応の反応時間は、特に限定されないが、通常は、0.1〜100時間の範囲であり、好ましくは0.5〜24時間の範囲である。
工程1-1において、前記反応終了後、反応生成物を塩基性条件下で加水分解することが好ましい。加水分解は、通常は、水溶性溶媒中で、反応生成物と塩基性水溶液とを混合することにより実施される。これにより、RL2が水素である、式(IV)で表される化合物を得ることができる。
加水分解において、使用される塩基性水溶液としては、限定するものではないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液及び水酸化バリウム水溶液等を挙げることができる。加水分解に使用される塩基は、式(II)で表される化合物に対して、通常は1モル当量以上の量で使用される。
加水分解において、使用される水溶性溶媒としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びジメトキシエタン等を挙げることができる。
加水分解の反応温度は、通常は、0〜100℃の範囲である。加水分解の反応時間は、特に限定されないが、通常は、0.1〜100時間の範囲であり、好ましくは0.5〜24時間の範囲である。
工程1-2は、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを、縮合剤存在下で反応させることにより、実施することができる。
工程1-2において、式(V)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、公知文献(Bonnet, PAら, Journal of Chemical Research, Synopses, 第2巻, p. 28; 1984年)に記載の方法に基づき調製してもよい。
工程1-2において、式(V)で表される化合物は、式(IV)で表される化合物に対して、通常は1〜10モル当量の範囲の量で使用される。
工程1-2において、使用される縮合剤としては、限定するものではないが、例えば、1-エチル-1-(3-メチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリル、1、1’-カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロリン酸塩、o-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N, N,N’,N-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩、o-(7-アザベンゾトリアゾール1-1イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩等を挙げることができる。或いは、本工程において、所望により、多孔性樹脂に結合された縮合剤、例えばPS-カルボジイミドレジン(Biotage社製)等を用いることもできる。
工程1-2において、縮合剤は、式(V)で表される化合物に対して、通常は1〜10モル当量の範囲の量で使用される。
工程1-2において、縮合剤に加えて、所望により、1個以上の縮合促進剤を用いてもよい。この場合、縮合促進剤としては、限定するものではないが、例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミド及びN,N-ジメチル-4-アミノピリジン等を挙げることができる。或いは、本工程において、所望により、多孔性樹脂に結合された縮合促進剤、例えばPS-HOBtレジン(Biotage社製)等を用いることもできる。
工程1-2において、縮合促進剤が使用される場合、縮合促進剤は、式(IV)で表される化合物に対して、通常は0.1〜10モル当量の範囲の量で使用される。
工程1-2において、本反応は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等の塩基の存在下で実施することが好ましい。この場合、塩基は、式(V)で表される化合物に対して、通常は0.1〜10モル当量の範囲の量で使用される。
工程1-2において、本反応は、通常は、不活性溶媒中で実施される。本工程において、使用される溶媒としては、限定するものではないが、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド及びアセトニトリル等を挙げることができる。これらの溶媒は、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
工程1-2において、本反応の反応温度は、通常は、0〜150℃の範囲である。本反応の反応時間は、特に限定されないが、通常は、0.1〜100時間の範囲であり、好ましくは0.5〜72時間の範囲である。
本実施形態において、PGN1が保護基の場合、製造方法1は、工程1-2の反応生成物からPGN1を脱保護する工程1-3をさらに含むすることが好ましい。
工程1-3において、PGN1を脱保護する反応の条件は、使用される保護基の種類に基づき、当業者が適宜設定することができる。例えば、PGN1がt-ブトキシカルボニル(Boc)の場合、脱保護反応は、通常は、酸の存在下、不活性溶媒中で、又は過剰量の酸中で、実施することができる。この場合、使用される酸としては、限定するものではないが、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸、硫酸及びフッ化水素酸等を挙げることができる。使用される酸は、塩酸又はトリフルオロ酢酸であることが好ましい。例えば、塩酸を使用する場合、製造方法1によって得られる式(I)又は(I-b)で表される化合物は、それらの塩酸塩の形態として得ることができる。或いは、トリフルオロ酢酸を使用する場合、製造方法1によって得られる式(I)又は(I-b)で表される化合物は、それらのトリフルオロアセテートの形態として得ることができる。このような塩の形態の化合物は、所望により、アミノシリカゲルクロマトグラフィー若しくはイオン交換樹脂による処理、又は塩基性水溶液による洗浄処理等の手段により、遊離体の形態に変換することができる。
工程1-3において、酸処理により脱保護反応を実施する場合、酸は、工程1-2の反応生成物に対して、通常は1〜1000モル当量の範囲の量で使用される。
製造方法1は、式(I)及び(I-b)で表される化合物、並びにそれらの反応中間体からなる群より選択される任意の化合物に、それ自体公知の官能基の導入反応又は変換反応を行い、式(I)又は(I-b)で表される新たな化合物を得る、官能基の導入又は変換工程をさらに含んでもよい。
官能基の導入又は変換工程において、官能基の変換反応としては、限定するものではないが、例えば、第1級又は第2級アミンの置換、ニトロ基からアミンへの還元、アミンからアミド、スルホンアミド、スルファミド、カルバメート又はウレアへの変換、アミンとハロゲン化アリールとのパラジウム触媒クロスカップリング、エステルの加水分解によるカルボキシ基への変換、カルボキシル基のアミド化によるカルバモイル基への変換、カルボキシル基の還元によるヒドロキシメチル基への変換、カルボニル基の還元又はアルキル化によるアルコール体への変換、カルボニル基の還元的アミノ化、カルボニル基のオキシム化、シアノ基の加水分解によるカルボキシル基への変換、シアノ基の還元によるアミノメチル基への変換、シアノ基のアルキル化によるアミン体への変換、及び水の付加によるカルバモイル基への変換等を挙げることができる。
本開示の製造方法1により、式(I)及び(I-b)で表される化合物を製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
特に明記しない限り、本明細書に開示される全ての実施例化合物において、立体化学的配置は、その描かれた構造がより具体的な配置を表し得る場合であっても、それぞれの化合物に対して示される化学名によって定義される。
実施例で製造された全ての化合物において、シクロプロピル環に接合した隣接する置換基の相対配置は「trans」であり、(1R, 2S)と(1S, 2R)の両方の絶対立体配置の混合物である。これは、出発物質であるフェニルシクロプロパンカルボン酸が、その立体配置が「trans」のラセミ混合物であることに由来する。「cis」配置の出発物質、及び個々のジアステレオマー/エナンチオマーも、それらの原料を購入又は合成することにより入手可能であれば、同様の手順で製造することができる。
それ故、本発明の各態様は、本明細書に記載され且つ定義される化合物の全ての立体異性体に関する。すなわち、本発明の各態様は、それらの化学名によって定義されるとおりに実施例に記載されている化合物だけでなく、その描かれた構造より発生する全ての立体異性体も包含する。
以下の実施例において、用語「室温」は、通常は、10〜35℃の範囲の温度を示す。%単位の値は、特に断らない限り、重量%単位の値を示す。
以下に示す実施例化合物の構造式に対応したIUPAC名を発生させるために、CambridgeSoft ChemDraw Ultra (Ver.12.0.2)を用いた。
1H NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)は、フーリエ変換型NMRにより測定した。解析には、ACD/Spectrus Processor 2015 Pack2を用いた。水酸基及びアミノ基等の、非常に緩やかな形状を示すプロトンのピークは、記載していない。
MS(マススペクトル)は、LC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)により測定した。イオン化法としては、ESI(ElectroSprey Ionization)法を用い、ポジティブモード(ESI+)及びネガティブモード(ESI-)で測定を行った。データは、実測値(Found)を記載した。前記条件のMSにおいては、通常、分子イオンピークが観測される。しかしながら、プロトン(H+)又はナトリウムイオン(Na+)が付加したイオンピークが観測されることもある。また、tert-ブトキシカルボニル基を有する化合物の場合、フラグメントイオンとして、tert-ブトキシカルボニル基又はtert-ブチル基が脱離したピークが観測されることもある。
分取用薄層クロマトグラフィーは、Merck社製 PLCガラスプレート シリカゲル60 F254, 0.5 mmを用いた。
PS-カルボジイミドレジンは、Biotage社製 No.800369(1.34 mmol/g)を用いた。PS-イソシアネートレジンは、Biotage社製 No.800261(1.48 mmol/g)を用いた。フェーズ分離フィルターは、Biotage社製 Phase Separator (6 mL)を用いた。
以下の実施例においては、下記の略号を使用する。
EDCI:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
TBTU:O-ベンゾトリアゾリル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム
LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラザン
1H NMR:プロトン核磁気共鳴;s : 一重線、d : 二重線、t : 三重線、m : 多重線、br s : 広幅一重線
CDCl3:重クロロホルム
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
CD3OD:重メタノール
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
MS:LC/MSによるエレクトロスプレーイオン化法を用いた質量分析
[M+H]+、[M+Na]+:分子イオンピーク
M:モル濃度
N:規定度
<I. 化合物の合成>
[合成化合物1]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノン塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]カルバメート
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(1.51 g)の無水ジクロロメタン(30 mL)溶液に、1-メチルピペラジン(0.5 mL)及びEDCI(863 mg)を加え、1.5時間攪拌した。混合物を、ジクロロメタン(100 mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、標記化合物 (490 mg) を得た。
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノン塩酸塩
tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]カルバメート(490 mg)を、1,4-ジオキサン溶液(10 mL)に溶解した。得られた溶液に、4 N塩酸/1,4-ジオキサン溶液(10 mL)を加えた。混合物を、室温で3時間攪拌し、減圧下溶媒を留去して、標題化合物(460 mg)を無色粉末として得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 416.4
1H-NMR (DMSO-d6, 270 MHz) δ: 1.24 (1H, m), 1.59 (1H, m), 2.60 (1H, m), 2.75 (3H, s), 2.80-3.52 (7H, m), 3.76 (1H, m), 4.00-4.50 (3H, m), 5.00 (1H, ABqのA, J = 10.8 Hz), 5.12 (1H, ABqのB, J = 10.8 Hz), 6.73 (1H, d, J = 9.7 Hz), 7.20 (1H, m), 7.38-7.45 (3H, m), 7.54 (2H, m), 9.72 (2H, br s), 11.55 (1H, br s).
[合成化合物2]
1-((S)-3-アミノピロリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-{(S)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル}カルバメート
合成化合物1の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(1.19 g)及び(S)-tert-ブチル ピロリジン-3-イルカーバメート(652 mg)から、標記化合物(937 mg)を得た。
(B) 1-((S)-3-アミノピロリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
合成化合物1の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-{(S)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル}カルバメート(930 mg)から、標記化合物(717 mg)を無色粉末として得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 402.4
1H-NMR (DMSO-d6, 270 MHz) δ: 1.29 (1H, m), 1.59 (1H, m), 1.95-2.30 (2H, m), 2.60 (1H, m), 2.89 (1H, m), 3.07 (1H, m), 3.30-4.10 (7H, m), 4.99 (1H, AbqのA, J = 10.8 Hz), 5.14 (1H, ABqのB, J = 10.8 Hz), 6.73 (1H, m), 7.24 (1H, m), 7.33-7.42 (3H, m), 7.54 (2H, m), 8.52 (3H, br s), 9.71 (2H, br s).
[合成化合物3]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)-2-オキソエチル}カルバメート
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸 (217 mg) を、無水DMF (5 mL) に溶解した。得られた溶液に、室温で、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン 塩酸塩 (93 mg)、ジイソプロピルエチルアミン (383 μL)及びTBTU (186 mg) を加えた。混合物を、24時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で精製し、標記化合物 (153 mg) を得た。
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
合成化合物1の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)-2-オキソエチル}カルバメート(504 mg)から、標記化合物(488 mg)を無色粉末として得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 440.4
1H-NMR (DMSO-d6, 270 MHz) δ:1.26 (1H, m), 1.62 (1H, m), 2.94 (1H, m), 3.08 (1H, m), 3.71-4.50 (6H, m), 4.87-4.93 (2H, m), 5.00 (1H, ABqのA, J = 10.8 Hz), 5.13 (1H, ABqのB, J = 10.8 Hz), 6.74 (1H, d, J = 10.8 Hz), 7.24 (1H, m), 7.36-7.44 (3H, m), 7.55 (2H, m), 9.09 (1H, s), 9.83 (2H, br s).
[合成化合物4]
1-[4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {2-[4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-2-オキソエチル}{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}カルバメート
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸 (217 mg)の無水ジクロロメタン溶液(5 mL)に、1-ピペリジン-4-イル-1H-ベンゾイミダゾール 塩酸塩(206 mg)、トリエチルアミン(311 μL)及びEDCI(144 mg)を0℃で加え、1.5時間攪拌した。混合物を、ジクロロメタン(15 mL)で希釈し、水(15 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で精製し、標記化合物(114 mg)を得た。
(B) 1-[4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
合成化合物1の工程Bと同様にして、tert-ブチル {2-[4-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]-2-オキソエチル}{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}カルバメート(356 mg)から、標記化合物(345 mg)を無色粉末として得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 517.5
1H-NMR (DMSO-d6, 270 MHz) δ: 1.29 (1H, m), 1.65 (1H, m), 1.85-2.30 (4H, m), 2.93-4.24 (8H, m), 4.59 (1H, br d, J = 13.5 Hz), 5.01 (1H, AbqのA, J = 10.8 Hz), 5.07 (1H, m), 5.14 (1H, ABqのB, J = 10.8 Hz), 6.76 (1H, d, J = 10.8 Hz), 7.24 (1H, m), 7.37 (3H, m), 7.54-7.66 (4 H, m), 7.90 (1H, m), 8.16 (1H, m), 9.76 (1H, s), 9.55-9.95 (2H, br m).
[合成化合物5]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[4-(2-メトキシエチル)ピペリジン-1-イル]エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[4-(2-メトキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-オキソエチル}カルバメート
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)のクロロホルム溶液(500 μL)に、1-(2-メトキシエチル)ピペラジン(7.5 mg)のクロロホルム溶液(223 μL)、及びEDCI(9.95 mg)のクロロホルム溶液(500 μL)を加え、室温で16時間攪拌した。混合物に、水(1 mL)を加え攪拌した。混合物を、フェーズ分離フィルターに通し、減圧下溶媒を留去した。残渣を、分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(12 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 560.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[4-(2-メトキシエチル)ピペリジン-1-イル]エタノン 塩酸塩
tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[4-(2-メトキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-オキソエチル}カルバメート(12 mg)を、1,4-ジオキサン(1 mL)に溶解した。得られた溶液に、4N HCl/1,4-ジオキサン(0.5 mL)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を減圧下留去して、標記化合物(9.4 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 460.4
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.22-1.45(1H, m), 1.46-1.71(1H, m), 2.61-2.90(1H, m), 2.90-3.89(14H, m), 3.42(3H, s), 4.04-4.68(2H, m), 5.07(1H, d, J=10.8 Hz), 5.20(1H, d, J=10.8 Hz), 6.60(1H, d, J=8.9 Hz), 6.88-7.04(1H, m), 7.31-7.60(5H, m).
[合成化合物6]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)-2-オキソエチル]カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン(6.4 mg)から、標記化合物(10 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 539.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-7(8H)-イル]-2-オキソエチル]カルバメート(10 mg)から、標記化合物(7.4 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 439.3
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ:1.25-1.45(1H, m), 1.45-1.72(1H, m), 2.69-2.91(1H, m), 2.93-3.18(1H, m), 3.54-3.93(2H, m), 3.98-4.62(3H, m), 4.08-5.14(3H, m), 5.20(1H, d, J=10.9 Hz), 6.60(1H, d, J=8.9 Hz), 6.91-7.03(1H, m), 7.28-7.65(7H, m).
[合成化合物7]
1-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル [2-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び1-(ピペラジン-1-イル)エタノン(6.7 mg)から、標記化合物(10 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+Na]+ 566.4.
(B) 1-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル [2-(4-アセチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}カルバメート(10 mg)より、標記化合物(8.1 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 444.3
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ:1.30-1.46(1H, m), 1.48-1.65(1H, m), 2.12(3H, s), 2.66-2.82(1H, m), 2.89-3.04(1H, m), 3.05-3.38(2H, m), 3.38-3.84(7H, m), 4.04-4.35(2H, m), 5.07(1H, d, J=11.0 Hz), 5.20(1H, d, J=11.0 Hz), 6.54-6.66(1H, m), 6.90-7.03(1H, m), 7.31-7.60(5H, m).
[合成化合物8]
1-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピルl}アミノ}エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルピペリジン-1-イル}-2-オキソエチル}カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及びtert-ブチル (4-メチルピペリジン-4-イル)カーバメート(11.1 mg)から、標記化合物(10 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 630.5.
(B) 1-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピルl}アミノ}エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルピペリジン-1-イル}-2-オキソエチル}カルバメート(10 mg)より、標記化合物(7.9 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 430.4.
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.30-1.65(2H, m), 1.44(3H, s), 2.65-2.82(1H, m), 2.87-3.82(11H, m), 3.94-4.43(3H, m), 5.08(1H, d, J=11.0 Hz), 5.19(1H, d, J=11.0 Hz), 6.54-6.67(1H, m), 6.90-7.05(1H, m), 7.32-7.65(5H, m).
[合成化合物9]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(2-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-5(4H)-イル)エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-5(4H)-イル)-2-オキソエチル]カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び2-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン 2塩酸塩(10.9 mg)から、標記化合物(9.1 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 553.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(2-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-5(4H)-イル)エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(2-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-5(4H)-イル)-2-オキソエチル]カルバメート(9.1 mg)から、標記化合物(7.8 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 453.3
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.31-1.48(1H, m), 1.48-1.65(1H, m), 2.38(3H, s), 2.67-2.84(1H, m), 2.90-3.11(1H, m), 3.47-3.89(7H, m), 4.01-4.42(2H, m), 5.06(1H, d, J=10.8 Hz), 5.20(1H, d, J=10.8 Hz), 6.33(1H, s), 6.60(1H, d, J=7.9 Hz), 6.91-7.04(1H, m), 7.27-7.58(5H, m).
[合成化合物10]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン]-1'-イル)エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-オキソ-2-(3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン]-1'-イル)エチル]カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン](9.8 mg)から、標記化合物(11.6 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 605.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン]-1'-イル)エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-オキソ-2-(3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4'-ピペリジン]-1'-イル)エチル]カルバメート(11.6 mg)から、標記化合物(9.8 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 505.4
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.31-1.48(1H, m), 1.48-1.65(1H, m), 2.66-2.88(1H, m), 2.88-3.17(1H, m), 3.32-3.89(8H, m), 4.01-4.53(3H, m), 5.01-5.14(3H, m), 5.19(1H, d, J=10.8 Hz), 6.55-6.67(1H, m), 6.91-7.05(1H, m), 7.06-7.62(9H, m).
[合成化合物11]
1-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}ピペリジン-4-カルボキサミド 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-(4-カルバモイルピペリジン-1-イル)-2-オキソエチル}カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及びピペリジン-4-カルボキサミド(6.7 mg)より、標記化合物(17.5 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 544.4.
(B) 1-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}ピペリジン-4-カルボキサミド 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-(4-カルバモイルピペリジン-1-イル)-2-オキソエチル}カルバメート(17.5 mg)より、標記化合物(9.2 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 444.3
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.30-1.98(4H, m), 2.40-3.17(3H, m), 3.26-3.87(9H, m), 3.90-4.53(2H, m), 5.07(1H, d, J=10.7 Hz), 5.20(1H, d, J=10.7 Hz), 6.51-6.65(1H, m), 6.89-7.03(1H, m), 7.30-7.55(5H, m).
[合成化合物12]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(3-エチル-5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(3-エチル-5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)-2-オキソエチル]カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び3-エチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン(7.9 mg)より、標記化合物(18.6 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 568.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-(3-エチル-5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)エタノン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-(3-エチル-5,6-ジヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル)-2-オキソエチル]カルバメート(18.6 mg)より、標記化合物(19.3 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 468.4
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.31-1.65(2H, m), 1.45(3H, t, J=6.5 Hz), 2.73-2.92(1H, m), 2.93-3.24(2H, m), 3.50-4.03(6H, m), 4.05-4.67(4H, m), 5.08(1H, d, J=10.6 Hz), 5.20(1H, d, J=10.6 Hz), 6.53-6.71(1H, m), 6.89-7.04(1H, m), 7.31-7.69(5H, m).
[合成化合物13]
7-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}-2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-1-オン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-オキソ-2-(6-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-2-イル)エチル]カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-1-オン(7.3 mg)より、標記化合物(8.1 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 556.4.
(B) 7-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}-2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-1-オン 塩酸塩
合成化合物5の工程Bと同様にして、tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}[2-オキソ-2-(6-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン-2-イル)エチル]カルバメート(8.1 mg)より、標記化合物(4.8 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 456.3
1H-NMR (CD3OD, 270 MHz) δ: 1.31-1.65(2H, m), 1.80-2.35(4H, m), 2.66-2.88(1H, m), 2.88-3.17(1H, m), 3.35-3.87(7H, m), 3.88-4.47(2H, m), 5.06(1H, ABqのA, J=10.6 Hz), 5.20(1H, d, J=10.6 Hz), 6.46-6.71(1H, m), 6.81-7.11(1H, m), 7.24-7.63(5H, m), 8.08(1H, s).
[合成化合物14]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[4-(オキセタン-3-イル)ピペラジン-1-イル]エタノン
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[4-(オキセタン-3-イル)ピペラジン-1-イル]-2-オキソエチル}カルバメート
合成化合物5の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び4-(オキセタン-3-イル)ピペラジン(7.4 mg)より、標記化合物(15.0 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 558.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[4-(オキセタン-3-イル)ピペラジン-1-イル]エタノン
tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[4-(オキセタン-3-イル)ピペラジン-1-イル]-2-オキソエチル}カルバメート(15.0 mg)を、ジクロロメタン(1.2 mL)に溶解した。得られた溶液に、室温でトリフルオロ酢酸(0.8 mL)を加えた。混合物を、1時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を、アミノシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(11.2 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 458.3
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δ: 0.89-1.00(1H, m), 1.10-1.22(1H, m), 2.06-2.38(6H, m), 3.08-3.28(2H, m), 3.34-3.77(6H, m), 4.51-4.72(4H, m), 4.95-5.12(2H, m), 6.23(1H, dt, J=9.4, 3.0 Hz), 6.62-6.74(1H, m), 7.28-7.52(5H, m).
[合成化合物15]
1-((R)-3-アミノピロリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
(A) tert-ブチル {(3R)-1-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}ピロリジン-3-イル}カーバメート
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)のクロロホルム溶液(500 μL)に、(R)-tert-ブチル ピロリジン-3-イルカーバメート(9.7 mg)のクロロホルム溶液(500 μL)及びPS-カルボジイミドレジン(100 mg)を加えた。混合物を、室温で振盪しながら24時間攪拌した。混合物に、PS-イソシアネートレジン(150 mg)及びクロロホルム(500 μL)を加え、さらに振盪しながら24時間攪拌した。不溶物を、フェーズ分離フィルターで分離し、クロロホルム(500 μL)で2回洗浄した。濾液を、遠心エバポレーターで減圧濃縮し、標記化合物(5.8 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 602.5.
(B) 1-((R)-3-アミノピロリジン-1-イル)-2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}エタノン 塩酸塩
tert-ブチル {(3R)-1-{2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}アセチル}ピロリジン-3-イル}カーバメート(5.8 mg)を、1,4-ジオキサン(1 mL)に溶解し、4N HCl/1,4-ジオキサン(400 μL)を加えた。混合物を、室温で14時間攪拌した。混合物から、遠心エバポレーターで溶媒を留去し、標記化合物(5.1 mg)を得た。
MS (ESI+):[M]+ 401.3.
[合成化合物16〜45]
合成化合物15に記載の方法、又はそれらに準じた方法にしたがって製造した化合物を、以下の表に示す。表中、最終工程で得られた化合物が、目的とする合成化合物であり、それより前の工程で得られた化合物は、その前駆体化合物である。また、表中、MSは、製造した化合物の実測値を示す。
[合成化合物46]
2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[(S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル]エタノン
(A) tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[(S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}カーバメート
合成化合物15の工程Aと同様にして、2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}酢酸(15 mg)及び(3S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン(5.9 mg)より、標記化合物(11.0 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 530.4.
(B) 2-{{trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}アミノ}-1-[(S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル]エタノン
tert-ブチル {trans-2-[2-(ベンジルオキシ)-3,5-ジフルオロフェニル]シクロプロピル}{2-[(S)-3-(ジメチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル}カーバメート(11.0 mg)のジクロロメタン溶液(1.2 mL)に、トリフルオロ酢酸(0.8 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を、アミノシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)で精製し、標記化合物(6.7 mg)を得た。
MS (ESI+):[M+H]+ 430.3.
[合成化合物47〜58]
合成化合物46に記載の方法、又はそれらに準じた方法にしたがって製造した化合物を、以下の表に示す。表中、最終工程で得られた化合物が、目的とする合成化合物であり、それより前の工程で得られた化合物は、その前駆体化合物である。また、表中、MSは、製造した化合物の実測値を示す。
<II. 新規化合物の酵素阻害活性>
[II-1. LSD1阻害活性]
前記の手順で製造された化合物のLSD1阻害活性を、下記の手順で測定した。ヒストンH3の4番目のリジン残基(K4)をジメチル化した20残基の合成ペプチド(H3K4me2ペプチド)を基質として、試験化合物の存在下でLSD1による脱メチル化反応を行い、副生成物として産生する過酸化水素を、公知のペルオキシダーゼアッセイで定量的に測定した。LSD1は、脱メチル化反応に伴い、反応副生成物として過酸化水素を放出する。ペルオキシダーゼアッセイでは、ペルオキシダーゼが、この過酸化水素を基質として、カップリング剤である4-アミノアンチピリン(4-AA)と、水素供与体の水溶性アニリン誘導体であるN-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン(新トリンダー試薬)とを酸化縮合する。この反応において、量依存的に、555 nmの吸収極大波長を有する紫色の発色を示す。この紫色の発色を、562 nmの吸光度で測定することにより、過酸化水素を定量することができる。
50 mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、pH 7.5の緩衝液中に、0.4 mM 4-AA、4 mM N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、0.04 mg/mLのペルオキシダーゼ及び1 μMのLSD1と、所定の濃度に調製した試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液又は対照として同体積のDMSOとを加え、10分間室温で予温した。その後、反応液に、終濃度100 μMのヒストンH3K4me2ペプチドを加えて、反応を開始した。反応開始から所定時間経過後に、562 nmの波長での反応液の吸光度を測定した。測定開始から30分後の吸光度に基づき、対照(DMSO)の反応液の吸光度に対する試験化合物の反応液の吸光度の百分率(残存活性)を算出し、さらに各濃度における試験化合物の阻害率(%)を算出した。算出された各濃度における試験化合物の阻害率に基づき、Prism6(GraphPad Software、米国カリフォルニア州San Diego)を用いて、各試験化合物の用量反応曲線を描画することで、LSD1活性を50%阻害する試験化合物の濃度(IC50値)を算出した。
比較化合物として試験に用いた公知化合物を下記に示す。比較化合物Aは、国際公開第2013/057322号の実施例1に記載された化合物(N1-((trans)-2-フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン)である。比較化合物Bは、国際公開第2012/135113号の実施例29に記載された化合物(4-((4-((((1R,2S)-2-フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)メチル)安息香酸)である。比較化合物Cは、国際公開第2010/043721号の実施例26に記載された化合物((2-((trans)-2-(4-(ベンゾイルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノン)である。比較化合物Dは、国際公開第2012/013727号の実施例4に記載された化合物(4’-((trans)-2-アミノシクロプロピル)ビフェニル-3-オール)である。比較化合物Eは、Mimasu Sら, Biochemistry, 第49(30)巻, p. 6494-6503, 2010年に記載された化合物S2101である。比較化合物Fは、国際公開第2010/043721号の実施例57に記載された化合物(2-((trans)-2-(5’-フルオロ-2’-トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル)シクロプロピルアミノ)-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタノン)である。比較化合物Gは、国際公開第2010/043721号の実施例16に記載された化合物(1-((S)-3-アミノピロリジン-1-イル)-2-((trans)-2-フェニルシクロプロピルアミノ)エタノン)である。比較化合物Hは、国際公開第2010/043721号の実施例22に記載された化合物(1-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-((trans)-2-フェニルシクロプロピルアミノ)エタノン)である。

[II-2. モノアミンオキシダーゼ阻害活性]
前記の手順で製造された化合物のMAO-A及びMAO-B阻害活性を、下記の手順で測定した。モノアミンを基質として、試験化合物の存在下でMAO-A及びMAO-Bによるアミンの酸化反応を行い、副生成物として産生する過酸化水素を、LSD1阻害活性の測定と同様に、公知のペルオキシダーゼアッセイで定量的に測定した。
50 mM HEPES、pH 7.5の緩衝液中に、0.4 mM 4-AA、4 mM N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、0.04 mg/mLのペルオキシダーゼ及び0.1 mg/mlのMAO-A若しくは0.2 mg/mlのMAO-Bと、100 μMの終濃度に調製した試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液又は対照として同体積のDMSOとを加え、10分間室温で予温した。その後、反応液に、チラミンを、MAO-Aの反応液に対して50 μM、MAO-Bの反応液に対して150 μMの終濃度となるように加えて、反応を開始した。反応開始から所定時間経過後に、562 nmの波長での反応液の吸光度を測定した。測定開始から30分後の吸光度に基づき、対照(DMSO)の反応液の吸光度に対する試験化合物の反応液の吸光度の百分率(残存活性)を算出し、さらに各濃度における試験化合物の阻害率(%)を算出した。
<III. 健常人由来の正常細胞、誘導多能性幹細胞(hiPSC)、hiPSC由来テラトーマ及び腫瘍細胞株におけるLSD1発現様式>
健常人由来の線維芽細胞(フィブロブラスト)、末梢血T-リンパ球(T-細胞)、誘導多能性幹細胞(hiPSC)201B株、201B株を免疫不全マウス皮下に移植し3週間後に形成したテラトーマ、悪性腫瘍細胞K562株、HeLa細胞株、及びHEK293細胞株より、タンパク溶解液及び全RNAを抽出した。線維芽細胞及び腫瘍細胞株は、いずれもヒューマンサイエンス研究資源バンクより、hiPSC 201B株は、京都大学山中教授より、それぞれ提供を受けた。テラトーマは、6〜8週齢の免疫不全(NOD/SCID)マウス(日本クレア)の皮下へ、hiPSC (201B株)2×106個をマトリゲル(コーニング)に懸濁したものを移植して形成させた。
各細胞及びテラトーマにおけるタンパク質発現量を、イムノブロットにより解析した。それぞれ2.5μgのタンパク質を、Simple Western System Wes (プロテインシンプル)を用いて、HDAC1、HDAC3、HDAC6、LSD1及びOct3/4に対する特異抗体、続いてセイヨウワサビペルオキシダーゼ (HRP)標識2次抗体で反応後、発色試薬により、発光を検出した。GAPDHは、タンパク質量のコントロールとして使用した。得られたシグナルの強度を、それぞれのGAPDHのシグナル強度を用いてタンパク量あたりに補正した。補正後の値のフィブロブラストの値を1.0とした時の、各シグナル強度の相対値を算出した。各細胞及びテラトーマにおけるタンパク質発現量をイムノブロットにより解析した結果を図1に示す。図中、Aは、イムノブロットの結果を、Bは、フィブロブラストの値を1.0とした時の、各シグナル強度の相対値を、それぞれ示す。
図1に示すように、HDAC1、HDAC3、HDAC6及びLSD1の発現は、健常人由来の正常細胞(フィブロブラスト及びT-細胞)及びhiPSCでほとんど検出されなかったが、テラトーマでは発現が強く検出された。テラトーマにおけるHDAC1及びHDAC3発現量は、腫瘍細胞株(K562株)と同程度であったが、HDAC6及びLSD1は、どの細胞よりも強く発現が検出された。
各細胞及びテラトーマにおける遺伝子発現量を、定量PCR法により解析した。抽出したRNAより、逆転写酵素(TOYOBO)を用いて、相補的DNAを合成した。HDAC1、HDAC3、HDAC6及びLSD1に対する市販の定量PCR法用プローブ(TaqManProbe)を用いて、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(ライフテクノロジー)により解析し、遺伝子発現量を、ΔCT法により定量した。フィブロブラストの遺伝子発現量を1.0とした時の、それぞれの遺伝子発現量の相対値を算出した。各細胞及びテラトーマにおける遺伝子発現量を定量PCR法により解析した結果を図2に示す。
図2に示すように、テラトーマにおけるHDAC1、HDAC3、HDAC6及びLSD1の強発現は、遺伝子発現レベルでも、タンパク質レベル(図1B)と同様に検出された。
テラトーマ組織における発現を、蛍光免疫染色により解析した。摘出したテラトーマを、4%パラホルムアルデヒドで一晩固定した後、10%及び20%スクロースにて置換した。試料を、OCTコンパウンド(Optical Cutting Temperature compound, SAKURAFinetek US)にて包埋した。クライオスタットを用いて、7〜10 μm厚の凍結試料切片を複数枚作製し、連続切片とした。凍結切片を、ヘマトキシリンエオジン(HE)で染色した。また、その連続切片を、HDAC1、HDAC6又はLSD1に対する特異抗体及びAlexa-488標識2次抗体で蛍光免疫染色した。HE染色では、凍結切片スライドを、ヘマトキシリン溶液(Carazzi)及び0.5%エオジン溶液へ浸し、細胞質及び核を染色した。その後、脱水及び透徹を行い、カナダバルサムにて封入した。蛍光免疫染色では、連続切片を、固定バッファー及びブロッキングバッファー(Life Technologies)でそれぞれ15分間反応させた。その後、連続切片を、ブロッキングバッファーで1/100に希釈した1次抗体と、4℃で一晩インキュベートした。翌日、連続切片を、ブロッキングバッファーで1/1000に希釈した2次抗体と反応させ、核染色用試薬ProLong Gold Antifade Reagent with DAPI(Cell Signaling)で封入した。蛍光顕微鏡(Biorevo BZ-X710 キーエンス)を用いて、切片を観察した。テラトーマ組織切片のHE染色、並びにHDAC1、HDAC6又はLSD1に対する特異抗体及びAlexa-488標識2次抗体を用いる蛍光免疫染色の結果を図3に示す。図中、緑色は、HDAC1、HDAC6又はLSD1によるシグナルを、青色は、DAPI染色による細胞核を示す。
図3に示すように、テラトーマ組織内のHDAC1、HDAC6又はLSD1発現(緑色)は、形成したテラトーマのどの部位にも同程度に検出された。
<IV. LSD1を強発現させたhiPSCのテラトーマ形成促進作用>
ChiPS17株にLSD1遺伝子を強発現させたクローン亜株を樹立した。樹立した3個の亜株(E7、F6及びH12)におけるLSD1遺伝子発現を、定量PCRにより解析した。ベクターのみを導入した亜株(mock)の遺伝子発現量を1.0 とした時の、それぞれの遺伝子発現量の相対値を算出した。また、3個の亜株のLSD1及び発癌因子であるc-mycタンパク質の発現を、イムノブロットにより解析した。ベクターのみを導入した亜株(mock)のタンパク質発現量を1.0とした時の、それぞれのタンパク質発現量の相対値を算出した。3個の亜株(E7、F6及びH12)におけるLSD1遺伝子発現を定量PCRにより解析した結果を図4に示す。また、3個の亜株(E7、F6及びH12)におけるタンパク質発現量をイムノブロットにより解析した結果を図5に示す。図中、Aは、イムノブロットの結果を、Bは、ベクターのみを導入した亜株(mock)のタンパク質発現量を1.0 とした時の、それぞれのタンパク質発現量の相対値を、それぞれ示す。
テラトーマ形成時には、発癌因子であるc-mycの強発現の関与が示唆されている(Leeら, Nat Med, 第19巻, p. 998, 2013年)。また、膵臓癌では、c-mycがLSD1発現により制御されていることが示されている(Guptaら, Prostate Cancer Prostatic Dis., 第19巻, p. 349, 2016年)。図4及び5に示すように、3個の亜株の中では、H12株がLSD1及びc-mycを強発現していた。そこで、以降は、この株を用いて実験を進めた。
ChiPS17亜株(H12株)2×106個をマトリゲルに懸濁し、6〜8週齢の免疫不全マウスの皮下へ移植した。移植後22日目及び49日目にテラトーマを摘出し、重量を測定後、凍結切片を作製した。前記IIIと同様の手順で、凍結切片をHEで染色した。移植後22日目及び49日目に採取したテラトーマの写真を図6に、テラトーマの重量(平均値±標準偏差値)を図7に、採取したテラトーマ切片のHE染色結果を図8に、それぞれ示す。図中、Aは、移植後22日目の結果を、Bは、移植後49日目の結果を、それぞれ示す。*は、スチューデントt-検定により算出した、mockに対するp値が0.05以下であることを示す。
図6及び7に示すように、LSD1強発現により、移植後22日目で有意なテラトーマ増殖の促進効果が観察された。また、図8に示すように、移植後49日目に採取したテラトーマでは、mock及びLSD1強発現亜株ともに三胚葉系への分化が観察された。これらの結果から、LSD1強発現は、多分化能には影響を与えず、移植後のテラトーマ形成の促進に作用したと推測される。それ故、LSD1強発現は、テラトーマ形成のドライバーであると考えられる。前記IIIに示すように、LSD1は、正常細胞には発現が見られず、テラトーマにおいて特異的に強発現している(図1及び2)。それ故、LSD1阻害活性を有する化合物は、正常細胞には影響を与えず、多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体におけるテラトーマ形成を特異的に抑制し得ると推測される。
<V. エピジェネティックな制御に関与する酵素阻害剤によるテラトーマ形成抑制効果>
エピジェネティックな制御に関与する酵素に対する公知の阻害剤を用いて、これらの阻害剤のテラトーマ形成抑制効果を評価した。公知の阻害剤としては、HDAC阻害剤であるパノビノスタット(Crisanti MCら, Mol Cancer Ther, 第8巻, p.2221, 2009年)、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(Kikuchi Jら, Blood, 第116巻, p. 406, 2010年)、及びHDAC6阻害剤であるツバスタチンA(Gradilone SAら, Cancer Res, 第73巻,p.2259, 2013年)を用いた。ChiPS17株2×106個をマトリゲルに懸濁し、6〜8週齢の免疫不全マウスの皮下へ移植した。移植直後から、移植したマウスを4群に分けた。ツバスタチンA投与群は、ツバスタチンAのDMSO溶液を、終濃度50 mg/kgになるように生理食塩水で希釈した溶液を、ボルテゾミブ投与群は、ボルテゾミブのDMSO溶液を、終濃度0.5 mg/kgになるように生理食塩水で希釈した溶液を、パノビノスタット投与群は、パノビノスタットのDMSO溶液を、終濃度20 mg/kgになるように生理食塩水で希釈した溶液を、対照群は、等量のDMSOを生理食塩水で希釈した溶液を、それぞれ日曜日を除く連日3週間連続で、腹腔内投与した。阻害剤の投与量は、文献等(Woan KVら, Mol Oncol, 第9巻, p. 1447, 2015年;Ocio EMら, Haematologica, 第95巻, p. 794, 2010年)を参考とした。移植後56日目に、テラトーマを摘出した。パノビノスタット投与群では、顕著な体重減少が起こり、マウスが死亡したため、試料を得られなかった。移植後56日目に採取したテラトーマの写真を図9に示す。図中、Aは、対照群を、Bは、ツバスタチンA投与群を、Cは、ボルテゾミブ投与群を、それぞれ示す。また、試験に使用した阻害剤の阻害様式とテラトーマ形成抑制効果との関係を表8に示す。
図9及び表8に示すように、HDACを阻害するパノビノスタット、ボルテゾミブ及びツバスタチンAの投与による、有意なテラトーマ形成抑制効果は確認されなかった。
<VI. 新規化合物によるテラトーマ形成抑制効果>
マウス体内におけるテラトーマの増殖を観察するため、ルシフェラーゼ遺伝子を導入したChiPS17細胞株 (ChiPS-Luc) を樹立した。このChiPS17細胞株2×106個をマトリゲルに懸濁し、6〜8週齢の免疫不全マウスの右足上部の皮下へ移植した。移植直後から、移植したマウスを2群に分けた。化合物投与群は、合成化合物1のDMSO溶液を、終濃度50 mg/kgになるように生理食塩水で希釈した溶液を、対照群は、等量のDMSOを生理食塩水で希釈した溶液を、それぞれ日曜日を除く連日4週間連続で、腹腔内投与した。ルシフェラーゼ活性の測定は、マウス腹腔内へD-ルシフェリン(Promega)を200 mg注射した後、IVISイメージングシステム (Xenogen)を用いることにより実施した。合成化合物1投与群及び対照群のマウスの移植後8日目及び40日目におけるルシフェラーゼ活性の測定結果を図10に、ルシフェラーゼ活性の平均値±標準偏差値を図11に、それぞれ示す。図中、*は、スチューデントのT検定により算出した、対照群の値に対するp値が0.05以下であったことを示す。
図10及び11に示すように、合成化合物1の投与により、移植後40日目で有意なルシフェラーゼ活性発現の抑制効果が観察された。
移植後40日目にテラトーマを摘出し、重量を測定後、凍結切片を作製した。前記IIIと同様の手順で、凍結切片をHEで染色した。移植後40日目に採取したテラトーマの写真を図12に、テラトーマの重量(平均値±標準偏差値)を図13に、採取したテラトーマ切片のHE染色結果を図14に、それぞれ示す。図中、*は、スチューデントt-検定により算出した、対照群の値に対するp値が0.05以下であることを示す。
図12及び13に示すように、合成化合物1の投与により、移植後40日目で有意なテラトーマ形成の抑制効果が観察された。また、図14に示すように、対照群では、三胚葉系に分化した組織が観察され、テラトーマが形成されていた。これに対し、合成化合物1投与群では、アポトーシスを起こした細胞が多数観察され、三胚葉系に分化した組織は観察されなかった。
前記手順で得られたテラトーマの凍結切片を、抗活性化型カスパーゼ-3(active-casp.3)抗体又は抗c-myc抗体、及びAlexa-594標識二次抗体と、抗H3K4me2抗体又は抗H3K9me2抗体、及びAlexa-488標識二次抗体とを用いて、蛍光免疫染色した。凍結切片を、固定バッファー及びブロッキングバッファー(LifeTechnologies)でそれぞれ15分間反応させた。次いで、凍結切片を、ブロッキングバッファーで1/100濃度に希釈した一次抗体と、4℃で一晩インキュベートした。翌日、凍結切片を、ブロッキングバッファーで1/1000濃度に希釈した二次抗体と反応させ、核染色用試薬(ProLong Gold Antifade Reagent with DAPI、Cell Signaling)で封入した。蛍光顕微鏡(Biorevo BZ-X710 キーエンス)を用いて、切片を顕微鏡観察した。テラトーマの凍結切片の蛍光免疫染色の結果を図15に示す。図中、上段から順に、抗活性化型カスパーゼ-3(active-casp.3)抗体(赤色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、抗c-myc抗体(赤色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、抗H3K4me2抗体(緑色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果、並びに抗H3K9me2抗体(緑色)及びDAPI(青色)による蛍光免疫染色の結果を、それぞれ示す。
図15に示すように、合成化合物1投与群では、アポトーシス誘導のマーカーである活性化型カスパーゼ-3が観察された一方で、c-mycの発現は、対照群と比較して低下した。また、合成化合物1投与群では、LSD1の標的であるH3K4及びH3K9のメチル化の増強が観察された。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。

Claims (12)

  1. 式(I):
    [式中、
    Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
    Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
    R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
    で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成抑制剤。
  2. R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
    R8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
    R9は、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R10は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
    R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
    R11は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
    R14は、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
    請求項1に記載のテラトーマ形成抑制剤。
  3. R8は、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
    R9は、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R10は、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
    R11は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R12及びR13は、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
    R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
    請求項2に記載のテラトーマ形成抑制剤。
  4. Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテラトーマ形成抑制剤。
  5. Lが、メチレン-CO-であり、
    Aが、-NR3R4であり、
    R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
    R8が、メチルであり、
    R9が、水素である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のテラトーマ形成抑制剤。
  6. 式(I):
    [式中、
    Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
    Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
    R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
    で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、テラトーマ形成の抑制に使用するための医薬。
  7. R3及びR4が、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ1又は2個のR8及び1又は複数個のR9を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成し、
    R8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
    R9は、水素、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換の5〜9員のヘテロアリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R10は、水素、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソ(=O)からなる群より独立して選択される一価基又は二価基であるか、或いは
    R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ置換若しくは非置換の3〜7員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC5〜C6アリール、又は置換若しくは非置換の5員又は6員のヘテロアリールを形成し、
    R11は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R12及びR13は、水素、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、並びに置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC4〜C7シクロアルキル又は置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキルを形成し、
    R14は、水素及び置換若しくは非置換のC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
    請求項6に記載の医薬。
  8. R8は、水素、ハロゲン、C3〜C7シクロアルキル、非置換若しくは1個以上のヒドロキシルで置換されたC1〜C6アルコキシ-C1〜C6アルキル、-COR13、-COOR13、-CONR12R13、-NR12R13、-NR12COR13、-NR12CO2R13、-NR14CONR12R13、-NR12SO2R13、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、フェニル、置換アミノ、環状アミノ、-COOR12又は-CONR12R13で置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R8は、それらが結合する1又は2個の炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換若しくは1又は複数個のR10で置換されたC3〜C7シクロアルキル、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含み、且つ非置換若しくは1又は複数個のR10で置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル、非置換C5〜C6アリール、又は非置換若しくは1又は複数個のR11で置換された5〜9員のヘテロアリールを形成し、
    R9は、水素、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリル、ピロリジニル、置換若しくは非置換のピペリジニル、置換若しくは非置換のピペラジニル、置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のベンゾイミダゾリル、ピリジニル、ピラジニル、並びに非置換若しくは1個以上のオキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はフェニルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R10は、水素、C1〜C6アルキル、-CONR12R13及びオキソからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R10は、それらが結合する1又は2個の炭素原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC3〜C7シクロアルキル、又は置換若しくは非置換のC5〜C6アリールを形成し、
    R11は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲン、ヒドロキシル、ジメチルアミノ、N-モルフォリノ、N-ピロリジノ又はカルボキシルで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であり、
    R12及びR13は、水素、C6〜C15アリール、並びに非置換若しくは1個以上のハロゲンで置換されたC1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基であるか、或いは
    R12及びR13は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、非置換C4〜C7シクロアルキル又は4〜7員の非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
    R14は、水素及び非置換C1〜C6アルキルからなる群より独立して選択される一価基である、
    請求項7に記載の医薬。
  9. Lが、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の医薬。
  10. Lが、メチレン-CO-であり、
    Aが、-NR3R4であり、
    R3及びR4が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個のR8及び1個のR9を有するピペラジニルを形成し、
    R8が、メチルであり、
    R9が、水素である、
    請求項6〜9のいずれか1項に記載の医薬。
  11. 多能性幹細胞由来の細胞又はその構造体における悪性腫瘍の予防又は治療に使用するための、請求項6〜10のいずれか1項に記載の医薬。
  12. 式(I):
    [式中、
    Lは、置換若しくは非置換のC1〜C6アルキレン-CO-、置換若しくは非置換のC2〜C6アルケニレン-CO-、又は置換若しくは非置換のC2〜C6アルキニレン-CO-であり(但し、Lは-CO-の炭素原子の位置でAと結合する)、
    Aは、-NR3R4、又は-CHR3R4であり、
    R3及びR4は、それらが結合する炭素原子又は窒素原子と一緒になって、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を環原子として含む、置換若しくは非置換の4〜7員のヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルケニルを形成する。]
    で表される化合物、その立体異性体若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む、テラトーマ形成の抑制に使用するための医薬組成物。
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