JP2019031464A - 口腔内粘膜貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔内粘膜に貼付したとき違和感がなく、表裏識別性が良好でかつ口腔内粘膜への粘着性の良好なフィルム状口腔内粘膜貼付剤の提供。
【解決手段】貼付後の表面側から順に、次の(a)層、(b)層及び(c)層を有することを特徴とするフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
(a)薬物非含有透明支持層、
(b)薬物と、水溶性高分子と、黄色系、だいだい色系及び赤色系から選ばれる1種以上の着色剤とを含有する薬物含有層、
(c)薬物と、水溶性高分子と、不透明化剤とを含有する薬物含有層。
【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内粘膜に貼付して使用するフィルム状貼付剤に関する。
口腔内粘膜を経由した薬物吸収や口腔内の殺菌及び口内炎治療等を目的とした口腔内粘膜貼付剤がいくつか知られており、剤形としては使用感に優れたフィルム製剤が特に有効である。例えば、オピオイド系鎮痛薬であるフェンタニルを含有した3層型のフィルム製剤(特許文献1)、禁煙補助薬であるニコチンを含有した5層型のフィルム製剤(特許文献2)がそれぞれ示されており、いずれも口腔内粘膜から薬物が吸収されて全身に作用する。また、口内炎の患部を覆うことで物理的刺激から保護し、同時に薬物を患部に放出する口腔内粘膜貼付剤も知られており、消炎効果を有するステロイド剤又は非ステロイド剤を含有する3層型のフィルム製剤(特許文献3)が示されている。
一方、口腔内粘膜貼付剤は、口腔内で唾液に晒されることから確実な薬効を得るために口腔内粘膜への十分な粘着性が必要である。かかる点から、特許文献4にはヒプロメロースを基剤としたフィルム製剤にカルボキシビニルポリマー並びにトラガントガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種類を添加することで、口腔内粘膜への粘着性を向上させた口内炎治療用のフィルム製剤が示されている。この製剤は、塗工液の調製工程でカルボキシビニルポリマーがエタノールや水に溶解するときに継粉を形成し易い性質があり、調製時に特別な注意が必要である等の問題がある。また、特許文献5にはヒドロキシプロピルセルロース及び/又はポリビニルピロリドンを基剤として含むフィルム製剤にタンニン酸を加えることで、基剤の硬さ、弾力性、溶解性及び粘着力をコントロールしたフィルム製剤が示されている。
特開2010−138123号公報 特開2010−138124号公報 特開昭61−280423号公報 特開2016−11293号公報 特開平07−187993号公報
通常、フィルム状貼付剤を口腔内粘膜に貼付する場合、貼付剤を指先にとり、口腔内粘膜に付着させる。このとき、指先にとる面が表面か裏面か識別できないと、薬物含有層を有する面を正しく粘膜に付着させることができず、所望の薬効は得られない。また、口腔内粘膜に付着させた貼付剤が白色等の場合、患者は違和感をおぼえる等の問題もあった。
従って、本発明の課題は、口腔内粘膜に付着させたとき、表面と裏面とを明確に識別でき、正しく貼付できるとともに所望の薬効が得られ、貼付後のフィルムに違和感がなく、粘着性の良好なフィルム状口腔内粘膜貼付剤を提供することにある。
そこで本発明者は、口腔内粘膜貼付剤を3層とし、表面層の薬物非含有透明支持層を指にとる層とし、2つの薬物含有層の基剤を水溶性高分子とし、表面側の層を口腔内粘膜の色に似た色相とし、貼付面に不透明化剤を含有させれば、水溶性高分子により薬物含有層の十分な粘着性が得られるとともに、指でとりやすく、表面と裏面との識別も可能であることを見出した。また、薬物含有層の水溶性高分子の組成及びタンニン酸の添加により、口腔内粘膜への粘着性や使用感が向上することも見出した。
すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕貼付後の表面側から順に、次の(a)層、(b)層及び(c)層を有することを特徴とするフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
(a)薬物非含有透明支持層、
(b)薬物と、水溶性高分子と、黄色系、だいだい色系及び赤色系から選ばれる1種以上の着色剤とを含有する薬物含有層、
(c)薬物と、水溶性高分子と、不透明化剤とを含有する薬物含有層。
〔2〕(a)支持層が、水不溶性高分子を含有する〔1〕記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
〔3〕不透明化剤が、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムから選ばれる1種以上である〔1〕又は〔2〕記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
〔4〕(b)層及び(c)層が、さらにタンニン酸を0.5〜4.5質量%含有する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
〔5〕前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
〔6〕ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロース合計量に対するポリビニルピロリドンの含有質量比が0.2〜0.8である〔5〕記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
本発明のフィルム状口腔内粘膜貼付剤は、指による口腔内粘膜への粘着性に優れ、表面と裏面との識別性が良好であり、貼付後の貼付剤に違和感がなく、かつ口腔内粘膜への粘着性も優れている。
本発明貼付剤の多層形態の例を示す。(a)は平面図、(b)はI−I線に沿って取られた断面図である。 粘着力試験方法を示す図である。 粘着力とPVP比率との関係を示す図である。 粘着力とタンニン酸濃度との関係を示す図である。
本発明のフィルム状口腔内粘膜貼付剤は、貼付後の表面側から順に、次の(a)層、(b)層及び(c)層を有することを特徴とする。
(a)薬物非含有透明支持層、
(b)薬物と、水溶性高分子と、黄色系、だいだい色系及び赤色系から選ばれる1種以上の着色剤とを含有する薬物含有層、
(c)薬物と、水溶性高分子と、不透明化剤とを含有する薬物含有層。
本発明のフィルム状口腔内粘膜貼付剤の貼付後の最表面層は、(a)薬物非含有透明支持層である。
この(a)支持層は、貼付剤を口腔内粘膜に貼付する際に指にとり、貼付する支持層である。この(a)支持層には、薬物は含まない。
(a)支持層のフィルム形成剤は、口腔内粘膜に粘着しないものが好ましいことから、水不溶性高分子を含有することが好ましい。このような水不溶性高分子としては、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタアクリル酸アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマー等が挙げられる。
また、(a)支持層には、水不溶性高分子の他、フィルム形成剤としての水溶性高分子、可塑剤、抗酸化剤、不透明化剤、矯味剤、香料等を含有させることができる。ここで用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アルファー化デンプン、デキストリン、アラビアゴム、トラガントガム、ゼラチン、カンテン、プルラン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が用いられる。中でも、支持層の溶解時間の調整を行い易い点、支持層と薬物層を貼り合わせる際の装着性を良くする点から、水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と水不溶性高分子であるエチルセルロース(EC)又はヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)とを組み合わせて用いるのが好ましい。中でも、支持層の溶解時間を調整し易い点からHPCとECとを組み合わせて用いるのが良い。
なお、(a)支持層は、(b)着色剤を含有する薬物含有層の色を識別可能とする点から、透明であることが望ましく、不透明化剤の含有量は少ないのが好ましい。また、製剤の光沢を抑える目的で、支持層には不透明化剤を0.05〜0.9質量%添加するのが好ましく、0.1〜0.8質量%がより好ましく、0.25〜0.75質量%がさらに好ましい。少ないと製剤に光沢が出て歯茎等に貼付した場合製剤が目立ちやすくなる。多いと支持層が溶けやすくなり、支持層に求められる機能が得られなくなる。
可塑剤、抗酸化剤、矯味剤、香料等は後述のものを用いることができる。
(a)支持層の下層には、(b)薬物と、水溶性高分子と、黄色系、だいだい色系及び赤色系から選ばれる1種以上の着色剤とを含有する薬物含有層が配置され、その下層には(c)薬物と、水溶性高分子と、不透明化剤とを含有する薬物含有層が配置される。
(b)層及び(c)層に用いられる薬物は、口腔内や咽頭などに局所作用を示すもの、口腔内粘膜吸収され全身作用を示すものであれば、いずれでも良い。例えば、次のものが挙げられる。ステロイド系抗炎症剤として、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン等が挙げられる。抗炎症剤として、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、シコンエキス等が挙げられる。殺菌消毒剤として、クロルヘキシジン塩酸塩、ドミフェン臭化物、セチルピリジニウム塩化物水和物、デカリニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物等が挙げられる。抗生物質として、テトラサイクリン塩酸塩等が挙げられる。鎮咳去痰薬として、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム等が挙げられる。鎮痛剤として、ブプレノルフィン塩酸塩、モルヒネ塩酸塩水和物、モルヒネ硫酸塩水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ペチジン塩酸塩、塩酸ペンタゾシン等が挙げられる。禁煙治療薬として、ニコチン等が挙げられる。片頭痛治療薬として、ゾルミトリプタン、エレトリプタン臭化水素酸塩、リザトリプタン安息香酸塩、ナラトリプタン塩酸塩等が挙げられる。統合失調症治療薬として、オランザピン、クエチアピンフマル酸塩、ペロスピロン塩酸塩水和物、スルトプリド塩酸塩、ピパンペロン塩酸塩、オキシペルチン、クロルプロマジン塩酸塩、スピペロン、ゾテピン、ピモジド、フルフェナジンマレイン酸塩、プロペリシアジン、チミペロン等が挙げられる。パーキンソン病治療薬として、アポモルヒネ塩酸塩、ロピニロール塩酸塩、セレギリン塩酸塩、ロチゴチン、スマニロールマレイン酸塩等が挙げられる。β遮断薬として、ビソプロロール、カルベジロール、アテノロール等が挙げられる。アルツハイマー型認知症治療薬として、リバスチグミン、ドネペジル塩酸塩、メマンチン塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩等が挙げられる。気管支拡張剤として、ツロブテロール、モンテルカストナトリウム、プランルカスト水和物、ペミロラストカリウム等が挙げられる。非ステロイド系消炎鎮痛剤として、メロキシカム、セレコキシブ、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、フルルビプロフェン等が挙げられる。
本発明貼付剤全量(a+b+c層)中の薬物含有量は、薬効の発現性、持続性及び使用感の点から、1枚あたり0.01〜20mgが好ましく、0.01〜15mgがより好ましく、0.01〜10mgがさらに好ましい。薬物含有量が多くなると製剤の物性、使用感に対する薬物の物性の影響が大きくなり製剤の物性、使用感が損なわれることがある。また、薬物含有量を多くするために、単位面積あたりの薬物の量が多くなり口腔内粘膜刺激等の問題を生じることがある。
水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アルファー化デンプン、デキストリン、アラビアゴム、トラガントガム、ゼラチン、カンテン、プルラン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が用いられる。
薬物層は口腔内粘膜の患部又は適用部位に接触する層であることから、水分を吸収して粘着性を示す高分子を含むことが好ましい。中でも、種々のグレードがあり製剤の溶解時間を容易に調整可能な点、また、エタノールに溶解可能な点から、水溶性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)とヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とを組み合わせて用いるのが良い。
ポリビニルピロリドンとヒドロキシプロピルセルロースの含有比は、ポリビニルピロリドンの含有比が高い場合が粘着力の向上性の点でより好ましく、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロース合計量に対するポリビニルピロリドンの含有質量比が0.2〜0.8であるのがより好ましく、0.4〜0.8がさらに好ましい。
本発明貼付剤全量中の水溶性高分子の含有量は、口腔内粘膜への粘着性、持続性の点から、50〜90質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましく。少ないと薬物の治療目的に応じた口腔内粘膜への粘着性、持続性の調整が困難になる。一方、多いと治療に十分な量の薬物を添加できなくなる。
(b)層に含まれる黄色系、だいだい色系又は赤色系の着色剤としては、医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(厚生省令第三十号)に記載の色素が挙げられる。具体的には、赤色2号(別名アマランス(Amaranth))、赤色3号(別名エリスロシン(Erythrosine))、赤色102号(別名ニューコクシン(New Coccine))、赤色104号の(1)(別名フロキシンB(Phloxine B))、赤色105号の(1)(別名ローズベンガル(Rose Bengal))、赤色106号(別名アシッドレッド(Acid Red))、黄色4号(別名タートラジン(Tartrazine))、黄色5号(別名サンセットイエローFCF(Sunset Yellow FCF))、赤色201号(別名リソールルビンB(Lithol Rubine B))、赤色202号(別名リソールルビンBCA(Lithol Rubine BCA))、赤色203号(別名レーキレッドC(Lake Red C))、赤色204号(別名レーキレッドCBA(Lake Red CBA))、赤色205号(別名リソールレッド(Lithol Red))、赤色206号(別名リソールレッドCA(Lithol Red CA))、赤色207号(別名リソールレッドBA(Lithol Red BA))、赤色208号(別名リソールレッドSR(Lithol Red SR))、赤色213号(別名ローダミンB(Rhodamine B))、赤色214号(別名ローダミンBアセテート(Rhodamine B Acetate))、赤色215号(別名ローダミンBステアレート(Rhodamine B Stearate))、赤色218号(別名テトラクロロテトラブロモフルオレセイン(Tetrachlorotetrabromofluorescein))、赤色219号(別名ブリリアントレーキレッドR(Brilliant Lake Red R))、赤色220号(別名ディープマルーン(Deep Maroon))、赤色221号(別名トルイジンレッド(Toluidine Red))、赤色223号(別名テトラブロモフルオレセイン(Tetrabromofluorescein))、赤色225号(別名スダンIII(Sudan III))、赤色226号(別名ヘリンドンピンクCN(Helindone Pink CN))、赤色227号(別名ファストアシッドマゲンタ(Fast Acid Magenta))、赤色228号(別名パーマトンレッド(Permaton Red))、赤色230号の(1)(別名エオシンYS(Eosine YS))、赤色230号の(2)(別名エオシンYSK(Eosine YScm))、赤色231号(別名フロキシンBK(Phloxine BK))、赤色232号(別名ローズベンガルK(Rose Bengal K))、だいだい色201号(別名ジブロモフルオレセイン(Dibromofluorescein))、だいだい色203号(別名パーマネントオレンジ(Permanent Orange))、だいだい色204号(別名ベンチジンオレンジG(Benzidine Orange Gmg)、だいだい色205号(別名オレンジII(Orange II))、だいだい色206号(別名ジヨードフルオレセイン(Diiodofluorescein))、だいだい色207号(別名エリスロシン黄NA(Erythrosine Yellowish NA))、黄色201号(別名フルオレセイン(Fluorescein))、黄色202号の(1)(別名ウラニン(Uranine))、黄色202号の(2)(別名ウラニンK(Uranine K))、黄色203号(別名キノリンイエローWS(Quinoline Yellow WS))、黄色204号(別名キノリンイエローSS(Quinoline Yellow SS))、黄色205号(別名ベンチジンイエローG(Benzidine Yellow G))が挙げられる。さらに、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等も使用できる。これらの着色剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの着色剤の含有量は、(b)層中に0.005〜0.4質量%が好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましく、0.01〜0.25質量%がさらに好ましい。
(c)層に含まれる不透明化剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも酸化チタンがより好ましい。不透明化剤の含有量は、(c)層中に1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。少ないと製剤の表面と裏面の区別がつきにくくなる。一方、多いと薬物層中の無機粉体の量が多くなり製剤が溶けやすくなる。
このように(b)層に黄色系〜赤色系の着色剤を含有させ、(c)層に不透明化剤を含有させることにより、貼付後の口腔内での貼付剤の違和感がなくなり、かつ表裏識別性が明確になる。
また、(b)層及び(c)層には、本発明貼付剤の口腔内粘膜への粘着性を向上させる点から、タンニン酸を含有させるのが好ましい。本発明貼付剤全量中のタンニン酸の含有量は、粘着性の向上及び塗工性等の点から、0.5〜4.5質量%が好ましく、1〜4.5質量%がより好ましく、1.5〜4.5質量%がさらに好ましい。タンニン酸の添加により、本発明の貼付剤の口腔内粘膜への粘着性が顕著に向上し、口腔内粘膜への貼付性が良好となり、その結果確実な薬効が得られる。また、このタンニン酸の添加効果は、前記水溶性高分子としてポリビニルピロリドンとヒドロキシプロピルセルロースとを併用した場合に特に顕著である。
(b)層及び(c)層には、前記成分の他、可塑剤、抗酸化剤、矯味剤、香料等を含有させることができる。
可塑剤はフィルム製剤を柔らかくし、貼付時の違和感を低減する役割を有する。また、熱可塑性を付与し、支持層及び薬物層の貼り合わせ時に装着性を良くする役割を有する。可塑剤としては、ポリエチレングリコール(マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000等)、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、ソルビトール、ゴマ油、ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO))、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
中でも、平均分子量の異なるグレードがあり、フィルム製剤の柔軟性を調整することが可能である点から、ポリエチレングリコールを用いるのが好ましい。
抗酸化剤はフィルム製剤保存時、含有する有効成分の分解を防ぐ役割を有する。抗酸化剤としては、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、クエン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
製剤の使用感を良くするために矯味剤を添加することができる。また、矯味剤は唾液分泌腺を刺激するため、唾液による口腔内での製剤の溶解性に影響を及ぼすことがある。矯味剤としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等の酸味剤;アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等の甘味剤;ウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント、メントール等が挙げられる。
製剤の使用感を良くするために香料を添加することができる。また、香料は唾液分泌腺を刺激するため、唾液による口腔内での製剤の溶解性に影響を及ぼすことがある。香料としては、バニラフレーバー、オレンジフレーバー、オレンジ皮フレーバー、ストロベリーフレーバー、ラズベリーフレーバー、チョコレートフレーバー、グレープフルーツフレーバー、グランベリーフレーバー、ウメフレーバー、コクトウフレーバー、ハーブフレーバー、コーヒーフレーバー、紅茶フレーバー、シナモンフレーバー、ハチミツレモンフレーバー等が挙げられる。
本発明の口腔内粘膜貼付剤は、少なくとも(a)層、(b)層及び(c)層を有する多層型のフィルム製剤である。図1は本発明の多層型フィルム製剤の一例を示したものである。図1(a)は口腔内粘膜貼付剤10の平面図であり、図1(b)は口腔内粘膜貼付剤10のI−I線に沿って取られた断面図である。
粘着性を有し薬物を含有する薬物層2((b)層+(c)層)の一方の面には、口腔内で意図しない部分に製剤が付着したり、薬物が唾液中に流出するのを防ぐ目的で支持層1を設けている。
本発明の口腔内粘膜貼付剤の全体の厚みは、60〜500μmとすることが好ましく、60〜300μmとすることが更に好ましい。
支持層の厚みは5〜25μmとすることが好ましく、5〜15μmとすることが更に好ましい。また、薬物層((b)層+(c)層)の厚みは55〜475μmとすることが好ましく、55〜285μmとすることが更に好ましい。
薬物層の(b)層と(c)層の質量比は40:60〜10:90が好ましく、25:75〜15:85がより好ましい。着色剤を添加した(b)層の割合が大きくなると製剤の表面と裏面の識別できなくなる。一方、(b)層の割合が小さくなると、(b)層の厚さが薄くなってしまい後述するように、塗工乾燥したフィルムどうしを貼り合せる工程でのフィルムの取り扱い性が悪くなることがある。
本発明の口腔内粘膜貼付剤の形状は、口腔内粘膜への良好な貼付性が得られる形状であれば特に限定されない。例えば、円形、楕円形、方形等が挙げられる。
本発明の口腔内粘膜貼付剤の面積は0.5〜4cm2が好ましく、0.5〜2cm2がより好ましく、0.5〜1.5cm2がさらに好ましい。小さいと貼付時の製剤の取り扱い性が悪い、治療に必要な薬物を添加できない等の不都合が生じる。大きいと貼付時の違和感が強い。
本発明の口腔内粘膜貼付剤は、薬物や水溶性高分子等をエタノールや水等の溶媒に溶解した塗工液を塗工、乾燥することで得たフィルムどうしを貼り合せることでフィルム積層体を得た後、適切な大きさに裁断することで得ることができる。
また、上記の塗工・乾燥工程で得たフィルム上に更に塗工液を塗工、乾燥することでフィルム積層体を得た後、適切な大きさに裁断することで得ることができる。
塗工液の溶媒には、エタノール、水、又はこれらの混合溶液を用いることができる。溶媒は製剤の固形分に対して5〜10倍量含むのが良い。5倍量より少ないと塗工クリアランスのばらつきが製剤中の薬物含有量のばらつきに大きく現れる。10倍量より多いと乾燥時間が長くなり乾燥工程で気泡が発生し易くなる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
(1)A試験群の口腔内粘膜貼付剤の作成
表1に記載した口腔内粘膜貼付剤を下記の方法で調製した。
(支持層塗工液の調製)
エタノール(適量)にマクロゴール400及び酸化チタンを加えて撹拌分散した。次にHPC及びECを加えて撹拌溶解することで支持層塗工液を得た。
(薬物層I塗工液の調製)
エタノール(適量)にトリアムシノロンアセトニドを加え撹拌溶解することで薬物溶液を得た。別途、エタノール(適量)にタンニン酸及びマクロゴール400を加え撹拌溶解することでタンニン酸溶液を得た。更に別途、精製水(適量)に赤色102号を加えて撹拌溶解することで着色剤溶液を得た。
エタノール(適量)に薬物溶液、タンニン酸溶液及び着色剤溶液を加えて撹拌し、更にHPC及びPVPを加えて撹拌溶解することで薬物層I塗工液を得た。
(薬物層II塗工液の調製)
エタノール(適量)にトリアムシノロンアセトニドを加え撹拌溶解することで薬物溶液を得た。別途、エタノール(適量)にタンニン酸及びマクロゴール400を加え撹拌溶解することでタンニン酸溶液を得た。更に別途、エタノール(適量)に酸化チタンを加えて撹拌分散することで不透明化剤分散液を得た。
エタノールと精製水の混合溶媒(適量)に薬物溶液、タンニン酸溶液及び不透明化剤分散液を加えて撹拌し、更にHPC及びPVPを加えて撹拌溶解することで薬物層II塗工液を得た。
(塗工乾燥及び裁断)
支持層塗工液をシリコーン処理したポリエチレンテレフタレートのシリコーン処理面上に塗工し、60℃の温風を当てて乾燥することで支持層フィルムを得た。
薬物層I塗工液及び薬物層II塗工液も同様の方法で塗工、乾燥を行うことで、薬物層Iフィルム及び薬物層IIフィルムをそれぞれ得た。
尚、塗工量は乾燥後の質量が、支持層は11.21g/m2、薬物層Iは32.05g/m2、薬物層IIは32.00g/m2となるようにそれぞれ調整した。
得られた支持層フィルム上に薬物層Iフィルムを1回貼り合せ、更にその上から薬物層IIフィルムを4回貼り合せることで6層のフィルム積層体を得た。
得られたフィルム積層体を円形φ12mmの刃型で打ち抜くことにより支持層及び薬物層を含む口腔内粘膜貼付剤を得た(図1参照)。
尚、比較例2Aでは支持層に薬物層Iを5回、比較例3Aでは支持層に薬物層IIを5回貼り合せることで6層のフィルム積層体をそれぞれ得た。
(2)B試験群及びC試験群の口腔内粘膜貼付剤の作成
表2及び表3に記載した試料塗工液を下記の方法で調製した。
(試料塗工液の調製)
エタノール(適量)にタンニン酸及びマクロゴール400を加えて撹拌溶解した。次にHPC及びPVPを加えて撹拌溶解することで試料塗工液を得た。
(塗工乾燥及び裁断)
試料塗工液をシリコーン処理したポリエチレンテレフタレートのシリコーン処理面上に塗工し、60℃の温風を当てて乾燥することで試料フィルムを得た。尚、塗工量は乾燥後の質量が32.00g/m2となるように調整した。
得られた試料フィルムどうしを4回貼り合せることで5層のフィルム積層体とし、円形φ12mmの刃型で打ち抜くことにより口腔内粘膜貼付剤を得た。
(3)製剤例の口腔内粘膜貼付剤の作成
製剤例として表4に記載した口腔内粘膜貼付剤を調製した。
尚、支持層にヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)を用いた場合は、支持層塗工液の調製溶媒にエタノール/水(8:2)混液を用いた。
製剤1枚あたりの支持層、薬物層I及び薬物層IIの各層の質量は表4に示す値とし、必要に応じて1回あたりの塗工量と貼り合せ回数を調整した。
(4)口腔内粘膜貼付剤の表裏識別性及び色調変化(60℃1週保管後)確認
口腔内粘膜貼付剤の支持層側及び粘着層側の目視での識別性(表裏識別性)を確認した。また、アルミ袋に包装し、60℃で1週間保存した後の層間での着色剤の移行性も確認した。それぞれの判定基準は下記の通りである。
・表裏識別性の確認
○:製剤の表裏識別が目視で確認できる
×:製剤の表裏識別が目視で確認できない
・色調変化(60℃1週保管後)の確認
○:層間での着色剤の移行が生じず、目視での表裏識別も可能である
×:層間での着色剤の移行が生じ、目視での表裏識別が困難である
(5)粘着力試験
A〜C試験群で調製した口腔内粘膜貼付剤の粘着力は、人工口腔粘膜(「EXSURG」(有限会社テクノキャスト))を被着体とし、テクスチャーアナライザーTA−XT plus(英弘精機株式会社)を用いて、日本薬局方記載の粘着力試験法のプローブタック試験法を準用することで測定した(図2を参照)。
(測定手順)
人工口腔粘膜5を37±2℃の水に浸した後、濾紙に挟み200gの荷重を30秒加えることで表面の水分を除去した。人工口腔粘膜5をスタンド6の中央に置き、中央にφ16mmの穴を開けたプラスチック板8で固定した。
別途、φ15mmのプローブ9底面に口腔内粘膜貼付剤10を粘着面4を下向きにした状態で両面テープで固定した。
プローブ9をスタンド6から10mmの高さから0.5mm/secの速さで下降させることで、プローブ9底面の粘着面4を人工口腔粘膜5に接触させ、1.0Nの荷重を60秒間加えた後、プローブを1.0mm/secの速さで上昇させた。
上記操作により、プローブ9上昇時に粘着面4が人工口腔粘膜5から離れる際に発生する最大荷重を測定し、粘着力(g)とした。
(6)試験結果
表1(実施例1A〜6A)実施例4Aに示したように、着色剤を添加した薬物層(薬物層I)と着色剤を添加していない薬物層(薬物層II)とを組み合わせた(支持層)/(着色剤添加薬物層)/(着色剤非添加薬物層)の製剤構成では、製剤の表裏識別性が良好であった。
一方、比較例2Aに示したように、(支持層)/(着色剤添加薬物層)からなる製剤では製剤の表裏識別が困難であった。
更に比較例3Aに示したように、支持層にのみ着色剤を添加した(着色剤添加支持層)/(着色剤非添加薬物層)からなる製剤は、製剤作成直後の表裏識別性は良好であるが、製剤を長期間保管した場合には支持層から薬物層に着色剤が移行し、製剤の表裏識別性が悪くなることが示された。
表2より、PVP及びHPCの各混合比における粘着力を検討した結果、タンニン酸の添加により粘着力の向上が確認された。
図3より、PVPの添加量を多くした場合の粘着力の向上が顕著であり、下式で定義するPVP比率が20〜80質量%の製剤は口腔内粘膜貼付剤として良好な粘着性及び物性を示した。
PVPのみを基剤とした製剤(比較例6B)は最も粘着力が向上したが、水分を吸収すると保形性が悪くベタベタした物性を示すことから、口腔内粘膜貼付剤として好ましくないことが示唆された。
表1、表3及び図4より、A試験群及びC試験群いずれも製剤中にタンニン酸を0.5〜4.5質量%添加した場合、タンニン酸の添加量増加に伴って粘着力が向上し、口腔内粘膜貼付剤として良好な粘着性及び物性を示した。
C試験群では、タンニン酸を6質量%添加した製剤(実施例5C)は添加していない製剤(比較例1C)に比べて粘着力は向上したものの、4.5質量%添加した製剤(実施例4C)と比較すると粘着力の低下が見られた。
また、タンニン酸を6質量%添加した製剤の調製液は収斂性を示す傾向にあり、若干塗工ムラが生じる傾向にあった。
1:支持層
2:薬物層
2A:薬物層I
2B:薬物層II
3:非粘着面
4:粘着面
5:人工口腔粘膜
6:スタンド
7:クランプ
8:プラスチック板
9:プローブ
10:口腔内粘膜貼付剤
20:引張試験器

Claims (6)

  1. 貼付後の表面側から順に、次の(a)層、(b)層及び(c)層を有することを特徴とするフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
    (a)薬物非含有透明支持層、
    (b)薬物と、水溶性高分子と、黄色系、だいだい色系及び赤色系から選ばれる1種以上の着色剤とを含有する薬物含有層、
    (c)薬物と、水溶性高分子と、不透明化剤とを含有する薬物含有層。
  2. (a)支持層が、水不溶性高分子を含有する請求項1記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
  3. 不透明化剤が、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムから選ばれる1種以上である請求項1又は2記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
  4. (b)層及び(c)層が、さらにタンニン酸を0.5〜4.5質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
  5. 前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースである請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
  6. ポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロース合計量に対するポリビニルピロリドンの含有質量比が0.2〜0.8である請求項5記載のフィルム状口腔内粘膜貼付剤。
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