JP2019033763A - 成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コスト安価に完成度の高い樹脂製品を製造するための成形方法の提供。
【解決手段】この成形テープ12は、ポリプロピレンからなる基材15と、この基材15上に付された転写剤16とを有する。転写剤16は、ブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものである。イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が採用される。ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用される。ポリオールとして、アクリルポリオールが採用される。成形テープ12がプリプレグ13と共に加熱されることにより、転写剤16がプリプレグ13に含有されている樹脂に強固に付着する。
【選択図】図7
【解決手段】この成形テープ12は、ポリプロピレンからなる基材15と、この基材15上に付された転写剤16とを有する。転写剤16は、ブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものである。イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が採用される。ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用される。ポリオールとして、アクリルポリオールが採用される。成形テープ12がプリプレグ13と共に加熱されることにより、転写剤16がプリプレグ13に含有されている樹脂に強固に付着する。
【選択図】図7
Description
この発明は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が熱処理を受けることにより所要の形状に成形される成形方法に関するものである。
たとえば樹脂製品としての釣竿用のブランクは、炭素繊維に熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグが熱処理を受けることにより成形される。具体的には、所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻き付けられ、当該プリプレグに成形用シート(一般に「成形テープ」と称される。)が巻回されることにより締め付けられる。この状態で当該プリプレグが所定温度の下で所定時間だけ加熱されることにより、樹脂製ブランクが焼成される(たとえば特許文献1及び特許文献2参照)。
成形されたブランクの外周面が研磨され、当該外周面に下地塗装が施される。さらに、ブランクの表面に模様やロゴを付す本塗装が行われ、最終的にブランクの最外層にクリア塗装が施されることにより、製品が完成する。
従来の成形方法では、ブランクが焼成された後に研磨工程、下地塗装工程、本塗装工程及びクリア塗装工程等の仕上工程が行われる。このように従来の成形方法は多くの工程を含むために、製品の製造コストが上昇していた。その一方で、上記各工程のいずれかを省略すれば、製品の完成度が著しく低下するという問題もあった。
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、コスト安価に完成度の高い樹脂製品を製造するための成形方法を提供することである。
(1) 本発明に係る釣竿用ブランクの成形方法は、炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸され且つ所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻き付けられる第1工程と、上記プリプレグの外周面に成形テープが巻き付けられることにより、上記プリプレグが締め付けられる第2工程と、上記マンドレル、プリプレグ及び成形テープが90℃〜140℃の下で所定時間だけ加熱される第3工程とを含み、上記成形テープは、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付された塗料を有し、当該塗料は、ブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものであり、当該ブロック剤は、上記第3工程における加熱温度以下の90℃〜130℃で解離するものである。
この成形方法によれば、プリプレグが所定形状に裁断され、これがマンドレルに巻き付けられる。このプリプレグは、たとえば炭素繊維に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のものである。そして、上記マンドレルに巻き付けられたプリプレグに、上記成形テープがさらに巻き付けられ、上記プリプレグが締め付けられる。このとき、成形テープは、当該成形テープに付された塗料が上記プリプレグと対向するように巻かれる。この塗料は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるが、ブロック剤が存在することにより、常温下ではイソシアネートとポリオールとの反応は抑制されている。
その後、所定温度の下で所定時間だけ上記マンドレルに巻回されたプリプレグが上記成形テープと共に加熱される。この加熱により上記ブロック剤が解離し、イソシアネートとポリオールとが反応することにより上記塗料が活性化する。すなわち、当該塗料が隣接する上記プリプレグに転写可能なインクが生成される。この反応と同時に、上記プリプレグに含まれる樹脂が溶融し、上記インクと反応する。これにより、上記プリプレグに含まれる樹脂が上記インクと強固に結合する。
(2) 本発明に係る樹脂製品の成形方法は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付された塗料を有し、当該塗料は90℃〜130℃で解離するブロック剤を含むブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものである成形シートが、金型内の所定位置に敷設されるシート敷設工程と、炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸されたプリプレグが複数積層され且つ所定形状に裁断された後に上記成形シートに重ねて上記金型内に敷設されるプリプレグ敷設工程と、上記金型が型締めされた後に上記成形シート及びプリプレグが90℃〜140℃の下で所定時間だけ加熱される熱処理工程とを含む。
この成形方法によれば、上記成形シートが成形用の金型内に敷設される。このとき、当該成形シートは、上記基材が上記金型と接し且つ上記塗料が上記金型の内側(キャビティ側)を向くように配置される。この塗料は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるが、ブロック剤が存在することにより、常温下ではイソシアネートとポリオールとの反応は抑制されている。さらに、複数のプリプレグが所定形状に裁断され、これが成形用の金型内に上記成形シートに重ね合わされた状態で敷設される。このプリプレグは、たとえば炭素繊維に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のものである。
その後、上記金型が型締めされ、所定温度の下で所定時間だけ上記成形シート及びプリプレグが加熱される。この加熱により上記ブロック剤が解離し、イソシアネートとポリオールとが反応することにより上記塗料が活性化する。すなわち、当該塗料が隣接する上記プリプレグに転写可能なインクが生成される。この反応と同時に、上記プリプレグに含まれる樹脂が溶融し、上記インクと反応する。これにより、上記プリプレグに含まれる樹脂が上記インクと強固に結合する。
(3) 上記ポリオールは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるいずれかであるのが好ましい。また、上記ポリオールは、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいるのが好ましい。
この発明によれば、成形用シートの塗料がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されているが、成形時の熱処理により加熱されることにより両者が反応して転写インクが生成される。このため、焼成と同時に成形品の表面にインクが強固に転写され、当該成形品に模様等の塗装や装飾が良好に施される。その結果、成形品への塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、成形品の品質が向上すると共に製造コストが大幅に低減される。
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されながら説明される。
1.釣竿用ブランクの成形方法(第1の実施形態)
図1〜図8は、釣竿用のブランクの製造工程を示す図である。
後述の製造工程を経て最終的に図8が示すブランク10が製造される。このブランク10は、釣竿を構成する部品(たとえば元節)として使用され、炭素繊維により強化された熱硬化樹脂からなる。当該ブランク10の表面に模様11が付されている。この模様11は、後に詳述される成形テープ12(図4参照)から転写されたものであり、このように模様11が転写されることにより、従来から行われているブランクへの塗装作業に比べて大幅に製造コストが低減される。
<第1工程(図1及び図2参照)>
第1工程では、先ずプリプレグ13が所定の形状に裁断される。プリプレグ13は、本実施形態では、炭素繊維に熱硬化性樹脂(典型的にはエポキシ樹脂)が含浸されたものであり、汎用品が採用され得る。プリプレグ13は、シート状に形成されており、一般に図1が示すような台形状に裁断され、上辺寸法Bよりも下辺寸法Aの方が大きい。
次に、図2が示すように、前述のように裁断されたプリプレグ13がマンドレル14に巻き付けられる。通常、釣竿用のブランク10は、所定のテーパが形成される(図7参照)。そのため、マンドレル14も図2が示すようなテーパを備えている。プリプレグ13は、図1が示すように台形にカットされているから、テーパが形成されたマンドレル14に対して確実に巻き付けられる。
<第2工程(図3参照)>
第2工程では、成形テープ12がプリプレグ13に巻き付けられる。具体的には、成形テープ12は、マンドレル14に巻回されたプリプレグ13の周囲を覆って締め付けるように螺旋状に巻き付けられる。
図4は、成形テープ12の構造を示す斜視図である。同図に当該成形用シート12の要部拡大図も描かれている。
同図が示すように、成形テープ12は、基材15と、当該基材15に付された転写剤16(特許請求の範囲に記載された「塗料」に相当)とを備えている。本実施形態では、転写剤16は、複数の細線状に形成されており、基材15上に幾何学的な模様を構成している。もっとも、転写剤16は、このような形態で基材15上に配置される必要はなく、他の形態で基材15上に配置されていてもよい。
本実施形態では、上記基材15は、ポリプロピレン(PP)からなる。この基材15は、細長帯状に形成されており、基材15の幅寸法Cは6mmに設定され、肉厚寸法は22μmに設定されている。このため、本実施形態に係る成形用シート10は、成形テープ12とも称される。なお、基材15の肉厚寸法は、22μm〜30μm程度に設定され、幅寸法Cは、6mm〜15mm程度に設定される。また、基剤11の材質は、PPに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)も採用され得る。
上記基材15に上記転写剤16が付されている。転写剤16は、既知の手段により基材15に塗布ないし印刷されており、換言すれば、基材15が一定の保持力をもって転写剤16を担持している。なお、基材15の材料としてPETが採用される場合は、いわゆる離型剤(典型的にはシリコーン系離型剤)が使用されるのが好ましい。本実施形態では、転写剤16は、シルバーやゴールド等の金属色を呈する塗料である。もっとも、転写剤16の色は、金属色に限定されるものではなく、種々の色が採用され得る。
この転写剤16は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものからなる。本実施形態では、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が採用されている。もっとも、イソシアネートとしては、イソシアン酸メチル(MIC)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等も採用され得る。また、本実施形態では、ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用されている。ただし、ブロック剤としては、Diethyl Malonate (DEM) 、Methylethylketoxime (MEKO)、Caprolactam (E−CAP) 等のほか、マロン酸ジエステルその他の低温(たとえば90℃)で解離する活性メチレン系ブロック剤も採用され得る。さらに、本実施形態では、ポリオールとして、アクリルポリオールが採用されている。もっとも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も採用され得る。さらに、ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいてもよい。
図3が示すように、成形テープ12は、上記転写剤16がプリプレグ13と接触するように当該プリプレグ13の周面に巻き付けられる。成形テープ12の巻付力、すなわちプリプレグ13に巻き付けられる際の成形テープ12の引張力は2.6kgfに設定される。もっとも、この引張力は、2kgf〜3kgfの範囲で設定される。
<第3工程(図5、図6及び図7参照)>
第3工程では、上記プリプレグ13及び成形テープ12に対して熱処理が行われる。この工程は、図5が示すように、上記成形テープ12により締め付けられたプリプレグ13が、加熱炉17に収容され、上記所定温度の下で所定時間だけ加熱される。
図6は、熱処理時のプリプレグ13及び成形テープ12の位置関係を模式的に示している。
プリプレグ13の表面18に上記転写剤16が対向して接触している。なお、同図では、位置関係の明確化のために、プリプレグ13と成形テープ12との間に隙間が形成されている。本実施形態では、加熱炉17内の温度は、80°C〜140°Cに設定され、加熱時間は、90分〜150分である。
プリプレグ13が加熱されることにより、プリプレグ12に含まれている上記樹脂が溶融した後に硬化する。これにより、当該樹脂は上記炭素繊維にて強化された材料となり、この樹脂により上記ブランク10が成形される。このブランク10が形成される過程において、成形テープ12の基材15に担持された転写剤16が当該基材15から離脱する。上記プリプレグ13は成形テープ12によって締め付けられているから、上記樹脂が硬化することにより成形されたブランク10の表面18に、上記転写剤16が転写される。転写剤16がブランク10に転写されるメカニズムは次のとおりである。
式(1)は、転写剤16の反応を示している。
まず、転写剤16は、式(1)が示すように、加熱されることにより(90℃〜130℃)、ブロック型イソシアネートが加熱解離してポリオールと反応する。つまり、基材15から離れてブランク10に転写可能なインクが生成される。なお、式(1)において、「B」はブロック剤を表している。
すなわち、プリプレグ12においてエポキシ反応が生じると共に転写剤16においてウレタン反応が生じることにより、両者間でウレア結合が生じる。これにより、転写剤16が確実に硬化すると共にブランク10に対して強固に密着する。
<第4工程(図7及び図8参照)>
図7は、上記一連の工程を模式的に示している。
すなわち、同図(A)(B)が示すように、成形テープ12がプリプレグ13に巻回された後に、前述のように熱処理が行われる。この熱処理の後、同図(C)が示すように、上記成形テープ12が取り外される(第4工程)。このとき、上記炭素繊維にて強化された樹脂によって釣竿用のブランク10が形成されているから、転写剤16が強固にブランク10の表面に密着しているから、基剤11のみが良好に剥離される。そして、図8が示すように、ブランク10の表面には上記転写剤16が転写された模様11が付される。
<作用効果>
本実施形態では、成形テープ12に付された転写剤16がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されている。ただし、上記第3工程で転写剤16が加熱されることにより前述のようなウレタン反応が生じてブランク10に転写し得るインクが生成される。そして、このインクがプリプレグ12と同時に反応して、ブランク10の表面に強固に密着する。その結果、簡単にブランク10の表面に模様11が付され、ブランク10に装飾が施されることになる。すなわち、ブランク10の塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、ブランク10の製造コストが大幅に低減される。しかも、上記ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいる場合には、上記インクが撥水性を有し、塗装の品質が向上する。
2.自転車用シューズに採用されるソールの成形方法(第2の実施形態)
図9は、自転車用シューズに採用されるソールの正面図である。
図9が示すように、このソール20は、炭素繊維により強化された熱硬化性樹脂からなり、当該ソール20の表面に模様(不図示)が付されている。ソール20に付された模様は、後述される成形シート22から転写されたものであり、このように模様が転写されることにより、従来から行われているソールへの塗装作業に比べて大幅に製造コストが低減される。
図10は、ソール20の横断面を示す図であり、具体的には図9におけるB−B’、C−C’、D−D’、E−E’、F−F’、G−G’、H−H’、I−I’、J−J’、K−K’、L−L’及びM−M’断面を示している。
図9及び図10が示すように、ソール20は、所定の肉厚の平板状に形成されている。ソール20のつま先部分及び中央部にそれぞれ凹部23、24が設けられている。これらはソール20の軽量化のためでもあるが、図10F−F’断面図が示すように、凹部24にはボルト挿通孔25が設けられており、自転車用シューズにソール20を固定するためのボルトが上記ボルト挿通孔25に挿通されるようになっている。
次に、ソール20の成形方法について説明される。
図11は、ソール20が製造される工程を示している。
ソール20は、次のような工程で製造される。同図が示すように、まず金型26が型開きされ(同図(A))、上型27と下型28とが離反する。下型28に形成された凹部29に成形シート22が敷設される(シート敷設工程)。この成形シート22の構成については後述される。さらに、当該成形シート22に重ね合わされて、複数枚のプリプレグ31が積層される(同図(B):プリプレグ敷設工程)。その後、金型26が型締めされ、所定の温度で所定時間だけ加熱される(同図(C):熱処理工程)。これにより、上記プリプレグ31に含まれる樹脂が溶融、固化し、ソール20が成形される。
<シート敷設工程>
上記成形シート22は、上記第1の実施形態にて開示された成形テープ12(図4参照)と同様の構成である。ただし、上記成形テープ12の外形形状は細長帯状であったが、本実施形態に係る成形シート22の外形形状は、矩形ないし長方形である。成形シート22の構成は、図4が援用されつつ次のように説明される。すなわち、成形シート22は、基材15と、当該基材15に付された転写剤16(特許請求の範囲に記載された「塗料」に相当)とを備えている。本実施形態では、転写剤16は、複数の細線状に形成されており、基材15上に幾何学的な模様を構成している。もっとも、転写剤16は、このような形態で基材15上に配置される必要はなく、他の形態で基材15上に配置されていてもよい。
本実施形態では、上記基材15は、ポリプロピレン(PP)からなる。この基材15は、矩形のシート状に形成されており、肉厚寸法は22μmに設定されている。もっとも、成形シート22の肉厚寸法は、22μm〜30μm程度に設定され得る。また、基剤11の材質は、PPに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)も採用され得る。
上記基材15に上記転写剤16が付されている。転写剤16は、既知の手段により基材15に塗布ないし印刷されており、換言すれば、基材15が一定の保持力をもって転写剤16を担持している。なお、基材15の材料としてPETが採用される場合は、いわゆる離型剤(典型的にはシリコーン系離型剤)が使用されるのが好ましい。本実施形態では、転写剤16は、シルバーやゴールド等の金属色を呈する塗料である。もっとも、転写剤16の色は、金属色に限定されるものではなく、種々の色が採用され得る。
この転写剤16は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものからなる。本実施形態では、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が採用されている。もっとも、イソシアネートとしては、イソシアン酸メチル(MIC)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等も採用され得る。また、本実施形態では、ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用されている。ただし、ブロック剤としては、Diethyl Malonate (DEM) 、Methylethylketoxime (MEKO)、Caprolactam (E−CAP) 等のほか、マロン酸ジエステルその他の低温(たとえば90℃)で解離する活性メチレン系ブロック剤も採用され得る。さらに、本実施形態では、ポリオールとして、アクリルポリオールが採用されている。もっとも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も採用され得る。さらに、ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいてもよい。
<プリプレグ敷設工程>
図11(B)が示すように、成形シート22は、上記転写剤16が金型26の内側を向くように、すなわち、積層されたプリプレグ31と対向し接触するように配置される。プリプレグ31は、予め所定枚数だけ積層され、その状態でソール20の形状に応じて所定形状に裁断される。積層されたプリプレグ31が上記成形シート22に重ね合わされる。プリプレグ31の積層枚数は、ソール20の肉厚に対応して適切に設定される。
<熱処理工程>
その後、上記プリプレグ31及び成形シート22に対して熱処理が行われる。この工程は、上記第1の実施形態と同様である。具体的には、図11(C)が示すように、金型26が型締めされた状態で、上型27及び下型28が加熱される。あるいは金型26自身が発熱する構造であってもよい。そして、上記プリプレグ31及び成形シート22が所定温度の下で所定時間だけ加熱される。
熱処理時のプリプレグ31及び成形シート22の位置関係は、上記第1の実施形態におけるプリプレグ13と成形テープ12との位置関係と同様であり、図6が援用されつつ次のように説明される。
プリプレグ31の表面18に上記転写剤16が対向して接触している。なお、同図では、位置関係の明確化のために、プリプレグ31と成形テープ30との間に隙間が形成されている。本実施形態では、金型26の温度は、80°C〜140°Cに設定され、加熱時間は、90分〜150分である。
プリプレグ31が加熱されることにより、プリプレグ31に含まれている上記樹脂が溶融した後に硬化する。これにより、当該樹脂は上記炭素繊維にて強化された材料となり、この樹脂により上記ソール20が成形される。このソール20が形成される過程において、成形シート22の基材15に担持された転写剤16が当該基材15から離脱する。上記プリプレグ31は成形シート22によって覆われているから、上記樹脂が硬化することにより成形されたソール20の表面18に、上記転写剤16が転写される。転写剤16がソール20に転写されるメカニズムは上記第1の実施形態で開示されたとおりであるため、その説明は省略される。
<仕上工程>
上記熱処理の後、金型26が型開きされ、成形されたソール20と共に上記成形シート22が金型26から取り外される。このとき、上記炭素繊維にて強化された樹脂によってソール20が形成され且つ転写剤16が強固にソール20の表面に密着しているから、基材15のみが良好に剥離される。これにより、ソール20の表面には上記転写剤16が転写された模様が付される。
<作用効果>
本実施形態では、成形シート22に付された転写剤16がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されている。ただし、上記熱処理工程で転写剤16が加熱されることにより前述のようなウレタン反応が生じてソール20に転写し得るインクが生成される。そして、このインクがプリプレグ31と同時に反応して、ソール20の表面に強固に密着する。その結果、簡単にソール20の表面に模様が付され、ソール20に装飾が施されることになる。すなわち、ソール20の塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、ソール20の製造コストが大幅に低減される。しかも、上記ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいる場合には、上記インクが撥水性を有し、塗装の品質が向上する。
<変形例>
上記各実施形態では、釣竿用ブランクの成形方法、自転車用シューズに採用されるソールの成形方法が開示された。ただし、本発明は、たとえば自転車用フレームの成形方法、自転車用車輪に採用されるリムの成形方法、自転車用ブレーキレバーの成形方法、自転車用クランクの成形方法その他の熱硬化性あるいは熱可塑性樹脂に熱処理が加えられることにより焼成される樹脂成形品の成形方法に広く適用され得る。
10・・・成形テープ
11・・・模様
12・・・成形テープ
13・・・プリプレグ
14・・・マンドレル
15・・・基材
16・・・転写剤16
17・・・加熱炉
18・・・表面
20・・・ソール
22・・・成形シート
26・・・金型
27・・・下型
28・・・上型
31・・・プリプレグ
11・・・模様
12・・・成形テープ
13・・・プリプレグ
14・・・マンドレル
15・・・基材
16・・・転写剤16
17・・・加熱炉
18・・・表面
20・・・ソール
22・・・成形シート
26・・・金型
27・・・下型
28・・・上型
31・・・プリプレグ
この発明は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が熱処理を受けることにより所要の形状に成形される成形方法に関するものである。
たとえば樹脂製品としての釣竿用のブランクは、炭素繊維に熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグが熱処理を受けることにより成形される。具体的には、所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻き付けられ、当該プリプレグに成形用シート(一般に「成形テープ」と称される。)が巻回されることにより締め付けられる。この状態で当該プリプレグが所定温度の下で所定時間だけ加熱されることにより、樹脂製ブランクが焼成される(たとえば特許文献1及び特許文献2参照)。
成形されたブランクの外周面が研磨され、当該外周面に下地塗装が施される。さらに、ブランクの表面に模様やロゴを付す本塗装が行われ、最終的にブランクの最外層にクリア塗装が施されることにより、製品が完成する。
従来の成形方法では、ブランクが焼成された後に研磨工程、下地塗装工程、本塗装工程及びクリア塗装工程等の仕上工程が行われる。このように従来の成形方法は多くの工程を含むために、製品の製造コストが上昇していた。その一方で、上記各工程のいずれかを省略すれば、製品の完成度が著しく低下するという問題もあった。
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、コスト安価に完成度の高い樹脂製品を製造するための成形方法を提供することである。
(1) 本発明に係る釣竿用ブランクの成形方法は、炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸され且つ所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻き付けられる第1工程と、上記プリプレグの外周面に、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付され、90℃〜130℃で解離するブロック剤を含むブロック型イソシアネートとポリオールとが混合された塗料を有する成形テープが巻き付けられることにより、上記プリプレグが締め付けられる第2工程と、上記マンドレル、プリプレグ及び成形テープが所定温度の下で所定時間だけ加熱される第3工程とを含む。
この成形方法によれば、プリプレグが所定形状に裁断され、これがマンドレルに巻き付けられる。このプリプレグは、たとえば炭素繊維に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のものである。そして、上記マンドレルに巻き付けられたプリプレグに、上記成形テープがさらに巻き付けられ、上記プリプレグが締め付けられる。このとき、成形テープは、当該成形テープに付された塗料が上記プリプレグと対向するように巻かれる。この塗料は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるが、ブロック剤が存在することにより、常温下ではイソシアネートとポリオールとの反応は抑制されている。
その後、所定温度の下で所定時間だけ上記マンドレルに巻回されたプリプレグが上記成形テープと共に加熱される。この加熱により上記ブロック剤が解離し、イソシアネートとポリオールとが反応することにより上記塗料が活性化する。すなわち、当該塗料が隣接する上記プリプレグに転写可能なインクが生成される。この反応と同時に、上記プリプレグに含まれる樹脂が溶融し、上記インクと反応する。これにより、上記プリプレグに含まれる樹脂が上記インクと強固に結合する。
(2) 本発明に係る樹脂製品の成形方法は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付され、90℃〜130℃で解離するブロック剤を含むブロック型イソシアネートとポリオールとが混合された塗料を有する成形シートが、金型内の所定位置に敷設されるシート敷設工程と、炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸されたプリプレグが複数積層され且つ所定形状に裁断された後に上記成形シートに重ねて上記金型内に敷設されるプリプレグ敷設工程と、上記金型が型締めされた後に上記成形シート及びプリプレグが所定温度の下で所定時間だけ加熱される熱処理工程とを含む。
この成形方法によれば、上記成形シートが成形用の金型内に敷設される。このとき、当該成形シートは、上記基材が上記金型と接し且つ上記塗料が上記金型の内側(キャビティ側)を向くように配置される。この塗料は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるが、ブロック剤が存在することにより、常温下ではイソシアネートとポリオールとの反応は抑制されている。さらに、複数のプリプレグが所定形状に裁断され、これが成形用の金型内に上記成形シートに重ね合わされた状態で敷設される。このプリプレグは、たとえば炭素繊維に熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のものである。
その後、上記金型が型締めされ、所定温度の下で所定時間だけ上記成形シート及びプリプレグが加熱される。この加熱により上記ブロック剤が解離し、イソシアネートとポリオールとが反応することにより上記塗料が活性化する。すなわち、当該塗料が隣接する上記プリプレグに転写可能なインクが生成される。この反応と同時に、上記プリプレグに含まれる樹脂が溶融し、上記インクと反応する。これにより、上記プリプレグに含まれる樹脂が上記インクと強固に結合する。
(3) 上記ポリオールは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択されるいずれかであるのが好ましい。また、上記ポリオールは、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいるのが好ましい。
この発明によれば、成形用シートの塗料がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されているが、成形時の熱処理により加熱されることにより両者が反応して転写インクが生成される。このため、焼成と同時に成形品の表面にインクが強固に転写され、当該成形品に模様等の塗装や装飾が良好に施される。その結果、成形品への塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、成形品の品質が向上すると共に製造コストが大幅に低減される。
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されながら説明される。
1.釣竿用ブランクの成形方法(第1の実施形態)
図1〜図8は、釣竿用のブランクの製造工程を示す図である。
後述の製造工程を経て最終的に図8が示すブランク10が製造される。このブランク10は、釣竿を構成する部品(たとえば元節)として使用され、炭素繊維により強化された熱硬化樹脂からなる。当該ブランク10の表面に模様11が付されている。この模様11は、後に詳述される成形テープ12(図4参照)から転写されたものであり、このように模様11が転写されることにより、従来から行われているブランクへの塗装作業に比べて大幅に製造コストが低減される。
<第1工程(図1及び図2参照)>
第1工程では、先ずプリプレグ13が所定の形状に裁断される。プリプレグ13は、本実施形態では、炭素繊維に熱硬化性樹脂(典型的にはエポキシ樹脂)が含浸されたものであり、汎用品が採用され得る。プリプレグ13は、シート状に形成されており、一般に図1が示すような台形状に裁断され、上辺寸法Bよりも下辺寸法Aの方が大きい。
次に、図2が示すように、前述のように裁断されたプリプレグ13がマンドレル14に巻き付けられる。通常、釣竿用のブランク10は、所定のテーパが形成される(図7参照)。そのため、マンドレル14も図2が示すようなテーパを備えている。プリプレグ13は、図1が示すように台形にカットされているから、テーパが形成されたマンドレル14に対して確実に巻き付けられる。
<第2工程(図3参照)>
第2工程では、成形テープ12がプリプレグ13に巻き付けられる。具体的には、成形テープ12は、マンドレル14に巻回されたプリプレグ13の周囲を覆って締め付けるように螺旋状に巻き付けられる。
図4は、成形テープ12の構造を示す斜視図である。同図に当該成形用シート12の要部拡大図も描かれている。
同図が示すように、成形テープ12は、基材15と、当該基材15に付された転写剤16(特許請求の範囲に記載された「塗料」に相当)とを備えている。本実施形態では、転写剤16は、複数の細線状に形成されており、基材15上に幾何学的な模様を構成している。もっとも、転写剤16は、このような形態で基材15上に配置される必要はなく、他の形態で基材15上に配置されていてもよい。
本実施形態では、上記基材15は、ポリプロピレン(PP)からなる。この基材15は、細長帯状に形成されており、基材15の幅寸法Cは6mmに設定され、肉厚寸法は22μmに設定されている。このため、本実施形態に係る成形用シート10は、成形テープ12とも称される。なお、基材15の肉厚寸法は、22μm〜30μm程度に設定され、幅寸法Cは、6mm〜15mm程度に設定される。また、基剤11の材質は、PPに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)も採用され得る。
上記基材15に上記転写剤16が付されている。転写剤16は、既知の手段により基材15に塗布ないし印刷されており、換言すれば、基材15が一定の保持力をもって転写剤16を担持している。なお、基材15の材料としてPETが採用される場合は、いわゆる離型剤(典型的にはシリコーン系離型剤)が使用されるのが好ましい。本実施形態では、転写剤16は、シルバーやゴールド等の金属色を呈する塗料である。もっとも、転写剤16の色は、金属色に限定されるものではなく、種々の色が採用され得る。
この転写剤16は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものからなる。本実施形態では、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が採用されている。もっとも、イソシアネートとしては、イソシアン酸メチル(MIC)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等も採用され得る。また、本実施形態では、ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用されている。ただし、ブロック剤としては、Diethyl Malonate (DEM) 、Methylethylketoxime (MEKO)、Caprolactam (E−CAP) 等のほか、マロン酸ジエステルその他の低温(たとえば90℃)で解離する活性メチレン系ブロック剤も採用され得る。さらに、本実施形態では、ポリオールとして、アクリルポリオールが採用されている。もっとも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も採用され得る。さらに、ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいてもよい。
図3が示すように、成形テープ12は、上記転写剤16がプリプレグ13と接触するように当該プリプレグ13の周面に巻き付けられる。成形テープ12の巻付力、すなわちプリプレグ13に巻き付けられる際の成形テープ12の引張力は2.6kgfに設定される。もっとも、この引張力は、2kgf〜3kgfの範囲で設定される。
<第3工程(図5、図6及び図7参照)>
第3工程では、上記プリプレグ13及び成形テープ12に対して熱処理が行われる。この工程は、図5が示すように、上記成形テープ12により締め付けられたプリプレグ13が、加熱炉17に収容され、上記所定温度の下で所定時間だけ加熱される。
図6は、熱処理時のプリプレグ13及び成形テープ12の位置関係を模式的に示している。
プリプレグ13の表面18に上記転写剤16が対向して接触している。なお、同図では、位置関係の明確化のために、プリプレグ13と成形テープ12との間に隙間が形成されている。本実施形態では、加熱炉17内の温度は、80°C〜140°Cに設定され、加熱時間は、90分〜150分である。
プリプレグ13が加熱されることにより、プリプレグ12に含まれている上記樹脂が溶融した後に硬化する。これにより、当該樹脂は上記炭素繊維にて強化された材料となり、この樹脂により上記ブランク10が成形される。このブランク10が形成される過程において、成形テープ12の基材15に担持された転写剤16が当該基材15から離脱する。上記プリプレグ13は成形テープ12によって締め付けられているから、上記樹脂が硬化することにより成形されたブランク10の表面18に、上記転写剤16が転写される。転写剤16がブランク10に転写されるメカニズムは次のとおりである。
式(1)は、転写剤16の反応を示している。
まず、転写剤16は、式(1)が示すように、加熱されることにより(90℃〜130℃)、ブロック型イソシアネートが加熱解離してポリオールと反応する。つまり、基材15から離れてブランク10に転写可能なインクが生成される。なお、式(1)において、「B」はブロック剤を表している。
すなわち、プリプレグ12においてエポキシ反応が生じると共に転写剤16においてウレタン反応が生じることにより、両者間でウレア結合が生じる。これにより、転写剤16が確実に硬化すると共にブランク10に対して強固に密着する。
<第4工程(図7及び図8参照)>
図7は、上記一連の工程を模式的に示している。
すなわち、同図(A)(B)が示すように、成形テープ12がプリプレグ13に巻回された後に、前述のように熱処理が行われる。この熱処理の後、同図(C)が示すように、上記成形テープ12が取り外される(第4工程)。このとき、上記炭素繊維にて強化された樹脂によって釣竿用のブランク10が形成されているから、転写剤16が強固にブランク10の表面に密着しているから、基剤11のみが良好に剥離される。そして、図8が示すように、ブランク10の表面には上記転写剤16が転写された模様11が付される。
<作用効果>
本実施形態では、成形テープ12に付された転写剤16がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されている。ただし、上記第3工程で転写剤16が加熱されることにより前述のようなウレタン反応が生じてブランク10に転写し得るインクが生成される。そして、このインクがプリプレグ12と同時に反応して、ブランク10の表面に強固に密着する。その結果、簡単にブランク10の表面に模様11が付され、ブランク10に装飾が施されることになる。すなわち、ブランク10の塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、ブランク10の製造コストが大幅に低減される。しかも、上記ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいる場合には、上記インクが撥水性を有し、塗装の品質が向上する。
2.自転車用シューズに採用されるソールの成形方法(第2の実施形態)
図9は、自転車用シューズに採用されるソールの正面図である。
図9が示すように、このソール20は、炭素繊維により強化された熱硬化性樹脂からなり、当該ソール20の表面に模様(不図示)が付されている。ソール20に付された模様は、後述される成形シート22から転写されたものであり、このように模様が転写されることにより、従来から行われているソールへの塗装作業に比べて大幅に製造コストが低減される。
図10は、ソール20の横断面を示す図であり、具体的には図9におけるB−B’、C−C’、D−D’、E−E’、F−F’、G−G’、H−H’、I−I’、J−J’、K−K’、L−L’及びM−M’断面を示している。
図9及び図10が示すように、ソール20は、所定の肉厚の平板状に形成されている。ソール20のつま先部分及び中央部にそれぞれ凹部23、24が設けられている。これらはソール20の軽量化のためでもあるが、図10F−F’断面図が示すように、凹部24にはボルト挿通孔25が設けられており、自転車用シューズにソール20を固定するためのボルトが上記ボルト挿通孔25に挿通されるようになっている。
次に、ソール20の成形方法について説明される。
図11は、ソール20が製造される工程を示している。
ソール20は、次のような工程で製造される。同図が示すように、まず金型26が型開きされ(同図(A))、上型27と下型28とが離反する。下型28に形成された凹部29に成形シート22が敷設される(シート敷設工程)。この成形シート22の構成については後述される。さらに、当該成形シート22に重ね合わされて、複数枚のプリプレグ31が積層される(同図(B):プリプレグ敷設工程)。その後、金型26が型締めされ、所定の温度で所定時間だけ加熱される(同図(C):熱処理工程)。これにより、上記プリプレグ31に含まれる樹脂が溶融、固化し、ソール20が成形される。
<シート敷設工程>
上記成形シート22は、上記第1の実施形態にて開示された成形テープ12(図4参照)と同様の構成である。ただし、上記成形テープ12の外形形状は細長帯状であったが、本実施形態に係る成形シート22の外形形状は、矩形ないし長方形である。成形シート22の構成は、図4が援用されつつ次のように説明される。すなわち、成形シート22は、基材15と、当該基材15に付された転写剤16(特許請求の範囲に記載された「塗料」に相当)とを備えている。本実施形態では、転写剤16は、複数の細線状に形成されており、基材15上に幾何学的な模様を構成している。もっとも、転写剤16は、このような形態で基材15上に配置される必要はなく、他の形態で基材15上に配置されていてもよい。
本実施形態では、上記基材15は、ポリプロピレン(PP)からなる。この基材15は、矩形のシート状に形成されており、肉厚寸法は22μmに設定されている。もっとも、成形シート22の肉厚寸法は、22μm〜30μm程度に設定され得る。また、基剤11の材質は、PPに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)も採用され得る。
上記基材15に上記転写剤16が付されている。転写剤16は、既知の手段により基材15に塗布ないし印刷されており、換言すれば、基材15が一定の保持力をもって転写剤16を担持している。なお、基材15の材料としてPETが採用される場合は、いわゆる離型剤(典型的にはシリコーン系離型剤)が使用されるのが好ましい。本実施形態では、転写剤16は、シルバーやゴールド等の金属色を呈する塗料である。もっとも、転写剤16の色は、金属色に限定されるものではなく、種々の色が採用され得る。
この転写剤16は、ブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものからなる。本実施形態では、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が採用されている。もっとも、イソシアネートとしては、イソシアン酸メチル(MIC)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等も採用され得る。また、本実施形態では、ブロック剤として、Dimethylpyrazole (DMP)が採用されている。ただし、ブロック剤としては、Diethyl Malonate (DEM) 、Methylethylketoxime (MEKO)、Caprolactam (E−CAP) 等のほか、マロン酸ジエステルその他の低温(たとえば90℃)で解離する活性メチレン系ブロック剤も採用され得る。さらに、本実施形態では、ポリオールとして、アクリルポリオールが採用されている。もっとも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も採用され得る。さらに、ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいてもよい。
<プリプレグ敷設工程>
図11(B)が示すように、成形シート22は、上記転写剤16が金型26の内側を向くように、すなわち、積層されたプリプレグ31と対向し接触するように配置される。プリプレグ31は、予め所定枚数だけ積層され、その状態でソール20の形状に応じて所定形状に裁断される。積層されたプリプレグ31が上記成形シート22に重ね合わされる。プリプレグ31の積層枚数は、ソール20の肉厚に対応して適切に設定される。
<熱処理工程>
その後、上記プリプレグ31及び成形シート22に対して熱処理が行われる。この工程は、上記第1の実施形態と同様である。具体的には、図11(C)が示すように、金型26が型締めされた状態で、上型27及び下型28が加熱される。あるいは金型26自身が発熱する構造であってもよい。そして、上記プリプレグ31及び成形シート22が所定温度の下で所定時間だけ加熱される。
熱処理時のプリプレグ31及び成形シート22の位置関係は、上記第1の実施形態におけるプリプレグ13と成形テープ12との位置関係と同様であり、図6が援用されつつ次のように説明される。
プリプレグ31の表面18に上記転写剤16が対向して接触している。なお、同図では、位置関係の明確化のために、プリプレグ31と成形テープ30との間に隙間が形成されている。本実施形態では、金型26の温度は、80°C〜140°Cに設定され、加熱時間は、90分〜150分である。
プリプレグ31が加熱されることにより、プリプレグ31に含まれている上記樹脂が溶融した後に硬化する。これにより、当該樹脂は上記炭素繊維にて強化された材料となり、この樹脂により上記ソール20が成形される。このソール20が形成される過程において、成形シート22の基材15に担持された転写剤16が当該基材15から離脱する。上記プリプレグ31は成形シート22によって覆われているから、上記樹脂が硬化することにより成形されたソール20の表面18に、上記転写剤16が転写される。転写剤16がソール20に転写されるメカニズムは上記第1の実施形態で開示されたとおりであるため、その説明は省略される。
<仕上工程>
上記熱処理の後、金型26が型開きされ、成形されたソール20と共に上記成形シート22が金型26から取り外される。このとき、上記炭素繊維にて強化された樹脂によってソール20が形成され且つ転写剤16が強固にソール20の表面に密着しているから、基材15のみが良好に剥離される。これにより、ソール20の表面には上記転写剤16が転写された模様が付される。
<作用効果>
本実施形態では、成形シート22に付された転写剤16がブロック型イソシアネートとポリオールとが混合されたものであるから、常温ではブロック剤の作用により両者の反応が抑制されている。ただし、上記熱処理工程で転写剤16が加熱されることにより前述のようなウレタン反応が生じてソール20に転写し得るインクが生成される。そして、このインクがプリプレグ31と同時に反応して、ソール20の表面に強固に密着する。その結果、簡単にソール20の表面に模様が付され、ソール20に装飾が施されることになる。すなわち、ソール20の塗装作業やその前処理作業が簡略化ないし省略されるので、ソール20の製造コストが大幅に低減される。しかも、上記ポリオールが、撥水性シリカを持つアクリル鎖を含んでいる場合には、上記インクが撥水性を有し、塗装の品質が向上する。
<変形例>
上記各実施形態では、釣竿用ブランクの成形方法、自転車用シューズに採用されるソールの成形方法が開示された。ただし、本発明は、たとえば自転車用フレームの成形方法、自転車用車輪に採用されるリムの成形方法、自転車用ブレーキレバーの成形方法、自転車用クランクの成形方法その他の熱硬化性あるいは熱可塑性樹脂に熱処理が加えられることにより焼成される樹脂成形品の成形方法に広く適用され得る。
10・・・成形テープ
11・・・模様
12・・・成形テープ
13・・・プリプレグ
14・・・マンドレル
15・・・基材
16・・・転写剤16
17・・・加熱炉
18・・・表面
20・・・ソール
22・・・成形シート
26・・・金型
27・・・下型
28・・・上型
31・・・プリプレグ
11・・・模様
12・・・成形テープ
13・・・プリプレグ
14・・・マンドレル
15・・・基材
16・・・転写剤16
17・・・加熱炉
18・・・表面
20・・・ソール
22・・・成形シート
26・・・金型
27・・・下型
28・・・上型
31・・・プリプレグ
Claims (2)
- 炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸され且つ所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻き付けられる第1工程と、
上記プリプレグの外周面に成形テープが巻き付けられることにより、上記プリプレグが締め付けられる第2工程と、
上記マンドレル、プリプレグ及び成形テープが90℃〜140℃の下で所定時間だけ加熱される第3工程とを含み、
上記成形テープは、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付された塗料を有し、当該塗料は、ブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものであり、当該ブロック剤は、上記第3工程における加熱温度以下の90℃〜130℃で解離するものである、釣竿用ブランクの成形方法。 - ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる薄肉シート状の基材及び当該基材に付された塗料を有し、当該塗料は90℃〜130℃で解離するブロック剤を含むブロック型イソシアネート及びポリオールが混合されたものである成形シートが、金型内の所定位置に敷設されるシート敷設工程と、
炭素繊維にエポキシ樹脂が含浸されたプリプレグが複数積層され且つ所定形状に裁断された後に上記成形シートに重ねて上記金型内に敷設されるプリプレグ敷設工程と、
上記金型が型締めされた後に上記成形シート及びプリプレグが90℃〜140℃の下で所定時間だけ加熱される熱処理工程とを含む、樹脂製品の成形方法。
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