JP2019076902A - リサイクルパルプの衛生用品への使用、及び衛生用品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、使用済み衛生用品を、多価金属イオンを含む水溶液またはpHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生物品をパルプ繊維とその他の素材に分解する工程、分解工程において生成したパルプ繊維とその他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する工程、および分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程を含む。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法であって、該方法が、
使用済み衛生用品を、多価金属イオンを含む水溶液またはpHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生物品をパルプ繊維とその他の材料に分解する工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の材料の混合物からパルプ繊維を分離する工程、および
分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程
を含むことを特徴とする。
[1]パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収し、衛生用品として再利用可能なリサイクルパルプを製造する方法であって、該方法が、
使用済み衛生用品を、多価金属イオンを含む水溶液またはpHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生物品をパルプ繊維とその他の素材に分解する工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する工程、および
分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程
を含むことを特徴とする方法。
[2]pHが2.5以下のオゾン含有水溶液が有機酸を含むことを特徴とする[1]に記載の方法。
[3]有機酸が酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸および酢酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[2]に記載の方法。
[4]有機酸がクエン酸であることを特徴とする[3]に記載の方法。
[5]多価金属イオンがアルカリ土類金属イオンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]多価金属イオンを含む水溶液が塩化カルシウム水溶液であることを特徴とする[5]に記載の方法。
[7]オゾン含有水溶液中のオゾンの濃度が1〜50質量ppmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]多価金属イオンを含む水溶液のpHが7よりも大きく11以下であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]分離されたパルプ繊維を脱水する工程をさらに含む[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]リサイクルパルプの灰分が0.65質量%以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]灰分が0.11質量%以下のリサイクルパルプ。
[12]パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品から回収された灰分が0.11質量%以下のリサイクルパルプ。
[13]パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を回収する方法によって得られた灰分が0.11質量%以下のリサイクルパルプであって、前記方法が、
使用済み衛生用品を、多価金属イオンを含む水溶液またはpHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生物品をパルプ繊維とその他の素材に分解する工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する工程、および
分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程
を含むことを特徴とするリサイクルパルプ。
使用済み衛生用品を、多価金属イオンを含む水溶液またはpH2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生物品をパルプ繊維とその他の素材に分解する工程、
分解工程において生成したパルプ繊維とその他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する工程、および
分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程
を含む。
本発明の方法は、好ましくは、さらに、分離されたパルプ繊維を脱水する工程を含む。
この工程では、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の素材に分解する。
衛生用品は、通常、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、不織布、プラスチックフィルム、ゴム等の各素材から構成されている。この分解工程では、使用済み衛生用品を上記各素材に分解する。分解の程度は、パルプ繊維の少なくとも一部が回収できる程度に分解されればよく、必ずしも完全でなくてもよく、部分的であってもよい。
ここで、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させる方法としては、限定するものではないが、攪拌、叩き、突き、振動、引き裂き、切断、破砕等を例示することができる。なかでも、攪拌が好ましい。攪拌は、洗濯機のような攪拌機付きの処理槽内で行なうことができる。
高吸水性ポリマーは、親水性基(たとえば−COO−)を有し、その親水性基に水分子が水素結合により結合することにより、大量の水を吸収することができるものであるが、水を吸収した高吸水性ポリマーを、カルシウムイオン等の多価金属イオンを含む水溶液中に入れると、親水性基(たとえば−COO−)に多価金属イオンが結合し(たとえば−COO−Ca−OCO−)、親水性基と水分子の水素結合が切れ、水分子が放出され、高吸水性ポリマーが脱水される、また、水を吸収した高吸水性ポリマーを、pH2.5以下の酸性水溶液中に入れると、マイナスに帯電した親水性基(たとえば−COO−)がプラスに帯電した水素イオン(H+)によって中和される(たとえば−COOH)ため、親水性基のイオン反発力が弱まり、吸水力が低下し、高吸水性ポリマーが脱水される、と考えられている。
高吸水性ポリマーを脱水することによって、パルプ繊維と高吸水性ポリマーの分離が容易になる。使用済み衛生用品を、通常の水中で分解しようとすると、高吸水性ポリマーが吸水し膨潤して、槽内の固形分濃度が高まり、機械的な分解操作の処理効率が低下するが、多価金属イオンを含む水溶液またはpH2.5以下の酸性水溶液中で行うことによってそれを避けることができる。
アルカリ土類金属イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのイオンが挙げられる。好ましいアルカリ土類金属イオンを含む水溶液としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等の水溶液が挙げられ、なかでも塩化カルシウム水溶液が好ましい。
多価金属イオンを含む水溶液として塩化カルシウム水溶液を用いるときは、塩化カルシウムの濃度は、1質量%以上であることが好ましいが、10質量%以上に高くしても、効果が変わらなくなるため、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは3〜6質量%である。
分離工程では、使用済み衛生用品の分解によって生成したパルプ繊維とその他の素材(高吸水性ポリマー、不織布、プラスチックフィルム、ゴム等)の混合物からパルプ繊維を分離する。この工程では、パルプ繊維の少なくとも一部を分離回収する。パルプ繊維の全部が回収されなくてもよい。また、パルプ繊維と一緒にその他の素材が分離回収されてもよい。分離方法にもよるが、通常、高吸水性ポリマーの少なくとも一部は、分離されたパルプ繊維に混入してくる。たとえば、篩分けにより分離する方法において、パルプ繊維を篩下として回収する場合は、高吸水性ポリマーの大部分が分離回収されたパルプ繊維に混入してくる。この工程では、好ましくは、分解された構成素材を、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む画分と、不織布、プラスチックフィルムおよびゴムを含む画分に分離する。ただし、パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む画分に若干の不織布、プラスチックフィルム、ゴムが含まれてもよいし、不織布、プラスチックフィルムおよびゴムを含む画分に若干のパルプ繊維、高吸水性ポリマーが含まれてもよい。
パルプ繊維を分離する方法は、限定するものではないが、たとえば、分解された構成素材の比重差を利用して水中で沈殿分離する方法、分解されたサイズの異なる構成素材を所定の網目を有するスクリーンを通して分離する方法、サイクロン式遠心分離機で分離する方法を例示することができる。
分離されたパルプ繊維には少なからず高吸水性ポリマーが混入している。この工程では、分離されたパルプ繊維に残留している高吸水性ポリマーを、分解し、低分子量化し、可溶化することにより、除去する。
この工程において用いるpHが2.5以下のオゾン含有水溶液とは、オゾンが溶解した水溶液であってpHが2.5以下のものであれば、特に限定するものではないが、オゾン水に酸を添加してpHを2.5以下にしたものでもよいし、pHが2.5以下の酸の水溶液にオゾンを吹き込むことによりオゾンを溶解させたものであってもよい。ここで、オゾン水とは、オゾンが溶解した水をいう。オゾン水は、たとえば、オゾン水発生装置(エコデザイン株式会社製オゾン水曝露試験機ED−OWX−2、三菱電機株式会社製オゾン発生装置OS−25Vなど)を用いて調製することができる。
オゾン含有水溶液中のオゾン濃度(ppm)とオゾン処理工程の処理時間(分)の積(以下「CT値」ともいう。)は、好ましくは100〜6000ppm・分であり、より好ましくは200〜4800ppm・分であり、さらに好ましくは300〜3600ppm・分である。CT値が小さすぎると、高吸水性ポリマーを完全に可溶化することができず、回収したパルプ繊維に高吸水性ポリマーが残留するおそれがある。逆に、CT値が大きすぎると、パルプ繊維の損傷、安全性の低下、製造原価の増加につながるおそれがある。
オゾン処理工程の処理時間は、オゾン含有水溶液中のオゾン濃度に依存することは、上述のとおりであるが、好ましくは5〜120分であり、より好ましくは10〜100分であり、さらに好ましくは20〜80分である。
オゾン含有水溶液のpHは、好ましくは0.5〜2.5であり、より好ましくは1.0〜2.4である。pHが低すぎると、得られるリサイクルパルプの吸水能力が低下するおそれがある。pHが低すぎると、得られるリサイクルパルプの吸水能力が低下する理由は定かではないが、パルプ繊維自体が変性するためと考えられる。
酸としては、特に限定されるものではなく、無機酸および有機酸を用いることができるが、好ましくは有機酸である。有機酸は弱酸域で機能しかつ環境に優しいので、安全性と環境負荷の観点から有機酸の方が好ましい。有機酸としては、特に限定するものではないが、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸等を挙げることができる。なかでもクエン酸が好ましい。
オゾン含有水溶液のpHは、酸の種類および酸の添加量により、調製することができる。オゾン含有水溶液中の有機酸の濃度は、pHが所定の範囲内にある限り、限定されないが、好ましくは0.1〜5.0質量%であり、より好ましくは0.2〜3.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。
pHの調整は、たとえば、処理槽にパルプ繊維とオゾン含有水溶液を入れ、攪拌しながら、そこに酸を添加していき、処理槽内の溶液のpHが所定のpHになったところで酸の添加を止める。
分解工程においてカルシウムイオンを含む水溶液を用いたときは、分離されたパルプ繊維の表面にはカルシウムイオンや種々のカルシウム化合物が付着している。パルプ繊維に付着しているカルシウム化合物は必ずしも水溶性のものとは限らず不溶性や難溶性のものも含まれており、水洗だけでは除去できない。クエン酸はカルシウムとキレートを形成し、水溶性のクエン酸カルシウムとなるので、パルプ繊維の表面に付着している不溶性または難溶性のカルシウム化合物を効果的に溶解除去することができる。クエン酸はカルシウム以外の金属ともキレートを形成することができるので、パルプ繊維の表面にカルシウム化合物以外の不溶性または難溶性の金属化合物が付着している場合には、カルシウム化合物のみならず、カルシウム化合物以外の不溶性または難溶性の金属化合物をも溶解除去することができる。その結果、得られるリサイクルパルプの灰分を低減することができる。
クエン酸を使用することにより、次のような利点もある。
第1に、クエン酸は酸性を示すので洗浄工程を含めた条件設定によってはリサイクルパルプのpHを弱酸性の範囲にコントロールすることができ、肌に優しい。
第2に、クエン酸は人体にとって有害物質ではないので、得られるリサイクルパルプにクエン酸が残留していたとしても、安全性が高い。
第3に、クエン酸はパルプ精製で使用する酸と比べてマイルドな弱酸であるので、得られるリサイクルパルプへのダメージを少なくすることができる。
第4に、クエン酸は比較的安価に入手できるので、回収再生費用を低減できる。
第5に、クエン酸は匂いがしないので、作業環境を悪化させない。
第6に、大掛かりな設備投資の必要がなく、現行設備で対応可能である。
本発明の方法は、好ましくは、分離工程とオゾン処理工程の間に、分離されたパルプ繊維を脱水する工程(以下「パルプ繊維脱水工程」ともいう。)を含む。分離されたパルプ繊維を脱水する方法は、限定するものではないが、たとえば、分離されたパルプ繊維を遠心分離機等の脱水機で脱水することにより行うことができる。脱水の条件は、水分率を目標とする値まで下げることができる限り、特に限定されないが、たとえば、脱水時間は、好ましくは1〜10分であり、より好ましくは2〜8分であり、さらに好ましくは3〜6分である。
本発明の方法は、所望により、オゾン処理工程に続き、リサイクルパルプを水洗する工程(以下「リサイクルパルプ水洗工程」ともいう。)を含んでもよい。
本発明の方法は、所望により、リサイクルパルプ水洗工程に続き、リサイクルパルプを脱水する工程(以下「リサイクルパルプ脱水工程」ともいう。)を含んでもよい。
リサイクルパルプ水洗工程とリサイクルパルプ脱水工程は、1回ずつでもよいが、交互に複数回繰り返してもよい。
本発明の方法は、所望により、リサイクルパルプ脱水工程に続き、リサイクルパルプパルプを乾燥する工程(以下「リサイクルパルプ乾燥工程」ともいう。)を含んでもよい。
乾燥されたリサイクルパルプは、好ましくは、シート状、ロール状、または塊状など、衛生用品の製造設備に適応し易い形態に加工され、再利用される。
(1)使用済み紙おむつを計量する(計量工程)。
(2)洗浄機に使用済み紙おむつと、濃度5%の塩化カルシウム水溶液を投入し、縦型洗濯機の要領で洗浄しながら攪拌衝撃で紙おむつを分解する(分解工程)。
(3)パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む画分と、不織布、プラスチックフィルムおよびゴムを含む画分に分離する(分離工程)。
(4)回収されたパルプ繊維および高吸水性ポリマーを脱水する(脱水工程)。
(5)脱水後のパルプ繊維および高吸水性ポリマーをpHが2.5以下の有機酸(たとえばクエン酸)水溶液に浸漬(カルシウム除去および酸性化)し、オゾンが失活し難い酸性でオゾン処理(高吸水性ポリマー溶解、消毒、漂白および消臭)する(オゾン処理工程)。
(6)脱水、水洗浄、pH調整
(7)パルプ繊維回収
(8)脱水
(9)乾燥(二次消毒)
この例では、塩化カルシウム水溶液は弱アルカリ性で処理後排水もアルカリ性となるため、オゾン処理の酸性排水を混ぜ合わせることで、中和反応が起こり、排水pHを処理し易い中性に近づけることが可能である。
(1)使用済み紙おむつを計量する(計量工程)。
(2)洗浄機に使用済み紙おむつと、濃度10%のクエン酸水溶液を投入し、縦型洗濯機の要領で洗浄しながら攪拌衝撃で紙おむつを分解する(分解工程)。
(3)パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む画分と、不織布、プラスチックフィルムおよびゴムを含む画分に分離する(分離工程)。
(4)回収されたパルプ繊維および高吸水性ポリマーを脱水する(脱水工程)。
(5)脱水後のパルプ繊維および高吸水性ポリマーをpHが2.5以下の有機酸(たとえばクエン酸)水溶液に浸漬(カルシウム除去および酸性化)し、オゾンが失活し難い酸性でオゾン処理(高吸水性ポリマー溶解、消毒、漂白および消臭)する(オゾン処理工程)。
(6)脱水、水洗浄、pH調整
(7)パルプ繊維回収
(8)脱水
(9)乾燥(二次消毒)
この例では、カルシウム化合物を使用しない工程のため、得られるリサイクルパルプの品質は良好である。
また、オゾン処理対象物をある程度限定することができるため、確実な殺菌レベルを設定しやすく、かつオゾンの酸化分解による有害物質産生(変異原性物質等)を防ぐことが可能となる。
オゾン処理により、高吸水性ポリマーを低分子量化、可溶化するため、高吸水性ポリマーがパルプ繊維間に残留することがない。
オゾン処理工程でクエン酸を用いたときは、クエン酸のキレート効果により、カルシウムが溶解除去可能であり、カルシウムで不活性化された高吸水性ポリマー(カルシウム架橋体)に由来した灰分が、回収されたリサイクルパルプに検出されない。
多価金属イオンを含む水溶液またはpHが2.5以下の酸性水溶液中で使用済み衛生物品を分解するので、膨潤した高吸水性ポリマーによって処理槽内の流動性を失うことが無く、処理効率の低下はおこらない。
安全性の高い有機酸を使用することで、安全に処理することが可能である。
なお、灰分の測定方法については、後述する。
[オゾン水発生装置]
製造元: 三菱電機株式会社
名称: オゾン発生装置
型番: OS−25V
オゾン水濃度可変範囲: 1〜80mg/m3
オゾン水曝露槽容積: 30L
[人工汚物]
馬血清、豚腸ムチン、グリセリンを1:1:1(質量比)で混合したもの。
[生理用食塩水]
濃度0.9%の食塩水。
市販の紙おむつ(ユニ・チャーム社製「ムーニー」Mサイズ)を人工汚物を1%含む生理用食塩水3Lに10分間浸漬吸水させた後、濃度5%の塩化カルシウム水溶液(pH10.5)に3分間浸漬し、おむつ中のSAPがCa架橋作用により脱水された状態にした。おむつを取り出し、メッシュ袋(30cm四方、株式会社NBCメッシュテック製N−No.250HD)に入れ、脱水槽で5分間脱水し、パルプが保水している余剰水分を除去後、濃度1%のクエン酸水溶液(pH2.2)10Lの中に入れて、80mg/m3のオゾンガス(1m3中80mgがオゾン、残りは酸素)を30分間吹き込み処理を行った。30分後の処理水の溶存オゾン量は、30ppmで、pH2.4であった。目開き2mm×2mmのメッシュにて、処理水を漉しとった結果、SAPはなくなり、パルプのみを回収することができた。
回収されたパルプの灰分を、生理処理用品材料規格の「2.一般試験法」の「5.灰分試験法」により分析したところ、0.10質量%にまで低減することができていた。なお、実施例および比較例に用いた市販の紙おむつにもともと含まれていたパルプ(以下「未使用パルプ」ともいう。)の灰分は0.18質量%であった。この処理により、未使用パルプがもともと含んでいた微小な残留異物までも除去することが可能で、未使用パルプよりも灰分の少ないリサイクルパルプを得ることができた。
市販の紙おむつ(ユニ・チャーム社製「ムーニー」Mサイズ)を人工汚物を1%含む生理用食塩水3Lに10分間浸漬吸水させた後、濃度10%のクエン酸水溶液(pH1.6)に3分間浸漬し、おむつ中のSAPが酸の作用により脱水された状態にした。おむつを取り出し、メッシュ袋(30cm四方、株式会社NBCメッシュテック製N−No.250HD)に入れ、脱水槽で5分間脱水し、パルプが保水している余剰水分を除去後、濃度1%のクエン酸水溶液(pH2.2)10Lの中に入れて、80mg/m3のオゾンガスを30分間吹き込み処理を行った。30分後の処理水の溶存オゾン量は、32ppmで、pH2.0であった。目開き2mm×2mmのメッシュにて、処理水を漉しとった結果、SAPはなくなり、パルプのみを回収することができた。
回収されたパルプの灰分を実施例1と同様に分析したところ、0.06質量%にまで低減することができていた。この処理により、未使用パルプよりも灰分の少ないリサイクルパルプを得ることができた。
市販の紙おむつ(ユニ・チャーム社製「ムーニー」Mサイズ)に生理用食塩水200mLを吸水させた後、紙おむつを2槽式小型洗濯機(アルミス社製「晴晴」AST−01)の洗濯層に8個投入し、続けて酸化カルシウム(CaO)(和光純薬工業株式会社製)を80gを投入し、その後、濃度250ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製次亜塩素酸ナトリウムを水道水で希釈したもの)6.5Lを加えた。15分間洗濯後に洗濯槽内の液を排水し、濃度250ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製次亜塩素酸ナトリウムを水道水で希釈したもの)6.5Lを新たに投入した。15分間洗濯後、水洗濯層内の液中に浮遊するパルプのみをすくい取り、メッシュ袋(25cm四方、株式会社NBCメッシュテック製N−No.250HD)に入れ、脱水槽で5分間脱水した。回収したパルプはメッシュ袋ごと水道水で15分間すすぎ洗いを行い、再び脱水槽で5分間脱水した。回収したパルプは105℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させた。回収されたパルプの灰分を実施例1と同様に分析したところ、8.51質量%ときわめて多く、衛生材料基準に適合しないものであった。
市販の紙おむつ(ユニ・チャーム社製「ムーニー」Mサイズ)を人工汚物を1%含む生理用食塩水3Lに10分間浸漬吸水させた後、濃度1%のクエン酸水溶液(pH2.2)10Lの中に入れて、80mg/m3のオゾンガスを30分間吹き込み処理を行った。30分後の処理水の溶存オゾン量は、1ppmで、pH3.0であった。この比較例では、オゾンが人工汚物の分解に消費されたために、30分後の処理水の溶存オゾン量が実施例1や実施例2に比べ低くなった。目開き2mm×2mmのメッシュにて、処理水を漉しとった結果、ゼリー状のSAPが多く残留し、パルプのみを回収することができなかった。回収されたパルプの灰分を実施例1と同様に分析したところ、0.55質量%と多かった。オゾン処理のCT値を高めなければ、SAP分解が進まず、この条件では、低品質パルプとなってしまう。オゾン処理する前に汚物を分離除去しておかないとオゾン処理効果が悪いことが分かる。
なお、灰分、吸水性能および保水性能の測定方法は、次のとおりである。
ちなみに、実施例および比較例に用いた市販の紙おむつにもともと含まれていたパルプの灰分、吸収性能および保水性能は、0.18質量%、16.4g/gおよび7.60g/gであった。
灰分とは、有機質が灰化されてあとに残った無機質または不燃性残留物の量をいう。灰分は、生理処理用品材料規格の「2.一般試験法」の「5.灰分試験法」に従って測定する。すなわち、灰分は、次のようにして測定する。
あらかじめ白金製、石英製または磁製のるつぼを500〜550℃で1時間強熱し、放冷後、その質量を精密に量る。試料2〜4gを採取し、るつぼに入れ、その質量を精密に量り、必要ならばるつぼのふたをとるか、またはずらし、初めは弱く加熱し、徐々に温度を上げて500〜550℃で4時間以上強熱して、炭化物が残らなくなるまで灰化する。放冷後、その質量を精密に量る。再び残留物を恒量になるまで灰化し、放冷後、その質量を精密に量り、灰分の量(%)とする。
吸水性能とは、単位質量あたりのパルプ繊維が吸収する水の質量をいい、次のように測定する。
(1)ナイロンネット(株式会社NBCメッシュテック製250メッシュナイロンネット)の袋(200mm×200mm)を準備し、その質量N0(g)を測定する。
(2)ナイロンネットに測定サンプル約5gを入れ、ナイロンネットの袋を含む質量A0(g)を測定する。
(3)ビーカーに0.9%濃度の生理食塩水1Lを入れ、準備したサンプル入りのナイロンネットの袋を浸漬させ3分間放置する。
(4)袋を引き上げ、水切りネット上に3分間静置し、水切りする。
(5)サンプルの入ったナイロンネットの袋の水切り後の質量A(g)を測定する。
(6)同一のサイズにて切り出したナイロンネットをもう1セット準備し、サンプルを入れずに(3)、(4)を同様に実施し、水切り後のナイロンネットの袋のみの質量N(g)を測定する。
(7)次式により、吸水性能(g/g)を算出する。
吸水性能=(A−N−(A0−N0))/(A0−N0)
(8)測定は10回行い、10回の測定値を平均する。
保水性能は、次のようにして測定する。
吸収性能測定後のサンプルを、遠心分離機(国産遠心株式会社製分離機、型H130、回転数850rpm=150G)にて、150Gで90秒間脱水後の質量B(g)を測定する。
保水性能=(B−N−(A0−N0))/(A0−N0)
測定は10回行い、10回の測定値を平均する。
市販の紙おむつ(ユニ・チャーム社製「ムーニー」Mサイズ)を生理用食塩水3Lに10分間浸漬させた後、引き上げ、直ちに、吸水した紙おむつの質量を測定し、吸水後質量とした。次いで、吸水した紙おむつを種々の濃度(質量%)のクエン酸水溶液または塩化カルシウム水溶液3Lに3分間浸漬させた後、引き上げ、直ちに質量を測定し、脱水後質量とした。脱水後質量/吸水後質量×100の値(以下単に「質量比率」ともいう。)を算出した。各濃度ごとにN=3で測定した結果の平均値を表2に示す。なお、表2には、各濃度のクエン酸水溶液または塩化カルシウム水溶液のpHも併せて示す。
処理水(クエン酸1%水溶液)10Lに高吸水性ポリマー29gおよび人工汚物100gを添加し、80mg/m3のオゾンガスを30分間吹き込み処理を行った。30分後の処理水の溶存オゾン量は1.2ppmであり、高吸水性ポリマーの分解率は36%であった。
人工汚物を添加せずに、同様の処理を行ったところ、30分後の処理水の溶存オゾン量は25ppmであり、高吸水性ポリマーの分解率は99%であった。
排泄物を模した人工汚物を処理水中に添加した場合、汚物無しに比べ、処理溶液中の溶存オゾン濃度が低下するとともに、高吸水性ポリマーの解率が低下することが確認された。これはオゾンが汚物の分解に大量消費され、高吸水性ポリマーの分解が進み難くなっているためである。
本発明においては、高吸水性ポリマーが吸水膨張しない溶液中で、使用済み衛生用品を洗浄、分解し、主成分がパルプと残留高吸水性ポリマーになった後、オゾン処理を行うことで、効率的に処理を行うことが可能となる。
Claims (6)
- パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品を分解する方法であって、該方法が、使用済み衛生用品を、pHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生用品を分解する工程を含み、
酸性水溶液が有機酸を含むことを特徴とする方法。 - パルプ繊維および高吸水性ポリマーを含む使用済み衛生用品からパルプ繊維を分離する方法であって、該方法が、使用済み衛生用品を、pHが2.5以下の酸性水溶液中で、使用済み衛生用品に物理的な力を作用させることによって、使用済み衛生用品をパルプ繊維とその他の素材の混合物に分解する工程、および前記分解する工程において生成したパルプ繊維とその他の素材の混合物からパルプ繊維を分離する工程を含み、
酸性水溶液が有機酸を含むことを特徴とする方法。 - 有機酸が酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸および酢酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 有機酸がクエン酸であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記分離する工程において分離されたパルプ繊維をpHが2.5以下のオゾン含有水溶液で処理する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
- 前記分離する工程において分離されたパルプの灰分が0.11質量%以下であることを特徴とする請求項2又は5に記載の方法。
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