JPH06136679A - パルプの改質方法 - Google Patents
パルプの改質方法Info
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- JPH06136679A JPH06136679A JP31110392A JP31110392A JPH06136679A JP H06136679 A JPH06136679 A JP H06136679A JP 31110392 A JP31110392 A JP 31110392A JP 31110392 A JP31110392 A JP 31110392A JP H06136679 A JPH06136679 A JP H06136679A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 パルプの灰分が0.3〜2.0%となるよう
に、パルプを無機塩水溶液中で加熱・浸漬処理した後、
アルカリ加熱処理する。 【効果】 相対湿度の変化に伴う平衡含水率の変化が少
なくなるパルプが生成されるため、寸法安定性の良好な
紙に加工可能であるパルプが提供される。
に、パルプを無機塩水溶液中で加熱・浸漬処理した後、
アルカリ加熱処理する。 【効果】 相対湿度の変化に伴う平衡含水率の変化が少
なくなるパルプが生成されるため、寸法安定性の良好な
紙に加工可能であるパルプが提供される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルプの改質方法に関
するものであり、さらに詳しくは、寸法安定性の良好な
紙に加工可能である、パルプの改質方法に関するもので
ある。
するものであり、さらに詳しくは、寸法安定性の良好な
紙に加工可能である、パルプの改質方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、パルプ繊維表面やパルプ繊維
間に無機填料を充填させて(内添法)、紙の白色度や不
透明度等を向上させることが行われている。しかし、従
来の内添法では、得られた紙の強度特性が必ず低下する
という欠点がある。この欠点を解決するために、ルーメ
ンローディング法という方法が提案されている。図1に
パルプ繊維断面の概略図を示す。図1のように、パルプ
繊維の内部には、ルーメン(Lumen)と呼ばれる内腔部
があり、パルプ繊維表面には、ルーメンに通じる孔部が
存在する。ルーメンローディング法とは、この孔部を通
してルーメンに填料を充填する方法であり、紙の強度を
低下させずに光学特性を高めることができる。ルーメン
ローディング法に関する文献の例としては、グリーン
(Green)らが、各種のパルプの懸濁液に、填料として
二酸化チタン粒子分散液を加え、室温で撹拌すると、対
パルプ重量当たり、針葉樹パルプでは最高14%、広葉
樹パルプでは5%の填料粒子がルーメン中に充填される
と報告している(ジャーナル・オブ・パルプ・アンド・
ペーパー・サイエンス(J. Pulp & Paper Science)、1
1(3)、1985年)。しかし、別の文献において、岡山ら
は、針葉樹クラフトパルプに、填料として粒子径0.8
ミクロンの炭酸カルシウムを対パルプ重量当たり400
%加え撹拌した後、十分洗浄した場合、炭酸カルシウム
は5%以下程度しかルーメン中に残存しないと報告して
いる(紙パルプ技術協会誌、1989年、43(5)495頁)。
従って、上記のグリーンらルーメンローディング法にお
いて、填料の二酸化チタンはルーメン中に入り込んでい
るだけであるので、多量に充填されていても洗浄すると
その多くが洗い流されると考えられる。
間に無機填料を充填させて(内添法)、紙の白色度や不
透明度等を向上させることが行われている。しかし、従
来の内添法では、得られた紙の強度特性が必ず低下する
という欠点がある。この欠点を解決するために、ルーメ
ンローディング法という方法が提案されている。図1に
パルプ繊維断面の概略図を示す。図1のように、パルプ
繊維の内部には、ルーメン(Lumen)と呼ばれる内腔部
があり、パルプ繊維表面には、ルーメンに通じる孔部が
存在する。ルーメンローディング法とは、この孔部を通
してルーメンに填料を充填する方法であり、紙の強度を
低下させずに光学特性を高めることができる。ルーメン
ローディング法に関する文献の例としては、グリーン
(Green)らが、各種のパルプの懸濁液に、填料として
二酸化チタン粒子分散液を加え、室温で撹拌すると、対
パルプ重量当たり、針葉樹パルプでは最高14%、広葉
樹パルプでは5%の填料粒子がルーメン中に充填される
と報告している(ジャーナル・オブ・パルプ・アンド・
ペーパー・サイエンス(J. Pulp & Paper Science)、1
1(3)、1985年)。しかし、別の文献において、岡山ら
は、針葉樹クラフトパルプに、填料として粒子径0.8
ミクロンの炭酸カルシウムを対パルプ重量当たり400
%加え撹拌した後、十分洗浄した場合、炭酸カルシウム
は5%以下程度しかルーメン中に残存しないと報告して
いる(紙パルプ技術協会誌、1989年、43(5)495頁)。
従って、上記のグリーンらルーメンローディング法にお
いて、填料の二酸化チタンはルーメン中に入り込んでい
るだけであるので、多量に充填されていても洗浄すると
その多くが洗い流されると考えられる。
【0003】そこで、パルプの洗浄あるいはリサイクル
過程で填料の含有量が減少せず、その効果が持続するパ
ルプの改質方法の開発が望まれている。ルーメンの周囲
部分の繊維壁には、多数の微細な空隙が存在している。
この微細空隙は、セルロース繊維1gあたり1.5mlも存
在しており、この部分を填料の充填場所として利用する
ことが期待されているが、現在まで、この微細空隙を填
料の充填場所として積極的に利用することはあまり行わ
れていない。その中で、アラン(Allan)らは、パルプ
懸濁液中で炭酸カルシウムの沈殿を生成させ、約30%
以上の沈殿をパルプ中に保持させることにより、従来の
内添法あるいはルーメンローディング法よりも光学的性
質および強度が優れたパルプが得られると報告している
(Tappi Journal、75(3)239頁、1992年)。
過程で填料の含有量が減少せず、その効果が持続するパ
ルプの改質方法の開発が望まれている。ルーメンの周囲
部分の繊維壁には、多数の微細な空隙が存在している。
この微細空隙は、セルロース繊維1gあたり1.5mlも存
在しており、この部分を填料の充填場所として利用する
ことが期待されているが、現在まで、この微細空隙を填
料の充填場所として積極的に利用することはあまり行わ
れていない。その中で、アラン(Allan)らは、パルプ
懸濁液中で炭酸カルシウムの沈殿を生成させ、約30%
以上の沈殿をパルプ中に保持させることにより、従来の
内添法あるいはルーメンローディング法よりも光学的性
質および強度が優れたパルプが得られると報告している
(Tappi Journal、75(3)239頁、1992年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
アランらの方法により得られた紙は、光学的性質以外に
は目覚ましい向上は認められず、今だ寸法安定性につい
ては満足なものではない。さらにアランらの方法は、非
常に多量の炭酸カルシウムの沈殿がパルプに保持されて
いるが、そのほとんどがパルプ繊維表面上に吸着してお
り、繊維壁中の微細空隙に存在しているのではないと考
えられる。また、ルーメンローディング法のような従来
の方法においても、得られた紙の寸法安定性は不十分で
ある。すなわち、上記のような方法では、いずれも未処
理パルプの場合と同様、相対湿度の変化に伴う平衡含水
率変化が大きく、シートの伸縮率も大きいという欠点が
ある。本発明は上記のような従来の課題を解決し、パル
プ繊維壁内の微細空隙を利用し、平衡含水率の変化の少
ない、寸法安定性に優れた紙に加工可能である、パルプ
の改質方法を提供することを目的とするものである。
アランらの方法により得られた紙は、光学的性質以外に
は目覚ましい向上は認められず、今だ寸法安定性につい
ては満足なものではない。さらにアランらの方法は、非
常に多量の炭酸カルシウムの沈殿がパルプに保持されて
いるが、そのほとんどがパルプ繊維表面上に吸着してお
り、繊維壁中の微細空隙に存在しているのではないと考
えられる。また、ルーメンローディング法のような従来
の方法においても、得られた紙の寸法安定性は不十分で
ある。すなわち、上記のような方法では、いずれも未処
理パルプの場合と同様、相対湿度の変化に伴う平衡含水
率変化が大きく、シートの伸縮率も大きいという欠点が
ある。本発明は上記のような従来の課題を解決し、パル
プ繊維壁内の微細空隙を利用し、平衡含水率の変化の少
ない、寸法安定性に優れた紙に加工可能である、パルプ
の改質方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、繊維壁内
の微細な空隙構造をコントロールすることを目標として
鋭意検討した結果、上記のような従来の課題を解決する
ことができた。すなわち本発明は、パルプの灰分が0.
3〜2.0%となるように、パルプを無機塩水溶液中で
加熱・浸漬処理した後、アルカリ加熱処理することを特
徴とする、パルプの改質方法を提供するものである。
の微細な空隙構造をコントロールすることを目標として
鋭意検討した結果、上記のような従来の課題を解決する
ことができた。すなわち本発明は、パルプの灰分が0.
3〜2.0%となるように、パルプを無機塩水溶液中で
加熱・浸漬処理した後、アルカリ加熱処理することを特
徴とする、パルプの改質方法を提供するものである。
【0006】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明者らは、パルプを高温、低濃度の無機塩水溶液で処
理し、パルプを膨潤させた後、アルカリ水溶液で加熱処
理して、パルプ繊維壁内の微細な空隙全体に水不溶性の
微小な結晶を生成させると、パルプの相対湿度の変化に
伴う平衡含水率の変化が緩やかになることを見いだし
た。さらに、本発明者らは、この効果は、生成した水不
溶性の結晶が極めて微量の限定された含有量となるとき
にのみ発現することも見いだした。本発明はこの知見に
基づいてなされたものである。
発明者らは、パルプを高温、低濃度の無機塩水溶液で処
理し、パルプを膨潤させた後、アルカリ水溶液で加熱処
理して、パルプ繊維壁内の微細な空隙全体に水不溶性の
微小な結晶を生成させると、パルプの相対湿度の変化に
伴う平衡含水率の変化が緩やかになることを見いだし
た。さらに、本発明者らは、この効果は、生成した水不
溶性の結晶が極めて微量の限定された含有量となるとき
にのみ発現することも見いだした。本発明はこの知見に
基づいてなされたものである。
【0007】本発明方法は、主に2段階に分けて行われ
る。第1段階はパルプへの無機塩水溶液の加熱・浸漬処
理工程、第2段階はアルカリ加熱処理工程である。以
下、それぞれの工程について詳述する。 (無機塩水溶液の加熱・浸漬処理工程)本発明方法に用
いられる無機塩水溶液としては、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩またはりん酸
塩を0.01〜2.5W/W%の濃度で含む水溶液が用いら
れる。好適な無機塩は、塩化マグネシウムである。この
無機塩水溶液による加熱・浸漬処理は、50℃以上、好
ましくは80〜120℃の水溶液中に、15〜30分程
度、十分に撹拌しながら、パルプを浸漬して行われる。
無機塩水溶液に対するパルプの適量は、1〜25%がよ
い。この加熱・浸漬処理において、50℃よりも低い温
度では、パルプの膨潤や水溶液中の無機塩のパルプ繊維
壁内の微細な空隙部分への浸透が十分ではなく、また、
120℃を超える高い温度では、パルプ成分が分解溶出
してしまい、第2段階で水不溶性の結晶が繊維壁内の微
細な空隙部分に均一に生成されず好ましくない。無機塩
水溶液による加熱・浸漬処理工程を終えたパルプは、続
いてアルカリ加熱処理工程にかけられる。
る。第1段階はパルプへの無機塩水溶液の加熱・浸漬処
理工程、第2段階はアルカリ加熱処理工程である。以
下、それぞれの工程について詳述する。 (無機塩水溶液の加熱・浸漬処理工程)本発明方法に用
いられる無機塩水溶液としては、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩またはりん酸
塩を0.01〜2.5W/W%の濃度で含む水溶液が用いら
れる。好適な無機塩は、塩化マグネシウムである。この
無機塩水溶液による加熱・浸漬処理は、50℃以上、好
ましくは80〜120℃の水溶液中に、15〜30分程
度、十分に撹拌しながら、パルプを浸漬して行われる。
無機塩水溶液に対するパルプの適量は、1〜25%がよ
い。この加熱・浸漬処理において、50℃よりも低い温
度では、パルプの膨潤や水溶液中の無機塩のパルプ繊維
壁内の微細な空隙部分への浸透が十分ではなく、また、
120℃を超える高い温度では、パルプ成分が分解溶出
してしまい、第2段階で水不溶性の結晶が繊維壁内の微
細な空隙部分に均一に生成されず好ましくない。無機塩
水溶液による加熱・浸漬処理工程を終えたパルプは、続
いてアルカリ加熱処理工程にかけられる。
【0008】(アルカリ加熱処理工程)本発明方法に用
いられるアルカリとしては、水不溶性の結晶が生成され
るものであればよいが、例えば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。
これらは、0.01〜2.5W/W%、好ましくは0.05
〜1.0W/W%の濃度の水溶液として用いられ、第1段
階で用いられる無機塩に対して当量比で0.5〜2倍、
好ましくは1〜1.2倍量加えられる。処理温度および
時間は、第1段階と同様である。この第2段階の処理
は、第1段階の処理を施したパルプスラリーにそのまま
アルカリ水溶液を加えても良いし、パルプを脱液し、湿
った状態でアルカリ水溶液に浸漬してもよい。いずれの
場合においても、アルカリ水溶液のpHは10〜12が
よい。このアルカリ加熱処理工程においては、500〜
1000rpm程度の撹拌を行うのがよい。
いられるアルカリとしては、水不溶性の結晶が生成され
るものであればよいが、例えば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。
これらは、0.01〜2.5W/W%、好ましくは0.05
〜1.0W/W%の濃度の水溶液として用いられ、第1段
階で用いられる無機塩に対して当量比で0.5〜2倍、
好ましくは1〜1.2倍量加えられる。処理温度および
時間は、第1段階と同様である。この第2段階の処理
は、第1段階の処理を施したパルプスラリーにそのまま
アルカリ水溶液を加えても良いし、パルプを脱液し、湿
った状態でアルカリ水溶液に浸漬してもよい。いずれの
場合においても、アルカリ水溶液のpHは10〜12が
よい。このアルカリ加熱処理工程においては、500〜
1000rpm程度の撹拌を行うのがよい。
【0009】上記の第1および第2段階後により得られ
たパルプの灰分は、パルプ本来のもつ灰分量を含め、
0.3〜2.0%、好ましくは0.3〜1.0%がよい。な
お、ここで灰分とは、TAPPI STD T211m
−58「パルプの灰分」をもとに測定した値をさすもの
とする。このような特定の灰分量によって、平衡含水率
の変化の少ないパルプを得ることができる。なお、この
灰分量の範囲は、原料パルプの種類により多少異なる。
例えば、針葉樹のエゾマツBKPでは、0.5〜2.0%
の灰分量が好ましく、広葉樹のブナBKPでは、0.3
〜1.0%の灰分量が好ましい。
たパルプの灰分は、パルプ本来のもつ灰分量を含め、
0.3〜2.0%、好ましくは0.3〜1.0%がよい。な
お、ここで灰分とは、TAPPI STD T211m
−58「パルプの灰分」をもとに測定した値をさすもの
とする。このような特定の灰分量によって、平衡含水率
の変化の少ないパルプを得ることができる。なお、この
灰分量の範囲は、原料パルプの種類により多少異なる。
例えば、針葉樹のエゾマツBKPでは、0.5〜2.0%
の灰分量が好ましく、広葉樹のブナBKPでは、0.3
〜1.0%の灰分量が好ましい。
【0010】本発明に使用することのできる原料パルプ
は、例えば針葉樹または広葉樹から製造された漂白、未
漂白の化学パルプ、機械パルプのいずれでもよい。
は、例えば針葉樹または広葉樹から製造された漂白、未
漂白の化学パルプ、機械パルプのいずれでもよい。
【0011】
【作用】本発明方法は、パルプ繊維壁内に存在する微細
空隙を積極的に利用したパルプの改質方法である。通
常、室温のパルプは水素結合により強固に結合している
が、第1段階でパルプを高温、低濃度の無機塩水溶液中
に浸漬することにより、パルプ繊維壁が弛んで特異的に
膨潤し、その細部、すなわち微細空隙まで無機塩水溶液
が効果的に浸透した状態となる。そして、次にこの状態
のパルプスラリーにアルカリ水溶液を添加することによ
り、アルカリがパルプスラリーをさらに膨潤させながら
順次繊維壁内部に浸透して、微細空隙内に既に存在する
無機塩水溶液と反応し、水に不溶性の微細な結晶が生成
する。この結晶は、おそらく無機水酸化物の結晶である
と考えられる。本発明者らは、この微細な結晶が、パル
プの繊維壁の微細空隙中に均一に分散していることを、
電子顕微鏡−X線マイクロアナライザー分析により確認
することができた。
空隙を積極的に利用したパルプの改質方法である。通
常、室温のパルプは水素結合により強固に結合している
が、第1段階でパルプを高温、低濃度の無機塩水溶液中
に浸漬することにより、パルプ繊維壁が弛んで特異的に
膨潤し、その細部、すなわち微細空隙まで無機塩水溶液
が効果的に浸透した状態となる。そして、次にこの状態
のパルプスラリーにアルカリ水溶液を添加することによ
り、アルカリがパルプスラリーをさらに膨潤させながら
順次繊維壁内部に浸透して、微細空隙内に既に存在する
無機塩水溶液と反応し、水に不溶性の微細な結晶が生成
する。この結晶は、おそらく無機水酸化物の結晶である
と考えられる。本発明者らは、この微細な結晶が、パル
プの繊維壁の微細空隙中に均一に分散していることを、
電子顕微鏡−X線マイクロアナライザー分析により確認
することができた。
【0012】図2は、灰分量1.0%のブナBKPパル
プ繊維壁内の微細空隙中に黒い斑点状に微細な結晶が分
布していることを示す電子顕微鏡写真である。また、図
3は、そのときのパルプ繊維表面の電子顕微鏡写真であ
る。図2および図3から明らかなように、本発明方法に
おいて改質されたパルプは、パルプ繊維壁内の微細空隙
中に微細な結晶が生成しているが、パルプ繊維表面には
このような結晶が生成していないことが分かる。
プ繊維壁内の微細空隙中に黒い斑点状に微細な結晶が分
布していることを示す電子顕微鏡写真である。また、図
3は、そのときのパルプ繊維表面の電子顕微鏡写真であ
る。図2および図3から明らかなように、本発明方法に
おいて改質されたパルプは、パルプ繊維壁内の微細空隙
中に微細な結晶が生成しているが、パルプ繊維表面には
このような結晶が生成していないことが分かる。
【0013】上述のように、微細空隙に微細な結晶を入
り込ませるためには、処理後のパルプ灰分量を0.3〜
2.0%とすることが好ましい。これより多い灰分量で
あると、結晶の生成する速度が大きくなり、微細空隙に
結晶が入り込みにくくなるため、結晶が短時間に繊維壁
表面に蓄積し、本発明のような効果が見られない。微細
空隙中に水不溶性の結晶が分散すると、なぜ、得られた
紙の平衡含水率の変化が少なくなるのか、その作用機構
は明らかではないが、おそらく、微細空隙に入り込んだ
結晶に、約100Å以下の水吸着サイトが生じ、この部
分に水が吸着して、繊維壁中の水とセルロースとの相互
作用が強まり、水吸着率が高くなることにより、相対湿
度が変化しても、平衡含水率の変化が少なくなると考え
られる。さらに、水に不溶性の結晶は、繊維壁中に微細
空隙内でセルロースのOH基と相互作用するため、洗浄
・叩解等の従来のパルプ処理によっても取り除かれにく
いものである。
り込ませるためには、処理後のパルプ灰分量を0.3〜
2.0%とすることが好ましい。これより多い灰分量で
あると、結晶の生成する速度が大きくなり、微細空隙に
結晶が入り込みにくくなるため、結晶が短時間に繊維壁
表面に蓄積し、本発明のような効果が見られない。微細
空隙中に水不溶性の結晶が分散すると、なぜ、得られた
紙の平衡含水率の変化が少なくなるのか、その作用機構
は明らかではないが、おそらく、微細空隙に入り込んだ
結晶に、約100Å以下の水吸着サイトが生じ、この部
分に水が吸着して、繊維壁中の水とセルロースとの相互
作用が強まり、水吸着率が高くなることにより、相対湿
度が変化しても、平衡含水率の変化が少なくなると考え
られる。さらに、水に不溶性の結晶は、繊維壁中に微細
空隙内でセルロースのOH基と相互作用するため、洗浄
・叩解等の従来のパルプ処理によっても取り除かれにく
いものである。
【0014】なお、製紙工程では単にマグネシウム塩存
在下でのアルカリ添加という、本発明方法に類似の手順
が行われる場合もある。例えば、酸素漂白の実操業で
は、アルカリ性下で終始マグネシウム塩が存在あるいは
添加され、アルカリも添加されるプロセスになる。ま
た、実験室的な条件では、マグネシウム塩とアルカリが
同時に添加される(例えばGustavssonら、Tappi、58
(3)、120頁、1975年)。しかしながら、これらの場合
は、無機塩水溶液とアルカリが同時に添加されているた
め、本発明のように、パルプが膨潤し且つ無機塩水溶液
がパルプ繊維壁内部の微細空隙中に浸透せず、従って微
細空隙内で微細な結晶生成が起きることはない。また、
本発明方法は、従来の製紙工程におけるパルプ処理のど
の段階でも組み込むことができる。
在下でのアルカリ添加という、本発明方法に類似の手順
が行われる場合もある。例えば、酸素漂白の実操業で
は、アルカリ性下で終始マグネシウム塩が存在あるいは
添加され、アルカリも添加されるプロセスになる。ま
た、実験室的な条件では、マグネシウム塩とアルカリが
同時に添加される(例えばGustavssonら、Tappi、58
(3)、120頁、1975年)。しかしながら、これらの場合
は、無機塩水溶液とアルカリが同時に添加されているた
め、本発明のように、パルプが膨潤し且つ無機塩水溶液
がパルプ繊維壁内部の微細空隙中に浸透せず、従って微
細空隙内で微細な結晶生成が起きることはない。また、
本発明方法は、従来の製紙工程におけるパルプ処理のど
の段階でも組み込むことができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。な
お、以下の実施例および比較例で得られたデータは、少
なくとも10回繰り返して得られたものである。実施例 1 0.05W/W%塩化マグネシウム水溶液1500mlにブ
ナBKP50gを浸漬し、80℃で15分間撹拌した
(無機塩水溶液の加熱・浸漬処理工程)。次にこれに
0.1W/W%水酸化ナトリウム400mlを加えpHを11
として、80℃で30分間撹拌した(アルカリ加熱処理
工程)。このようにして得られたパルプ中に含まれる水
酸化マグネシウムを燃焼後の残存する灰分として定量す
ると、0.3〜0.5%であった。また、走査型電子顕微
鏡によりパルプ繊維壁内の微細空隙中に水酸化マグネシ
ウムの結晶が存在することが確認された。このパルプを
風乾した後、相対湿度を30%から60%まで変化させ
たときの、パルプの平衡含水率の変化率を測定した。
お、以下の実施例および比較例で得られたデータは、少
なくとも10回繰り返して得られたものである。実施例 1 0.05W/W%塩化マグネシウム水溶液1500mlにブ
ナBKP50gを浸漬し、80℃で15分間撹拌した
(無機塩水溶液の加熱・浸漬処理工程)。次にこれに
0.1W/W%水酸化ナトリウム400mlを加えpHを11
として、80℃で30分間撹拌した(アルカリ加熱処理
工程)。このようにして得られたパルプ中に含まれる水
酸化マグネシウムを燃焼後の残存する灰分として定量す
ると、0.3〜0.5%であった。また、走査型電子顕微
鏡によりパルプ繊維壁内の微細空隙中に水酸化マグネシ
ウムの結晶が存在することが確認された。このパルプを
風乾した後、相対湿度を30%から60%まで変化させ
たときの、パルプの平衡含水率の変化率を測定した。
【0016】なお、平衡含水率の測定は、処理パルプ
0.5gを500mlの水に懸濁し、ブフナーロート(ポリ
フッ化ビニリデン製9cmメンブランフィルター、ポアサ
イズ0.65μm)を用いてシートを作製し、得られたシ
ートを湿度発生装置に接続した調湿ボックスに入れ、天
秤から吊るして相対湿度の変化によるパルプの重量の変
化を測定した後、パルプの絶乾重量を求め、平衡含水率
を計算することからなる。
0.5gを500mlの水に懸濁し、ブフナーロート(ポリ
フッ化ビニリデン製9cmメンブランフィルター、ポアサ
イズ0.65μm)を用いてシートを作製し、得られたシ
ートを湿度発生装置に接続した調湿ボックスに入れ、天
秤から吊るして相対湿度の変化によるパルプの重量の変
化を測定した後、パルプの絶乾重量を求め、平衡含水率
を計算することからなる。
【0017】その結果を表1に示す。表1より、本発明
方法により改質されたパルプの平衡含水率の変化率
(2.1%)は、未処理のパルプ(4.7%)に比べ1/
2以下と小さくなったことが分かる。さらにこの改質パ
ルプを用いて紙を製造し、相対湿度を25%から90%
まで変化させたときの、紙の伸縮率を測定した。
方法により改質されたパルプの平衡含水率の変化率
(2.1%)は、未処理のパルプ(4.7%)に比べ1/
2以下と小さくなったことが分かる。さらにこの改質パ
ルプを用いて紙を製造し、相対湿度を25%から90%
まで変化させたときの、紙の伸縮率を測定した。
【0018】なお、紙はJIS P8209「パルプ試
験用手抄き紙調製方法」に基づいて作製した。伸縮率
は、作製した紙を5cm幅に切り、相対湿度が一定時間毎
変化するようにプログラムされた伸縮試験機の調湿ボッ
クス内にセットし、加重5gでのサンプルの元の長さに
対する伸び縮み(伸縮率)を連続的に測定することから
なる。
験用手抄き紙調製方法」に基づいて作製した。伸縮率
は、作製した紙を5cm幅に切り、相対湿度が一定時間毎
変化するようにプログラムされた伸縮試験機の調湿ボッ
クス内にセットし、加重5gでのサンプルの元の長さに
対する伸び縮み(伸縮率)を連続的に測定することから
なる。
【0019】その結果も表1に示す。表1より、伸縮率
は、未処理のパルプ(0.48%)に比べて50%小さ
いことが分かる。
は、未処理のパルプ(0.48%)に比べて50%小さ
いことが分かる。
【0020】実施例 2 1.0W/W%塩化マグネシウム水溶液400mlにブナB
KP10gを浸漬し、80℃で30分間撹拌した。次に
これに1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlを加えpH
を12として、80℃で30分間撹拌した。このように
して得られたパルプ中に含まれる水酸化マグネシウムを
燃焼後の残存する灰分として定量すると、0.4〜0.5
%であった。また、走査型電子顕微鏡により、パルプ繊
維壁内の微細空隙中に水酸化マグネシウムの結晶が分散
していることが確認された。パルプを風乾した後、実施
例1と同様に平衡含水率の変化率を測定した。その結果
を表1に示す。表1より、本発明方法により改質された
パルプの平衡含水率の変化率(2.3%)は、未処理の
パルプ(4.7%)に比べて1/2以下と小さくなった
ことが分かる。さらに実施例1と同様に紙を製造し、伸
縮率を測定した。その結果も表1に示す。表1より、伸
縮率は、未処理のパルプ(0.48%)に比べて約40
%小さいことが分かる。
KP10gを浸漬し、80℃で30分間撹拌した。次に
これに1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlを加えpH
を12として、80℃で30分間撹拌した。このように
して得られたパルプ中に含まれる水酸化マグネシウムを
燃焼後の残存する灰分として定量すると、0.4〜0.5
%であった。また、走査型電子顕微鏡により、パルプ繊
維壁内の微細空隙中に水酸化マグネシウムの結晶が分散
していることが確認された。パルプを風乾した後、実施
例1と同様に平衡含水率の変化率を測定した。その結果
を表1に示す。表1より、本発明方法により改質された
パルプの平衡含水率の変化率(2.3%)は、未処理の
パルプ(4.7%)に比べて1/2以下と小さくなった
ことが分かる。さらに実施例1と同様に紙を製造し、伸
縮率を測定した。その結果も表1に示す。表1より、伸
縮率は、未処理のパルプ(0.48%)に比べて約40
%小さいことが分かる。
【0021】実施例 3 塩化マグネシウム濃度を0.01W/W%、無機塩水溶液
の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程の処
理温度を120℃としたこと以外は、実施例1を繰り返
し、灰分、平衡含水率の変化率および伸縮率を測定し
た。その結果を表1に示す。表1より、本発明方法によ
り改質されたパルプの平衡含水率の変化率(2.4%)
は、未処理のパルプ(4.7%)に比べて約1/2と小
さくなったことが分かる。さらに伸縮率は、未処理のパ
ルプ(0.48%)に比べて約40%小さいことが分か
る。
の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程の処
理温度を120℃としたこと以外は、実施例1を繰り返
し、灰分、平衡含水率の変化率および伸縮率を測定し
た。その結果を表1に示す。表1より、本発明方法によ
り改質されたパルプの平衡含水率の変化率(2.4%)
は、未処理のパルプ(4.7%)に比べて約1/2と小
さくなったことが分かる。さらに伸縮率は、未処理のパ
ルプ(0.48%)に比べて約40%小さいことが分か
る。
【0022】実施例 4 原料パルプとしてマツBKPを用い、無機塩水溶液の加
熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程の処理温
度を120℃としたこと以外は、実施例2を繰り返し、
灰分、平衡含水率の変化率および伸縮率を測定した。そ
の結果を表1に示す。表1より、本発明方法により改質
されたパルプの平衡含水率の変化率(2.7%)は、未
処理のパルプ(3.9%)に比べて30%以上小さくな
ったことが分かる。さらに伸縮率は、未処理のパルプ
(0.36%)に比べて約40%小さいことが分かる。
熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程の処理温
度を120℃としたこと以外は、実施例2を繰り返し、
灰分、平衡含水率の変化率および伸縮率を測定した。そ
の結果を表1に示す。表1より、本発明方法により改質
されたパルプの平衡含水率の変化率(2.7%)は、未
処理のパルプ(3.9%)に比べて30%以上小さくな
ったことが分かる。さらに伸縮率は、未処理のパルプ
(0.36%)に比べて約40%小さいことが分かる。
【0023】実施例 5 使用した無機塩を塩化カルシウムとしたこと以外は、実
施例1を繰り返した。その結果を表1に示す。表1よ
り、無機塩として塩化カルシウムを用いても良好な結果
が得られることが分かる。
施例1を繰り返した。その結果を表1に示す。表1よ
り、無機塩として塩化カルシウムを用いても良好な結果
が得られることが分かる。
【0024】実施例 6 使用した無機塩を塩化カルシウムとしたこと以外は、実
施例2を繰り返した。その結果を表1に示す。
施例2を繰り返した。その結果を表1に示す。
【0025】比較例 1 塩化マグネシウムの濃度を3.00W/W%としたこと以
外は、実施例2を繰り返し、灰分、平衡含水率および伸
縮率を測定した。その結果を表1に示す。表1より、こ
の比較例により得られたパルプの平衡含水率の変化率は
4.2%であり、未処理のパルプ(4.7%)とほとんど
変わらなかった。また、伸縮率は0.49%であり、未
処理のパルプ(0.48%)よりも寸法安定性が悪化し
た。この比較例1より、無機塩水溶液の濃度を高くし
て、多量の沈殿をパルプに含有させただけでは、平衡含
水率の変化が小さくならないことが分かる。
外は、実施例2を繰り返し、灰分、平衡含水率および伸
縮率を測定した。その結果を表1に示す。表1より、こ
の比較例により得られたパルプの平衡含水率の変化率は
4.2%であり、未処理のパルプ(4.7%)とほとんど
変わらなかった。また、伸縮率は0.49%であり、未
処理のパルプ(0.48%)よりも寸法安定性が悪化し
た。この比較例1より、無機塩水溶液の濃度を高くし
て、多量の沈殿をパルプに含有させただけでは、平衡含
水率の変化が小さくならないことが分かる。
【0026】比較例 2 アルカリ加熱処理工程のおけるpHを13とし、無機塩
水溶液の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工
程の処理温度を100℃としたこと以外は、実施例1を
繰り返し、灰分、平衡含水率および伸縮率を測定した。
その結果を表1に示す。表1より、この比較例により得
られたパルプの平衡含水率の変化率は4.9%であり、
未処理のパルプ(4.7%)とほとんど変わらなかっ
た。また、伸縮率は0.46%であり、未処理のパルプ
(0.48%)とほとんど変わらなかった。
水溶液の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工
程の処理温度を100℃としたこと以外は、実施例1を
繰り返し、灰分、平衡含水率および伸縮率を測定した。
その結果を表1に示す。表1より、この比較例により得
られたパルプの平衡含水率の変化率は4.9%であり、
未処理のパルプ(4.7%)とほとんど変わらなかっ
た。また、伸縮率は0.46%であり、未処理のパルプ
(0.48%)とほとんど変わらなかった。
【0027】比較例 3 アルカリ加熱処理工程のおけるpHを9とし、無機塩水
溶液の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程
の処理温度を100℃としたこと以外は、実施例3を繰
り返し、灰分、平衡含水率および伸縮率を測定した。そ
の結果を表1に示す。表1より、この比較例により得ら
れたパルプの平衡含水率の変化率は5.0%であり、未
処理のパルプ(4.7%)より悪化した。また、伸縮率
は0.51%であった。
溶液の加熱・浸漬処理工程およびアルカリ加熱処理工程
の処理温度を100℃としたこと以外は、実施例3を繰
り返し、灰分、平衡含水率および伸縮率を測定した。そ
の結果を表1に示す。表1より、この比較例により得ら
れたパルプの平衡含水率の変化率は5.0%であり、未
処理のパルプ(4.7%)より悪化した。また、伸縮率
は0.51%であった。
【0028】比較例 4 アルカリ加熱処理工程の処理温度を50℃としたこと以
外は、実施例4を繰り返し、灰分、平衡含水率の変化率
および伸縮率を測定した。その結果を表1に示す。表1
より、この比較例により得られたパルプの平衡含水率の
変化率は4.0%であり、未処理のパルプとほどんど変
わらなかった。
外は、実施例4を繰り返し、灰分、平衡含水率の変化率
および伸縮率を測定した。その結果を表1に示す。表1
より、この比較例により得られたパルプの平衡含水率の
変化率は4.0%であり、未処理のパルプとほどんど変
わらなかった。
【0029】比較例 5 あらかじめ1.0W/W%塩化マグネシウム水溶液400m
lと1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlとを混合し
て、水酸化マグネシウムの結晶を析出させ、これにブナ
BKP10gを加えてpH12に調整し、80℃で1時間
撹拌した。このようにして処理したパルプの繊維壁中の
微細空隙には、水酸化マグネシウムの結晶がほとんど存
在しないことが、電子顕微鏡により確認された。さら
に、灰分、平衡含水率および伸縮率を実施例1と同様に
測定した。その結果を表1に示す。表1より、平衡含水
率の変化率は、4.0%であり、未処理のパルプ(4.7
%)とほとんど変わらなかった。また、伸縮率も0.4
4%であり、未処理パルプ(0.48%)よりもやや小
さい程度であった。
lと1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlとを混合し
て、水酸化マグネシウムの結晶を析出させ、これにブナ
BKP10gを加えてpH12に調整し、80℃で1時間
撹拌した。このようにして処理したパルプの繊維壁中の
微細空隙には、水酸化マグネシウムの結晶がほとんど存
在しないことが、電子顕微鏡により確認された。さら
に、灰分、平衡含水率および伸縮率を実施例1と同様に
測定した。その結果を表1に示す。表1より、平衡含水
率の変化率は、4.0%であり、未処理のパルプ(4.7
%)とほとんど変わらなかった。また、伸縮率も0.4
4%であり、未処理パルプ(0.48%)よりもやや小
さい程度であった。
【0030】比較例 6 あらかじめ1.0W/W%塩化マグネシウム水溶液400m
lと1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlとを混合し
て、水酸化マグネシウムの結晶を析出させ、これに叩解
処理したブナBKP(CSF:400ml)10gを加え
てpH12に調整し、80℃、1時間撹拌した。このよ
うにして処理したパルプの繊維壁中の微細空隙には、水
酸化マグネシウムの結晶がほとんど存在せず、パルプ繊
維のルーメンまたは割れ目に充填されたことが、電子顕
微鏡により確認された。さらに、灰分、平衡含水率およ
び伸縮率を実施例1と同様に測定した。その結果を表1
に示す。表1より、平衡含水率の変化率は、4.6%で
あり、未処理のパルプ(4.7%)とほとんど変わらな
かった。また、伸縮率は0.55%であり、未処理パル
プ(0.48%)よりも寸法安定性が悪化したことが分
かる。この比較例6では、あらかじめパルプを叩解処理
し、パルプ中に空隙や割れ目を増加させたが、本願発明
の効果が得られなかった。従って、単にパルプを物理的
に処理して空隙を増加させるだけでは、平衡含水率の変
化が少なくならないことが分かる。
lと1.5W/W%水酸化ナトリウム100mlとを混合し
て、水酸化マグネシウムの結晶を析出させ、これに叩解
処理したブナBKP(CSF:400ml)10gを加え
てpH12に調整し、80℃、1時間撹拌した。このよ
うにして処理したパルプの繊維壁中の微細空隙には、水
酸化マグネシウムの結晶がほとんど存在せず、パルプ繊
維のルーメンまたは割れ目に充填されたことが、電子顕
微鏡により確認された。さらに、灰分、平衡含水率およ
び伸縮率を実施例1と同様に測定した。その結果を表1
に示す。表1より、平衡含水率の変化率は、4.6%で
あり、未処理のパルプ(4.7%)とほとんど変わらな
かった。また、伸縮率は0.55%であり、未処理パル
プ(0.48%)よりも寸法安定性が悪化したことが分
かる。この比較例6では、あらかじめパルプを叩解処理
し、パルプ中に空隙や割れ目を増加させたが、本願発明
の効果が得られなかった。従って、単にパルプを物理的
に処理して空隙を増加させるだけでは、平衡含水率の変
化が少なくならないことが分かる。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】上記の実施例および比較例から明らかな
ように、本発明方法によって、相対湿度の変化に伴うパ
ルプの平衡含水率の変化が少なくなるため、寸法安定性
の優れた紙に加工可能なパルプの改質方法が提供され
る。
ように、本発明方法によって、相対湿度の変化に伴うパ
ルプの平衡含水率の変化が少なくなるため、寸法安定性
の優れた紙に加工可能なパルプの改質方法が提供され
る。
【図1】パルプ繊維断面の概略図である。
【図2】パルプ繊維壁内の微細空隙中に結晶が分布して
いることを示す電子顕微鏡写真である。
いることを示す電子顕微鏡写真である。
【図3】パルプ改質後のパルプ繊維表面の電子顕微鏡写
真である。
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 典子 茨城県つくば市東光台5−13−11 株式会 社日本紙パルプ研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 パルプの灰分が0.3〜2.0%となるよ
うに、パルプを無機塩水溶液中で加熱・浸漬処理した
後、アルカリ加熱処理することを特徴とする、パルプの
改質方法。 - 【請求項2】 無機塩がアルカリ土類金属塩である、請
求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 無機塩がマグネシウム塩である、請求項
1に記載の方法。 - 【請求項4】 無機塩水溶液中での加熱温度が50〜1
20℃であり且つアルカリ加熱処理時のpHが10〜1
2である、請求項1に記載の方法。 - 【請求項5】 水不溶性の結晶が、パルプ繊維壁内の微
細空隙に充填されたことを特徴とする、パルプ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31110392A JPH06136679A (ja) | 1992-10-28 | 1992-10-28 | パルプの改質方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31110392A JPH06136679A (ja) | 1992-10-28 | 1992-10-28 | パルプの改質方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06136679A true JPH06136679A (ja) | 1994-05-17 |
Family
ID=18013182
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31110392A Pending JPH06136679A (ja) | 1992-10-28 | 1992-10-28 | パルプの改質方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06136679A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH08297108A (ja) * | 1995-04-27 | 1996-11-12 | Sumitomo Chem Co Ltd | スラリー濃度の測定方法 |
| JPH0984177A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-28 | Onkyo Corp | 電気音響変換器用部品 |
| JPH0984176A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-28 | Onkyo Corp | 電気音響変換器用部品 |
| JP2019076902A (ja) * | 2019-02-14 | 2019-05-23 | ユニ・チャーム株式会社 | リサイクルパルプの衛生用品への使用、及び衛生用品 |
-
1992
- 1992-10-28 JP JP31110392A patent/JPH06136679A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH08297108A (ja) * | 1995-04-27 | 1996-11-12 | Sumitomo Chem Co Ltd | スラリー濃度の測定方法 |
| JPH0984177A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-28 | Onkyo Corp | 電気音響変換器用部品 |
| JPH0984176A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-28 | Onkyo Corp | 電気音響変換器用部品 |
| JP2019076902A (ja) * | 2019-02-14 | 2019-05-23 | ユニ・チャーム株式会社 | リサイクルパルプの衛生用品への使用、及び衛生用品 |
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