JP2019084568A - スカム吸収シート、双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

スカム吸収シート、双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融金属プール部の湯面高さの変動に自在に追随し、溶融金属プール部内の溶融金属の温度低下を抑制できるとともに、溶融金属プール部の湯面に浮遊するスカムを吸着することができ、表面品質に優れた薄肉鋳片を安定して鋳造することが可能なスカム吸収シートを提供する。
【解決手段】回転する一対の冷却ロール11、11と一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部16に、溶融金属3を供給し、冷却ロール11の周面に凝固シェル5を形成・成長させて薄肉鋳片1を製造する双ロール式連続鋳造装置において用いるスカム吸収シート20であって、スカム吸収シート20は、溶融金属プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられ、スカム吸収シート20は、少なくとも溶融金属プール部16の溶融金属3と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されており、前記多孔質体により、溶融金属プール部16に浮遊するスカムXを吸着する。
【選択図】図3

Description

本発明は、一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて、薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置において、前記溶融金属プール部の湯面上に配設されるスカム吸収シート、このスカム吸収シートを用いた双ロール式連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、内部に水冷構造を有し互いに逆方向に回転する一対の冷却ロールを備え、回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ロールの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をロールキス点で圧着して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置が提供されている。このような双ロール式連続鋳造装置は、各種金属において適用されている。
ここで、上述の双ロール式連続鋳造装置においては、酸化物等が溶融金属プール部の湯面上に浮上して、スカムと称する膜状の異物が形成され、このスカムが冷却ロールの周面に断続的に巻き込まれるおそれがあった。巻き込まれたスカムは、薄肉鋳片の冷却不均一、薄肉鋳片の表面割れ、表面疵、鋳片品質の低下等の原因となる。
そこで、上述の双ロール式連続鋳造装置を用いて薄肉鋳片を鋳造する際に、スカムの発生及びスカムの巻き込みを抑制する様々な手段が提案されている。
例えば、特許文献1には、湯溜部における溶鋼の湯面を、一枚以上の板状の固体酸化物、又は、スカムを固相化した固体酸化物で覆うことにより、表面性状に優れた薄帯鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造方法が提案されている。
また、特許文献2には、溶鋼溜め湯面全体を上方から覆うカバー本体の短辺堰と直交する方向に沿う両端部下面に、溶鋼内に浸漬する浸漬部を形成するとともに、この両浸漬部間のカバー本体の下面中央に形成された空間部内に、湯面に浮遊する波立ち吸収部材を配置した湯面保護カバーが提案されている。
特開2002−273551号公報 特開平09−141397号公報
ところで、特許文献1に記載された双ドラム式連続鋳造方法においては、溶鋼の湯面を、一枚以上の板状の固体酸化物で覆うことにより、スカムを固体酸化物に付着させている。しかしながら、板状の固体酸化物においては、スカムを十分に付着させて除去することは困難であった。また、スカムを固化させて固体酸化物を形成する場合には、安定して固体酸化物を形成することができないおそれがあった。また、固体酸化物によって、溶鋼温度が低下してしまい、鋳造を安定して行うことができないおそれがあった。
また、特許文献2に記載された湯面保護カバーにおいては、カバー本体の凹部に波立ち吸収板を配置し、カバーの浸漬部に押し込まれた鉄板などの支持部材でその吸収板の下面を支持している。したがって、その吸収板が接する溶鋼湯面の面積はカバーの浸漬部や支持部材の無い範囲に限定される。また、吸収板はカバー本体にほぼ固定されているので、鋳造中の湯面高さの変動には追随しない。さらに、この波立ち吸収板はカオリン製のウール材で構成されていてSiO2成分を多く含むため、溶鋼に接触させて湯面上に浮遊するスカムを吸着させるには不向きである。これらのことから、特許文献2に記載された発明では、スカムの吸着除去については考えられていなかったと推測できる。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、溶融金属プール部の湯面高さの変動に自在に追随し、溶融金属プール部内の溶融金属の温度低下を抑制できるとともに、溶融金属プール部の湯面に浮遊するスカムを吸着することができ、表面品質に優れた薄肉鋳片を安定して鋳造することが可能なスカム吸収シート、このスカム吸収シートを備えた双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るスカム吸収シートは、回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置において用いるスカム吸収シートであって、前記スカム吸収シートは、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられ、当該スカム吸収シートは、少なくとも前記溶融金属プール部の溶融金属と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されており、前記多孔質体により、前記溶融金属プール部に浮遊するスカムを吸着することを特徴としている。
この構成のスカム吸収シートによれば、少なくとも前記溶融金属プール部の溶融金属と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されているので、スカムとの濡れ性が良く、多孔質体の気孔部にスカムを吸収することができる。一方、酸化物の多孔質体は、溶融金属との濡れ性が悪いため、気孔部に溶融金属が入り込むことを抑制できる。また、スカム吸収シートに対して溶融金属の表面張力が作用するため、スカム吸収シートと冷却ロールとが一定距離を保つことになり、冷却ロール間にスカム吸収シートが巻き込まれることがない。したがって、スカム吸収シートを支持したり固定したりする必要は無く、むしろ、湯面高さが変動した場合であっても、冷却ロールのロール面に沿ってスカム吸収シートの位置が変動し、湯面上に安定して配置することが可能となるので、固定機構を用いない方がスカムを吸収する目的には好適である。さらに、固定機構を用いていないので、スカム吸収シートによって湯面を広く覆うことができる。
よって、スカムの巻き込みを抑制でき、表面品質に優れた薄肉鋳片を製造することができる。
さらに、多孔質体は、気孔部にガスを有しており、断熱性に優れ、かつ、熱容量も小さいことから、スカム吸収シートによって溶融金属が温度低下することを抑制でき、安定して鋳造を行うことができる。また、スカム吸収シートの温度が低い鋳造初期においても、断熱性に優れた多孔質体により、スカム吸収シートの表面に地金が形成されることを抑制できる。この点からも、固定機構を用いない方が操業中の湯面高さの変動に自在に追随できるので、溶融金属中に強制的に押し込まれたり、逆にシートと湯面との間に空隙ができたりもしないために有利である。
ここで、本発明のスカム吸収シートにおいては、前記多孔質体は、セラミックスファイバーからなる多孔質シートで構成されていることが好ましい。
この場合、セラミックスファイバーからなる多孔質シートによって多孔質体を形成することができる。また、鋳造条件に応じて、熱伝導性、耐熱性等を考慮してセラミックスファイバーからなる多孔質シートを選択することで、的確にスカムを吸収することが可能となる。
また、本発明のスカム吸収シートにおいては、前記多孔質体は、アルミナ又はジルコニアで構成されていることが好ましい。
アルミナ及びジルコニアは、溶融金属との濡れ性が悪く、かつ、スカムとの濡れ性が良いことから、スカム吸収シートの溶融金属と接触する領域に多孔質体を形成することによってスカム除去効果が高くなる。また、溶融金属と接した際に多孔質体の気孔部に溶融金属が入り込むことが抑制され、断熱性が維持されることになる。
さらに、本発明のスカム吸収シートにおいては、前記多孔質体は、気孔率が50%以上98%以下の範囲内、厚さが0.5mm以上10mm以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、多孔質体の気孔率が50%以上とされているので、気孔部が十分に確保されており、スカムを十分に吸収することができるとともに、断熱性に優れている。一方、多孔質体の気孔率が98%以下とされているので、多孔質層の強度が確保される。
本発明の双ロール式連続鋳造装置は、回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置であって、前述のスカム吸収シートが、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられていることを特徴としている。
また、本発明の薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置であって、前述のスカム吸収シートが、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられていることを特徴としている。
この構成の双ロール式連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法によれば、少なくとも前記溶融金属プール部の溶融金属と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されたスカム吸収シートが、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられているので、溶融金属プール部の湯面に浮遊するスカムを吸着することができる。また、スカム吸収シートによって溶融金属が温度低下することを抑制できる。よって、表面品質に優れた薄肉鋳片を安定して鋳造することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、溶融金属プール部の湯面高さの変動に自在に追随し、溶融金属プール部内の溶融金属の温度低下を抑制できるとともに、溶融金属プール部の湯面に浮遊するスカムを吸着することができ、表面品質に優れた薄肉鋳片を安定して鋳造することが可能なスカム吸収シート、このスカム吸収シートを備えた双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である双ロール式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 図1に示す双ロール式連続鋳造装置の一部拡大説明図である。 図1に示す双ロール式連続鋳造装置の溶鋼プール部の断面説明図である。 図3に示す溶鋼プール部の上面説明図である。 本発明の実施形態であるスカム吸収シートの拡大説明図である。 溶鋼プール部の湯面高さ変動時のスカム吸収シートの動作を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。以下の実施形態においては、鋳造する対象金属を鋼として説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片を製造するものとされている。なお、鋼種としては、例えば0.001〜0.01%C極低炭鋼、0.02〜0.05%C低炭鋼、0.06〜0.4%C中炭鋼、0.5〜1.2%C高炭鋼、SUS304鋼に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼、SUS430鋼に代表されるフェライト系ステンレス鋼、3.0〜4.0%Si方向性電磁鋼、0.1〜6.5%Si無方向性電磁鋼等(なお、%は、質量%)が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が200mm以上1800mm以下の範囲内、厚さが0.8mm以上5mm以下の範囲内とされている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造方法に用いられる双ロール式連続鋳造装置10について説明する。
図1に示す双ロール式連続鋳造装置10は、一対の冷却ロール11、11と、薄肉鋳片1を支持するピンチロール12,12及び13,13と、一対の冷却ロール11、11の幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ロール11、11とサイド堰15とによって画成された溶鋼プール部16に供給される溶鋼3を保持するタンディッシュ18と、このタンディッシュ18から溶鋼プール部16へと溶鋼3を供給する浸漬ノズル19と、を備えている。
この双ロール式連続鋳造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ロール11,11に接触して冷却されることにより、冷却ロール11,11の周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ロール11,11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がロールキス点で圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
ここで、図3に示すように、溶鋼プール部16には、溶鋼3が貯留されており、溶鋼プール部16の湯面にはスカムXと称する酸化物被膜が断続的に浮上する。
このスカムXは湯面上に堆積、浮遊しており、回転する冷却ロール11と薄肉鋳片1の間に巻き込まれると、薄肉鋳片1の表面疵の原因となる。
そこで、図1から図3に示すように、上述のスカムXが冷却ロール11と薄肉鋳片1との間に巻き込まれることを抑制するために、溶鋼プール部16の湯面上には、本実施形態であるスカム吸収シート20が配置されている。
このスカム吸収シート20は、溶鋼プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられて使用され、溶鋼プール部16の湯面上に浮上してきたスカムを付着し、回転する冷却ロール11に巻き込まれるのを防止する役割を担う。
ここで、上述のスカム吸収シート20には、以下に示す性能が求められる。
1)溶鋼との接触面が、溶鋼と濡れにくい(接触角が118°より大きい)こと。
2)溶鋼に対し耐食性を有すること。
3)酸化物(主にアルミナ)からなるスカムとの親和性が強く、容易に付着・吸収すること。
4)耐熱衝撃性を有するとともに熱容量が小さく断熱作用があること。溶鋼に接しても破損することなく、湯面上に配置することにより湯面を保温し、溶鋼の温度低下を抑制でき、表面に地金が形成され難いこと。
5)軽量であり、溶鋼プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく安定して浮遊すること。
6)溶鋼流れに沿って冷却ロール11に近接しても、冷却ロール11と一定の距離を保ち、冷却ロール11に巻き込まれないこと。
以上のことから、スカム吸収シート20のうち、少なくとも溶鋼に接触する領域は、酸化物の多孔質体で構成する必要がある。スカム吸収シート20の全体を酸化物の多孔質体で構成してもよい。
酸化物の多孔質体で形成したスカム吸収シート20は、上述した性能を満足する。よって、スカム吸収シート20は、溶鋼プール部16の湯面上に浮上してくるスカムXを付着吸収することができるとともに、溶鋼3の温度低下を抑制することができる。また、スカム吸収シート20における地金の発生が抑制される。
ここで、本実施形態においては、スカム吸収シート20を構成する酸化物の多孔質体は、アルミナ又はジルコニアで構成されており、より具体的には、アルミナ又はジルコニアからなる繊維(セラミックスファイバー)の集合体とされていることが好ましい。
ここで、スカム吸収シート20(多孔質体)を構成するアルミナ又はジルコニアは、溶鋼との濡れ性が悪く、溶鋼との接触角が118°よりも大きいものとされている。
また、スカム吸収シート20(多孔質体)を構成する繊維(セラミックスファイバー)の外径は、例えば1μm以上20μm以下の範囲内とされている。
そして、本実施形態においては、スカム吸収シート20(多孔質体)は、気孔率Pが50%以上98%以下の範囲内とされていることが好ましい。
ここで、上述の気孔率P(%)は、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度をM1、スカム吸収シート20(多孔質体)と同組成物質の密度M0とした際に、以下の式で算出される。
P=100×(1−M1/M0)
なお、上述のアルミナ又はジルコニアからなる繊維(セラミックスファイバー)の集合体からなるスカム吸収シート20(多孔質体)においては、1/3程度の厚さまで圧縮しても元の厚さに復元することから、見掛け密度は圧縮する前の状態で測定したものを用いた。
ここで、スカム吸収シート20(多孔質体)の気孔率Pを50%以上とすることにより、断熱効果を十分確保することができる。一方、スカム吸収シート20(多孔質体)の気孔率Pを98%以下とすることで、スカム吸収シート20(多孔質体)の強度を確保することができる。
なお、断熱効果を確実に奏功せしめるためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の気孔率Pの下限を80%以上とすることがより好ましく、88%以上とすることがさらに好ましい。また、スカム吸収シート20(多孔質体)の強度を十分に確保するためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の気孔率Pの上限を97%以下とすることが好ましく、96%以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、スカム吸収シート20(多孔質体)は、その厚さが1.0mm以上10mm以下の範囲内とされていることが好ましい。
スカム吸収シート20(多孔質体)の厚さを1.0mm以上とすることにより、十分な断熱効果を得ることができ、かつ、強度を確保することができる。一方、スカム吸収シート20(多孔質体)の厚さが10mmを超えても断熱効果が飽和する。また、省スペース化の観点からも必要以上に厚くする必要はない。
なお、強度を確保するとともに断熱効果を確実に奏功せしめるためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の厚さの下限を2mm以上とすることが好ましい。また、さらなる省スペース化のためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の厚さの上限を5mm以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度は、0.11g/cm3以上2.00g/cm3以下の範囲内とされていることが好ましい。
スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度を、0.11g/cm3以上とすることにより、強度を確保することができる。一方、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度を、2.00g/cm3以下とすることにより、溶鋼プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく安定して浮遊させることができる。
なお、さらに強度を確保するためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度の下限を0.17g/cm3以上とすることが好ましく、0.23g/cm3以上とすることがさらに好ましい。また、さらに安定して溶鋼プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく浮遊させるためには、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度の上限を0.79g/cm3以下とすることが好ましく、0.47g/cm3以下とすることがさらに好ましい。
このような構成とされたスカム吸収シート20は、図3に示すように、溶鋼プール部16の湯面上に、固定機構を用いることなく浮かべられる。
ここで、溶鋼プール部16の湯面においては、冷却ロール11の回転に伴って、冷却ロール11側に向かうように溶鋼が流動する。このため、湯面上を浮遊するスカム吸収シート20は、冷却ロール11に近接することになる。
本実施形態であるスカム吸収シート20においては、溶鋼との濡れ性が悪く、溶鋼の接触角が118°より大きいので、スカム吸収シート20と冷却ロール11との間の溶鋼の表面張力により、スカム吸収シート20と冷却ロール11との間に一定の距離(限界距離)が確保されることになる。
すなわち、図5に示すように、重力gと表面張力σと内圧fpが釣り合うように作用することで、スカム吸収シート20と冷却ロール11との間に一定の距離(限界距離)が確保される。
また、上述の限界距離は一定であることから、溶鋼プール部16の湯面高さが変動しても、図6に示すように、冷却ロール11の周面に沿ってスカム吸収シート20が移動することになる。
以上のような構成とされた本実施形態であるスカム吸収シート20、双ロール式連続鋳造装置、及び、薄肉鋳片1の製造方法によれば、スカム吸収シート20の少なくとも溶鋼プール部16の溶鋼と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されているので、スカムXとの親和性が高く、多孔質体の気孔部にスカムXを吸収することができる。また、多孔質体が酸化物で構成されており、溶鋼3との濡れ性が悪いため、気孔部に溶鋼3が入り込むことを抑制できる。
さらに、スカム吸収シート20に溶鋼の表面張力が作用することで、スカム吸収シート20と冷却ロール11とが一定距離(限界距離)を保つことになり、冷却ロール11間にスカム吸収シート20が巻き込まれることがない。また、湯面高さが変動した場合であっても、図6に示すように、冷却ロール11のロール面に沿ってスカム吸収シート20の位置が変動することになり、湯面上に安定して配置することが可能となる。
また、スカム吸収シート20を構成する多孔質体は、その気孔部にガスを有しており、断熱性に優れ、かつ、熱容量も小さいことから、スカム吸収シート20によって溶鋼が温度低下することを抑制でき、安定して鋳造を行うことができる。また、スカム吸収シート20の温度が低い鋳造初期においても、断熱性に優れた多孔質体により、スカム吸収シート20の表面に地金が形成されることを抑制できる。
さらに、本実施形態の好ましい形態では、スカム吸収シート20を構成する多孔質体は、セラミックスファイバーからなる多孔質シートで構成されており、具体的には、アルミナ又はジルコニアのファイバーで構成されているので、溶鋼3との濡れ性が悪く、溶鋼3の接触角が118°より大きいので、多孔質体の気孔部に溶鋼3が入り込むことが抑制される。また、スカムとの親和性が高いことから、多孔質体の気孔部にスカムXを効率的に吸着させることが可能となる。
また、本実施形態の好ましい形態では、スカム吸収シート20を構成する多孔質体の気孔率Pが50%以上とされているので、断熱効果を十分確保することができるとともに、気孔部によってスカムXを吸着することができる。
また、スカム吸収シート20を構成する多孔質体の気孔率Pが98%以下とされているので、スカム吸収シート20(多孔質体)の強度を確保することができる。
さらに、本実施形態の好ましい形態では、スカム吸収シート20(多孔質体)の見掛け密度が、0.11g/cm3以上2.00g/cm3以下の範囲内とされているので、スカム吸収シート20(多孔質体)の強度を確保することができるとともに、溶鋼プール部16の湯面上に固定機構を用いることなく安定して浮遊させることができる。
また、本実施形態の好ましい形態では、スカム吸収シート20(多孔質体)は、その厚さtが1.0mm以上15mm以下の範囲内とされているので、十分な断熱効果を得ることができ、かつ、強度を確保することができる。
以上のことから、本実施形態のスカム吸収シート20においては、溶鋼プール部16の湯面上に安定して浮遊させることが可能となり、このスカム吸収シート20によってスカムXを的確に吸収することができ、表面品質に優れた薄肉鋳片1を安定して製造することができる。また、スカム吸収シート20によって溶鋼3の温度が低下することが抑制されるとともに、スカム吸収シート20に地金が生成することを抑制できる。
以上、本発明の実施形態であるスカム吸収シート、双ロール式連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、ピンチロールを配設した双ロール式連続鋳造装置を例に挙げて説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
また、溶鋼プール部において、浸漬ノズルと冷却ロールとの間にスカム堰を配置してもよい。スカム堰を配置した際には、スカム堰と冷却ロールとの間の湯面上にスカム吸収シートを浮かべることになる。これにより、スカム堰で除去できなかったスカムをスカム吸収シートによって吸着・除去することが可能となる。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
冷却ロールの直径600mm、冷却ロールの幅800mm、溶鋼プール部における溶鋼深さ212mm、冷却ロールの周速度50m/minにて、厚さ2mmの薄肉鋳片を鋳造した。薄肉鋳片の組成は、質量%で0.05%C、0.6%Si、1.5%Mn、0.03%Al、残部Fe及び不純物である。この組成の鋼の液相線温度は1517℃であり、過熱度30〜50℃となる溶鋼プール部に注入する溶鋼温度は1547〜1567℃とした。
(本発明例1)
本発明例1では、以下に示すスカム吸収シートを、固定機構を用いることなく、各ロール面に対向するように2枚浮かべて、鋳造を実施した。
・サイズ:横780mm、縦70mm、厚さ2.5mm
・材質:ジルコニアファイバー
・気孔率:96%
(本発明例2)
本発明例2では、以下に示すスカム吸収シートを、固定機構を用いることなく、各ロール面に対向するように2枚浮かべて、鋳造を実施した。
・サイズ:横760mm、縦65mm、厚さ10mm
・材質:アルミナファイバー
・気孔率:85%
(本発明例3)
本発明例3では、スカム堰とスカム吸収シートとを併用した。
スカム堰は、材質はアルミナグラファイトとし、サイズは幅720mm、厚さ10mm、高さ200mmとした。このスカム堰を斜めに立てて浸漬深さ25mmとなるように、溶鋼プール部内に配置した。
そして、以下に示すスカム吸収シートを、固定機構を用いることなく、各ロール面に対向するように、スカム堰と冷却ロールとの間にそれぞれ1枚ずつ(計2枚)浮かべて、鋳造を実施した。
・サイズ:横780mm、縦32mm、厚さ5mm
・材質:アルミナファイバー
・気孔率:92%
(比較例1)
比較例1では、溶鋼プール部の湯面には、スカム堰及びスカム吸収シートを配置せず、浸漬ノズルを除いて自由表面とした。
(比較例2)
比較例2では、溶鋼プール部の湯面に、高さ位置を一定とし、以下に示す板材を水平に装入した。
・サイズ:横720mm、縦166mm、厚さ10mm(中央部にノズルを配置するための開口部あり)
・材質:アルミナグラファイト
本発明例1〜3、比較例1,2の条件で鋳造を実施し、薄肉鋳片の長さ1m当たりのスカム痕(縦、横各10mm程度の大きさのスカムが付着した痕)の個数、スカム疵(微小割れ。スカム痕の内部と周囲に生じる疵)の個数を評価した。また、鋳造初期の湯面の皮張りの有無を確認した。評価結果を表1に示す。
Figure 2019084568
本発明例1〜3においては、スカム吸収シートが安定して湯面上に浮遊しており、鋳片へのスカム巻込みは非常に少なかった。鋳造中に湯面近くに設けたCCDカメラで観察すると、鋳造中に±5mmの湯面レベル変動があったにも係わらず、スカム吸収シートの一辺と回転する冷却ロールとの距離は2〜3mmの間でほぼ一定に保たれていた。鋳造後にスカム吸収シートを回収し調査したところ、該シートの溶鋼接触面にほぼ全面にスカム付着が認められ、スカム吸収効果が確認された。3分間の鋳造の後、終了時に付着する残溶鋼分を含めたスカムの付着厚さは、本発明例1〜3のいずれも約0.5mmであった。
また、鋳造時の溶鋼プールにおける皮張りの発生は初期においても発生せず、該シートの断熱効果が確認された。
鋳造した薄肉鋳片について、表面状況を観察した結果、本発明例1〜3ともにスカム痕が鋳片長1m当たり1個未満であり、スカム疵の発生は鋳片長1m当たり0.2個以下であった。
このように、本発明例1〜3のいずれもスカム疵の発生が確認されずに、薄肉鋳片を安定して鋳造することができた。
これに対して、比較例1においては、鋳片へのスカム巻込みが頻繁に発生した。湯面近くのCCDカメラで観察すると、スカム堰と冷却ロール間の湯面に浮遊するスカムが、回転するロール面に断続的に巻き込まれることが確認された。また、鋳造初期において、スカム堰の両側面とサイド堰の間隙に湯面の皮張りが生じていることがわかった。
比較例1にて鋳造した薄肉鋳片について表面状況を観察した結果、スカム痕は鋳片長1m当たり10個以上と頻発し、スカム疵も鋳片長1m当たり3個以上発生していることが確認された。
比較例2においては、鋳片へのスカム巻込みが湯面変動時に頻繁に発生した。湯面近くのCCDカメラで観察すると、鋳造中に±5mmの湯面レベル変動に対し、湯面上昇時は固定板と冷却ロール間との距離が大きくなって8mm以上離れ、この間の湯面に浮遊するスカムが、回転するロール面に断続的に巻き込まれることが確認された。また、湯面下降時は固定板の下面より湯面が低くなって、湯面上に浮遊するスカムがそのまま回転するロール面に巻き込まれることが確認された。また、鋳造初期において、固定板の両側面とサイド堰の間隙に湯面の皮張りが生じていることがわかった。
比較例2にて鋳造した薄肉鋳片について表面状況を観察した結果、スカム痕は鋳片長1m当たり5個と頻発し、スカム疵も鋳片長1m当たり1個以上発生していることが確認された。
以上の結果から、本発明によれば、スカム疵を抑制することが可能であることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼
5 凝固シェル
11 冷却ロール
16 溶鋼プール部(溶融金属プール部)
20 スカム吸収シート

Claims (6)

  1. 回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置において用いるスカム吸収シートであって、
    前記スカム吸収シートは、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられ、
    当該スカム吸収シートは、少なくとも前記溶融金属プール部の溶融金属と接触する領域が酸化物の多孔質体で構成されており、
    前記多孔質体により、前記溶融金属プール部に浮遊するスカムを吸着することを特徴とするスカム吸収シート。
  2. 前記多孔質体は、セラミックスファイバーからなる多孔質シートで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスカム吸収シート。
  3. 前記多孔質体は、アルミナ又はジルコニアで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスカム吸収シート。
  4. 前記多孔質体は、気孔率が50%以上98%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスカム吸収シート。
  5. 回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置であって、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスカム吸収シートが、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられていることを特徴とする双ロール式連続鋳造装置。
  6. 回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に、溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスカム吸収シートが、前記溶融金属プール部の湯面上に固定機構を用いることなく浮かべられていることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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