JP2019091675A - リチウムイオン電池用ガス吸収材 - Google Patents

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真吾 宮本
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Abstract

【課題】 リチウムイオン電池の電解液と反応してガスなどを発生することがなく、リチウムイオン電池の異常時などに発生するメタンガスを吸収するのに好適なリチウムイオン電池用ガス吸収材を提供する。【解決手段】 リチウムイオン電池Eは、正極端子1及び負極端子2と、気密容器たる電池ケース3とを備え、電池ケース3の内部に電極体10を収納する。電極体10は、正極集電体11及び正極用電極板12と、負極集電体13及び負極用電極板14とを有し、正極用電極板12と負極用電極板14とは、セパレータ15を介して積層した構造を有する。そして電池ケース3内に炭素系多孔質材を配置する。この炭素系多孔質材は、メタンガス吸収能を有し、好ましくは炭酸ガス吸収能を有するものであり、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/g以下である。【選択図】 図1

Description

本発明は電子機器や自動車等に使用されるリチウムイオン電池から発生するメタンガスを吸収するのに好適なリチウムイオン電池用ガス吸収材に関する。
近年、大容量、高出力タイプのリチウムイオン電池が実用化されている。このリチウムイオン電池は、大容量、高出力であるがゆえに従来の二次電池よりも高い安全性、安定性が求められる。
このリチウムイオン電池の代表的な構成は、負極に炭素、正極にコバルト酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物を用い、電解液として炭酸エチレンや炭酸ジエチル等の非水系電解質である有機溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)といったリチウム塩を配合したものを用いるが、一般にはこれら負極、正極及び電解質のそれぞれの材料は、リチウムイオンが移動し、かつ電荷の授受により充放電可能であればよいので、非常に多くの態様を採りうる。
リチウム塩としては、LiPFの他、LiBF4等のフッ素系錯塩、LiN(SORf)・LiC(SORf)(Rf=CF又はC)等の塩が用いられる場合もある。また、正極材としてのリチウム遷移金属酸化物としては、LiCoO、LiMn2O、LiNiO、LiFePO、LiFePOF、LiCO1/3Ni1/3Mn1/3、Li(LiαNixMnyCoz)Oなどが知られている。
このような非水系電解液を使用したリチウムイオン電池では、非水系電解液中に含まれる炭酸エステルが長期間の使用における充放電の繰り返し、過充電、あるいは短絡等の異常時の電池内部の温度上昇に起因して、劣化や電気分解をおこす。これにより電池内部でCOやCOなどだけでなく、メタンガスなどの炭素を含む可燃性のガスが発生し、この発生したガスによって内圧が上昇して、電池パッケージの膨張や、微量水分によるフッ酸の電気分解障害、熱上昇に伴う有機ガス及び水の蒸気化膨張などの障害を生じる。
このようなリチウムイオン電池の内部に設けるガス吸収材として特許文献1には、A型又はLSX型のゼオライトからなるものが記載されている。
特開2015−162457号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来のガス吸収材は、水分を吸湿する能力が高く、例えばドライルーム内の露点―40℃の雰囲気中でも吸湿してしまうため、ガス吸収能が水分の吸着に優先され、リチウムイオン電池から発生するガスの吸収能を十分に発揮できない、という問題点があった。また、ガス吸収材として炭素系材料を用いることも検討されているが、炭素系材料はリチウムイオン電池の電解液と分解反応を起こしてしまい、炭酸ガスを発生しやすくなるなど悪影響を及ぼす虞があるため適用が進んでいないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン電池の電解液と反応
してガスなどを発生することがなく、リチウムイオン電池の異常時などに発生するメタンガスを吸収するのに好適なリチウムイオン電池用ガス吸収材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、リチウムイオン電池内に設けられるガス吸収材であって、メタンガス吸収能を有する炭素系多孔質材からなる、リチウムイオン電池用ガス吸収材を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、リチウムイオン電池内に配置するガス吸収材として、メタンガス吸収能を有するものを用いることにより、充放電の繰り返し等により発生するメタンガスなどの可燃性ガスを吸収することができ、安全性を高めることができるとともに電池寿命の低下を抑制し、安定した状態にリチウムイオン電池を保持することができる。
上記発明(発明1)においては、前記炭素系多孔質材が炭酸ガス吸収能を有することが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、リチウムイオン電池の電解液と炭素系多孔質材との反応により炭酸ガスが発生しやすいが、さらに炭酸ガス吸収能を有するものを用いることにより、電池ケースの膨張や電極のゆがみを抑制し、電池寿命の低下をさらに抑制することができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記炭素系多孔質材において、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/g以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明3)によれば、通常炭素系多孔質材の細孔はブロードとなっているため、細孔径が大きいと電解液が細孔内部に入り込み、メタンガス等の吸着量が低下しやすいが、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積を0.3mL/g以下とすることにより、電解液が細孔内部に入り込むことを抑制することができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記炭素系多孔質材が、炭酸ガス、窒素又はアルゴンガスにより賦活処理を行ったものであることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明4)によれば、炭素系多孔質材をこれらのガスで処理することにより、炭素系多孔質材の細孔径や表面官能基を調整することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記炭素系多孔質材が、5μm以下の粒径に微粉末化したものであることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明5)によれば、リチウムイオン電池用としての取扱い性に優れたものとすることができる。
上記発明(発明1〜5)においては、前記炭素系多孔質材が、水分含有率を1重量%以下に調整したものであることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明6)によれば、水分含有率が1重量%以下の乾燥状態の炭素系多孔質材をリチウムイオン電池内に配置することにより、メタンガスや二酸化炭素の吸収性能を維持してこれらを迅速に吸収することができる。
本発明は、リチウムイオン電池内に配置するガス吸収材として、メタンガス吸収能を有するものを用いるものであるので、充放電の繰り返し等により発生するメタンガスなどの可燃性ガスを吸収することができ、安全性を高めることができるとともに電池寿命の低下を抑制し、安定した状態にリチウムイオン電池を保持することができる。
本発明のリチウムイオン電池用ガス吸収材を適用可能なリチウムイオン電池の内部構造を概略的に示す断面図である。 実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材の吸湿試験結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材の炭酸ガス吸着量の水分の影響を示すグラフである。 実施例2、比較例2及び比較例3のリチウムイオン電池用ガス吸収材の電解液と反応後の炭酸ガス濃度を示すグラフである。 実施例3及び比較例4のリチウムイオン電池用ガス吸収材のメタンガス吸収量を示すグラフである。 実施例4及び比較例5のリチウムイオン電池用ガス吸収材を充填したリチウムイオン電池の充放電サイクル試験における放電容量の変化を示すグラフである。 実施例5及び比較例6のリチウムイオン電池用ガス吸収材を充填したリチウムイオン電池の高温保管時のガス増加量を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明のリチウムイオン電池用ガス吸収材を適用可能なリチウムイオン電池を示す縦断面図である。図1において、リチウムイオン電池Eは、正極端子1及び負極端子2と、気密容器たる電池ケース(筐体)3と、この電池ケース3の外周面に必要に応じて形成された防爆弁(図示せず)とを備え、電池ケース3の内部に電極体10を収納する。電極体10は、正極集電体11及び正極用電極板(正極)12と、負極集電体13及び負極用電極板(負極)14とを有し、正極用電極板12と負極用電極板14とは、それぞれセパレータ15を介して積層した構造を有する。そして、正極端子1は正極用電極板12に、負極端子2は負極用電極板14に、それぞれ電気的に接続されている。筐体としての電池ケース3は、例えば、アルミニウム製またはステンレス製の角型電池槽缶であり、気密性を有している。
正極用電極板12は、両面に正極合剤を保持させた集電体である。例えば、その集電体は厚さ約20μmのアルミニウム箔であり、ペースト状の正極合剤は、遷移金属のリチウム含有酸化物であるLiCoO、LiMn、LiFePO、LiFePOF、LiCO1/3Ni1/3Mn1/3、Li(LiαNixMnyCoz)Oなどに、結着材としてポリフッ化ビニリデンと導電材としてアセチレンブラックとを添加後混練したものである。そして、正極用電極板12は、このペースト状の正極合剤をアルミニウム箔の両面に塗布後、乾燥、圧延、帯状に切断の手順で得られる。
負極用電極板14は、両面に負極合剤を保持させた集電体である。例えば、その集電体は厚さ10μmの銅箔であり、ペースト状の負極合剤は、グラファイト粉末に結着材としてポリフッ化ビニリデンを添加後混練したものである。そして、負極用電極板14はこのペースト状の負極合剤を銅箔の両面に塗布後、乾燥、圧延、帯状に切断の手順で得られる。
セパレータ15としては、多孔膜を用いる。例えば、セパレータ15としては、ポリエチレン製微多孔膜を用いることができる。また、セパレータ15に含浸させる非水系電解液としては、リチウムイオンの伝導性を有する非水系有機電解液が好ましく、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネートとの混合溶液が好ましい。また、上記非水系電解液は、必要に応じて、電解質として六フッ化リン酸リチウムなどのリチウム塩が溶解したものであってもよい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)を1:1:1の割合で混合した混合液、あるいはプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を1:1:1の割合で混合した混合液に、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウムを添加したものを用いることができる。
このようなリチウムイオン電池Eの電池ケース(筐体)3内に、リチウムイオン電池用ガス吸収材としての炭素系多孔質材を配置する。本実施形態において炭素系多孔質材としては、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、シート状活性炭などの活性炭、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンモレキュラシーブ、フラーレン、ナノカーボン等を用いることができる。
この炭素系多孔質材は、一般に細孔径と極性とによって、吸着可能な分子の選択性を有する。したがって、細孔径と極性とによって水、二酸化炭素の他、メタン、エタン、エチレン、酸素、窒素、などを吸着することができるが、本実施形態においては、少なくともメタンガス吸収能を有するものを用いる。これは、リチウムイオン電池Eは、充放電の繰り返し等により可燃性のメタンガスが発生するのでこれを吸収し、電池寿命の低下を抑制して安定した状態にリチウムイオン電池を保持することができるためである。さらにこの炭素系多孔質材は、炭酸ガス吸収能を有することが好ましい。リチウムイオン電池Eは、充放電の繰り返し等により発生するガスは、炭酸ガスが最も多いので、この炭酸ガスを吸収することにより、電池ケース(筐体)3の膨張や電極の変形等を抑制することができる。
具体的には炭素系多孔質材は、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/gより大きいと電解液が細孔内部に入り込みやすくなるため、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/g以下、特に0.2mL/g以下の範囲内となるように細孔径の分布がシャープなものを用いることが好ましい。なお、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積の下限については特に制限はないが、0.01mL/g以下は現実的ではない。
また、炭素系多孔質材は、その表面官能基をメタンガスや炭酸ガスなどの吸着対象を吸着しやすいように調整し、極性を付与したものであることが好ましい。特に表面官能基を調整して疎水性を向上させることにより、吸湿性を改善することができる。
上述したような炭素系多孔質材の表面官能基の調整は、炭素系多孔質材を炭酸ガス、窒素ガス又はアルゴンガスで賦活処理を行うことにより行うことができる。具体的には、未処理(初期状態)の炭素系多孔質材の表面は、カルボキシル基やフェノール系水酸基であるが、炭酸ガスで賦活化することにより、その全部または一部を−CH末端とすることができる。また、窒素やアルゴンガスで賦活化することによっても同様の効果を得ることができる。
この賦活工程は、例えば、炭酸ガスで賦活化する場合には、炭素系多孔質材をロータリーキルン式などの炉内に収容し、炉内を窒素などの不活性ガスによって不活性雰囲気としつつ加熱して、所望の賦活温度に到達した後に炭酸ガスを導入することによって炭素系多孔質材を賦活処理することができる。
賦活温度は、特に制限はないが350〜1000℃が好ましく、800〜950℃がより好ましい。温度をこのような範囲とすることで、炭素系多孔質材の比表面積がより増大する。
賦活温度に到達した後の処理時間(賦活時間)は、炭素系多孔質材の比表面積を増大させて吸着性能を高めるため30分以上、特に40分以上であることが好ましい。なお、賦活時間の上限については特に制限はないが、賦活時間が長すぎると細孔容積は大きくなるものの、細孔径がかえって大きくなってしまうため180分以下、特に120分以下が好ましい。
このようにして賦活化して得られた炭素系多孔質材は、その表面積が600〜1500m/gであり、好ましくは700〜1200m/gであることが好ましい。また、炭素系多孔質材の細孔容積は0.1〜0.5mL/g、特に0.2〜0.4mL/gであることが好ましい。
これら比表面積、細孔容積及び平均細孔径は、例えばマイクロトラック・ベル(株)製「BELSORP−maxII」(商品名)により測定した値である。
本実施形態では、上述したような炭素系多孔質材をリチウムイオン電池用ガス吸収材として用いるが、この炭素系多孔質材は、必要に応じて粉砕、もしくは破砕処理や分級処理を行って、粉末状、顆粒状等にしてもよい。特に粒径5μm以下に微粉末化することにより、リチウムイオン電池Eの電極材としての正極用電極板12や負極用電極板14に練りこむことができる。また、炭素系多孔質材は、セパレータ15に存在させることによってもガス吸収材としての機能を発揮することができる。この場合、炭素系多孔質材をセパレータ15を構成する材料に混合してもよいし、セパレータ15の表面に炭素系多孔質材のペーストを塗布して乾燥することにより、セパレータ15の表面に炭素系多孔質材の層を形成してもよい。さらには、炭素系多孔質材をバインダ樹脂などによりフィルム状として、前述したセパレータ15の一面、あるいは両面に積層してもよい。
なお、この炭素系多孔質材は水分を吸収するとメタンガスや炭酸ガスの吸収性も低下する。そこで、本実施形態においては、炭素系多孔質材に対し熱処理を施すことにより、炭素系多孔質材から水分を放出して水分の吸収性能を再生した状態で電池ケース3内に充填するのが好ましい。この場合、炭素系多孔質材の水分含有率が1重量%以下となるように熱処理を施すのが好ましい。
以上、本発明のリチウムイオン電池用ガス吸収材について、添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、リチウムイオン電池Eの形態については特に限定されず、円筒形状であってもよい。
以下の具体的実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1及び比較例1)
原材料となる炭素系多孔質材(ヤシガラ活性炭、ペレット)をロータリーキルン式の炉内に収容し、炉内を窒素ガス雰囲気として800℃まで加熱した。炉内が800℃になったことを確認したら炭酸ガスを導入し、120分間処理を行った。処理後の炭素系多孔質材を、平均粒径が2.5μm以下となるように破砕・分級して実施例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材を得た。
この実施例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材の細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/gであり、この炭素系多孔質材は、表面積が800m/gであり、細孔容積が0.35mL/gであった。また、その全酸性官能基は0mmol/gであった。
[吸湿性試験]
このリチウムイオン電池用ガス吸収材10gを露点温度−40℃のドライルームに保持した際の水分濃度を測定した結果を図2に示す。また、比較のためにゼオライト系多孔質材からなるリチウムイオン電池用ガス吸収材(比較例1)を同様にドライルームに保持した際の水分濃度を測定した結果を図2にあわせて示す。
次にドライルームに800時間保持した後(湿潤状態)の実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材をCO雰囲気下に放置し、CO吸収量を測定した。結果を乾燥状態の実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材のCO吸収量とともに図3に示す。
図2及び図3から、ゼオライト系多孔質材からなる比較例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材は、初期状態では実施例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材よりもCO吸収量が多いにもかかわらず、露点温度−40℃のドライルーム内でわずかな湿気でも空気中の水分を吸収するほど水分を吸着しやすいため、CO吸収量が大幅に低下した、これに対し、炭酸ガスで賦活化した炭素系多孔質材からなる実施例1のリチウムイオン電池用ガス吸収材は、ドライルーム内では水分をほとんど吸収せず、このためCO吸収量の変動もほとんどなかった。
(実施例2)
[電解液との反応性の確認試験]
窒素パージした100mLの密閉容器内で実施例1で用いたリチウムイオン電池用ガス吸収材1gを市販の電解液(LiPFを1mol/L溶解した電解液(エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=2:4:4の体積比で混合したもの)16mLに投入し、発生する炭酸ガス濃度の増加量を測定した。結果を図4に示す。また、比較のためにリチウムイオン電池用ガス吸収材を投入しない状態での炭酸ガス濃度の増加量を測定した(参考例1、参考例2)。結果を図4にあわせて示す。
(比較例2、3)
炭酸ガスによる賦活化処理を行っていない2種類の炭素系多孔質材(比較例2及び比較例3)を用いて、実施例2と同様に電解液に投入して、電解液との反応性の確認試験を行った。結果を図4にあわせて示す。なお、炭素系多孔質材としては、平均粒径25μm、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.38mL/gの活性炭(比較例2)と、平均粒径25μm、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.40mL/gの活性炭(比較例3)とを用意した。
図4から明らかなとおり、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が大きい賦活化処理を施していない炭素系多孔質材による比較例2及び比較例3の炭素系多孔質材は、電解液に投入することにより、炭酸ガスの濃度の増加が大きかった。これは、電解液が炭素系多孔質材の細孔内部に入り込み、電解液と反応が生じ、炭酸ガスを発生するためであると考えられる。これに対し、実施例1で用いた炭素系多孔質材による実施例2では、2回の測定値とも炭酸ガス濃度の増加が低く、炭素系多孔質材を投入していない参考例1、2とほぼ同レベルであり、電解液との反応性が低いことが確認された。
(実施例3及び比較例4)
[メタンガス吸収能の確認試験]
実施例1で用いたリチウムイオン電池用ガス吸収材0.2gのメタンガス吸着量をマイクロトラック・ベル(株)製「BELSORP−maxII」(商品名)により測定した。結果を図5に示す。また、比較のために、ゼオライト系多孔質材からなるリチウムイオン電池用ガス吸収材(比較例4)のメタンガス吸着量を同様に測定した。結果を図5にあわせて示す。
図5から明らかなとおり、ゼオライト系多孔質材からなるリチウムイオン電池用ガス吸収材を用いた比較例4に対し、実施例3では約5倍のメタンガス吸収量を示すことが確認できた。
(実施例4)
[充放電サイクル試験]
試験用リチウムイオン電池の材料として以下のものを用意した。
フラットセル:宝泉社製、電極面積約2cm(Φ16mm)
正極;正極材に実施例1で用いたリチウムイオン電池用ガス吸収材を2重量%添加したもの
負極;天然黒鉛
セパレータ;PPセパレータ、厚さ20μm
電解液;エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:7の混合液にVC1重量%、LiPFを1mmol/L溶解したもの
正極、負極及びセパレータをガラスチューブオーブンにより90℃で1時間以上減圧乾燥した。そして、これらの材料をグローブボックス内でアルゴンガス雰囲気下、露点−30℃以下で組上げて試験用のリチウムイオン電池材料を作製した。
このリチウムイオン電池を充放電試験ユニット(菊水電子社製 充放電バッテリテストシステムPFX2011)に接続し、充電電流量1.0C、定電圧充電4.2V×60分及び放電電流量1.0C、放電終止電圧3.0V、25℃の条件で充放電サイクルを300回繰り返し、放電容量の変化を測定した。結果を図6に示す。
(比較例5)
実施例4において、正極にリチウムイオン電池用ガス吸収材を添加しなかった以外は同様にして試験用のリチウムイオン電池材料を作製した。
このリチウムイオン電池を充放電試験ユニットに接続し、実施例4と同じ条件で充放電試験、放電容量の変化を測定した。結果を図6にあわせて示す。
図6から明らかなとおり、正極に実施例1で用いたリチウムイオン電池用ガス吸収材を添加した実施例4と、添加しなかった比較例5とでは、放電容量が1/3低下するまでの期間を2倍とすることができ、電池寿命の延命効果が確認できた。
(実施例5)
[高温保管試験]
実施例4で製造した試験用リチウムイオン電池を85℃で7時間保管した後の電池内部のガス発生量(ガス体積増加量)を測定した。結果を図7に示す。
(比較例6)
比較例5で製造した試験用リチウムイオン電池を85℃で7時間保管した後の電池内部のガス発生量(ガス体積増加量)を測定した。結果を図7にあわせて示す。
図7から明らかなとおり、正極に実施例1で用いたリチウムイオン電池用ガス吸収材を添加した実施例5では、ガス体積増加量が0.6mLであったのに対し、リチウムイオン電池用ガス吸収材を添加しなかった比較例6では1.2mLであり、ガス発生量を約50容積%に低減することができることが確認できた。
1 正極端子
2 負極端子
3 電池ケース(筐体)
10 電極体
11 正極集電体
12 正極用電極板
13 負極集電体
14 負極用電極板
15 セパレータ
E リチウムイオン電池

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池内に設けられるガス吸収材であって、メタンガス吸収能を有する炭素系多孔質材からなる、リチウムイオン電池用ガス吸収材。
  2. 前記炭素系多孔質材が炭酸ガス吸収能を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電池用ガス吸収材。
  3. 前記炭素系多孔質材において、細孔径4.5Å以上の細孔の細孔容積が0.3mL/g以下である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用ガス吸収材。
  4. 前記炭素系多孔質材が、炭酸ガス、窒素又はアルゴンガスにより賦活処理を行ったものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用ガス吸収材。
  5. 前記炭素系多孔質材が、5μm以下の粒径に微粉末化したものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用ガス吸収材。
  6. 前記炭素系多孔質材が、水分含有率を1重量%以下に調整したものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用ガス吸収材。
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