JP2019093335A - 水浄化用の過酸化水素水溶液 - Google Patents
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Abstract
【課題】水浄化用途に適用できる過酸化水素水溶液、及び水浄化方法を提供すること。【解決手段】水浄化用の過酸化水素水溶液であって、30〜65質量部の過酸化水素と、1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸と、1mg/kg以上、500mg/kg以下の硫酸イオンとを含有し、JIS-K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が、500mg/kg以下、JIS-K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が、0.02mg/kg以下、JIS-K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が、1.0mg/kg以下、JIS-K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が、0.2mg/kg以下、且つ全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、1.00mg/kg以下である過酸化水素水溶液によって、水浄化用途に適用できる安全且つ安定な過酸化水素水溶液が得られ、及び安全な水浄化方法が提供された。【選択図】 なし
Description
本発明は、水浄化用の過酸化水素水溶液に関するものである。
これまで、浄水場における上水道向けの水の浄化は、浄水場ごとに工程が異なるものの、凝集剤を用いた凝集沈殿や砂ろ過により浮遊物を除去し、最後に塩素を注入して消毒をする方法が基本的に用いられてきた。
近年、原水となる河川水や湖沼水の汚染や富栄養化が進行し、凝集沈殿や砂ろ過による浮遊物除去だけでは除去できない異臭味物質やトリハロメタン前駆物質の残留、藻類による凝集阻害などの問題の発生により、都市部の浄水場を中心に、高度浄水処理を導入する例が増えている。
現在、浄水場で採用されている高度浄水処理には、「生物処理」、「粒状活性炭処理」、「オゾン+生物活性炭処理」などがあり、異臭味物質やトリハロメタン前駆物質の低減に効果がある。
「オゾン+生物活性炭処理」は、オゾンの強力な酸化力で水中にある有機物を分解し、分解された有機物を生物活性炭により処理する方法である。
オゾンによる有機物の分解は有効な手段であるが、原水中に臭化物イオンが含まれる場合、臭素酸イオンが副生するという問題がある。臭素酸は水道水水質基準で基準値が定められており、臭素酸イオンの副生量が多くなれば、基準値を超過し水道水として供給することができない可能性もある。
また、中空糸膜モジュールを用いた「膜ろ過」では、臭素酸を副生することなく異臭味物質やトリハロメタン前駆物質などの化学物質を除去することができるが、コストが高いことや適用可能な原水に関するデータが不足していることなどから、普及はそれほど進んでおらず、中小規模の浄水場での採用がほとんどである。
オゾンによる有機物の分解で副生する臭素酸イオンを抑制する方法として、過酸化水素を適量添加する方法がすでに知られている(非特許文献1及び2)。
これは、オゾンと過酸化水素の反応により、オゾンよりも酸化力の強いヒドロキシラジカル(OHラジカル)が生成し、このヒドロキシラジカルによって処理対象を酸化する「促進酸化処理」である。
促進酸化処理で生じるヒドロキシラジカルは被酸化物の選択性が低く、短時間で反応する。また、水温の影響を受けにくいため、低水温期でも異臭味物質などの化学物質の分解性が低下しない。さらに、前述の通り、過酸化水素を適量添加することで臭素酸イオンの生成も抑制できる。
したがって、促進酸化処理は、水浄化処理において非常に有用な高度浄水処理であると考えられる。
第2回浄水処理技術シンポジウム 要旨集 2016年11月14日(月) 東京大学武田ホール(武田先端知ビル) 主催茨城県企業局 共催 東京大学大学院附属水環境制御研究センター 後援公益財団法人茨城県企業公社
環境浄化技術 2017年5・6月号(2017 Vol.16 No.3)
しかしながら、過酸化水素を一般の水浄化設備で使用するには、過酸化水素の貯蔵保管時や使用時の安全性・安定性、さらには浄化された後の水の安全性を確保する必要があった。
本発明の目的は、安全且つ安定な水浄化用途に適用できる過酸化水素水溶液、及び水浄化方法を提供することにある。
本発明の目的は、安全且つ安定な水浄化用途に適用できる過酸化水素水溶液、及び水浄化方法を提供することにある。
本発明は、水浄化用途に適用できる過酸化水素水溶液、及び水浄化方法を提供する。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
<1>
水浄化用の過酸化水素水溶液であって、
30〜65質量部の過酸化水素と、
1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸と、
1mg/kg以上、500mg/kg以下の硫酸イオンとを含有し、
JIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が、500mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が、0.02mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が、1.0mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が、0.2mg/kg以下、
且つ全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、1.00mg/kg以下である、過酸化水素水溶液。
<2>
前記過酸化水素水溶液中の鉛濃度が、1mg/kg以下である、<1>の過酸化水素水溶液。
<3>
前記過酸化水素水溶液中のヒ素濃度が、0.4mg/kg以下である、<1>又は<2>のいずれかに記載の過酸化水素水溶液。
<4>
<1>から<3>のいずれかに記載の過酸化水素水溶液を、浄化対象の水に混合する、水浄化方法。
<5>
前記浄化対象の水が、原水を上水道水に浄化する工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
<6>
前記浄化対象の水が、下水道水を処理する工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
<7>
前記浄化対象の水が、海水を淡水化し飲料水とする工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
水浄化用の過酸化水素水溶液であって、
30〜65質量部の過酸化水素と、
1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸と、
1mg/kg以上、500mg/kg以下の硫酸イオンとを含有し、
JIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が、500mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が、0.02mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が、1.0mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が、0.2mg/kg以下、
且つ全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、1.00mg/kg以下である、過酸化水素水溶液。
<2>
前記過酸化水素水溶液中の鉛濃度が、1mg/kg以下である、<1>の過酸化水素水溶液。
<3>
前記過酸化水素水溶液中のヒ素濃度が、0.4mg/kg以下である、<1>又は<2>のいずれかに記載の過酸化水素水溶液。
<4>
<1>から<3>のいずれかに記載の過酸化水素水溶液を、浄化対象の水に混合する、水浄化方法。
<5>
前記浄化対象の水が、原水を上水道水に浄化する工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
<6>
前記浄化対象の水が、下水道水を処理する工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
<7>
前記浄化対象の水が、海水を淡水化し飲料水とする工程中の水である、<4>に記載の水浄化方法。
本発明により、安全且つ安定な水浄化用途に適用できる過酸化水素水溶液、及び水浄化方法を提供することが可能である。
本発明の過酸化水素水溶液は、水浄化用の過酸化水素水溶液であって、30〜65質量部の過酸化水素と、1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸と、1mg/kg以上、500mg/kg以下の硫酸イオンとを含有し、JIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が500mg/kg以下、JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が0.02mg/kg以下、JIS−K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が1.0mg/kg以下、JIS−K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が0.2mg/kg以下、且つ全窒素濃度が、0.01mg/kg以上1.00mg/kg以下である過酸化水素水溶液である。
ここで、水浄化用の過酸化水素水溶液とは、河川や湖沼等から取水した原水を浄水場で工業用として利用できる水質、さらには一般家庭用の上水道水として使用できる水質まで浄化処理する工程や、浄水池、排水池、配水池などの各貯蔵場に於いて、水を浄化或いは水の浄化を促進する作用を有する過酸化水素水溶液である。例えば、前述の「オゾン+生物活性炭処理」の方法において、本発明の過酸化水素水溶液はオゾンよりも酸化力の強いヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成する為及び/又は副生する臭素酸イオン量を抑制する為に使用できる。すなわち、オゾンと共に促進酸化処理剤として用いることができる。また、水浄化工程中に、殺菌、消毒や藻類の繁殖抑制などの用途に用いることもできる。さらに、微量化学物質対策として、紫外線(UV)と組み合わせて用いることもできる。好ましくは、「オゾン+生物活性炭処理」の方法において、オゾンよりも酸化力の強いヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成する為及び/又は副生する臭素酸イオンを分解する為に用いられる。
本発明の水溶液は、30〜65質量部の過酸化水素水溶液である。取り扱い上の安全性や流通性の観点から、30〜40質量部の過酸化水素水溶液が好ましく、34〜36質量部の過酸化水素水溶液がより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸を含む。過酸化水素の安定性の観点から、1mg/kg以上、80mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸を含むことが好ましく、1mg/kg以上、50mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸を含むことがより好ましい。また、浄化される水の安全性の観点から、オルトリン酸が好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、500mg/kg以下の硫酸イオンを含有する。過酸化水素の安定性の観点から、200mg/kg以下の硫酸イオンを含むことが好ましく、100mg/kg以下の硫酸イオンを含むことがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が0.02mg/kg以下である。浄化される水の安全性の観点からそれぞれの含有量が0.01mg/kg以下であることがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、JIS−K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が1.0mg/kg以下である。浄化される水の安全性の観点から含有量が0.5mg/kg以下であることがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、JIS−K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が0.2mg/kg以下である。浄化される水の安全性の観点から含有量が0.1mg/kg以下であることがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、JIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が、500mg/kg以下である。浄化される水の安全性の観点から、該蒸発残分が、0.1mg/kg以上、300mg/kg以下であることが好ましく、1mg/kg以上、200mg/kg以下であることがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液は、全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、1.00mg/kg以下である。浄化される水の安全性の観点から、該全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、0.8mg/kg以下であることが好ましく、0.01mg/kg以上、0.5mg/kg以下であることがより好ましい。
また、浄化される水の安全性の観点から、本発明の過酸化水素水溶液中の鉛濃度は、1mg/kg以下であることが好ましく、0.001mg/kg以上、0.1mg/kg以下であることがより好ましい。
さらに、浄化される水の安全性の観点から、前記過酸化水素水溶液のヒ素濃度は、0.4mg/kg以下であることが好ましく、0.001mg/kg以上、0.01mg/kg以下であることがより好ましい。
本発明の過酸化水素水溶液による水浄化方法は、浄化対象の水に混合することにより行う。浄化対象の水として、海水、河川水、湖沼水、工業用水、浄化水、下水道水、上水道水等、いずれの水にも使用可能であるが、原水を上水道水に浄化する工程中の水であることが好ましい。特に、「オゾン+生物活性炭処理」の方法を用いて原水を上水道水に浄化する際に、該処理と同時又は処理工程の前後に、本発明の過酸化水素水溶液を混合することが好ましい。このような「オゾン+生物活性炭処理」の方法を用いる際、オゾン1モルに対し、過酸化水素が0.1〜10モル、より好ましくは1〜7モルになるように添加し、混合するのが好ましい。
また、上述した浄化対象の水が、下水道水を処理する工程中の水であってもよい。下水道水を処理する工程とは、例えば、沈砂池、沈殿池、反応槽、塩素接触槽等の貯槽工程や、貯槽工程を繋ぐライン等の輸送工程が挙げられる。
また、上述した浄化対象の水が、海水を淡水化し飲料水とする工程中の水であってもよい。海水を淡水化し飲料水とする工程とは、例えば、海水を熱して蒸発させ、再び冷やして淡水化する工程や、海水に圧力をかけて逆浸透膜等の濾過膜に通し、海水の塩分を濃縮して取り除くことにより淡水化する工程等が挙げられる。
さらに、前記水浄化方法は、一般的な各種殺菌方法と組み合わせて行うことも可能である。殺菌方法として、例えば紫外線殺菌、オゾン殺菌及び次亜塩素酸殺菌などが挙げられる。紫外線殺菌とは、紫外線を照射することによる殺菌である。オゾン殺菌として、例えば、空気を原料としてオゾン発生機で酸化力が強いオゾンガスを発生させて殺菌する方法が挙げられる。次亜塩素酸殺菌とは、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液などを混合することによる殺菌である。
35質量%過酸化水素水溶液(三菱ガス化学株式会社製)500gとオルトリン酸5mgを混合した。得られた水溶液をJIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分は45mg/kg、イオンクロマトグラフィーにより測定した硫酸イオンは18mg/kg、紫外線吸光光度法により測定した全窒素濃度は0.07mg/kg、食品添加物公定書に規定された方法により測定した鉛は0.040mg/kg、ヒ素は0.004mg/kgであった。また、JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエンそれぞれの含有量が0.01mg/kg以下、1,4−ジオキサンの含有量が0.5mg/kg以下、フェノールの含有量が0.1mg/kg以下であった。
得られた水溶液は、例えば水の浄化処理方法の1つである「オゾン+生物活性炭処理」時に、オゾンよりも酸化力の強いヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成する為と副生する臭素酸イオン量を抑制する為に、促進酸化処理剤として有効に用いることができる。また、得られた水溶液は、例えば紫外線殺菌、オゾン殺菌及び次亜塩素酸殺菌と組み合わせて用いることもできる。
得られた水溶液は、例えば水の浄化処理方法の1つである「オゾン+生物活性炭処理」時に、オゾンよりも酸化力の強いヒドロキシラジカル(OHラジカル)を生成する為と副生する臭素酸イオン量を抑制する為に、促進酸化処理剤として有効に用いることができる。また、得られた水溶液は、例えば紫外線殺菌、オゾン殺菌及び次亜塩素酸殺菌と組み合わせて用いることもできる。
Claims (8)
- 水浄化用の過酸化水素水溶液であって、
30〜65質量部の過酸化水素と、
1mg/kg以上、100mg/kg以下のオルトリン酸及び/又はホスホン酸と、
1mg/kg以上、500mg/kg以下の硫酸イオンとを含有し、
JIS−K1463に規定された方法で測定した蒸発残分が、500mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したベンゼン、o−キシレン、m,p−キシレン、トルエン各々の含有量が、0.02mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定した1,4−ジオキサンの含有量が、1.0mg/kg以下、
JIS−K0125に規定された方法で測定したフェノールの含有量が、0.2mg/kg以下、
且つ全窒素濃度が、0.01mg/kg以上、1.00mg/kg以下である、過酸化水素水溶液。 - 前記過酸化水素水溶液中の鉛濃度が、1mg/kg以下である、請求項1の過酸化水素水溶液。
- 前記過酸化水素水溶液中のヒ素濃度が、0.4mg/kg以下である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の過酸化水素水溶液。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の過酸化水素水溶液を、浄化対象の水に混合する、水浄化方法。
- 前記浄化対象の水が、原水を上水道水に浄化する工程中の水である、請求項4に記載の水浄化方法。
- 前記浄化対象の水が、下水道水を処理する工程中の水である、請求項4に記載の水浄化方法。
- 前記浄化対象の水が、海水を淡水化し飲料水とする工程中の水である、請求項4に記載の水浄化方法。
- 前記水浄化方法が、紫外線殺菌、オゾン殺菌及び次亜塩素酸殺菌からなる群のうち、いずれか一種以上を含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の水浄化方法。
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