下記の実施の形態は、図1〜7に示すドリップシート10に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。なお、各図において、説明の便宜上、ドリップシート10の上面3を薄く着色し、変形域の先鋭部分の内角のうち1つは、濃く着色している。また、各図において、第1寸法D1と第2寸法D2とを示すラインを太線で示している。
図1及び2を参照すると、ドリップシート10は、生鮮食品(図示例では、食肉)2が載置された状態で、食品用のトレイ1の底壁1aに敷設して使用される。ドリップシート10は、長手方向(第1又は第2方向)Yとそれに交差する短手方向(第2又は第1方向)Xとを有し、生鮮食品2が載置される側である上面3と、トレイ1の底面に当接される下面4と、透液性の樹脂フィルムから形成された上層シート11と、吸液性の繊維不織布から形成された下層シート12と、上層シート11と下層シート12とを接合する中間層13とを含む。上下層シート11,12は、それぞれ、ドリップシート10の上下面3,4を形成する。
食品用のトレイ1は、発泡スチロール、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートなどから形成される。トレイ1は、ドリップシート10が敷設される底壁1aと、底壁1aの外周から傾斜状に起立する周壁1bと、周壁1bの上端から外方へ延出する外周フランジ部1cとを有する。ドリップシート10に配置される生鮮食品2としては、食肉、生魚、生鮮加工品等の主として水を主成分とするドリップを滲出するものが好適に使用される。図示していないが、トレイ1に生鮮食品2が収納された状態において、ラップフィルムで包装されて小売店やスーパー等の店頭で販売される。
図1−3を参照すると、上層シート11には、その平面方向(XY方向)に互いに隣接して規則的または不規則的に配列する、上層シート11を上面3から下面4に向かって貫通する通気透液性の複数の開孔(導液部)14が形成されている。開孔14は、断面形状がそれぞれほぼ同一の円形状を有する。ドリップシート10の上面3、すなわち、上層シート11の上面3側に食肉や野菜などの生鮮食品2が載置されることによって、若しくは、ドリップシート10で生鮮食品2全体を包み込むことによって、生鮮食品2から滲出するドリップが、開孔14を介して下層シート12へと移動する。
開孔14は、ドリップを下層シート12へ速やかに移動させる導液管として作用するとともに、生鮮食品との接触面に通気性を付与するための通気管としても作用する。開孔14は、円形のほかに、矩形、三角形等の各種の断面形状を有するものであってもよいし、格子状のほか、波状、千鳥状などの各種の配列模様や、装飾効果を奏するために、外部から視認可能な文字や絵柄を表すように配列されていてもよい。
上層シート11は、透液性かつ熱可塑性の樹脂フィルム、例えば、厚さ0.3〜0.35mm、質量10〜30g/m2、密度0.03〜0.10g/cm3の低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系の熱可塑性プラスチックフィルムから形成される。上層シート11の開孔率は、20〜60%であって、40〜50%であることが好ましい。開孔率が20%未満の場合には、生鮮食品から滲出したドリップを素早く下層シート12へ移行させることができず、一方、開孔率が60%を超える場合には、上層シート11の引裂強度及び剛性が比較的に低くなって、製造工程中及び使用中にシートの一部が破れてしまうおそれがある。
開孔率は、ドリップシート10の表面積に対する開孔14の面積の比率(%)であって、例えば、以下の方法によって測定できる。ドリップシート10を100mm×100mmにカットしてサンプルを作製し、市販の顕微鏡(例えば、キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHS2000)を用いて当該サンプルにおける1個当たりの上面3側から視た開孔14の面積(開孔14の上端部分の面積)を求める。1個当たりの開孔14の面積に、サンプルの開孔の数を掛けることによって、サンプルの開孔面積を算出する。サンプルの開孔面積をサンプルの面積で割ることによって、開孔率(%)を求めることができる。
上層シート11は、生鮮食品2が新鮮に見えるように、緑色等に着色されている。例えば、ドリップシート10が大葉等の植物の葉を模した形態を有する場合において、上層シート11が緑色であることによって、植物の葉に類似した外観を有することができる。特に、ドリップシート10の一部がカールすることによって、より自然の植物の葉のような外観を呈し、生鮮食品2に新鮮な見栄えを与えることができる。トレイ1が、白色のほか、赤色、青色等に着色されている場合において、上層シート11は、トレイ1と同系色、異系色に着色されていてもよい。また、トレイ1にデザイン模様が施されている場合には、ドリップシート10が、該デザイン模様と連関するイメージを想起させるような形態を有していてもよい。
下層シート12は、生鮮食品2から滲出するドリップを吸収・保持するためのものであって、吸水繊維を含む吸液性の繊維不織布、例えば、厚さ0.25〜0.30mm、質量45〜100g/m2、密度0.15〜0.40g/cm3のパルプ繊維を含むエアレイド繊維不織布から形成される。パルプ繊維には、一般的なパルプ繊維原料を使用することができ、広葉樹及び針葉樹の木材繊維のほかに、木材以外の植物繊維や合成繊維等を組み合わせて使用することもできる。ただし、シートの剛性、引張強度を考慮して、針葉樹のパルプ繊維が好適に使用される。
中間層13では、上層シート11と下層シート12とを接合するためのホットメルト接着剤が質量1〜5g/m2の割合で塗布されている。ホットメルト接着剤は、スパイラル状やドット状などの各種の塗工パターンで間欠的に塗工することができるが、上層シート11の開孔14の通気透液性を阻害しないようにするために、開孔14の径寸法よりも細い幅で塗工されていることが好ましい。なお、本発明では、上層シート11と下層シート12とをホットメルト接着剤により接着しているが、後記の本発明の技術的効果を奏する限りにおいて、ヒートシール、超音波シール等の各種の熱溶着手段によって接合することもできる。
上層シート11のKES法による曲げ剛性(値)は、下層シート12のKES法による曲げ剛性よりも低くなっている。具体的には、上層シート11のKES法による曲げ剛性が0.0147×10−4Nm/m、下層シート12のKES法による曲げ剛性が0.1835×10−4Nm/mである。また、上層シート11のKES法による曲げ回復性は0.0049×10−2Nm/mであって、下層シート12のKES法による曲げ回復性は0.2973×10−2Nm/mである。
<曲げ剛性及び曲げ回復性の測定方法>
カトーテック(株)製KES−FB2―AUTO−A曲げ測定試験機を用いて行った。まず、各シートを縦方向(シートの製造ラインの流れ方向MD)の寸法100mm×横方向(MD方向と交差する方向CD)の寸法30mmの大きさにカットして試料とした。次に、測定試験機の目盛を零合わせした後に、縦方向と垂直に曲がるようにサンプルをセットし、測定を開始して測定試験機の画面に表示されるB−2HBの値を記録した。次いで、横方向と垂直に曲がるようにサンプルをセットし、測定を開始して、同様に、測定機器の画面に表示されるB−2HBの値を記録した。 曲げ剛性は下記の数1に示す式、曲げ回復性値は下記の数2に示す式によってそれぞれ算出した。
図2を参照すると、ドリップシート10は、長手方向Yにおいて互いに対向して短手方向Xへ延びる第1及び第2端縁10a,10bと、短手方向Xにおいて互いに対向して長手方向Yへ延びる第1及び第2側縁10c,10dとを有する。第2側縁10dは長手方向Yの長さ寸法が第1側縁10cのそれよりも大きく、第1端縁10aは、直線状の第1及び第2側縁10c,10dと直交するように直線状に延びているのに対し、第2端縁10bは、第1側縁10cと第2側縁10dとの間において曲線状に延びている。ドリップシート10は、説明の便宜上、生鮮食品2が配置される配置域20と、配置域20とは異なる形状を有する変形域(異方形域、カール域)30に区分される。図示例においては、変形域30は1つのみであるが、長手方向Y又は短手方向Xにおいて互いに対向するように複数配置してもよい。
ドリップシート10の配置域20と変形域30とは、短手方向Xへ延びる仮想の境界ライン18によって区分される。仮想の境界ライン18は、第1側縁10cと第2端縁10bとの交点からなる屈曲点17から第2側縁10dへ向かって直線状に延びている。本明細書において、仮想の境界ライン18は、配置域20と変形域30との境界を示すためのものであって、ドリップシート10のうちの、配置域20と変形域30とが並ぶ第1方向と交差する第2方向に延びる、ドリップシート10の第2方向の寸法が変化する点(屈曲点)と重なって直線状に延びるラインを意味する。図2の態様においては、境界ライン18は、配置域20と変形域30とが長手方向(第1方向)Yへ並び、それと交差する短手方向(第2方向)Xの寸法が変化する点、すなわち、屈曲点17から短手方向Xへ直線状に延びている。
ドリップシート10の生鮮食品2を配置する配置域20と変形域30とは連続して形成されていることから、それらを区分する仮想の境界ライン18を視認することはできない。しかしながら、変形域30は配置域20と異なる形状を有し、その形状の変化が外形においてデザイン性を発揮しうることから、小売店の従業員等がトレイ1の底壁1aにドリップシート10を敷設してその上に生鮮食品2を載置するときに、意識的又は無意識的に変形域30に生鮮食品2の一部が位置しないように配置域20に生鮮食品2を配置するといえる。ただし、使用者に対してドリップシート10を配置域20にのみ生鮮食品2を配置するように誘導するために、ドリップシート10の包装袋に「変形域には、生鮮食品を配置しないでください。」等の取扱に関する記載を印刷することが好ましい。
変形域30は、先端33aを含む先鋭部分33を有する扁平扇形状であって、境界ライン(底辺)18の長さ寸法からなる第1寸法D1と、変形域30の曲線状の外形線(外側縁、装飾ライン)の長さ寸法からなる第2寸法D2とを有する。
本明細書において、第1寸法D1は、配置域20と変形域30とが並ぶ第1方向と交差する第2方向における境界ラインの長さ寸法であって、第2寸法D2は、前記第2方向において対向する対向縁間における変形域30の外形線の長さ寸法である。図2に図示した態様では、第1寸法D1は、配置域20と変形域30とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおける境界ライン18の長さ寸法であって、第2寸法D2は、変形域30の外形線30aであって、短手方向Xにおいて対向する第1及び第2側縁10c,10d間の長さ寸法である。
変形域30の外形線30aは、単なる直線状ではなく、曲線状又は屈曲線状を有する。本実施形態においては、外形線30aが曲線状を有することによって、変形域30がカールしたときに、単なる直線状である場合に比べて、より装飾性が向上する。外形線30aが曲線状であるとは、湾曲した1つの曲線から形成される場合のほかに、複数の曲線が連続して形成される場合を含む。また、より装飾性を高めるために、外形線30aは、それを形成する曲線上において曲率が変化する点、すなわち、変曲点を少なくとも1つ有することが好ましい。
外形線30aが屈曲線状である場合には、直線が折れ曲がることのほかに、直線をつないだジグザグの線(折線)や複数の小さな突起が連続して形成されたギザギザの線を含むものである。また、外形線30aは、その装飾性を高めるために、曲線状、屈曲線状を問わず、外形線30aを形成する線分どうしが交差する点、すなわち、直線と直線、直線と曲線又は曲線と曲線とが互いに交差することによって形成される形状が変化する変化点を少なくとも1つ有するものであることが好ましい。
変形域30は、主に矩形状を有する配置域20とは異なる形状を有し、全体として、大葉や花びら等の植物を想起させるデザインのほかに、動物、キャラクター、人工物等を想起させるデザインを有するものであってもよい。また、変形域30は、文字、図形、記号、模様、凹凸パターン等の装飾要素を有するものであってもよい。
変形域30は、さらに、境界ライン18を底辺とし、境界ライン18の両端縁である屈曲点17とそれと短手方向Xにおいて対向する点19と、最も外方へ突出した最外縁33aとを結んで形成された仮想の三角形を有する。かかる仮想の三角形は、最外縁33aを含む先鋭部分33を有する。先鋭部分33の内角αは、鋭角である。
ドリップシート10の長手方向Yにおける長さ寸法L1が100〜150mm、短手方向Xにおける長さ寸法W1が50〜80mmである場合において、配置域20の長手方向Yにおける長さ寸法L2は100〜140mm、変形域30の長手方向Yにおける長さ寸法L3は10〜50mmである。トレイ1の大きさ、形状は収容する生鮮食品2の種類、大きさ等によって種々異なるものであるが、生鮮食品2の底面全体をカバーして刺身用のツマ等に生鮮食品2が直接接触するのを抑制するために、配置域20の面積はトレイ1の底壁1aの面積の70〜95%の大きさであることが好ましい。
図4は、表面が平滑な載置面5にドリップシート10を載置し、上面3に生鮮食品2を載せて5分間静置した状態における側面図である。かかる状態において、ドリップシート10の変形域30は、載置面5から上方へ斜めに反り返るように、カール(反り)した状態となっている。このように、変形域30が上方へカールして立体的な態様となることによって、トレイ1の意匠性が向上し、生鮮食品2の見栄えが良くなって需要者の購買意欲を高めることができる。変形域30は、上面3に生鮮食品2が載置されて約1分後に、境界ライン18を基点としてその全体がほぼ同時にカールする。したがって、小売店のバックヤード等において、従業員等が生鮮食品2をドリップシート10上に載置してラッピングした後、店頭に並べたときにはすでに変形域30が上方へカールした状態となっており、消費者に対して見栄えの良さをアピールすることができる。
ドリップシート10の変形域30を立体的な態様とするには、例えば、製造工程において境界ライン18に起立性向となるような折癖をつけたり、変形域30を立体的に賦型する等の加工を施すこともできるが、かかる場合には、包装状態においても変形域30が立体的な態様となって嵩張るおそれがあり、また、取り扱うときに変形域30の立体形状が崩れてしまうおそれがある。ドリップシート10は、包装された状態において全体として平坦状であるから嵩張ることはなく、また、使用時の取り扱いが容易である。
ドリップシート10を構成する上層シート11は、複数の開孔14を有する合成樹脂フィルムから形成されており、合成樹脂フィルムに複数の開孔14を形成するために穿設加工した際に、合成樹脂フィルム自体に表面カール特性が現れる。また、ホットメルト接着剤からなる中間層13を介して上層シート11に下層シート12を接合した状態においても、下層シート12が上層シート11の表面カール特性の影響を受けてカールし易くなっているといえる。加えて、上層シート11のKES法による曲げ剛性が下層シート12のKES法による曲げ剛性よりも低いことから、上層シート11の縮もうとする力F2は比較的に大きく作用する。
また、ドリップシート10の上面3に生鮮食品2を載置して上層シート11を介して下層シート12がドリップを吸収することによって、下層シート12のパルプ繊維が水分を吸収・保持して膨潤・膨張し、シート全体が外方向へ僅かに伸びる。下層シート12の伸びようとする力F1に対して、上層シート11には縮もうとする力F2が作用し、かつ、上層シート11の曲げ剛性が下層シート12のそれよりも小さいことから、ドリップシート10の外周縁部は内方へ向かってカールし易くなるといえる。さらに、配置域20に生鮮食品2が載置されることによって、その自重による反動で生鮮食品2の載置されない変形域30にはカール性向が生じるといえる。
変形域30をカールさせようとするエネルギーは微小であるから、ドリップシート10の長手方向Y及び短手方向Xの全体寸法をカールさせることはできない。したがって、ドリップシート10の第1端縁10a側の端部のように、短手方向Xの全体寸法を有する部分(方形部分)が変形域30のようにカールされることはない。
変形域30では、その幅方向(短手方向Xの寸法)が次第に小さくなる先鋭状を有し、かつ、第2寸法D2が第1寸法D1よりも大きいことによって、微小のエネルギーでもカールし易くなっている。また、出願人は、下層シート12のドリップが吸収された部分が、変形域30から大きく離間している場合には、パルプ繊維がドリップを吸収して膨潤したとしてもその影響が変形域30に及び難くなり、変形域30が生鮮食品2の見栄えが良くなる程度にカールしない若しくは全くカールしないことを知見した。すなわち、変形域30が所要程度カールするためには、配置域20と変形域30との境界ライン18上又はその近傍においてドリップが吸収されてパルプ繊維が膨潤・膨張すること、好ましくは、境界ライン18上においてドリップが吸収されることが必要である。
以上のことから、1)開孔フィルムから形成された上層シート11のKES法による曲げ剛性値が下層シート12のKES法による曲げ剛性よりも低いこと、2)下層シート12がドリップを吸収して伸びる吸液性の繊維不織布から構成されていること、3)変形域30が先鋭部分33を有し、かつ、第2寸法D2が第1寸法D1よりも大きいこと、4)配置域20と変形域30との境界ライン18上又はその近傍においてドリップを吸収すること、が変形域30を所要程度にカールさせるのに必要であるといえる。
下層シート12としては、ドリップを吸収して伸びる吸液性の繊維不織布であれば、各種公知の繊維不織布を用いることもできるが、比較的に低密度のエアレイド繊維不織布を使用することによって、比較的に高密度の繊維不織布等を用いる場合に比べて、ドリップを吸収したパルプ繊維が十分に膨潤できる程度の繊維空隙を有するので、よりシートの伸び度合いが大きくなるといえる。
また、変形域30をなす三角形の先鋭部分33の内角αが鋭角であることによって、より確実に変形域30全体をカールさせることができる。先鋭部分33の内角αは、少なくとも鋭角であって、好ましくは、5−80°である。内角αが5°未満の場合には、先鋭部分33の先端がカールしすぎてしまい、下層シート12が上面3側に捲れてしまって見栄えが悪くなるおそれがある。一方、内角αが90°を超える場合には、先鋭部分33のテーパー度合いが低くなり、ドリップシート10のドリップ吸収時に生じる微小エネルギーによって先鋭部分33を所要程度にカールさせることができないおそれがある。
本明細書において、変形域をなす三角形の先鋭部分の内角は、本実施形態のように、変形域の外形が三角形以外の異方形、円形、楕円形、多角形状である場合であっても、境界ラインの全体又はその一部を底辺として、底辺と最も外方へ突出した最外縁とを結ぶ両辺とによって画成される仮想の三角形の先鋭部分の内角を意味する。したがって、後記の他の実施例に示すように、変形域40,50,60が実際に複数の三角形状の部分から形成されている場合には、該部分の先鋭部分43,54,65の内角が鋭角であればよい。一方、ドリップシート10の変形域70,80,90のように、三角形状の外形をなしていない場合であっても、仮想の三角形における先鋭部分の内角が鋭角であればよい。したがって、「変形域の(三角形の)先鋭部分」とは、三角形状の変形域の先鋭部分又は三角形状の装飾部分の先鋭部分のほかに、本実施形態のように、変形域が三角形状ではない場合において、その仮想の三角形の先鋭部分を含む。
既述のとおり、変形域30を所要程度にカールさせるためには、境界ライン18近傍においてドリップが吸収されることが必要であるが、具体的には、ドリップが境界ライン18上において吸収されるか、若しくは、境界ライン18からドリップの吸収域が100mm以上離間していないことが好ましい。境界ライン18からドリップの吸収域が100mm以上離間している場合には、変形域30をカールさせようとする微小エネルギーが作用され難くなり、変形域30全体をカールさせることができなくなるおそれがある。
一方、境界ライン18上からさらに先鋭部分33へ向かってドリップが拡散する場合には、変形域30の広い範囲内にドリップが拡散されてウエットな状態となるので、ドライ時に比べて変形域30の自重が大きくなる。そのために、ドリップシート10による微小エネルギーでは変形域30をカールさせることができず、たとえ境界ライン18側の一部をカールさせることができたとしても、先鋭部分33が自重によって垂れ下がったような態様となり、見た目にも好ましくない。
通常のパルプエアレイド繊維不織布の場合には、毛管作用によってドリップの拡散性に優れるが、本実施形態においては、下層シート12に吸収されたドリップが拡散され難く、いわば、ピンポイントで生鮮食品2から滲出したドリップを吸収するシート特性を有している。かかるシート特性は、下層シート12のパルプ繊維どうしを接合するためのスプレー方式等で塗布されるバインダー(接着剤)の特性に依るものであって、下層シート12のバインダーには、スチレン系エラストマーを用いたゴム系接着剤、例えば、スチレンとブタジエンの共重合体である合成ゴム(SBR)が好適に使用されている。従来、食品用のドリップシートを形成するエアレイド繊維不織布のバインダーとしては、アクリル酸エステル由来のバインダーが好適に使用されていたが、疎水性のエラストマー系合成樹脂からなるバインダーを使用することによって拡散性を防ぎ、ピンポイントでドリップを吸収しうる。
表1は、JIS P8141に規定される「紙及び板紙のクレム法による吸水試験方法」に準拠して測定した各素材(1)、(2)のクレム吸水度の測定結果を示したものである。素材(1)は、パルプ繊維のバインダーとしてスチレン系エラストマーのゴム系接着剤(SBR)を使用した下層シート12、素材(2)は、下層シート12と同様の組成を有するエアレイド繊維不織布であって、バインダーとしてアクリル酸エステルに由来する接着剤を使用したものを用いた。
<クレム吸水度の測定方法>
各シートの測定用のサンプル(縦寸法150mm×横寸法25mm)を用意した。クレム吸水度の測定には、水を入れたシャーレと、垂直に延びる軸と軸の上部から水平に延びるアームとを有するスタンドと、定規と、ストップウオッチとを使用した。スタンドのアームの下方にシャーレを置き、スタンドのアームの先端にサンプルの長手方向(シートの製造ラインの流れ方向MD)の一端部を取り付け、サンプルをアームから下方に垂下させ、サンプルの縦方向他端部をシャーレ内の水に浸けた状態で温度20℃・湿度60%の標準雰囲気下で5分間放置する。サンプルを水に浸けた状態から30秒間隔ごとに5分間、すなわち、30秒後、60秒後、120秒後、180秒後、240秒後、300秒後におけるサンプルが水を吸い上げた距離(水面からの高さ)を定規で測定し、そのときの値をそれぞれ求めた。同様の測定をサンプルの短手方向(シートの製造ラインの流れ方向と交差する方向CD)についても行なった。長手方向と短手方向のそれぞれについて5回行い、その平均値を各時間(秒)におけるクレム吸水度(mm)とした。吸い上げ距離の長い方が、吸水度(拡散性)が高いことを示す。
表1に示すとおり、5分経過後における下層シート12の長手方向におけるクレム吸水度は7.7mm、短手方向におけるクレム吸水度は3.3mm、バインダーとしてアクリル酸エステルに由来する接着剤を使用したエアレイド繊維不織布の長手方向におけるクレム吸水度は25.3mm、短手方向におけるクレム吸水度は24.3mmであった。また、下層シート12は、3分を経過した時点で、長手方向及び短手方向ともに、クレム吸水度に変化はなかった。下層シート12のクレム吸水度が低ければ低いほどに拡散性が抑えられるが、低すぎるとドリップの吸収性が悪化するおそれがあるので、シート構成を適宜調整することによって、下層シート12の長手方向Y又は短手方向Xの5分経過後のクレム吸水度が2.0〜10.0mmであることが好ましい。このように、下層シート12は、そのクレム吸水度が比較的に低いことから吸収されたドリップが広く拡散されずに、生鮮食品2から滲出された部分でスポット吸収されうるものといえる。したがって、配置域20で吸収されたドリップが、変形域30に拡散されて変形域30全域がウエットな状態となるのを抑制することができる。これによって、変形域30全域がドライな状態のまま維持されるので、ドリップを吸収して変形域30が垂れ下がったりすることはなく、カールした態様を保持することができる。
変形域30は、配置域20と同様に、開孔フィルムからなる上層シート11と吸液性の繊維不織布からなる下層シート12とから構成されていることから、上面3に複数の開孔14を有するとともに、吸液性を有する。従来のドリップシートには、デザイン性や製造コスト等を考慮して、変形域が複数の開孔を有さず、かつ、吸液性を有しないものがあるが、本実施形態の場合には、変形域30の上面3に複数の開孔14が形成されていることによって、それが形成されていない場合に比べて上層シート11が柔軟になって、よりカールし易くなる。また、変形域30が吸液性を有することによって、仮に、トレイ1及びドリップシート10に載置される生鮮食品2が比較的に大きくて変形域30の一部にまで及ぶ場合であっても、生鮮食品2から滲出したドリップを変形域30において速やかに吸収・保持することができる。
再び、図1を参照すると、生鮮食品2を載置してトレイ1の底壁1aに敷設された状態において、ドリップシート10の変形域30は、トレイ1の傾斜状の周壁1b上に位置している。ドリップシート10の変形域30がドリップの吸収によってカールするとともに、周壁1b上に位置することによって、需要者が包装されたトレイ1を上方から視たときに、変形域30がより立体的に底壁1aから浮き上っているように見えて、デザイン性が向上する。このように、変形域30自体がカールするとともに、その一部が周壁部1b上に位置することで相乗的に立体的なデザイン効果を発揮するためには、変形域30の20〜60%程度の面積を有する部分が周壁1b上に位置していることが好ましい。周壁1bは、傾斜状であることに加えて、変形域30をより立体的に見せるために、単数又は複数の段差を有していることが好ましい。
変形域30の先鋭部分33は、周壁1bを超えて外方へ延出しないことが好ましい。かかる場合には、先鋭部分33がフランジ部1c上に位置することになるので、トレイ1をラップフィルムで包装するときに、先鋭部分33がラップとフランジ部1cとの間で抑えられ、変形域30が上方へ吊持されたような状態となり、見栄えが悪くなる。
変形域30は、第2端縁10b側ではなく、第1端縁10a側に形成されていてもよいし、第1及び第2端縁10a,10b側にそれぞれ形成されていてもよい。さらに、第1側縁10c又は第2側縁10d側に形成されていてもよいし、第1及び第2側縁10c,10d側にそれぞれ形成されていてもよい。ただし、変形域30は、第1端縁10a側と第1側縁10d側とのように、互いに交差する長手方向Y及び短手方向Xの両方に形成されないことが好ましい。かかる場合には、各装飾部分の底辺を形成する境界ライン18が互いに交差して変形域30をカールさせようとする力が互いに作用し合って、変形域30の一部が反り返り難くなるおそれがあるからである。
<他の実施例>
図5(a)〜(c),図6(a),(b)及び図7は、ドリップシート10の他の実施例の一例における平面図である。変形域30の形状に関する相違点を除き、本実施形態に係るドリップシート10と同様の構成を有する。各実施例の外形線は少なくとも1つの変化点を有する。
図5(a)を参照すると、本実施例においては、変形域40が2つの三角形状の装飾部分(変形部分)41,42を有する。装飾部分41,42は同形同大であって、配置域20と変形域40との境界ライン18は、2つの装飾部分41,42の底辺を形成する。変形域40の外形線40aは、1つの屈曲点(変化点)47cを有する屈曲線状である。境界ライン18は、第1及び第2側縁10c,10dの屈曲点47a,47bである装飾部分41,42の頂点間と同じ寸法で短手方向Xへ延びている。各装飾部分41,42の内角αは鋭角であって、第2寸法D2は、配置域20と変形域40とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁10c,10d間における、変形域40の外形線40aの長さ寸法であるから、装飾部分41,42の斜辺を合計した寸法となる。第2寸法D2は、第1寸法D1よりも大きくなっている。
図5(b)を参照すると、本実施例においては、変形域50が、3つの三角形状の装飾部分(変形部分)51−53を有する。装飾部分51−53は同形同大であって、配置域20と変形域50との境界ライン18は、3つの装飾部分51−53の底辺を形成する。境界ライン18は、第1及び第2側縁10c,10dの屈曲点57a,57b間において短手方向Xへ延びている。変形域50の外形線50aは、複数の屈曲点を有するジグザグの屈曲線状を有する。各装飾部分51−53の内角αは鋭角であって、第2寸法D2は、配置域20と変形域50とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁10c,10d間における、変形域50の外形線の長さ寸法であるから、すべての装飾部分51−53の両斜辺を合計した寸法となる。第2寸法D2は、第1寸法D1よりも大きくなっている。
図5(c)を参照すると、本実施例においては、変形域60が、4つの三角形状の装飾部分(変形部分)61−64を有する。装飾部分61−64は同形同大であって、配置域20と変形域60との境界ライン18は、4つの装飾部分61−64の底辺を形成する。境界ライン18は、第1及び第2側縁10c,10dの屈曲点67a,67b間において短手方向Xへ延びている。変形域60の外形線60aは、図5(b)に図示した態様に比べてさらに複数の屈曲点を有するジグザグの屈曲線状を有する。各装飾部分61−64の内角は鋭角であって、第2寸法D2は、配置域20と変形域60とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁10c,10d間における、変形域60の外形線の長さ寸法であるから、すべての装飾部分61−64の両斜辺を合計した寸法となる。第2寸法D2は、第1寸法D1よりも大きくなっている。
図6(a)を参照すると、本実施例においては、変形域70の外形線70a(第2端縁10b)が複数の突起71から形成されたギザギザとした鋸歯状であって、配置域20との境界ライン18は斜めに延びている。変形域70は、第1側縁10cの屈曲点77aと第2側縁10dの屈曲点77bと最も第1方向Yの外方に位置する最外縁73aとを結んだ仮想の三角形の先鋭部分73を有する。先鋭部分73の内角αは鋭角であって、境界ライン18は、第1及び第2側縁10c,10dの屈曲点77a,77b間において短手方向Xへ延びており、第1寸法D1は境界ライン18の長さ寸法である。第2寸法D2は、配置域20と変形域70とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁10c,10d間における、変形域70の外形線の寸法であるから、変形域70の鋸歯状の外形線10bの長さ寸法である。第2寸法D2は、第1寸法D1よりも大きくなっている。
本実施例においては、変形域70の外形線70aが鋸歯状であって全体として大葉のデザインを有することから、単に三角形状、凸曲状を有する場合に比べて、より装飾性が高いといえる。また、変形域70の外形線10bが複数の突起71を有することから、境界ライン18近傍を基点として変形域70がカールした後に、先鋭部分73とともに又はその後に、複数の突起71がカールする。このように、変形域70が複数の突起71を有することによって、ドリップシート10の微小エネルギーが先鋭部分73のみならずそれよりも小さな複数の突起71に作用して、変形域70がよりカールし易くなるといえる。
図6(b)を参照すると、本実施形態においては、ドリップシート10は全体的に略船(ボート)形状であって、変形域80は凸曲状を有している。変形域80の外形線80aは、凸曲線状の第2端縁10bから形成される。変形域80は、第1側縁10cの屈曲点87aと第2側縁10dの屈曲点87bと最外縁(先端縁)83aとを結ぶ仮想の三角形の先鋭部分83を有する。先鋭部分83の内角は鋭角であって、境界ライン18は、第1及び第2側縁10c,10dの屈曲点87a,87b間において短手方向Xへ延びており、第1寸法D1は境界ライン18の長さ寸法である。第2寸法D2は、配置域20と変形域80とが並ぶ長手方向Yと交差する短手方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁10c,10d間における、変形域80の外形線80aの長さ寸法である。第2寸法D2は、第1寸法D1よりも大きくなっている。
本実施形態においては、配置域20の第1端縁10aも曲線状を有している。しかしながら、配置域20のほぼ全域に生鮮食品2が配置されることによって、配置域20の先端縁83bを含む部分がカールすることはない。また、仮に、配置域20の中央にのみ生鮮食品2が配置されて、先端縁83bを含む緩やかな凸曲部分が外部に露出された状態であっても、その先端部分が先鋭状ではないので、カールすることはない。ただし、かかる場合には、ドリップシート10の略船形の外形状が視認されるので、刺身を配置域20の中央部分に配置したときに、新鮮な刺身が盛られた船盛りのようなイメージを与えることができる。
図7を参照すると、本実施形態においては、変形域90は、略バラン状を有している。変形域90は、第1側縁10cからなる外形線90aが複数の突起を有する鋸歯状であって、4つの略三角形状の装飾部分(変形部分)91〜94を有する。装飾部分91は、他の装飾部分92−94よりも外方へ突出しており、他の装飾部分92−94は同形同大である。境界ライン18は、第2端縁10bの屈曲点97aから第1端縁10aへ向かって長手方向Yへ延びており、第1寸法D1は、境界ライン18の長さ寸法である。装飾部分91は、境界ライン18の一部を底辺18aとする仮想の三角形の先鋭部分96aを有する。同様に、装飾部分92−94は、それぞれ、境界ライン18の一部を底辺18b,18c,18dとする仮想の三角形の先鋭部分96b,96c,96dを有する。各仮想の三角形の先鋭部分96a−96dの内角α1は鋭角であって、装飾部分91の先鋭部分96aの内角α1は、他の装飾部分92−94の先鋭部分96b−96dの内角α2よりも小さくなっている。
第2寸法D2は、配置域20と変形域90とが並ぶ短手方向Xと交差する長手方向Yにおいて互いに対向する第1及び第2端縁10a,10b間における、変形域90の鋸歯状の外形線(第1側縁)10cの長さ寸法である。第2寸法D2は、第1寸法よりも大きくなっている。
表2は、本発明の実施例1〜4に係るドリップシート10及び比較例1〜5に係るドリップシートのカール(反り返り)測定の結果を示した表である。実施例1〜4に係るドリップシート10及び比較例1〜5に係るドリップシートは、長方形状であって、短手方向の寸法が65mm、長手方向の寸法が160mm、生鮮食品の配置される配置域の長手方向における寸法が120mm、デザイン性を有する変形域の長手方向における寸法が40mmである。
<実施例1〜4>
実施例1〜4に係るドリップシート10は、質量が83.12g/m2、厚さが約1.2mmであって、ポリエチレン製の厚さ25μmの開孔フィルムからなる上層シート11と、質量52g/m2のパルプ繊維を有するエアレイド繊維不織布から形成された下層シート12とから構成された2層シート構造を有する。実施例1〜4のドリップシート10では、上下層シート11,12が、質量2g/m2のスチレン系のエラストマー合成樹脂接着剤(SBR)から形成された中間層13を介して互いに接合されている。実施例1−4は、図2、図5(a),(b),(c)に図示した実施態様にそれぞれ対応する。
また、実施例1〜4のドリップシート10の上層シート11の曲げ剛性は、0.0147×10−4Nm/m、曲げ回復性は0.0049×10−2Nm/mであって、下層シート12の曲げ剛性は、0.1835×10−4Nm/mであって、曲げ回復性は、0.2973×10−2Nm/mである。
<比較例1〜3>
比較例1〜3のドリップシートは、実施例1〜4のドリップシート10と同じシート構成であって、質量83.12g/m2、厚さ約1.2mmである。また、ドリップシートは、ポリエチレン製の厚さ25μmの開孔フィルムからなる上層シートと、質量52g/m2のパルプ繊維を有するエアレイド繊維不織布から形成された下層シートとから構成された2層シート構造を有する。
比較例1〜3のドリップシートでは、上下層シートが、質量2g/m2のスチレン系のエラストマー合成樹脂接着剤(SBR)から形成された中間層を介して互いに接合されている。また、比較例1〜3のドリップシートの上下層シートそれぞれの曲げ剛性及び曲げ回復性は、実施例1〜4と同じである。
<比較例4>
比較例4に係るドリップシートは、質量が87.77g/m2、厚さが約1.17mmであって、ポリエチレン製の厚さ50μmの開孔フィルムからなる上層シートと、質量52g/m2のパルプ繊維を有するエアレイド繊維不織布から形成された下層シートとから構成された2層シート構造を有する。かかるドリップシートでは、上下層シートが、質量2g/m2のスチレン系のエラストマー合成樹脂接着剤(SBR)から形成された中間層を介して互いに接合されている。また、比較例4のドリップシートの上層シートの曲げ剛性は0.0965×10−4Nm/m、曲げ回復性は0.0209×10−2Nm/mであって、下層シートの曲げ剛性は0.1835×10−4Nm/m、曲げ回復性は0.2973×10−2Nm/mである。
<比較例5>
比較例5に係るドリップシートは、厚さ0.45mm、質量48g/m2のケミカルボンド繊維不織布の単層シート構造を有する。比較例5のドリップシートの曲げ剛性は1.1141×10−4Nm/m、曲げ回復性は0.5147×10−2Nm/mである。
<変形域の形状>
実施例1の変形域30は、扁平扇形状の装飾部分、実施例2の変形域40は、2つの三角形状の装飾部分、実施例3の変形域50は、3つの三角形状の装飾部分、実施例4の変形域60は、4つの三角形状の装飾部分を有する。比較例1の変形域は、配置域と同一の短手方向の幅寸法を有する略矩形状の装飾部分、比較例2の変形域は、配置域の短手方向の幅寸法の約半分の大きさの幅寸法を有する略正方形状の装飾部分、比較例3の変形域は、配置域の短手方向の幅寸法と同様の大きさの底辺を有する略台形状の装飾部分、比較例4及び5の変形域は、4つの三角形状の装飾部分からそれぞれ形成されている。
各実施例及び各比較例にドリップシートの写真は、下記のカール度合の測定の測定後における状態を側面から撮影したものであって、各ドリップシートの変形域がカールしている。また、「角度(°)」については、実施例1を除き、着色された実際の先鋭部分の角度を測定した。実施例1については、変形域の最外縁と境界ラインの両端縁とを結ぶ仮想の三角形の先端部分の角度を測定した。
<カール度合の測定方法>
各実施例及び各比較例のドリップシートのカール度合いを比較するために、以下の測定方法を用いた。まず、使用器具として、ピペット(少なくとも5ml量を測れるもの)、定規、バット(ステンレス製)、ストップウオッチ、赤ペンとを用意した。次に、各ドリップシートを短手方向の寸法65mm×長手方向の寸法160mmの大きさにカットして、測定用の試料とした。各試料において、変形域の位置しない短手方向一端縁から変形域の位置する短手方向他端縁側へ120mの位置に赤ペンで短手方向へ延びる直線状の目印ラインを引いた。各試料において、短手方向一端縁から赤ペンで付した目印ラインまでの120mm幅の領域を配置域、目印ラインから短手方向の他端縁までの40mm幅の領域を変形域とした。
次に、載置台に置かれたバットに水道水を5ml滴下して、各試料の配置域全体で水道水が吸収するようにバットに試料を配置した。試料の目印ラインまで水分を吸収させた後に、標準雰囲気下において1分間放置した。その後、ドライ状態の変形域の最も反り返りの大きな部分と載置台の表面との離間寸法(mm)を定規で計測した。変形域の幅寸法が比較的に大きな場合には3箇所の反り返りの大きな部分を測定して平均化し、複数回(N=3)同様の測定を行って求めた平均値を各試料のカール度合(mm)とした。
<カール評価>
出願人の知見したところによれば、カール度合(mm)が10mmを超える場合には、ドリップシートの変形域が生鮮食品の見栄えが良好になる程度に立体的な態様を有する。さらに、カール度合が15mmを超える場合には、変形域がさらに立体的な態様となって生鮮食品の見栄えがより良好になる。一方、カール度合が10mm以下の場合には、変形域が生鮮食品の見栄えが良好になる程度に立体的な態様を有することはない。したがって、カール度合が10〜15mmの場合には「△(可)」、15mmを超える場合には、「○(良)」、10mm未満の場合には、「×(不可)」として評価した。
表2を参照すると、実施例1〜4のカール度合は、12.7〜18.9mmであって、そのカール評価は、「△(可)」又は「○(良)」であった。一方、比較例1〜5のカール度合は、4.6〜9.9mmであって、そのカール評価は「×(不可)」であった。すなわち、実施例1〜4に係るドリップシート10は、少なくとも10mm以上のカール度合を有するものであって、トレイ1内に収容された状態において変形域30,40,50,60が立体的な形態を有し、生鮮食品2の見栄えを良くするといえる。また、各実施例1〜4のカール測定結果から、装飾部分の内角が小さい程により大きくカールするものといえる。一方、比較例1〜3のように、装飾部分が先鋭部分を有しない場合には、たとえ、その幅寸法が小さくなっていてもカールし難くかった。
実施例4と比較例4とを比較すると、上層シートを形成する合成樹脂フィルムの厚さが約2倍の場合には、カール度合が小さくなっている。したがって、合成樹脂フィルムの厚さが比較的に大きい場合には曲げ剛性が高くなって、変形域がカールし難くなるといえる。また、比較例5では、ドリップシートが吸液性のケミカルボンド繊維不織布の単層構造であるから、ドリップを吸収して不織布自体に伸びようとする力が作用しても、本実施形態に係るドリップシート10のように、それに対する合成樹脂フィルムによる縮もうとする力が作用されることはなく、変形域全体をカールしようとするエネルギーが比較的に小さくなって、カール度合が小さくなったものと考えられる。
ドリップシート10を構成する各構成部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられる、各種公知の材料を制限なく用いることができる。本明細書及び実用新案登録請求の範囲において使用される、「第1」「第2」等の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いている。