JP2019117773A - 燃料電池用セパレータ製造方法及び成膜装置 - Google Patents

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【課題】成膜装置を高価なものにすることなく、成膜速度の向上を図り、製造効率を向上させる。【解決手段】基材1の少なくとも一方の面にガスバリヤ被膜2を形成するガスバリヤ被膜形成プロセスと、ガスバリヤ被膜形成プロセスの後、基材1に凹溝3を形成する凹溝形成プロセスとを備えるようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法及びこの製造に用いられる成膜装置に関するものである。
燃料電池用セパレータ(以下、単にセパレータともいう)としては、特許文献1に示すように、基材の表面にDLC等のガスバリヤ被膜が形成され、その上にCCコンポジット等の導電性樹脂被膜が形成されたものがある。
こうしたセパレータを量産する方法として、従来は所謂カセットツーカセット方式の成膜装置を用いて複数の基材を断続的に処理していた。具体的には、予め凹溝が加工された基材を、基材よりも大きい基盤に複数枚並べ、その基盤を成膜装置内で搬送しながら真空プラズマ中でDLCコーティング加工して、加工後に大気中でCCコンポジットを塗装する。
しかしながら、上述したカセットツーカセット方式は、断続成膜になるので、成膜速度が遅く、製造効率が低いという問題がある。
さらに、成膜装置内はプロセスごとに種々のガスが導入される複数の部屋に仕切られており、これらの部屋を基材が基盤に載置された状態で断続的に搬送されるので、各部屋の間には高価なゲートバルブを設ける必要があり、成膜装置が高価なものになるといった問題もある。
特開2016−100177号公報
そこで本発明は、上述した問題を一挙に解決すべくなされたものであり、成膜装置を高価なものにすることなく、成膜速度の向上を図り、製造効率を向上させることその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係る燃料電池用セパレータ製造方法は、基材の少なくとも一方の面にガスバリヤ被膜を形成するガスバリヤ被膜形成プロセスと、前記ガスバリヤ被膜形成プロセスの後、前記基材に凹溝を形成する凹溝形成プロセスとを備えることを特徴とする方法である。
凹溝が形成された基材は例えば搬送ローラに巻き取ることができないが、上述した方法であれば、凹溝を形成する前の基材にガスバリヤ被膜を形成するので、成膜装置内ではシート状の基材を例えば搬送ローラによる送り出しや巻き取りによって搬送させることができる。これにより、カセットツーカセット方式ではなく所謂ロールツーロール方式の成膜装置を用いることができるので、セパレータを連続的に製造することで成膜速度が向上し、製造効率の向上を図れる。
さらに、成膜装置内ではシート状の基材が搬送されるので、プロセスごとに仕切られた各部屋の仕切りにはシートが通過できる程度の僅かな隙間が形成されていれば良い。これにより、例えば各部屋の仕切りに圧接ローラを設けてシート状の基材を搬送することで、高価なゲートバルブを設けずとも各部屋の間で異種のガスが行き来しないようにすることができ、成膜装置を安価なものにすることができる。
前記基材としては、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)又はこれらの金属を含む合金のうち、少なくとも1種類の金属を有するものが挙げられる。
ガスバリヤ被膜が薄すぎると十分なガスバリヤ被膜の効果が得られず、厚すぎると被膜形成時間が長くなり生産性の点で不利になる。
そこで、前記ガスバリヤ被膜の厚さが、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
これならば、被膜生成時間が長時間にならず、生産性を担保しながらも、ガスバリヤ被膜の効果を十分に発揮させることができる。
上述したガスバリヤ被膜は、優れたガスバリヤ特性を有するものの、一方で、基材表面に存在する多くの凹凸やピンホールなどの欠陥部分を完全に被覆することは困難であり、これらの欠陥部分が耐食性の低下の大きな要因となる。
そこで、前記ガスバリヤ被膜の表面に導電性樹脂被膜を形成する導電性樹脂被膜形成プロセスをさらに備えることが好ましい。
ガスバリヤ被膜の表面を導電性樹脂被膜で被覆することで、上述した欠陥部分を実質的に封孔することができ、セパレータの導電性及び集電性の低下を抑えつつ、基材の耐食性を向上させることが可能となる。
このように形成された導電性樹脂被膜は、薄すぎると耐食性の向上効果が十分に得られず、厚すぎるとセパレータの電気抵抗(面積抵抗)が増大し、導電性及び集電性が低下する。
そこで、前記導電性樹脂被膜の厚さが、1μm以上30μm以下であることが好ましい。
これならば、導電性樹脂被膜の耐食性を担保しながらも、セパレータの導電性及び集電性の低下を抑えることができる。
このように構成した本発明によれば、成膜装置を高価なものにすることなく、成膜速度の向上を図り、製造効率を向上させることができる。
本実施形態に係る固体高分子電解質型燃料電池の概略図。 本実施形態における燃料電池用セパレータ製造方法を説明するための図。 本実施形態における燃料電池用セパレータ製造工程を模式的に示す図。 本実施形態において製造される燃料電池用セパレータの模式図。
以下に本発明に係る燃料電池用セパレータ製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の燃料電池用セパレータ製造方法は、図1に示すように、例えば固体高分子電解質型燃料電池Xに用いられるセパレータを製造するための方法である。この固体高分子電解質型燃料電池Xは、例えば燃料電池自動車などに用いられるものであり、燃料極x1、空気極x2及びこれらに挟まれた電解質x3からなるセルx4が積み重なって構成されたものである。また、上段部及び下段部には集電部材x5が設けられ、セルx4とセルx4との間にはセパレータZが設けられている。
なお、集電部材x5は、セパレータZよりも厚く形成されているものの、セパレータZと同様の構成を有しており、本実施形態の製造方法で製造できることは言うまでもない。
具体的にこのセパレータ製造方法は、図2に示すように、基材1にガスバリヤ被膜2を形成するガスバリヤ被膜形成プロセスと、ガスバリヤ被膜2が形成された基材1をプレスして凹溝3を形成する凹溝形成プロセスと、ガスバリヤ被膜2の表面に導電性樹脂被膜4を形成する導電性樹脂被膜形成プロセスと、を備えている。
まず基材1について説明する。
基材1は、凹溝3が形成されていないシート状(平板状)のものであり、本実施形態では、熱伝導率が高く安価なアルミニウム基材1を用いている。このアルミニウム基材1は、図3に示すように、例えば厚みが100nm程度のシート状のアルミ板であり、例えば洗浄や乾燥などの工程を経た後にコイル状に巻かれ、アルミコイルACの状態でガスバリヤ被膜形成プロセスへと搬送される。
[ガスバリヤ被膜形成プロセス]
ガスバリヤ被膜形成プロセスでは、アルミニウム基材1の少なくとも一方の面にガスバリヤ被膜2を形成する。ガスバリヤ被膜2は、導電性を有し、且つ、酸素及び水蒸気の浸透を抑制する被膜であり、ここでは導電性炭素被膜である。
本実施形態では、図3に示すように、所謂ロールツーロール方式の成膜装置100を用いており、アルミニウム基材1の表面及び裏面それぞれに、ガスバリヤ被膜2として導電性を有するダイヤモンドライクカーボン被膜2(以下、導電性DLC被膜2という)を形成する。なお、導電性DLC被膜2の代わりに、ガスバリヤ被膜2としてアモルファスカーボン被膜(導電性a−C被膜)を形成しても構わない。
成膜装置100は、セットされたアルミコイルACからアルミニウム基材1をシート状にして送り出す送り出しローラ10と、送り出されたシート状のアルミニウム基材1をコイル状に巻き取る巻き取りローラ20と、これらのローラ10、20を収容する真空チャンバ30とを備えている。
真空チャンバ30は、図3に示すように、アルミニウム基材1の搬送方向一端側に送り出しローラ10を収容する第1ローラ収容室31が形成されるとともに、搬送方向他端側に巻き取りローラ20を収容する第2ローラ収容室32が形成されたものである。なお、第1ローラ収容室31や第2ローラ収容室32には、例えば1Paの窒素ガスが導入されている。
この真空チャンバ30は、アルミニウム基材1をクリーニングするクリーニング室33、アルミニウム基材1に成膜イオン注入するイオン注入室34、アルミニウム基材1に導電性DLC被膜を形成する成膜室35など、プロセスごとに複数の部屋に仕切られている。
各部屋の仕切りには、搬送ローラである例えば圧接ローラが設けられており、この圧接ローラがアルミニウム基材1を圧接することで、各部屋の間で異種のガスが行き来しないように構成されている。
クリーニング室33は、例えば1Paのアルゴンガスが導入され、アルゴンガスクリーニングによりアルミニウム基材1の酸化被膜(Al)を除去する部屋である。このクリーニング室33には、一対の誘導結合型高周波アンテナ41が設けられている。
イオン注入室34は、例えば1Paの窒素ガスが導入され、アルミニウム基材1に核(AlN)を形成する部屋である。この核は、云わば髪の毛でいう毛根のようなものであり、この核に後述する導電性DLC被膜を形成することで、導電性DLC被膜の密着性が向上する。このイオン注入室34には、一対の誘導結合型高周波アンテナ42が設けられている。
成膜室35は、例えば1Paの原料ガスが導入され、アルミニウム基材1に導電性DLC被膜を形成する部屋である。この成膜室35には、一対のヒータ50と、一対の誘導結合高周波アンテナ43とが設けられており、これらのヒータ50と誘導結合高周波アンテナ43とは対向するように配置されている。
具体的にはまず、アルミニウム基材1をヒータ50によって250〜400℃に保持し、原料ガスとして例えばメタンとアセチレンの混合ガスを導入する。そして、誘導結合型高周波アンテナ43に高周波電力を給電することで、アルミニウム基材1の表面近傍には炭素イオンを含む放電プラズマが発生し、アルミニウム基材に負の直流電圧又は負のパルス電圧を印加することで、図2(a)に示すように、アルミニウム基材1の表面及び裏面それぞれに導電性DLC被膜2が形成される。
このように形成された導電性DLC被膜2は、薄すぎると十分なガスバリヤ効果が得られず、厚すぎると被膜形成時間が長くなり生産性の点で不利になるため、膜厚としては10nm以上500nm以下が好ましく、より好適な範囲は50nm以上100nm以下である。
本実施形態では、導電性DLC被膜2が形成された成膜済み基材1’は、巻き取りローラ20によって再びコイル状に巻き取られて、凹溝形成プロセスへと搬送される。
[凹溝形成プロセス]
溝形成プロセスでは、ガスバリヤ被膜2が形成された成膜済み基材1’を例えばプレス加工して水素や酸素が流れる凹溝3を形成する。凹溝3の形状、本数、配置などは種々変更可能であるが、ここでは図2(b)に示すように、例えば深さ1mm程度、幅1mm程度のものである。
具体的に凹溝3の形成は、図3に示すように、コイル状の成膜済み基材1’を再びシート状に送り出し、例えば曲げ加工などにより所望の凹溝3を形成して、そのシート状の成膜済み基材1’を所望の大きさに切断する。なお、シート状に送り出された成膜済み基材1’を所望の大きさに切断した後、曲げ加工などにより所望の凹溝3を形成しても良い。
[導電性樹脂被膜形成プロセス]
ここで、上述した導電性DLC被膜2は、酸やアルカリ性溶液に対して優れた耐食性を示すと同時に優れたガスバリヤ特性を有するものの、一方で、基材1表面に存在する多くの凹凸やピンホールなどの欠陥部分を完全に被覆することは困難であり、これらの欠陥部分が耐食性の低下の大きな要因となる。
そこで、導電性樹脂被膜形成プロセスでは、基材1に形成したガスバリヤ被膜2を導電性樹脂被膜4で被覆し、これにより上述した欠陥部分を実質的に封孔することで、セパレータZの導電性及び集電性の低下を抑えつつ基材1の耐食性を向上させる。即ち、導電性樹脂被膜4は、ガスバリヤ被膜2の欠陥部分も含めて被覆することによって化学的に不動態化し、耐食性を向上させる。
本実施形態の導電性樹脂被膜4は、黒鉛粒子や導電性セラミックス粉末など導電性フィラーとバインダー樹脂とからなり、本実施形態では図2(c)に示すように、アルミニウム基材1の表面側及び裏面側それぞれにおいて導電性DLC被膜2上に塗布される。
具体的に導電性樹脂被膜4の形成は、例えば、ディピング法、スプレー法、電着法、或いはブレードコート法等により、ガスバリヤ被膜2の表面に導電性樹脂被膜4を塗着することができる。基材1に複雑な凹溝が形成されている場合は、電着法が均一な厚さの導電性樹脂被膜4を形成しやすいという利点がある。
このように形成された導電性樹脂被膜4は、薄すぎると十分な耐食性が得られず、厚すぎるとセパレータの接触抵抗(面積抵抗)が増大し、導電性及び集電性が低下するため、膜厚としては1μm以上30μm以下とすることが好ましく、3μm以上20μm以下とすることがより好ましい。
このように構成された本実施形態に係る燃料電池用セパレータZの製造方法によれば、凹溝3を形成する前のアルミニウム基材1に導電性DLC被膜2を形成するので、成膜装置100内ではシート状のアルミニウム基材1を送り出しローラ10や巻き取りローラ20によって送り出したり巻き取ることができる。これにより、カセットツーカセット方式ではなくロールツーロール方式の成膜装置100を用いることができるので、セパレータZを連続的に製造することで成膜速度が向上し、製造効率の向上を図れる。
さらに、成膜装置100内ではシート状のアルミニウム基材1が搬送されるので、プロセスごとに仕切られた各部屋の仕切りにはシートが通過できる程度の僅かな隙間が形成されていれば良い。これにより、各部屋の仕切りに圧接ローラを設けてシート状の基材を搬送することで、高価なゲートバルブを設けずとも各部屋の間で異種のガスが行き来しないようにすることができ、装置を安価なものにすることができる。
加えて、図4に示すように、水素や酸素が通過する凹溝3(図4のS1で示す領域)では耐腐食性が重要であるところ、導電性樹脂被膜4によって耐腐食性を担保することができ、隣り合うセルx4との接触抵抗が重要となる領域(図4のS2で示す領域)では、導電性DLC被膜によるガスバリヤ効果による腐食による接触抵抗の低減を抑制することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、基材1は、アルミニウム基材に限らず、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタニウム(Ti)又はこれらの金属を含む合金のうち、少なくとも1種類の金属を有するものであっても良い。
ガスバリヤ被膜2は、前記実施形態で述べたものに限らず、例えば、金属カーバイド被膜、金属オキシカーバイド被膜、金属ナイトライド被膜、金属ボライド被膜及び金属シリサイド被膜などであっても良い。
導電性樹脂被膜4は、前記実施形態で述べたものに限らず、例えば、樹脂バインダー中に導電性物質としてのカーボン系粒子を含むカーボン系導電性樹脂被膜であっても、樹脂バインダー中に導電性物質として金属カーバイドや金属ナイトライドなどの導電性セラミックス粉末、金属粒子や金属化合物粒子を含む金属系導電性樹脂被膜であってもよい。また、樹脂バインダーの種類は特に限定されるものではなく、耐熱性の高いフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やフッ素樹脂を好適に用いることができる。
ガスバリヤ被膜の形成には、前記実施形態で述べたものに限らず、例えば、プラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いても良い。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
X ・・・セパレータ
1 ・・・基材
2 ・・・ガスバリヤ被膜(導電性DLC被膜)
3 ・・・凹溝
4 ・・・導電性樹脂被膜
100・・・成膜装置
10 ・・・送り出しローラ
20 ・・・巻き取りローラ
30 ・・・真空チャンバ

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面にガスバリヤ被膜を形成するガスバリヤ被膜形成プロセスと、
    前記ガスバリヤ被膜形成プロセスの後、前記基材に凹溝を形成する凹溝形成プロセスとを備える燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 前記基材が、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)又はこれらの金属を含む合金のうち、少なくとも1種類の金属を有する請求項1記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  3. 前記ガスバリヤ被膜の厚さが、10nm以上500nm以下である請求項1又は2記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  4. 前記ガスバリヤ被膜の表面に導電性樹脂被膜を形成する導電性樹脂被膜形成プロセスをさらに備える請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  5. 前記導電性樹脂被膜の厚さが、1μm以上30μm以下である請求項4記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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