JP2019144145A - 測定対象物質を測定するためのキット、蛍光標識剤および蛍光標識抗体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
上記測定対象物質または上記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキット。
[2] 親水性部が、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している、[1]に記載のキット。
[3] 生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部が、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドである、[1]または[2]に記載のキット。
[4] 式(1)中のAr1およびAr2の少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、[1]から[3]の何れか一に記載のキット。
[5] 式(1)中のAr3およびAr4の少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、[1]から[4]の何れか一に記載のキット。
[6] 式(1)で表される化合物の発光極大波長が600nm以上である、[1]から[5]の何れか一に記載のキット。
[7] 上記金属膜が、金を含む金属膜である、[1]から[6]の何れか一に記載のキット。
[8] 上記第一の結合物質が、抗体である、[1]から[7]の何れか一に記載のキット。
[9] 検出領域は、測定対象物質と結合性を有する第二の結合物質を有し、上記第二の結合物質が、抗体である、[1]から[8]の何れか一に記載のキット。
[10] 下記式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤。
[11] [10]に記載の蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体。
[12] 抗体が、アミド結合を介して、[10]に記載の蛍光標識剤に結合している、[11]に記載の蛍光標識抗体。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
上記測定対象物質または上記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキットに関する。
本明細書において、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
なお、芳香環は置換基を有していてもよく、「芳香環」との用語は、置換基を有する芳香環、および置換基を有さない芳香環の両方を意味する。芳香環が有する置換基としては、後記する置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
スルファモイル基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、ニトロシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、アシル基、アルデヒド基、カルボニル基、アリール基、アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、エテニル基、エチニル基、シリル基、およびトリアルキルシリル基(トリメチルシリル基等)。
R111〜R116が表すアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
親水性部は、好ましくは、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している。
ポリエチレングリコール構造としては、−(CH2−CH2−O)n−H(式中、nは1〜10の整数を示す)で示される構造を挙げることができる。
アミノ酸構造としては、アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アルパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなど)に由来する構造、即ち、炭素原子にカルボキシ基とアミノ基とが結合している構造を挙げることができる。
活性エステルとしては、−C(=O)−Xという化学構造を挙げることができる。Xは、ハロゲン、N−ヒドロキシスクシンイミド基またはその誘導体、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール基またはその誘導体、ペンタフルオロフェニル基、パラニトロフェニル基などの脱離基を意味するが、これらに限定されない。活性エステルとしては、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルが望ましい。
式(1)中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
R11およびR13は、好ましくは、アルキル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
R11およびR13は、特に好ましくはメチル基を表す。
R12は、好ましくは、アリール基を表し、これは置換基を有していてもよい。
R12は、より好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
R12は、さらに好ましくは、生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部(例えば、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドなど)を有するフェニル基、またはフッ素原子で置換されたフェニル基を示す。
R111〜R116は、好ましくは水素原子である。
X1およびX2は、好ましくは、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
より好ましくは、X1およびX2はともにハロゲン原子であるか、またはX1およびX2はともにポリエチレングリコール構造を有する基で置換されたアルコキシ基を示す。
式(1)で表される化合物は、例えば、後記する実施例に示す合成スキームにより製造することができる。
化合物(1−A)および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを混合し、N−ヨードスクシンイミド(NIS)を添加し、チオ硫酸ナトリウムを加えることにより化合物(1−B)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−C)、4−ボロノベンゼンスルホン酸、フッ化セシウムおよびメトキシシクロペンタンの混合物にSPhos Pd G3を加えて加熱還流した後に、塩酸水溶液および酢酸エチルを加え、得られた反応液を精製した後、水酸化ナトリウム溶液を加えることにより化合物(1−D)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−D)に水、EDC(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)、およびN−ヒドロキシスクシンイミドを添加し、攪拌することにより化合物(1)を得ることができる。
発光極大波長とは、吸収スペクトルにおいて吸光度が最も大きくなる波長のことを表す。
式(1)で表される化合物の発光極大波長は、好ましくは600nm以上であり、より好ましくは640nm以上であり、さらに好ましくは660nm以上であり、特に好ましくは680nm以上であり、最も好ましくは700nm以上である。
式(1)で表される化合物の発光極大波長の上限は特に限定されないが、好ましくは900nm以下であり、より好ましくは800nm以下である。
式(1)で表される化合物が示す量子収率は、好ましくは0.65以上であり、より好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは0.75以上であり、さらに一層好ましくは0.8以上であり、特に好ましくは0.85以上である。量子収率の上限は特に限定されないが、一般的には、1.0以下である。
式(1)で表される化合物の量子収率は、市販の量子収率測定装置を使用して測定することができ、例えば、浜松ホトニクス社製の絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置C9920−02を使用して測定することができる。
本発明のキットは、測定対象物質を測定するためのキットである。
測定対象物質は、生体試料中に存在するものでもよい。生体試料としては、測定対象物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、または喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚などを挙げることができる。
本発明で用いる第一の結合物質は、測定対象物質と結合性を有する結合物質である。第一の結合物質としては、抗原、抗体、またはこれらの複合体を使用できるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第一の結合物質は抗体である。第一の結合物質が抗体である場合は、測定対象物質と結合性を有する抗体として、例えば、その測定対象物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その測定対象物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、またはFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でもよく、あるいは動物血清または培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。
式(1)で表される化合物における生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部と、第一の結合物質(例えば、抗体)とを反応させることにより、第一の結合物質と式(1)で表される化合物とを結合させることができる。
上記の通り、式(1)で表される化合物は、抗体などの第一の結合物質に蛍光標識として結合させて使用することができるものであり、式(1)で表される化合物は、蛍光標識剤として有用である。即ち、本発明によれば、式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤が提供される。
本発明によれば、上記した蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体が提供される。好ましくは、抗体は、アミド結合を介して、蛍光標識剤に結合している。
本発明では、高感度な測定を達成するために、後述する表面プラズモン蛍光(SPF)検出を行う測定法を採用することが好ましい。この場合における基板としては、表面に金属膜を有する基板を使用することが好ましい。金属膜を構成する金属としては、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、または白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。金を使用する場合、後記する検出領域は、金膜上にある。上記の金属は単独または組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に10nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上、10nm以下であることが好ましい。
第二の結合物質は、測定対象物質と結合性を有する物質であるか、または第一の結合物質と結合性を有する物質である。定量をサンドイッチアッセイ法で行う場合には、第二の結合物質として、測定対象物質と結合性を有する物質を使用することができる。定量を競合法で行う場合には、第二の結合物質として、第一の結合物質と結合性を有する物質を使用することができる。
本発明においては、基板上に、測定対象物質の有無を検出する検出領域(テストエリア)が設けられている。この検出領域では、例えば測定対象物質である抗原を捕まえて、抗原に結合した標識の量を検出し定量することで、抗原を定量することが可能となる。あるいは、抗原に結合した標識のみを結合できないようにし、抗原に結合していない標識のみを捕獲して、抗原に結合した標識の量を算出する方法により、抗原を定量することが可能となる。
本発明において、抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ニワトリなど免疫反応が起こり得る生物に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ハムスターIgG、ハムスターIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM、ウシIgG、ウシIgM、トリIgY等であり、ポリクローナルまたはモノクローナルのどちらも使用可能である。さらに断片化抗体を使用してもよい。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab’)2等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。
本発明のキットは、測定対象物質を測定する方法に用いられるものであり、測定対象物質がプロゲステロンである場合には、プロゲステロン測定診断用のキットであり、測定対象物質が甲状腺刺激ホルモン(TSH)である場合には、TSH測定診断用のキットである。本発明のキットは、測定対象物質の測定を実施するに当たり、測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物;および第二の結合物質を有する検出領域を金属膜上に備えた基板を含むものであるが、表面プラズモン励起装置、および蛍光測定デバイスなどの、測定対象物質の測定に使用される各種の器材または装置を含めてもよい。さらに、キットの要素として、既知量の測定対象物質を含む試料、取扱説明書などを含めてもよい。
競合法の一例として、プロゲステロンを定量する場合を以下に説明する。プロゲステロン以外の物質を定量する場合も、同様に実施することができる。
先ず、プロゲステロン・アルブミン結合体が固定化されているプロゲステロン免疫測定用基板に、プロゲステロンを含む生体試料および蛍光標識抗プロゲステロン抗体を接触させる。その生体試料中にプロゲステロンが存在しない場合には、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン(即ち、プロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロン)とにより、基板上で抗原抗体反応が起こる。一方、生体試料中にプロゲステロンが存在する場合には、生体試料中のプロゲステロンと蛍光標識抗プロゲステロン抗体との間で抗原抗体反応が起こり、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン(即ち、プロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロン)との間の抗原抗体反応が阻害される。上記の反応が終了した後、基板上のアルブミンに結合しなかった蛍光標識抗プロゲステロン抗体を除去する。次いで基板上の免疫複合体(即ち、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロンとの複合体)の形成の度合いを蛍光強度として検出する。上記により、生体試料中のプロゲステロンの濃度などを測定することができる。
サンドイッチ法の一例として、TSHを定量する場合を以下に説明する。TSH以外の物質を定量する場合も、同様に実施することができる。
先ず、抗TSHモノクローナル抗体1が固定化されているTSH免疫測定用基板に、TSHを含む生体試料および蛍光標識抗TSH抗体2を接触させる。その生体試料中にTSHが存在する場合には、あらかじめ蛍光標識した抗TSH抗体2と抗原抗体反応したTSHと、基板上の抗TSH抗体1とにより、基板上で抗原抗体反応が起こる。一方、生体試料中にTSHが存在しない場合には、生体試料と混合した蛍光標識抗TSH抗体2と基板上の抗TSH抗体1との間で抗原抗体反応が起こらない。上記の反応が終了した後、基板上の抗TSH抗体1に結合しなかった蛍光標識抗TSH抗体2を除去する。次いで基板上の免疫複合体(即ち、蛍光標識抗TSH抗体2とTSH、基板上の抗TSH抗体1との複合体)の形成の度合いを蛍光強度として検出する。上記により、測定対象物質の濃度などを測定することができる。なお、蛍光強度と測定対象物質の濃度は、正の相関関係がある。
本発明の好ましい態様においては、測定対象物質を含む可能性のある生体試料と、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物とを混合した混合液を、基板上に適用し、流路に展開することができる。流路とは、生体試料と、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物とが、検出領域まで流下する通路であれば、特に制限はない。好ましい流路の態様としては、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物を含む生体試料液を点着する点着口、検出領域としての金属膜、および金属膜を超えて流路が存在し、生体試料が、金属膜上を通過できる構造を有するものである。好ましくは、金属膜に対して、点着口とは反対側に、吸引口を設けることができる。
本発明における蛍光などの標識の検出方法としては、特に限定されないが、例えば、蛍光強度を検出することができる機器、具体的には、マイクロプレートリーダー、または表面プラズモン励起による蛍光検出(SPF)を行うためのバイオセンサーなどを用いて蛍光強度を検出することが好ましい。好ましくは、表面プラズモン共鳴による蛍光検出により、測定対象物質の量に関連した標識情報を取得することができる。
ESI−MS:[M+H]+=397
ESI−MS:[M+H]+=648
100mLのフラスコに化合物(1−B)0.37g、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド0.59gおよびトルエン50mLを加え、そこにピペリジン5mLとパラトルエンスルホン酸ひとかけらを添加して、オイルバスで3時間還流させた。反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−C)を0.40g得た。化合物(1−C)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M+H]+=909
ESI−MS:[M−H]−=939
ESI−MS:[M−H]−=1036
ESI−MS:[M−H]−=893
50mLフラスコに、化合物(2−E)を100mg測りとり、塩化メチレン3mLに溶解し、三塩化アルミニウム64mgを加え、30分間加熱還流した。その後、室温へ戻し、トリエチレングリコールモノメチルエーテル1mLを加え、30分間反応させた。反応終了後、減圧濃縮した後、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、メタノール/塩化メチレンで再結晶することにより、化合物(2)を32mg得た。化合物(2)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]−=1181
比較化合物は、特表2012−513974号公報に記載の方法に準じて合成した。
上記で合成した蛍光色素(化合物(1)、化合物(2)、および比較化合物)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に溶解し、発光極大波長および量子収率の評価を行った。発光極大波長の測定には島津製作所製の蛍光分光光度計RF−5300PCを使用し、浜松ホトニクス社製の絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置C9920−02を使用して量子収率の評価を行った。励起波長は、各化合物の最大吸収波長より50nm短い波長を用いて測定を行った。発光極大波長および量子収率の評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
S:700nm以上
A:680nm以上700nm未満
B:660nm以上680nm未満
C:640nm以上660nm未満
D:600nm以上640nm未満
E:600nm未満
S:0.85以上
A:0.8以上 0.85未満
B:0.75以上 0.8未満
C:0.7以上 0.75未満
D:0.65以上 0.7未満
E:0.65未満
<実施例1:競合法によるプロゲステロン評価>
(蛍光標識抗体の作製)
上記で合成した化合物(1)の0.03mmol/L水溶液300μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、その後、0.5mg/mLの抗プロゲステロンモノクローナル抗体(GeneTex社製)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。
プロゲステロン−BSA結合体(BIO−RAD社製)150μgを、50mmol/L濃度のクエン酸緩衝液1mL(pH5.2、150mmol/L NaCl)に添加して溶解させ、クエン酸緩衝液の溶液を得た。ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基体(三菱レイヨン(株)社製、アクリペット(登録商標)VH)を準備し、スパッタ法により、厚さ50nmの金膜を片面に蒸着し7mmの幅に裁断して、同じ基板を7枚作製した。この基板の金蒸着面上に、調製したプロゲステロン−BSA結合体のクエン酸緩衝液による溶液を点着して乾燥させ、プロゲステロン−BSA結合体を固定化した基板を作製した。調製した基板を、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、和光純薬社製)を0.05質量%の濃度で含むPBS溶液(pH7.4)を予め調製し、この溶液300μLを用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金蒸着膜上のプロゲステロン−BSA結合体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除き、評価用基板を作製した。
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、流路型センサチップを作製した。その概略図を図1および図2に示した。図1は、センサチップ1の概略図であり、図2は、センサチップ1の分解図である。センサチップ1は、上部部材2、中間部材3および基板4から構成されている。上部部材2には、第一の容器5および第二の容器6が設けられている。なお、第一の容器5および第二の容器6を併せて、容器群7と称する。基板4には、流路10が形成されており、流路10の上には、検出領域8および参照領域9が形成されている。
上記で調整した蛍光標識抗体を用い、IMMUNO AU10V(富士フイルム社製)にてプロゲステロンの測定を実施した。30.0ng/mLのプロゲステロンを含む試料を用意した。次に、上記で調製した蛍光標識した抗プロゲステロン抗体と試料の混合液を作製した時点での、抗プロゲステロン抗体量とプロゲステロン量が10対1になるよう調整し、蛍光標識抗体と試料との混合液を10分間攪拌しながら調製した。次に、上記で作製した基板を封入した流路型センサチップに蛍光標識抗体と試料との混合液をそれぞれ点着した。点着後、ポンプ吸引を行いながら混合液を10μL/minの速度で流下させ、プロゲステロン−BSA結合体を固定した金膜面上に接触させてから、蛍光強度を1.5分間継続して測定した。基板において得られた蛍光強度の単位時間における増加速度を蛍光シグナル値として求め、相対蛍光シグナル量を比較した。算出に用いた計算式と評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
相対蛍光シグナル値=(各蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)/(比較例1で作製した蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)
S:2.0以上
A:1.8以上 2.0未満
B:1.6以上 1.8未満
C:1.4以上 1.6未満
D:1.1以上 1.4未満
E:1.1未満
実施例1の蛍光標識抗体の作製において、化合物(1)の代わりに化合物(2)を用い、0.06mmol/L溶液150μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、そこに0.06mmol/LのEDC水溶液(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)を150μL加え、0.5mg/mLの抗プロゲステロンモノクローナル抗体(GeneTex社製)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。得られた蛍光標識抗体を使用し、実施例1に記載の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
化合物(2)の代わりに比較化合物を使用すること以外は、実施例2と同様の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
(蛍光標識抗体の作製)
上記で合成した化合物(1)の0.03mmol/L水溶液300μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、その後、0.5mg/mLの抗TSHモノクローナル抗体(Meridian life science社製:Anti−TSH Mab MAT04−410)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基体(三菱レイヨン(株)社製、アクリペット(登録商標)VH)を準備し、スパッタ法により、厚さ45nmの金膜を片面に蒸着し7mmの幅に裁断して、同じ基板を7枚作製した。この基板の金蒸着面上に、1−Undecanthiol(和光純薬工業株式会社製323−78512 )および、末端にヒドロキシ基を持つアルカンチオールである11−Hydroxy−1−undecanethiol(株式会社 同仁化学研究所H337)を99対1の重量比で混合して作成した1mmmol/Lの濃度の溶液を用いて金蒸着面上に添加し、16時間静置することで自己組織化膜を形成した。その後混合溶液を除去し、ヘキサン100μLにて3回・超純水100μLにて1回洗浄後乾燥した。調製した抗TSHモノクローナル抗体1(Medix社製、5409)を含む液(濃度:10μg/mL in 150mmol/L NaCl)を上記のように形成した自己組織化膜上に点着して1時間静置した後に乾燥させ、抗TSH抗体を固定化した基板を作製した。調製した基板を、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、和光純薬社製)を0.05質量%の濃度で含むPBS溶液(pH7.4)を予め調製し、この溶液300μLを用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金膜上の抗TSH抗体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除き、評価用基板を作製した。
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、流路型センサチップを作製した。その概略図を図1および図2に示した。図1は、センサチップ1の概略図であり、図2は、センサチップ1の分解図である。センサチップ1は、上部部材2、中間部材3および基板4から構成されている。上部部材2には、第一の容器5および第二の容器6が設けられている。なお、第一の容器5および第二の容器6を併せて、容器群7と称する。基板4には、流路10が形成されており、流路10の上には、検出領域8および参照領域9が形成されている。
被検試料として、イヌ血清を使用した。イヌ血清は、北山ラベスから購入した東洋ビークル犬の血清を用意した。
上記で調製した蛍光標識抗体を用い、IMMUNO AU10V(富士フイルム社製)にてTSHの測定を実施した。上記で準備した被検試料(イヌ血清)100μLと、蛍光標識した抗TSH抗体との混合液を調製し、この混合液を10分間攪拌した。次に、上記で作製した基板を封入した流路型センサチップに蛍光標識抗体と被検試料との混合液をそれぞれ点着した。点着後、ポンプ吸引を行いながら混合液を10μL/minの速度で流下させ、抗TSH抗体を固定した金膜面上に接触させてから、蛍光強度を1.5分間継続して測定した。基板において得られた蛍光強度の単位時間における増加速度を蛍光シグナル値として求め、相対蛍光シグナル量を比較した。算出に用いた計算式と評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
相対蛍光シグナル値=(各蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)/(比較例2で作製した蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)
S:2.0以上
A:1.8以上 2.0未満
B:1.6以上 1.8未満
C:1.4以上 1.6未満
D:1.1以上 1.4未満
E:1.1未満
実施例3の蛍光標識抗体の作製において、化合物(1)の代わりに化合物(2)を用い、0.06mmol/L水溶液150μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、そこに0.06mmol/LのEDC水溶液(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)を150μL加え、0.5mg/mLの抗TSHモノクローナル抗体(Meridian life science社製:Anti−TSH Mab MAT04−410)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。得られた蛍光標識抗体を使用し、実施例1に記載の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
化合物(2)の代わりに比較化合物を使用すること以外は、実施例4と同様の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
2 上部部材
3 中間部材
4 基板
5 第一の容器
6 第二の容器
7 容器群
8 検出領域
9 参照領域
10 流路
Claims (12)
- 測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
前記測定対象物質または前記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキット。
式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。L1およびL2はそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。X1およびX2はそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、X1およびX2のうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、X1およびX2のうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。 - 親水性部が、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している、請求項1に記載のキット。
- 生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部が、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドである、請求項1または2に記載のキット。
- 式(1)で表される化合物の発光極大波長が600nm以上である、請求項1から5の何れか一項に記載のキット。
- 前記金属膜が、金を含む金属膜である、請求項1から6の何れか一項に記載のキット。
- 前記第一の結合物質が、抗体である、請求項1から7の何れか一項に記載のキット。
- 検出領域は、測定対象物質と結合性を有する第二の結合物質を有し、前記第二の結合物質が、抗体である、請求項1から8の何れか一項に記載のキット。
- 下記式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤。
式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。L1およびL2はそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。X1およびX2はそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、X1およびX2のうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、X1およびX2のうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。 - 請求項10に記載の蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体。
- 抗体が、アミド結合を介して、請求項10に記載の蛍光標識剤に結合している、請求項11に記載の蛍光標識抗体。
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