JP2019144145A - 測定対象物質を測定するためのキット、蛍光標識剤および蛍光標識抗体 - Google Patents

測定対象物質を測定するためのキット、蛍光標識剤および蛍光標識抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度測定が可能である測定対象物質を測定するためのキット、680nm以上という長波長領域に発光極大波長を有し、かつ高い量子収率を示す蛍光標識剤、および上記蛍光標識剤を含む蛍光標識抗体を提供すること。
【解決手段】測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
上記測定対象物質または上記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキット。
Figure 2019144145

式(1)中の各記号の意味は、本明細書中に定義した通りである。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定構造を有する発光化合物を用いた測定対象物質を測定するためのキットに関する。本発明はさらに、蛍光標識剤および蛍光標識抗体に関する。
タンパク質、酵素または無機化合物などを定量するための高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する測定対象物質を含むと考えられる試料に上記特定波長の励起光を照射した際に発する蛍光を検出することによって測定対象物質の存在を確認する方法である。測定対象物質が蛍光体でない場合には、例えば、測定対象物質と特異的に結合する物質を蛍光色素で標識した状態で試料に接触させ、その後上記と同様にして、励起光を照射した際に発する蛍光を検出することにより、測定対象物質の存在を確認することができる。
上記のような蛍光検出法において、微量に存在する測定対象物質を検出するための感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が知られている。この方法では、プラズモン共鳴を生じさせるため、透明な支持体上の所定領域に金属層を設けたセンサチップを用意し、支持体と金属膜との界面に対して支持体の金属層形成面と反対の面側から、全反射角以上の所定の角度で励起光を入射さる。かかる励起光の照射により金属層に表面プラズモンが発生するが、この表面プラズモンの発生による電場増強作用によって、蛍光を増強させることによりシグナル/ノイズ比(S/N比)が向上し高感度な測定が可能となる。表面プラズモン励起による蛍光検出法(以下、「SPF法」とする)は、落射励起による蛍光検出法(落射蛍光法とも称する)に対して、信号増強度が約10倍得られ、高感度に測定することができる。
特許文献1には、ジピロメテン−ホウ素親水性蛍光性化合物が記載されている。特許文献1には、上記の親水性蛍光性化合物を水性媒体中での蛍光マーカーとして使用することが記載されている。特許文献2には、蛍光性ではないジピロメテン−ホウ素に由来する蛍光性化合物が記載されている。特許文献2には、上記の蛍光性化合物を生体分子の蛍光標識のために使用することが記載されている。
特表2012−513974号公報 特表2012−513973号公報
特許文献1および特許文献2に記載の蛍光性化合物は、量子収率が低く、測定感度が低いという問題があった。本発明は、高感度測定が可能である測定対象物質を測定するためのキットを提供することを解決すべき課題とする。本発明はさらに、680nm以上という長波長領域に発光極大波長を有し、かつ高い量子収率を示す蛍光標識剤、および上記蛍光標識剤を含む蛍光標識抗体を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、680nm以上という長波長領域に発光極大波長を有し、かつ高い量子収率を示す、特定の構造を有する化合物を蛍光標識剤として用いることによって、高感度測定が可能である測定対象物質を測定するためのキットを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
上記測定対象物質または上記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキット。
Figure 2019144145
式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。LおよびLはそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
Figure 2019144145
式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。
[2] 親水性部が、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している、[1]に記載のキット。
[3] 生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部が、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドである、[1]または[2]に記載のキット。
[4] 式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、[1]から[3]の何れか一に記載のキット。
Figure 2019144145
式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
[5] 式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、[1]から[4]の何れか一に記載のキット。
Figure 2019144145
式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
[6] 式(1)で表される化合物の発光極大波長が600nm以上である、[1]から[5]の何れか一に記載のキット。
[7] 上記金属膜が、金を含む金属膜である、[1]から[6]の何れか一に記載のキット。
[8] 上記第一の結合物質が、抗体である、[1]から[7]の何れか一に記載のキット。
[9] 検出領域は、測定対象物質と結合性を有する第二の結合物質を有し、上記第二の結合物質が、抗体である、[1]から[8]の何れか一に記載のキット。
[10] 下記式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤。
Figure 2019144145
式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。LおよびLはそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
Figure 2019144145
式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。
[11] [10]に記載の蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体。
[12] 抗体が、アミド結合を介して、[10]に記載の蛍光標識剤に結合している、[11]に記載の蛍光標識抗体。
本発明による測定対象物質を測定するためのキットによれば、高感度の測定が可能である。本発明の蛍光標識剤および蛍光標識抗体は、680nm以上という長波長領域に発光極大波長を有し、かつ高い量子収率を示す。
図1は、センサチップの概略図を示す。 図2は、センサチップの分解図を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
本発明は、測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
上記測定対象物質または上記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
を含む、測定対象物質を測定するためのキットに関する。
Figure 2019144145
式(1)中の各記号の意味は、本明細書中に定義した通りである。
通常、親水性基により親水化した蛍光性色素は、水系においては疎水性骨格による凝集により量子収率(感度)が低下する。本発明において使用する式(1)で表される化合物においては、ArおよびArがジピロメテン骨格に直交し、分子間の相互作用が低下するという特定構造を有することにより、凝集消光を抑制することを通じて、感度の向上に繋がっているものと推定される。
本明細書において、アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状またはこれらの組み合わせの何れでもよく、直鎖または分岐鎖アルキル基の炭素数は好ましくは1〜36であり、より好ましくは1〜18であり、さらに好ましくは1〜12であり、特に好ましくは1〜6である。環状のアルキル基としては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキルなどが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。
本明細書において、アリール基は、炭素数が6〜48のアリール基が好ましく、炭素数が6〜24のアリール基がより好ましく、炭素数が6〜14のアリール基がさらに好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
本明細書において、ヘテロアリール基としては、好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、単環もしくは縮環のヘテロ環基の何れでもよい。ヘテロアリール基は、好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子の何れかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員のヘテロアリール基である。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基等が挙げられる。
本明細書において、アシル基としては、好ましくは炭素数2〜15の直鎖、または分岐アルカノイル基であり、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
本明細書において、アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基などが挙げられる。
本明細書において、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、芳香環とは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、ピレン環、ペリレン環およびテリレン環等の芳香族炭化水素環;インデン環、アズレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、ピラゾリジン環、チアゾリジン環、オキサゾリジン環、ピラン環、クロメン環、ピロール環、ピロリジン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、トリアジン環、ジアゾール環、インドリン環、チオフェン環、チエノチオフェン環、フラン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジン環、チアゾール環、インドール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ピラジン環、キノリン環およびキナゾリン環等の芳香族ヘテロ環;並びにフルオレン環およびカルバゾール環等の縮合型芳香環等が挙げられ、炭素数5〜16の芳香環(芳香環および芳香環を含む縮合環)が好ましい。
なお、芳香環は置換基を有していてもよく、「芳香環」との用語は、置換基を有する芳香環、および置換基を有さない芳香環の両方を意味する。芳香環が有する置換基としては、後記する置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
本明細書において、アミノ基としては、アミノ基;モノまたはジメチルアミノ基、モノまたはジエチルアミノ基並びにモノまたはジ(n−プロピル)アミノ基等のアルキル置換アミノ基;モノまたはジフェニルアミノ基並びにモノまたはジナフチルアミノ基等の芳香族残基で置換されたアミノ基;モノアルキルモノフェニルアミノ基等のアルキル基と芳香族残基が一つずつ置換したアミノ基;ベンジルアミノ基、アセチルアミノ基、フェニルアセチルアミノ基等が挙げられる。ここで芳香族残基とは、芳香環から水素原子1個を除いた基を意味し、芳香環は本明細書中上記した通りである。
11、R12およびR13が表すアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、下記の置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。置換基群Aの置換基は、置換基群Aの置換基によりさらに置換されていてもよい。
置換基群A:
スルファモイル基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、ニトロシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、アシル基、アルデヒド基、カルボニル基、アリール基、アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、エテニル基、エチニル基、シリル基、およびトリアルキルシリル基(トリメチルシリル基等)。
およびXが表すアリール基またはアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
Ar、Ar、ArおよびArが表すアリール基またはヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
111〜R116が表すアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
親水性部は、好ましくは、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している。
ポリエチレングリコール構造としては、−(CH−CH−O)−H(式中、nは1〜10の整数を示す)で示される構造を挙げることができる。
ベタイン構造としては、アニオン性イオンとカチオン性イオンとが隣接しない位置で共存するベタイン構造が好ましく、アニオン性イオン部分とカチオン性部分が連結基を介して化学結合している。アニオン性イオン部分としては、例えば、カルボン酸イオン(−COO)、硫酸イオン(−OSO )、スルホン酸イオン(−SO )、リン酸イオン(−OPO −)が挙げられ、カチオン性イオン部分としては、例えば、第4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。また、連結基としては炭素数1〜6個のアルキレン基などが挙げられる。
アミノ酸構造としては、アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アルパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなど)に由来する構造、即ち、炭素原子にカルボキシ基とアミノ基とが結合している構造を挙げることができる。
生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部は、好ましくは、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドである。
活性エステルとしては、−C(=O)−Xという化学構造を挙げることができる。Xは、ハロゲン、N−ヒドロキシスクシンイミド基またはその誘導体、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール基またはその誘導体、ペンタフルオロフェニル基、パラニトロフェニル基などの脱離基を意味するが、これらに限定されない。活性エステルとしては、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルが望ましい。
<式(1)で表される化合物>
式(1)中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
11およびR13は、好ましくは、アルキル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
11およびR13は、特に好ましくはメチル基を表す。
12は、好ましくは、アリール基を表し、これは置換基を有していてもよい。
12は、より好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
12は、さらに好ましくは、生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部(例えば、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドなど)を有するフェニル基、またはフッ素原子で置換されたフェニル基を示す。
式(1)中、LおよびLはそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。
Figure 2019144145
式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。
およびLは、好ましくは、式(L−1)または式(L−2)の何れかを表し、より好ましくは、式(L−1)を表す。
111〜R116は、好ましくは水素原子である。
式(1)中、Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
好ましくは、式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)で表される基であり、より好ましくは、式(1)中のArおよびArが下記式(Ar−1)で表される基である。
Figure 2019144145
式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
好ましくは、式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)で表される基であり、より好ましくは、式(1)中のArおよびArが下記式(Ar−1)で表される基である。
Figure 2019144145
式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
式(1)中、XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。
およびXは、好ましくは、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
より好ましくは、XおよびXはともにハロゲン原子であるか、またはXおよびXはともにポリエチレングリコール構造を有する基で置換されたアルコキシ基を示す。
式(1)中、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
<式(1)で表される化合物の具体例>
式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2019144145
本発明において、式(1)で表される化合物は少なくとも一種使用するが、二種以上の式(1)で表される化合物を組み合わせて使用してもよい。
<式(1)で表される化合物の製造方法>
式(1)で表される化合物は、例えば、後記する実施例に示す合成スキームにより製造することができる。
一例として、化合物(1)(構造は後記の実施例に記載)の合成の概要を以下に示す。ジクロロメタン中においてテレフタルアルデヒド酸エチルおよび2,4−ジメチルピロールを混合し、続いて、トリフルオロ酢酸およびクロラニルを加えて攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミンを加える。混合物を撹拌した後に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を添加し、撹拌する。これにより、化合物(1−A)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−A)および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを混合し、N−ヨードスクシンイミド(NIS)を添加し、チオ硫酸ナトリウムを加えることにより化合物(1−B)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−B)、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒドおよびトルエンの混合物に、ピペリジンとパラトルエンスルホン酸を添加して反応させることにより化合物(1−C)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−C)、4−ボロノベンゼンスルホン酸、フッ化セシウムおよびメトキシシクロペンタンの混合物にSPhos Pd G3を加えて加熱還流した後に、塩酸水溶液および酢酸エチルを加え、得られた反応液を精製した後、水酸化ナトリウム溶液を加えることにより化合物(1−D)(構造は後記の実施例に記載)を得る。
化合物(1−D)に水、EDC(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)、およびN−ヒドロキシスクシンイミドを添加し、攪拌することにより化合物(1)を得ることができる。
別の例としては、化合物(2)は、後記する実施例における<合成例2>の合成スキームに従って、化合物(2−A)、化合物(2−B)、化合物(2−C)および化合物(2−D)を経由して製造することができる。
化合物(1)および化合物(2)は、式(1)で表される化合物の定義の範囲内である。化合物(1)および化合物(2)以外の式(1)で表される化合物についても、反応に使用する化合物を、所望の式(1)で表される目的化合物に対応する置換基を有する化合物に置き換えることによって、製造することができる。
<式(1)で表される化合物の発光極大波長および量子収率>
発光極大波長とは、吸収スペクトルにおいて吸光度が最も大きくなる波長のことを表す。
式(1)で表される化合物の発光極大波長は、好ましくは600nm以上であり、より好ましくは640nm以上であり、さらに好ましくは660nm以上であり、特に好ましくは680nm以上であり、最も好ましくは700nm以上である。
式(1)で表される化合物の発光極大波長の上限は特に限定されないが、好ましくは900nm以下であり、より好ましくは800nm以下である。
化合物の発光極大波長は、市販の蛍光分光光度計を使用して測定することができ、例えば、島津製作所製の蛍光分光光度計RF−5300PC、浜松ホトニクス社製の絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置C9920−02を使用して測定することができる。
量子収率とは、化合物が吸収した光子数に対する蛍光として発光した光子数の割合のことである。
式(1)で表される化合物が示す量子収率は、好ましくは0.65以上であり、より好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは0.75以上であり、さらに一層好ましくは0.8以上であり、特に好ましくは0.85以上である。量子収率の上限は特に限定されないが、一般的には、1.0以下である。
式(1)で表される化合物の量子収率は、市販の量子収率測定装置を使用して測定することができ、例えば、浜松ホトニクス社製の絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置C9920−02を使用して測定することができる。
<測定対象物質>
本発明のキットは、測定対象物質を測定するためのキットである。
測定対象物質は、生体試料中に存在するものでもよい。生体試料としては、測定対象物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、または喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚などを挙げることができる。
測定対象物質としては、特に限定されないが、例えば、コレステロール、ホルモン(ステロイドホルモン、ペプチドホルモンなど)、タンパク質、胆汁酸、コルチゾールなどが挙げられる。測定対象物質としては、特に好ましくは、プロゲステロンまたは甲状腺刺激ホルモン(TSH)を挙げることができる。
(第一の結合物質)
本発明で用いる第一の結合物質は、測定対象物質と結合性を有する結合物質である。第一の結合物質としては、抗原、抗体、またはこれらの複合体を使用できるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第一の結合物質は抗体である。第一の結合物質が抗体である場合は、測定対象物質と結合性を有する抗体として、例えば、その測定対象物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その測定対象物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)、Fab、Fab’、またはFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でもよく、あるいは動物血清または培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。
<測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物>
式(1)で表される化合物における生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部と、第一の結合物質(例えば、抗体)とを反応させることにより、第一の結合物質と式(1)で表される化合物とを結合させることができる。
例えば、式(1)で表される化合物におけるカルボキシル基を、水溶性カルボジイミド〔WSC〕(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩〔EDC〕など)とN−ヒドロキシコハク酸イミド〔NHS〕とにより活性エステル化し、次いで活性エステル化したカルボキシル基と、第一の結合物質(抗体など)が有するアミノ基とを、水溶性カルボジイミドを用いて脱水反応させ固定化させる方法を挙げることができる。あるいは、イソチオシアネートおよびアミノ基をそれぞれ有する第一の結合物質(抗体など)および式(1)で表される化合物を反応させ固定化する方法;スルホニルハライドおよびアミノ基をそれぞれ有する第一の結合物質(抗体など)および式(1)で表される化合物を反応させ固定化する方法;ヨードアセトアミドおよびチオール基をそれぞれ有する第一の結合物質(抗体など)および式(1)で表される化合物を反応させ固定化する方法;ビオチン化された式(1)で表される化合物とストレプトアビジン化された第一の結合物質(抗体など)(あるいは、ストレプトアビジン化された式(1)で表される化合物とビオチン化された第一の結合物質(抗体など))とを反応させ固定化する方法などが挙げられる。
測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物は、本発明のキットに含まれているが、キットの一部である容器、たとえばカップに含まれている態様が好ましい。この場合、生体試料を、上記容器に注入して混合、攪拌することにより、生体試料中の測定対象物質と第一の結合物質とを結合させることができる。
<蛍光標識剤および蛍光標識抗体>
上記の通り、式(1)で表される化合物は、抗体などの第一の結合物質に蛍光標識として結合させて使用することができるものであり、式(1)で表される化合物は、蛍光標識剤として有用である。即ち、本発明によれば、式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤が提供される。
Figure 2019144145
式(1)中の各記号の意味は、本明細書中に定義した通りである。
本発明によれば、上記した蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体が提供される。好ましくは、抗体は、アミド結合を介して、蛍光標識剤に結合している。
(基板)
本発明では、高感度な測定を達成するために、後述する表面プラズモン蛍光(SPF)検出を行う測定法を採用することが好ましい。この場合における基板としては、表面に金属膜を有する基板を使用することが好ましい。金属膜を構成する金属としては、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、または白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。金を使用する場合、後記する検出領域は、金膜上にある。上記の金属は単独または組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に10nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上、10nm以下であることが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、または無電解めっき法等によって行うことができるが、基板材質と金属膜との混合層を設けて、金属膜の密着性を良くするためには、スパッタ法により金属膜を作製することが好ましい。この場合、基板材質と金属膜との混合層の厚さは十分な密着性が確保できれば特に制限はないが、10nm以下が好ましい。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む。本発明で使用することができる基板の材質としては例えば、一般的な光学ガラスの一種であるBK7(ホウ珪酸ガラス)等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、またはシクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
SPF検出のための基板の好ましい態様としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に金膜を蒸着した基板などを挙げることができる。
基板は、測定対象物質または第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質を有する検出領域を、金属膜上に備えている。
(第二の結合物質)
第二の結合物質は、測定対象物質と結合性を有する物質であるか、または第一の結合物質と結合性を有する物質である。定量をサンドイッチアッセイ法で行う場合には、第二の結合物質として、測定対象物質と結合性を有する物質を使用することができる。定量を競合法で行う場合には、第二の結合物質として、第一の結合物質と結合性を有する物質を使用することができる。
第二の結合物質としては、特に限定されないが、好ましい例としては、抗原、抗体、またはこれらの複合体が挙げられる。第二の結合物質として抗原を用いる場合には、測定対象物質(これは、第一の結合物質と結合性を有する物質である)あるいはそのハプテンを使用することが好ましい。第二の結合物質として、測定対象物質あるいはそのハプテンを使用する場合には、第二の結合物質は、測定対象物質とキャリアとの結合体であることが好ましい。キャリアとは、測定対象物質の複数の分子が結合可能な物質を意味する。好ましいキャリアの一例としては、タンパク質などが挙げられ、その中でも具体的には、ウシ血清アルブミン等を挙げることができる。
第二の結合物質として抗体を用いる場合、抗体を基板上にある金属膜上に固定する方法としては、物理吸着あるいは共有結合による化学結合の何れの原理も採用することが可能である。また、金属消光を防止する目的で、金属膜上に自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer:SAM)を形成し、SAM膜上に第二の結合物質を固定したりする方法や、更にこのSAM上にカルボキシメチルデキストラン(CMD)等の親水性高分子層を設け、その親水性高分子層に第二の結合物質を固定したりする方法を利用することもできる。
自己組織化単分子膜(SAM)とは、代表的には、アルカンチオール化合物を、金を含む金属膜表面に接触、放置した際に、アルカンチオ−ル化合物と金を含む表面が反応して、Au−S結合を形成すると共に、アルキル長鎖同士の相互作用によって、金表面に形成される、高い配向性をもつ単分子膜として知られているもので、表面プラズモン共鳴/蛍光や、水晶発振子マイクロバランス(QCM;Quartz Crystal Microbalance)等の分野で広く利用されているものである。
SAMの具体例としては、1−ウンデカンチオールや、10−カルボキシ−1−デカンチオール、11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオールからなる膜、あるいはこれらを組み合わせた膜、などを挙げることができる。
上記のSAM上には、親水性高分子層を設けることが好ましく、この親水性高分子層は、SAM上に2次元構造または3次元構造を形成するために設けるものであり、特に3次元構造を設ける場合には、第二の結合物質の固定化を、支持体表面の2次元に限定することなく、基板上の金属膜表面から遊離した3次元空間にまで広げられる親水性高分子層の構造を作製することが可能となる。
この親水性高分子の具体例としては、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一種の高分子を挙げることができる。ポリサッカライドとしては、デキストラン、あるいはデキストラン誘導体などの親水性高分子であることが好ましく、カルボキシメチルデキストラン(CMD)などのデキストランで構成された親水性高分子層であることが、生体親和性の向上や非特異的な吸着反応の抑制性の向上の観点から好ましい。
第二の結合物質として抗体を用いる場合、この親水性高分子層に固定化する方法としては、例えば、カルボキシメチルデキストラン(CMD)などの反応性官能基を有する高分子が有するカルボキシル基を、水溶性カルボジイミド(WSC)、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)などとN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)により活性エステル化し、この活性エステル化したカルボキシル基と、第二の結合物質である抗体が有するアミノ基とを水溶性カルボジイミドを用いて脱水反応させ固定化させる方法などが挙げられる。
<検出領域(テストエリア)>
本発明においては、基板上に、測定対象物質の有無を検出する検出領域(テストエリア)が設けられている。この検出領域では、例えば測定対象物質である抗原を捕まえて、抗原に結合した標識の量を検出し定量することで、抗原を定量することが可能となる。あるいは、抗原に結合した標識のみを結合できないようにし、抗原に結合していない標識のみを捕獲して、抗原に結合した標識の量を算出する方法により、抗原を定量することが可能となる。
<抗体>
本発明において、抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ニワトリなど免疫反応が起こり得る生物に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ハムスターIgG、ハムスターIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM、ウシIgG、ウシIgM、トリIgY等であり、ポリクローナルまたはモノクローナルのどちらも使用可能である。さらに断片化抗体を使用してもよい。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab’)等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。
<キットの他の要素>
本発明のキットは、測定対象物質を測定する方法に用いられるものであり、測定対象物質がプロゲステロンである場合には、プロゲステロン測定診断用のキットであり、測定対象物質が甲状腺刺激ホルモン(TSH)である場合には、TSH測定診断用のキットである。本発明のキットは、測定対象物質の測定を実施するに当たり、測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物;および第二の結合物質を有する検出領域を金属膜上に備えた基板を含むものであるが、表面プラズモン励起装置、および蛍光測定デバイスなどの、測定対象物質の測定に使用される各種の器材または装置を含めてもよい。さらに、キットの要素として、既知量の測定対象物質を含む試料、取扱説明書などを含めてもよい。
<競合法>
競合法の一例として、プロゲステロンを定量する場合を以下に説明する。プロゲステロン以外の物質を定量する場合も、同様に実施することができる。
先ず、プロゲステロン・アルブミン結合体が固定化されているプロゲステロン免疫測定用基板に、プロゲステロンを含む生体試料および蛍光標識抗プロゲステロン抗体を接触させる。その生体試料中にプロゲステロンが存在しない場合には、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン(即ち、プロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロン)とにより、基板上で抗原抗体反応が起こる。一方、生体試料中にプロゲステロンが存在する場合には、生体試料中のプロゲステロンと蛍光標識抗プロゲステロン抗体との間で抗原抗体反応が起こり、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン(即ち、プロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロン)との間の抗原抗体反応が阻害される。上記の反応が終了した後、基板上のアルブミンに結合しなかった蛍光標識抗プロゲステロン抗体を除去する。次いで基板上の免疫複合体(即ち、蛍光標識抗プロゲステロン抗体と、基板上のプロゲステロン・アルブミン結合体中のプロゲステロンとの複合体)の形成の度合いを蛍光強度として検出する。上記により、生体試料中のプロゲステロンの濃度などを測定することができる。
競合法における蛍光の測定形態は、プレートリーダー測定、あるいはフロー測定のいずれかの測定を採用することが可能であり、例えば、以下の方法により測定することができる。予め、プロゲステロン濃度が異なるプロゲステロン量既知の試料を複数用意し、この試料および蛍光標識抗プロゲステロン抗体を予め混合する。この混合液を、プロゲステロン・アルブミン結合体が固定化されている領域に接触させる。プロゲステロン・アルブミン結合体が固定化されている領域からの蛍光信号を、特定の時間間隔で混合液が結合体に接触している間、複数の蛍光信号として測定する。この複数の蛍光信号から、各プロゲステロン濃度において、蛍光量の時間変化(傾き)を求める。この時間変化をY軸、プロゲステロン濃度をX軸としてプロットし、最小二乗法等の適宜ふさわしいフィッティング方法を用いて、蛍光量の時間変化に対するプロゲステロン濃度の関係式を取得する。このように取得した関係式に基づき、検査目的とする生体試料を用いた蛍光量の時間変化の結果を用いて、生体試料に含まれるプロゲステロン量を定量することができる。
このプロゲステロン量の定量は、短時間で行うことが好ましい。具体的には、10分以内に行われることが好ましく、8分以内がより好ましく、更には6分以内で行われることが好ましい。この定量時間には、最小二乗法等の適宜ふさわしいフィッティング方法を用いて予め取得した蛍光量の時間変化とプロゲステロン濃度との関係式を利用して、試料および蛍光標識抗プロゲステロン抗体を、プロゲステロン・アルブミン結合体が固定化されている検出領域に接触させてから、検査目的とする生体試料を用いた蛍光量の時間変化の結果を基に生体試料に含まれるプロゲステロン量を換算する時間が含まれていることが好ましい。
<サンドイッチ法>
サンドイッチ法の一例として、TSHを定量する場合を以下に説明する。TSH以外の物質を定量する場合も、同様に実施することができる。
先ず、抗TSHモノクローナル抗体1が固定化されているTSH免疫測定用基板に、TSHを含む生体試料および蛍光標識抗TSH抗体2を接触させる。その生体試料中にTSHが存在する場合には、あらかじめ蛍光標識した抗TSH抗体2と抗原抗体反応したTSHと、基板上の抗TSH抗体1とにより、基板上で抗原抗体反応が起こる。一方、生体試料中にTSHが存在しない場合には、生体試料と混合した蛍光標識抗TSH抗体2と基板上の抗TSH抗体1との間で抗原抗体反応が起こらない。上記の反応が終了した後、基板上の抗TSH抗体1に結合しなかった蛍光標識抗TSH抗体2を除去する。次いで基板上の免疫複合体(即ち、蛍光標識抗TSH抗体2とTSH、基板上の抗TSH抗体1との複合体)の形成の度合いを蛍光強度として検出する。上記により、測定対象物質の濃度などを測定することができる。なお、蛍光強度と測定対象物質の濃度は、正の相関関係がある。
(流路)
本発明の好ましい態様においては、測定対象物質を含む可能性のある生体試料と、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物とを混合した混合液を、基板上に適用し、流路に展開することができる。流路とは、生体試料と、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物とが、検出領域まで流下する通路であれば、特に制限はない。好ましい流路の態様としては、第一の結合物質と結合した式(1)で表される化合物を含む生体試料液を点着する点着口、検出領域としての金属膜、および金属膜を超えて流路が存在し、生体試料が、金属膜上を通過できる構造を有するものである。好ましくは、金属膜に対して、点着口とは反対側に、吸引口を設けることができる。
(表面プラズモン蛍光測定)
本発明における蛍光などの標識の検出方法としては、特に限定されないが、例えば、蛍光強度を検出することができる機器、具体的には、マイクロプレートリーダー、または表面プラズモン励起による蛍光検出(SPF)を行うためのバイオセンサーなどを用いて蛍光強度を検出することが好ましい。好ましくは、表面プラズモン共鳴による蛍光検出により、測定対象物質の量に関連した標識情報を取得することができる。
なお、蛍光の測定の形態は、プレートリーダー測定でもよいし、フロー測定でもよい。表面プラズモン励起による蛍光検出法(SPF法)は、落射励起による蛍光検出法(落射蛍光法)よりも高感度に測定することができる。
表面プラズモン蛍光(SPF)バイオセンサーとしては、例えば、特開2008−249361号公報に記載されているような、所定波長の励起光を透過させる材料から形成された光導波路と、この光導波路の一表面に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを光導波路に通し、上記光導波路と金属膜との界面に対して表面プラズモンを発生させる入射角で入射させる光学系と、上記表面プラズモンによって増強されたエバネッセント波によって励起されることによって発生する蛍光を検出する蛍光検出手段とを備えたセンサーを用いることができる。
表面プラズモン励起による蛍光検出(SPF)系は、好ましくは、基板上の金属膜上に固定化された測定対象物質の量に依存した蛍光物質からの蛍光を検出するアッセイ方法であり、例えば、溶液中での反応の進行により、光学的な透明度の変化を濁度として検出する、いわゆるラテックス凝集法とは異なる方法である。ラテックス凝集法とは、ラテックス試薬中の抗体感作ラテックスと生体試料中の抗原が、抗体反応により結合し凝集するが、この凝集塊は時間と共に増大し、この凝集塊に近赤外光を照射して得られた単位時間当たりの吸光度変化から、抗原濃度を定量化する方法である。本発明では、ラテックス凝集法に比べて、非常に簡便な測定対象物質の検出方法を提供できる。
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。以下の化学式においてEtはエチルを示す。
Figure 2019144145
<合成例1>
Figure 2019144145
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、テレフタルアルデヒド酸エチル1.07gおよびジクロロメタン50mLを導入し、室温で撹拌した。水冷しながら2,4−ジメチルピロール1.14gを滴下し、続いて、トリフルオロ酢酸を5滴加えた後、室温で1時間撹拌した。水冷しながらクロラニル2.94gを加え、室温で1時間撹拌した後、水冷しながらジイソプロピルエチルアミン(NPrEt)5.43gを滴下し、室温で30分間撹拌した。続いて、水冷しながら三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体8.29mLを滴下し、室温で1時間撹拌した。蒸留水100mlを加え、抽出・分液して得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで予備乾燥した後、減圧濃縮した。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A)を1.02g得た。化合物(1−A)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M+H]=397
Figure 2019144145
300mL三ツ口フラスコに、化合物(1−A)を2.63g、および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール60mLを導入し、室温で撹拌した。N−ヨードスクシンイミド(NIS)3.60gを導入し、室温で1時間半撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液50mL(チオ硫酸ナトリウム10g溶解)、および塩化メチレン100mLを加え、抽出・分液して得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで予備乾燥した後、減圧濃縮した。この粗生成物をエタノールで再結晶することにより、化合物(1−B)を3.27g得た。化合物(1−B)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M+H]=648
100mLのフラスコに化合物(1−B)0.37g、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド0.59gおよびトルエン50mLを加え、そこにピペリジン5mLとパラトルエンスルホン酸ひとかけらを添加して、オイルバスで3時間還流させた。反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−C)を0.40g得た。化合物(1−C)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M+H]=909
Figure 2019144145
100mL三ツ口フラスコに、化合物(1−C)を500mg、4−ボロノベンゼンスルホン酸1000mg、フッ化セシウム1152.2mg、およびメトキシシクロペンタン26mLを導入し、室温で撹拌しながら、減圧脱気後、窒素雰囲気にした。ここに、SPhos Pd G3(Aldrich製)322mgを加え、1時間加熱還流した。1mol/L塩酸水溶液100mL、および酢酸エチル100mLを加え、得られた反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/ジクロロメタン)で精製した。精製後、1mol/L水酸化ナトリウムの水/エタノール(EtOH)(1/1)溶液を10mL加え、1時間攪拌後、エタノールで洗浄し、化合物(1−D)を31mg得た。化合物(1−D)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=939
100mLフラスコに化合物(1−D)30mg、水10mLを加え、そこにEDC(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)を10mg、N−ヒドロキシスクシンイミドを10mg添加し、1時間攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/ジクロロメタン)で精製し、化合物(1)を5mg得た。化合物(1)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=1036
<合成例2>
Figure 2019144145
合成例1と同様に、使用する原料を変えて化合物(2−E)を合成した。化合物(2−E)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=893
50mLフラスコに、化合物(2−E)を100mg測りとり、塩化メチレン3mLに溶解し、三塩化アルミニウム64mgを加え、30分間加熱還流した。その後、室温へ戻し、トリエチレングリコールモノメチルエーテル1mLを加え、30分間反応させた。反応終了後、減圧濃縮した後、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、メタノール/塩化メチレンで再結晶することにより、化合物(2)を32mg得た。化合物(2)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=1181
<比較化合物>
比較化合物は、特表2012−513974号公報に記載の方法に準じて合成した。
<1>蛍光色素溶液の発光極大波長および量子収率の評価
上記で合成した蛍光色素(化合物(1)、化合物(2)、および比較化合物)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に溶解し、発光極大波長および量子収率の評価を行った。発光極大波長の測定には島津製作所製の蛍光分光光度計RF−5300PCを使用し、浜松ホトニクス社製の絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置C9920−02を使用して量子収率の評価を行った。励起波長は、各化合物の最大吸収波長より50nm短い波長を用いて測定を行った。発光極大波長および量子収率の評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
(発光極大波長)
S:700nm以上
A:680nm以上700nm未満
B:660nm以上680nm未満
C:640nm以上660nm未満
D:600nm以上640nm未満
E:600nm未満
(量子収率)
S:0.85以上
A:0.8以上 0.85未満
B:0.75以上 0.8未満
C:0.7以上 0.75未満
D:0.65以上 0.7未満
E:0.65未満
<2>蛍光標識抗体の評価
<実施例1:競合法によるプロゲステロン評価>
(蛍光標識抗体の作製)
上記で合成した化合物(1)の0.03mmol/L水溶液300μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、その後、0.5mg/mLの抗プロゲステロンモノクローナル抗体(GeneTex社製)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。
(基板作製)
プロゲステロン−BSA結合体(BIO−RAD社製)150μgを、50mmol/L濃度のクエン酸緩衝液1mL(pH5.2、150mmol/L NaCl)に添加して溶解させ、クエン酸緩衝液の溶液を得た。ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基体(三菱レイヨン(株)社製、アクリペット(登録商標)VH)を準備し、スパッタ法により、厚さ50nmの金膜を片面に蒸着し7mmの幅に裁断して、同じ基板を7枚作製した。この基板の金蒸着面上に、調製したプロゲステロン−BSA結合体のクエン酸緩衝液による溶液を点着して乾燥させ、プロゲステロン−BSA結合体を固定化した基板を作製した。調製した基板を、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、和光純薬社製)を0.05質量%の濃度で含むPBS溶液(pH7.4)を予め調製し、この溶液300μLを用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金蒸着膜上のプロゲステロン−BSA結合体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除き、評価用基板を作製した。
(センサチップの作製)
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、流路型センサチップを作製した。その概略図を図1および図2に示した。図1は、センサチップ1の概略図であり、図2は、センサチップ1の分解図である。センサチップ1は、上部部材2、中間部材3および基板4から構成されている。上部部材2には、第一の容器5および第二の容器6が設けられている。なお、第一の容器5および第二の容器6を併せて、容器群7と称する。基板4には、流路10が形成されており、流路10の上には、検出領域8および参照領域9が形成されている。
(プロゲステロン評価)
上記で調整した蛍光標識抗体を用い、IMMUNO AU10V(富士フイルム社製)にてプロゲステロンの測定を実施した。30.0ng/mLのプロゲステロンを含む試料を用意した。次に、上記で調製した蛍光標識した抗プロゲステロン抗体と試料の混合液を作製した時点での、抗プロゲステロン抗体量とプロゲステロン量が10対1になるよう調整し、蛍光標識抗体と試料との混合液を10分間攪拌しながら調製した。次に、上記で作製した基板を封入した流路型センサチップに蛍光標識抗体と試料との混合液をそれぞれ点着した。点着後、ポンプ吸引を行いながら混合液を10μL/minの速度で流下させ、プロゲステロン−BSA結合体を固定した金膜面上に接触させてから、蛍光強度を1.5分間継続して測定した。基板において得られた蛍光強度の単位時間における増加速度を蛍光シグナル値として求め、相対蛍光シグナル量を比較した。算出に用いた計算式と評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
相対蛍光シグナル値=(各蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)/(比較例1で作製した蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)
(相対蛍光シグナル値)
S:2.0以上
A:1.8以上 2.0未満
B:1.6以上 1.8未満
C:1.4以上 1.6未満
D:1.1以上 1.4未満
E:1.1未満
<実施例2:競合法によるプロゲステロン評価>
実施例1の蛍光標識抗体の作製において、化合物(1)の代わりに化合物(2)を用い、0.06mmol/L溶液150μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、そこに0.06mmol/LのEDC水溶液(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)を150μL加え、0.5mg/mLの抗プロゲステロンモノクローナル抗体(GeneTex社製)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。得られた蛍光標識抗体を使用し、実施例1に記載の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
<比較例1:競合法によるプロゲステロン評価>
化合物(2)の代わりに比較化合物を使用すること以外は、実施例2と同様の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
<実施例3:サンドイッチ法によるTSH評価>
(蛍光標識抗体の作製)
上記で合成した化合物(1)の0.03mmol/L水溶液300μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、その後、0.5mg/mLの抗TSHモノクローナル抗体(Meridian life science社製:Anti−TSH Mab MAT04−410)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。
(基板作製)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基体(三菱レイヨン(株)社製、アクリペット(登録商標)VH)を準備し、スパッタ法により、厚さ45nmの金膜を片面に蒸着し7mmの幅に裁断して、同じ基板を7枚作製した。この基板の金蒸着面上に、1−Undecanthiol(和光純薬工業株式会社製323−78512 )および、末端にヒドロキシ基を持つアルカンチオールである11−Hydroxy−1−undecanethiol(株式会社 同仁化学研究所H337)を99対1の重量比で混合して作成した1mmmol/Lの濃度の溶液を用いて金蒸着面上に添加し、16時間静置することで自己組織化膜を形成した。その後混合溶液を除去し、ヘキサン100μLにて3回・超純水100μLにて1回洗浄後乾燥した。調製した抗TSHモノクローナル抗体1(Medix社製、5409)を含む液(濃度:10μg/mL in 150mmol/L NaCl)を上記のように形成した自己組織化膜上に点着して1時間静置した後に乾燥させ、抗TSH抗体を固定化した基板を作製した。調製した基板を、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、和光純薬社製)を0.05質量%の濃度で含むPBS溶液(pH7.4)を予め調製し、この溶液300μLを用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金膜上の抗TSH抗体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除き、評価用基板を作製した。
(センサチップの作製)
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、流路型センサチップを作製した。その概略図を図1および図2に示した。図1は、センサチップ1の概略図であり、図2は、センサチップ1の分解図である。センサチップ1は、上部部材2、中間部材3および基板4から構成されている。上部部材2には、第一の容器5および第二の容器6が設けられている。なお、第一の容器5および第二の容器6を併せて、容器群7と称する。基板4には、流路10が形成されており、流路10の上には、検出領域8および参照領域9が形成されている。
(被検試料の準備)
被検試料として、イヌ血清を使用した。イヌ血清は、北山ラベスから購入した東洋ビークル犬の血清を用意した。
(TSH評価)
上記で調製した蛍光標識抗体を用い、IMMUNO AU10V(富士フイルム社製)にてTSHの測定を実施した。上記で準備した被検試料(イヌ血清)100μLと、蛍光標識した抗TSH抗体との混合液を調製し、この混合液を10分間攪拌した。次に、上記で作製した基板を封入した流路型センサチップに蛍光標識抗体と被検試料との混合液をそれぞれ点着した。点着後、ポンプ吸引を行いながら混合液を10μL/minの速度で流下させ、抗TSH抗体を固定した金膜面上に接触させてから、蛍光強度を1.5分間継続して測定した。基板において得られた蛍光強度の単位時間における増加速度を蛍光シグナル値として求め、相対蛍光シグナル量を比較した。算出に用いた計算式と評価基準を以下に示す。評価の結果を表1に示す。
相対蛍光シグナル値=(各蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)/(比較例2で作製した蛍光標識抗体を用いたときの蛍光シグナル値)
(相対蛍光シグナル値)
S:2.0以上
A:1.8以上 2.0未満
B:1.6以上 1.8未満
C:1.4以上 1.6未満
D:1.1以上 1.4未満
E:1.1未満
<実施例4:サンドイッチ法によるTSH評価>
実施例3の蛍光標識抗体の作製において、化合物(1)の代わりに化合物(2)を用い、0.06mmol/L水溶液150μLに、50mmol/LのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を300μL、そこに0.06mmol/LのEDC水溶液(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)を150μL加え、0.5mg/mLの抗TSHモノクローナル抗体(Meridian life science社製:Anti−TSH Mab MAT04−410)を300μL添加し、室温で1.5時間撹拌した。その後、Sephadex G−25(GEヘルスケア社製)によりゲルカラム精製を行い、凍結乾燥し、蛍光標識抗体を得た。得られた蛍光標識抗体を使用し、実施例1に記載の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
<比較例2:サンドイッチ法によるTSH評価>
化合物(2)の代わりに比較化合物を使用すること以外は、実施例4と同様の方法で評価を実施した。評価の結果を表1に示す。
Figure 2019144145
本発明による化合物(1)または化合物(2)を用いた場合に、量子収率が高く、相対蛍光シグナルが比較化合物に比べて高く、高感度で測定対象物質を検出できることが分かる。
1 センサチップ
2 上部部材
3 中間部材
4 基板
5 第一の容器
6 第二の容器
7 容器群
8 検出領域
9 参照領域
10 流路

Claims (12)

  1. 測定対象物質と結合性を有する第一の結合物質と結合した下記式(1)で表される化合物;および
    前記測定対象物質または前記第一の結合物質の何れかと結合性を有する第二の結合物質、を有する検出領域を金属膜上に備えた基板;
    を含む、測定対象物質を測定するためのキット。
    Figure 2019144145
    式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。LおよびLはそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
    Figure 2019144145
    式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。
  2. 親水性部が、ポリエチレングリコール構造、ベタイン構造、アミノ酸構造またはスルホン酸基を有している、請求項1に記載のキット。
  3. 生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部が、カルボキシル基、活性エステル、イソチオシアネート、またはマレイミドである、請求項1または2に記載のキット。
  4. 式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、請求項1から3の何れか一項に記載のキット。
    Figure 2019144145
    式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
  5. 式(1)中のArおよびArの少なくとも一つが下記式(Ar−1)である、請求項1から4の何れか一項に記載のキット。
    Figure 2019144145
    式中、R121およびR122はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、但し、親水性部、または生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有していてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上の場合には複数のR122はそれぞれ同一であっても異なるものでもよい。
  6. 式(1)で表される化合物の発光極大波長が600nm以上である、請求項1から5の何れか一項に記載のキット。
  7. 前記金属膜が、金を含む金属膜である、請求項1から6の何れか一項に記載のキット。
  8. 前記第一の結合物質が、抗体である、請求項1から7の何れか一項に記載のキット。
  9. 検出領域は、測定対象物質と結合性を有する第二の結合物質を有し、前記第二の結合物質が、抗体である、請求項1から8の何れか一項に記載のキット。
  10. 下記式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する、蛍光標識剤。
    Figure 2019144145
    式中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。LおよびLはそれぞれ独立に式(L−1)〜式(L−4)の何れかを表す。Ar、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、これらは置換基を有していてもよい。XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基のいずれかを表し、これらは置換基を有していてもよい。但し、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは、親水性部を有しており、R11、R12、R13、Ar、Ar、Ar、Ar、XおよびXのうちの少なくとも一つは生体分子と共有結合を形成しうる捕捉部を有する。
    Figure 2019144145
    式中、R111〜R116はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、エテニル基、エチニル基、アミノ基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Aは、−O−、−S−、または−NH−を表す。
  11. 請求項10に記載の蛍光標識剤に結合した抗体からなる、蛍光標識抗体。
  12. 抗体が、アミド結合を介して、請求項10に記載の蛍光標識剤に結合している、請求項11に記載の蛍光標識抗体。
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