JP2019146521A - 植物栽培方法 - Google Patents

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泰教 助清
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祐子 宇野
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清一 窪川
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光男 稲山
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Abstract

【課題】葉菜類の鉄含有量を高めることができる植物栽培方法を提供する。【解決手段】養液を供給して葉菜類を栽培する方法であって、播種からa日目の前日までを第1期、a日目以降b日目の前日までを第2期、b日目以降収穫日までを第3期として、第2期では、養液として鉄を0.5ppm以上10.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給し、第3期では、養液として鉄を5.0ppm以上100.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給する植物栽培方法。【選択図】図3

Description

本発明は、葉菜類を栽培する植物栽培方法に関し、特に葉菜類の鉄含有量を増加させる植物(葉菜類)の栽培方法に関する。
鉄は、人体におけるヘモグロビンの産生に必要な物質であり、これが不足することによる鉄欠乏や鉄欠乏性貧血は、長年にわたって世界中で深刻な健康上の問題の一つとされている。鉄不足を解消するためには、鉄を多く含む食物を摂取することが最も効果的である。そのため、さまざまな農作物に鉄を多く含有させる試みがされてきた。
例えば、特許文献1(特開2008−301733号公報)には、栽培時にクエン酸鉄などの鉄塩水溶液を散布することにより、鉄分含有量の高いスプラウトを製造する方法が開示されている。
しかしながら、種子からの栽培期間がスプラウトよりも長い野菜等の植物、特に葉菜類を特許文献1の方法で栽培すると、生育障害が起こるという問題がある。
また、特許文献2(特開2017−060426号公報)には、水耕栽培用の普通処方培養液により葉菜類を栽培し、収穫前の特定期間だけ、前記普通処方培養液よりも鉄含有量が多い高鉄含有培養液により葉菜類を栽培する水耕栽培方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2の方法は、植物体内の鉄含有量は増加するものの、1日当たりの平均的な排出水の量が50m以上である工場又は事業場に係る排出水の排水基準を遥かに上回る高濃度の高鉄含有培養液を使用するものであり、排液処理コストが高く、経済性の点から実現性が乏しい。さらに、過剰投与によって葉菜類が枯死するリスクがある。
このように、従来技術においては、鉄を多く含有する葉菜類を効率良く栽培する技術は確立されていない。
特開2008−301733号公報 特開2017−060426号公報
本発明は、効率良く簡易に葉菜類の鉄含有量を高めることが可能な植物の栽培方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、養液を供給して葉菜類を栽培する方法において、養液のpHを3.5以上4.9以下の範囲とするとともに、生育段階に応じた鉄含有量を有する養液を使用し、少なくとも2回以上、前記養液に鉄を添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の植物栽培方法は、播種からa日目の前日までを第1期、a日目以降b日目の前日までを第2期、b日目以降収穫日までを第3期として、第2期では、養液として鉄を0.5ppm以上10.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給し、第3期では、養液として鉄を5.0ppm以上100.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給する植物栽培方法である。ただし、aは7(日)以上25(日)以下、(b−a)は2(日)以上60(日)以下である。このように、植物の根が活着する第2期に、pH3.5以上4.9以下の養液に、0.5ppm以上10.0ppm以下である少量の鉄を添加することで、鉄の養分吸収能を高めることができ、その後の第3期に、pH3.5以上4.9以下の養液に、さらに5.0ppm以上100.0ppm以下である鉄を添加することで、葉菜類に適度なストレスを与え、効果的に鉄を含有させることができるものである。
本発明の一態様では、前記aは7(日)以上25(日)以下であるである。
本発明の一態様では、前記第3期の途中で、養液に清水の注入を開始する。
本発明の一態様では、前記清水は水道水または井戸水である。
本発明の一態様では、前記第3期の途中で、養液に鉄を添加して養液中の鉄濃度を99.0ppm以下の範囲で高くする。
本発明の一態様では、勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を水耕栽培する。
本発明の一態様では、前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、該凸条同士の間は凹条となっており、前記苗根鉢を該凸条上に載置し、前記凹条に前記養液を流す。
本発明の一態様では、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置する。
本発明の一態様では、前記葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科である。
本発明の植物栽培方法によれば、養液のpHを特定の範囲とするとともに、葉菜類の生育段階に応じた鉄含有量を有する養液を使用することにより、養液に鉄を過剰投与することなく、効果的に葉菜類に含まれる鉄含有量を高めることができる。
栽培ベッドの斜視図である。 図1の凸部の断面図である。 植物育成中の栽培ベッドの断面図である。 栽培施設を説明する平面図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の効果を奏する範囲であれば、本発明は下記実施形態に制限されるものではない。
本発明の植物栽培方法で栽培する葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科であることが好ましく、特にホウレンソウが好適である。
本発明の植物栽培方法は、栽培時期に応じた養液を供給して、葉菜類を栽培する養液栽培法を用いる。これにより、鉄を初めとする、葉菜類が含有する様々な栄養素を管理しやすく、また、土壌での栽培で生じる病気の心配も少ないという利点がある。
なお、養液栽培は3つの方式に大別される。第1の方式は水耕栽培で、土壌は一切使わずに作物は培養槽中の培養液からの栄養供給によって栽培されるものである。第2の方式は、噴霧栽培で培養液を根に噴霧することで作物を栽培するものである。第3は固形培地を介して培養液を作物に与えるもので、固形培地の緩衝作用により安定した生産を目指す方式である。本発明の植物栽培方法においては、特に限定されず、いずれの方式であっても使用可能であるが、養液中の鉄分布をより均一にできることから、水耕栽培や噴霧栽培が好ましい。
また、酸素の供給や養液の循環が容易に行われることから、本発明の植物栽培方法における養液栽培は、薄膜水耕型(NFT)とすることがより好ましい。なお、酸素の供給や養液を効果的に行うための、栽培ベッドの好ましい形態については、後述する。
本発明において、養液とは、複数の肥料分、または単体の肥料分を含む水のことをいう。
本発明に使用する養液は、少なくとも硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有することが好ましい。硝酸態窒素の含有量は8.0〜25.0me/Lの範囲であることが好ましく、10.0〜20.0me/Lの範囲であることがより好ましい。リン酸の含有量は3.0〜7.0me/Lの範囲であることが好ましく、4.0〜6.5me/Lの範囲であることがより好ましい。また、カリウムの含有量は3.0〜14.0me/Lの範囲であることが好ましく、5.0〜12.0me/Lの範囲であることがより好ましい。養液に含有する硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを上記の範囲とすることは、葉菜類の生育に好ましい。
養液としては、特に限定することは無く、一般的な液肥を水で希釈したものが使用可能である。例えば、三菱ケミカルアグリドリーム株式会社が販売している液肥「ハイテンポ」、OATアグリオ株式会社製「OATハウス肥料シリーズ」、住友化学株式会社製「住友液肥」などを水に添加したものを使用することができる。
本発明の植物栽培方法において、第2期,第3期における養液のpHは、3.5以上4.9以下好ましくは3.5より大きく4.9未満、より好ましくは3.7より大きく4.7未満、さらに好ましくは、4.0以上4.5以下である。養液のpHを上記範囲の上限値より小さくすることにより、効果的に、葉菜類に鉄を吸収させることができる。また、植物の生長が早まる第2期から、養液の鉄濃度が高まる第3期において、養液のpHを上記範囲の下限値より大きくすることにより、植物の生育を阻害しないというメリットがある。
養液のpH測定は、目的を達成しうるものであれば特に限定されないが、例えば、ガラス電極法により測定することができる。養液のpHは、硫酸や硝酸、リン酸を添加することによって調整することできる。
本発明の植物栽培方法において、養液に添加される鉄は、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)の鉄キレートやクエン酸の鉄キレートなどの各種鉄化合物を用いることができる。また、鉄の形態は三価鉄でも二価鉄でもよい。鉄は鉄粉であってもよい。
なかでも、本発明の植物栽培方法において、安価で入手が容易であり使用しやすいという観点から、EDTAの鉄キレートを使用することが好ましい。
本発明の植物栽培方法において、鉄を養液に添加する方法は、特に限定されることなく、鉄を直接、養液に添加してもよく、鉄を事前に養液又は水に溶かし水溶液とした状態で、養液に添加することもできる。栽培養液中の鉄分布をより均一化させる点では、後者の添加方法の方が好ましい。
また、養液に添加する際の鉄の形態が粉末であっても水溶液であっても、通常の栽培養液に規定量の鉄を直接添加してもよく、事前に液肥原液に鉄を添加し、撹拌し混合した後に、養液に添加してもよい。
本発明において、鉄の添加量は、養液に鉄を添加した際の養液中の鉄の含有量を意味する。具体的には、添加する鉄含有液の量及び鉄濃度の積から求まる鉄の添加総量を、該鉄含有液が添加される養液の量で除算することにより求められる。なお、この鉄添加量は、薄膜水耕型(NFT)においては、添加直後に測定される養液タンク内の鉄濃度と合致する。養液中の鉄の濃度は、例えば、ICP発光分析法で測定することができる。
本発明者らは、葉菜類の播種から収穫までの全栽培期間N(日)において、播種から(a−1)日目までを第1期、a日目以降(b−1)日目までを第2期、b日目以降収穫日までを第3期と分け、aは7(日)以上25(日)以下、(b−a)は2(日)以上60(日)以下とした。そして、栽培途中の第2期と、その後の第3期とにそれぞれ養液に鉄を添加することにより、葉菜類が効果的に鉄を吸収し、葉菜類中の鉄含有量が増大することを見出した。本発明の植物栽培方法は、かかる知見に基づくものであり、好ましくは養液に鉄を添加しない第1期と、養液への鉄の添加量を0.5ppm以上10.0ppm以下とする第2期と、養液への鉄の添加量を5.0ppm以上100.0ppm以下とする第3期とを有する。
本発明の植物栽培方法では、栽培初期すなわち播種から(a−1)日目までの第1期は、養液に鉄を添加しないことが好ましい。ここで、鉄を添加しないとは、鉄を養液に添加しないことを表わす。なお、養液に液肥由来の微量の鉄が含まれていてもよい。また、この第1期に鉄を養液に微量添加してもよい。
播種から収穫日までの全栽培日数をNとした場合、aはN/2(日)以下、すなわち、aはNの50%以下が好ましく、さらに好ましくは45%以下である。a(日)は栽培する植物種や気候により変動するが、具体的には、1以上、好ましくは5以上、特に7以上、とりわけ10以上である。また、a(日)は、好ましくは50以下、特に40以下、とりわけ30以下である。例えば、ホウレンソウでは、a(日)の好ましい範囲は5以上、特には7以上であって、30以下、特には20以下である。
本発明においては、aを前記の範囲として第1期と第2期を区切ることにより、植物の根が活着し、養分吸収能が高まる時期に第2期を迎え、養液中の鉄を効果的に吸収させることができる。
a日目以降(b−1)日目までの第2期では、養液に前記の量の鉄を添加する。上述の通り、第2期における鉄の添加量は0.5ppm以上、好ましくは1.0ppm以上、さらに好ましくは1.5ppm以上である。第2期における鉄の添加量を上記の範囲とすることにより、植物の根が活着し、養分吸収能が高まる時期に養液中の鉄を植物に吸収させることができ、植物の鉄含有量を効率的に高めることができる。また、第2期における鉄の添加量は10.0ppm以下、好ましくは9.0ppm以下、さらに好ましくは8.0ppm以下である。第2期における鉄の添加量を上記の範囲とすることにより、葉菜類における植物体内の鉄濃度の急激な上昇や枯死を防ぐことができ、植物体の生育が健全となり収量を確保することができる。
a日目以降(b−1)日目までの第2期、すなわち、(b−a)の期間は、作物や気候により設定されるが、2(日)以上60(日)以下であって、好ましくは5(日)以上、であり、好ましくは50(日)以下である。例えば、ホウレンソウの場合、好ましくは2(日)以上、とりわけ5(日)以上であり、好ましくは50(日)以下、とりわけ30(日)以下である。
本発明では、第2期の後、養液に鉄を前述の第3期の添加量の範囲で添加し、第3期を開始することが好ましい。第3期の始期は、播種からb日目であって、第3期の終期は収穫日である。第3期の日数は、1日以上、特に2日以上であり、また、好ましくは20日以下、特に15日以下である。
第3期における鉄の添加量は、5.0ppm以上、好ましくは6.0ppm以上、さらに好ましくは7.0ppm以上である。第3期における鉄の添加量は、第2期の鉄添加量よりも1.0ppm以上多いことが好ましく、3.0ppm以上多いことがより好ましい。第3期における鉄の添加量を上記の範囲とすることで、葉菜類に適度なストレスを与え、効果的に鉄を吸収させることができる。
一方で、第3期における鉄の添加量は100.0ppm以下、好ましくは60.0ppm以下、さらに好ましくは30.0ppm以下である。そして、第3期における、第2期の鉄添加量との差は、99.0ppm以下であることが好ましく、さらには60.0ppm以下、特には10.0ppm以下である。第3期における鉄の添加量を上記の上限とすることにより、養液中の鉄濃度が排水基準内であって、特別な濾過装置の設置などを必要とせずに、大規模工場や事業場においても実用化が可能である。
本発明では、第2期及び第3期では、その当初に1回だけ鉄を添加してもよく、添加時期を異ならせて複数回添加してもよい。また、連続的に添加してもよい。複数回又は連続的に添加する場合であっても、添加後の養液中の鉄濃度が前記第2期又は第3期の添加範囲内となるようにする。
なお、第2期又は第3期において、養液に1回又は複数回鉄を添加すると、養液中の鉄濃度は、添加直後が最も高く、その後、鉄が植物に吸収されることにより、徐々に低下する。
本発明では、後述の実施例1の通り、第3期に、養液への清水の注入を開始し、収穫日まで清水注入を継続してもよい。養液を後述の図1〜4の設備で循環供給する場合、1日当りの注入清水量は、循環系の保有水量の1%以上、特に5%以上が好ましい。清水を当該下限値以上の割合で注入することにより、葉菜類にストレスをかけ、第3期における鉄の吸収能を高めることができる。また、植物体へのダメージを低減するためには、1日当りの注入清水量を、循環系の保有水量の99%以下、好ましくは60%以下とすることが好ましい。
この清水としては、水道水または井戸水が好適である。清水注入開始後も、循環している養液の鉄の濃度は前記第3期の鉄濃度の範囲であることが好ましく、またpHは3.5以上4.9以下であることが好ましい。
本発明では、後述の実施例2,3の通り、第3期の途中において、後述の図1〜4の設備で循環供給する養液をすべて排水し、清水に鉄を添加した養液を新たに調整することにより、養液の全量を置換してもよい。これによれば、葉菜類に大きなストレスを与え、より効果的に鉄の吸収能を高めることができる。この置換後の鉄添加養液の鉄濃度は、置換前の鉄添加養液の鉄濃度と同じであってもよいが、置換前よりも高い方が好ましく、置換前の鉄添加養液の鉄濃度の1.5倍以上であることがより好ましく、さらには2倍以上である。また、排水基準を考慮すると、置換前の鉄添加養液の鉄濃度の100倍以下、好ましくは、50倍以下が好ましい。
養液の与え方には循環式と非循環式があり、特に限定されないが、養液中の鉄分布が均一になり、植物体の根に十分かつ均一に供給されるという理由から、本発明では、図1〜4の設備のように、養液を循環させて栽培する栽培装置で葉菜類を栽培することが好ましい。
なお、循環式の養液栽培法においては、養液中の硝酸濃度を下げ、すなわち、植物体内の硝酸濃度を下げるため、上記のように、第3期に水注入又は水替えを行うことが好ましい。水注入又は水替えは、例えば、実施例1のように養液を循環させながら、徐々に新たな養液や清水を加える方法や、実施例2,3のように養液の供給を一旦止めて、養液タンク(子タンク)内の水を、鉄を添加した清水と入れ替えた後に、再び、養液の供給を開始する方法などがある。特に、水替えは、養液の供給を一旦止めて、植物にストレスを与えた後に、再び、養液の供給を開始する方法が好ましい。これにより、鉄のみを含む養液の吸収を促進し、葉菜類の鉄含有量を増加させることができる。と同時に、糖含有量及びアスコルビン酸含有量を増加させることもできる。したがって、水注入又は水替えにおいて養液を加える際は、鉄のみを含む養液が好ましい。
本発明において、第2期及び第3期では、栽培装置として、勾配をもたせた栽培ベッドを使用し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を水耕栽培することが好ましい。
この栽培装置の勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を水耕栽培する。該定植パネル板と栽培ベッド底面の間に空間ができる。この空間は湿気空間となる。
好ましくは、前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、該凸条同士の間は凹条となっており、前記苗根鉢を該凸条上に載置し、前記凹条に前記養液を流す。また、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置し、前記栽培ベッドの底面の上面側に養液を供給して葉菜類を水耕栽培するよう構成されていることが好ましい。
このような栽培装置を使用することにより、上記栽培ベッドの底面の上面側をある程度の流速で養液を循環させることができ、養液中の鉄分布が均一になり、植物体の根に十分かつ均一に供給される。これにより植物の根に鉄を効率良く供給することができる。
前記栽培装置は、供給する養液を予め設定された温度範囲内に保持する温度調整手段と上記養液の濃度調整手段とを備えてもよい。
前記温度調整手段は、循環する養液の温度を、年間を通して予め設定された範囲内に保持することができる。この温度調整手段は、養液タンク内の温度を検出する温度センサと、養液タンク内に配置されて養液と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に熱媒体を供給する熱媒体供給ライン(温度調整ライン)と、この熱媒体供給ラインに介装されて温度センサからの検出信号により上記熱媒体の熱交換器への供給量を制御する制御弁等から構成することができる。
また、前記濃度調整手段は、1つ又は互いに種類や濃度の異なる原液(液肥溶液)養液を貯留する複数の原液タンクと、各々の原液タンク内の原液をポンプによって養液タンクへ送る移送ラインと、これら移送ラインに介装された三方切換弁(開閉弁)等から構成することにより、循環する養液の濃度を調整することができる。
栽培ベッドの上面には、定植パネルの植え穴の下に、凸条が形成されていることが好ましい。凸条の幅は、使用される苗根鉢の径によって決められる。凸条の幅が苗根鉢の直径より狭いと、苗根鉢が畝状凸部からずれ落ちて傾く虞が生じる。好ましくは、凸条の幅は使用する苗根鉢の直径よりも大きく、苗根鉢の直径に対して4mm加えた幅よりも小さいことがより好ましい。
この栽培ベッドの上面を流れる養液は、栽培ベッドの凸条同士の間の凹条を流れる。植え穴に挿入された苗根鉢は、凸条の上面に載置される。苗根鉢が養液の流れに洗われないので、苗根鉢の培地が崩れたり、培地が流出したりすることが抑制される。
この栽培ベッドによると、水中で生育する水中根と、湿気空間に維持され多数の根毛を有する湿気中根の2つの異なった形態・機能を持った根を発生させることができる。水中根は主に養液中の肥料と水を吸収し、湿気中根は主に湿気空間から直接酸素を吸収する。
この栽培方法によれば、養液中の溶存酸素だけに頼らず植物を栽培することが可能であり、溶存酸素が不足しやすい高温期の栽培でも植物の根が酸素欠乏に陥ることがない。
この栽培ベッドの好適な構成について図1〜3を参照して説明する。また、この栽培ベッドを備えた栽培装置を図4に示す。
図1〜3の通り、軽量な発泡スチロールで成型される定植パネル板51には多数の植え穴52が穿設されている。定植パネル板51の大きさは、1例を示すと幅600mm、奥行き1000mm,厚み35mmである。植え穴52の形状は逆円錐形でもよいが、上下同径の円筒形とする方がよく、大きさは使用される苗根鉢54の径よりも大きくする。植え穴52の間隔は、作物栽培上適正な間隔に決める。例えばホウレンソウの場合は、定植パネル板51の大きさが上記のとおりとすると、直径27mmの円筒状の植え穴52を118mmの間隔で総数45個菱形状に配列する。
上記した定植パネル板51,51が上面に載置される栽培ベッド53は、定植パネル板51と同様、軽量な発泡スチロールにて成型される。図示の例では、栽培ベッド53の両側辺部に形成した段部59,59と、上面の中央に形成した受承部60とによって、2枚の定植パネル板51,51を支持している。栽培ベッド53の大きさの1例を示すと、幅1260mm、奥行き1000mm、側壁の高さ100mmである。
定植パネル板51の植え穴52の真下に当たる栽培ベッド53の底面箇所に、長手方向に連続する凸条56が複数列形成されている。凸条56,56間の凹条55に養液Lが流下する。この凸条56の高さは養液Lの液深との関係で決められ、凸条56の幅は使用される苗根鉢54の径によって決められる。凸条56の高さが低すぎると、凸条56の上に載置した苗根鉢54が養液Lで洗われる虞が増すから好ましくなく、逆に高すぎると苗根鉢54と養液Lの液面との距離が離れ過ぎて苗根鉢54への水分供給が不足し勝ちとなって成育を遅らせるから好ましくない。凸条56の幅が苗根鉢54の直径より狭いと、苗根鉢54が畝状凸条56からずれ落ちて傾く虞が生じる。望ましくは、凸条56の高さは養液Lの液深よりも約2〜3mm程度高いものであり、凸条56の幅は使用する苗根鉢54の直径よりも大きく、苗根鉢54の直径に対して4mm加えた幅よりも小さいことがより好ましい。凸条56の間隔は植え穴52同士の間隔と等しい。
好ましくは、複数個の栽培ベッド53を長手方向に連設し、約1/50〜1/150程度の勾配となるように設置する。この場合、図2に示したように、連設された栽培ベッド53の上面全体をプラスチックシート57で被覆して各連設箇所の漏水を防止し、プラスチックシート57上に、布、紙等の親水性シート58を敷設するのが好ましい。この親水性シート58は毛管作用によって液を汲み上げるためのものである。
図3に示すように、栽培ベッド53に定植パネル板51を被せ、苗根鉢54を植え穴52から落し込む。苗根鉢54は、植え穴52の真下に対峙する栽培ベッド53の凸条56上に載置される。ついで養液Lを栽培ベッド53の上流側より下流側へ向けて凹条55に流す。養液Lの流量が栽培ベッド当り10リッター/分のときの溝内液面高さは略2〜3mmとなる。これは凸条56高さの約半分である。定植パネル板51下面と溝内養液Lの液面との間には高さ25mm程度の湿気空間が形成されることになる。
上記説明では、栽培ベッド53は発泡合成樹脂製であるが、合成樹脂の波板プレートなど、凸条と凹条とが平行に交互に形成された各種の板状ないしは盤状の部材を用いてもよい。
本発明に使用できる栽培装置は、図4に例示されるように、希釈された養液を貯める親タンク86を有し、この親タンク86から養液を供給する少なくとも1つ以上の子タンク73が配置され、子タンク73から養液が供給される少なくとも1つの栽培ベッド53を配置していることが好ましい。
この親タンク86に、原液タンク(図示略)内の液肥原液と、清水などの水が、供給制御弁84a,85a付き配管84,95から供給され、所定濃度の養液が調製される。親タンク86で調製された所定濃度の養液がポンプ87、配管88、三方弁89、流量計90及びボールタップ91を介して各子タンク73に分配供給される。三方弁89には、給水用配管92が接続されており、該三方弁89を切り替え操作することにより子タンク73に配管92からの水を供給できるよう構成されている。各子タンク73内の液は、ポンプ74及び配管75を介して各栽培ベッド53に供給される。
図4では、前記栽培ベッド53が複数個配置され、葉菜類が栽培されている。この複数の栽培ベッド53には、前記の子タンク73を通して親タンク86で調製された養液が供給される。これにより、各栽培ベッド53に、親タンク86で調製された均一の濃度の養液(希釈養液)を常に供給することができる。
図4では、複数の栽培ベッド53を勾配をつけて1列に配列した栽培ベッド列61を複数列(図示では4列)配列して栽培ベッド群62としている。1つの栽培ベッド群62に1個の子タンク73が付随して設置されている。
図4の栽培装置では、鉄は好ましくは子タンク73に添加される。
図4のように、栽培ベッド群62毎に子タンク73を設けることで、子タンク73で栽培する養液を比較的に少量で管理することができる。収穫が終了すると、1つの栽培ベッド群62に使用していた養液は廃棄され、新しい養液で栽培を開始することが好ましい。
これにより、前期作の栽培によって養液内に流出した、根からの分泌物(有機酸など)や、根の表皮細胞の脱落などの影響を受けることがなく、次期で栽培される野菜も、安定して栽培が可能となる。
従来の方法では、共通のタンクにより各々の栽培ベッドに養液を供給して栽培しているため、使用している養液は、新しい養液を都度、つけ足ししながら養液を使いまわすことになり、根からの分泌物や、根の表皮細胞が蓄積され、栽培が繰り返されるにつれて自家中毒と呼ばれる生育阻害を発生させてしまう。
また、従来法の場合でも養液をすべて新しくすることはできるが、タンクと各々の栽培ベッドの養液をすべて同時に入れ替える作業となるため、大量の養液を同時に廃棄することが必要となり、さらにこの作業中は、すべての野菜栽培ができないことになる。
結果、この間は、野菜が出荷できず、定期的な野菜の出荷ができないという問題がある。
図4では、1つの栽培ベッド群62で使用した養液を、配管76を介して当該栽培ベッド群62の各栽培ベッド53に養液を供給した子タンク73に戻して、養液を循環させる。子タンク73内には、ボールタップ91等によって親タンク86から養液が追加供給され、子タンク73内の養液は一定に保たれる。
図4では、一部の栽培ベッド群62では栽培を続行している間に、他の栽培ベッド群62では清掃(収穫が終了した後の清掃)を行うなど、栽培ベッド群62ごとに、別々に工程を進めることができる。
また、1つの栽培ベッド群62で病原菌が発生した場合にも、他の栽培ベッド群62への病原菌の感染を抑制することができる。即ち、親タンク86まで養液を戻さないので、養液を循環させる閉鎖回路(栽培ベッド群62)内だけで汚染が止まる。
各子タンク73へは、給水用配管92及び三方弁89を介して水が導入可能である。各栽培ベッド群62で栽培している葉菜類の栽培後期において、養液の供給から水の供給へ切り替えることにより、子タンク73と栽培ベッド53を循環する養液の肥料濃度を低下させることができる。その結果、栽培後期において、植物体内の硝酸量を、徐々に削減させることが可能となり、硝酸量を減少させた状態で葉菜類の収穫を行うことができる。
植物体内の硝酸は、人体に取り込まれるとアミド態の窒素と結合して、ニトロソアミンを生成する。栽培後期に養液の肥料濃度を低くすることにより、植物体内の硝酸濃度を低減することができる。また、使用していた養液中の窒素、リン酸、カリも栽培後期において低濃度とすることにより、収穫が終了した後、養液の廃棄においても、環境への負荷を大幅に軽減することができる。
[基本条件(栽培装置、養液及び養液流量)]
勾配を1/100に配置した図1〜3に示す栽培ベッドに、270の植え穴を穿設した定植パネル板を有し、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置した。栽培ベッドの底面に、通常の栽培養液として、養液濃度:EC3.0dS/m、養液温度:20℃、硝酸態窒素;14.0me/L、リン酸:4.0me/L、カリウム:10.0me/Lとした養液を、毎分10リットルの流量で流した。子タンク中及び栽培ベッドを流れる養液の総量(循環系の保有液量)は50Lであった。
[鉄の添加方法]
EDTA鉄キレート剤の水溶液(鉄濃度13質量%)を子タンクに供給した。
[養液のpHの測定方法]
ガラス電極法により測定した。
[鉄の含有量測定]
各実施例・比較例及びその対照区について、サンプルの鉄含有量の測定は、ICP発光分光分析装置(セイコー電子製)を用いて測定した。各実施例・比較例は、それぞれ3株以上×3回抜き取ったサンプルを収穫した。
<比較例1>
比較例1は、栽培期間N(日)を35(日)、aを11(日)、bを32(日)とした。播種から10日目までの第1期は、いずれもホウレンソウの種を苗根鉢に播種して育苗装置で育苗した。
播種後11日目以降、31日目までの第2期において、比較例1は、播種後11日間経過したホウレンソウの苗を有する苗根鉢を、上記栽培ベッドに定植し、前記基本条件でホウレンソウを栽培した。収穫日までの第3期において、播種後32日目において、鉄を54.0ppm添加して栽培を行い、35日目に収穫を行った。比較例1は、いずれもpH調整を行わず、第2期及び第3期における養液のpHは、5.6から7.9であった。
<比較例2)>
比較例2は、栽培期間N(日)を35(日)、aを11(日)、bを32(日)とした。
播種から10日目までの第1期、及び播種後11日目以降、31日目までの第2期において、比較例2は、比較例1と同様に栽培を行った。
播種後32日目以降、収穫日までの第3期においては、播種後32日目において、鉄を29.0ppm添加して栽培を行ったほかは比較例1と同様に栽培を続け、35日目に収穫を行った。
比較例2は、pH調整を行わず、第2期及び第3期における養液のpHは、5.6から7.9であった。
<比較例3>
比較例3は、栽培期間N(日)を27(日)、aを11(日)、bを18(日)とした。
比較例3は、播種後10日目までの第1期は、比較例1と同様の方法で、育苗装置で栽培した。
比較例3は、その後、播種後11日目以降、17日目までを第2期として、播種後11日目に定植を行うと同時に、鉄を5.0ppm添加(第1回目添加)し、さらに、播種後14日目に鉄を5.0ppm添加(第2回目添加)した。
播種後18日目以降、収穫日までの第3期においては、18日目・21日目・24日目に鉄を添加濃度9.0ppmとなるように添加した(第3〜5回目添加)。
また、比較例3では、播種後24日目に、親タンク86からの子タンク73への養液の供給を止めて、代わりに15L/日の割合で清水の注入を開始した。その後、収穫までの間、清水を加え続け、27日目に収穫を行った。また、比較例3のpHは、播種後18日目までは特に調整せず、pH5.6から7.9であった。播種後18日目以降の第3期は、pH=5.0となるよう希硫酸を用いて調整した。
<比較例4>
比較例4は、栽培期間N(日)を27(日)、aを11(日)、bを21(日)とした。また、比較例4は、播種後10日目までの第1期は、比較例1と同様の方法で、育苗装置で栽培した。その後、播種後11日目以降、20日目までを第2期として、播種後11日目に定植を行うと同時に、鉄を5.0ppm添加(第1回目添加)し、さらに、播種後14日目・18日目に鉄を5.0ppm添加(第2,3回目添加)した。比較例4は、播種後18日目までは、pHを特に調整せず、養液はpH5.6から7.9であったが、18日目以降は、希硫酸を用いて、以降の養液のpHが5.5となるよう調整した。
その後、播種後21日目以降、収穫日までの第3期においては、21日目・24日目に鉄を添加濃度11.0ppmとなるように添加した(第4,5回目添加)。また、比較例4では、播種後24日目に、親タンク86からの子タンク73への養液の供給を止めて、代わりに15L/日の割合で清水の注入を開始した。その後、収穫までの間、清水を加え続けた。第3期における比較例4の養液は、pH5.5とし、27日目に収穫を行った。
<実施例1>
実施例1は、栽培期間N(日)を26(日)、aを11(日)、bを18(日)とした。
実施例1は、播種から10日目までの第1期は、比較例1と同様の方法で、育苗装置で栽培した。その後、播種後11日目以降、17日目までの第2期においては、播種後11日目に定植を行うと同時に、鉄を5.0ppm添加(第1回目添加)し、希硫酸を用いてpH=4.0に調整して、第2期を開始した。さらに、播種後14日目に、鉄を5.0ppm添加(第2回目添加)した。播種後18日目以降、収穫日までの第3期においては、播種後18日目に鉄を、添加後濃度9.0ppmにて添加(第3回目添加)し、pH=4.0にて第3期を開始した。播種後21日目に親タンク86からの子タンク73への養液の供給を止めて、代わりに15L/日の割合でpH4.0に調整した清水の注入を開始した。さらに、播種後21日目・25日目に鉄を9.0ppmとなるよう添加(第4・5回目添加)した。その後、収穫までの間清水を加え続け、26日目に収穫を行った。
<実施例2>
実施例2は、栽培期間N(日)を33(日)、aを11(日)、bを18(日)とした。
実施例2は、播種から10日目までの第1期は、実施例1と同様の方法で、育苗装置で栽培した。その後、播種後11日目以降、17日目までの第2期においては、希硫酸を用いて養液のpHを4.5に調整したこと以外は実施例1と同様にして第2期を開始し、11日目の第1回鉄添加及び14日目の第2回鉄添加を行った。その後、播種後18日目以降、収穫日までの第3期においては、18日目・21日目に鉄を9.0ppmとなるように添加(第3・4回目添加)した。播種後24日目に養液の供給を止めて、養液タンク(子タンク)内を新たに調製した(未使用の)鉄濃度10.0ppmの鉄添加養液に切り替え(これにより、24日目に第5回目鉄添加を行ったことになる。)、栽培を行った。その後、33日目に収穫を行った。それ以外は、実施例1と同様の条件とした。
<実施例3>
実施例3は、栽培期間N(日)を38(日)、aを11(日)、bを18日)とした。
実施例3は、播種から10日目までの第1期、及び播種後11日目以降17日目までの第2期において、実施例2と同様に栽培を行った。播種後18日目以降、収穫日までの第3期においても、実施例2と同様に水替えや鉄の添加を行い、38日目まで栽培して収穫を行った。すなわち、栽培期間N(日)や第3期の期間が実施例2より長いこと以外は実施例2と同様に栽培を行った。第2期及び第3期のpHは4.5とし、鉄添加濃度及び添加のタイミングも実施例2と同様とした。
収穫したホウレンソウ中の鉄含有量の分析結果を表1に示す。
Figure 2019146521
表1に記載される鉄の添加量は、養液に鉄を添加した直後の、養液タンク(子タンク)内における鉄濃度である。また、各実施例・比較例の対照区をそれぞれ栽培した。対照区においては、pHを調整せず(pH5.6から7.9)、液肥以外に鉄を含有しない養液を供給した。比較例1−4及び実施例1の対照区は、水替えについても同様に行い、栽培した。一方、実施例2,3の対照区は、水替えを行わずに栽培した。鉄含有比率は、それぞれの対照区から収穫したホウレンソウの鉄の含有量を100%とし、それに対する比率で示したものである。
表1の通り、実施例1〜3のホウレンソウは、鉄の含有量が2倍以上増加しており、本発明における植物の栽培方法の効果が実証された。特に、養液(鉄のみを含む清水)の供給を一旦止めて、植物にストレスを与えた後に、再び、養液の供給を開始する方法で栽培した、実施例2,3は、鉄含有比率が、著しく増加することが分かった。また、比較例1,2と各実施例との比較によれば、鉄の添加を複数回とし、徐々に鉄濃度を上昇させることにより、養液に鉄を過剰投与することなく、効果的に葉菜類の鉄含有量を増加させることができることが実証された。さらに、比較例3,4と各実施例との比較によれば、養液のpHを4.9よりも低くすることにより、葉菜類の鉄含有量を格段に増加できることが実証された。
さらに、ICP発光分光分析装置(セイコー電子製)を用いて、実施例2のホウレンソウにおけるショ糖含有量を測定したところ、42倍にも増加していることが分かった。同様に、実施例3のホウレンソウについても測定したところ、ショ糖含有量が48倍にも増加していた。
また、高速液体クロマトグラフ法によって、実施例2のホウレンソウにおけるビタミンCの含有量を測定したところ、1.9倍に増加していることが分かった。実施例3のホウレンソウについても測定したところ、ビタミンC含有量が2.7倍に増加していた。
この結果、養液のpHを特定の範囲とするとともに、葉菜類の生育段階に応じた鉄含有量を有する養液を使用することにより、葉菜類に含まれるショ糖やビタミンCの含有量を高めることができることが実証された。特に、養液の供給を一旦止めて、植物にストレスを与えた後に、再び、養液の供給を開始する方法で栽培した、実施例2,3において、ショ糖やビタミンC含有量の増加が顕著であった。
53 栽培ベッド
61 栽培ベッド列
62 栽培ベッド群
73 子タンク
86 親タンク
90 流量計
91 ボールタップ

Claims (9)

  1. 養液を供給して葉菜類を栽培する方法であって、
    播種からa日目の前日までを第1期、a日目以降b日目の前日までを第2期、b日目以降収穫日までを第3期として、
    第2期では、養液として鉄を0.5ppm以上10.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給し、
    第3期では、養液として鉄を5.0ppm以上100.0ppm以下添加したpH3.5以上4.9以下の養液を供給する植物栽培方法。
    ただし、aは7(日)以上25(日)以下、(b−a)は2(日)以上60(日)以下。
  2. 前記aは、N/2以下(N:播種から収穫日までの日数)であることを特徴とする、請求項1の植物栽培方法。
  3. 前記第3期の途中で、養液に清水の注入を開始することを特徴とする請求項1又は2の植物栽培方法。
  4. 前記清水は水道水または井戸水であることを特徴とする請求項3の植物栽培方法。
  5. 前記第3期の途中で、養液に鉄を添加して養液中の鉄濃度を99.0ppm以下の範囲で高くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの植物栽培方法。
  6. 勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、
    該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、
    該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を水耕栽培する請求項1〜5のいずれかに記載の植物栽培方法。
  7. 前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、
    該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、
    該凸条同士の間は凹条となっており、
    前記苗根鉢を該凸条上に載置し、
    前記凹条に前記養液を流すことを特徴とする請求項6に記載の植物栽培方法。
  8. 前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置することを特徴とする請求項6又は7に記載の植物栽培方法。
  9. 前記葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の植物栽培方法。
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