JP2019154252A - 細胞培養シート - Google Patents

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広和 小田桐
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Abstract

【課題】 微生物に対して効果的な抗菌作用を示すことができる細胞培養シートの提供。【解決手段】 細胞の培養に寄与する少なくとも一つの細胞培養領域と、前記細胞培養領域に隣接し、前記細胞培養領域に対して凹んで存在し、高さにおいて前記細胞培養領域の表面を超えない複数の微小突起を有する、抗菌作用を有する少なくとも一つの抗菌領域と、を有する細胞培養シートである。【選択図】図1C

Description

本発明は、細胞培養シートに関する。
細胞培養シート表面に対する殺菌を行う一般的方法としては、EOG(酸化エチレンガス)や湿熱(オートクレーブ)を用いる方法、またガンマ線や電子線を照射する方法がある。
しかし、EOGは、ガスや生成物残留が生物に悪影響を及ぼすこと、湿熟は、被対象物を高温に曝すことにより変性を引き起こすこと、またガンマ線や電子線は材質によっては分子構造にダメージを与えて材質そのものを劣化させてしまうことなどの問題点があった。
また、細胞培養過程でも微生物のコンタミネーション(混入)は極めて重大な影響を及ぼす。培養ではコンタミネーシヨンに対する十分に注意深い操作が必要であることは言うまでも無いが、万一、微生物が混入しても増殖しないように培地に抗生物質を添加したり、培養シート表面への抗菌剤の塗布、あるいはシートを構成する樹脂への抗菌剤の混練などの手法がとられる。しかし、抗菌効果を有効に発現させるために抗生物質や抗菌剤を高濃度で露出させる必要があって、培養対象となる細胞への影響が懸念されるだけでなく、過度の使用が耐性菌を発生させるという危険がある。
他方、微細構造体を利用した抗菌シートは、従来から提案されてきた。
例えば、特許文献1及び2には、シート表面から突出した微細構造体が微生物の細胞膜に突き刺さり、その穿孔によって致死的な影響を与えることが記されている。
また、特許文献3及び4には、ミクロンオーダーの凹凸に菌がトラップされてコロニー形成やバイオフィルム形成を阻害することが記されている。
特表2017−503554号公報 特許第5788128号公報 特許第5451768号公報 特許第6062165号公報
即ち、微細構造が菌などに対して物理的に作用し、抗菌に有効であることが一般的に知られている。
しかしながら、このような微細構造表面を微生物に応用する場合には、抗菌効果が得られるが、その上で目的の細胞を培養することには不適合であって、培養目的の細胞まで死滅させてしまう問題があった。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、微生物に対して効果的な抗菌作用を示すことができる細胞培養シートを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 細胞の培養に寄与する少なくとも一つの細胞培養領域と、
前記細胞培養領域に隣接し、前記細胞培養領域に対して凹んで存在し、高さにおいて前記細胞培養領域の表面を超えない複数の微小突起を有する、抗菌作用を有する少なくとも一つの抗菌領域と、
を有することを特徴とする細胞培養シートである。
<2> 前記微小突起が、錐状又は柱状である前記<1>に記載の細胞培養シートである。
<3> 前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記抗菌領域が、前記細胞培養領域に囲まれて存在している前記<1>から<2>のいずれかに記載の細胞培養シートである。
<4> 前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記細胞培養領域が、前記抗菌領域に囲まれて存在している前記<1>から<2>のいずれかに記載の細胞培養シートである。
<5> 前記微小突起の高さが、前記抗菌領域の底から前記細胞培養領域の表面までの高さの0.7倍以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の細胞培養シートである。
<6> 前記抗菌領域の深さが、5μm以上100μm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の細胞培養シートである。
<7> 基材と、前記基材上に、前記細胞培養領域及び前記抗菌領域を有する培養層とを有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の細胞培養シートである。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、微生物に対して効果的な抗菌作用を示すことができる細胞培養シートを提供することができる。
図1Aは、細胞培養シートの一例を説明するための概略図(上面図)である。 図1Bは、図1A中の破線の丸の拡大図である。 図1Cは、図1BのAA断面図である。 図2Aは、細胞培養シートの他の一例を説明するための概略図(上面図)である。 図2Bは、図2A中の破線の四角の拡大図である。 図2Cは、図2BのBB断面図である。 図3Aは、細胞培養シートの他の一例を説明するための概略図(上面図)である。 図3Bは、図3A中の破線の丸の拡大図である。 図3Cは、図3BのCC断面図の一例である。 図3Dは、図3BのCC断面図の他の一例である。 図4Aは、比較例1の細胞培養シートを説明するための概略図(上面図)である。 図4Bは、図4AのAA断面図である。
(細胞培養シート)
本発明の細胞培養シートは、少なくとも一つの細胞培養領域と、少なくとも一つの抗菌領域とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記細胞培養シートは、例えば、基材と、前記基材上に、前記細胞培養領域及び前記抗菌領域を有する培養層とを有する。
前記細胞培養シートにおいて、前記抗菌領域は、前記細胞培養領域に隣接し、前記細胞培養領域に対して凹んで存在し、高さにおいて前記細胞培養領域の表面を超えない複数の微小突起を有する。そうすることにより、培養対象の細胞は、前記細胞培養領域上で培養される一方、抗菌対象の微生物については、前記抗菌領域による抗菌作用により、少なくとも増殖が抑えられる。そのため、前記細胞培養シートは、抗生物質や抗菌剤を用いない細胞の培養に好適に用いることができる。
本発明において、抗菌とは、殺菌、滅菌、消毒、除菌、及び静菌の少なくともいずれかを意味する。殺菌とは、単に微生物を殺すことを言う。滅菌とは、目的とする対象物から、全ての微生物を殺菌または除去することを言う。消毒とは、人畜に対して病原性のある特定の微生物を死滅させ、感染を防止することを言い、全ての微生物の殺菌を意味するものではない。除菌とは、一般的に、目的とする対象物から、微生物を除去することを言う。静菌とは、微生物の増殖を阻害あるいは阻止することを言う。
前記微生物とは、細菌、菌類などを指す。
<細胞培養領域>
前記細胞培養領域は、細胞の培養に寄与する領域である。
前記細胞培養領域の表面は、細胞に接する。
前記細胞培養領域においては、その表面形状によって細胞の細胞壁が破壊されない。言い換えれば、前記細胞培養領域の表面形状としては、細胞の細胞壁が破壊されない程度の平滑性であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
培養対象の細胞としては、抗菌対象となる微生物(例えば、細菌、菌類)以外の細胞であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト由来の細胞、動物由来の細胞などが挙げられる。
前記ヒト由来の細胞としては、例えば、HeLa、HL−60、HEK293、間葉系幹細胞、造血幹細胞、内皮細胞、心筋細胞、骨芽細胞、肝細胞などが挙げられる。
前記動物由来の細胞としては、例えば、CHO、MDCK、NIH3T3などが挙げられる。
<抗菌領域>
前記抗菌領域は、前記細胞培養領域に隣接する。
前記抗菌領域は、前記細胞培養領域に対して凹んで存在する。
前記抗菌領域は、高さにおいて前記細胞培養領域の表面を超えない複数の微小突起を有する。前記微小突起の高さが、前記細胞培養領域の表面を超えないことで、前記細胞培養領域の表面に付着した細胞が前記微小突起に触れることを防ぐことができる。
前記抗菌領域の深さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5μm以上100μm以下などが挙げられる。ここで、前記抗菌領域の深さとは、前記抗菌領域の底から前記細胞培養領域の表面までの高さということもできる。
前記深さは、平均値であって、例えば、50箇所の深さの算術平均値である。
前記微小突起の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錐状、柱状などが挙げられる。
錐としては、例えば、円錐、角錐などが挙げられる。前記角錐としては、例えば、三角錐、四角錐などが挙げられる。
前記微小突起の形状、高さ、幅、及び間隔、並びに前記抗菌領域の深さなどは、例えば、電子顕微鏡観察を行うことで確認することができる。
前記微小突起の高さとしては、前記細胞培養領域の表面を超えないかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記抗菌領域の底から前記細胞培養領域の表面までの高さの0.7倍以下であってもよいし、0.5倍以下であってもよいし、0.2倍以下であってもよいが、0.7倍以下が好ましい。
前記微小突起の高さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記微小突起の高さとしては、前記抗菌領域の底から前記細胞培養領域の表面までの高さの0.05倍以上であってもよいし、0.1倍以上であってもよい。
また、前記微小突起の高さとしては、前記細胞培養領域に対する前記抗菌領域の凹み具合に応じて適宜選択することができる。例えば、前記微小突起の高さは、50nm以上であってもよいし、100nm以上であってもよい。また、例えば、前記微小突起の高さは、1,000nm以下であってもよいし、500nm以下であってもよい。
これら高さは、平均値であって、例えば、50個の微小突起の高さの算術平均値である。
前記抗菌領域内の前記複数の微小突起同士の間隔(ピッチ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記間隔は、50nm以上であってもよいし、100nm以上であってもよいし、200nm以上であってもよい。また、例えば、前記間隔は、1,000nm以下であってもよいし、750nm以下であってもよいし、500nm以下であってもよい。
前記間隔は、平均値であって、例えば、50箇所の間隔の算術平均値である。
前記微小突起の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記幅は、25nm以上であってもよいし、50nm以上であってもよいし、100nm以上であってもよい。また、例えば、前記幅は、1,000nm以下であってもよいし、600nm以下であってもよいし、400nm以下であってもよい。
前記幅は、平均値であって、例えば、50個の微小突起の幅の算術平均値である。
前記幅は、微小突起の底の幅である。
前記細胞培養シートは、例えば、前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記抗菌領域が、前記細胞培養領域に囲まれて存在している。
また、前記細胞培養シートは、例えば、前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記細胞培養領域が、前記抗菌領域に囲まれて存在している。
前記細胞培養シートにおける前記細胞培養領域と前記抗菌領域との割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記細胞培養シートを上面から見た場合の面積比(細胞培養領域:抗菌領域)において、90:10〜10:90であってもよいし、80:20〜20:80であってもよいし、30:70〜70:30であってもよいし、40:60〜60:40であってもよい。
ここで、細胞培養シートの一例を図を用いて説明する。
図1A〜図1Cは、細胞培養シートの一例を説明するための概略図である。
図1A〜図1Cに示す細胞培養シート1は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、複数の抗菌領域3が、ひと繋がりの細胞培養領域2に囲まれて存在している。
図1Aは、上面図である。図1Bは、図1A中の破線の丸の拡大図である。図1Cは、図1BのAA断面図である。
図1A〜図1Cに示す細胞培養シート1は、ひと繋がりの細胞培養領域2と、細胞培養領域2に囲まれて点在する複数の抗菌領域3とを有している。抗菌領域3は、細胞培養領域2に対して凹んで存在する(図1C)。
抗菌領域3は、その領域内に複数の微小突起3Aを有している(図1B及び図1C)。微小突起3Aの形状は、円錐状である(図1B及び図1C)。
この例では、抗菌領域3の形状は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、正方形である。隣り合う抗菌領域3同士の間の細胞培養領域2の幅(W1x、及びW1y)は、例えば、5μm以上100μm以下である。抗菌領域3の幅(L1x、及びL1y)は、例えば、5μm以上100μm以下である。抗菌領域3の間隔(ピッチ:P1x=W1x+L1x、P1y=W1y+L1y)は、例えば、10μm以上200μm以下である。
抗菌領域3の深さ(H1)は、例えば、5μm以上100μm以下である。微小突起3Aの高さ(H2)は、例えば、抗菌領域3の深さ(H1)の0.7倍以下である。
微小突起3Aの幅(W2x)は、例えば、25nm以上600nm以下である。
微小突起3A同士の間隔(ピッチ:P2x)は、例えば、50nm以上1,000nm以下である。
図1A〜図1Cに示す細胞培養シートでは、培養対象の細胞は、細胞培養領域2上に配され培養される一方で、抗菌対象の微生物は、その細胞壁が抗菌領域3内の微小突起3Aにより破壊され、抗菌性が発現される。
細胞培養シートの他の一例を図を用いて説明する。
図2A〜図2Cは、細胞培養シートの他の一例を説明するための概略図である。
図2A〜図2Cに示す細胞培養シート1は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、複数の細胞培養領域菌2が、ひと繋がりの抗菌領域3に囲まれて存在している。
図2Aは、上面図である。図2Bは、図2A中の中心に位置する破線の四角の拡大図である。図2Cは、図2BのBB断面図である。
図2A〜図2Cに示す細胞培養シート1は、ひと繋がりの抗菌領域3と、抗菌領域3に囲まれて点在する複数の細胞培養領域2とを有している。抗菌領域3は、細胞培養領域2に対して凹んで存在する(図2C)。
抗菌領域3は、その領域内に複数の微小突起3Aを有している(図2B及び図2C)。微小突起3Aの形状は、円錐状である(図2B及び図2C)。
この例では、細胞培養領域2の形状は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、円形である。隣り合う細胞培養領域2同士の間の抗菌領域3の幅は、例えば、5μm以上100μm以下である。細胞培養領域2の直径は、例えば、5μm以上100μm以下である。細胞培養領域2の間隔は、例えば、10μm以上200μm以下である。
抗菌領域3の深さは、例えば、5μm以上100μm以下である。微小突起3Aの高さは、例えば、抗菌領域3の深さの0.7倍以下である。
微小突起3Aの幅は、例えば、25nm以上600nm以下である。
微小突起3A同士の間隔は、例えば、50nm以上1,000nm以下である。
図2A〜図2Cに示す細胞培養シートでは、培養対象の細胞は、細胞培養領域2上に配され培養される一方で、抗菌対象の微生物は、その細胞壁が抗菌領域3内の微小突起3Aにより破壊され、抗菌性が発現される。
細胞培養シートの他の一例を図を用いて説明する。
図3A〜図3Dは、細胞培養シートの一例を説明するための概略図である。
図3A〜図3Dに示す細胞培養シート1は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、複数の抗菌領域3が、ひと繋がりの細胞培養領域2に囲まれて存在している。
図3Aは、上面図である。図3Bは、図3A中の破線の丸の拡大図である。図3Cは、図3BのCC断面図の一例である。図3Dも、図3BのCC断面図である。図3Dは、図3Cとは微小突起3Aの形状が異なる一例である。
図3A〜図3Dに示す細胞培養シート1は、ひと繋がりの細胞培養領域2と、細胞培養領域2に囲まれて点在する複数の抗菌領域3とを有している。抗菌領域3は、細胞培養領域2に対して凹んで存在する(図3C、及び図3D)。
この例では、抗菌領域3の形状は、細胞培養シート1を上面から見た場合に、正方形である。
抗菌領域3は、その領域内に複数の微小突起3Aを有している(図3B、図3C、図3D)。この例では、細胞培養シート1を上面から見た場合に抗菌領域3の一辺から対向する辺に渡って延びる長方形の複数の微小突起3Aが、抗菌領域3内で、一定の間隔を置いて配されている(図3B)。この微小突起3Aは、CC断面で見た場合に、一例では、四角形であり(図3C)、他の例では、三角形である(図3D)。
隣り合う抗菌領域3同士の間の細胞培養領域2の幅(W1x、及びW1y)は、例えば、5μm以上100μm以下である。抗菌領域3の幅(L1x、及びL1y)は、例えば、5μm以上100μm以下である。抗菌領域3の間隔(ピッチ:P1x=W1x+L1x、P1y=W1y+L1y)は、例えば、10μm以上200μm以下である。
抗菌領域3の深さ(H1)は、例えば、5μm以上100μm以下である。微小突起3Aの高さ(H2)は、例えば、抗菌領域3の深さ(H1)の0.7倍以下である。
微小突起3Aの幅(W2x)は、例えば、25nm以上600nm以下である。
微小突起3A同士の間隔(ピッチ:P2x)は、例えば、50nm以上1,000nm以下である。
図3A〜図3Dに示す細胞培養シートでは、培養対象の細胞は、細胞培養領域2上に配され培養される一方で、微小突起3Aの高さ(H2)が、抗菌領域3の深さ(H1)よりもかなり小さいため、抗菌対象の微生物は、抗菌領域3内の深い位置であって、微小突起3A同士の間にとどまる。そうすると、微生物のコロニー形成や、バイオフィルム形成が抑制される結果、微生物に対する抗菌性が発現される。
<基材>
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、前記ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
<培養層>
前記培養層の材質としては、細胞に対する毒性がない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性有機材料の硬化物などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系単独重合体(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリオレフィン系共重合体(例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール)、シクロオレフィン系重合体(例えば、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー)、ポリスチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどが挙げられる。
前記硬化性有機材料の硬化物としては、活性エネルギー線硬化性有機材料の硬化物、熱硬化性有機材料の硬化物などが挙げられる。ここで、前記硬化性有機材料は、一般的に、低分子材料も含めて、硬化性樹脂とも呼ばれる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線などが挙げられる。
<細胞培養シートの製造方法>
前記細胞培養シートの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に、前記細胞培養領域と前記抗菌領域とを有する培養層を形成する方法が挙げられる。
前記培養層を形成する方法としては、例えば、前記細胞培養領域と前記抗菌領域とが形成可能な構造が賦形された原盤やスタンパに、溶融した培養層の前駆体を流し込んで前記前駆体を硬化させて、前記細胞培養領域と前記抗菌領域とを有する培養層を形成する方法などが挙げられる。
以下に、前記細胞培養シートの製造方法の一例として、紫外線硬化樹脂を用いた製造プロセスについて、説明する。
まず、前記細胞培養領域と前記抗菌領域とが反転した表面構造を有する原盤を作製する。原盤の材料としては、例えば、金属(例えば、鉄系、アルミ系、銅系)、ガラス、シリコン系などの一般的な材料が挙げられる。前記表面構造を原盤に形成する加工方法としては、例えば、機械切削、レーザ描画、レーザによる干渉描画、電子線描画、エッチングなどの公知の手法が使用できる。
次に、基材としてのPETフィルム上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂(培養層の前駆体)を滴下して塗り拡げる。
次に、原盤とPETフィルムをゴムローラ等で押圧し、原盤に刻まれた微細な前記表面構造に、紫外線硬化型樹脂を十分に付着させる。
次に、前記PETフィルムの裏面側から所望波長の紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、培養層を形成する。
次に、前記培養層が積層された前記PETフィルムを原盤から剥離して細胞培養シートを得る。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<細胞培養シートの作製>
以下の材料を用い、細胞培養シートを作製した。
〔材料〕
基材:易接着層付きPETフィルム(東洋紡製、品名:コスモシャイン A4300 厚み0.18mm)
樹脂組成物:
・紫外線硬化型樹脂(共栄社化学製、品名:ライトエステル H0−250(N)94wt%)
・光重合開始剤(BASF社製、品名:IRGACURE127 6wt%)
基材上に、樹脂組成物を配した後、図1A〜図1Cに示す細胞培養シートを形成するために、以下の表1で表される形状が転写可能な転写原盤を用いて、凹凸構造の転写を行った。その後、以下の光硬化条件で樹脂の光硬化を行い、細胞培養シートを得た。
〔光硬化条件〕
光源:メタルハライド λ365nm
照射量:1081mJ/cm
なお、微小突起は、円錐状であり、六方配列である。
得られた細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の抗菌領域が、ひと繋がりの細胞培養領域に囲まれて存在している。
(比較例1)
<細胞培養シートの作製>
実施例1と同じ材料を用いて、全面が平滑な表面を持つ細胞培養シートを作製した。
基材上に、樹脂組成物を配した後、シクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製、品名:ZF14−060、厚み0.06mm)を樹脂組成物に貼り付けた。その後、フィルム越しに、以下の光硬化条件で樹脂の光硬化を行い、細胞培養シートを得た。
〔光硬化条件〕
光源:メタルハライド λ365nm
照射量:1081mJ/cm
得られた細胞培養シートの模式図を図4A〜図4Bに示した。
図4Aは上面図であり、図4Bは、図4AのAA断面図である。
細胞培養シート1の表面は、平滑な細胞培養領域2からなる。
〔抗菌試験〕
JISZ 2801「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」に基づいて抗菌試験を実施した。菌種は黄色ブドウ球菌(NBRC 12732)を使用した。
実施例1及び比較例1の細胞培養シートの試験片(5cm×5cm)をシャーレに入れて試験菌液0.4mlを滴下し、ポリエチレンフィルム(4cmx4cm)をかぶせてシャーレのふたをした。シャーレを35℃、90%RHで24時間培養後、試験片を取り出してストマッカー袋に入れてSCDLP培地10mlを加えて試験菌を洗い出した。洗い出し液中の菌数を寒天平板培地法により測定し、抗菌活性値を算出した。
<<評価>>
生菌数は、1cmあたりの菌数で、表2の数値は試験3回の平均値を記した。抗菌活性値は無加工フィルム(ポリエチレン製)における生菌数の対数値の平均値と、上記加工品における生菌数の対数値の平均値との差であり、一般に抗菌活性値が2.0以上であれば抗菌性を有すると判断できる。
表2より、本発明による実施例は抗菌活性値が2.0以上であり、抗菌効果があることがわかる。
本発明の細胞培養シートは、微生物に対して効果的な抗菌作用を示すことから、抗生物質や抗菌剤を用いない細胞の培養に好適に用いることができる。
1 細胞培養シート
2 細胞培養領域
3 抗菌領域
3A 微小突起

Claims (7)

  1. 細胞の培養に寄与する少なくとも一つの細胞培養領域と、
    前記細胞培養領域に隣接し、前記細胞培養領域に対して凹んで存在し、高さにおいて前記細胞培養領域の表面を超えない複数の微小突起を有する、抗菌作用を有する少なくとも一つの抗菌領域と、
    を有することを特徴とする細胞培養シート。
  2. 前記微小突起が、錐状又は柱状である請求項1に記載の細胞培養シート。
  3. 前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記抗菌領域が、前記細胞培養領域に囲まれて存在している請求項1から2のいずれかに記載の細胞培養シート。
  4. 前記細胞培養シートを上面から見た場合に、複数の前記細胞培養領域が、前記抗菌領域に囲まれて存在している請求項1から2のいずれかに記載の細胞培養シート。
  5. 前記微小突起の高さが、前記抗菌領域の底から前記細胞培養領域の表面までの高さの0.7倍以下である請求項1から4のいずれかに記載の細胞培養シート。
  6. 前記抗菌領域の深さが、5μm以上100μm以下である請求項1から5のいずれかに記載の細胞培養シート。
  7. 基材と、前記基材上に、前記細胞培養領域及び前記抗菌領域を有する培養層とを有する請求項1から6のいずれかに記載の細胞培養シート。
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