JP2019155458A - プレス成形方法 - Google Patents

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Naoki Takahashi
直樹 高橋
敬一郎 中尾
Keiichiro Nakao
敬一郎 中尾
宮本 和樹
Kazuki Miyamoto
和樹 宮本
直佑 蔭山
Naosuke KAGEYAMA
直佑 蔭山
清貴 磯部
Kiyotaka Isobe
清貴 磯部
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Abstract

【課題】工程を複雑化することなく、材料歩留りを向上させることができるプレス成形方法を提供すること。【解決手段】プレス成形方法の拡張工程P1は、板材1の端面1bよりも内側の面1aに加工ローラ30を押し付けて導入凹部15を形成する第1軸加工(導入工程)P210と、導入凹部15から加工ローラ30を板材1の面1aの方向に沿った加工方向(水平方向)で移動させて板材1の端部を拡幅する第1段張り出し工程P211〜第5段張り出し工程P215と、を有するプレス成形方法に関する。【選択図】図4

Description

本発明は、板材をプレス加工するプレス成形方法に関する。
従来、プレス成形では板材を所定寸法に加工したブランク材(プレス成形素材)に対して成形加工が行われる。例えば、絞り成形では、ブランク材における製品形状部位の周縁部を押圧拘束した状態で、当該製品形状部位をパンチでダイ側に押し込んで塑性変形を与えることによってプレス成形が行われる。この場合の周縁部の拘束は、プレス成形機のダイとブランクホルダ間、又は、上下のブランクホルダ間でブランク材周縁部を挟み込むことで行われる。ブランク材の周縁部は、成形工程でブランク材の位置を拘束するための部位、所謂つかみ代である。このつかみ代は、プレス成形では必要であるが、後段の工程では切除される部分である。材料歩留りの観点では、つかみ代となる周縁の部分は極力少ない方が好ましい。
歩留りを向上させるプレス成形の技術を開示するものとして例えば特許文献1がある。特許文献1は、板材の端部を少なくとも部分的に拡張して所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材を得る拡張工程と、前記拡張工程により得たブランク材の端部の所定部位を拘束した状態でプレス成形する成形工程と、を含むプレス成形方法に関するものである。特許文献1では、拡張工程の過程で、幅の異なる複数のローラを用いて段階的に加圧して伸展させる工程について記載されている。
特許第6240338号公報
特許文献1に記載される技術は、良好な材料歩留りの向上を実現することができるものの、複数種類の幅の異なるローラを用いる工程では、ローラの入れ替え等を行う必要があり、複雑な工程となる。また、同じ幅のローラを用いればローラの入れ替えを行う必要がないもの、板材に加わる力が局所的になるおそれもある。
本発明は、工程を複雑化することなく、材料歩留りを向上させることができるプレス成形方法を提供することを目的とする。
本発明は、所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材(例えば、後述のブランク材110)を得るために、板材(例えば、後述の板材1)の端部を張り出し加工具(例えば、後述の加工具10)により加圧して伸展させる拡張工程(例えば、後述の拡張工程P1)と、前記ブランク材の端部の所定部位を拘束した状態でプレス成形する成形工程(例えば、後述の成形工程P2)と、を含むプレス成形方法であって、前記拡張工程は、前記板材の端面(例えば、後述の端面1b)よりも内側の面(例えば、後述の面1a)に加工ローラ(例えば、後述の加工ローラ30)を押し付けて導入凹部(例えば、後述の導入凹部15)を形成する導入工程(第1軸加工P210)と、前記導入凹部から前記加工ローラを前記板材の面方向に沿った加工方向で移動させて前記板材の端部を拡幅する張り出し工程(例えば、後述の第1段張り出し工程P211〜第5段張り出し工程P215)と、を有するプレス成形方法に関する。
これにより、加工ローラを板材に接触させるときのせん断力と曲げモーメントの発生を効果的に抑制することができ、拡張工程を行うときの加工部分(例えば、ダイのR部分に接触する部分及びその近傍等)での亀裂の発生を効果的に防止できる。
前記導入工程では、前記加工ローラを前記板材の面に押し付けた後、前記導入凹部から前記板材の一側の端面の外側まで移動させ、前記張り出し工程(例えば、後述の第1段張り出し工程P211)では、前記導入凹部を形成したときと同じ高さで、前記板材の一側から前記導入凹部を通って前記加工ローラを前記加工方向で移動させることが好ましい。
これにより、導入凹部を形成したときと同じ高さで張り出し工程が行われるので、導入凹部から続く加工部分(例えば、後述の凹部32)との間等の部分的なバラツキの発生を効果的に防止できる。
前記拡張工程は、前記加工ローラの高さが、前記板材の端部の張り出し工程終了後の目標幅に対する割合を示す目標拡幅率の50%以上を達成する高さに設定された状態で前記導入凹部から前記加工ローラを前記加工方向で移動させる第1段張り出し工程(例えば、後述の第1段張り出し工程P211)と、前記第1段張り出し工程の後、前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程((例えば、後述の第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215)を当該加工ローラの高さを変えて行って目標拡幅率を達成することが好ましい。
これにより、板材において加工部分の両側(例えば、ダイのR部分から加工ローラの端部までの間に接触する部分)を延ばすことができ、加工ローラの押圧力による局所延びを防止して亀裂発生をより一層防止することができる。
前記第1段張り出し工程の後、前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程(例えば、後述の第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215)を当該加工ローラの高さを段階的に変えて複数回行うことが好ましい。
これにより、局所延びを防止しつつ、加工部分のバラツキを抑制でき、より均質なブランク材に対してプレス成形を行うことができる。
前記導入凹部から前記加工ローラを最初に進入させる第1段張り出し工程で、少なくとも2回同じ高さで前記加工ローラを前記加工方向で移動させることが好ましい。
これにより、1回目の加工ローラの加工で生じるスプリングバックを再成形することにより、板材に形成される加工部分にくびれの発生を防止でき、第1段張り出し工程以後にくびれに応力が集中し、亀裂が入る事態の発生を防止できる。
前記第1段張り出し工程の後、同じ高さで少なくとも2回前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程を当該加工ローラの高さを段階的に変えて複数回行うことが好ましい。
これにより、第2段張り出し工程以後のくびれの発生も防止でき、各工程の過程で亀裂が入る事態の発生をより一層防止できる。
本発明のプレス成形方法によれば、工程を複雑化することなく、材料歩留りを向上させることができる。
本発明の一実施形態としてのプレス成形方法を示す工程図である。 本実施形態の拡張工程を説明する図である。 本実施形態の加工具によって加工される板材を模式的に示す斜視図である。 比較例で加工ローラを端面から接触させる場合の板材に加わる力を模式的に説明する図である。 本実施形態の加工ローラを上から接触させる場合の板材に加わる力を模式的に説明する図である。 本実施形態の加工ローラによる複数段工程を模式的に説明する図である。 ブランクホルダとダイに挟み込まれた部分から加工ローラの先端の中心までの距離に対する板減率の関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態としてのプレス成形方法を示す工程図である。
図1に示すように、本実施形態のプレス成形方法では、板材の端部(端縁側の所定の部分的領域)を拡張して所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材を得る拡張工程P1と、拡張工程P1により得られたブランク材の端部を拘束した状態でプレス成形する成形工程P2と、が行われる。
本実施形態の拡張工程P1は、張り出し工程P200とならし工程P220を含む。張り出し工程P200では、板材1の該当端部を張り出し加工具10により、加圧して伸展させる加工が行われる。ならし工程P220では、張り出し工程P200により非平面状に変形された板材の該当部を平坦化する加工が行われる。
まず、図2を参照して拡張工程P1の流れについて説明する。図2は、本実施形態の拡張工程P1を段階的に説明する図である。図2中の(a)には、拡張工程P1に供される板材1の断面が表されている。予め設定される部分的な領域である拡幅範囲W1に基づいて板材1の加工が行われる。
図2中の(b)には、拡張工程P1における張り出し工程P200において、後述する第1軸加工P210及び第1段張り出し工程211が加工具10によって行われた様子が示されている。第1軸加工P210及び第1段張り出し工程211により、板材1の端部の拡幅範囲W1が加工具10によって加圧伸展される。板材1には凹部32が形成され、この凹部32の裏側が凸部31となる。この図2中の(b)に示す板材1の上面と凹部32の底までの深さを張り出し深さd1とする。
図2中の(c)には、後述する加工ローラ30の多段加工によって張り出し深さが深くなっている様子が示されている。図2中の(b)に示す深さd1は、加工具10の多段加工を経ることによって張り出し深さd1よりも深い張り出し深さd2の凹部32が形成される。第1軸加工P210及び第1段張り出し工程P211の後、第2段張り出し工程P212、第5段張り出し工程P215が順次行われる。なお、多段加工の回数が限定されるわけではなく、加工対象によって適宜調整される。
図2中の(d)には、張り出し工程P200で端部が伸展させられた後、ならし工程P220で平坦化されるという拡張工程P1が実施された結果の板材1の断面が表されている。この状態で、板材1は端部側の幅が拡幅されて、所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材110となっている。ブランク材110の所謂つかみ代として製品形状部位よりも外側に張り出した部分111は、相対的に厚み寸法が縮小するが、製品形状部位では、元の厚み寸法が維持される。W2は、後述するホールド装置11,12の幅と、板材1を延長した長さを足したものである。
拡張工程P1では、以上のようにして、板材1の端部を少なくとも部分的に拡張して所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材110が得られる。
成形工程P2では、上述のようにして板材1の周縁部に成形されたブランク材110のつかみ代となる張り出し部分111を、プレス成形機のダイとブランクホルダ間、或いは、上下のブランクホルダ間で挟むようにして拘束し、ブランク材の製品形状部位をパンチでダイ側に押し込んで、通常の如くプレス成形が行われる。この結果、プレス成形用板材として、通常のブランク材よりも小さな板材を適用しながらも、上述の拡張工程P1で、つかみ代に該当する被拘束部位を形成しつつ製品形状部位は通常と同寸であるブランク材110が確保される。従って、プレス成形時の製品形状部位での寸法誤差を極小化しながら材料歩留りを向上させることができる。
次に、図2中の(b)及び(c)で説明した加工具10について図3を参照して加工具10の構成について説明する。図3は、本実施形態の加工具10によって加工される板材1を模式的に示す斜視図である。加工具10は、板材1の端部(端縁側の所定の部分的領域)を一定の間隔を空けて上下から挟む1対のホールド装置11,12と、加工ローラ30と、を主要な構成として備える。
ホールド装置11は、上下で対をなすブランクホルダ21とダイ22を備える。ブランクホルダ21は、その下面に下方に突出するビード形成凸部210を有する。ダイ22は、その上面にビード形成凸部210の位置に応じてビード形成凹部220が形成される。ビード形成凸部210及びビード形成凹部220は、何れも所定方向に細長く形成される。また、ダイ22の上部における加工ローラ30側の端部はR状(以下、R部221)に形成される。
同様に、ホールド装置12は、上下で対をなすブランクホルダ23とダイ24を備える。ブランクホルダ23は、その下面に下方に突出するビード形成凸部230を有する。ダイ24は、その上面にビード形成凹部240が形成される。ビード形成凸部230及びビード形成凹部240は、何れも所定方向に細長く形成される。また、ダイ24の上部における加工ローラ30側の端部はR状(以下、R部241)に形成される。
ホールド装置11は板材1における拡幅範囲W1の一側に配置され、ホールド装置12は板材1における拡幅範囲W1の他側に配置される。図面では、ホールド装置12が板材1の端面1b側に位置している。ホールド装置11とホールド装置12によって板材1における拡幅範囲W1の両側が拘束される。
ホールド装置11は、ブランクホルダ21とダイ22によって板材1の端部を一定の荷重で挟み込む。板材1は、ブランクホルダ21のビード形成凸部210によって上面の一部101が押圧され、ビード形成凸部210の外形に沿って下方に突出するビード部102が形成されながら強固に拘束される。ビード部102は、ダイ22のビード形成凹部220に納まる。
また、ホールド装置12は、ブランクホルダ23とダイ24によって板材1の端部を一定の荷重で挟み込む。板材1は、ブランクホルダ23のビード形成凸部230によって上面の一部103が押圧され、ビード形成凸部230の外形に沿って下方に突出するビード部104部が形成されながら強固に拘束される。ビード部104は、ダイ24のビード形成凹部240に納まる。
加工ローラ30は、ホールド装置11とホールド装置12の間隔よりも狭い幅をローラであり、ホールド装置11とホールド装置12の間に位置する。加工ローラ30は、板材1の面1aの方向に沿う方向(以下、加工方向と称する)に移動可能であるとともに、板材1に対する高さを調整可能に構成される。なお、加工ローラ30の高さは、板材1に対する距離であり、加工ローラ30の高さが上下方向に限定されることを意味するわけではない。
加工ローラ30は、ホールド装置11とホールド装置12によって板材1が拘束された状態で、板材1を上面から押圧して荷重をかけながら加工方向に移動し、板材1を凹状に変形させながら伸展させる。これによって板材1に溝状の凹部32が形成される。なお、板材2はホールド装置11とホールド装置12に拘束されているので、加工ローラ30の押圧中もその軸方向(図では左右方向)にずれなくなっている。
次に、張り出し工程P200における第1軸加工P210について図4の比較例と図5の本実施形態を比較しながら説明する。
図4は、比較例で加工ローラ30を端部から接触させる場合の板材1に加わる力を模式的に説明する図である。図4中の(a)では、加工ローラ30の初期位置が、板材1の端面1bに対向する位置で凹部32の深さ(張出量)に対応する高さに設定されている様子が側面視で示されている。
加工ローラ30は、初期位置の高さを維持した状態で破線の矢印方向に進行して板材1の端面1bに接触し、板材1の端面1bを下側に加圧しながら進行方向に進んで凹部32を形成する。このとき、加工ローラ30の加圧力によって板材1に加工ローラ30の進行方向でのせん断力Fが加わる。せん断力Fは、側面視において加工ローラ30の接線方向と板材1の平面方向とがなす侵入角θが大きくなればなるほど大きくなる。即ち、張出量が高く、板材1に形成する凹部32が深ければ深いほど侵入角が大きくなってせん断力Fも大きくなってしまう。即ち、張出量が高くなればなるほど、せん断力Fが大きくなって板材1に過大な力が加わってしまうことになる。
図4中の(b)では、加工ローラ30が板材1の端面1bに接触して加圧が開始された初期の様子が平面視で示されている。加工ローラ30の中心から両側のホールド装置11及びホールド装置12までの距離L1が長ければ長いほど、加工ローラ30の中心を力点として力のモーメントが大きくなる。白抜きの矢印の方向に板材1を回転させようとする力が働き、ビード部102,104から破断が生じ易くなってしまう。即ち、拡幅範囲が広くなればなるほど、破断が生じ易くなってしまう。
そこで、本実施形態では、加工ローラ30と板材1の最初の接触時となる第1軸加工P210の動作を工夫することで、張出量を高くするとともに拡幅範囲を拡げても破断が生じない加工方法を実現した。図5を参照して本実施形態の第1軸加工P210の動作について説明する。図5は、本実施形態の加工ローラ30を上から接触させる場合の板材1に加わる力を模式的に説明する図である。
図5中の(a)では、本実施形態の加工ローラ30の第1軸加工P210の動作が側面視で示されている。図5中の(b)では、第1軸加工P210で加工ローラ30aが板材1に接触したときの様子が平面視で示されている。
第1軸加工P210における加工ローラ30の初期位置は、板材1の上方に設定されている。初期位置の加工ローラ30は、板材1の面1aに対向している。また、初期位置は、加工ローラ30の中心が板材1の端面1bから所定距離だけ離れた位置で面1aに対向する位置に設定されている。なお、所定距離は、上下方向で加工ローラ30と板材1の端面1bが重ならないように加工ローラ30の直径以上離すことが好ましい。
図5中の(a)に示すように、第1軸加工P210では、初期位置の加工ローラ30が板材1の上方から下降し、板材1の面1aに接触する。板材1の面1aに接触した加工ローラ30aは、設定される張出量に応じた凹部32を形成する深さまで下降する。その後、加工ローラ30bは、その高さを維持しながら板材1の端面1bの外側まで移動する。この加工ローラ30の移動方向は、加工方向であるが、次工程で加工ローラ30が進行する向きは逆向きの移動である。
図5中の(b)に示すように、第1軸加工P210では加工ローラ30が板材1の内側の面1aに接触することにより、加工ローラ30の荷重による力F2が板材1を押圧する方向(紙面奥方向)に加わるものの、図4中の(a)を参照して説明したような板材1を裂くような、せん断力及び力のモーメントは発生しないことになる。これによって、加工ローラ30接触時の板材1の破損を効果的に防止できる。
以上説明した第1軸加工P210により、板材1の端面1bの一部に導入凹部15が形成される。第1軸加工P210の後は、この導入凹部15から加工ローラ30が進入して張り出し工程が行われる。張り出し工程は、板材1に形成する目標張出量に応じて第1段張り出し工程P211、第2張り出し工程P212、第3段張り出し工程P213、第4段張り出し工程P214、5段張り出し工程(最終段張り出し工程)P215と複数回行われる。なお、本実施形態では、第1段張り出し工程P211から第5段張り出し工程P215までの5回、張り出し工程が行われる例を節笑みしたが、板材1に形成する目標張出量や拡幅範囲W1、加工具10構成等によって張り出し工程を行う数は適宜設定されるものとする。
次に、図6を参照して第1軸加工P210以降に行われる複数段処理について説明する。図6は、本実施形態の加工ローラ30による複数段処理を模式的に説明する図であり、図6中の(a)〜(c)には、異なる方式の複数段処理を1段から段階的に行った様子が示されている。なお、図6中の(a)〜(c)の何れの例においても、第1段入り出し工程P211における加工ローラ30の高さは、第1軸加工P210の加工ローラ30の高さと同じ高さに設定されている。また、紙面左側が1段目であり、紙面中央が2段目であり、紙面右側が最終段であるものとする。
図6中の(a)の複数段処理では、全ての段階で加工ローラ30が高さを維持した状態で往復移動する。より具体的には、第1段張り出し工程P211では、板材1に対して加工ローラ30の往復移動が行われる。即ち、第1段張り出し工程P211で往路と復路の2回、加工ローラ30による加工が行われる。第2段張り出し工程P212では、第1段張り出し工程P211よりも加工ローラ30を下方に移動させる。そして、第1段張り出し工程P211よりも深い位置が維持された状態で加工ローラ30が往復移動し、往路と復路の2回、加工ローラ30による加工が行われる。同様の処理が第3段、第4段と行われ、最終段でも往路と復路の2回、加工処理が行われることになる。
図6中の(b)の複数段処理では、全ての段階で加工ローラ30による板材1への加工が1回となっている。より具体的には、第1段張り出し工程P211では、板材1に対して加工ローラ30による加工が往路の1回のみとなる。第2段張り出し工程P212では、第1段張り出し工程P211よりも加工ローラ30を下方に移動させた状態で復路の加工が行われる。以降、第5段張り出し工程P215まで、段が変わるごとに、加工ローラ30の位置を下げ、往路又は復路による加工が行われる。
図6中の(c)の複数段処理では、第1段張り出し工程P211のみ往路と復路の2回の処理が行われ、以降は往路又は復路で加工処理が1回ずつ行われる。最初の加工が行われる第1段張り出し工程P211は。図6中の(a)と同様の処理であり、2回目以降の第2段張り出し工程P212は往路又は復路の図6中の(b)と同様の処理となる。
加工ローラ30接触時の板材1への負荷を低減するという観点では図6中の(a)の処理が有利であり、サイクルタイムの短縮という観点では図6中の(b)の処理が有利である。図6中の(c)の処理は、複数段処理において影響の大きい1段目を往復移動とすることで、2段目以降の処理を往路又は復路の1回としながら板材1への負荷の低減しつつサイクルタイムの短縮を両立している。図6中の(a)〜(c)で説明した複数段処理は、要求される製品の仕様等に応じて適宜選択することで、板材1への負担の低減、サイクルタイムの短縮を実情に即して実現することができる。
上述のように、拡張工程では第1軸加工P210で導入凹部15が形成された後、複数段処理を経て板材1が平面状(凹状)に変形、伸展される。そして、次工程のならし工程P220でならし処理が行われる。ならし工程P220では、板材1を挟み込む複数のローラ(図示省略)によって行われる。例えば、従来技術の特許文献1のならし工程のように、板材を挟み込むように複数の大小のローラを配置し、ローラの加圧によってならし工程P220を行ってもよい。ならし工程P220の完了によって拡張工程P1が終了する。拡張工程P1の後、ブランク材110となった板材1は成形工程P2でプレス成形される。
以上、本実施形態のプレス成形方法の一連の流れを説明した。次に、第1段張り出し工程P211で設定される加工ローラ30の高さについて説明する。加工ローラ30の高さによって板材1の凸部31の高さ(張出量)が決まり、凸部31の高さに応じて張り出し工程後の拡幅が決まる。例えば、理論的には、加工ローラ30の高さ(張出量)は拡幅率に比例すると考えることができる。この場合、拡幅率をyとして張出量をxとすると、加工ローラ30の高さが決まれば張出量xが決まるので、y=ax+bによって拡幅率を算出することができる。係数a,切片bは板材や加工具10の構成等によって決まる。
張り出し工程P200の終了後の目標幅に基づいて加工ローラ30の各工程での高さが設定される。本実施形態では、板材1の局所的な延びを防止するために、第1段張り出し工程P211によって拡幅される幅(拡幅率)が、第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215の各回で拡幅される幅(拡幅率)に比べ、最も大きな値になるように、加工ローラ30の各工程での高さが設定されている。
次に、第1段張り出し工程P211で拡幅率を最も大きく設定した理由について説明する。図7は、ブランクホルダ21とダイ22に挟み込まれた部分から加工ローラ30の先端の中心までの距離に対する板減率の関係を示すグラフである。なお、図7のグラフでは、板材1における一側のビード部102の端部から加工ローラ30の中央までのピッチが示されている。ビード部102の端部からのピッチが0の部分は、ダイ22におけるR部221の手前の位置である(図2中の(b)及び(c)におけるR部221の引出線の位置に相当する)。また、ピッチが18の部分は加工ローラ30の中心位置である。即ち、図2中の(b)及び(c)や図3における凹部32の半分の範囲が示されている。
図7のグラフでは、所定の張出量(例えば、8mm)を1度の張り出し工程で達成するように加工ローラ30の高さを設定した1回処理の場合と、所定の張出量を複数回(1回目2mm,2回目4mm、3回目6mm、4回目8mm)の張り出し工程で達成するように複数段処理を行った複数処理の場合と、が示されている。このグラフが示すように、1度の張り出し工程で所定の張出量(例えば、8mm)を達成した場合の方が、ダイ22のR部221に接触する部分の伸びが大きくなって加工ローラ30の端部近傍の板減率が低下することがわかる(グラフ中の白抜きの矢印参照)。
即ち、ある程度の範囲では一度で大きな張出量が加工ローラ30による加工が行われる方が局所的な伸びを防止できることがわかる。一方で、一度だけの張り出し工程では目標拡幅を達成できなかったり、板材1への負担が大きくなってしまったりすることもある。そこで、本実施形態では、目標拡幅率の半分以上を第1段張り出し工程で達成するように加工ローラ30の高さを設定した。目標拡幅率は、拡幅前後の板材の長さを意味するものである。例えば、100mmの加工部分を120mmにする場合には、目標拡幅率は20%となる。この場合、第1段張り出し加工P211では、この目標拡幅率20%の半分以上の拡幅率(例えば、12%)で拡幅されるように、加工ローラ30の高さが設定される。拡幅率の高さから加工ローラ30の高さを求める方法は、上述の式を利用する等、適宜の方法を採用できる。
第1段張り出し工程P211の後、第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215で複数回にわけて加工ローラ30の高さが変更されて張り出し処理が行われることになる。
次に、図6中の(a)及び(c)で説明した加工ローラ30の往復加工の効果について説明する。実際に1回加工(往路のみ)と2回加工(往路と復路)で比較すると、1回加工は中心部の伸びが少なくなっているのに対し、2回加工の方が中心部も良好に拡幅されていることがわかった。これは、1回加工では加工ローラ30が加工方向に移動した後に、スプリングバックが生じているが、2回加工ではスプリングバックが生じたとしてもその後退分が同じ高さの加工ローラ30で拡幅されるためと考えられる。仮にスプリングバックが生じている状態で次の段に以降した場合、実際の成形代と設計上の成形代との差が大きくなり、次の段で加工ローラ30によって張り出される張出量が通常よりもおおくなってくびれが生じ易くなってしまう。従って、品質の向上という観点では、2回加工の方が好ましいということがわかる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
プレス成形方法の拡張工程P1は、板材1の端面1bよりも内側の面1aに加工ローラ30を押し付けて導入凹部15を形成する第1軸加工(導入工程)P210と、導入凹部15から加工ローラ30を板材1の面1aの方向に沿った加工方向(水平方向)で移動させて板材1の端部を拡幅する第1段張り出し工程P211〜第5段張り出し工程P215と、を有するプレス成形方法に関する。
これにより、加工ローラ30を板材1に接触させるときのせん断力と曲げモーメントの発生を効果的に抑制することができ、拡張工程P1を行うときの加工部分(例えば、ダイ22のR部221及びダイ24のR部241に接触する部分及びその近傍等)での亀裂の発生を効果的に防止できる。
また、本実施形態の第1軸加工P210では、加工ローラ30を板材1の面1aに押し付けた後、導入凹部15から板材1の一側の端面1bの外側まで移動させ、第1段張り出し工程P211では、導入凹部15を形成したときと同じ高さで、板材1の一側から導入凹部15を通って加工ローラ30を加工方向で移動させる。
これにより、導入凹部15を形成したときと同じ高さで張り出し工程が行われるので、導入凹部15から続く凹部32との間等の部分的なバラツキの発生を効果的に防止できる。
また、本実施形態の拡張工程P1は、加工ローラ30の高さが、第5段張り出し工程P215終了後の目標幅に対する割合を示す目標拡幅率の50%以上を達成する高さに設定された状態で導入凹部15から加工ローラ30を加工方向で移動させる第1段張り出し工程P211と、第1段張り出し工程P211の後、加工ローラ30を加工方向で移動させる第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215を当該加工ローラ30の高さを変えて行って目標拡幅率を達成する。
これにより、板材1において、ダイ22のR部221又はダイ24のR部241から加工ローラ30の端部に接触する間の部分を延ばすことができ、加工ローラ30の押圧による局所延びを防止して局所延びに起因する亀裂発生をより一層防止できる。
また、本実施形態では、第1段張り出し工程P211の後、第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215を当該加工ローラの高さを段階的に変えて複数回行うとともに、それぞれの工程の拡幅が目標拡幅率の20%以下になるように加工ローラ30の高さが設定される。
これにより、局所延びを防止しつつ、加工部分のバラツキを抑制でき、より均質なブランク材110に対してプレス成形を行うことができる。
また、本実施形態では、導入凹部15から加工ローラ30を最初に進入させる第1段張り出し工程P211で、少なくとも2回同じ高さで加工ローラ30を加工方向で移動させる。
これにより、1回目の加工ローラ30の加工で生じるスプリングバックを再成形することにより、板材1に形成される加工部分にくびれが生じることを防止でき、第1段張り出し工程P211以後にくびれに応力が集中し、亀裂が入る事態の発生を防止できる。
また、本実施形態では、第1段張り出し工程P211の後、第2段張り出し工程P212〜第5段張り出し工程P215を当該加工ローラ30の高さを段階的に変えて複数回行うこともできる。
これにより、第2段張り出し工程P212以後のくびれの発生も防止でき、各工程の過程で亀裂が入る事態の発生をより一層防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、第1軸加工P210と第1段張り出し工程で加工ローラ30の高さは同じ高さに設定されているが、第1軸加工P210よりも加工ローラ30の高さを下げて第1段張り出し工程を行うこともできる。
1 板材
15 導入凹部
30 加工ローラ
110 ブランク材
P1 拡張工程
P2 成形工程
P200 張り出し工程
P210 第1軸加工(導入工程)
P211 第1段張り出し工程
P212 第2段張り出し工程
P213 第3段張り出し工程
P214 第4段張り出し工程
P215 第5段張り出し工程

Claims (6)

  1. 所定のプレス成形に適合する寸法のブランク材を得るために、板材の端部を張り出し加工具により加圧して伸展させる拡張工程と、前記ブランク材の端部の所定部位を拘束した状態でプレス成形する成形工程と、を含むプレス成形方法であって、
    前記拡張工程は、
    前記板材の端面よりも内側の面に加工ローラを押し付けて導入凹部を形成する導入工程と、
    前記導入凹部から前記加工ローラを前記板材の面方向に沿った加工方向で移動させて前記板材の端部を拡幅する張り出し工程と、を有するプレス成形方法。
  2. 前記導入工程では、前記加工ローラを前記板材の面に押し付けた後、前記導入凹部から前記板材の一側の端面の外側まで移動させ、
    前記張り出し工程では、前記導入凹部を形成したときと同じ高さで、前記板材の一側から前記導入凹部を通って前記加工ローラを前記加工方向で移動させる請求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 前記拡張工程は、
    前記加工ローラの高さが、前記板材の端部の張り出し工程終了後の目標幅に対する割合を示す目標拡幅率の半分以上を達成する高さに設定された状態で前記導入凹部から前記加工ローラを前記加工方向で移動させる第1段張り出し工程と、
    前記第1段張り出し工程の後、前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程を当該加工ローラの高さを変えて行って目標拡幅率を達成する請求項1又は2に記載のプレス成形方法。
  4. 前記第1段張り出し工程の後、前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程を当該加工ローラの高さを段階的に変えて複数回行われる請求項3に記載のプレス成形方法。
  5. 前記導入凹部から前記加工ローラを最初に進入させる第1段張り出し工程で、少なくとも2回同じ高さで前記加工ローラを前記加工方向で移動させる請求項1から4の何れかに記載のプレス成形方法。
  6. 前記第1段張り出し工程の後、同じ高さで少なくとも2回前記加工ローラを前記加工方向で移動させる工程を当該加工ローラの高さを段階的に変えて複数回行う請求項5に記載のプレス成形方法。
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