JP2019192609A - 全固体リチウム電池及びその製造方法 - Google Patents

全固体リチウム電池及びその製造方法 Download PDF

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俊広 吉田
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幸信 由良
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Yukihisa Takeuchi
幸久 武内
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Abstract

【課題】低角配向正極板と組成式3LiOH・Li2SO4で表される固体電解質を含む固体電解質部材とを用いた全固体リチウム電池において、充放電性能を顕著に改善することができる。【解決手段】空隙率が0%以上10%以下のリチウム複合酸化物焼結体板である低角配向正極板と、Tiを含み、かつ、0.4V(対Li/Li+)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板と、組成式3LiOH・Li2SO4で表される固体電解質を含む固体電解質部材とを備える、全固体リチウム電池。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体リチウム二次電池(以下、全固体リチウム電池という)及びその製造方法に関するものである。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池とも称される)用の正極活物質層として、リチウム複合酸化物(典型的にはリチウム遷移金属酸化物)の粉末とバインダーや導電剤等の添加物とを混練及び成形して得られた、粉末分散型の正極が広く知られている。かかる粉末分散型の正極は、容量に寄与しないバインダーを比較的多量に(例えば10重量%程度)含んでいるため、正極活物質としてのリチウム複合酸化物の充填密度が低くなる。このため、粉末分散型の正極は、容量や充放電効率の面で改善の余地が大きかった。
そこで、正極ないし正極活物質層をリチウム複合酸化物焼結体板で構成することにより、容量や充放電効率を改善しようとする試みがなされている。この場合、正極又は正極活物質層にはバインダーが含まれないため、リチウム複合酸化物の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率が得られることが期待される。例えば、特許文献1(国際公開第2017/146088号)には、固体電解質部材を備えるリチウム二次電池の正極として、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、複数の一次粒子の(003)面が正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している、低角配向正極板を用いることが開示されている。上記配向により、充放電時における正極板と固体電解質部材との界面において発生する応力が緩和される。すなわち、正極板の板面方向における膨張収縮率を小さくして、正極板と固体電解質部材との界面に生じる応力を緩和することができ、それにより固体電解質部材の欠陥や固体電解質部材からの正極板の剥離を抑制することができる。
また、負極ないし正極活物質層をリチウム複合酸化物焼結体板で構成することも知られている。例えば、特許文献2(特開2015−185337号公報)には、正極、負極及び固体電解質部材を有し、正極又は負極にチタン酸リチウム(LiTi12)焼結体を用いた全固体電池が開示されている。この文献に開示される焼結体は相対密度(緻密度)90%以上と緻密なものである。これは、全固体二次電池のエネルギー密度を高めるためには正極及び負極は緻密であることが望ましいという一般的な理解に基づくものであるといえる。
ところで、リチウムイオン伝導度の高い固体電解質として、逆ペロブスカイト型構造を有するリチウムイオン伝導材料が提案されている。例えば、特許文献3(国際公開第2012/112229号)には、LiOCl及びLi(3−x)x/2OA(式中、0≦x≦0.8、MはMg、Ca、Ba及びSrからなる群から選択される少なくとも1種であり、AはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも1種である)が、優れたリチウムイオン伝導性を呈する固体電解質として開示されている。また、非特許文献1(Yutao Li et al., "Fluorine-Doped Antiperovskite Electrolyte for All-Solid-State Lithim-Ion Batteries", Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 9965-9968)には、LiOHX(式中、XはCl又はBrである)が全固体二次電池用の固体電解質として有望であること、及び上記LiOHClにフッ素をドープしてOHの一部をFで一部置換した化合物が全固体二次電池に適した電気化学的安定性を呈することが開示されている。
国際公開第2017/146088号 特開2015−185337号公報 国際公開第2012/112229号
Yutao Li et al., "Fluorine-Doped Antiperovskite Electrolyte for All-Solid-State Lithim-Ion Batteries", Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 9965-9968
上述したような低角配向正極板、負極板及び固体電解質を用いることで、高性能な全固体リチウム電池を作製できるのではないかと本発明者らは当初考えた。しかしながら、そのような全固体リチウム電池を実際に作製したところ、作製した複数個の電池中に充放電性能が顕著に悪い電池が存在しうることが判明した。これはLiOCl等の固体電解質を始め、上述したような電池構成を採用した際に生じる特有の問題であった。
本発明者らは、今般、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を用い、また、低角配向正極板の空隙率を0%以上10%以下とすることで、充放電性能を顕著に改善することができるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、低角配向正極板と組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材を用いた全固体リチウム電池において、充放電性能を顕著に改善することができることにある。
本発明の一態様によれば、空隙率が0%以上10%以下のリチウム複合酸化物焼結体板である配向正極板であって、前記リチウム複合酸化物焼結体板が、リチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、前記複数の一次粒子が前記配向正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している、配向正極板と、
Tiを含み、かつ、0.4V(対Li/Li)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板と、
組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質で表される固体電解質を含む固体電解質部材と、
を備える、全固体リチウム電池が提供される。
本発明の他の一態様によれば、前記全固体リチウム電池の製造方法であって、
前記正極板又は前記負極板に、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材を載置する工程と、
前記固体電解質粉末上に前記負極板又は前記正極板を載置する工程と、
前記負極板を前記正極板に向けて又は前記正極板を前記負極板に向けてプレスする工程と、
を含む、全固体リチウム電池の製造方法が提供される。
本発明の全固体リチウム電池の一例を示す模式断面図である。
(全固体リチウム電池の構成)
図1に本発明の全固体リチウム電池の一例を模式的に示す。図1に示される全固体リチウム電池10は、配向正極板12、固体電解質部材14、及び負極板16を含む。
配向正極板12は、空隙率が0%以上10%以下のリチウム複合酸化物焼結体板である。このリチウム複合酸化物焼結体板は、リチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、複数の一次粒子が配向正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している、いわゆる「低角配向正極板」である。
固体電解質部材14は、下記組成式(1)で表される固体電解質を含む。
組成式(1)・・・3LiOH・LiSO
負極板16は、0.4V(対Li/Li)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板であり、Tiを含んでいる。
このように、空隙率が0%以上10%以下の低角配向正極板12と上記組成式(1)の固体電解質を含む固体電解質部材14とを用いることによって、全固体リチウム電池における充放電性能を顕著に改善することができる。
前述のとおり、特許文献1〜3に開示されるような、低角配向正極板、負極板及び固体電解質を用いることで、高性能な全固体リチウム電池を作製できるのではないかと本発明者らは当初考えた。しかしながら、そのような全固体リチウム電池を実際に作製したところ、作製した複数個の電池中に、電池抵抗が高く、充放電性能が顕著に悪い電池が存在することがあった。その原因は定かではないが、上記組成式(1)の固体電解質を含む固体電解質部材を用い、また、低角配向正極板の空隙率を0%以上10%以下とすることで、好都合に解消され、充放電性能を顕著に改善することができる。
配向正極板12は、リチウム複合酸化物焼結体板である。このリチウム複合酸化物焼結体板は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、複数の一次粒子が配向正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している。
配向正極板12は、互いに結合された複数の一次粒子11で構成された配向焼結体である。各一次粒子11は、主に板状であるが、直方体状、立方体状及び球状などに形成されたものが含まれていてもよい。各一次粒子11の断面形状は特に制限されるものではなく、矩形、矩形以外の多角形、円形、楕円形、或いはこれら以外の複雑形状であってもよい。
各一次粒子11はリチウム複合酸化物で構成される。リチウム複合酸化物とは、LiMO(0.05<x<1.10であり、Mは少なくとも1種類の遷移金属であり、Mは典型的にはCo、Ni、Mn及びAlの1種以上を含む)で表される酸化物である。リチウム複合酸化物は層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造、すなわち立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。リチウム複合酸化物の例としては、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiMnO(マンガン酸リチウム)、LiNiMnO(ニッケル・マンガン酸リチウム)、LiNiCoO(ニッケル・コバルト酸リチウム)、LiCoNiMnO(コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム)、LiCoMnO(コバルト・マンガン酸リチウム)等が挙げられ、特に好ましくはLiCoO(コバルト酸リチウム、典型的にはLiCoO)である。リチウム複合酸化物には、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Bi、及びWから選択される1種以上の元素が含まれていてもよい。
各一次粒子11の配向角度の平均値、すなわち平均配向角度は0°超30°以下である。これにより、以下の様々な利点がもたらされる。第一に、各一次粒子11が厚み方向に対して傾斜した向きに寝た状態になるため、各一次粒子同士の密着性を向上させることができる。その結果、ある一次粒子11と当該一次粒子11の長手方向両側に隣接する他の一次粒子11との間におけるリチウムイオン伝導性を向上させることができるため、レート特性を向上させることができる。第二に、サイクル特性を向上させることができる。すなわち、リチウムイオンの出入りに応じて(003)面と垂直な方向に各一次粒子11が伸縮するところ、板面方向に対する(003)面の傾斜角度を小さくすることによって、板面方向における配向正極板12の膨張収縮量が低減されて、配向正極板12と固体電解質部材14との間に応力が生じることを抑制できる。第三に、レート特性をより向上させることができる。これは、上述のとおり、リチウムイオンの出入りに際して、配向正極板12では、板面方向よりも厚み方向における膨張収縮が優勢となるため、配向正極板12の膨張収縮がスムーズになるところ、それに伴ってリチウムイオンの出入りもスムーズになるからである。
一次粒子11の平均配向角度は、(i)正極板をクロスセクションポリッシャ(CP)により研磨し、(ii)得られた正極板断面(正極板の板面に垂直な断面)を所定の倍率(例えば1000倍)及び所定の視野(例えば125μm×125μm)でEBSD測定し、(iii)得られたEBSD像において特定される全ての粒子について、一次粒子の(003)面と正極板の板面とがなす角度(すなわち(003)からの結晶方位の傾き)を傾斜角として求め、(iv)それらの角度の平均値を算出することにより決定することができる。一次粒子11の平均配向角度は、レート特性の更なる向上の観点から、30°以下が好ましく、より好ましくは25°以下である。一次粒子11の平均配向角度は、レート特性の更なる向上の観点から、2°以上が好ましく、より好ましくは5°以上である。
各一次粒子11の配向角度は、0°から90°まで広く分布していてもよいが、その大部分は0°超30°以下の領域に分布していることが好ましい。すなわち、配向正極板12を構成する配向焼結体は、その断面(正極板の板面に垂直な断面)をEBSDにより解析した場合に、解析された断面に含まれる一次粒子11のうち配向正極板12の板面に対する配向角度が0°超30°以下である一次粒子11(以下、低角一次粒子という)の合計面積が、断面に含まれる一次粒子11(具体的には平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11)の総面積に対して70%以上であるのが好ましく、より好ましくは80%以上である。これにより、相互密着性の高い一次粒子11の割合を増加させることができるため、レート特性をより向上させることができる。また、低角一次粒子のうち配向角度が20°以下であるものの合計面積は、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の総面積に対して50%以上であることがより好ましい。さらに、低角一次粒子のうち配向角度が10°以下であるものの合計面積は、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の総面積に対して15%以上であることがより好ましい。
各一次粒子11は、主に板状であるため、正極板の板面に垂直な断面において、各一次粒子11の断面はそれぞれ所定方向に延びており、典型的には略矩形状となる。すなわち、配向焼結体は、その断面をEBSDにより解析した場合に、解析された断面に含まれる一次粒子11のうちアスペクト比が4以上である一次粒子11の合計面積が、断面に含まれる一次粒子11(具体的には平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11)の総面積に対して70%以上であるのが好ましく、より好ましくは80%以上である。これにより、一次粒子11同士の相互密着性をより向上することができ、その結果、レート特性をより向上させることができる。一次粒子11のアスペクト比は、一次粒子11の最大フェレー径を最小フェレー径で除した値である。最大フェレー径は、正極板の板面に垂直な断面をEBSDにより解析したEBSD像上において、一次粒子11を平行な2本の直線で挟んだ場合における当該直線間の最大距離である。最小フェレー径は、正極板の板面に垂直な断面をEBSDにより解析したEBSD像上において、一次粒子11を平行な2本の直線で挟んだ場合における当該直線間の最小距離である。
配向焼結体を構成する複数の一次粒子の平均粒径が5μm以上であるのが好ましい。具体的には、平均配向角度の算出に用いた30個の一次粒子11の平均粒径が、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは12μm以上である。これにより、リチウムイオンが伝導する方向における一次粒子11同士の粒界数が少なくなって全体としてのリチウムイオン伝導性が向上するため、レート特性をより向上させることができる。一次粒子11の平均粒径は、各一次粒子11の円相当径を算術平均した値である。円相当径とは、EBSD像上において、各一次粒子11と同じ面積を有する円の直径のことである。
配向正極板12を構成するリチウム複合酸化物焼結体板の空隙率は0%以上10%以下であり、好ましくは0%以上8%以下、より好ましくは0%以上5%以下、さらに好ましくは0%以上3%以下である。このような範囲内の空隙率であると、充放電性能の顕著な改善を実現できる。配向正極板12の空隙率は、配向正極板12における、空隙の体積比率である。この空隙率は、正極板の板面に垂直な断面のSEM像を画像解析することにより測定することができる。例えば、(i)焼結体板をクロスセクションポリッシャ(CP)で加工して研磨断面を露出させ、(ii)この研磨断面を所定の倍率(例えば1000倍)及び所定の視野(例えば125μm×125μm)でSEM(走査電子顕微鏡)により観察し、(iii)得られたSEM像を画像解析し、視野内の全ての空隙の面積を視野内の焼結体板の面積(断面積)で除し、得られた値に100を乗じることにより空隙率(%)を得ることができる。
配向正極板12の厚さは、単位面積当りの活物質容量を高めて全固体リチウム電池10のエネルギー密度を向上する観点から、30μm以上であり、好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μm以上、最も好ましくは55μm以上である。厚さの上限値は特に限定されないが、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に抵抗値の上昇)を抑制する観点から、配向正極板12の厚さは200μm未満が好ましく、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは90μm以下、80μm以下又は70μm以下である。また、配向正極板のサイズは、好ましくは5mm×5mm平方以上、より好ましくは10mm×10mm平方以上であり、別の表現をすれば、好ましくは25mm以上、より好ましくは100mm以上である。
配向正極板12の固体電解質部材14から離れた側の面には、正極集電体13が設けられるのが好ましい。また、負極板16の固体電解質部材14から離れた側の面には、負極集電体17が設けられるのが好ましい。正極集電体13及び負極集電体17を構成する材料の例としては、白金(Pt)、白金(Pt)/パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ITO(インジウム−錫酸化膜)等が挙げられる。
配向正極板12、固体電解質部材14及び負極板16は容器18に収容される。容器18は、単位電池又はそれを複数個直列若しくは並列に積層させたスタックを収容可能な容器であれば特に限定されない。特に、全固体リチウム電池10は電解液の漏れの懸念が無いため、容器18は比較的簡素な容器形態を採用可能であり、外装材での包装であってもよい。例えば、電子回路に実装するためのチップ形態や、薄く幅広の空間用途のためのラミネートセル形態(例えばアルミニウム(Al)/ポリプロピレン(PP)の複層品)が採用可能である。正極集電体13及び/又は負極集電体17が容器18の一部を兼ねる構造としてもよい。また、耐熱性をより高めるために、ポリプロピレンの代わりにPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ポリイミド、ポリアミド等の耐熱樹脂を用いてもよい。
固体電解質部材14の典型的な形態は固体電解質層である。固体電解質部材14としては、LiOH原料粉末とLiSO原料粉末とをモル比4:1から3:1で混合した混合物を、Ar雰囲気で加熱処理(400〜450℃、0.1〜1時間)することで溶融した溶融物を急冷することによって得られる凝固物を用いることができる。この凝固物は、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材である。すなわち、この凝固物は、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質のみから構成される場合だけでなく、これと異なる組成式xLiOH・yLiSO(例えばx=4、y=1)で表される固体電解質を同時に含むことも許容される固体電解質部材である。なお、固体電解質部材14としては、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含みつつ、かつ、異なる構成元素からなる固体電解質を含んでもよいことは言うまでもない。
固体電解質部材14の寸法は特に限定されないが、固体電解質層の厚さは充放電レート特性と機械的強度の観点から、0.0005mm〜1.0mmが好ましく、より好ましくは0.001mm〜0.1mm、さらに好ましくは0.002〜0.05mmである。固体電解質層の厚さは、正極板12(又は、負極板16)上に載置する固体電解質量により制御してもよいし、プレス時に用いるスペーサーにより制御してもよい。その際に使用するスペーサーの種類は特に限定されないが、例えばAl、MgO、ZrO等のセラミックスを用いてもよい。
負極板16は0.4V(対Li/Li)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板であり、Tiを含んでいる。かかる条件を満たす負極活物質は、少なくともTiを含有する酸化物であるのが好ましい。そのような負極活物質の好ましい例としては、チタン酸リチウムLiTi12(以下、LTO)、ニオブチタン複合酸化物NbTiO、酸化チタンTiOが挙げられ、より好ましくはLTO及びNbTiO、さらに好ましくはLTOである。なお、LTOは典型的にはスピネル型構造を有するものとして知られているが、充放電時には他の構造も採りうる。例えば、LTOは充放電時にLiTi12(スピネル構造)とLiTi12(岩塩構造)の二相共存にて反応が進行する。したがって、LTOはスピネル構造に限定されるものではない。
負極板16は焼結体板(例えばLTO又はNbTiO焼結体板)であるのが好ましい。焼結体板の場合、負極板にはバインダーが含まれないため、負極活物質(例えばLTO又はNbTiO)の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率を得ることができる。なお、負極板にはバインダーが含まれない理由は、グリーンシートにバインダーが含まれていたとしても、焼成時にバインダーが消失又は焼失するからである。LTO焼結体板は、特許文献2(特開2015−185337号公報)に記載される方法に従って製造することができる。
負極板16は緻密であってもよいし、空隙を含んでいるものであってもよい。負極板16が空隙を含む場合、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮によって発生する応力が、当該空隙によって良好(均一)に開放される結果、充放電サイクルの繰り返しに伴う粒界クラックの発生が可及的に抑制されるとの利点がある。
負極板16の空隙率は2〜40%であるのが好ましく、より好ましくは3〜30%である。このような範囲内であると、空隙による応力開放効果と、高容量化の効果とを望ましく実現することができる。負極板16の空隙率は、負極板16における、空隙の体積比率であり、前述した配向正極板12の空隙率と同様に、負極板16の断面SEM像を画像解析することにより測定することにより測定することができる。
負極板16の厚さは、単位面積当りの活物質容量を高めて全固体リチウム電池10のエネルギー密度を向上する観点から、25μm以上であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μm以上、最も好ましくは55μm以上である。厚さの上限値は特に限定されないが、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に抵抗値の上昇)を抑制する観点から、負極板16の厚さは400μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下である。また、負極板16のサイズは、好ましくは5mm×5mm平方以上、より好ましくは10mm×10mm平方以上であり、別の表現をすれば、好ましくは25mm以上、より好ましくは100mm以上である。
前述のとおり、配向正極板12はLiCoO(LCO)焼結体板であるのが好ましく、負極板16はLiTi12(LTO)焼結体板であるのが好ましい。特に、LCO配向正極板の配向角度の平均値、すなわち平均配向角度が0°超30°以下である場合、充放電時に面方向へ膨張収縮が生じず、また、LTO負極板も充放電時に膨張収縮が生じなく、固体電解質部材14も充放電時に膨張収縮しないため、充放電時に応力(特に配向正極板12又は負極板16と固体電解質部材14との界面における応力)が発生しなくなり、充放電を安定に行うことができる。また、上記同様の目的から、負極板16としてNbTiO焼結体板を用いる場合は、膨張収縮を制御するように、NbTiO焼結体板を構成する一次粒子を配向させるのが好ましい。
本発明の全固体リチウム電池10は、常温でも充放電可能ではあるが、100℃以上の温度で充放電されるのが好ましい。100℃以上の温度で充放電させることで、急速充放電を高いサイクル容量維持率で実現することができる。すなわち、全固体リチウム電池10を100℃以上の高温で充放電させることで、急速充放電が可能となる。つまり、全固体リチウム電池10は上記温度で高速でかつ安定に駆動することができる。しかも、急速充放電を繰り返し行っても高い容量を維持することができる、すなわち高いサイクル容量維持率を実現することができる。したがって、充放電時における全固体リチウム電池10の好ましい作動温度は100℃以上であり、より好ましくは100〜300℃であり、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜150℃である。上記作動温度を実現するための加熱手段は、各種ヒータや発熱を伴う各種装置又はデバイスであることができるが、好ましい例としては通電加熱式セラミックヒーターが挙げられる。換言すれば、本態様の全固体リチウム電池10は加熱手段を伴った二次電池システムとして提供されるのが好ましい。
(配向正極板12の製造方法)
1.LiCoOテンプレート粒子の作製
Co原料粉末とLiCO原料粉末とを混合して焼成(500〜900℃、1〜20時間)することによって、LiCoO粉末を合成する。
得られたLiCoO粉末をポットミルにて体積基準D50粒径0.1μm〜10μmに粉砕することによって、板面と平行にリチウムイオンを伝導可能な板状のLiCoO粒子が得られる。得られたLiCoO粒子は、劈開面に沿って劈開しやすい状態となっている。LiCoO粒子を解砕によって劈開させることで、LiCoOテンプレート粒子を作製する。
このようなLiCoO粒子は、LiCoO粉末スラリーを用いたグリーンシートを粒成長させた後に解砕する手法や、フラックス法や水熱合成、融液を用いた単結晶育成、ゾルゲル法など板状結晶を合成する手法によっても得ることができる。
本工程では、下記の通り、配向正極板12を構成する一次粒子のプロファイルを制御することができる。
まず、LiCoOテンプレート粒子のアスペクト比及び粒径の少なくとも一方を調整することによって、配向角度が0°超30°以下である低角一次粒子の合計面積割合を制御することができる。具体的には、LiCoOテンプレート粒子のアスペクト比を大きくするほど、また、LiCoOテンプレート粒子の粒径を大きくするほど、低角一次粒子の合計面積割合を高めることができる。
LiCoOテンプレート粒子のアスペクト比と粒径のそれぞれは、Co原料粉末及びLiCO原料粉末の粒径、及び粉砕時の粉砕条件(粉砕時間、粉砕エネルギー、粉砕手法など)、及び粉砕後の分級のうち少なくとも1つによって調整することができる。
また、LiCoOテンプレート粒子の粒径を調整することによって、一次粒子の平均粒径を制御することができる。
また、LiCoOテンプレート粒子の粒径を調整することによって、配向正極板12の緻密度を制御することができる。具体的には、LiCoOテンプレート粒子の粒径を小さくするほど、配向正極板12の緻密度を高めることができる。
2.マトリックス粒子の作製
Co原料粉末をマトリックス粒子として用いる。Co原料粉末の体積基準D50粒径は特に制限されず、例えば0.1〜1.0μmとすることができるが、LiCoOテンプレート粒子の体積基準D50粒径より小さいことが好ましい。このマトリックス粒子は、Co(OH)原料を500℃〜800℃で1〜10時間熱処理を行なうことによっても得ることができる。また、マトリックス粒子には、Coのほか、Co(OH)粒子を用いてもよいし、LiCoO粒子を用いてもよい。
本工程では、下記の通り、配向正極板12を構成する一次粒子のプロファイルを制御することができる。
まず、LiCoOテンプレート粒子の粒径に対するマトリックス粒子の粒径の比(以下、「マトリックス/テンプレート粒径比」という。)を調整することによって、配向角度が0°超30°以下である低角一次粒子の合計面積割合を制御することができる。具体的には、マトリックス/テンプレート粒径比を小さくするほど、すなわち、マトリックス粒子の粒径が小さいほど、後述する焼成工程においてマトリックス粒子がLiCoOテンプレート粒子に取り込まれやすくなるため、低角一次粒子の合計面積割合を高めることができる。
また、マトリックス/テンプレート粒径比を調整することによって、配向正極板12の緻密度を制御することができる。具体的には、マトリックス/テンプレート粒径比を小さくするほど、すなわち、マトリックス粒子の粒径が小さいほど、配向正極板12の緻密度を高めることができる。
3.グリーンシートの作製
LiCoOテンプレート粒子とマトリックス粒子を100:3〜3:97に混合した粉末と分散媒とバインダーと可塑剤と分散剤とを混合しながら、減圧下で撹拌して脱泡するとともに所望の粘度に調整することによってスラリーを調製する。
次に、LiCoOテンプレート粒子にせん断力を印加可能な成形手法を用いて、調製したスラリーを成形することによって成形体を形成する。これによって、各一次粒子の平均配向角度を0°超30°以下とすることができる。
LiCoOテンプレート粒子にせん断力を印加可能な成形手法としては、ドクターブレード法が好適である。ドクターブレード法を用いる場合には、調製したスラリーをPETフィルムの上に成形することによって、成形体としてのグリーンシートが形成される。
本工程では、下記の通り、配向正極板12を構成する一次粒子のプロファイルを制御することができる。
まず、成形速度を調整することによって、配向角度が0°超30°以下である低角一次粒子の合計面積割合を制御することができる。具体的には、成形速度が速いほど、低角一次粒子の合計面積割合を高めることができる。
また、成形体の密度を調整することによって、一次粒子の平均粒径を制御することができる。具体的には、成形体の密度を大きくするほど、一次粒子の平均粒径を大きくすることができる。
また、LiCoOテンプレート粒子とマトリックス粒子との混合比を調整することによっても、配向正極板12の緻密度を制御することができる。具体的には、LiCoOテンプレート粒子の量を少なくするほど、配向正極板12の緻密度を高める下げることができる。
4.配向焼結板の作製
スラリーの成形体をジルコニア製セッターに載置して加熱処理(500℃〜900℃、1〜10時間)することによって、中間体としての焼結板を得る。
次に、合成したリチウムシートをLi/Co比が1.0になるように、焼結板をリチウムシートで上下挟み込み、ジルコニアセッター上に載せる。
次に、セッターをアルミナ鞘に入れ、大気中にて焼成(700〜850℃、1〜20時間)した後、焼結板をリチウムシートで上下挟み、さらに焼成(750〜900℃、1〜40時間)することによって、LiCoO焼結板を得る。この焼成工程は、2度に分けて行ってもよいし、1度に行なってもよい。2度に分けて焼成する場合には、1度目の焼成温度が2度目の焼成温度より低いことが好ましい
本工程では、下記の通り、配向正極板12を構成する一次粒子のプロファイルを制御することができる。
まず、焼成時の昇温速度を調整することによって、配向角度が0°超30°以下である低角一次粒子の合計面積割合を制御することができる。具体的には、昇温速度を速くするほど、マトリックス粒子どうしの焼結が抑えられて、低角一次粒子の合計面積割合を高めることができる。
また、中間体の加熱処理温度を調整することによっても、配向角度が0°超30°以下である低角一次粒子の合計面積割合を制御することができる。具体的には、中間体の加熱処理温度を低くするほど、マトリックス粒子どうしの焼結が抑えられて、低角一次粒子の合計面積割合を高めることができる。
また、焼成時の昇温速度及び中間体の加熱処理温度の少なくとも一方を調整することによって、一次粒子の平均粒径を制御することができる。具体的には、昇温速度を速くするほど、また、中間体の加熱処理温度を低くするほど、一次粒子の平均粒径を大きくすることができる。
また、焼成時のLi(例えば、LiCO)量及び焼結助剤(例えば、ホウ酸や酸化ビスマス)量の少なくとも一方を調整することによっても、一次粒子の平均粒径を制御することができる。具体的には、Li量多くするほど、また、焼結助剤量を多くするほど、一次粒子の平均粒径を大きくすることができる。
また、焼成時のLi(例えば、LiCO)量を調整することによって、配向正極板12の緻密度を制御することができる。具体的には、Li量を多くするほど、配向正極板12の緻密度を高めることができる。
また、焼成時のプロファイルを調整することによって、配向正極板12の緻密度を制御することができる。具体的には、焼成温度を遅くするほど、また、焼成時間を長くするほど、配向正極板12の緻密度を高めることができる。
(全固体リチウム電池10の製造方法)
まず、LiOH原料粉末とLiSO原料粉末とを体積比3:1で混合した混合物を、Ar雰囲気で加熱処理(400〜450℃、0.1〜1時間)することで溶融させた後、この溶融物を急冷することによって凝固物を得る。この凝固物が、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材である。
次に、得られた固体電解質を正極板12(又は、負極板16)上に載置する。
次に、固体電解質上に負極板14(又は、正極板12)を載置した後、負極板14(又は、正極板12)を正極板12(又は、負極板16)に向けてプレスする。
以上によって、全固体リチウム電池10が形成される。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。なお、以下の例において、LiCoOを「LCO」と略称し、LiTi12を「LTO」と略称するものとする。
(実施例1〜4,比較例1〜2の作製)
(1)正極板の作製
(1a)LCOグリーンシートの作製
Li/Coのモル比が1.02となるように秤量されたCo粉末(正同化学工業株式会社製、平均粒径0.9μm)とLiCO粉末(本荘ケミカル株式会社製)を混合後、750℃で5時間保持した。得られた粉末をポットミルにて体積基準D50が0.4μmとなるように粉砕して、LCO板状粒子からなる粉末を得た。得られたLCO粉末100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2−ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部とを混合した。得られた混合物を減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000cPに調整することによって、LCOスラリーを調製した。粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート状に成形することによって、表1に示すように、一次粒子の平均配向角度が3°〜20°に調整されたLCOグリーンシートを形成した。LCOグリーンシートの厚さは焼成後の厚さが50μmとなるような値とした。
(1b)LiCOグリーンシート(過剰リチウム源)の作製
LiCO原料粉末(体積基準D50粒径2.5μm、本荘ケミカル株式会社製)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)5重量部と、可塑剤(DOP:フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、黒金化成株式会社製)2重量部と、分散剤(レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部とを混合した。得られた混合物を減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000cPに調整することによって、LiCOスラリーを調製した。粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。こうして調製されたLiCOスラリーを、PETフィルム上にシート状に成形することによって、LiCOグリーンシートを形成した。
(1c)LCO焼結板(正極板)の作製
PETフィルムから剥がしたLCOグリーンシートをカッターで50mm角に切り出し、下部セッターとしてのマグネシア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置した。LCOグリーンシートを昇温速度200℃/hで600℃まで昇温して3時間脱脂した後、900℃で3時間保持することで仮焼した。得られたLCO仮焼板におけるCo含有量に対する、LiCOグリーンシートにおけるLi含有量のモル比である、Li/Co比が0.5となるようなサイズに、乾燥されたLiCOグリーンシートを切り出した。LCO仮焼板上に、上記切り出されたLiCOグリーンシート片を過剰リチウム源として載置し、その上に上部セッターとしての多孔質マグネシア製セッターを載置した。上記焼結板及びグリーンシート片をセッターで挟んだ状態で、120mm角のアルミナ鞘(株式会社ニッカトー製)内に載置した。このとき、アルミナ鞘を密閉せず、0.5mmの隙間を空けて蓋をした。得られた積層物を昇温速度200℃/hで600℃まで昇温して3時間脱脂した後に、800℃まで200℃/hで昇温して5時間保持した後800℃〜900℃まで200℃/hで昇温して24時間保持することで焼成を行った。この際、焼成温度を変更することによって、実施例1〜4及び比較例2それぞれのLCO焼結体板(正極板)における空隙率を表1に示すように変更した。
焼成後、室温まで降温させた後に焼成体をアルミナ鞘より取り出した。こうしてLCO焼結板を正極板として得た。得られたLCO焼結体板の下部セッターに接触していた面にスパッタリングによりAu膜(厚さ100nm)を集電層として形成した後、10mm×10mm平方の形状にレーザー加工した。
(2)負極板の作製
(2a)LTOグリーンシートの作製
LTO粉末(体積基準D50粒径0.06μm、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)20重量部と、可塑剤(DOP:Di(2−ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部とを混合した。得られた負極原料混合物を減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000cPに調整することによって、LTOスラリーを調製した。粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート状に成形することによって、LTOグリーンシートを形成した。乾燥後のLTOグリーンシートの厚さは焼成後の厚さが50μmとなるような値とした。
(2b)LTOグリーンシートの焼成
得られたグリーンシートを25mm角にカッターナイフで切り出し、エンボス加工され
ジルコニア製セッター上に載置した。セッター上のグリーンシートをアルミナ製鞘に入れて500℃で5時間保持した後に、昇温速度200℃/hにて昇温し、800℃で5時間焼成を行なった。得られたLTO焼結体板のセッターに接触していた面にスパッタリングによりAu膜(厚さ100nm)を集電層として形成した後、10mm×10mm平方の形状にレーザー加工した。
(3)固体電解質部材の作製
まず、LiSO原料粉末とLiOH原料粉末とを、体積比3:1で混合した。
次に、混合物をAr雰囲気のガラス管に入れ、430℃で2時間加熱することによって溶融した。そして、ガラス管を水中に投入して10分間保持することによって、溶融物を急冷して凝固体を形成した。
次に、Ar雰囲気において10mm×10mm平方の凝固体を切り出した。
(4)電池作製
上記正極板上に切り出した凝固体を載置し、上から負極板を加圧しながら載せた。このとき凝固体は圧縮されて、最終的に厚さ20μmの固体電解質層が形成された。得られた正極板/固体電解質/負極板からなるセルを用いて100個のラミネート電池を作製した。
(5)評価
上記(1)で合成されたLCO正極板、上記(2)で合成されたLTO負極板、及び上記(4)で作製された電池について、以下に示されるとおり各種の評価を行った。
(比較例1の作製)
比較例1では、無配向のLCO焼結板(正極板)を用いた以外は、実施例1〜4及び比較理恵2と同じ工程にて電池を作製した。比較例1で用いた無配向のLCO焼結板は、市販のLCO粉末を用いて作製したグリーンシートを、昇温速度200℃/hで600℃まで昇温して3時間脱脂した後、900℃まで200℃/hで昇温して24時間保持することで焼成を行うことによって作製した。
<空隙率>
LCO正極板及びLTO負極板の各々をクロスセクションポリッシャ(CP)(日本電子株式会社製、IB−15000CP)により研磨し、得られた電極板断面を1000倍の視野(125μm×125μm)でSEM観察(日本電子株式会社製、JSM6390LA)した後に画像解析し、全ての空隙の面積を各板の面積で除し、得られた値に100を乗じることで各電極板の空隙率(%)を算出した。
<一次粒子の平均配向角度>
LCO正極板をクロスセクションポリッシャ(CP)(日本電子株式会社製、IB−15000CP)により研磨し、得られた正極板断面(正極板の板面に垂直な断面)を1000倍の視野(125μm×125μm)でEBSD測定して、EBSD像を得た。このEBSD測定は、ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式JSM−7800F)を用いて行った。得られたEBSD像において特定される全ての粒子について、一次粒子の(003)面と正極板の板面とがなす角度(すなわち(003)からの結晶方位の傾き)を傾斜角として求め、それらの角度の平均値を一次粒子の平均配向角度(平均傾斜角)とした。
<充放電可否評価>
150℃の作動温度において、0.2Cレートで電池電圧が2.7Vとなるまで定電流充電して電流値が0.02Cレートになるまで定電圧充電した後、0.2Cレートで1.5Vになるまで放電することによって、充放電の可否を判定した。
Figure 2019192609
表1に示すように、空隙率が0%以上10%以下、かつ、一次粒子の平均配向角度が0°超30°以下の配向正極板と、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材とを用いることによって、全固体リチウム電池における充放電性能を顕著に改善できることが確認できた。
10 全固体リチウム電池
11 一次粒子
12 正極板
13 正極集電体
14 固体電解質部材
16 負極板
17 負極集電体
18 容器

Claims (4)

  1. 空隙率が0%以上10%以下のリチウム複合酸化物焼結体板である配向正極板であって、前記リチウム複合酸化物焼結体板が、リチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、前記複数の一次粒子が前記配向正極板の板面に対して0°超30°以下の平均配向角度で配向している、配向正極板と、
    Tiを含み、かつ、0.4V(対Li/Li)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板と、
    組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材と、
    を備える、
    全固体リチウム電池。
  2. 前記リチウム複合酸化物がコバルト酸リチウムである、
    請求項1に記載の全固体リチウム電池。
  3. 100℃以上の温度で充放電される、
    請求項1又は2に記載の全固体リチウム電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の全固体リチウム電池の製造方法であって、
    前記正極板又は前記負極板に、組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解質部材を載置する工程と、
    前記固体電解質上に前記負極板又は前記正極板を載置する工程と、
    前記負極板を前記正極板に向けて又は前記正極板を前記負極板に向けてプレスする工程と、
    を含む、
    全固体リチウム電池の製造方法。
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