以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第一実施形態)
第一実施形態による燃料噴射弁1を図1〜4に示す。なお、図1,2,4には、ニードル30が弁座251から離間する方向である開弁方向、及び、ニードル30が弁座251に当接する方向である閉弁方向を図示する。図2は、閉弁状態のニードル30と可動コア40との位置関係を示す拡大断面図を示している。図4は、閉弁時、可動コア40が「当接部材」としての規制部材45に当接したときのニードル30と可動コア40との位置関係を示す拡大断面図を示している。
燃料噴射弁1は、例えば、図示しない直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射装置に用いられ、燃料としてのガソリンをエンジンに噴射供給する。燃料噴射弁1は、ハウジング20、ニードル30、可動コア40、規制部材45、固定コア48、コイル49、「第一付勢部材」としての第一スプリング27、「第二付勢部材」としての第二スプリング28などを備える。
ハウジング20は、図1に示すように、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23、及び、噴射ノズル25から構成されている。第一筒部材21、第二筒部材22、及び、第三筒部材23は、いずれも略円筒状に形成され、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。
第一筒部材21及び第三筒部材23は、例えば、フェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第一筒部材21及び第三筒部材23は、硬度が比較的低い。
第二筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料から形成されている。第二筒部材22の硬度は、第一筒部材21及び第三筒部材23の硬度よりも高い。
噴射ノズル25は、例えば、マルテンサイト系ステンレスなどの金属により有底筒状に形成されている。噴射ノズル25は、第一筒部材21の第二筒部材22とは反対側の端部に設けられている。噴射ノズル25は、第一筒部材21に溶接されている。噴射ノズル25は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。噴射ノズル25は、底部にハウジング20の内部と外部とを連通する複数の噴孔250を有する。噴孔250のハウジング20の内部側の開口である内側開口の縁には環状の弁座251が形成されている。
ニードル30は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。ニードル30は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。ニードル30の硬度は、噴射ノズル25の硬度とほぼ同等に設定されている。
ニードル30は、ハウジング20内に収容されている。ニードル30は、軸部31、シール部32、及び、ニードル鍔部33などから形成されている。軸部31、シール部32、及び、ニードル鍔部33は、一体に形成される。
軸部31は、棒状に形成されている。軸部31のシール部32近傍には、摺接部311が設けられている。摺接部311は、略円筒状に形成され、外壁の一部が面取りされている。摺接部311は、外壁面の面取りされていない部分が噴射ノズル25の内壁面と摺接可能である。これにより、ニードル30は、弁座251側の先端部での往復移動が案内される。
シール部32は、軸部31の弁座251側の端部に設けられている部位である。シール部32は、弁座251に当接可能に形成されている。ニードル30は、シール部32が弁座251から離間または弁座251に当接することにより噴孔250を開閉し、ハウジング20の内部と外部とを連通または遮断する。
ニードル鍔部33は、軸部31のシール部32とは反対側に設けられている。ニードル鍔部33は、外径が軸部31の外径に比べ大きくなるよう形成されている。ニードル鍔部33は、弁座251側の端面331が可動コア40に当接可能に形成されている。ニードル鍔部33は、図2,3に示すように、ニードル鍔部33の弁座251とは反対側と弁座251側とを連通する複数の通孔330を有する。本実施形態では、複数の通孔330は、等間隔に4箇所形成されている。なお、図3は、構成を分かりやすくするため、図2をさらに拡大している。
ニードル30は、摺接部311が噴射ノズル25の内壁面により支持され、ニードル鍔部33が可動コア40を介して第一筒部材21及び第二筒部材22の内壁面により支持されている。これにより、ニードル30は、ハウジング20の内部を燃料噴射弁1の中心軸CA1に沿う方向の往復移動が案内される。
可動コア40は、例えば、フェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。可動コア40は、表面に、例えば、クロムめっきが施されている。可動コア40は、磁気安定化処理が施されている。可動コア40の硬度は比較的低く、ハウジング20の第一筒部材21及び第三筒部材23の硬度と概ね同等である。可動コア40は、コア小内径部41、及び、コア大内径部42を有する。コア小内径部41及びコア大内径部42は、一体に形成されている。
コア小内径部41は、略円環状に形成され、可動コア40の固定コア48側に設けられている部位である。コア小内径部41は、「貫通孔」としてのコア第一貫通孔411、及び、「燃料通路」としてのコア燃料通路412を有する。コア小内径部41の径方向外側の外壁面413は、第一筒部材21及び第二筒部材22のそれぞれの内壁面に摺動可能に形成されている。
コア第一貫通孔411は、中心軸CA1と略同じ中心軸を有するよう形成されている。コア第一貫通孔411には、軸部31の一部が可動コア40に対して往復移動可能に収容されている。コア第一貫通孔411を形成するコア小内径部41の内壁面は、軸部31の径方向外側の外壁面312に摺動するよう形成されている。
コア燃料通路412は、コア第一貫通孔411の径外方向に複数形成されている。本実施形態では、コア燃料通路412は、図3に示すように、四つ形成されている。四つのコア燃料通路412のそれぞれは、ニードル鍔部33が有する四つの通孔330に連通するよう等間隔で形成されている。
コア大内径部42は、略円環状に形成され、コア小内径部41の弁座251側に設けられている部位である。コア大内径部42は、コア第二貫通孔421を有する。コア第二貫通孔421は、中心軸CA1と略同じ中心軸を有するよう形成されている。コア第二貫通孔421は、内径がコア第一貫通孔411の内径に比べ大きくなるよう形成されている。コア第二貫通孔421には、軸部31の一部が可動コア40に対して往復移動可能に収容されている。コア第二貫通孔421は、コア第一貫通孔411及びコア燃料通路412に連通している。すなわち、コア燃料通路412の弁座251側の開口414は、コア第二貫通孔421を形成するコア小内径部41の弁座251側の端面415に形成されている。コア大内径部42の径方向外側の外壁面422は、第一筒部材21及び第二筒部材22のそれぞれの内壁面に摺動可能に形成されている。
規制部材45は、軸部31の径方向外側の外壁面312に固定されている略円環状の部材である。規制部材45は、外径がコア第二貫通孔421の内径に比べ小さくなるよう形成されている。規制部材45は、コア小内径部41の端面415に当接可能である。規制部材45が固定される位置の詳細は、後述する。
固定コア48は、ハウジング20内に設けられている。固定コア48は、固定コア本体部481、及び、固定コア当接部482を有する。固定コア本体部481は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。固定コア本体部481は、磁気安定化処理が施されている。固定コア本体部481は、ハウジング20の第三筒部材23と溶接され、ハウジング20に固定されている。
固定コア当接部482は、固定コア本体部481の径方向内側であって、弁座251側に設けられている略筒状の部材である。固定コア当接部482は、弁座251側に可動コア40と当接可能な端面483を有する。固定コア当接部482は、可動コア40のストッパとしての機能を確保するために表面に例えばクロムめっきを施し、必要な硬度を確保している。
コイル49は、略円筒状に形成され、主に第二筒部材22及び第三筒部材23の径方向外側を囲むよう設けられている。コイル49は、電力が供給されると磁力を生じる。コイル49に磁力が生じるとき、固定コア48、可動コア40、第一筒部材21、第三筒部材23、及び、ホルダ17に磁気回路が形成される。
第一スプリング27は、一端がニードル鍔部33の弁座251とは反対側の端面332に当接している。第一スプリング27の他端は、固定コア48の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ11に当接している。第一スプリング27は、ニードル30を可動コア40とともに弁座251の方向、すなわち、閉弁方向に付勢している。
第二スプリング28は、一端がコア大内径部42の弁座251側の端面423に当接している。第二スプリング28の他端は、ハウジング20の第一筒部材21の内側に形成された環状の段差面211に当接している。第二スプリング28は、可動コア40をニードル30とともに弁座251とは反対の方向、すなわち、開弁方向に付勢している。
本実施形態では、第一スプリング27の付勢力は、第二スプリング28の付勢力に比べ大きく設定されている。これにより、燃料噴射弁1は、コイル49に電力が供給されていないとき、シール部32が弁座251に着座した状態、すなわち、閉弁状態となる。
第三筒部材23の第二筒部材22とは反対側の端部には、略円筒状の燃料導入パイプ12が圧入及び溶接されている。燃料導入パイプ12の内側には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料に含まれる異物を捕集する。
燃料導入パイプ12及び第三筒部材23の径方向外側は、樹脂によりモールドされている。当該モールド部分にはコネクタ15が形成されている。コネクタ15には、コイル49に電力を供給するための端子16がインサート成形されている。また、コイル49の径方向外側には、コイル49を覆うよう筒状のホルダ17が設けられている。
導入口14からハウジング20の内部に流入する燃料は、固定コア48の内部、アジャスティングパイプ11の内部、ニードル鍔部33の通孔330、コア小内径部41のコア燃料通路412、コア第二貫通孔421、及び、第一筒部材21と軸部31との間の隙間を流れ、噴射ノズル25の内部に導かれる。
ここで、規制部材45が軸部31に対して固定される位置について図2に基づいて説明する。燃料噴射弁1が閉弁しているとき、規制部材45の弁座251とは反対側の端面451とニードル鍔部33の弁座251側の端面331との間の距離を距離L11とする。また、コア小内径部41の弁座251側の端面415とコア小内径部41の弁座251とは反対側の端面416との間の距離を距離L12とすると、距離L11は、距離L12に比べ長い。
次に、本実施形態による燃料噴射弁1の作用について説明する。コイル49に電力が供給されていないとき、第一スプリング27と第二スプリング28との付勢力の差、及び、第一筒部材21の内部の燃料の圧力と外部の圧力との差によってシール部32は弁座251に当接している。これにより、噴孔250は閉じられるため、燃料は外部に噴射されない。このとき、ニードル鍔部33の端面331は、可動コア40の端面416に当接している。
コイル49に電力が供給されるとコイル49の周囲に磁気回路が形成される。形成された磁気回路によって固定コア48と可動コア40との間に磁気吸引力が発生する。可動コア40は、磁気吸引力によってニードル30と一体となって開弁方向に移動する。これにより、シール部32が弁座251から離間し、第一筒部材21の内部の燃料が噴孔250から外部に噴射される。
所定量の燃料を噴射した後、コイル49への電力の供給が停止すると、固定コア48と可動コア40との間の磁気吸引力が消滅する。磁気吸引力が消滅すると、ニードル30と可動コア40とは、第一スプリング27と第二スプリング28との付勢力の差によって閉弁方向に移動する。ニードル30が弁座251に着座するとき、可動コア40は慣性力によって閉弁方向にさらに移動する。可動コア40が慣性力によって閉弁方向にさらに移動すると、図4に示すように、規制部材45の端面451とコア小内径部41の端面415とは当接する。これにより、可動コア40の閉弁方向への移動が規制されるとともに、コア燃料通路412の開口414は、規制部材45によって遮断される。
(a)第一実施形態による燃料噴射弁1では、燃料噴射弁1が閉弁するとき、ニードル30が弁座251に着座した後、慣性力によって閉弁方向に移動する可動コア40と規制部材45とが当接し、コア燃料通路412の開口414が遮断される。これにより、可動コア40の弁座251側に位置する燃料は、コア燃料通路412を介して可動コア40の弁座251とは反対側に移動することができなくなるため、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果が比較的強くなる。比較的強くなったダンパ効果が可動コア40に作用し、迅速に可動コア40を停止する。したがって、第一実施形態は、比較的短期間において複数回の噴射を行う分割噴射において、高精度に燃料の噴射を行うことができる。
(b)燃料噴射弁1では、可動コア40の径方向外側の外壁面413,422は、第一筒部材21及び第二筒部材22のそれぞれの内壁面に摺動可能に形成されている。これにより、燃料噴射弁1の閉弁時、可動コア40の外壁面413,422と第一筒部材21及び第二筒部材22の内壁面との間の隙間を通って可動コア40の弁座251側の燃料が固定コア48側に流れ込みにくくなる。したがって、第一実施形態は、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果をさらに強くすることができる。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態による燃料噴射弁を図5に基づいて説明する。第二実施形態は、ニードルの形状及び規制部材の形状が第一実施形態と異なる。
第二実施形態による燃料噴射弁2は、ハウジング20、ニードル50、可動コア40、「当接部材」としての規制部材55、固定コア48、コイル49、第一スプリング27、及び、第二スプリング28を備える。本実施形態では、可動コア40は、コア燃料通路412を有していない。
ニードル50は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成され、ハウジング20内に収容されている。ニードル50は、軸部31、シール部32、及び、ニードル鍔部33などから形成されている。ニードル50は、「燃料通路」として第一通路51、及び、「燃料通路」としての第二通路52を有する。
第一通路51は、図5に示すように、ニードル鍔部33及び軸部31のニードル鍔部33側の端部に、燃料噴射弁2の中心軸CA2に沿うよう形成されている。第一通路51は、ニードル鍔部33の端面332に形成されている開口333を介して固定コア48の内側に連通している。
第二通路52は、図5に示すように、軸部31のニードル鍔部33側の端部に、中心軸CA2に対して略垂直となるよう形成されている。第二通路52は、第一通路51に連通している。第二通路52は、軸部31の外壁面312に形成されている燃料口313に連通している。
規制部材55は、略有底筒状に形成されている部材であって、固定部551、及び、環状部552を有する。固定部551は、軸部31の外壁面312に固定されている略円板状の部位である。環状部552は、固定部551の弁座251とは反対側の端面に設けられ、開弁方向に延びるよう形成されている。環状部552の弁座251とは反対側の端面553は、コア小内径部41の端面415に当接可能である。
規制部材55には、環状部552の内側に弁座251とは反対側に開口554を有する空間550が形成されている。空間550には燃料口313が位置している。空間550は、燃料口313を介して第二通路52に連通している。
ここで、規制部材55が軸部31に対して固定される位置について説明する。燃料噴射弁2が閉弁しているとき、規制部材55の端面553とニードル鍔部33の端面331との間の距離を距離L21とすると、距離L21は、距離L12に比べ長い。
第二実施形態による燃料噴射弁2では、燃料噴射弁2が閉弁するとき、ニードル50が弁座251に着座した後、慣性力によって閉弁方向に移動する可動コア40と規制部材55とが当接し、第二通路52は遮断される。これにより、可動コア40の弁座251側に位置する燃料は、第二通路52を介して可動コア40の弁座251とは反対側に移動することができなくなるため、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果が比較的強くなる。したがって、第二実施形態は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
また、第二実施形態による燃料噴射弁2は、燃料の主な流路をニードル50に有している。これにより、第二実施形態は、第一実施形態に比べ比較的簡易な構成とすることができる。
また、燃料噴射弁2では、第二通路52に連通する燃料口313は規制部材55が有する空間550に位置している。空間550の開口554は、開弁方向に向かうよう形成されている。これにより、可動コア40の弁座251側に位置する燃料は、空間550及び第二通路52に流れ込みにくくなるため、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果がさらに強くなる。したがって、第二実施形態は、さらに迅速に可動コア40を停止することができる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態による燃料噴射弁を図6に基づいて説明する。第三実施形態は、規制部材の形状が第二実施形態と異なる。
第三実施形態による燃料噴射弁3は、ハウジング20、ニードル50、可動コア40、「当接部材」としての規制部材60、固定コア48、コイル49、第一スプリング27、及び、第二スプリング28を備える。本実施形態では、可動コア40は、第二実施形態と同様にコア燃料通路412を有していない。
規制部材60は、略有底筒状に形成されている部材であって、固定部551、環状部552、及び、突部61を有する。
突部61は、環状部552の弁座251とは反対側の端面553に設けられている。突部61は、端面553から開弁方向に向かうよう燃料噴射弁3の中心軸CA3に沿って突出するよう形成されている。突部61の弁座251とは反対側の端面611は、コア小内径部41の端面415に当接可能である。
ここで、規制部材60が軸部31に対して固定される位置について説明する。燃料噴射弁3が閉弁しているとき、規制部材60の端面611とニードル鍔部33の端面331との間の距離を距離L31とすると、距離L31は、距離L12に比べ長い。
第三実施形態による燃料噴射弁3では、燃料噴射弁3が閉弁するとき、ニードル50が弁座251に着座した後、慣性力によって閉弁方向に移動する可動コア40と規制部材60とが当接し、第二通路52は遮断される。これにより、第三実施形態は、第二実施形態と同じ効果を奏する。
また、第三実施形態による燃料噴射弁3では、突部61の端面611の面積が、第二実施形態における環状部552の端面553に比べ小さいため、可動コア40と規制部材60とが当接しているときのリンキン力を低減することができる。これにより、第三実施形態は、閉弁後の次の開弁時において、可動コア40をスムーズに開弁方向に移動することができる。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態による燃料噴射弁を図7に基づいて説明する。第四実施形態は、規制部材の形状が第二実施形態と異なる。
第四実施形態による燃料噴射弁4は、ハウジング20、ニードル50、可動コア40、第一規制部材35、「当接部材」としての第二規制部材65、固定コア48、コイル49、第一スプリング27、及び、「第二付勢部材」としての第二スプリング29を備える。本実施形態では、可動コア40は、第二実施形態と同様にコア燃料通路412を有していない。
第一規制部材35は、固定コア当接部482の内側に設けられている略カップ状の部材である。第一規制部材35は、底部351及び環状部352を有する。
底部351は、ニードル鍔部33の開弁方向に位置している略円板状の部位である。底部351は、ニードル鍔部33の端面332に当接可能に形成されている。底部351は、ニードル50が有する第一通路51に連通する通孔353を有する。底部351の弁座251と反対側の端面には、第一スプリング27の一端が当接している。
環状部352は、底部351の径方向外側の端部に設けられている部位である。環状部352は、底部351から開弁方向に向かうよう形成されている。環状部352は、ニードル鍔部33の径方向外側の外壁面及び固定コア当接部482の径方向内側の内壁面に摺動可能に設けられている。環状部352は、燃料噴射弁4の中心軸CA4に沿う方向の長さが、ニードル鍔部33の中心軸CA4に沿う方向の長さに比べ長くなるよう形成されている。これにより、図7に示すように、底部351とニードル鍔部33とが当接しているとき、環状部352の弁座251側の端面354とコア小内径部41の端面416とが当接する一方、ニードル鍔部33の端面331とコア小内径部41の端面416とは離間した状態となる。
第二規制部材65は、略有底筒状に形成されている部材であって、固定部651、及び、環状部652を有する。固定部651は、軸部31の外壁面312に固定されている略円板状の部位である。環状部652は、固定部651の弁座251とは反対側の端面に設けられ、開弁方向に延びるよう形成されている。環状部652は、外径が第二実施形態の環状部552の外径に比べ小さくなるよう形成されている。環状部652の弁座251とは反対側の端面653は、コア小内径部41の端面415に当接可能である。
第二規制部材65には、環状部652の内側に弁座251とは反対側に開口654を有する空間650が形成されている。空間650には燃料口313が位置している。空間650は、燃料口313を介して第二通路52に連通している。
ここで、第二規制部材65が軸部31に対して固定される位置について説明する。燃料噴射弁4が閉弁しているとき、第二規制部材65の端面653とニードル鍔部33の端面331との間の距離を距離L41とすると、距離L41は、距離L12に比べ長い。
第二スプリング29は、環状部652の径外方向に位置するよう設けられている。第二スプリング29は、一端が固定部651の弁座251とは反対側の端面に当接している。第二スプリング29は、他端がコア小内径部41の端面415に当接している。第二スプリング29は、可動コア40と第二規制部材65とを離間する付勢力を発生する。本実施形態では、第二スプリング29の付勢力は、第一スプリング27の付勢力に比べ小さく設定されている。これにより、燃料噴射弁4、コイル49に電力が供給されていないとき、シール部32が弁座251に着座した状態、すなわち、閉弁状態となる。
次に、本実施形態による燃料噴射弁4の作用について説明する。コイル49に電力が供給されるとコイル49の周囲に形成される磁気回路によって固定コア48と可動コア40との間に磁気吸引力が発生する。可動コア40は、ニードル鍔部33の端面331からコア小内径部41の端面416までの距離を磁気吸引力によって開弁方向に移動した後、ニードル鍔部33と当接する。可動コア40がニードル鍔部33に当接するとニードル30は、可動コア40とともに開弁方向に移動する。これにより、シール部32が弁座251から離間し、第一筒部材21の内部の燃料が噴孔250から外部に噴射される。
所定量の燃料を噴射した後、コイル49への電力の供給が停止すると固定コア48と可動コア40との間の磁気吸引力が消滅するため、ニードル30と可動コア40とは第一スプリング27と第二スプリング29との付勢力の差によって閉弁方向に移動する。ニードル30が弁座251に着座した後、慣性力によって閉弁方向にさらに移動しようとする可動コア40は、第二規制部材65の端面653に当接する。これにより、第二通路52は遮断される。
第四実施形態による燃料噴射弁4では、燃料噴射弁4が閉弁するとき、慣性力によって閉弁方向にさらに移動しようとする可動コア40が第二規制部材65の端面653に当接すると、第二通路52は遮断される。これにより、可動コア40の弁座251側に位置する燃料は、第二通路52を介して可動コア40の弁座251とは反対側に移動することができなくなるため、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果が比較的強くなる。したがって、第四実施形態は、第二実施形態と同じ効果を奏する。
また、第四実施形態による燃料噴射弁4では、開弁時、可動コア40は、ニードル鍔部33の端面331からコア小内径部41の端面416までの距離を磁気吸引力によって開弁方向に移動した後、ニードル鍔部33と当接する。これにより、ニードル30にはある程度加速した状態の可動コア40が当接するため、燃料噴射弁4が開弁するときニードル30の開弁方向に作用する力が第二実施形態に比べ大きくなる。したがって、第四実施形態は、迅速にニードル30を開弁方向に移動することができる。
(第五実施形態)
次に、第五実施形態による燃料噴射弁を図8、9に基づいて説明する。第五実施形態は、ハウジングの形状、可動コアの形状、ニードルの形状及び規制部材の形状が第一実施形態と異なる。
第五実施形態による燃料噴射弁5は、ハウジング70、ニードル80、可動コア90、「当接部材」としての規制部材95、固定コア48、コイル49、第一スプリング27、及び、第二スプリング28を備える。
ハウジング70は、第一筒部材71、第二筒部材72、第三筒部材73、非磁性部材74、「ハウジングの径内方向に突出するよう形成されている部位」としてのガイド部材75、及び、噴射ノズル25から構成されている。第一筒部材71、第二筒部材72、第三筒部材73、非磁性部材74、及び、ガイド部材75は、いずれも略円筒状に形成されている。第一筒部材71、第二筒部材72、第三筒部材73の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。
第一筒部材71、第二筒部材72、及び、第三筒部材73は、例えば、フェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第一筒部材21の第二筒部材22とは反対側の端部には、噴射ノズル25が設けられている。第三筒部材73の径方向内側には、コイル49が設けられている。
非磁性部材74は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料から形成されている。非磁性部材74は、径方向内側が突出するよう形成されている第二筒部材72の内壁面のうち開弁方向に向かうよう形成されている内壁面721に設けられている。
ガイド部材75は、第一筒部材71の径方向内側の内壁面711及び第二筒部材72の径方向内側に向かうよう形成されている内壁面722に設けられている。ガイド部材75は、ハウジング70の径内方向に突出するよう形成されている。ガイド部材75は、摺動部751及び支持部752を有する。
摺動部751は、ガイド部材75の径方向内側に位置する。摺動部751は、後述する可動コア90の外壁に摺動可能に形成されている。摺動部751は、硬度が比較的高い材料から形成されている。摺動部751の「ハウジングの内壁面」としての内壁面753は、可動コア90に摺動可能に形成されている。
支持部752は、ガイド部材75の径方向外側に位置する。支持部752は、摺動部751と第一筒部材71及び第二筒部材72との間に設けられ、摺動部751を支持する。支持部752は、磁性が比較的弱い材料から形成されている。
ニードル80は、ハウジング70内に収容されている。ニードル80は、軸部31、シール部32、ニードル第一筒部83、及び、ニードル第二筒部84を有する。軸部31、シール部32、ニードル第一筒部83、及び、ニードル第二筒部84は、一体となって移動可能に形成されている。
ニードル第一筒部83は、軸部31のシール部32が設けられる側とは反対側の端部に設けられている。ニードル第一筒部83は、筒状に形成され、軸部31側の内部には軸部31が圧入されている。ニードル第一筒部83は、図8に示すように、径方向外側の壁体に複数の通孔を有する。複数の通孔のうち通孔831は、後述する可動コア90が有する連通路900に連通している。複数の通孔のうち「燃料口」としての通孔832は、後述する規制部材95が有する空間950に連通している。通孔831,832は、ニードル第一筒部83が有する「燃料通路」として内部空間830に連通している。
ニードル第二筒部84は、ニードル第一筒部83の軸部31が設けられる側とは反対側の端部に設けられている。ニードル第二筒部84は、外径がニードル第一筒部83の内径と略同じ大きさとなるよう形成され、ニードル第一筒部83側の端部がニードル第一筒部83の内側に圧入されている。ニードル第二筒部84は、ニードル第一筒部83の通孔831に連通する通孔841を有する。通孔841は、ニードル第二筒部84が有する「燃料通路」として内部空間840に連通している。内部空間840は、内部空間830に連通している。ニードル第二筒部84の弁座251とは反対側の端面842には、第一スプリング27の一端が当接している。
可動コア90は、第一可動コア91及び第二可動コア92を有する。第一可動コア91及び第二可動コア92は、一体となって移動可能に形成されている。可動コア90は、ニードル80とは別にハウジング70内を往復移動可能に設けられている。可動コア90は、開弁方向に移動するときニードル第一筒部83が有する段差面834に係合可能に形成されている。
第一可動コア91は、第二筒部材72及び非磁性部材74の径内方向に設けられている。第一可動コア91は、燃料噴射弁5の中心軸CA5に対して略垂直な方向に形成されている連通路900を有する。第一可動コア91は、固定コア48の端面483に対向する端面911、及び、第二筒部材72の内壁面のうち閉弁方向に向かうよう形成されている内壁面723に対向する端面912を有する。端面911と端面912とは、燃料噴射弁5の中心軸CA5に沿う方向において離れた位置に形成されている。これにより、燃料噴射弁5内に磁気回路が形成されるとき、磁気回路が磁気的に短絡することを防止することが可能である。
第二可動コア92は、第一可動コア91の弁座251側の端面913に設けられている。第二可動コア92は、固定部921、及び、環状部922を有する。固定部921は、第一可動コア91の端面913に設けられる。環状部922は、外径が第一可動コア91の外径に比べ小さくなるよう形成されている。環状部922は、固定部921の径方向外側の端部から閉弁方向に突出している。環状部922の弁座251側の端面923には、第二スプリング28の一端が当接している。
規制部材95は、略有底筒状に形成されている部材であって、固定部951、及び、環状部952を有する。固定部951は、ニードル第一筒部83の外壁面833に固定されている略円板状の部位である。環状部952は、固定部951の弁座251とは反対側の端面に開弁方向に延びるよう形成されている。環状部952の弁座251とは反対側の端面953は、第二可動コア92が有する固定部921の弁座251側の端面924に当接可能である。
規制部材95には、環状部952の内側に弁座251とは反対側に開口954を有する空間950が形成されている。空間950にはニードル第一筒部83の通孔832が位置している。空間950は、通孔832を介して内部空間830に連通している。
次に、本実施形態による燃料噴射弁5の作用について説明する。コイル49に電力が供給されていないとき、第一スプリング27と第二スプリング28との付勢力の差、及び、第一筒部材71の内部の燃料の圧力と外部の圧力との差によってシール部32は弁座251に当接している。これにより、噴孔250は閉じられるため、燃料は外部に噴射されない。
コイル49に電力が供給されるとコイル49の周囲に磁気回路が形成される。磁気回路は、図9の点線ML5で示すように、固定コア48、第三筒部材73、第二筒部材72、及び、第一可動コア91を通る。本実施形態では、固定コア48の弁座251側の端面483と第一可動コア91の端面911との間、及び、第二筒部材72の内壁面723と第一可動コア91の端面912との間を通るよう磁気回路が形成される。形成された磁気回路によって固定コア48と可動コア90との間に磁気吸引力が発生すると、可動コア90は、ニードル80と一体となって開弁方向に移動する。これにより、シール部32が弁座251から離間し、第一筒部材71の内部の燃料が噴孔250から外部に噴射される。
所定量の燃料を噴射した後、コイル49への電力の供給が停止すると、固定コア48と可動コア90との間の磁気吸引力が消滅する。磁気吸引力が消滅すると、ニードル80と可動コア90とは、第一スプリング27と第二スプリング28との付勢力の差によって閉弁方向に移動する。ニードル80が弁座251に着座するとき、可動コア90は慣性力によって閉弁方向にさらに移動し、図8に示すように、規制部材95の端面953と第二可動コア92の端面923とは当接する。これにより、ニードル第一筒部83の内部空間830は遮断される。
第五実施形態による燃料噴射弁5では、燃料噴射弁5が閉弁するとき、慣性力によって閉弁方向にさらに移動しようとする可動コア90が規制部材95の端面953に当接すると、ニードル第一筒部83の内部空間830は遮断される。これにより、可動コア90の弁座251側に位置する燃料は、内部空間830を介して可動コア90の弁座251とは反対側に移動することができなくなる。したがって、第五実施形態は、第一実施形態の効果(a)と同じ効果を奏する。
第五実施形態による燃料噴射弁5では、摺動部751は、第二可動コア92の環状部922の外壁に摺動可能に形成されている。環状部922は、外径が第一可動コア91の外径に比べ小さくなるよう形成されている。これにより、摺動部751と環状部922とが摺動する面積は、第一実施形態に比べ小さくなるため、摺動部751と環状部922との間を通って流れる燃料の量は比較的少なくなる。したがって、第五実施形態は、閉弁時、ニードル第一筒部83の内部空間830が遮断されると、可動コア90の弁座251側に位置する燃料は、可動コア40の弁座251とは反対側にさらに流れ込みにくくなるため、可動コア40の弁座251側の燃料によるダンパ効果をさらに強くすることができる。
(他の実施形態)
第一実施形態では、可動コアに形成されるコア燃料通路は、四つであるとした。しかしながら、コア燃料通路の数はこれに限定されない。ひとつであってもよい。
第二〜五実施形態では、「当接部材」は、弁座とは反対側に開口する「空間」を有するとした。しかしながら、「空間」が有する開口の方向はこれに限定されない。「空間」が弁座側に開口していてもよい。
上述の実施形では、可動コアは、径方向外側の外壁面がハウジングの内壁面と摺動可能であるとした。しかしながら、可動コアの径方向外側の外壁面とハウジングの内壁面との間の隙間はあってもよいが、当該隙間の間隔は狭い方が望ましい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。