JP2019213042A - 弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサ Download PDF

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Abstract

【課題】櫛型電極に加わる応力を抑制すること。【解決手段】本発明は、圧電基板10と、前記圧電基板10上に設けられ、融点が白金の融点以上の金属を主成分とする複数の電極指14を各々備え、前記複数の電極指14は1層の金属膜により形成され、前記複数の電極指14の少なくとも一部は前記複数の電極指14の配列方向における側面より外側に設けられた裾部15を有する一対の櫛型電極と、を備える弾性波デバイスである。【選択図】図3

Description

本発明は、弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えば櫛型電極を有する弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
携帯電話を代表とする高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために、高周波フィルタ等が用いられている。高周波フィルタ等には、弾性表面波(SAW:Surface acoustic wave)素子等を有する弾性波デバイスが用いられている。SAW素子は、圧電基板上に一対の櫛型電極を有するIDT(Interdigital Transducer)を形成した素子である(例えば特許文献1から5)。IDTが励振する弾性表面波の音速を圧電基板内を伝播するバルク波の音速より遅くすることで、低損失とすることが知られている(例えば特許文献6)。
特開2015−89069号公報 特開2001−267868号公報 特開2017−157944号公報 特開平9−46168号公報 特開2003−78384号公報 特開2016−136712号公報
特許文献6のように、弾性表面波の音速を遅くするために櫛型電極に高融点金属を用いた場合、金属膜の成膜時の応力および/または動作時の発熱による熱応力により櫛型電極が圧電基板から剥がれることがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、櫛型電極に加わる応力を抑制することを目的とする。
本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に設けられ、融点が白金の融点以上の金属を主成分とする複数の電極指を各々備え、前記複数の電極指は1層の金属膜により形成され、前記複数の電極指の少なくとも一部は前記複数の電極指の配列方向における側面より外側に設けられた裾部を有する一対の櫛型電極と、を備える弾性波デバイスである。
上記構成において、前記裾部は、前記複数の電極指の側面のうち最も傾斜が急峻な箇所に接する平面と前記圧電基板の前記複数の電極指側の表面との交わる位置より外側に設けられている構成とすることができる。
上記構成において、前記裾部の前記配列方向の幅は前記複数の電極指の前記配列方向の幅の0.05倍以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記裾部の最大高さは前記複数の電極指の高さの0.5倍以下である構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指は、モリブデン、イリジウム、白金、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタルおよびタングステンのいずれか1つを主成分とする構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指および前記裾部は前記圧電基板に接する構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指上に設けられ前記複数の電極指の主成分とは異なる金属を主成分とする金属膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の電極指は、前記圧電基板上に設けられ前記裾部を含む第1領域と、前記第1領域上に設けられた第2領域とを有し、前記第1領域は、アモルファスまたは前記第2領域の結晶粒より小さな結晶粒を有する構成とすることができる。
本発明は、上記弾性波デバイスを含むフィルタである。
上記構成において、各々前記一対の櫛型電極を有する複数の弾性波共振器を備え、前記複数の弾性波共振器のうち少なくとも1つの弾性波共振器における前記複数の電極指の前記配列方向の幅に対する前記裾部の前記配列方向の幅の比は、前記複数の弾性波共振器のうち他の弾性波共振器における前記比と異なる構成とすることができる。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、櫛型電極に加わる応力を抑制することができる。
図1(a)は、実施例1における弾性波共振器を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2は、実施例1に係る弾性波共振器の拡大平面図である。 図3(a)から図3(d)は、実施例1における電極指の断面図である。 図4(a)から図4(d)は、実施例1に係る弾性波共振器の製造方法を示す断面図である。 図5(a)および図5(b)は、シミュレーションに用いたサンプルAおよびBの電極指の断面図である。 図6(a)および図6(b)は、それぞれサンプルAおよびBのシミュレーション結果である。 図7(a)および図7(b)は、それぞれ比較例1および2における電極指を示す断面図である。 図8(a)および図8(b)は、それぞれ実施例1の変形例1および2における電極指の断面図である。 図9(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図9(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。 図10(a)および図10(b)は、実施例2の変形例2に係るフィルタの電極指の断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
弾性波デバイスとして弾性波共振器を例に説明する。図1(a)は、実施例1における弾性波共振器を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。電極指14の配列方向をX方向、電極指14の延伸方向をY方向、圧電基板10の法線方向をZ方向とする。なお、X、YおよびZ方向は圧電基板10の結晶方位とは必ずしも一致しない。
図1(a)および図1(b)に示すように、弾性波共振器24は、IDT20および反射器22を有している。IDT20および反射器22は圧電基板10上に設けられている。圧電基板10は、例えばタンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板または水晶基板である。IDT20および反射器22は金属膜12により形成されている。金属膜12は、例えばモリブデン(Mo)膜である。IDT20は一対の櫛型電極18を有する。一対の櫛型電極18は、それぞれ複数の電極指14と、複数の電極指14が接続されたバスバー16を有する。一方の櫛型電極18の電極指14と他方の櫛型電極18の電極指14とは少なくとも一部で互い違いに設けられている。IDT20のX方向の両側に反射器22が形成されている。IDT20が励振した弾性波は主にX方向に伝播し、反射器22は弾性波を反射する。同じ櫛型電極18内の電極指14のピッチをλとする。λは、IDT20が励振する弾性表面波の波長に相当する。
圧電基板10は、シリコン基板、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、ガラス基板または水晶基板等の支持基板上に接合されていてもよい。また、金属膜12を覆うように酸化シリコン膜または窒化シリコン膜等の絶縁膜が設けられていてもよい。絶縁膜の膜厚は金属膜12の膜厚より厚くてもよいし薄くてもよい。
図2は、実施例1に係る弾性波共振器の拡大平面図である。図2に示すように、電極指14およびバスバー16の周囲に裾部15が設けられている。
図3(a)から図3(d)は、実施例1における電極指の断面図である。図3(a)に示すように、電極指14はX方向の両端に圧電基板10に接する裾部15を有している。電極指14の断面形状は長方形状であり、裾部15の形状は長方形状である。電極指14の側面30と圧電基板10の上面とのなす角度θ1は約90°であり、裾部15の側面31と圧電基板10の上面とのなす角度θ2は約90°である。裾部15は、電極指14の側面30が圧電基板10の上面と接する線L1の外側の部分である。
図3(b)および図3(c)では、電極指14の断面形状は台形状である。角度θ1は鋭角である。図3(b)および図3(c)では、角度θ2はそれぞれ約90°および鋭角である。
図3(d)では、電極指14の側面30は平面ではない。電極指14の側面30のうち圧電基板10の上面に対し最も傾斜する部分を含む平面32と圧電基板10のなす角度θ1は鋭角である。裾部15は、平面32が圧電基板10の上面と接する線L1の外側の部分である。
図3(a)から図3(d)に示すように、裾部15を含む電極指14のX方向の幅はW4である。電極指14の最も高い高さがH1である。線L1と裾部15の端部との間が裾部15の幅W5である。線L1を通り圧電基板10の上面に対し垂直な線が電極指14の側面30と交わる線の圧電基板10の上面からの高さが裾部15の高さH2である。
図4(a)から図4(d)は、実施例1に係る弾性波共振器の製造方法を示す断面図である。図4(a)に示すように、圧電基板10上に付加膜34を形成する。付加膜34は、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜、酸化タンタル膜もしくは酸化ニオブ膜等の絶縁膜、アルミニウム膜等の金属膜またはシリコン膜等の導電体膜である。付加膜34は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成する。
図4(b)に示すように、付加膜34上に開口35を有するマスク層36を形成する。マスク層36は、例えばフォトレジストであり、塗布、露光および現像を行うことにより形成する。
図4(c)に示すように、マスク層36をマスクに付加膜34を除去する。付加膜34の除去は、例えばウェットエッチング法またはドライエッチング法を用いる。このとき、付加膜34をサイドエッチングする。付加膜34の側面はマスク層36の側面より内側に設けられる。マスク層36の両端部には、マスク層36と圧電基板10との間に付加膜34が設けられていないオーバーハング37が形成される。
図4(d)に示すように、開口35内の圧電基板10上およびマスク層36上に金属膜12を形成する。金属膜12の形成は例えば真空蒸着法を用いる。開口35内には厚い金属膜12が形成され電極指14となる。オーバーハング37内の圧電基板10の上面はマスク層36の陰になるが、金属原子が回り込むため薄い金属膜12が形成され裾部15となる。マスク層36を除去することにより、マスク層36上の金属膜12がリフトオフされ、裾部15を有する電極指14が形成される。
IDT20により励振された弾性表面波の音速が圧電基板10内を伝播するバルク波(例えば最も遅い横波バルク波)の音速より早い場合、弾性表面波はバルク波を放射しながら圧電基板10の表面を伝播する。よって、損失が生じる。特に、弾性表面波の一種であるSH(Shear Horizontal)波の音速はバルク波の音速より早い。このため、SH波を主モードとする弾性波共振器では損失が大きくなる。例えば、20°以上かつ48°以下のカット角を有するYカットX伝播タンタル酸リチウム基板では、SH波が主モードとなる。
弾性表面波の音速を遅くするため、金属膜12に音響インピーダンスの大きな金属を用いる。音響インピーダンスZは、密度をρ、ヤング率をEおよびポアソン比をPrとすると、以下の式で表される。
Figure 2019213042
ポアソン比は金属材料では大きく異ならないため、音響インピーダンスの大きな金属は、密度×ヤング率の大きい金属となる。密度は原子番号が大きな金属が大きく、ヤング率は硬い金属が大きい。このような金属は融点が高い高融点金属である。このように、高融点金属を金属膜12に用いると弾性表面波の音速が遅くなり損失が小さくなる。
また、高融点金属は、電子数が大きくかつ原子半径が小さいため金属結合が強くなる。エレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーションはそれぞれ電界および応力により金属原子が移動する現象である。よって、金属結合が強い高融点金属はこれらのマイグレーションが生じ難い。よって、高融点金属を金属膜12に用いるとマイグレーションが小さくなる。
例えば金属膜12として一般的に用いられるAl(アルミニウム)は、融点が660℃であり、密度、ヤング率、ポアソン比および音響インピーダンスがそれぞれ2.7g/cm、68GPa、0.34および8.3GPa・s/mである。高融点金属であるMo(モリブデン)は、融点が2622℃であり、密度、ヤング率、ポアソン比および音響インピーダンスがそれぞれ10.2g/cm、329GPa、0.31および35.9GPa・s/mである。このように、MoはAlに比べ融点が2000℃高く、密度は約4倍、ヤング率は約5倍であり、音響インピーダンスは約4倍である。
表1は、高融点金属の密度および融点を示す表である。
Figure 2019213042
表1に示すように、Ir(イリジウム)、Mo、Os(オスミウム)、Pt、Re(レニウム)、Rh(ロジウム)、Ru(ルテニウム)およびW(タングステン)の融点はPtの融点1774℃以上である。密度は、Alの4倍以上である。
このように、融点がPt以上の高融点金属は密度が高く音響インピーダンスも高い。このため、これらの金属を金属膜12とすることで弾性表面波の音速が遅くなり、損失を抑制できる。また融点が高いため、マイグレーションが生じ難くなる。
しかしながら、高融点金属は、応力が大きくなりやすい。また、圧電基板10と金属膜12との密着性が低くなりやすい。このため、成膜時の応力および/または弾性波デバイスの動作時の発熱による熱応力により金属膜12が剥がれてしまう。
[シミュレーション]
電極指14の断面形状による応力をシミュレーションした。図5(a)および図5(b)は、シミュレーションに用いたサンプルAおよびBの電極指の断面図である。図5(a)および図5(b)に示すように、シミュレーションでは、電極指14を台座の部分14bと部分14b上の部分14aとに仮想的に分けた。実際には部分14aと14bとは一体であり同じ金属膜からなる。
図5(a)に示すように、サンプルAでは、部分14aの断面形状は台形であり、部分14bの断面形状は矩形である。部分14aの上面の幅はW1、下面の幅はW2、測面と下面とのなす角度はθ1である。部分14bが部分14aより外側に延伸しており、延伸の幅はW3である。すなわち部分14bの幅はW4=W2+2×W3である。部分14bの部分14aより外側が裾部15である。部分14bの高さはH2であり、電極指14の高さはH1である。
図5(b)に示すように、サンプルBでは、部分14bの断面形状は台形である。部分14bの上面の幅はW2であり、下面の幅はW4=W2+2×W3である。測面と下面とのなす角度はθ2である。その他の構成はサンプルAと同じである。
以下シミュレーション条件を示す。
圧電基板10:42°回転YカットX伝播タンタル酸リチウム基板
金属膜12:Mo
サンプルA
幅W2:1000nm
高さH1:500nm
高さH2:100nm
角度θ1:70°
サンプルB
幅W2:1000nm
高さH1:500nm
高さH2:100nm
角度θ1:70°または90°
温度が20℃から85℃に上昇したときのX方向の応力の変化を有限要素法を用い算出した。図6(a)および図6(b)は、それぞれサンプルAおよびBのシミュレーション結果である。図6(a)および図6(b)の最大応力は、圧電基板10の上面における最も大きい応力を示し、図5(a)および図5(b)の領域50(部分14bの端部)の応力である。
図6(a)に示すように、サンプルAでは、幅W3が大きくなると最大応力の絶対値が小さくなる。図6(b)に示すように、サンプルBでは、角度θ2が小さくなると最大応力の絶対値が小さくなる。θ2が小さくなることは幅W3が大きくなることに相当する。サンプルAおよびBのように、電極指14は裾部15を有することにより、圧電基板10に電極指14から加わる応力を小さくできる。
図7(a)および図7(b)は、それぞれ比較例1および2における電極指を示す断面図である。図7(a)に示すように、比較例1では、電極指14は裾部15を有しておらず、幅W2´を実施例1の幅W2+2×W3とする。これにより、圧電基板10と電極指14との接する面積が大きくなる。しかし、電極指14全体の厚さが大きいため、領域50に加わる応力が大きくなってしまう。また、電極指14の幅W2は弾性波共振器の特性に影響する。よって、所望の特性を得られない可能性がある。
図7(b)に示すように、比較例2では、電極指14を形成する金属膜12は金属膜12aと12bとを含む。金属膜12aは裾部15を形成する。金属膜12bは電極指14のうち裾部15上の部分を形成する。金属膜12aと金属膜12bの材料を異ならせている。例えば、金属膜12aは密着膜である。比較例2では、金属膜12aと12bの界面において金属膜12aと12bとが剥がれる可能性がある。また、金属膜12bを密度が低く、融点の低い金属とすると、損失の抑制および/またはマイグレーションの抑制の効果が小さくなってしまう。
実施例1によれば、電極指14は融点が白金の融点以上の金属を主成分とする。これにより、弾性表面波の音速が遅くなり、損失を抑制できる。また、マイグレーションが生じ難くなる。しかし、電極指14が圧電基板10から剥がれやすくなる。そこで、電極指14は、1層の金属膜12から形成され、X方向における側面30より外側に設けられた裾部15を有する。これにより、圧電基板10と電極指14に加わる最大応力を小さくできる。よって、電極指14の剥がれを抑制できる。
平面視において複数の電極指14の周囲全てが裾部15を有してもよいし、複数の電極指14の少なくとも一部が裾部15を有してもよい。一対の櫛型電極18の電極指14が互いに交差する交差領域内において複数の電極指14のX方向の両側に全て裾部15が設けられることが好ましい。
裾部15は、複数の電極指14の側面30のうち最も傾斜が急峻な箇所に接する平面32と圧電基板10の複数の電極指14側の表面との交わる位置より外側に設けられている。これにより、圧電基板10と電極指14に加わる最大応力を小さくできる。
図3(a)から図3(d)において、裾部15のX方向の幅W5は電極指14のX方向の幅W4の0.05倍以上である。これにより、最大応力をより小さくできる。裾部15の幅W5は電極指14の幅W4の0.1倍以上が好ましく、0.2倍以上がより好ましい。裾部15の幅W5は電極指14の幅W4の1倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましい。
裾部15の最大高さH2は複数の電極指14の高さH1の0.5倍以下である。これにより、最大応力をより小さくできる。高さH2は高さH1の0.2倍以下が好ましく、0.1倍以下がより好ましい。高さH2は高さH1の0.05倍以上が好ましく、0.1倍以上がより好ましい。
複数の電極指14および裾部15は圧電基板10に接する。これにより、損失および/またはマイグレーションをより抑制できる。
複数の電極指14は、モリブデン、イリジウム、白金、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタルおよびタングステンのいずれか1つを主成分とする。これにより、損失および/またはマイグレーションを抑制できる。
金属膜12がある金属を主成分として含むとは、例えば金属膜12内のある金属の原子濃度が50%以上のことであり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
[実施例1の変形例1]
図8(a)は、実施例1の変形例1における電極指の断面図である。図8(a)に示すように、電極指14上に金属膜17が設けられている。金属膜17は、例えばクロム(Cr)膜、Ni(ニッケル)膜およびTi(チタン)膜であり、電極指14の主成分とは異なる金属を主成分とする。金属膜17は、製造工程におけるエッチング停止層、および/またはマイグレーションを抑制する層として機能する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例1のように、電極指14上に設けられ電極指14の主成分とは異なる金属を主成分とする金属膜17が設けられていてもよい。金属膜17が厚いと電極指14の機能を阻害する。そこで、金属膜17は電極指14より薄いことが好ましく、金属膜17の膜厚が電極指14の膜厚の1/2以下が好ましく、1/5以下がより好ましい。
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2における電極指の断面図である。図8(b)に示すように、金属膜12は、圧電基板10に接するように設けられた第1領域13aと第1領域13aに接するように設けられた第2領域13bとを有する。第1領域13aは裾部15を含む。第1領域13aでは粒界が観察されず一様な構造54を有し、第1領域13aはアモルファス(非晶質)状態である。第2領域13bでは結晶粒56が積層方向に延伸する柱状であり、粒界52が積層方向に延伸する。
圧電基板10上に、電極指14として融点がPt以上の高融点金属とすると、蒸着法およびスパッタリング法いずれの方法を用いても柱状結晶となりやすい。柱状結晶では粒界が鮮明である。これは結晶粒の間の結合が弱いおよび/または結晶粒の間に隙間があるためである。また、結晶粒の大きさは揃っておりかつ金属膜12の積層方向に連続している。弾性波共振器24に大きな電力の高周波信号が印加されると、電極指14が弾性表面波により大きく振動することで電極指14に応力が加わる。電極指14が柱状結晶となっていると、粒界に沿って電極指14が断裂すると考えられる。耐電力性を向上させるためには、金属膜12全体を柱状結晶でない構造とすることも考えられる。しかし、高融点金属を電極指14として機能する程度まで厚くすると、柱状結晶の第2領域13bが形成されてしまう。
そこで、実施例1の変形例2によれば、第1領域13aはアモルファスまたは第2領域13bの結晶粒より小さな結晶粒を有する。これにより、第2領域13bの粒界は第1領域13aまで連続しない。よって、大電力の高周波信号が入力されても電極指14が破損することを抑制できる。第1領域13aおよび第2領域13bの結晶粒はTEM(Transmission Electron Microscope)法またはSEM(Scanning Electron Microscope)法を用い観察することにより確認できる。
IDT20として機能する程度(0.1λ程度)の金属膜12を成膜すると、第2領域13bの積層方向の厚さは第1領域13aの積層方向の厚さより大きくなる。例えば、第2領域13bの積層方向の厚さは第1領域13aの積層方向の厚さの2倍以上となる。電極指14の破断を抑制するためには第1領域13aの積層方向の厚さは第2領域13bの積層方向の厚さの1/10以上が好ましく、1/5以上がより好ましい。
第1領域13aを形成するためには、まず圧電基板10の上面にArイオンを照射し上面を凸凹状にする。その後金属膜12を形成する。これにより、アモルファスの第1領域13aと柱状結晶の第2領域13bが形成される。
実施例2は、実施例1およびその変形例の弾性波共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図9(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図9(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の弾性波共振器を用いることができる。フィルタとしてラダー型フィルタを例に説明したが、フィルタは多重モード型フィルタでもよい。
図9(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図9(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
[実施例2の変形例2]
図10(a)および図10(b)は、実施例2の変形例2に係るフィルタの電極指の断面図である。図10(a)および図10(b)は、図9(a)における直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4のうち1つの弾性波共振器R1および別の1つの弾性波共振器R2における電極指の断面図である。図10(a)および図10(b)に示すように、弾性波共振器R1は弾性波共振器R2に比べ電極指14が圧電基板10に接する幅W4に対する裾部15の幅W5の比が大きい。また、弾性波共振器R1は弾性波共振器R2より幅W5が大きい。
実施例2の変形例2のように、フィルタが含む複数の弾性波共振器のうち少なくとも1つの弾性波共振器R1のW5/W4を他の弾性波共振器R2のW5/W4と異ならせてもよい。例えば、弾性波共振器R1のW5は他の弾性波共振器R2のW5と異なっていてもよい。例えば、複数の弾性波共振器の少なくとも1つは、W5=0であり裾部15を有さなくてもよい。例えば、入力端子T1に最も近い並列共振器P1および/または直列共振器S1には大電力が加わる。そこで、並列共振器P1および/または直列共振器S1のW5/W4を他の共振器のW5/W4より大きくする。これにより、フィルタの耐電力性を向上させ、かつ裾部15が設けられることによる特性劣化を抑制できる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 圧電基板
12、17 金属膜
13a 第1領域
13b 第2領域
14 電極指
15 裾部
18 櫛型電極
20 IDT
22 反射器
24 弾性波共振器
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ

Claims (11)

  1. 圧電基板と、
    前記圧電基板上に設けられ、融点が白金の融点以上の金属を主成分とする複数の電極指を各々備え、前記複数の電極指は1層の金属膜により形成され、前記複数の電極指の少なくとも一部は前記複数の電極指の配列方向における側面より外側に設けられた裾部を有する一対の櫛型電極と、
    を備える弾性波デバイス。
  2. 前記裾部は、前記複数の電極指の側面のうち最も傾斜が急峻な箇所に接する平面と前記圧電基板の前記複数の電極指側の表面との交わる位置より外側に設けられている請求項1に記載の弾性波デバイス。
  3. 前記裾部の前記配列方向の幅は前記複数の電極指の前記配列方向の幅の0.05倍以上である請求項2に記載の弾性波デバイス。
  4. 前記裾部の最大高さは前記複数の電極指の高さの0.5倍以下である請求項2または3に記載の弾性波デバイス。
  5. 前記複数の電極指は、モリブデン、イリジウム、白金、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタルおよびタングステンのいずれか1つを主成分とする請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  6. 前記複数の電極指および前記裾部は前記圧電基板に接する請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  7. 前記複数の電極指上に設けられ前記複数の電極指の主成分とは異なる金属を主成分とする金属膜を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  8. 前記複数の電極指は、前記圧電基板上に設けられ前記裾部を含む第1領域と、前記第1領域上に設けられた第2領域とを有し、
    前記第1領域は、アモルファスまたは前記第2領域の結晶粒より小さな結晶粒を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを含むフィルタ。
  10. 各々前記一対の櫛型電極を有する複数の弾性波共振器を備え、前記複数の弾性波共振器のうち少なくとも1つの弾性波共振器における前記複数の電極指の前記配列方向の幅に対する前記裾部の前記配列方向の幅の比は、前記複数の弾性波共振器のうち他の弾性波共振器における前記比と異なる請求項9に記載のフィルタ。
  11. 請求項9または10に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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