JP2020003448A - 刺激応答性可逆変形構造体及びその製造方法 - Google Patents

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靖洋 羽場
井ノ口 雅美
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Abstract

【課題】周囲の湿度に応答して意図的にカール量を変化させると同時に、これにより優れた視覚効果を与えることが可能な、刺激応答性可逆変形構造体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】基材12と、少なくともその片面側にマトリクス11とを有する構造体1であって、前記マトリクスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する樹脂により構成され、マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、構造体のカール量が変化することを特徴とする、刺激応答性可逆変形構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、水分の吸着及び脱離に伴って可逆的に体積変形する刺激応答性可逆変形構造体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、基材フィルムと少なくともその片側にマトリクスとを有し、マトリクスが水分を吸着及び脱離する特性を有する樹脂により構成され、マトリクスの水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって基材フィルムのカールが変化することを特徴とする、刺激応答性可逆変形構造体に関する。
近年、種々の機能性フィルムが、フラットパネルディスプレイなどのエレクトロニクス製品や、農業製品、壁紙などの建装材など様々な分野において用いられている。
いずれの分野においても、機能性フィルムにカール(反り)が生じることは、機能性フィルム単体で使用の際に問題を生じるほか、機能性フィルムを貼合する対象との接着性を阻害するなどの理由から、機能性フィルム単体としてカールを低減することが求められている。また、こうしたカールは、気温・湿度などの外乱因子に対し変化しないことが求められている。
例えば特許文献1のように、機能性フィルムがハードコート層とカール抑制層を積層することにより、カールを抑止しているものがある。
また特許文献2のように、2種のアクリレート化合物を組み合わせたものを用いて、カールを抑制する手段が知られている。
このように、カールを抑制する手段を講じることなどによって機能性フィルムの本来の機能に支障が生じないことが求められていた。
特許第6097836号公報 特許第4500522号公報
これに対し本発明は、上記と異なる発想によるものであり、使用環境の変化に対するカール量が変化することを機能として捉えた。すなわち、基材表面に形成されたマトリクスの水分を吸着及び脱離することによる体積変化により、基材の片面側に応力を加え、意図的にカール量を変化させると同時に、これにより優れた視覚効果を与えることが可能な、刺激応答性可逆変形構造体及びその製造方法を提供する。
上述の課題を解決するために、本発明に係る刺激応答性可逆変形構造体は、
基材と、少なくともその片面側にマトリクスとを有する構造体であって、
前記マトリクスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する樹脂により構成され、
前記マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、前記構造体のカール量が変化することを特徴とする。
また、本発明に係る前記樹脂が、硬化性樹脂材料の重合体あるいは共重合体であることが好ましい。
また、本発明に係る硬化性樹脂材料が、電離放射線硬化性あるいは熱硬化性を有することが好ましい。
また、前記マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化が、マトリクスの組成、硬化度、架橋密度、重合度のいずれかによって制御されていてもよい。
また、本発明に係る刺激応答性可逆変形構造体は、少なくともマトリクスないし基材表面に対してインキにより印刷が施されていることを特徴とする。
また、本発明に係る刺激応答性可逆変形構造体は、
マトリクスと基材とを貫通する切り込み状の孔空け加工がされた切り込み部が複数配置されており、マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、前記切り込み部のカール量が変化することを特徴とする。
また、本発明の刺激応答性可逆変形構造体の製造方法において、
硬化性樹脂材料を含む塗液を調製する塗液調製工程と、
前記塗液を基材上に塗布する塗布工程と、
前記塗液を熱処理して塗膜を形成する熱処理工程と、
前記塗膜に電離放射線を照射して硬化させて硬化膜とし、前記基材に支持された前記硬化膜からなるマトリクスを形成する電離放射線照射工程と、
を少なくとも備えることを特徴とする。
また、本発明の刺激応答性可逆変形構造体の製造方法において、
前記マトリクスまたは基材へ印刷パターンを形成する工程と、
前記マトリクスに切り込み状の孔空け加工を行う工程の、
いずれかまたは両方の工程をさらに備えることを特徴とする。
本発明は、基材に対して形成したマトリクスの水分の吸着及び脱離に伴う可逆的な体積変化を利用し、可逆的なカール量の変化を基材に与えることができる。これを利用して、カール量の変化が起こる部分に印刷パターンを設け、水分の吸着ないし脱離に対する視覚的変化を生じさせること、さらに、カール量を利用した湿度センサーや、基材の表裏での空気の透過量が変化するなどの、有用な効果を与えることが可能となる。
本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体1の断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体1の水分の脱離状態における断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体1の水分の吸着状態における断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体2の断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体2の水分の吸着・脱離状態における断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体3の断面模式図(上)およびマトリクス表面側からの模式図(下)。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体3の水分の脱離状態における断面模式図(上)およびマトリクス表面側からの模式図(下)。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体3のマトリクス表面側からの模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体4の断面模式図とその水分の脱離状態(右)。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体4の断面模式図とその水分の脱離状態(右)。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体4の断面模式図とその水分の脱離状態(右)。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体4の断面模式図。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体のカール変化前後の様子を示す写真画像。 本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体に観察されたモアレパターンの変化前後の写真画像。
以下に、本発明の刺激応答性可逆変形構造体について、図を用いて詳細に説明する。
(刺激応答性可逆変形構造体1)
図1は、本発明の実施の形態に係るフィルム状構造の刺激応答性可逆変形構造体1の一例を示した断面模式図である。本構造体は図1に示すように、水分の吸着及び脱離により体積が変化する材料からなるマトリクス11と、基材フィルム12とを有する。図1はマトリクス11が特に変化のない状態を示す。
図2はマトリクス11における水分の脱離に伴い変化した状態の断面模式図であり、図3はマトリクス11の水分の吸着に伴い変化した状態の断面模式図である。
なお、本発明 の説明では基材としてフィルムを例として説明するが、基材はフィルムに限定されない。例えば、フィルムの他にシート、薄膜、箔などが挙げられる。
マトリクス11が図1の状態から水を脱離した場合(図2)、マトリクス11の体積が減少するが、マトリクス11と基材フィルム12は密着しているため、マトリクスにかかる応力13が基材フィルム12に加わり(応力の方向は矢印で示される)、マトリクス側にカールする。逆にマトリクス11が図1の状態から水を吸着した場合(図3)、マトリクス11の体積が増加するが、マトリクス11と基材フィルム12は密着しているため、マトリクスにかかる応力13が基材フィルム12に加わり、基材フィルム側にカールする。
図1のカールがない初期状態を作製する際に、マトリクスが水を吸着あるいは脱離している状態を調整することにより、水分に対する刺激応答性を変化させることが可能である。
例えば、水がほぼすべて脱離している状態で図1のカールがない初期状態を作製した場合、温度23℃湿度50%RHの環境に放置すると、図3のようなカールが生じ、更に水分が吸着するとより強いカールが生じることになり、図2の状態は起こらない。
逆に水が限界まで含んでいる状態で図2のカールがない初期状態を作製した場合、図3の状態になることはなく、23℃50%RHの環境に放置すると図2のようなカールが生じ、更に水分の脱離が進むとより強いカールが生じることとなる。
例えば23℃50%RHで図1のカールがない初期状態を作製した場合は、25%RHで図2の状態に、75%RHで図3の状態となるように調整することができる。
マトリクス11を構成する材料としては、水分の吸着、脱離に伴って体積変化を発現する材料であれば特に限定されないが、水分を吸着する材料として、親水基であるカルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホン基などを有する親水性高分子系材料、その混合系材料、あるいはそれらに粒子やフィラーなどを含む複合材料であることが好ましい。
親水性高分子系材料としては、例えば、ポリアクリル酸系、ポリマレイン酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系、ポリビニルピリジン系、ポリアクリルアミド系、ポリエチレンオキシド系、ポリビニルスルホン系などを挙げることができる。また、これらの材料系において2種類以上が主鎖あるいは側鎖に組み込まれて構成される混合物であってもよい。具体的には、ポリアクリル酸とポリビニルアルコール系の共重合体やポリアクリル酸とポリマレイン酸の共重合体などが挙げられる。
また、水分の吸着及び脱離により体積変化する混合材料系としては、ゲル材料なども好適に用いられる。具体的には、二種類の親水性高分子鎖が相互進入高分子網目を形成することで高強度化されたダブルネットワークゲルや、粘土化合物であるクレイが物理架橋点として作用するナノコンポジットゲルなどが挙げられる。
上記の親水性高分子材料やゲル材料は、電離放射線硬化性あるいは熱硬化性を有する有機モノマー、オリゴマー、ポリマーにより形成される硬化性樹脂材料が含まれることが好ましい。
電離放射線硬化性有機モノマー、オリゴマーおよびポリマーとは、紫外線や電子線といった活性エネルギー線の照射により、架橋反応を経て硬化する物質のことをいう。硬化性の材料を用いることで、平坦なフィルム状だけでなくパターニング、凹凸構造や球構造など様々な構造体としても成形することが可能となる。また、硬化条件を変更することで架橋密度を制御することができるため、水分の吸着、脱離に伴う体積変化率をコントロールすることも可能である。
親水性高分子材料やゲル材料に用いられる電離放射線硬化性モノマー、オリゴマーとしては、具体的には、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド各種四級塩、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート各種四級塩、アクリル酸、各種アルキルアクリレート、メタクリル酸、各種アルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
本実施の形態に係る熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂を主成分とした樹脂組成物が好ましい。より具体的には、不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂と、水酸基及び炭素−炭素二重結合を有する反応性希釈剤と、重合開始剤とを必須成分とする樹脂組成物であり、エポキシ樹脂は、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、水酸基及び炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂硬化剤と、硬化促進剤とを必須成分とする樹脂組成物が好ましい。
本実施の形態に係る親水性高分子材料やゲル材料には、適宜、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、重合性官能基を2つ以上有する化合物を用いることができ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−メチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、N,N−ブチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリストールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る親水性高分子材料やゲル材料には、適宜、フィラーを添加してもよい。フィラーの形状としては、球状、粒子状、針状、繊維状、板状、燐片形状、ロッド状、不定形等が挙げられ、親水性表面を持つものがモノマーや樹脂との相溶性の観点から好ましい。
例えば、粒子状であれば、親水化処理された金属酸化物微粒子や金属微粒子、ゼオライト、ポリマー微粒子などが挙げられる。また、板状であれば、サポナイトやスティブンナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ルーセンタイト、ソマシフなど水膨潤性の層状粘土化合物などが挙げられる。また、繊維状であればセルロースナノファイバーや親水化処理されたカーボンナノチューブ、ガラスフィラーなどが挙げられる。
本発明の実施の形態に係る親水性高分子材料やゲル材料には、その重合様式によって、重合開始剤を適宜選択することができる。
重合開始剤としては、具体的には、過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1,−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスホンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等の紫外光によってラジカルを発生する化合物、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゼンや3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブ
チルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステルに、チオピリリウム塩、メロシアニン、キノリン、スチルキノリン系色素を混合した物質等の360nm以上の波長の光によってラジカルを発生する化合物等が挙げられる。また、過酸化水素あるいは過硫酸塩は、例えば、亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用することができる。
本発明に係る基材フィルム12には、PEフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリウレタンフィルム、アクリルフィルム、塩化ビニルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、紙、金属箔、経木などの木材、などのフィルムを使用することができ、その材質を問わない。
マトリクス11の水分の吸着および脱離に伴う体積変化量によりカール量が変化することが必要となるため、フィルムやシートであることが望ましい。またこれらが積層されていてもフィルム表面にコーティングや印刷、賦形処理があっても構わない。
基材フィルム12が水分の吸着及び脱離に伴い体積変化する場合、カールの変化が小さくなるか生じなくなるため、基材フィルム12は水分の吸着および脱離に伴う体積変化量が小さいことが好ましい。より好ましくは、体積変化量が1%以下であることが好ましい。
基材フィルム12の膜厚は特に限定しないが、1μm以上100μm以下が好ましい。1μm以下の場合、刺激応答性可逆変形構造体の強度が確保できず、100μm以上では、基材フィルム12の剛性のため、マトリクス11の水分の吸着および脱離に伴う体積変化があっても、カールが生じにくくなるためである。
本発明の効果を得るためには、マトリクス11と基材フィルム12とは強固に密着している必要がある。マトリクス11を形成する基材フィルム12表面に、オゾン処理やコロナ処理、プラズマ処理などの親水化処理を行うなどの方法を利用することができる。また、マトリクス11と基材フィルム12は粘着材・接着剤により固定されていても構わない。
(刺激応答性可逆変形構造体2)
図4は、本発明の実施の形態に係るフィルム状構造の刺激応答性可逆変形構造体2の一例を示した断面模式図である。基材フィルム22と、その両面に水分の吸着及び脱離により体積が変化する材料からなるマトリクス21、23とを有する。
このような構造をとる場合、刺激応答性可逆変形構造体の両面のマトリクスの水分吸着および脱離の違いにより、カールの向きを変えることが可能となる。
例えば、マトリクス21、23の組成、硬化度、架橋密度、重合度、膜厚が同等であり、水分の吸着及び脱離による体積変化率が同等であるとき、刺激応答性可逆変形構造体を介して相対的に23の側が21の側よりも水分の吸着量を多くすると、図5のように刺激応答性可逆変形構造体は23の側が凸となるようにカールさせることが可能となる。逆に刺激応答性可逆変形構造体を介して相対的に21の側が23の側よりも水分の脱離量が少ないとき、刺激応答性可逆変形構造体は21の側が凸となるようにカールさせることが可能となる(図示せず)。
また、マトリクス21、23の組成、硬化度、架橋密度、膜厚を変えて、刺激応答性可逆変形構造体の両面のマトリクスの水分吸着および脱離によるカールの向き、量を変更することも可能である。このように表裏の水分・脱離量の違いに応じてカールの向きを変えることが可能となる。
マトリクス21、23を構成する材料としては、水分の吸着、脱離に伴って体積変化を発現する材料であれば特に限定されず、上述した刺激応答性可逆変形構造体1に記載のマトリクス材料11と同じ材料を用いることができる。
基材フィルム22を構成する材料としては、同じく刺激応答性可逆変形構造体1に記載の基材フィルム12の材料と同じ材料を用いることができる。
(刺激応答性可逆変形構造体3)
図6は、本実施の形態に係るフィルム状構造の刺激応答性可逆変形構造体3の一例を示した断面模式図と、A側からみた表面の模式図である。基材フィルムの32の一部にマトリクス31を形成し、マトリクス31のある部分に切り込み33が刺激応答性可逆変形構造体を貫通するようにA−B間に複数本入れてある。
このような形態をとった場合、マトリクス31から水分が脱離すると、図7のようにマトリクス31および切り込み33が入っている部分のみがカールし、マトリクス31が形成されていない部分は平滑なままとなる。刺激応答性可逆変形構造体全体としては平滑なままであり、マトリクス31が形成されている部分のみカールが生じるようになる。
切り込みを入れる場合、図8のように、切り込み33の形状は特に限定しないが、刺激応答性可逆変形構造体3の表裏で貫通していることを必須とする。切り込み33は複数の直線で形成されていてもよく、多角形・円形により抜かれている形状でもよい。また、切り込み部分がマトリクスのない部分にかかっていてもいなくても構わない。水分の吸着および脱離によりカールが生じればよい。
基材フィルム32の表面に形成するマトリクス31と切り込み33の数、数密度、大きさは特に限定しない。
マトリクス31を構成する材料としては、水分の吸着、脱離に伴って体積変化を発現する材料であれば特に限定されず、上述した刺激応答性可逆変形構造体1に記載のマトリクス材料11と同じ材料を用いることができる。また、刺激応答性可逆変形構造体2に記載したようにマトリクス31の基材フィルム32を介して反対側には、同じくマトリクスを配置することも可能である。
基材フィルム32を構成する材料としては、刺激応答性可逆変形構造体1に記載の基材フィルム12の材料と同じ材料を用いることができる。
(刺激応答性可逆変形構造体4)
図9 (左図)は、本発明の実施の形態に係るフィルム状構造の刺激応答性可逆変形構造体4の一例を示した断面模式図である。基材フィルム42の一部にマトリクス41を形成し、印刷基材46の一部と、粘着剤または接着剤45を用いて貼合している。また、マトリクス41のある部分に切り込み43が、刺激応答性可逆変形構造体を貫通するようにA−B間に入れてある。刺激応答性可逆変形構造体には、マトリクス41と印刷基材46の両方に印刷パターン44が形成してある。このような形態をとった場合、マトリクス41から水分が脱離すると、図9(右図)のように刺激応答性可逆変形構造体全体としては平滑なままであり、マトリクス41が形成されている部分のみカールが生じるようになる。A側からみると、マトリクス41からの水分の脱離前後で印刷パターン44が変化するようになる。
印刷パターン44は、マトリクス41の片面あるいは両面、または基材フィルム42のいずれか片面あるいは両面に形成されていてもかまわない。
また、図10のように、更に印刷パターン44を設けた印刷基材46を配置したり、図11のようにカールが生じる部分を除いて粘着剤または接着剤45で貼合し、あわせて刺激応答性可逆変形構造体4とすることも可能である。このような構造をとる場合も、マトリクス41からの水分の脱離前後で印刷パターン44が変化するようになる。
また、図12のように複数のマトリクス41と基材フィルム42および印刷パターン44の組み合わせが、粘着剤または接着剤45で貼合されていてもかまわない。
特に基材フィルム42およびマトリクス41が透明であり、印刷パターン44が網点や万線のような、複数重なることで光学的に干渉しモアレが生じるような印刷パターンで構成されている場合、基材フィルム42あるいはマトリクス41上の印刷パターンと、印刷基材46上の印刷パターンが光学的に干渉してモアレを生じる。通常、モアレパターンは観察する角度を変えることによってモアレが変化するが、本発明の場合、観察する角度を変えなくても水分の吸着および脱離によってモアレパターンを変化させることが可能となる。
刺激応答性可逆変形構造体4の中の、マトリクス41と切り込み43の数、密度、大きさは特に限定しない。
マトリクス41を構成する材料としては、水分の吸着、脱離に伴って体積変化を発現する材料であれば特に限定されず、上述した刺激応答性可逆変形構造体1に記載の材料と同じ材料を用いることができる。また、刺激応答性可逆変形構造体2に記載したようにマトリクス41の基材フィルムを介して反対側には、同じくマトリクスを配置することも可能である。
基材フィルム42を構成する材料としては、同じく刺激応答性可逆変形構造体1に記載の基材フィルム12の材料と同じ材料を用いることができる。
印刷基材46を構成する材料としては、刺激応答性可逆変形構造体1に記載の基材フィルム12と同じ材料を用いることができる他、ガラス板、金属板、陶器など剛性があるものでもかまわない。
印刷パターン44を構成する材料としては、カラーインキ、白インキ、黒インキなど有色であれば特にその種類・材料を問わない。
(製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係る刺激応答性可逆変形構造体の製造方法について、刺激応答性可逆変形構造体4を例にとり説明する。
まず、マトリクス41を形成するための上述した材料と、必要に応じて溶媒を混合し、マトリクス形成用塗液を調液する。
マトリクス形成用塗液に対しては、塗布性を向上させるため表面調整剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤等を加えることもできる。
次に、基材フィルム42上に、上記マトリクス形成用塗液をコーティングする。
マトリクス形成用塗液の基材フィルム42へのコーティング方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンサー法等、既存の塗布方法が挙げられるが、特に限定しない。
マトリクス41の厚みは、10μm以上200μm以下程度であることが好ましく、20μm以上150μm以下程度であることがより好ましい。ただし、マトリクス41の厚みは上記範囲に限定されるものではない。
次に、基材フィルム上に塗布された塗液を適宜熱処理により乾燥させて塗液内の溶媒を除去し、塗膜を形成する。熱処理は、適宜公知の乾燥手段を採用できる。例えば、乾燥手段として、加熱、送風、熱風、遠赤外線などを利用することができる。
なお、この時点での塗膜の含水量を調整することで、図1のカールがない状態での含水量を調整することも可能である。
マトリクス41の材料として電離放射線硬化性樹脂を使用する場合、熱処理工程の後に電離放射線照射工程を設け、塗膜に電離放射線を照射することにより硬化させて塗膜の形成を行う。
本発明における電離放射線としては、紫外線、電子線などを採用できる。紫外線硬化の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、UV−LEDなどの光源を利用することができる。積算光量・照度は用いる樹脂によって異なるが、通常は紫外線源を搬送ラインに多段数設けておき、複数に分けて照射する。特に一段目の紫外線照射においては、光重合の暴走による内部応力の上昇を低減するため、ウェブの温度が60℃以下に保たれていることが好ましい。硬化度を調整することにより、図1のカールがない状態の含水量を調整することも可能である。
また、塗布用フィルムを別途用意し、これに対しマトリクス形成用塗液を塗布、乾燥、硬化を行った後、塗布用フィルムからマトリクス単体を剥離し、基材フィルム42に粘着剤・接着剤などを用いて貼合することも可能である。その際、マトリクスにカールがない状態で水分の吸着や脱離を行った後、粘着剤フィルムを貼合し、基材フィルム42へ貼合する。塗布用フィルムは、マトリクスが容易に剥離するものであれば、特に限定されない。このようにしても図1のカールがない状態の含水量を調整することが可能である。
そして、マトリクス41上と基材フィルム42上に、印刷により印刷パターン44を形成する。印刷パターン44の形状やサイズは、特に限定されるものではなく、使用する用途や機能、印刷方式などによって、適宜選択することができる。特にモアレを発現させる場合、印刷パターンをスクリーン印刷やオフセット印刷、インクジェット印刷などのパターン印刷方式を用いることができる。
次に、マトリクス41と基材フィルム42の所定の場所に、切り込み43を入れる。
マトリクス41と基材フィルム42には例えばロールカッター、プレス穿孔などを用いて切り込み43を入れるが、特にその手法は問わない。
また、マトリクス41、基材フィルム42には、様々な3次元形状を腑型することができる。腑型方法としては、ナノインプリントや微細な金型を用いた熱プレスなどを利用することができる。
また、マトリクス41および基材フィルム42には、着色することも可能である。
以下、本発明の具体的な実施例を挙げて説明する。
(カールの測定方法)
カール量は刺激応答性可逆変形構造体を5mm×50mmに切り出し、水分の吸着や脱
離を行った後、5分後に曲率半径を測定した。カールを測定する環境は湿度の条件以外は23℃とした。直接水をかける場合は、5分後に表面に付着した水をふき取った後測定した。曲率半径が300mmを越すものについては平坦として扱った。
(刺激応答性可逆変形構造体1)
以下、刺激応答性可逆変形構造体1の実施例1〜12については、表1にデータをまとめた。表中において、曲率半径が正なものは基材フィルム側を凸とするカールが生じたことを意味する。∞を書いてあるものはほぼ平滑であることを意味する。負の数の場合、マトリクス側を凸とするカールが生じていることを意味する。
(実施例1)
まず、マトリクス形成用塗液1を調製した。親水性UV硬化性樹脂UA−W2A(新中村化学工業社製、12重量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、82重量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITERDS(BYK社製、6重量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.2重量部)、溶媒として純水を混合した塗液を調製した。
次に、フィルム基材は、コロナ処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)(ルミラーT60、厚さ75μm、東レ社製)とした。また、バーコーターを用いマトリクス形成用塗液1をフィルム基材に塗布した。塗液の塗布量は、乾燥膜厚が45μmとなるように設定した。
次に、基材に塗布された塗液1を熱処理により乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。熱処理条件は、100℃で1分間とした。
次に、基材上に形成した塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化させ、刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫外線硬化装置を用いて露光量420mJ/cmとした。
刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径14mm、50%RHにてほぼ平坦、75%RHではマトリクス側を凸にして曲率半径280mmであった。なお表1では、マトリクス側が凸になる場合の曲率半径をマイナス値として表記した。
(実施例2)
乾燥膜厚を55μmとする以外は実施例1と同じ条件で、刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径10mm、50%RHにてほぼ平坦、75%RHではマトリクス側を凸にして曲率半径240mmであった。
(実施例3)
乾燥膜厚を35μmとする以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径55mm、50%RH、及び75%RHにてほぼ平坦であった。
(実施例4)
電離放射線の露光量を300mJ/cmとする以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径35mm、50%RHでほぼ平坦、75%RHにてマトリクス側を凸にして曲率半径230mmであった。
(実施例5)
電離放射線の露光量を500mJ/cmとする以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径80mm、50%RH、及び75%RHにてほぼ平坦であった。
(実施例6)
基材に塗布された塗液を熱処理により乾燥する時間を5分とする以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径20mm、50%RHで曲率半径180mm、75%RHにてほぼ平坦であった。
(実施例7)
基材フィルムの膜厚を38μmとする以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径10mm、50%RHでほぼ平坦、75%RHにてマトリクス側を凸にして曲率半径200mmであった。
(実施例8)
マトリクス形成用塗液2として、親水性UV硬化性樹脂UA−W2A(新中村化学工業社製、24重量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、70重量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITERDS(BYK社製、6重量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.2重量部)、溶媒として純水を混合した塗液を調製した。それ以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径50mm、50%RH、及び75%RHでほぼ平坦であった。
(実施例9)
マトリクス形成用塗液3として、親水性UV硬化性樹脂UA−W2A(新中村化学工業社製、6重量部)、親水性UV硬化性モノマーHEAA(KJケミカルズ社製、88重量部)、水膨潤性層状粘土鉱物LAPONITERDS(BYK社製、6重量部)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF社製、0.2重量部)、溶媒として純水を混合した塗液を調製した。それ以外は実施例1と同じ条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径12mm、50%RHで曲率半径160mm、75%RHにて曲率半径250mmであった。
(実施例10)
塗布用基材として、離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、マトリクス形成用塗液1を、バーコーターを使用して塗布した。塗液の塗布量は、乾燥膜厚が45μmとなるように設定した。
次に、基材に塗布された塗液を熱処理により乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。熱処理条件は、100℃で1分間とした。
次に、基材上に形成した塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化させた。このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫外線硬化装置を用いて露光量420mJ/cmとした。
次に、基材に形成したマトリクスを塗布用基材から剥離し、湿度調整として23℃50%RHの状態に平滑な状態で5分置いた後、10μmの粘着フィルム(25μm厚)を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)(ルミラーT60、厚さ38μm、東レ社製)と貼り合わせ刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径80mm、50%RHでほぼ平坦、75%RHにてマトリクス側を凸にして曲率半径200mmであった。
(実施例11)
湿度調整を23℃25%RHとする以外は実施例10の条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、25%RHにてほぼ平坦、50%RHでマトリクス側を凸にして曲率半径250mm、75%RHにてマトリクス側を凸にして曲率半径230mmであった。
(実施例12)
湿度調整を23℃75%RHとする以外は実施例10の条件で刺激応答性可逆変形構造体1を作製した。刺激応答性可逆変形構造体1のカール量は、基材フィルム側を凸にして、25%RHにて曲率半径10mm、50%RH曲率半径40mm、75%RHでほぼ平坦であった。
以上の実施例1〜12の結果を表1に示す。
(刺激応答性可逆変形構造体2)
(実施例13)
実施例1で作製した刺激応答性可逆変形構造体1の、基材フィルムのマトリクスが形成されていない側にコロナ処理を施し、実施例1と同じ条件でマトリクスを形成したことにより、刺激応答性可逆変形構造体2を得た。刺激応答性可逆変形構造体2のカール量は、25%RH、50%RH、75%RHでほぼ平坦であった。マトリクスの片側に水蒸気を当てたところ、当ててない側のマトリクスの側を凸として曲率半径50mmのカールが生じた。
(刺激応答性可逆変形構造体3)
(実施例14)
実施例1で作製した刺激応答性可逆変形構造体1に対して、図13(左図)のように4本の切込みを入れ刺激応答性可逆変形構造体3を作製した。25%RHの環境に刺激応答性可逆変形構造体3を置くと、図13(右図)のようなカールが生じた。
(刺激応答性可逆変形構造体4)
(実施例15)
実施例1で作製した刺激応答性可逆変形構造体1に対して、得られたマトリクスの表面にオフセット印刷を用いて、ライン幅が50μm、ピッチが100μmのライン&スペースのパターンを黒インキにて形成した。更にパターンの上から4本の切込みを入れた。別途PETフィルムを準備し、得られたマトリクスの表面にオフセット印刷を用いて、ライン幅が50μm、ピッチが100μmのライン&スペースのパターンを黒インキ形成した。いずれも50%RHの状態では、平滑であった。
図14(左図)のようにこれらを重ねモアレパターンを生じさせた後、25%RHの状態に置くと、図14(右図)のようにモアレパターンの変化が見られた。
(刺激応答性可逆変形構造体1〜4)
(比較例)
水分の吸着、脱離に伴って体積変化を発現しないマトリクスとして、紫光UV7000B(日本合成化学工業)100質量部、ESACURE ONE (Lamberti社製)1質量部をメチルエチルケトンに溶解して塗液を調整し、マトリクス形成用塗液としてこの塗液を用いる以外は、上記に記載の実施例1〜15を作製したが、水分の吸着、脱離に伴うカール量の変化、視覚効果は発現しなかった。
以上の結果から、本発明の刺激応答性可逆変形構造体により、可逆的なカール量の変化を与えることができ、優れた視覚的変化を生じさせることが可能となることがわかった。
1…刺激応答性可逆変形構造体1
11…マトリクス
12…基材フィルム
13…応力
2…刺激応答性可逆変形構造体2
21…マトリクス
22…基材フィルム
23…マトリクス
3…刺激応答性可逆変形構造体3
31…マトリクス
32…基材フィルム
33…切り込み
4…刺激応答性可逆変形構造体4
41…マトリクス
42…基材フィルム
43…切り込み
44…印刷パターン
45…粘着剤または接着剤
46・・・印刷基材

Claims (8)

  1. 基材と、少なくともその片面側にマトリクスとを有する構造体であって、
    前記マトリクスは、水分を吸着及び脱離する特性を有する樹脂により構成され、
    前記マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、前記構造体のカール量が変化することを特徴とする、刺激応答性可逆変形構造体。
  2. 前記樹脂が、硬化性樹脂の重合体あるいは共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の刺激応答性可逆変形構造体。
  3. 前記硬化性樹脂が、電離放射線硬化性あるいは熱硬化性を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の刺激応答性可逆変形構造体。
  4. 前記マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化が、前記マトリクスの組成、硬化度、架橋密度、重合度のいずれかによって制御されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の刺激応答性可逆変形構造体。
  5. 少なくとも前記構造体のカール量が変化するマトリクスまたは基材表面にインキによる印刷が施されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の刺激応答性可逆変形構造体。
  6. 前記構造体において、マトリクスと基材とを貫通する切り込み状の孔空け加工がされた切り込み部が複数配置されており、マトリクスにおける水分の吸着及び脱離に伴う体積変化によって、前記切り込み部のカール量が変化することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の刺激応答性可逆変形構造体。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の刺激応答性可逆変形構造体の製造方法であって、
    硬化性樹脂材料を含む塗液を調製する塗液調製工程と、
    前記塗液を基材上に塗布する塗布工程と、
    前記塗液を熱処理して塗膜を形成する熱処理工程と、
    前記塗膜に電離放射線を照射して硬化させて硬化膜とし、前記基材に支持された前記硬化膜からなるマトリクスを形成する電離放射線照射工程と、
    を少なくとも備えることを特徴とする、刺激応答性可逆変形構造体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の刺激応答性可逆変形構造体の製造方法において、
    前記マトリクスまたは基材へ印刷パターンを形成する工程と、
    前記マトリクスに切り込み状の孔空け加工を行う工程の、
    いずれかまたは両方の工程をさらに備えることを特徴とする、刺激応答性可逆変形構造体の製造方法。
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