JP2020005537A - 再生可能エネルギー利用システム - Google Patents

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Abstract

【課題】微細藻類による燃料油生産に必要なエネルギーを、再生可能エネルギーで賄うことができ、該微細藻類を多段利用できるシステムを提供すること。
【解決手段】本発明の再生可能エネルギー利用システムは以下のユニット(1)〜(5)を有する。(1)温度差淡水化法を用いる淡水製造ユニット1;(2)淡水製造ユニットで得られた淡水による陸上植物生産ユニット2;(3)温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水、又は、温度差淡水化法で淡水を取り除くことによって濃縮させた海水で高度好塩性微細藻類を培養する高度好塩性微細藻類培養ユニット3;(4)該高度好塩性微細藻類から有効成分を分離回収する分離回収ユニット4;及び、(5)該グリセリンを炭素(C)源として醗酵させて、アミノ酸、ペプチド、油脂、醗酵残渣等を得るグリセリン利用ユニット5。
【選択図】図1

Description

本発明は、海洋深層水、微細藻類等を多段利用する再生可能エネルギー利用システムに関する。
温室効果ガスを排出することなくエネルギーを得られる、太陽エネルギーや風力エネルギー等の再生可能エネルギーによってエネルギー需要の多くを賄うことが、地球温暖化対策等で求められているが、再生可能エネルギーの多くは、電気という二次エネルギーを生み出すものである。
また、再生可能エネルギーはエネルギー密度が非常に低く、再生可能エネルギーへの早急な転換は非常にハードルが高く、微細藻類による燃料油生産は、該ハードルをある程度下げることが期待されている。
微細藻類による燃料油生産というアイデアはすでに70年程前に提案され、実証実験も数か国で繰り返されてきている(例えば、特許文献1、2)。多くの研究開発費が投入され、具体的な数字やロードマップが提示されているが、現状を鑑みると実用化には至っていない。従来技術は、目標に至るまでの戦略を持った確固たるグランドデザインが描かれていないために、経済収支や実用化等の問題が解決できていない。
また、近年、飲料水や産業用水等に使用される淡水が世界的に不足しており、海水の淡水化技術の研究が盛んに行われている。海水淡水化技術として、海水から水蒸気を取り出すことにより淡水を確保する蒸発法と、膜を用いたろ過により淡水を確保する膜法の2種類がある。
上記蒸発法の1つとして、温度差淡水化法やスプレーフラッシュ法がある。例えば、非特許文献1のように、表層温海水を減圧容器に注入し、ノズルを通して放出することによって蒸発させ、この蒸気を低温の海洋深層水で冷却することによって、淡水を得ることができる。
しかし、上記冷媒として用い温度が上昇した深層冷海水(海洋深層水)の具体的な再利用方法はこれまでに提案されていない。
特開2015−231363号公報 特開2015−146785号公報
科学技術動向、2007, 077, p.5-5.
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、前記問題点を解決し、微細藻類による燃料油生産に必要なエネルギーを、再生可能エネルギーで賄うことができ、該微細藻類を多段利用できるシステムを提供することである。
また、海水の淡水化において発生する「温度が上昇した海洋深層水」や「淡水」;それぞれのユニットで得られる副産物・残渣・エネルギー;等を余すことなく、他のユニットで有効利用することができるシステムを提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、経済収支がプラス(黒字)になり、実用化が可能である微細藻類による燃料油生産を行うために、複数の技術を組み合わせたグランドデザインを描く必要があることに注目した。
また、太陽光、太陽熱、バイオマス、海水自体を含む海洋資源等から生成されるエネルギーである、再生可能エネルギーのエネルギー密度は非常に低い一方、最終的に生産される(燃料)油等のエネルギー密度は非常に高いことに鑑み、エネルギー密度の低い再生可能エネルギーと複数の各技術を、状況により的確に組み合わせることを試みた。
そして、特定の微細藻類を海洋深層水で培養するにあたり、温度差淡水化法(スプレーフラッシュ法やマルチスプレーフラッシュ法も含まれる)を用いて海水から淡水を製造する際に、冷媒として用いて昇温した海洋深層水を有効利用できることを見出した。また、温度差淡水化法(スプレーフラッシュ法やマルチスプレーフラッシュ法も含まれる)を用いて海水から淡水を製造する際に、該海水として、「種々の方法(ユニット)で昇温した深層海洋水」を有効利用できる。
海洋深層水には、リン(P)とカリウム(K)が豊富に含まれるので、海洋深層水から淡水を取り出した後の「濃水」には、更にリン(P)とカリウム(K)が豊富に含まれるので、微細藻類を培養するのに好適である。
また、上記海洋深層水で培養した微細藻類から、グリセリン、タンパク質、炭水化物、油脂等の有価物を抽出でき、更に、ここで得られたグリセリンは、醗酵の原料として有効利用でき、該醗酵残渣が上記特定の微細藻類の窒素(N)源とリン(P)源になること等を見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のユニット(1)ないし(5)の全てを有することを特徴とする再生可能エネルギー利用システムに存する。
(1)温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造する淡水製造ユニット;
(2)淡水製造ユニットで得られた淡水で陸上植物を生産する陸上植物生産ユニット;
(3)温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水、又は温度差淡水化法で淡水を取り除くことによって濃縮させた海水で高度好塩性微細藻類を培養する高度好塩性微細藻類培養ユニット;
(4)該高度好塩性微細藻類から、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、及び/又は、油脂を分離回収する分離回収ユニット;及び、
(5)該グリセリンを炭素(C)源として醗酵させて、アミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、炭素数6以下のアルコール、油脂、燃料、及び/又は、醗酵残渣を得るグリセリン利用ユニット
本発明によれば、前記問題点や上記課題を解決し、温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造する際に冷媒として使用され副産物として残る「温度上昇された海洋深層水」を有効利用することができる。
また、該海洋深層水で高度好塩性微細藻類を培養し、得られた有価物を有効利用することができる。
また、本発明における高度好塩性微細藻類の培養にあたっては、海洋深層水の有する、雑菌が少ない、コンタミネーション(汚染)が少ない等と言った清浄性や、窒素(N)、リン(P)等の元素が豊富に含まれると言った高栄養塩類性を無駄なく最大限に利用することができる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムにより、上記副産物として残る海洋深層水で飼料・餌料用微細藻類を培養し、二枚貝や甲殻類等を養殖することにより、該海洋深層水を有効利用することができる。
また、飼料・餌料用微細藻類を餌として海洋深層水で海産動物を養殖し、該養殖の過程で得られる(前記海産動物養殖ユニットで発生する)養殖排水で海藻を培養すれば、該養殖排水は浄化され(例えば、窒素(N)、リン(P)等の元素が少なくなり)、排水処理を施すことなく、海洋に排出でき、窒素やリンによる海洋汚染を防止できる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムにおいて得られた淡水は、陸上植物の生産や飲料水として用いることができるので、沙漠等の淡水の確保が難しい地域で本発明の再生可能エネルギー利用システムの効果を十分発揮することができる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムのグリセリン利用ユニットで得られた醗酵残渣中には、タンパク質等が残存するため、不足しがちな窒素(N)源やリン(P)源として、高度好塩性微細藻類の培養や、陸上植物の生産に有効利用することができ、該再生可能エネルギー利用システムで産出する物質を余すことなく有効利用することができる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムにより、これまでに想定されていなかった「技術や資源の複合利用又は多段利用」をすることにより、微細藻類による燃料油等の生産;淡水での陸上植物の生産;カロテン類、グルタチオン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質等の有価物の獲得;海産動物の養殖;等を含め、該システム全体として初めて、最終的な経済収支を黒字にしつつ実行できる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムでは、微細藻類の培養、陸上植物の生産等で多量の光合成生物生産を行うことで、二酸化炭素を削減でき、地球温暖化を抑制することができる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムで使用するエネルギーは、該システム中のユニットで生産されるエネルギーを用いることにより、該システムに投入するエネルギー量を最小限に抑えることができる。
このように、例えば、1つないし3つ程度のユニットだけだと、そこから産出される物質やエネルギー、及び/又は、そこから得られる残渣、副産物、養殖排水等が、無駄に廃棄・散逸されてしまう。本発明によれば、ある1つのユニットに必要な、必須元素(栄養源)等を含む餌・肥料;反応(合成)原料;適切温度、無菌(清浄)化、淡水化等の環境;エネルギー;等が、他のユニットから、残渣・副産物・排水等として得られるので、それらが無駄にならず有効利用でき、複数のユニットが相乗的に作用して、システム全体として経済収支を黒字にして現実性のあるものとできる。
本発明の再生可能エネルギー利用システムの概略の一例を示す図である。 本発明の再生可能エネルギー利用システムの概略の一例を示す図である。 濃縮海水を用いたときの培養結果を示すグラフである。 培養途中でリン(P)源や炭素(C)源を加えたときの培養結果を示すグラフである。 本発明の淡水製造ユニットを主にして、そこで使用される海洋深層水について示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の再生可能エネルギー利用システムは、以下のユニット(1)ないし(5)の全てを有することを特徴とする。
(1)温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造する淡水製造ユニット1;
(2)上記淡水製造ユニット1で得られた淡水で陸上植物を生産する陸上植物生産ユニット2;
(3)温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水、又は、温度差淡水化法で淡水を取り除くことによって濃縮させた海水で高度好塩性微細藻類を培養する高度好塩性微細藻類培養ユニット3;
(4)該高度好塩性微細藻類から、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、及び/又は、油脂を分離回収する分離回収ユニット4;及び;
(5)該グリセリンを炭素(C)源として醗酵させて、アミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、炭素数6以下のアルコール、油脂、燃料、及び/又は、醗酵残渣を得るグリセリン利用ユニット5
上記ユニット(1)〜(5)を有する再生可能エネルギー利用システムの概略の一例を図1に示す。なお、本発明の再生可能エネルギー利用システムは、図1の具体例には限定されない。
以下、該ユニット(1)〜(5)について、詳細に説明する。
<淡水製造ユニット>
上記淡水製造ユニット1では、温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造する。温度差淡水化法の代表的なものとして、スプレーフラッシュ法がある。
温度差淡水化法とは、例えば、非特許文献1等に、「スプレーフラッシュ法」として開示されている方法と実質的(原理的)には同様の方法である(同様の原理に基づくものである)。該スプレーフラッシュ法は、「表層の温かい海水」(海洋表層水)を減圧容器等に注入することによって蒸発させ、この蒸気を「深層の冷たい海水」(海洋深層水)で冷却することによって液化させて、淡水を得る方法である。一般に、「スプレーフラッシュ法」は、海洋表層水と海洋深層水との温度差を利用している。海水から淡水を製造する際は、海洋表層水と海洋深層水の温度差が大きいほど好ましい。
温度差淡水化法に用いる装置としては、スプレーフラッシュ法に用いる装置と類似・同様のものが用いられ得る。
本発明における温度差淡水化法では、蒸発させる海水として、上記海洋表層水に代えて「後記する方法等で加温された海洋深層水」を用いることが好ましい。
また、該温度差淡水化法は、減圧容器を多段にして、所謂「マルチ温度差淡水化法」とすることが好ましい。「マルチ温度差淡水化法」としては、「マルチスプレーフラッシュ法」として開示されている方法が用いられ得る。装置に関しても、マルチスプレーフラッシュ法の装置が好適に用いられる。
上記淡水製造ユニット1で得られた淡水は、飲料水、農業用水、工業用水等の産業用水として利用することができる。また、下記する「陸上植物生産ユニット2」で、陸上植物の生産に用いることができる。
海洋深層水は、海洋表層水に比較して、場所によって異なるが、例えば日本の伊豆大島付近では、硝酸態の窒素(N)で約30倍、リン酸態のリン(P)で約60倍が含有されている。また、海洋深層水は無菌でもある。
本発明によれば、これらの組成・物性を安価に獲得できるので、後述する高度好塩性微細藻類培養ユニット3、海産動物養殖ユニット6、飼料・餌料用微細藻類培養ユニットA等で好適に有効利用でき、システム全体として経済収支が黒字になる。少なくとも、従来の単独技術(単独ユニット又は2〜3個のユニットの組み合わせ技術)のように赤字にならない。
なお、本発明から、グリセリン利用ユニット5を除いたとしても、すなわち、ユニット(1)〜(4)だけでも、上記のような効果がある程度は得られる。
海洋深層水は、陸上、船上等において海面以下の高さにパイプの出口を設け、深海での水圧を利用して、サイホンの原理で汲み上げれば、ポンプの回転に必要な電力を節約できる。また、ポンプを使用するときでも、海洋深層水の存在する深海での水圧が利用できるので、電力エネルギーが少なくて済むので、更に経済的である。
上記淡水製造ユニット1では、温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造するが、該海水としては海洋深層水が好ましい。
該海洋深層水としては、海洋深層水濃縮ユニットEで濃縮されたもの;太陽熱、海洋深層水濃縮ユニットE等で昇温されたもの;種々のアクアインダストリー、レアメタル回収装置等を通過したもの;それらを組み合わせたもの;等が挙げられる(図5参照)。
海洋深層水には、リン(P)やカリウム(K)が豊富に含まれるので、海洋深層水から淡水を取り出した後の「濃縮深層水」は、後述する「高度好塩性微細藻類培養ユニット」で、微細藻類を好適に培養することができる。
<陸上植物生産ユニット>
陸上植物生産ユニット2では、上記淡水製造ユニット1で得られた淡水で陸上植物を生産する。
上記陸上植物生産ユニット2で必要な水(淡水)は、上記淡水製造ユニット1から得る。
また、該陸上植物生産ユニット2での温度調整は、「後記発電ユニットDから得られる冷熱温度差発電の電力」、太陽熱等によって行うことができる。
本発明は、沙漠等の淡水の確保が難しい地域で効果を十分に発揮するが、かかる地域は他の地域に比較して太陽熱が豊富にあり、更に、かかる地方では、海洋表層水の温度が高いので、海洋表層水と海洋深層水との温度差が大きくなっており、「後記発電ユニットDから得られる冷熱温度差発電の電力」が得られ易い点からも、かかる地域では、淡水製造ユニット1と陸上植物生産ユニット2とは非常によくマッチングしている。
該陸上植物生産ユニット2で必要な光は、二酸化炭素の削減やコスト削減等の点で、再生可能エネルギーである太陽光を利用することが好ましい。沙漠等の地域では、晴れの日が多く太陽光を利用し易いので、その点からも、淡水製造ユニット1と陸上植物生産ユニット2とは非常によくマッチングしている。
また、陸上植物生産ユニット2で必要な肥料(窒素やリン)は、グリセリン利用ユニット5の醗酵残渣や、後記窒素固定ユニットFから得ることができる。
本発明は、海洋深層水や海洋表層水を得易い海近傍の地域;海産動物・海藻・海洋性微細藻類等を利用し易い海へのアクセス容易地域;気温が高い地域;晴れの日が多く日照時間が長い地域;陸上植物や海産動物を育てたり微細藻類を培養したりするための好ましくは平地を確保できる地域;等において実施することが、各種資源・環境等が無料で確保できるために好ましい。
更に、淡水が不足する程に雨が少ない地域;インフラが整備されておらずエネルギー確保が困難な地域;等では、本発明の効果が特に発揮されるので好ましい。
このような地域としては、日照時間3000時間/年以上、雨量400mm/年以下、又は年間平均気温18℃以上の地域が好ましい。
上記陸上植物は、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、食料確保の点等から、野菜、果物、穀類、豆類、芋類等の食用植物であることが好ましい。上記陸上植物生産ユニット2では、1種又は2種以上の陸上植物を生産することができる。
また、微細藻類、植物プランクトン、シアノバクテリア、窒素固定細菌等の微細生物を生産することも好ましい。陸上植物に加えて微細生物を生産することも好ましい。
<高度好塩性微細藻類培養ユニット>
高度好塩性微細藻類培養ユニット3では、上記マルチ温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水、又は、マルチ温度差淡水化法で淡水を取り除くことによって濃縮させた海水(好ましくは海洋深層水を濃縮させた濃縮深層水)で、高度好塩性微細藻類を培養する。
上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3で培養する高度好塩性微細藻類として、例えば、アファノカプサ(Aphanocapsa)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属、パーキュアサリア(Percursaria)属、スピルリナ(Spirulina)属、シネココッカス(Shnechococcus)属、又はデュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類等が挙げられる。該高度好塩性微細藻類培養ユニット3では、1種又は2種以上の高度好塩性微細藻類を培養することができる。
油脂等の有価物を抽出できる;二酸化炭素以外の炭素源が利用可能である;高度好塩性藻類(海洋性微細藻類)である;適応生育温度範囲が広い;強光阻害を受けない;等の点で、デュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類が好ましい。
該微細藻類によって、大気中の二酸化炭素が資源化できる。
デュナリエラ属藻類には、高度好塩性藻類が含まれており、これらの藻類を高塩分濃度海水中で培養することで、コンタミネーション(雑菌混入)のリスク低減を低コストによって実現することが可能となる。
デュナリエラ(Dunaliella)属は、細胞壁をもたないので、油の抽出が容易である。また、デュナリエラ(Dunaliella)属はグリセリンを浸透圧調整のために細胞中に貯蔵しているため、該グリセリンを回収して下記するグリセリン利用ユニット5で有効利用することができる。なお、該グリセリンは溶媒や触媒等を含まない純粋なグリセリンであるため香粧品・食用から醗酵基質としても利用価値が高い。
また、デュナリエラ(Dunaliella)属は二酸化炭素を炭酸水素に変換することができるため、バブリング(二酸化炭素のエアレーション)が不要であり、培養コストを抑えることができる。
また、デュナリエラ(Dunaliella)属は、増殖しながら脂質蓄積が可能な数少ない微細藻類であり、バッチ培養よりも生産効率が高い連続培養が可能である。
また、カロテン類を蓄積することで、強光阻害を起こさずに培養可能である。
また、適応生育温度範囲が広いため、人為的な温度コントロールを行わずに培養可能なため、大幅に培養コストを低減することが可能となる。
デュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類として、例えば、Dunaliella salina、Dunaliella viridis、Dunaliella bioculata、Dunaliella primolecta、Dunaliella tertiolecta、Dunaliella bardawil等が挙げられる。
生存可能温度範囲が4〜60℃と低温でも高温でも生存・生育することができる点、高浸透圧状況下で高温に耐えることができる点等から、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)を培養することがより好ましい。上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3では、1種又は2種以上のデュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類を培養することができる。
高度好塩性微細藻類培養ユニット3では、海洋深層水由来の海水で高度好塩性微細藻類を培養することが好ましい。
「海洋深層水由来の海水」としては、上記淡水製造ユニット1で温度差淡水化法の冷媒として用いて昇温したもの;上記淡水製造ユニット1での温度差淡水化法における「分離される原料としての海洋深層水(スプレーされる液)」として用いて濃縮されたもの;海洋深層水濃縮ユニットEで濃縮されたもの;太陽熱、海洋深層水濃縮ユニットE等で昇温されたもの;種々のアクアインダストリー、レアメタル回収装置等を通過したもの;それらを組み合わせたもの;等が挙げられる。
上記フローの概略を図5に示す。図5は、上記工程を全て記載したものであって、図5のいくつかは行わないことも可能であり、それも本発明に含まれる。
図5中、「−冷熱」は、冷熱ではなくなり昇温したことを示し、「−レアメタル」は、レアメタルが回収されてなくなった(少なくなった)ことを示す。また、斜線のハッチは、熱交換が起ったことを示す。
海洋深層水には、リン(P)やカリウム(K)が豊富に含まれるので、海洋深層水から淡水を取り出した後の「濃縮深層水」は、更に高濃度のリン(P)やカリウム(K)を含むこともあり、高度好塩性微細藻類を特に好適に培養することができる。
また、温度差淡水化法の冷媒として用いたり、太陽熱で昇温したり、海洋深層水濃縮ユニットEで用いたり、種々のアクアインダストリーで用いたり、レアメタルを回収したり、それらを組み合わせたりすれば、(化石燃料からの)熱エネルギーを別途供給して加温しなくても海洋深層水を昇温でき、高度好塩性微細藻類を特に好適に培養することができる。
後記する海洋深層水濃縮ユニットEで、海洋深層水を、太陽熱を利用して水を蒸発させて濃縮させることによって、高度好塩性微細藻類の培養に必要な窒素(N)源やリン(P)源の濃度を上げることができ好適であるが、同時に海洋深層水(海水)の食塩(塩化ナトリウム)濃度も(例えば約15質量%まで)上がってしまう。
しかしながら、高度好塩性微細藻類は、高い食塩(塩化ナトリウム)濃度(例えば約15質量%)でも培養可能である。
その点からも、太陽熱を利用して、窒素(N)源やリン(P)源の濃度を上げる「海洋深層水濃縮ユニットE」は、高度好塩性微細藻類を培養する「高度好塩性微細藻類培養ユニット3」と良くマッチングしている。
また、高い食塩(塩化ナトリウム)濃度(例えば約15質量%)になると、雑菌が繁殖し難くなり、コンタミネーション(汚染)が少なくなるので、高度好塩性微細藻類の増殖に好都合である。
海洋深層水には、窒素(N)とリン(P)が豊富であり、かつ無菌である。これらの組成・物性を安価に獲得できる、又は、上記マルチ温度差淡水化法を用いる淡水製造ユニット1で副産物(冷媒として使用した残り又は淡水を取り除くことにより濃縮させたもの)として獲得できるので、システム全体として経済収支が黒字にさせ易い。このように、海洋深層水は、高度好塩性微細藻類の培養に好適であると共に、システム全体として変動費を低減できる。
上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3では、二酸化炭素の削減やコスト削減等の点で、光エネルギーとして太陽光を用いることが好ましい。また、培養液の撹拌は、二酸化炭素の削減やコスト削減等の点で、風力を用いることが好ましい。
上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3における微細藻類の培養は、公知の方法を用いることができる。コスト削減や人為的なコントロールを減らす等の点から、連続培養することが好ましく、棚田式の連続培養であることがより好ましい。
<分離回収ユニット>
上記高度好塩性微細藻類からは、次の具体例には限定されないが、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、油脂等の有価物が得られる。
分離回収ユニット4では、上記培養した微細藻類から、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物及び油脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の有価物を分離回収することが必須である。
上記分離回収ユニット4では、上記培養した微細藻類から、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、及び/又は、油脂を分離回収する。なお、本明細書中で「及び/又は」とは、「及び」又は「又は」を意味する。
上記成分の分離回収は、公知の方法を用いればよい。該分離回収の際に必要となるエネルギーは、二酸化炭素の削減やコスト削減等の点で、下記発電ユニットDで発生する電力を用いることが好ましい。
上記分離回収ユニット4により回収されたカロテン類は、高い抗酸化作用を有し、例えば、医薬品、食品、食品添加物、サプリメント等に利用することができる。
上記分離回収ユニット4により回収されたグルタチオンは、高い抗酸化作用を有し、例えば、医薬品、食品、サプリメント、肥料、飼料等に利用することができる。
また、該回収されたグルタチオンは、上記陸上植物生産ユニット2で利用することにより、陸上植物の光合成を促進することができるので、分離回収ユニット4と陸上植物生産ユニット2との併用は、相乗効果を奏する。
上記分離回収ユニット4により回収されたグリセリンは、例えば、化粧品、医薬品等の原料としても、燃料としても、好適に利用することができる。また、下記のグリセリン利用ユニット5の原料として用いることができるので、分離回収ユニット4とグリセリン利用ユニット5とは、よくマッチングしていて相乗効果を発揮する。
上記分離回収ユニット4により回収された油脂は、例えば、食料用油、飼料用油、燃料油等に利用することができる。
上記分離回収ユニット4において、上記有価物回収後の微細藻類には良質なタンパク質が含まれているので、例えば、飼料、醗酵原料等として利用することができる。また、下記海産動物養殖ユニット6において、海産動物の餌として利用することができるので、利用することが好ましい。
<グリセリン利用ユニット>
上記グリセリン利用ユニット5では、上記分離回収ユニット4で得られたグリセリンを香粧品原料や食用として利用する及び/又は炭素(C)源として醗酵させて、アミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、炭素数6以下のアルコール、油脂、燃料、及び/又は、醗酵残渣を得る。
再生可能エネルギー利用分野においては、従来技術では世界的に炭素(C)源が不足しており、例えばサトウキビ等から抽出した糖蜜から砂糖を結晶させたあとに残る廃糖蜜の量では、例えばバイオエタノール(エタノール工業)成立のためには足りず、産業として実現していない。本発明の再生可能エネルギー利用システムでは、上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3とグリセリン利用ユニット5を組み合わせることで、上記分離回収ユニット4で得られたグリセリンを炭素(C)源として有効活用できる。
上記グリセリンは、グリセリンを資化する油脂酵母による醗酵によって、油脂を得ることができる。該油脂は、燃料、エネルギー源等として利用することができる。
上記グリセリンは、酵素醗酵によって、アミノ酸、ペプチド、タンパク質等を得ることができる。アミノ酸、ペプチド、タンパク質等は、食品、医薬品、化粧品等の原料として用いることができる。
上記炭素数6以下のアルコールは、例えば、エタノール、ブタノール等が挙げられる。該炭素数6以下のアルコールは、燃料、各種化学品の原料等に利用することができる。
また、上記グリセリンを燃焼させることによって、該グリセリン自体を熱エネルギー(燃料)として利用することができる。
また、上記グリセリンは、例えば、プロパンジオール等に変換して化学品原料として用いる、バイオリファイナリー技術での原料として用いることができる。
上記グリセリン利用ユニット5において、醗酵により得られる醗酵残渣は、窒素(N)源やリン(P)源として、上記陸上植物生産ユニット2や高度好塩性微細藻類培養ユニット3で再利用することができる。
グリセリン利用ユニット5においては、窒素(N)とリン(P)は、「グリセリンを資化する油脂酵母」の餌として、外部(限定はされないが例えば、窒素(N)は鉱物、ペプトン等として、リン(P)は鉱物、下水等)から供給せざるを得ない。しかし、グリセリン利用ユニット5の該醗酵残渣中に残存する窒素(N)とリン(P)は、上記陸上植物生産ユニット2や高度好塩性微細藻類培養ユニット3で有効に再利用することができる。
世界的に窒素源とリン源は不足している。本発明の再生可能エネルギー利用システムでは、窒素(N)源とリン(P)源は、一部不足分は外部から供給せざるを得ないが、それらが本発明の複数のユニットの組み合わせで無駄になることはない。
また、後記する「シアノバクテリアを利用する窒素固定ユニットF」で窒素(N)を固定すれば、不足分の窒素(N)源を大気から補強することができ、更に組み合わせ効果(相乗効果)を発揮するので好ましい。
また、醗酵残渣からメタンガスを発生させることにより、該メタンガスを燃料として用いることができる。
<その他のユニット>
本発明の再生可能エネルギー利用システムは、上記ユニット(1)ないし(5)に加えて、「その他のユニット」を有していることが好ましい。「その他のユニット」としては、以下のユニット(6)や(A)〜(F)、海洋深層水からレアメタルを回収するレアメタル回収ユニット等が挙げられる。該再生可能エネルギー利用システムは、上記ユニット(1)ないし(5)に加えて、更に、1つの「その他のユニット」を有していてもよいし、2つ以上の「その他のユニット」を有していてもよい。
「その他のユニット」を有していることにより、上記ユニット(1)ないし(5)を含む各ユニットで得られた副産物・残渣・エネルギー等を余すことなく、他のユニットで有効利用することができ易くなり、複数のユニットが相乗的に作用して、更にシステム全体として経済収支を黒字にし易くできる。
(6)飼料・餌料用微細藻類を餌として海洋深層水で海産動物を養殖する海産動物養殖ユニット
(A)海洋深層水で上記飼料・餌料用微細藻類を培養する飼料・餌料用微細藻類培養ユニット
(B)上記海産動物養殖ユニット6で得た養殖排水を肥料として海藻を生産する海藻生産ユニット
(C)上記海藻生産ユニットBで生産した海藻中のマンニトールを利用して水素を得る水素生産ユニット
(D)熱源として太陽熱を用いて、及び/又は、冷源として海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする発電ユニット
(E)海洋深層水を、太陽熱を利用して水を蒸発させて濃縮する海洋深層水濃縮ユニット
(F)シアノバクテリアを利用して大気中の窒素を固定する窒素固定ユニット
上記ユニット(A)ないし(F)の全てを有する場合の、再生可能エネルギー利用システムの概略の一例を図2に示す。なお、本発明の再生可能エネルギー利用システムは、図2の具体例には限定されない。
<海産動物養殖ユニット>
上記海産動物養殖ユニット6では、飼料・餌料用微細藻類を餌として海洋深層水で海産動物を養殖する。
海洋深層水は、資源を無駄なく利用する点等で、上記淡水製造ユニット1において、温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水を使用することが好ましい。
更に、海洋深層水を使用すれば、窒素(N)とリン(P)が豊富で、無菌(清浄)化が達成できているので、該飼料・餌料用微細藻類の増殖や該海産物の養殖にも好適である。
海洋深層水は、上記「温度差淡水化法を用いる淡水製造ユニット1」でも副産物(冷媒として使用した残り)として獲得でき、下記「海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする発電ユニットD」でも副産物(冷源として使用した残り)として獲得できるので、本発明は、システム全体として変動費(原料費)を低減できて経済収支が黒字にさせ易い。
上記海産動物は、例えば、アサリ、ハマグリ、ムール貝、牡蠣、ホタテ等の二枚貝;エビ、カニ等の甲殻類;魚類等が挙げられる。
上記海産動物養殖ユニット6では、1種又は2種以上の海産動物を養殖することができる。
上記飼料・餌料用微細藻類は、例えば、キートセロス(Chaetoceros)属、スケレトネマ(Skeletonema)属等の珪藻類;パプロバ(Pavlova)属、イソクリシス(Isochrysis)属等のハプト藻類;緑藻類;ナンノクロロプシス(Nannochlopsis)属等の真眼点藻類;等が挙げられる。餌料として用いられる;海洋深層水での培養に適している;等の点で、珪藻類が好ましく、キートセロス(Chaetoceros)属に属する微細藻類がより好ましい。
1種又は2種以上の飼料・餌料用微細藻類を餌として用いることができる。
該飼料・餌料用微細藻類は、飼料・餌料用微細藻類培養ユニットAから得ることができる。
<飼料・餌料用微細藻類培養ユニット>
上記飼料・餌料用微細藻類培養ユニットAでは、海洋深層水で上記飼料・餌料用微細藻類を培養する。
得られた飼料・餌料用微細藻類は、上記海産動物養殖ユニット6において、海産動物の餌として用いることができる。
飼料・餌料用微細藻類の具体例は、上述のとおりである。上記飼料・餌料用微細藻類培養ユニットAでは、1種又は2種以上の高度好塩性微細藻類を培養することができる。
餌料として用いられる;海洋深層水での培養に適している;等の点で、珪藻類が好ましく、キートセロス(Chaetoceros)属に属する微細藻類がより好ましい。
海洋深層水は、資源を無駄なく利用する点等で、上記淡水製造ユニット1において、温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水を使用することが好ましい。
更に、海洋深層水を使用すれば、窒素(N)とリン(P)が豊富で、無菌(清浄)化が達成できているので、該飼料・餌料用微細藻類の増殖にも好適である。
海洋深層水は、上記「温度差淡水化法を用いる淡水製造ユニット1」でも副産物(冷媒として使用した残り)として獲得でき、下記「海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする発電ユニットD」でも副産物(冷源として使用した残り)として獲得できるので、本発明は、システム全体として変動費(原料費)を低減できて、経済収支が黒字にさせ易い。
<海藻生産ユニット>
上記海藻生産ユニットBでは、上記海産動物養殖ユニット6で得た養殖排水を肥料として海藻を生産する。
該養殖排水中には、上記海産動物養殖ユニット6で使用した海洋深層水中の窒素(N)とリン(P)が養殖排水中に残存するので、窒素(N)源とリン(P)源として、該海藻の肥料に利用することができる。
上記海藻は、例えば、コンブ、ノコギリモク、クビレズタ、ヤナギモク、アラメ、ツルアラメ、ワカメ、アオモク、ヒジキ等が挙げられる。下記マンニトールを多く回収できる点で、所謂大型海藻が好ましく、具体的には、コンブ、ノコギリモク、クビレズタ、アラメ、ワカメ等が特に好ましい。
上記海藻生産ユニットBでは、1種又は2種以上の海藻を生産することができる。
また、上記海藻生産ユニットBでは、海藻が窒素(N)やリン(P)を肥料として吸収することにより、上記養殖排水は浄化され、例えば、再び、海産動物養殖ユニット6で好適に使用することができる。
<水素生産ユニット>
上記水素生産ユニットCでは、上記海藻生産ユニットBで生産した海藻中のマンニトールを利用して水素を得る。得られた水素は、燃料等として使用することができる。
海藻からマンニトールを得る方法や、該マンニトールから水素を得る方法は、公知の方法を用いることができる。
<発電ユニット>
上記発電ユニットDでは、熱源として太陽熱を用いて、及び/又は、冷源として海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする。
熱源として太陽熱を用いて、及び/又は、冷源として海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする方法は、熱源としては、太陽熱を利用したソーラー吸収冷温水機等の公知の手段を用いることができる。
上記発電ユニットDで得られた電力は、例えば、陸上植物生産ユニット2や、海産動物養殖ユニット6、海藻生産ユニットB等で用いることができる。
<海洋深層水濃縮ユニット>
上記海洋深層水濃縮ユニットEでは、海洋深層水を、太陽熱を利用して水を蒸発させて濃縮する。
得られた濃縮海洋深層水は、上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3において、高度好塩性微細藻類の培養に用いることができる。
上記海洋深層水濃縮ユニットEで、海洋深層水の塩化ナトリウム濃度を、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは15〜20質量%に濃縮することが好ましい。
上記範囲内に濃縮すると、雑菌等のコンタミネーションがない海洋深層水において、更にコンタミネーションが起こり難くなり、上記高度好塩性微細藻類を効率よく培養することができる。
また、上記高度好塩性微細藻類は、塩化ナトリウム濃度が高くても培養でき、16〜17質量%の塩化ナトリウム濃度が最適とされているので、上記範囲内に海水を濃縮することが好ましい。
<窒素固定ユニット>
上記窒素固定ユニットFでは、シアノバクテリアを利用して大気中の窒素を固定する。
得られた窒素(N)源は、上記陸上植物生産ユニット2での陸上植物の生産や、高度好塩性微細藻類培養ユニット3での高度好塩性微細藻類の培養に用いることができる。
海洋深層水は、上記海洋深層水濃縮ユニットEで、高度好塩性微細藻類の培養に最適な16〜17質量%の塩化ナトリウム濃度になるまで濃縮しても、該微細藻類の培養に必要な窒素(N)濃度、リン(P)濃度には達しない(必要量の1/3程度)。そのため、窒素(N)源を、窒素固定ユニットFで確保して、前記高度好塩性微細藻類培養ユニット3に供給することは、本発明のシステムとして好ましい。
上記シアノバクテリアとして、例えば、アナベナ(Anabaena)属、ノストック(Nostoc)属、カロトリックス(Calothrix)属、トリコデスミウム(Trichodesmium)属、プレクトネマ(Plectonema)属等が挙げられ、アナベナ(Anabaena)属又はノストック(Nostoc)属を用いることが好ましい。
上記窒素固定ユニットFでは、1種又は2種以上のシアノバクテリアを使用することができる。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムにおいては、上記グリセリン利用ユニット5において、醗酵残渣を、上記陸上植物生産ユニット2及び/又は上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3において、窒素(N)源及びリン(P)源として用いることが、不足している窒素(N)源及びリン(P)源を有効利用する点から好ましい。
<レアメタル回収ユニット>
上記レアメタル回収ユニットでは、海洋深層水からレアメタルを回収する。
海洋深層水は、本発明の再生可能エネルギー利用システムで発生する産物を余すことなく利用する点等で、上記淡水製造ユニット1において、温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水を使用することが好ましい。
上記レアメタルとしては、例えば、リチウム、ルビジウム、ストロンチウム、モリブデン等が挙げられる。
海洋深層水からレアメタルを回収する方法は、それぞれの金属に応じて公知の方法を用いることができる。
上記レアメタルを回収した海洋深層水は、上記海産動物養殖ユニット6における海産動物の養殖や、上記飼料・餌料用微細藻類培養ユニットAにおける飼料・餌料用微細藻類の培養に用いることができる。
<再生可能エネルギーシステムの設置場所>
本発明の再生可能エネルギーシステムは、太陽光エネルギーを十分確保できる地域に設置されることが好ましい。具体的には、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い場所である中緯度地域に設置されることが好ましい。
また、本発明の再生可能エネルギー利用システムは、海洋性微細藻類を培養する上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3や、海洋深層水で海産動物を養殖する上記海産動物養殖ユニット6を有しているので、海の近くに設置されることが好ましい。
また、前記陸上植物生産ユニット2の箇所で記載した地域に設置されることが特に好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<ユニット1、2>
淡水製造ユニット1及び陸上植物生産ユニット2は、何れも公知の方法で実施できる。
実施例2
<ユニット3>
[濃縮海水を用いたデュナリエラ属の培養]
月島機械株式会社から譲渡された濃縮海水(濃縮された海洋表層水)を用いて、デュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類であるデュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)の培養を行った。表1に、該濃縮海水の分析結果を示す。
Figure 2020005537
表1の結果より、Si(ケイ素)を除くと、海洋深層水の利用を想定した場合、該濃縮海水は、太平洋の水深150m程度の海水を2倍濃縮したものに該当する。
次に、以下の4条件においてデュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類であるデュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)の培養を行った。
条件1:培養液として、人工海水にNaClを加えて塩濃度を7質量%とし、N(窒素)7.8mgとP(リン)2.4mgを加えたものを使用。
条件2:培養液として、上記濃縮海水にN(窒素)7.8mgとP(リン)2.4mgを加えたものを使用。
条件3:培養液として、上記濃縮海水にN(窒素)7.8mgとP(リン)2.4mgを加え、更にCHCOONa(酢酸ナトリウム)を加えたものを使用。
条件4:培養液として、上記濃縮海水を使用。
条件1〜3は、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)100mLに対して、培養液300mLを加えて培養を行った。条件4に関しては、デュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)75mLに対して、培養液225mLを加えて培養を行った。何れの条件においても、4倍希釈になるように調整した。
また、各条件とも、温度25℃、照度5500Lux下で培養を行った。
培養結果を図3に示す。図1中、縦軸は細胞数(×10細胞数/mL)、横軸は培養日数(日)を示す。また、「1.ASW+NaCl」は条件1、「2.CSW」は条件2、「3.CSW+CHCOONa」は条件3、「4.Only CSW」は条件4の結果を示す。
図3の結果、条件1(塩濃度7質量%の人工海水)や条件4(上記濃縮海水のみ)でも、細胞数が培養初日に比べて増え、塩濃度が高い状態でもデュナリエラ属に属する微細藻類が培養できることがわかった。
また、条件4(濃縮海水のみ)と比べて、条件2(濃縮海水+N+P)の方が、細胞数が大きく増加した。この結果から、培養過程で窒素(N)源やリン(P)源は、更に加えた方がよいことがわかった。
以上から、海洋深層水が、温度25℃で、デュナリエラ(Dunaliella)属に属する微細藻類の培養に適していることがわかった。すなわち、温度25℃、照度5500Lux下で、大気中の炭素(C)を取り込んで、グリセリン等に変換して、エネルギー密度を好適に高められることが分かった。
なお、条件3(濃縮海水+N+P+CHCOONa)では、培養9日〜18日は、条件2(濃縮海水+N+P)より細胞数が増加していた。この結果から、酢酸ナトリウムを炭素(C)源として利用していることも示唆された。
実施例3
次に、培養途中で、リン(P)源や炭素(C)源を加えることによる細胞数の変化を観察した。条件1〜3の培養液を用い、4倍希釈になるように調整し、5.56Lの条件で培養を行った。培養を始めてから1週間後に、リン(P)、4週間後にCHCOONa、5週間後にリン(P)を加えた。
培養結果を図4に示す。図4中、縦軸は細胞数(×10細胞数/mL)、横軸は培養日数(日)を示す。また、B2は条件1、B4は条件2、B7は条件3の結果を示す。
図4の結果、条件1〜3の何れの培養液を用いたときでも、培養途中でリン(P)源や炭素(C)源を加えることにより、細胞数が右肩上がりで増加することが分かった。
実施例4
<ユニット4>
[海洋深層水で培養したデュナリエラ属に属する微細藻類からの有効成分の測定]
海洋深層水で培養したデュナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)から抽出される有効成分の測定を行った。4倍希釈になるように調整後、温度25℃、照度5500Lux下で培養を行った。
細胞数が約5×10個/mLになるまで培養後、公知の方法により、有効成分を回収し、定量した。定量結果を表2に示す。
Figure 2020005537
表2の結果、海洋深層水で培養したデュナリエラ属に属する微細藻類から有効成分を回収することができ、該有効成分を利用することができることが示唆された。
実施例5
<ユニット5>
グリセリン利用ユニット5は、何れも公知の方法で実施できる。
グリセリン利用ユニット5における醗酵残渣は、上記陸上植物生産ユニット2や上記高度好塩性微細藻類培養ユニット3において、窒素(N)源及びリン(P)源として用いることができる。
ユニット1〜5を組み合わせれば、本発明の前記効果を発揮する。
実施例6
<ユニット6、A>
海産動物養殖ユニット6及び飼料・餌料微細藻類培養ユニットAは、何れも公知の方法で実施できる。
ユニット1〜5の組み合わせに、更に、ユニット6、Aの何れか1ユニット以上を組み合わせれば、本発明の前記効果を更に発揮する。
実施例7
<ユニットB>
[養殖排水を用いた海藻の栽培]
海産動物養殖ユニット6で得た養殖排水を肥料として海藻を生産した。すなわち、牡蠣の飼育排水を用いて、海藻であるクビレズタ(Caulerpa lentillifera)の栽培を行った。1週間に1度、50質量%の換水を行った。
その結果、海産動物養殖ユニット6で得た養殖排水を用いれば、クビレズタを長期間にわたって栽培できることがわかった。
実施例8
<ユニットC、D、E、F>
ユニットC、D、E、Fは、何れも公知の方法で実施できる。
ユニット1〜5の組み合わせに、更に、ユニットC、D、E、Fの何れか1ユニット以上を組み合わせれば、本発明の前記効果を更に発揮する。
実施例9
ユニット(1)ないし(5)の全てのユニットを有する本発明における各ユニットのコストを、ユニット(1)ないし(5)を単独で実施したときのコストと比較したものを表3に示す。
表3中に、コストの具体的数値(円)は記載しなかったが、組み合わせたときと組み合わせなかったときの比較はできる。
Figure 2020005537
表3から分かるように、淡水製造ユニット(ユニット(1))では、組み合わせると、燃料代(N)が不要となる。
陸上植物生産ユニット(ユニット(2))では、組み合わせると、温度調整コスト(E)が30%となり、肥料代(F)が50%になる。
高度好塩性微細藻類培養ユニット(ユニット(3))では、組み合わせると、海洋深層水の昇温や濃縮(α)が不要になると共に、昇温時間や昇温設備(α)が不要となる
また、表3には示さなかったが、分離回収ユニット(ユニット(4))で分離回収したカロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、及び/又は、油脂が、他のユニット(図2等参照)や別途用途で有効利用できるので、コスト的に当然に有利になる。
また、表3には示さなかったが、グリセリン利用ユニット(ユニット(5))で、グリセリンを醗酵させて得られた、アミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、炭素数6以下のアルコール、油脂、燃料、及び/又は、醗酵残渣が、他のユニット(図2等参照)や別途用途で有効利用できるので、コスト的に有利になる。
このように、ユニット(1)ないし(5)の全てを有することによって、意外にも相乗的にコスト的に極めて有利になるので、ユニット(1)、(2)、(3)、(4)、(5)は極めてよくマッチングしていることが分かった。ユニット(1)ないし(5)は、あるユニットの副産物が、丁度他のユニットで利用できるようになっているので、特異的にコストダウンが図れる。
本発明では、各ユニットが極めて大規模である。そのため、1つのユニットでの副産物を「場所的に集中された本発明のシステム」では、副産物を有効利用することが、極めて大きなコストダウンに結び付く。
更に、これらユニットに、ユニット(6)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び/又は(F)を組み合わせると、更にコスト的に有利になる。
未利用資源である微細藻類と3つの特徴(すなわち、低温性、清浄性、高栄養塩類性)を持つ海洋深層水とを組み合わせた相乗効果が発揮されると、沙漠地域でインスタント化石燃料と大量で安価な淡水を入手できるようになり、更に、醗酵産業や化成品・医薬品産業が集積してくる。これまで沙漠に無駄に降り注いでいたエネルギーをインスタント化石燃料に変換させ、同時に淡水が生み出されることになるので、植物工場や陸上養殖産業を興すことが可能となる。
以上のようなことが実現されれば、これまでなし得なかった「沙漠の緑地化」が実現し、二酸化炭素を削減しながら産業活動が行える持続可能社会のモデルとなる。また、これまで不毛とされていた沙漠に、雇用と産業がもたらされることになり、貧富の格差が是正され、例えば中東地域の安定化に一石を投じることができる。
1 淡水製造ユニット
2 陸上植物生産ユニット
3 高度好塩性微細藻類培養ユニット
4 分離回収ユニット
5 グリセリン利用ユニット
6 海産動物養殖ユニット
A 飼料・餌料用微細藻類培養ユニット
B 海藻生産ユニット
C 水素生産ユニット
D 発電ユニット
E 海洋深層水濃縮ユニット
F 窒素固定ユニット

Claims (9)

  1. 以下のユニット(1)ないし(5)の全てを有することを特徴とする再生可能エネルギー利用システム。
    (1)温度差淡水化法を用いて海水から淡水を製造する淡水製造ユニット;
    (2)淡水製造ユニットで得られた淡水で陸上植物を生産する陸上植物生産ユニット;
    (3)温度差淡水化法の冷媒として用いることによって昇温させた海洋深層水、又は、温度差淡水化法で淡水を取り除くことによって濃縮させた海水で高度好塩性微細藻類を培養する高度好塩性微細藻類培養ユニット;
    (4)該高度好塩性微細藻類から、カロテン類、グルタチオン、グリセリン、タンパク質、炭水化物、及び/又は、油脂を分離回収する分離回収ユニット;及び、
    (5)該グリセリンを炭素(C)源として醗酵させて、アミノ酸、ペプチド若しくはタンパク質、炭素数6以下のアルコール、油脂、燃料、及び/又は、醗酵残渣を得るグリセリン利用ユニット
  2. 更に、以下のユニット(6)を有する請求項1に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (6)飼料・餌料用微細藻類を餌として海洋深層水で海産動物を養殖する海産動物養殖ユニット
  3. 更に、以下のユニット(A)を有する請求項2に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (A)海洋深層水で上記飼料・餌料用微細藻類を培養する飼料・餌料用微細藻類培養ユニット
  4. 更に、以下のユニット(B)を有する請求項2又は請求項3に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (B)上記海産動物養殖ユニット(6)で得た養殖排水を肥料として海藻を生産する海藻生産ユニット
  5. 更に、以下のユニット(C)を有する請求項4に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (C)上記海藻生産ユニット(B)で生産した海藻中のマンニトールを利用して水素を得る水素生産ユニット
  6. 更に、以下のユニット(D)を有する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (D)熱源として太陽熱を用いて、及び/又は、冷源として海洋深層水を用いて冷熱温度差発電をする発電ユニット
  7. 更に、以下のユニット(E)を有し、濃縮された海洋深層水を窒素(N)源及びリン(P)源として用いて、上記高度好塩性微細藻類培養ユニット(3)において、高度好塩性微細藻類を培養する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (E)海洋深層水を、太陽熱を利用して水を蒸発させて濃縮する海洋深層水濃縮ユニット
  8. 更に、以下のユニット(F)を有し、得られたものを窒素(N)源として用いて、上記高度好塩性微細藻類培養ユニット(3)において、高度好塩性微細藻類を培養する請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の再生可能エネルギー利用システム。
    (F)シアノバクテリアを利用して大気中の窒素を固定する窒素固定ユニット
  9. 上記グリセリン利用ユニット(5)で得られた醗酵残渣を、上記陸上植物生産ユニット(2)及び/又は上記高度好塩性微細藻類培養ユニット(3)において、窒素(N)源及びリン(P)源として用いる請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の再生可能エネルギー利用システム。

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