JP2020006822A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 フィルム層の付加により操縦安定性を改善すると共に、走行時におけるフィルム層の剥がれを防止することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】 タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えた空気入りタイヤにおいて、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層11がタイヤ内面に配設され、フィルム層11のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域に複数の貫通孔13がタイヤ周方向に沿って形成されている。【選択図】 図2

Description

本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層をタイヤ内面に備えた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、フィルム層の付加により操縦安定性を改善すると共に、走行時におけるフィルム層の剥がれを防止することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、カーカス層の内側にブチルゴムからなる空気透過防止層を配置することが一般的であるが、近年ではカーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物のフィルムからなる空気透過防止層を配置することが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような熱可塑性樹脂材料のフィルムからなる空気透過防止層はタイヤの軽量化に大きく寄与する。
ところで、モータースポーツ用の空気入りタイヤでは、長期間にわたる空気保持能力が要求されないため、軽量化を目的としてブチルゴムからなる空気透過防止層を無くすことが行われているが、この場合、タイヤ加硫時にタイヤ内面に対するブラダーの滑りが悪くなり、カーカスラインが設計通りに形成されないというデメリットがある。そこで、モータースポーツ用の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物のフィルム層を配置することにより、軽量化を達成しながら、タイヤ加硫時におけるタイヤ内面に対するブラダーの滑りを良好にすることが試みられている。また、フィルム層はタイヤ剛性の増大に寄与するため、操縦安定性の改善効果が期待される。
しかしながら、特にモータースポーツ用の空気入りタイヤにおいては、走行時にタイヤ自体が高温となるため、フィルム層とカーカス層との間に残留エアが存在していると、エア溜りが膨張し、走行中にタイヤ内面からフィルム層が剥がれてしまうという不都合がある。
特開2007−30636号公報 特開2007−50614号公報 特開2007−99146号公報
本発明の目的は、フィルム層の付加により操縦安定性を改善すると共に、走行時におけるフィルム層の剥がれを防止することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層がタイヤ内面に配設され、前記フィルム層のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域に複数の貫通孔がタイヤ周方向に沿って形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層がタイヤ内面に配設されているので、タイヤ加硫時におけるタイヤ内面に対するブラダーの滑りを良好にすると共に、フィルム層の付加によりタイヤ剛性を増大させて操縦安定性を改善することができる。しかも、フィルム層のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域には複数の貫通孔がタイヤ周方向に沿って形成されているため、フィルム層とカーカス層との間に残留するエアがタイヤ成形時に貫通孔を介してタイヤ空洞部側に排出される。そのため、走行中にタイヤ自体が高温になった際に、フィルム層とカーカス層との間でエア溜りが膨張することを回避し、走行時におけるフィルム層の剥がれを効果的に防止することができる。また、フィルム層は空気透過防止層として機能するものではなく、タイヤ加硫時におけるブラダーの滑りを良好にすると共に補強効果を得ることを目的として配設されるものであるため、フィルム層に多数の貫通孔が形成されていても何ら問題はない。
本発明において、貫通孔の各々の最大寸法は0.1mm〜1.0mmであることが好ましい。貫通孔の各々の最大寸法を上記範囲内に設定することにより、フィルム層の剥がれを効果的に防止しながら、タイヤ剛性を十分に確保することが可能になる。
また、貫通孔が形成される少なくとも一部の領域における貫通孔の100cm2当たりの配置数は1個〜400個であることが好ましい。貫通孔の100cm2当たりの配置数を上記範囲内に設定することにより、フィルム層の剥がれを効果的に防止しながら、タイヤ剛性を十分に確保することが可能になる。
本発明の実施形態からなるモータースポーツ用の空気入りタイヤを示す子午線断面図である。 図1の空気入りタイヤの内面を示す側面図である。 図1のA部を拡大して示す断面図である。 図2のB部を拡大して示す平面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなるモータースポーツ用の空気入りタイヤを示し、図2〜図4はその要部を示すものである。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。カーカス層4において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば75°〜90°の範囲に設定されている。カーカス層4の補強コードとしては、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等からなる有機繊維コードが好ましく使用される。カーカス層4はビードコア5を境とする本体部4aと巻き上げ部4bを有している。
各ビード部3において、ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部4aと巻き上げ部4bとで挟み込まれている。このビード部3には、タイヤ周方向に対して傾斜する有機繊維コードを含む有機繊維補強層7がビードコア5及びビードフィラー6を包み込むように埋設されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層8が埋設されている。これらベルト層8はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層8において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層8の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層8の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層9が配置されている。ベルトカバー層9の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
上記空気入りタイヤにおいて、カーカス層4の内側には、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなる補強用のフィルム層11と、該フィルム層11をカーカス層4に対して接着するためのタイゴム層12とが積層されてなるインナーライナー層10(図3参照)が配置されている。
そして、図2〜図4に示すように、フィルム層11のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域に複数の貫通孔13がタイヤ周方向に沿って形成されている。ここで言うタイヤ径方向とは、タイヤ子午線方向を意味する。貫通孔13は、フィルム層11のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域に形成されることが必要であるが、フィルム層11の少なくともショルダー領域Sに形成されることが好ましく、フィルム層11の全域に形成されることが更に好ましい。ショルダー領域Sは加硫時にブラダーがタイヤ内面に対して最後に接触する領域であるためエアが残留し易い。そのため、貫通孔13をフィルム層11の少なくともショルダー領域Sに配置することにより、フィルム層11の剥がれを防止する効果を有効に発揮することができる。なお、図3では貫通孔13が空間として描写されているが、貫通孔13の内部にタイゴム層12が充填された状態になっていても良い。
上述した空気入りタイヤでは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物からなる補強用のフィルム層11がタイヤ内面に配設されているので、タイヤ質量の大幅な増大を招くことなく、タイヤ加硫時におけるタイヤ内面に対するブラダーの滑りを良好にすると共に、フィルム層11の付加によりタイヤ剛性を増大させて操縦安定性を改善することができる。
しかも、フィルム層11のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域には複数の貫通孔13がタイヤ周方向に沿って形成されているため、フィルム層11とカーカス層4との間に残留するエアがタイヤ成形時に貫通孔13を介してタイヤ空洞部側に排出される。そのため、走行中にタイヤ自体が高温になった際に、フィルム層11とカーカス層4との間でエア溜りが膨張することを回避し、走行時におけるフィルム層11の剥がれを効果的に防止することができる。特に、モータースポーツ用の空気入りタイヤでは走行時に高温になるため、その発熱に起因するフィルム層11の剥がれを防止することは有効である。
また、モータースポーツ用の空気入りタイヤにおいて、フィルム層11は空気透過防止層として機能するものではなく、タイヤ加硫時におけるブラダーの滑りを良好にすると共に補強効果を得ることを目的として配設されるものであるため、フィルム層11に多数の貫通孔13が形成されていても何ら問題はない。
上記空気入りタイヤにおいて、貫通孔13の各々の最大寸法Dは0.1mm〜1.0mmであると良い。貫通孔13の各々の最大寸法Dを上記範囲内に設定することにより、フィルム層11の剥がれを効果的に防止しながら、タイヤ剛性を十分に確保することが可能になる。貫通孔13の最大寸法Dが0.1mmよりも小さいとエア抜けが悪くなり、逆に1.0mmよりも大きいとタイヤ剛性が低下する。貫通孔13の形状は特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、長円形、矩形、多角形等とすることができる。貫通孔13が円形である場合、最大寸法Dは直径である。貫通孔13が楕円形や長円形である場合、最大寸法Dは長径である。また、貫通孔13は例えばタイヤ成形工程以前の材料段階においてフィルム層11に対してプリッキング加工を施すことにより、フィルム層11の所望の領域に形成することができる。
また、貫通孔13が形成される少なくとも一部の領域における貫通孔13の100cm2当たりの配置数は1個〜400個であると良い。貫通孔13の100cm2当たりの配置数を上記範囲内に設定することにより、フィルム層11の剥がれを効果的に防止しながら、タイヤ剛性を十分に確保することが可能になる。貫通孔13の100cm2当たりの配置数が1個よりも少ないとエア抜けが悪くなり、逆に400個よりも多いとタイヤ剛性が低下する。
上述した実施形態では、モータースポーツ用の空気入りタイヤについて説明したが、本発明はモータースポーツ以外の用途の空気入りタイヤにも適用することが可能である。モータースポーツ以外の用途の空気入りタイヤでは、通常、長期間にわたる空気保持能力が要求されるが、貫通孔13を有するフィルム層11は空気透過防止層として十分に機能しない。そのため、このような空気入りタイヤは補強用のフィルム層11の他にカーカス層4に沿って延在する空気透過防止層を備えることが必要である。
以下、本発明で使用されるフィルム層11について説明する。フィルム層11は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物から構成することができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
本発明で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性エラストマー組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比90/10〜15/85である。
本発明において、フィルムを構成する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物には、相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を任意に配合することもできる。
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、タイヤ構成部材として十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物のJIS K7100により定められるところの標準雰囲気中におけるヤング率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜500MPa、より好ましくは50〜500MPaにするとよい。
上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物はシート又はフィルムに成形して単体で用いることが可能であるが、隣接するゴムとの接着性を高めるために接着層を積層しても良い。この接着層を構成する接着用ポリマーの具体例としては、分子量100万以上、好ましくは300万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそれらの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレン(PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプロピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物、ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイン酸変性物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。これらは常法に従って例えば樹脂用押出機によって押し出してシート状又はフィルム状に成形することができる。接着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm〜150μmが好ましい。
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えたモータースポーツ用の空気入りタイヤにおいて、熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなる補強用のフィルム層をタイヤ内面に配設し、フィルム層の全域に複数の貫通孔を形成し、貫通孔の最大寸法D、貫通孔の100cm2当たりの配置数を表1及び表2のように種々異ならせた実施例1〜13のタイヤを作製した。なお、タイヤサイズはフロント用を330/710R18とし、リア用を330/710R17とした。
比較のため、フィルム層の替わりに貫通孔を持たないブチルゴム層をタイヤ内面に配置したこと以外は実施例1〜13と同じ構造を有する従来例1のタイヤと、貫通孔を持たないフィルム層をタイヤ内面に配置したこと以外は実施例1〜13と同じ構造を有する従来例2のタイヤを用意した。
これら試験タイヤについて、以下の評価方法により、タイヤ重量、操縦安定性、走行タイム、耐剥がれ性を評価し、その結果を表1及び表2に併せて示した。
タイヤ重量:
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数値にて示した。この指数値が大きいほど軽量であることを意味する。
操縦安定性:
各試験タイヤを標準リムに組み付けて空気圧を130kPaとして試験車両に装着し、サーキットにおいてテストドライバーによる官能評価を実施した。評価結果は、従来例1を100とする指数値にて示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
走行タイム:
各試験タイヤを標準リムに組み付けて空気圧を130kPaとして試験車両に装着し、サーキットにおいてテストドライバーによる試験走行を実施し、7ラップのうちの最初と最後を除いた5ラップの走行タイムを計測した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数値にて示した。この指数値が大きいほど走行タイムが短いことを意味する。
耐剥がれ性:
各試験タイヤを標準リムに組み付けて空気圧を130kPaとして試験車両に装着し、平均速度150km/hで50分間走行した後、フィルム層が剥がれた部分の面積を測定した。耐剥がれ性の評価は、フィルム層を備えた従来例2及び実施例1〜13についてのみ行った。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例2を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐剥がれ性が優れていることを意味する。
Figure 2020006822
Figure 2020006822
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜13のタイヤは、従来例1との対比において、軽量であると共に、操縦安定性に優れ、サーキットの走行タイムが短縮されていた。また、実施例1〜13のタイヤは、従来例2との対比において、走行時におけるフィルム層の剥がれを防止することができた。特に、実施例1〜5は良好な結果を呈するものであった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 有機繊維補強層
8 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 インナーライナー層
11 フィルム層
12 タイゴム層
13 貫通孔

Claims (3)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーがブレンドされた熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層がタイヤ内面に配設され、前記フィルム層のタイヤ径方向の少なくとも一部の領域に複数の貫通孔がタイヤ周方向に沿って形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記貫通孔の各々の最大寸法が0.1mm〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記貫通孔が形成される少なくとも一部の領域における前記貫通孔の100cm2当たりの配置数が1個〜400個であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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