JP2020007574A - 無機有機複合膜、及び、電気化学素子用隔膜 - Google Patents

無機有機複合膜、及び、電気化学素子用隔膜 Download PDF

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Abstract

【課題】膜強度が高く、可撓性に優れ、アルカリ水電解用隔膜、電池セパレータ等の電気化学素子用隔膜として用いることのできる無機有機複合膜を提供する。【解決手段】有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む膜であって、該有機層はポリスルホン等のポリマーであり、更に金属酸化物、金属水酸化物等の無機化合物粒子を含み、該支持体は、平均繊維径が3〜20μmである脂肪族炭化水素系ポリマー及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種を含む不織布であることを特徴とする無機有機複合膜。【選択図】なし

Description

本発明は、無機有機複合膜、及び、電気化学素子用隔膜に関する。より詳しくは、膜強度が高く、可撓性に優れた無機有機複合膜、及び、電気化学素子用隔膜に関する。
有機層と支持体とからなる積層膜は、各種用途への適用が種々検討され、各用途で要求される特性に優れた積層膜の開発がこれまでになされている。このような積層膜の用途の一つとして、アルカリ水電解用隔膜、電池セパレータ等の電気化学素子用隔膜が知られている。
例えば、アルカリ水電解用隔膜は、水素の工業的な製造方法の一つである水の電気分解に使用される膜であり、電解槽において陽極室と陰極室を隔てるために使用される。
水の電気分解は、電子(又はイオン)の移動により行われる。そのため、電気分解を効率良く行うために、アルカリ水電解用隔膜には、高いイオン透過性が必要とされる。また、陽極室で発生した酸素と、陰極室で発生した水素とを遮断し得るガスバリア性が必要とされる。更に、水の電気分解は、30%程度の高濃度のアルカリ水を使用して、80〜90℃で行われるので、耐高温性や耐アルカリ性も必要とされる。
また、電池セパレータは、亜鉛二次電池等の電池において正極と負極を絶縁する目的で使用される膜であり、正極と負極を隔離し、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保するために使用される。電池セパレータでは、イオン伝導性に優れることが必要とされる。また、電池セパレータでは、電池の充放電に伴ってデンドライトが成長し、これが短絡の原因となることがある。そのため、電池セパレータでは、デンドライトの生成を抑制し、短絡を防止できることが望まれる。
このような隔膜は、これまでに種々知られている。
例えば、特許文献1には、イオン透過膜と、上記イオン透過膜の片側または両側に配置された多孔性補強体とを備え、上記イオン透過膜が、中酸性イオン交換基、弱酸性イオン交換基、強塩基性イオン交換基、中塩基性イオン交換基又は弱塩基性イオン交換基を有するポリマーから構成され、上記多孔性補強体が、濃度30重量%の水酸化カリウム水溶液に対して、濡れ性を示す、アルカリ水電解用隔膜が記載されている。
また例えば、特許文献2には、平均単繊維繊度が0.1〜10dtexであって、捲縮数が2〜10山/25mmの熱可塑性繊維で構成されるアルカリ水電気分解隔膜用基材や、上記基材が不織布を含むアルカリ水電気分解隔膜用基材が記載されている。
特開2013−249509号公報 特開2016−89197号公報
しかしながら、このような従来の積層膜は、電気化学セルスタックに構築する際、あるいは実運転において、電極との接触や、様々な応力がかかることが想定され、非常に高い膜強度が要求されるが、その要求には未だ充分に応えられていない。また様々な使用態様に適用できるように、積層膜が高い可撓性を有することも望まれている。特にこのような積層膜をアルカリ水電解用隔膜や電池セパレータ等の電気化学素子用の用途に適用する場合、従来よりもより一層高い膜の強度と優れた可撓性の実現が望まれていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、膜強度が高く、可撓性に優れた無機有機複合膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリマーを含む有機層と支持体を有する膜について種々検討したところ、有機層が、ポリマーに加えて更に無機化合物粒子を含み、支持体として、平均繊維径が3〜20μmである不織布を使用することにより、上記有機層と上記支持体とを複合化させ、膜の強度を格段に向上させ、かつ可撓性にも優れた無機有機複合膜とすることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む膜であって、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とする無機有機複合膜である。
本発明はまた、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む膜であって、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とする電気化学素子用隔膜である。
上記不織布は、目付が20〜150g/mであることが好ましい。
上記不織布は、脂肪族炭化水素系ポリマー、及び、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記無機化合物粒子は、金属酸化物、金属水酸化物、及び層状複水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記有機ポリマーは、脂肪族炭化水素基含有ポリマー、芳香族炭化水素基含有ポリマー、及び共役ジエン系ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記芳香族炭化水素基含有ポリマーは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記共役ジエン系ポリマーは、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、及びイソブチレン−イソプレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、膜の強度が高く、可撓性に優れた無機有機複合膜を提供することができる。本発明の無機有機複合膜は、好ましくは電気化学素子用隔膜として用いることができ、より好ましくはアルカリ水電解用隔膜、又は電池セパレータとして用いることができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
1.無機有機複合膜
本発明の無機有機複合膜は、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含み、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とする。
本発明の無機有機複合膜は、上記の構成からなるため、優れた膜強度を有し、かつ可撓性にも優れる。
本発明の無機有機複合膜が、高い膜強度を有し、かつ可撓性にも優れるのは、有機層が無機化合物粒子を含み、特定範囲の平均繊維径を有する不織布を支持体として用いることで、繊維同士における絡み合いに加えて、有機層を形成するための材料が繊維表面を覆うことで、有機層と支持体とが好適に積層又は一体化することができるためと推測される。
本発明においては、支持体として、平均繊維径が3〜20μmである不織布を使用する。平均繊維径が上記の範囲内である不織布を使用すると、本発明の無機有機複合膜を形成する場合に、有機層形成材料が上記不織布に含浸し易く、有機層と支持体とが一体化した複合膜を調製することができ、膜強度を高めることができる。また、得られた複合膜は可撓性にも優れる。
上記平均繊維径が3μm未満であると、上記有機層形成材料が支持体に十分に含侵できず、その結果、有機層が十分に形成できず、優れた膜強度を有する無機有機複合膜を形成することができないおそれがある。上記平均繊維径が20μmを超えると、無機有機複合膜の可撓性が低くなるおそれがある。
上記不織布の平均繊維径は、膜強度を向上させる点で、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
上記平均繊維径は、レーザー顕微鏡の50倍率で不織布表面を観察し、得られた画像(レーザー顕微鏡像)において観察される30本の繊維について、それぞれの繊維の繊維径を測定し、各繊維の繊維径を平均(単純平均)することにより求めることができる。各繊維の繊維径は繊維径が均一であれば任意の1か所の測定値を採用してもよいが、任意の3ヶ所の測定値の平均値を各繊維の繊維径とすることが好ましい。なお、繊維径は、繊維の太さ方向の最短距離となる長さを意味する。なお、各繊維の繊維径を測定するにあたり、解析ソフト(Image−Pro Premier)を使用することもできる。
本発明でいう平均繊維径とは、典型的には上述した測定方法により得られる値であり、言い換えれば、不織布のレーザー顕微鏡像における、不織布を構成する繊維の径(太さ方向の長さ)の平均値である。
以下に、本発明の無機有機複合膜について、説明する。
本発明の無機有機複合膜は、有機層と支持体を含む。
<有機層>
上記有機層は、有機ポリマーを含み、更に無機化合物粒子を含む。上記有機層が有機ポリマーに加えて、更に無機化合物粒子を含み、後述する支持体と組み合わせることで、膜強度が高くなり、かつ、可撓性に優れた膜となる。
(有機ポリマー)
上記有機層に含まれる有機ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン等の脂肪族炭化水素基含有ポリマー;ポリスチレン等の芳香族炭化水素基含有ポリマー;アルキレングリコール等のエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコール等の水酸基含有ポリマー;ポリアクリルアミド等のアミド基含有ポリマー;ポリマレイミド等のイミド基含有ポリマー;(メタ)アクリル系ポリマー;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン原子含有ポリマー;アンモニウム塩含有ポリマー;ホスホニウム塩含有ポリマー;イオン交換性ポリマー;天然ゴム;共役ジエン系ポリマー;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)等の糖類;ポリエチレンイミン等のアミノ基含有ポリマー等のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記有機ポリマーは、無機化合物粒子のバインダーポリマーとして作用するだけでなく、支持体と複合化して複合膜の構造を制御することにより、膜強度や可撓性を制御するマトリクス成分として作用することが好ましい。このような観点から、上記有機ポリマーは、なかでも、脂肪族炭化水素基含有ポリマー、芳香族炭化水素基含有ポリマー、及び、共役ジエン系ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記脂肪族炭化水素基含有ポリマーとしては、脂肪族炭化水素基含有モノマー由来のモノマー単位を有するポリマーを挙げることができる。
上記脂肪族炭化水素基含有モノマーとしては、鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和炭化水素基を含むモノマーが挙げられ、好ましくは、鎖状若しくは分岐状の飽和炭化水素基を含むモノマーが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基含有モノマーとしては、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のオレフィン等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基含有ポリマーは、上記脂肪族炭化水素基含有モノマーの1種からなるホモポリマーであってもよし、2種以上からなるコポリマーであってもよい。
上記脂肪族炭化水素基含有ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系ポリマーが好ましく、ポリエチレン、ポリプロプレンがより好ましい。
上記芳香族炭化水素基含有ポリマーとしては、ベンゼン等の芳香族炭化水素基を有するモノマー単位を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。なかでも、膜強度をより一層高めることができる点で、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリスルホンがより好ましい。
上記共役ジエン系ポリマーとしては、共役ジエン系モノマー由来のモノマー単位を有するものであれば特に限定されないが、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位を有するものであることが好ましい。
上記共役ジエン系モノマーは、脂肪族共役ジエン系モノマーであることが好ましい。脂肪族共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン等が挙げられ、なかでも1,3−ブタジエンが好ましい。共役ジエン系モノマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記共役ジエン系ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の単独重合体であってもよく、共重合体であってもよいが、共重合体であることが好ましく、なかでも、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位を更に有する共重合体であることがより好ましい。
上記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−エトキシスチレン、m−エトキシスチレン、p−エトキシスチレン、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、o−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、o−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニルモノマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記共役ジエン系ポリマーは、脂肪族共役ジエン系モノマー由来のモノマー単位と、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位との質量比が、1/9以上であることが好ましく、2/8以上であることがより好ましく、3/7以上であることが更に好ましい。上記質量比は、9/1以下であることが好ましく、8/2以下であることがより好ましく、7/3以下であることが更に好ましい。
上記共役ジエン系ポリマーとしては、無機有機複合膜の膜強度及び可撓性をより一層向上させることができる点で、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、又はイソブチレン−イソプレン系共重合体が好ましい。これらは1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記共役ジエン系ポリマーは、脂肪族共役ジエン系モノマー由来のモノマー単位、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位以外の、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位を有していてもよい。
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩等の酸基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、イソプロピレングリコールジアクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート等の二官能ビニルモノマー;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコシシラン基含有ビニルモノマーを挙げることができる。これらは、1種のみ使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記共役ジエン系ポリマー100質量%中、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位の質量割合は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
上記有機ポリマーは、例えば、上述した有機ポリマーが含む構成単位を形成するモノマー成分を重合することにより製造することができる。重合は、公知の方法から適宜選択して行うとよい。
上記有機ポリマーの含有量は、本発明の無機有機複合膜100質量%に対し、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることが更に好ましい。また、上記有機ポリマーの含有量は、本発明の無機有機複合膜100質量%に対し、70質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
(無機化合物粒子)
上記無機化合物粒子としては、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を有する化合物からなる粒子が挙げられる。
周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。中でも、周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1つの元素が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素がより好ましい。更に好ましくは、Li、Mg、Ca、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、及び、Tlからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。
上記周期表の第1族〜第17族から選択される少なくとも1種の元素を有する化合物としては、例えば、酸化物;複合酸化物;層状複水酸化物;水酸化物;粘土化合物;固溶体;合金;ゼオライト;ハロゲン化物;カルボキシラート化合物;炭酸化合物;炭酸水素化合物;硝酸化合物;硫酸化合物;スルホン酸化合物;ヒドロキシアパタイト等のリン酸化合物;亜リン化合物;次亜リン酸化合物、ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;硫化物;オニウム化合物;塩等が挙げられる。好ましくは、酸化物;複合酸化物;ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物;水酸化物;粘土化合物;固溶体;ゼオライト;フッ化物;リン酸化合物;ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;塩が挙げられる。
これらの中でも、膜強度や可撓性をより一層高めることができる点で、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を有する化合物としては、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、及び、リン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、酸化物、水酸化物、及び層状複水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、金属酸化物、金属水酸化物、及び層状複水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが更に好ましい。
上記酸化物としては、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ビスマス等の金属酸化物が挙げられ、酸化セリウム、酸化ジルコニウムが好ましく、酸化セリウムがより好ましい。また、酸化セリウムは、例えば、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム等の金属酸化物との固溶体であってもよい。また、酸素欠陥を持つものであってもよい。
上記水酸化物としては、例えば、水酸化セリウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン等が挙げられる。
上記酸化物及び水酸化物は、天然物であっても、合成物であってもよい。また、表面が未処理のものであってもよく、シランカップリング剤、ステアリン酸、オレイン酸、リン酸エステル等により表面処理したものであってもよい。
上記層状複水酸化物は、下記一般式;
[M 1−x (OH)](An−x/n・mH
(Mは、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu、Mnのいずれかである二価金属イオンを表す。Mは、Al、Fe、Mn、Co、Cr、Inのいずれかである三価金属イオンを表す。An−は、OH、Cl、NO 、CO 2−、COO等の1価以上、3価以下のアニオンを表す。mは0以上の数である。nは、1〜3の数である。xは、0.20〜0.40の数である。)で表される化合物である。なお、An−は、2価以下のアニオンを表すことが好ましい。
上記層状複水酸化物は、天然産のもの(例えばハイドロタルサイト(Hydrotalcite)、マナッセイト(Manasseite)、モツコレアイト(Motukoreaite)、スティッヒタイト(Stichtite)、ショグレナイト(Sjogrenite)、バーバートナイト(Barbertonite)、パイロアウライト(Pyroaurite)、イオマイト(Iomaite)、クロロマガルミナイト(Ch)lormagaluminite)、ハイドロカルマイト(Hydrocalmite)、グリーン ラスト1(Green Rust 1)、ベルチェリン(Berthierine)、タコバイト(Takovite)、リーベサイト(Reevesite)、ホネサイト(Honessite)、イヤードライト(Eardlyite)、メイキセネライト(Meixnerite)等)であってもよいし、人工的に合成されたものであってもよく、150℃以上、900℃以下で焼成することにより脱水した化合物や層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物であってもよい。
上記層状複水酸化物としては、Mg−Al系層状複水酸化物が好ましく、ハイドロタルサイトがより好ましい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。
上記リン酸化合物としては、例えばヒドロキシアパタイトが好ましい。
上記ヒドロキシアパタイトとは、Ca10(PO(OH)に代表される化合物であり、調製時の条件によりCaの量を減らした化合物や、Ca以外の元素を導入したヒドロキシアパタイト化合物等を上記無機化合物粒子として使用しても良い。
上記無機化合物粒子としては、上述した中でも、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水酸化マグネシウムが特に好ましい。これらの無機化合物粒子を有機層に含む無機有機複合膜は、アルカリ水電解用隔膜、アルカリ水を電解液とする電池用セパレータとして用いた場合に、膜強度に一層優れるものとなる。
上記無機化合物粒子の形状としては、不定形状、球状、立方体状、直方体状、鉢状等の多面体状、円盤状、薄片状、鱗片状等の板状、棒状、繊維状等が挙げられる。なかでも、無機有機複合膜の膜強度をより一層向上させることができる点で、板状が好ましい。
上記無機化合物粒子の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましい。また、10μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることが更に好ましい。
上記平均粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定から求められる体積平均粒子径(D50)である。具体的には、上記平均粒子径は、上記無機化合物粒子をエタノール中に分散させ超音波処理したものを、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「型番LA−920」)を用いて、装置指定の透過率に調整して測定することにより求めることができる。
上記無機化合物粒子の含有量は、無機有機複合膜100質量%に対し、30質量%以上であることが好ましく、32質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることが更に好ましい。また、上記無機化合物粒子の含有量は、無機有機複合膜100質量%に対し、99質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、43質量%以下であることが更に好ましい。
上記無機化合物粒子100質量部に対して、上記有機ポリマーの含有量は、1質量部以上であることが好ましく、22質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることが更に好ましく、67質量部以下であることが好ましく、42質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることが更に好ましい。
(他の成分)
上記有機層は、上述した無機化合物粒子及び有機ポリマー以外に、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、カーボン等が挙げられる。
上記有機層は、上述した無機化合物粒子、有機ポリマー、及び必要に応じてその他の成分を溶媒と混合して調製された有機層形成材料を使用して形成することができる。上記有機層の形成については、後述の無機有機複合膜の製造方法において詳述する。
上記有機層の厚みは、10〜1000μmであることが好ましく、100〜500μmであることがより好ましく、200〜400μmであることが更に好ましい。
<支持体>
本発明の無機有機複合膜において、支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布である。上述のとおり、平均繊維径が上記の範囲内である特定の不織布を支持体として使用し、上述の有機層を有することにより、高い膜硬度を有し、かつ可撓性にも優れた無機有機複合膜とすることができる。
上記不織布は、目付が20〜150g/mであることが好ましい。目付が上述の範囲であると、無機有機複合膜の可撓性及び膜強度をより一層向上させることができる。上記目付は、30〜140g/mがより好ましく、40〜130g/mが更に好ましい。
上記不織布は、脂肪族炭化水素系ポリマー、及び、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。すなわち、上記不織布は、脂肪族炭化水素系ポリマー、及び、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種を含む繊維から構成されることが好ましい。
上記脂肪族炭化水素系ポリマーとしては、上述した有機層において使用される脂肪族炭化水素基含有ポリマーと同様のものが挙げられる。上記不織布は、上記脂肪族炭化水素系ポリマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
なかでも、上記不織布は、上記無機有機複合膜がより一層優れた膜強度と可撓性を発揮することができる点で、ポリオレフィン系ポリマー、及び/又は、ポリフェニレンサルファイドを含むことが好ましく、ポリプロピレン、及び/又は、ポリフェニレンサルファイドを含むことがより好ましい。
上記不織布は、他のポリマーを含んでいてもよいが、上記脂肪族炭化水素系ポリマー及びポリフェニレンサルファイドの総含有量は、上記不織布を構成するポリマー成分100質量%に対して85〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることが更に好ましく、99質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
上記支持体(すなわち上記不織布)は、空隙率が30〜90体積%であることが好ましい。空隙率が上述の範囲であると、膜強度に優れた無機有機複合膜とすることができる。上記空隙率は、32〜85体積%であることがより好ましく、35〜80体積%であることが更に好ましい。なお、上記空隙率は、具体的には下記の式により求めることができる。
空隙率(体積%)=(1−見かけ密度/材質により決まる理論密度)×100
見かけ密度(g/cm)=膜厚(μm)×目付(g/m
上記支持体の厚みは、本発明の無機有機複合膜の目的や用途に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜300μmが好ましく、50〜250μmがより好ましく、100〜200μmが更に好ましい。
本発明の無機有機複合膜の構成としては、上述した有機層と支持体を有する構成であれば特に限定されず、目的や用途に応じて適宜設計すればよく、上記有機層の片面又は両面に上記支持体を有する構成であってもよいし、上記支持体の両面に上記有機層を有する構成であってもよいが、上記有機層と上記支持体が一体化した複合膜であることが好ましい。上記有機層と上記支持体とが一体化することで、膜強度をより一層高めることができる。上記一体化は、上記有機層と上記支持体の一部又は全部であってもよいが、上記支持体の全体が上記有機層と一体化していることがより好ましい。
本発明の無機有機複合膜の総厚みは、目的や用途に応じて適宜設計すればよいが、通常10〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは10〜300μm、更に好ましくは50〜250μm、特に好ましくは100〜200μmである。
本発明の無機有機複合膜は、気孔率が10〜80体積%であることが好ましく、15〜75体積%であることがより好ましく、20〜70体積%であることが更に好ましい。気孔率が上述の範囲であると、本発明の無機有機複合膜を電気化学素子用隔膜として使用する場合、隔膜の気孔に電解液が連続的に満たされることにより、イオン伝導性やガスバリア性等に優れた膜とすることができる。
また、所定範囲の気孔率を有することで、より一層高い膜強度と優れた可撓性を両立することができる。例えば、上記有機層と支持体が一体化した複合膜において、それぞれ硬脆い材料を使用した場合、上記無機有機複合膜の強度を増加させることはできるが、可撓性は低下してしまい、膜強度と可撓性の高いレベルでの両立は容易ではない。本願発明では、上記無機有機複合膜の気孔率を所定範囲とすることで、膜強度と可撓性をより一層高いレベルで両立させることが可能である。
上記気孔率は、本発明の無機有機複合膜を終夜で電解液等の溶液に浸漬させ、吸液前後の膜の質量によって求めることができる。具体的には、下記の式によって求めることができる。
気孔率(体積%)=(浸漬後の膜の質量−浸漬前の膜の質量)/溶液の密度/膜の体積×100
2.無機有機複合膜の製造方法
本発明の無機有機複合膜を製造する方法としては、特に限定されず、上記支持体上に、上述した無機化合物粒子及び有機ポリマーを含む有機層形成材料をロールで圧延して膜状に形成する方法、平板プレス等で圧延して膜状に形成する方法や、射出成形法、押出成形法、キャスト法等の膜状に成形する公知の方法を適用することができる。また、多孔質の無機有機複合膜を効率良く製造する方法として、非溶媒誘起相分離法が好ましく挙げられる。
非溶媒誘起相分離法により、多孔質の無機有機複合膜を製造する方法としては、例えば、下記の工程(1)及び(2)を含む方法が挙げられる。
(1)無機化合物粒子及び有機ポリマーを含む有機層形成材料を調製する工程
(2)上記有機層形成材料を用いて支持体上に有機層を形成する工程
このような無機有機複合膜を製造する方法、すなわち、無機化合物粒子及びポリマーを含む有機層形成材料を調製する工程(以下、「工程(1)」とも記載する。)、及び、上記有機層形成材料を用いて支持体上に有機層を形成する工程(以下、「工程(2)」とも記載する。)を含むことを特徴とする無機有機複合膜の製造方法もまた、本発明において好ましい実施形態の一つである。以下に、各工程について説明する。
工程(1)
本発明の無機有機複合膜の製造方法においては、まず、無機化合物粒子及び有機ポリマーを含む有機層形成材料を調製する。
上記有機層形成材料を調製する方法としては、上述の無機化合物粒子と有機ポリマーを混合することができる方法であれば特に限定されず、公知の混合方法を適用することができる。
無機化合物粒子と有機ポリマーを混合する場合、無機化合物粒子と有機ポリマーと必要に応じて溶媒を同時に混合してもよいし、無機化合物粒子を溶媒に分散させた分散液(スラリー)をあらかじめ調製し、上記分散液に有機ポリマーを添加して混合してもよいし、有機ポリマーを溶媒に溶解させた溶液を調製し、この溶液と上記分散液を混合してもよい。なかでも、無機化合物粒子と有機ポリマーをより均一となるように混合することができる点で、無機化合物粒子を溶媒に分散させた分散液をあらかじめ調製し、上記分散液に有機ポリマー、又は、有機ポリマーを溶媒に溶解した溶液を添加して混合することが好ましい。
混合方法としては、特に限定されず、ミキサー、ボールミル、ジェットミル、ディスパー、サンドミル、ロールミル、ポットミル、ペイントシェーカー等を用いる方法等、公知の混合分散の手段を適用することができる。
上記無機化合物粒子を分散させるための溶媒としては、上記有機ポリマーを溶解することができる性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、無機化合物粒子の分散性がより一層良好となる点で、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記無機化合物粒子を溶媒に分散させた分散液中の無機化合物粒子の含有量は、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることが更に好ましい。
上記有機ポリマーを溶解した溶液に使用する溶媒は、上記有機ポリマーを溶解することができる性質を有するものであれば特に限定されず、上記無機化合物粒子を分散させるための溶媒と同様の溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、上記無機化合物粒子と上記有機ポリマーがより一層均一となるよう混合分散できる点で、上記分散液の調製に使用した溶媒と同じ溶媒が好ましい。
上記有機ポリマーを溶解した溶液中の有機ポリマーの含有量は、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが更に好ましい。
上記分散液と有機ポリマー又は上記有機ポリマーを溶解した溶液は、得られる無機有機複合膜の目的・用途に応じて所望の量となるよう適宜混合して有機層形成材料を調製するとよい。
工程(2)
本発明の無機有機複合膜の製造方法においては、次いで、工程(1)で得た上記有機層形成材料を用いて支持体上に有機層を形成する。
上記有機層形成材料を用いて支持体上に有機層を形成する方法としては、特に限定されないが、多孔質の無機有機複合膜を効率良く製造することができる点で、下記の工程(2−1)〜(2−2)を含むことが好ましい。
(2−1)上記有機層形成材料の塗膜を支持体上に形成する工程、
(2−2)上記塗膜を非溶媒と接触させることにより上記塗膜を凝固させる工程、及び
(2−3)上記凝固した塗膜を乾燥させることにより有機層を得る工程
このように、上記有機層を形成する工程が、上記有機層形成材料の塗膜を支持体上に形成する工程、上記塗膜を非溶媒と接触させることにより上記塗膜を凝固させる工程、及び、上記凝固した塗膜を乾燥させることにより有機層を得る工程を含む態様もまた、本発明の無機有機複合膜の製造方法における好ましい実施形態の一つである。
工程(2−1)
上記有機層形成材料の塗膜を支持体上に形成する方法としては、例えば、上記で得られた有機層形成材料を支持体上に塗布する方法、上記有機層形成材料中に支持体を浸漬させ、表面に上記有機層形成材料が付着、又は、上記有機層形成材料が含浸した支持体を得る方法等が挙げられる。
また、基材上に上記有機層形成材料を塗布し、その塗液上に上記支持体を置いて塗液を上記支持体に含浸させてもよい。
上記樹脂混合液を塗布する方法としては、特に限定されず、ダイコーティング、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スプレー、アプリケーター、コーター等を用いる方法等の公知の塗布手段を適用することができる。
上記有機層形成材料の塗布量としては、特に限定されず、得られる無機有機複合膜の厚みが目的・用途に応じた厚みとなるよう適宜設定すればよい。
工程(2−2)
工程(2−1)において形成された塗膜を非溶媒と接触させることにより、上記塗膜を凝固させる。上記塗膜を非溶媒と接触させることにより、上記塗膜中に非溶媒が拡散し、非溶媒に溶解しないポリマーが凝固する。一方、非溶媒に溶解した塗膜中の溶媒は、塗膜から溶出する。このような相分離が生じることにより、有機ポリマーが凝固し、多孔質である有機層が形成される。
上記塗膜と非溶媒とを接触させる方法としては、上記塗膜を上記非溶媒中に浸漬させる方法(凝固浴)等が挙げられる。
上記非溶媒としては、上記有機ポリマーを実質的に溶解しない性質を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、イオン交換水等の水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等の低級アルコール;又はこれらの混合溶媒等が挙げられ、なかでも経済性と排液処理の観点から水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。また上記非溶媒には、上述した成分以外に、塗膜中に含まれる溶媒と同様の溶媒を少量含んでいてもよい。
上記非溶媒の使用量は、上記塗膜、すなわち有機層形成材料の固形分(不揮発分)100質量%に対して、50〜10000質量%であることが好ましい。より好ましくは100〜5000質量%であり、更に好ましくは200〜1000質量%である。得られる無機有機複合膜の気孔率を好ましい範囲に調整するには、非溶媒を上述した割合で使用することが好ましい。
工程(2−3)
上記工程(2−3)で凝固した塗膜を乾燥させて、上記非溶媒を除去することにより、多孔質の有機層が支持体上に形成された無機有機複合膜を得ることができる。
乾燥方法としては、特に限定されず、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の公知の乾燥手段を用いて行うことができる。
乾燥温度としては、60〜80℃が好ましい。
乾燥時間としては、特に限定されず隔膜の形状、大きさ等に応じて適宜設計すればよいが、通常2〜120分間、好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜30分間が挙げられる。
以上のとおり、上述した工程(1)及び(2)により、本発明の無機有機複合膜を好適に製造することができる。
3.用途
本発明の無機有機複合膜は、膜強度が高く、可撓性に優れたものである。そのため、本発明の無機有機複合膜は、膜強度や可撓性が要求される用途に好適に用いることができる。本発明の無機有機複合膜は、特に、アルカリ水電解用隔膜、電池セパレータ等の電気化学素子用隔膜として好適に用いられる。従って、本発明の無機有機複合膜は、電気化学素子用隔膜であることが好ましい。すなわち、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む電気化学素子用隔膜であって、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とする電気化学素子用隔膜もまた、本発明の一つである。
以下に、本発明の無機有機複合膜を用いた、好ましいアルカリ水電解用隔膜と電池セパレータの形態について説明する。
3−1.アルカリ水電解用隔膜
本発明の無機有機複合膜はアルカリ水電解用隔膜として好適に用いることができる。すなわち、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含むアルカリ水電解用隔膜であって、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とするアルカリ水電解用隔膜もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。
上記アルカリ水電解用隔膜における無機化合物粒子としては、上述した「無機有機複合膜」における無機化合物粒子と同様のものを挙げることができるが、なかでも、アルカリ溶液中で無機成分が溶出しにくい点で、金属酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
上記金属酸化物及び/金属水酸化物としては、ジルコニウム、マグネシウム、チタンの酸化物及び/又は水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタンがより好ましい。
上記無機化合物粒子の平均粒子径は、上記有機ポリマーとの分散性が良好となる点で、0.05〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.5μmであることがより好ましく、0.2〜1.0μmであることが更に好ましい。上記平均粒子径は、上述した「無機有機複合膜」における無機化合物粒子の平均粒子径の測定方法と同様の方法で求めることができる。
上記無機化合物粒子の形状としては、上述した「無機有機複合膜」における無機化合物粒子と同様のものを挙げることができる。
上記無機化合物粒子は、上述したもののうち1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アルカリ水電解用隔膜における上記無機化合物粒子の含有量としては、30〜90質量%が好ましく、32〜85質量%がより好ましく、35〜80質量%が更に好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜における上記有機ポリマーとしては、上述した「無機有機複合膜」における有機ポリマーと同様のものを挙げることができるが、そのなかでも、芳香族炭化水素基含有ポリマーが好ましく、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜における上記有機ポリマーの含有量としては、1〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、7〜30質量%が更に好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜における支持体としては、上述した「無機有機複合膜」における支持体と同様のものを挙げることができる。
なかでも、上記アルカリ水電解用隔膜における支持体である不織布の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン、及びポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことがより好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜における支持体の厚みは、好ましくは30〜300μm、より好ましくは50〜250μm、更に好ましくは100〜200μmである。
上記アルカリ水電解用隔膜の気孔率は、好ましくは20〜80体積%、より好ましくは25〜75体積%、更に好ましくは30〜70体積%である。上記気孔率は、上述した「無機有機複合膜」における気孔率の測定方法と同様の方法により測定することができる。
上記アルカリ水電解用隔膜の厚みは、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは100〜500μm、更に好ましくは200〜400μmである。
上記アルカリ水電解用隔膜を製造する方法としては、上述した「無機有機複合膜」の製造方法と同様の方法が挙げられる。なかでも、多孔膜を効率良く形成できる点で、非溶媒誘起相分離法が好ましい。
上記アルカリ水電解用隔膜は、アルカリ水電解装置の部材として用いられる。上記アルカリ水電解装置としては、例えば、陽極、陰極、及び、陽極と陰極の間に配置された上記アルカリ水電解用隔膜を含むものが挙げられる。より具体的には、上記アルカリ水電解装置は、上記アルカリ水電解用隔膜によって隔てられた、陽極が存在する陽極室と、陰極が存在する陰極室とを有する。陽極、及び陰極としては、ニッケル又はニッケル合金等を含む導電性基体を含む、公知の電極が挙げられる。
上記アルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置を用いて行う水の電気分解の方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、上述した上記アルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置に、電解液を充填し、電解液中で電流を印加することにより行うことができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の電解質を溶解したアルカリ性水溶液が用いられる。上記電解液における電解質の濃度は、特に限定されないが、電解効率がより一層向上し得る点で、20〜40質量%であることが好ましい。
また、電気分解を行う場合の温度としては、電解液のイオン電導性がより向上し、電解効率がより一層向上し得る点で、50〜120℃が好ましく、80〜90℃がより好ましい。電流の印加は、公知の条件・方法で行うことができる。
3−2.電池セパレータ
本発明の無機有機複合膜は電池セパレータとしても好適に用いることができる。すなわち、有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む電池セパレータであって、上記有機層は、更に無機化合物粒子を含み、上記支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布であることを特徴とする電池セパレータもまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。
上記電池セパレータにおける無機化合物粒子としては、上述した「無機有機複合膜」における無機化合物粒子と同様のものを挙げることができる。なかでも、イオン伝導度が良好である点で、層状複水酸化物及び/又は酸化物が好ましく、層状複水酸化物がより好ましく、ハイドロタルサイトが更に好ましい。
上記電池セパレータにおける無機化合物粒子の平均粒子径は、上記有機ポリマーとの分散性が良好である点で、0.001〜10μmであることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.1〜4μmであることが更に好ましい。上記平均粒子径は、上述した「無機有機複合膜」における無機化合物粒子の平均粒子径の測定方法と同様の方法で求めることができる。
上記電池セパレータにおける上記無機化合物粒子の含有量としては、30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。
上記電池セパレータにおける有機ポリマーとしては、上述した「無機有機複合膜」における有機ポリマーと同様のものを挙げることができる。なかでも、電池を長寿命化させることができる点で、共役ジエン系ポリマー及び/又は(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。
上記電池セパレータで使用する有機ポリマーは、重量平均分子量が1万以上、650万以下であることが好ましい。重量平均分子量は、2万以上であることがより好ましい。上記重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算された重量平均分子量として測定することができる。
装置:東ソー株式会社製 HCL−8220GPC
カラム:TSKgel Super AWM−H
溶離液(LiBr・H2O、リン酸入りNMP):0.01mol/L
上記電池セパレータで使用する有機ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が−40℃以上、50℃以下であることが好ましい。有機ポリマーのTgが−40℃未満の場合には電池セパレータの機械的強度が低くなるおそれがある。また、Tgが50℃を超える場合には、電池セパレータが硬脆くなりすぎ、例えば、取り扱いの際に電池セパレータにクラック等が入りやすくなるおそれがある。本発明の電池セパレータにおいて、無機化合物粒子の凝集を原因とした空隙が形成されることを抑制するためには、有機層形成材料に含まれる成分を充分に混練して無機化合物粒子の凝集を抑制し、無機化合物粒子と有機ポリマーの成分を均一な状態にすることが好ましい。有機ポリマーのTgが−40℃以上、50℃以下であると、無機化合物粒子との混練の際の混練物がより適度な流動性となり、無機化合物粒子の凝集物を解砕したり有機層形成材料に含まれる成分をより均一な状態としたりすることができる。上記有機ポリマーのTgは、より好ましくは、−15℃以上、30℃以下であり、更に好ましくは、−10℃以上、20℃以下である。
上記電池セパレータにおける上記有機ポリマーの含有量としては、1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましい。
上記電池セパレータにおける支持体としては、上述した「無機有機複合膜」における支持体と同様のものを挙げることができる。
なかでも、上記電池セパレータにおける支持体である不織布の材料としては、ポリオレフィン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。
上記電池セパレータにおいて、上記有機層は、上記支持体の一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。また、上記有機層と上記支持体が一体化した複合体であってもよい。
上記電池セパレータの厚みは、10〜1000μmが好ましく、15〜800μmがより好ましく、20〜500μmが更に好ましい。
上記電池セパレータを製造する方法としては、上述した「無機有機複合膜」の製造方法と同様の方法が挙げられる。
上記電池セパレータは、正極、負極、及び電解液を含んで構成される電池のセパレータとして好適に用いることができる。
上記正極は、一次電池や二次電池の正極活物質として通常用いられる活物質を含むものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
正極の活物質としては、例えば、酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、バナジウム含有化合物、ニッケル含有化合物、イリジウム含有化合物、白金含有化合物;パラジウム含有化合物;金含有化合物;銀化合物;炭素含有化合物等より構成される空気極となる);オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル含有化合物;二酸化マンガン等のマンガン含有化合物;酸化銀;コバルト酸リチウム等のリチウム含有化合物;鉄含有化合物;金属亜鉛や酸化亜鉛等の亜鉛種等が挙げられる。なかでも、セパレータの性能をより一層高く発揮させることができる点で、亜鉛化合物が好ましい。
上記負極は、一次電池や二次電池の負極活物質として通常用いられる活物質を含むものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
上記負極の活物質としては、炭素、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、錫、シリコン含有材料等、電池の負極活物質として通常用いられるものを用いることができる。なかでも、セパレータの性能をより一層向上できる点で、亜鉛化合物が好ましい。
電池を構成する電極は、集電体上に活物質層を形成することで製造することができる。
電極を構成する集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni、Zn、Sn、Pb、Hg、Bi、In、Tl、真鍮等を添加した(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、不織布;Ni、Zn、Sn、Pb、Hg、Bi、In、Tl、真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、不織布;銀;アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
電池を構成する電解液としては、電池の電解液として通常用いられるものであれば特に制限されず、例えば、水含有電解液、有機溶剤系電解液等が挙げられ、水含有電解液が好ましい。水含有電解液とは、水のみを電解液原料として使用する電解液(水系電解液)や、水に有機溶剤を加えた液を電解液原料として使用する電解液を指す。
上記水系電解液としては、アルカリ性電解液が好ましい。アルカリ性電解液は、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等が挙げられる。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。
また、上記水含有電解液は、有機溶剤系電解液に用いられる有機溶剤を含んでいてもよい。上記有機溶剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。上記有機溶剤系電解液の電解質としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiB(CN)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)等が好ましい。
有機溶剤系電解液を含む水含有電解液の場合、水系電解液と有機溶剤系電解液の合計100質量%に対して、水系電解液の含有量は、好ましくは10〜99.9質量%、より好ましくは20〜99.9質量%である。
上記電池セパレータを適用することができる電池の形態は、一次電池;充放電が可能な二次電池(蓄電池);メカニカルチャージ方式の電池(亜鉛負極を機械的に交換する電池);第三極方式の電池(負極と、充電に適した電極と、放電に適した電極とを用いて構成される電池)、燃料電池等、いずれの形態であっても良いが、二次電池又は燃料電池が好ましい。
上記電池の種類は特に制限されないが、アルカリ乾電池、酸化銀電池、マンガン−亜鉛電池、ニッケル−亜鉛電池、燃料電池、空気電池等、アルカリ性電解液を使用する電池であることが好ましい。
以上のとおり、本発明の無機有機複合膜は、膜強度が高く、可撓性に優れる。本発明の無機有機複合膜は、アルカリ水電解用隔膜や電池セパレータとして好適に使用される。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例では、各種物性値等を下記方法により測定した。
(1.平均繊維径測定)
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、型番VK−9700)を用いて、50倍率で不織布表面を観察した。得られた画像について、解析ソフト(Image−Pro Premier)を使用し、繊維30本の径をそれぞれ測定し、それらを平均した値を平均繊維径とした。
(2.引っ張り強度試験)
1×10cmに切り出した電気化学素子用隔膜の試験片を23℃、50%の恒温恒湿環境下で1時間静置した後、引張試験機(島津製作所社製、型番オートグラフAG−1kN XPlus)を用いて、治具間距離5cm、速度20cm/分でMD方向(不織布の縦方向、ならびに塗液の塗工方向)に引っ張り、破断時の強度を測定した。
3.屈曲試験
屈曲試験機(安田精機製作所社製、型番No.514、マンドレルNo.6)を用いて、2×5cmに切り出した電気化学素子用隔膜の試験片の支持体が内側にくるように試験受板とマンドレルの間に挟み、2秒間180℃に折り曲げ、その後レーザー顕微鏡(キーエンス社製、型番VK−9700)の10倍率を用いて、塗膜表面のクラックの有無を確認した。
<実施例1>
(1.水酸化マグネシウム分散液の調製)
水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、品番200−06H、平均粒子径0.54μm)とN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製)を質量比1:1となるよう混合し、ジルコニアメディアボールを入れたポットミルにて、室温で6時間分散処理を行うことにより水酸化マグネシウム分散液を調製した。
(2.ポリスルホン樹脂溶解液の調製)
ポリスルホン樹脂(BASF社製、品番ウルトラゾーンS3010)を30質量%の濃度で80〜100℃にてN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製)に熱溶解させることによりポリスルホン樹脂溶解液を調製した。
(3.有機層形成材料の調製)
上記で得られた水酸化マグネシウム分散液とポリスルホン樹脂溶解液とを、水酸化マグネシウム100質量部に対してポリスルホン樹脂(PSU)が33質量部になるように計量し、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE−500)にて室温で1000rpmで約10分間混合した。得られた混合液を、SUSの200メッシュで濾過することで有機層形成材料を得た。
(4.塗膜の形成)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥時の有機層形成材料の秤量値が9.0mg/cmとなるようにアプリケーターにて上記有機層形成材料を塗工し、その上にポリプロピレン不織布(平均繊維径4.7μm、目付60g/m、膜厚160μm)を接触させることで、不織布に有機層形成材料を完全に含浸させた。その後、有機層形成材料を含浸させた不織布を、室温にて10分間水浴させ、有機層形成材料を凝固させて塗膜を形成し、水中でPETフィルムから不織布ごと塗膜を剥離した。水浴後、得られた塗膜を、乾燥機にて80℃で、30分間乾燥し、不織布と塗膜とが一体化した複合体からなる電気化学素子用隔膜を得た。なお、得られた隔膜の総厚みは210μmであった。また、得られた隔膜の気孔率は40体積%であった。
得られた隔膜の引っ張り強度は55N/10mmであり、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例2>
ポリプロピレン不織布のかわりにポリフェニレンサルファイド不織布(平均繊維径8.2μm、目付80g/m、膜厚160μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み220μm、気孔率38体積%)を作製した。得られた隔膜の引っ張り強度は86N/10mmであり、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例3>
ポリプロピレン不織布のかわりにポリフェニレンサルファイド不織布(平均繊維径7.6μm、目付80g/m、膜厚100μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み180μm、気孔率43体積%)を作製した。得られた隔膜の引っ張り強度は45N/10mmであり、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例4>
ポリプロピレン不織布のかわりにポリフェニレンサルファイド不織布(平均繊維径6.7μm、目付110g/m、膜厚190μm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み250μm、気孔率39体積%)を作製した。得られた隔膜の引っ張り強度は99N/10mmであり、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例5>
水酸化マグネシウム粒子(協和化学工業社製、品番200−06H、平均粒子径0.54μm)100質量部、ポリアクリル酸塩水溶液(不揮発分40%)3質量部及びイオン交換水42質量部を計り取り、サンドミルを用いて1時間分散処理した後、ろ過を行い、水酸化マグネシウム粒子水分散液を得た。
得られた水酸化マグネシウム粒子水分散液50質量部、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン系ポリマー水分散液(不揮発分:48%、日本エイアンドエル社製ナルスターSR−152)33質量部を計り取り、混合した後、ろ過及び真空脱泡を行い、有機層形成材料を得た。
得られた有機層形成材料を、PETフィルム上に、乾燥時の有機層形成材料の秤量値が9.0mg/cmとなるようにコンマコーターにて塗工し、その上にポリプロピレン不織布(平均繊維径4.7μm、目付40g/m、厚み90μm)を接触させた後、乾燥し、PETフィルムから不織布ごと塗膜を剥離することにより、不織布と塗膜が一体化した電気化学素子用隔膜を得た。得られた隔膜の総厚みは130μm、気孔率は17体積%であった。得られた隔膜の引っ張り強度は51N/10mm、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例6>
無機化合物粒子としてハイドロタルサイト(協和化学工業社製、品番DHT−6、平均粒子径0.20μm)を使用した以外は実施例5と同様の方法で、ハイドロタルサイト水分散液を得た。このハイドロタルサイト水分散液50質量部と、実施例5と同様の方法で調製したカルボキシ変性スチレン−ブタジエン系ポリマー水分散液(不揮発分:48%)21質量部とを使用して有機層形成材料を得た以外は実施例5と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み120μm、気孔率19体積%)を得た。得られた隔膜の引っ張り強度は48N/10mm、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<実施例7>
ポリプロピレン不織布のかわりにポリビニルアルコール不織布(平均繊維径17.1μm、目付25g/m、厚み90μm)を使用した以外は、実施例5と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み150μm、気孔率19体積%)を得た。得られた隔膜の引っ張り強度は41N/10mm、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<比較例1>
ポリプロピレン不織布として平均繊維径2.2μm、目付50g/m、膜厚160μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み220μm、気孔率38体積%)を得た。得られた隔膜の引っ張り強度は11N/10mm、屈曲試験後にクラックは確認されなかった。
<比較例2>
ポリプロピレン不織布として平均繊維径21.5μm、目付60g/m、膜厚180μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で電気化学素子用隔膜(総厚み250μm、気孔率42体積%)を得た。得られた隔膜の引っ張り強度は120N/10mm、屈曲試験後に10μm程度のクラックが数か所確認された。

Claims (2)

  1. 有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む膜であって、
    該有機層は、更に無機化合物粒子を含み、
    該支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布である
    ことを特徴とする無機有機複合膜。
  2. 有機ポリマーを含む有機層と、支持体とを含む膜であって、
    該有機層は、更に無機化合物粒子を含み、
    該支持体は、平均繊維径が3〜20μmである不織布である
    ことを特徴とする電気化学素子用隔膜。
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