JP2020008083A - クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】入力軸からの正・逆回転の動力は出力軸に伝達するが、入力軸と同じ方向にこれに対して回転しようとする出力軸の回転は空転して入力軸に伝達しないクラッチを提供すること。【解決手段】出力軸6に連結された2つの遊星歯車機構8を軸方向に重ねて配置し、夫々の遊星歯車機構8の太陽歯車38は相互に反対方向に空転するよう設定された一方向クラッチ36を介して出力軸6に連結され、入力軸4が回転したときは、その回転方向に応じて、一方の遊星歯車機構8が出力軸6と一体となって回転すると共に他方の遊星歯車機構8は空転し、出力軸6が入力軸4からの回転と同じ方向に回転したときは、一方の遊星歯車機構8の太陽歯車38にのみ出力軸6の回転が伝達されるが、出力軸6の回転が伝達された太陽歯車38と噛み合う遊星歯車40が空転することで、入力軸4への回転の伝達が遮断されるようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸からの正・逆回転の動力は出力軸に伝達するが、入力軸と同じ方向にこれに対して回転しようとする出力軸の回転は空転して入力軸に伝達しないクラッチに関するものである。
モーターなどの駆動源から機械装置あるいは作業機器等を駆動する動力伝達系では、駆動する機器の特性に対応するよう各種の伝達装置が使用される。このような伝達装置の一つにワンウェイクラッチがある。ワンウェイクラッチは広く知られた伝達装置であり、これには、正逆いずれか一方の回転のみを伝達し、いずれか他方の回転は空転して遮断される形式(空転式)のものがある。
空転式のワンウェイクラッチは、例えば、自動車の電動スライドドアや自動開閉便座において駆動源のモーターを保護する目的で使用される。即ち、従動部材であるスライドドアや便座がモーターによって開閉動している最中に、この開閉動と同じ方向に従動部材が外力によって強制的に作動させられた場合には、この従動部材の作動によってモーターが強制的に回転され、損傷してしまう場合がある。これを防止するために、モーターと従動部材との間に空転式のワンウェイクラッチを設け、モーターからの回転は従動部材に伝達するが、従動部材に加えられたモーターの回転と同じ方向の回転はこれをモーターに対して空転させて伝達しないようにする。
空転式のワンウェイクラッチとしては、例えば、本出願人の創案に係る特許第3501352号に記載されたワンウェイクラッチが知られており、これについて、図10を参照して説明する。
図10に示すとおり、このワンウェイクラッチでは、シャフトのような内側部材I(入力軸)と外輪のような外側部材O(出力軸)とが楔形のポケットPを複数形成しており、そのポケットPにはローラーRが配置されている。内側部材Iが外側部材Oに対して同図において時計方向に回転するときは、ローラーRはポケットP内を楔の広い方向に移動して内側部材Iと外側部材Oとの間で噛み込むことはなく、内側部材Iと外側部材Oは互いに回転することができる(相対回転可能な状態)。つまり、内側部材Iと外側部材Oは空転する。しかし、内側部材Iが外側部材Oに対して同図において反時計方向に回転、つまり逆回転するときは、ローラーRはポケットP内を楔の狭い方向に移動して内側部材Iと外側部材Oとの間で噛み込みを生じ、内側部材Iと外側部材Oは互いに回転することができない(相対回転不能な状態)。
特許第3501352号公報
ワンウェイクラッチは、上述したとおり、正逆いずれか一方の回転のみを伝達し、いずれか他方の回転は遮断するものである。そのため、これを正逆両方向に回転するモーターの保護を目的に使用する場合には、相互に反対方向の回転を伝達可能とする2つのワンウェイクラッチを設け、従動部材の正回転時と逆回転時とで2つのワンウェイクラッチを電子制御によって切り替えて使用する必要があり、装置が複雑なものとなる。
上記の課題を解決するため、本発明のクラッチは、出力軸に連結された2つの遊星歯車機構を軸方向に重ねて配置し、夫々の遊星歯車機構の太陽歯車は相互に反対方向に空転するよう設定された一方向クラッチを介して出力軸に連結され、入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、一方の遊星歯車機構が出力軸と一体となって回転すると共に他方の遊星歯車機構は空転し、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向に回転したときは、一方の遊星歯車機構の太陽歯車にのみ出力軸の回転が伝達されるが、この太陽歯車と噛み合う遊星歯車が空転することで、入力軸への回転の伝達が遮断されるようにしたものである。すなわち、本発明は、
「共通の中心軸の周りで回転可能な入力軸及び出力軸と、前記出力軸に連結された2つの遊星歯車機構とを備え、
前記2つの遊星歯車機構は夫々軸方向に重ねて配置され、前記出力軸に一方向クラッチを介して連結された太陽歯車、及び前記太陽歯車と噛み合う遊星歯車を備え、前記2つの遊星歯車機構の太陽歯車に配設された一方向クラッチの各々は前記出力軸に対して相互に反対の回転方向で空転するよう設定され、前記2つの遊星歯車機構の遊星歯車は夫々前記共通の中心軸の周りを回転可能な共通のキャリアによって回転可能に軸支されており、
前記入力軸には押圧片が固着されると共に前記キャリアには前記押圧片が嵌り込む凹部が形成され、前記2つの遊星歯車機構の遊星歯車は前記凹部の周方向両側に相互に配置され、前記押圧片には前記遊星歯車の自転を規制する規制手段が固着されており、
前記入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、前記規制手段が前記2つの遊星歯車機構のいずれか一方の遊星歯車の自転を規制すると共に、前記押圧片が前記凹部で前記キャリアと当接してこれを周方向に押し、前記2つの遊星歯車機構が前記出力軸と一体となって回転し、
前記出力軸が前記入力軸からの回転と同じ方向に回転したときは、前記2つの遊星歯車機構の太陽歯車のうち、自転が規制されていない遊星歯車と噛み合う太陽歯車に前記出力軸の回転が伝達されるが、前記出力軸の回転が伝達された前記太陽歯車と噛み合う前記遊星歯車は空転し、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は遮断される」
ことを特徴とするクラッチとなっている。
本発明においては、以下のような実施形態であるのが好ましい。すなわち、
前記規制手段の断面は外歯歯車の一部を切り欠いた形状であるのが好ましい。
前記キャリアに形成された前記凹部の側面の形状は前記押圧片の側面の形状と同一であるのが好ましい。
前記キャリアは、板状の基部と、前記基部から軸方向に延びる支持片とを備え、前記支持片は、前記キャリアと一体的に結合されるキャリア補助板によって軸受され、前記基部と前記キャリア補助板とは軸方向に間隔をおいて対向するのが好ましい。
本発明のクラッチでは、2つの遊星歯車機構が軸方向に重ねて出力軸に連結される。2つの遊星歯車機構は夫々、出力軸に一方向クラッチを介して連結された太陽歯車と、太陽歯車と噛み合う遊星歯車とを備え、2つの遊星歯車機構の遊星歯車は夫々共通のキャリアによって回転可能に軸支される。2つの遊星歯車機構の太陽歯車に配設された一方向クラッチの各々は出力軸に対して相互に反対の回転方向で空転するよう設定される。入力軸には押圧片が固着されると共にキャリアには入力軸に固着された押圧片が嵌り込む凹部が形成され、2つの遊星歯車機構の遊星歯車は凹部の周方向両側に各々配置される。そして、押圧片には遊星歯車の自転を規制する規制手段が固着される。
後に図8を参照して詳述するとおり、入力軸が回転すると、その回転方向に応じて、規制手段が2つの遊星歯車機構のいずれか一方の遊星歯車の自転を規制すると共に、押圧片が凹部でキャリアと当接してこれを周方向に押す。これによって、2つの遊星歯車機構のうち、自転が規制された遊星歯車を含む遊星歯車機構は出力軸と一体となって回転し、入力軸から出力軸へ回転が伝達される。このとき、自転が規制されていない遊星歯車を含む遊星歯車機構にあっては、出力軸と一方向クラッチとの間で噛み込みが生じて太陽歯車が回転すると共に、これと噛み合う遊星歯車も回転(つまり空転)する。
これに対して、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向にこれに対して回転すると、
自転が規制された遊星歯車を含む遊星歯車機構にあっては、ローラーは出力軸の外周面との噛み合いが解除される方向へ移動されるため、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。自転が規制されていない遊星歯車を含む遊星歯車機構にあっては、ローラーは出力軸の外周面との噛み合いが生じる方向へ移動させられるが、太陽歯車と噛み合う遊星歯車は自転が規制されていないため、太陽歯車及び遊星歯車は共に空転する。従って、出力軸の回転が入力軸に伝達されることはない。
本発明のクラッチにあっては、入力軸の正・逆いずれの回転も出力軸に伝達され、入力軸の回転が正・逆いずれの方向であっても、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向に回転した場合には、出力軸から入力軸への回転の伝達は遮断される。これにより、本発明のクラッチを正逆両方向に回転するモーターの保護を目的に使用した際には、2つのワンウェイクラッチを電子制御によって切り替えて使用する必要はなく、装置を単純なものにできてコストを削減することができる。
本発明のクラッチの実施例を示す構造図である。 図1に示すクラッチにおけるハウジングの内部を示す斜視図である。 図1に示すクラッチの分解斜視図である。 図1に示すクラッチのハウジングを示す図である。 図1に示すクラッチの入力軸を示す図である。 図1に示すクラッチの遊星歯車機構の構成部品を単体で示す図である。 図1に示すクラッチのキャリアを示す図である。 図1に示すクラッチの入力軸正回転時の作動を示す図である。 規制手段の変形例を示す図である。 従来のワンウェイクラッチの構造を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明のクラッチについて説明する。図1乃至3に、本発明のクラッチの実施例の全体構造を示す。図4乃至7に、主要構成部品を単体の状態で示す。図8に、本発明のクラッチの作動の説明図を示す。
図1に示すクラッチは、固定された断面略円形のハウジング2を備えており、このハウジング2内には、共通の回転軸(中心軸)oの周りに回転可能な入力軸4及び出力軸6が設けられている。ハウジング2内には更に、出力軸6に各々連結された2つの遊星歯車機構(第1遊星歯車機構8a及び第2遊星歯車機構8b)と、これらが有する遊星歯車を夫々回転可能に軸支するキャリア10とが配置されている。
図1乃至3と共に図4を参照して説明すると、ハウジング2は、略円筒形状の周壁部14と、円板形状の端板部16とからなるカップ状部材であって、内側には略円柱形状の空間部18が設けられている。周壁部14の外周面にはハウジング2を固定するための凹状の取付溝20が周方向に等角度間隔をおいて4つ形成されている。周壁部14の開口側端面には円板形状のシールド体22が圧入され、空間部18は閉鎖される。ハウジング2の中心軸は入力軸4及び出力軸6の回転軸oと同一であり、端板部16及びシールド体222には夫々円形の中央穴が形成されている。
図1乃至3と共に図5を参照して説明すると、入力軸4は円板形状の基部24と、基部24の中央から軸方向片側に延びる軸部26とを備え、中央には軸方向に貫通して延びる断面円形の穴28が形成されている。軸部26の断面は円環形状の外周面の一部を直線状に切り欠いた形状であって、軸部26にはモーターのような図示しない適宜の駆動源が連結される。基部24の外周面には押圧片30が固着されている。図示の実施例においては、押圧片30は直径方向に対向して2つ設けられており、押圧片30の各々は、断面が扇形状であって、周方向両側が夫々矩形平面である。そして、押圧片30の各々には後述する第1遊星歯車及び第2遊星歯車の自転を規制する規制手段32が固着されている。規制手段32は押圧片30の中央において軸部26とは反対側の軸方向に向かって直線状に延びている。図示の実施例においては、規制手段32の断面は外歯歯車の径方向外側部を円弧状に切り欠いた形状であり、この外歯歯車の外側縁は図5の右図において押圧片30の外側縁と面一である(図2及び3も参照されたい)。
出力軸6は断面円形の棒状部材であって、これがスライドドアや便座のような図示しない適宜の従動部材に適宜の方法によって連結される。
図1乃至3と共に図6を参照して説明すると、第1遊星歯車機構8a及び第2遊星歯車機構8bは共に、一方向クラッチ36を介して出力軸6に連結される太陽歯車38と、太陽歯車38と噛み合う遊星歯車40とを備えている。図示の実施例においては、上記一方向クラッチ、太陽歯車、及び遊星歯車は何れも第1遊星歯車機構8a及び第2遊星歯車機構8bにおいて共通部品であって、後述するとおり、配置する際の夫々の向きを入れ替えることによって第1遊星歯車機構8a又は第2遊星歯車機構8bのいずれかの構成部品となる。
本実施例で用いられる一方向クラッチ36は、出力軸6の周囲に配置された複数の楔形空間に、ばね42で噛み込み方向に押されたローラー44を設置したものであり、これは一方向クラッチとしては周知な形態であるため本明細書ではその詳細な説明を省略する。一方向クラッチ36は太陽歯車38の内側に嵌め込まれてこれと一体となる。そして、一方向クラッチ36は、後述するとおり、ここに挿通される出力軸6の回転がローラー44を楔の狭い方向へ移動させる場合には、ローラー44が出力軸6との間で噛み込んで、太陽歯車38を出力軸6と一体回転させる。一方、出力軸6の回転がローラー44を楔の広い方向へ移動させる場合には、ローラー44は出力軸6との間で噛み込まず、出力軸6は太陽歯車38に対して空転する。遊星歯車40には軸方向片側に向かって直線状に延びる筒壁46が設けられている。筒壁46の外径は遊星歯車40のピッチ円直径よりも小さく、延出長さは太陽歯車38の幅(つまり軸方向長さ)と実質上同一である。
図1乃至3と共に図7を参照して説明すると、キャリア10は円環板状の基部48を備えている。基部48には入力軸4の押圧片30が嵌り込む凹部50が形成されている。図示の実施例においては、凹部50は直径方向において対向して2つ形成されおり、凹部50の各々は扇形状であって、周方向両側は夫々矩形平面(つまり押圧片30の側面の形状と同一)である。基部48における凹部50の周方向両側にはこれと近接して、遊星歯車40を軸支するキャリア軸52が固着されている。図示の実施例においては、キャリア軸52は周方向に等角度間隔をおいて4つ配置されている。基部48には、キャリア軸52と平行で、これよりも幾分長い支持片54も固着されている。図示の実施例においては、支持片54の断面は扇形状であって、直径方向に対向して2つ設けられている。キャリア10は更にキャリア補助板56を備えている。キャリア補助板56の片側面には受け孔58が形成されており、受け孔58が支持片54を軸受することで、基部48とキャリア補助板56とは軸方向に間隔をおいて対向して一体的に係合される。キャリア補助板56の他側面には円環状の溝60が形成されている。
図1乃至3を参照して説明すると、上述した各構成部品は以下のような状態でハウジング2の空間部18に収容される。
キャリア10は、基部48がハウジング2の端板部16と接触するようにして配置される。入力軸4は、基部24がキャリア10の中央穴に嵌め合わされると共に押圧片30がキャリア10の基部48に形成された凹部50に嵌め合わされ、軸部26がハウジング2の端板部16を貫通する。第1遊星歯車機構8aはハウジング2の端板部16側、第2遊星歯車機構8bはハウジング2の開口端側に夫々軸方向に重ねて配置される(以下では、第1遊星歯車機構を構成する部品については「a」を、第2遊星歯車機構を構成する部品については「b」を夫々番号の末尾に付して説明する)。このとき、一方向クラッチ36a及び一方向クラッチ36bが出力軸6の空転を許容する回転方向は相互に逆に設定される。つまり、一方向クラッチ36aはここに挿通される出力軸6が図1のA−A断面図の左方から見て(つまり断面図B−Bにおいて)反時計方向に回転するときに出力軸6に対して空転し、一方向クラッチ36bは出力軸6が図1のA−A断面図の右方から見て(つまり断面図C−Cにおいて)反時計方向に回転するときに出力軸6に対して空転するように設定される。遊星歯車40a及び遊星歯車40bは、周方向に見て交互になるようにキャリア軸52に挿通される。キャリア補助板56は、キャリア10の支持片54の延出端部に受け孔58が嵌め合わされて、キャリア10と組み合わされ、第1遊星歯車機構8a及び第2遊星歯車機構8bはキャリア10の基部48とキャリア補助板56とによって軸方向に支持される。そして、キャリア補助板56の溝60に環状の波ばね62が嵌め込まれた状態で、シールド体22が空間部18に強制されこれを閉鎖する。そのため、キャリア10にはキャリア補助板56を介して波ばね62による負荷が付加される。そして、出力軸6が中央に挿通される。
続いて、図1に示すクラッチの作動について、図8を参照して説明する。
図8において矢印で示すように、駆動源のモーターにより入力軸4がA−A断面図の右方から見て時計方向に回転(以下これを正回転とする)すると、入力軸4に固着された押圧片30も同一方向に回転し、押圧片30がキャリア10の凹部50において基部48と当接してこれを押す。このとき、第一遊星歯車機構8aにあっては、断面図B−Bに示すとおり、押圧片30に固着された規制手段32が遊星歯車40aと噛み合い、遊星歯車40aの自転は規制され、入力軸4の回転が遊星歯車40aを介して太陽歯車38aに伝達される。太陽歯車38aと一体である一方向クラッチ36aが同断面図の矢印で示す方向に回転をすると、一方向クラッチ36aのローラー44aが出力軸6の外周面との間で噛み込み、一方向クラッチ36aと出力軸6とは相対回転不能となり一体で回転することとなる。換言すると、入力軸4の正回転は第一遊星歯車機構8aを介して出力軸4に伝達される。
このとき、第二遊星歯車機構8bにあっては、断面図C−Cにおいて矢印で示すとおり、出力軸6と一方向クラッチ36bとの間で噛み込みが生じて太陽歯車38bが回転すると共に、これと噛み合う遊星歯車40bも回転する。
次に、入力軸4が正回転しているときに、出力軸6が入力軸4に対して正回転しようとする場合について説明する。この場合、第一遊星歯車機構8aにあっては、図8の断面図B−Bに示すとおり、ローラー44aは出力軸6の外周面との噛み合いが解除される方向(つまり同断面図において反時計方向)へ移動されるため、出力軸6の回転が一方向クラッチ36aを介して入力軸4に伝達されることはない。第二遊星歯車機構8bにあっては、図8の断面図C−Cに示すとおり、ローラー44bは出力軸6の外周面との噛み合いが生じる方向(つまり同断面図において時計方向)へ移動させられるが、太陽歯車38bと噛み合う遊星歯車40bは自転が規制されていないため、太陽歯車38b及び遊星歯車40bは共に空転する。従って、出力軸6の回転が一方向クラッチ36bを介して入力軸4に伝達されることはない。
入力軸4が逆回転した場合には、入力軸4の回転は第二遊星歯車機構8bを介して出力軸6に伝達される。全体的な作動は、入力軸4が正回転したときと同じであるので詳細な説明については省略する。入力軸4が逆回転しているときに、出力軸6が入力軸4に対して逆回転した場合も、出力軸6の回転が一方向クラッチ36a及び36bを介して入力軸4に伝達されることはない。
以上のことから、本発明のクラッチにあっては、入力軸4の正・逆いずれの回転も出力軸6に伝達される。そして、入力軸4の回転が正・逆いずれの方向であっても、出力軸6が入力軸4からの回転と同じ方向に相対回転した場合には、出力軸6から入力軸4への回転の伝達は遮断される。これにより、本発明のクラッチを正逆両方向に回転するモーターの保護を目的に使用した際には、2つのワンウェイクラッチを電子制御によって切り替えて使用する必要はなく、装置を単純なものにできてコストを削減することができる。
以上詳述したように、本発明のクラッチは、出力軸に連結された2つの遊星歯車機構を軸方向に重ねて配置し、夫々の遊星歯車機構の太陽歯車は相互に反対方向に空転するよう設定された一方向クラッチを介して出力軸に連結され、入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、一方の遊星歯車機構が出力軸と一体となって回転すると共に他方の遊星歯車機構は出力軸に対して空転し、出力軸が入力軸からの回転と同じ方向に相対回転したときは、一方の遊星歯車機構の太陽歯車にのみ出力軸の回転が伝達されるが、出力軸の回転が伝達された太陽歯車と噛み合う遊星歯車が空転することで、入力軸への回転の伝達が遮断されるようにしたものである。
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、上述した実施例においては、規制手段は外歯歯車の一部を切り取った形状であったが、これに替えて、円弧状部材の周方向両側端にのみ外歯を設けた形状(図9(a))や、遊星歯車に噛み込むピン(図9(b))であってもよい。
2:ハウジング
4:入力軸
6:出力軸
8a及び8b:第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構
10:キャリア
30:押圧片
32:規制手段
36a及び36b:一方向クラッチ
38a及び38b:太陽歯車
40a及び40b:遊星歯車
56:キャリア補助板

Claims (4)

  1. 共通の中心軸の周りで回転可能な入力軸及び出力軸と、前記出力軸に連結された2つの遊星歯車機構とを備え、
    前記2つの遊星歯車機構は夫々軸方向に重ねて配置され、前記出力軸に一方向クラッチを介して連結された太陽歯車、及び前記太陽歯車と噛み合う遊星歯車を備え、前記2つの遊星歯車機構の太陽歯車に配設された一方向クラッチの各々は前記出力軸に対して相互に反対の回転方向で空転するよう設定され、前記2つの遊星歯車機構の遊星歯車は夫々前記共通の中心軸の周りを回転可能な共通のキャリアによって回転可能に軸支されており、
    前記入力軸には押圧片が固着されると共に前記キャリアには前記押圧片が嵌り込む凹部が形成され、前記2つの遊星歯車機構の遊星歯車は前記凹部の周方向両側に相互に配置され、前記押圧片には前記遊星歯車の自転を規制する規制手段が固着されており、
    前記入力軸が回転したときは、その回転方向に応じて、前記規制手段が前記2つの遊星歯車機構のいずれか一方の遊星歯車の自転を規制すると共に、前記押圧片が前記凹部で前記キャリアと当接してこれを周方向に押し、前記2つの遊星歯車機構が前記出力軸と一体となって回転し、
    前記出力軸が前記入力軸からの回転と同じ方向に回転したときは、前記2つの遊星歯車機構の太陽歯車のうち、自転が規制されていない遊星歯車と噛み合う太陽歯車に前記出力軸の回転が伝達されるが、前記出力軸の回転が伝達された前記太陽歯車と噛み合う前記遊星歯車は空転し、前記出力軸から前記入力軸への回転の伝達は遮断される、ことを特徴とするクラッチ。
  2. 前記規制手段の断面は外歯歯車の一部を切り欠いた形状である、請求項1に記載のクラッチ。
  3. 前記キャリアに形成された前記凹部の側面の形状は前記押圧片の側面の形状と同一である、請求項1又は2に記載のクラッチ。
  4. 前記キャリアは、板状の基部と、前記基部から軸方向に延びる支持片とを備え、
    前記支持片は、前記キャリアと一体的に結合されるキャリア補助板によって軸受され、前記基部と前記キャリア補助板とは軸方向に間隔をおいて対向する、請求項1乃至3のいずれかに記載のクラッチ。
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