JP2020009680A - 非水電解質二次電池正極用添加剤、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池用正極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池正極用添加剤、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池用正極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷が小さく、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する溶解性に優れると共に、優れた耐電解質性を有する非水電解質二次電池正極用添加剤の提供。【解決手段】ジヒドロキシプロピルセルロースを含有し、前記ジヒドロキシプロピルセルロースのジヒドロキシプロピル置換度(DS)が0.1以上である、非水電解質二次電池正極用添加剤。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池正極用添加剤、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池用正極の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話やノートパソコン等のモバイル端末機器の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池(非水系二次電池)が広く利用されている。前記モバイル端末機器は、高性能化、小型化及び軽量化が進められており、また、ハイブリッド自動車(HEV)や電動工具等にも非水電解質二次電池が用いられるようになっていることから、非水電解質二次電池をより高容量化及び高出力化することが検討されている。また、非水電解質二次電池の高容量化及び高出力化に伴って、充放電の繰り返しによる電極の膨張及び収縮による電池特性の低下を抑制することも要求されている。
電極の作製は、通常、活物質、導電助剤、バインダー及び有機溶媒等を合せ、分散してスラリー化し、集電体上に塗布し、乾燥固化することにより行われる。バインダーとしては、通常、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の有機系フッ素化合物が使用される。また、特許文献1及び2には、フッ化ビニリデン系共重合体等の有機系フッ素化合物の使用について記載されている。しかし、これらのフッ素化合物は、自然環境下では分解性に劣り、環境負荷が大きい。このため、有機系フッ素化合物に代えて、環境負荷の小さいセルロース誘導体などの多糖類をバインダーとして用いることが検討されている。
特許文献3には、「電流集電体と、前記電流集電体上に形成され、正極活物質、非イオン性セルロース系化合物を含む増粘剤、導電剤、およびバインダーを含む正極活物質組成物層と、を備えることを特徴とするリチウム二次電池用正極。」が記載されている。
特許5797206号公報 特許6095654号公報 特開2004−349263号公報
Journal of Polymer science, part A: Polymer Chemistry 2013, 51, 3590-3597
非水電解質二次電池は、正極、負極、電解質、及びセパレータ等によって構成されるところ、従来のセルロース誘導体を含む電極は、耐電解質性が充分ではなく、電解質によって膨潤し、電池特性の低下につながった。
本発明は、環境負荷が小さく、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する溶解性に優れると共に、優れた耐電解質性を有する非水電解質二次電池正極用添加剤を提供することを目的とする。
本発明の第一は、ジヒドロキシプロピルセルロースを含有し、前記ジヒドロキシプロピルセルロースのジヒドロキシプロピル置換度(DS)が0.1以上である、非水電解質二次電池正極用添加剤に関する。
前記非水電解質二次電池正極用添加剤において、前記ジヒドロキシプロピルセルロースのグルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)が、0.5以上10以下であってよい。
本発明の第二は、前記非水電解質二次電池正極用添加剤を含有する、非水電解質二次電池用正極に関する。
本発明の第三は、前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒を分散してスラリーを調製する工程と、前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程とを有する、非水電解質二次電池用正極の製造方法に関する。
本発明によれば、環境負荷が小さく、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する溶解性に優れると共に、優れた耐電解質性を有する非水電解質二次電池正極用添加剤を提供することができる。
[非水電解質二次電池正極用添加剤]
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、ジヒドロキシプロピルセルロースを含有し、前記ジヒドロキシプロピルセルロースのジヒドロキシプロピル置換度(DS)が0.1以上である。
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、環境負荷が小さく、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する溶解性に優れると共に、優れた耐電解質性を有する。そのため、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤によれば、環境負荷が小さく、優れた耐電解質性を有する非水電解質二次電池用の正極を得ることができる。
非水電解質二次電池とは、水溶液以外の電解質を用いた二次電池の総称であり、水溶液以外の電解質としては、有機電解液、ポリマーゲル電解質、固体電解質、ポリマー電解質、及び溶融塩電解質等が挙げられる。また、非水電解質二次電池としては、リチウムイオン電池及びリチウムイオンキャパシタ等が挙げられる。
非水電解質二次電池は、少なくとも正極、負極、及び正極と負極との間に配置された電解質を備えることができる。
非水電解質二次電池の電極(特に正極)の作製は、例えば、活物質、導電助剤、バインダー及び有機溶媒等を分散してスラリー化し、当該スラリーを集電体上に塗布し、乾燥固化して、塗膜を形成することにより行われるところ、当該有機溶媒として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エステル等のエステル系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等が知られている。また、これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースの水酸基の水素がジヒドロキシプロピル基で置換されたものの他;セルロースの水酸基の水素を置換したジヒドロキシプロピル基の1又は2の水酸基の水素がさらにジヒドロキシプロピル基に置換されたもの、及びジヒドロキシプロピル基の1又は2の水酸基の水素を置換したジヒドロキシプロピル基にさらにジヒドロキシプロピル基が結合したもの等ジヒドロキシプロピル基が互いに多数結合したものも包含する。
ジヒドロキシプロピルセルロースのジヒドロキシプロピル置換度(DS)は0.1以上であるところ、0.2以上2.0以下が好ましく、0.3以上1.0以下がより好ましい。ジヒドロキシプロピル置換度(DS)が上記範囲であることにより、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒、特にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に対する溶解性に優れる。また、非水電解質二次電池に用いられ得る電解質、特に、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートに対する耐膨潤性、及び耐溶解性に優れる。
ここで、ジヒドロキシプロピル置換度(DS)とは、セルロースの繰り返し単位(グルコピラノース単位)あたりの水酸基(2位、3位、及び6位の水酸基)のうち、水素が置換されている水酸基の数(平均値)を示す。
ジヒドロキシプロピル置換度(DS)は、以下の方法により測定することができる。ASTM:D−817−91に準ずる方法や、13C−NMR、H−NMRにより測定できる。具体的には、非特許文献1に開示されている方法を用いることができる。すなわち、置換度(DS)は、DMSO中で13C-NMRを測定することにより定量可能である。グルコースのC2,C3,C4に結合する酸素原子が置換されていない(C-OH)あるいは、炭素原子で置換されているかによって、グルコースの炭素原子のピークが異なる化学シフトに検出されることに基づいている。
ジヒドロキシプロピルセルロースは、グルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)が、0.5以上10以下が好ましく、0.7以上5.0以下がより好ましく、0.9以上2.5以下がさらに好ましい。MSが上記範囲であることにより、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒、特にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に対する溶解性に優れる。
グルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)は、以下の方法により測定することができる。非特許文献1に記載される手順のように、ジヒドロキシプロピルセルロースを完全プロピオニルエステル化したのち、H-NMRを測定することで、定量可能である。なお、ジヒドロキシプロピルセルロースには、セルロース骨格に直接結合するOH基と、ジヒドロキシプロピル基に結合するOH基の二種類のOH基が存在し、1個のグルコース環あたりの、これら二種類のOH基の数は、3+(MS)である。
ジヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースに、塩基触媒下、グリシドールまたはエピクロロヒドリンと反応させることにより調製できる。
また、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤を電極に添加することにより、柔軟性が高く、電極塗膜と集電体との密着性に優れた電極を得ることができる。
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、活物質同士の結着性、及び塗膜と集電体との密着性を向上できるため、電極を構成するバインダーとして添加することも好ましい。バインダーとは、活物質同士の結着、または塗膜と集電体とを結着させ、導電ネットワーク構造を保つものである。
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、バインダーとして従来公知のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の有機系フッ素化合物と併用してもよい。
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する溶解性に優れることから、添加により電極の作製を容易とする。
[非水電解質二次電池用正極]
本開示の非水電解質二次電池用正極は、前記非水電解質二次電池正極用添加剤を含有するものである。本開示の非水電解質二次電池用正極は、環境負荷が小さく、優れた耐電解質性を有する。また、柔軟性が高く、電極塗膜と集電体との密着性にも優れる。
[非水電解質二次電池用正極の製造方法]
本開示の非水電解質二次電池用正極の製造方法は、前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒を分散してスラリーを調製する工程と、前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程とを有する。
(スラリーを調製する工程)
スラリーを調製する工程は、前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒を分散する。
前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒を分散する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒の添加順序も特に限定されるものではない。例えば、有機溶媒に対し、前記非水電解質二次電池正極用添加剤(例えば、前記ジヒドロキシプロピルセルロース)、正極活物質、及び導電助剤を添加し、分散してスラリーを調製する方法;並びに、有機溶媒に対し、正極活物質を添加して分散し、導電助剤を添加して分散し、さらに、前記非水電解質二次電池正極用添加剤(例えば、前記ジヒドロキシプロピルセルロース)を添加して分散することによりスラリーを調製する方法等が挙げられる。
分散は、粉砕機や分級機を用いて行ってもよい。例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル及び篩等が挙げられる。
ここで、スラリーとは、前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、及び導電助剤を有機溶媒に懸濁させた懸濁液をいい、当該スラリーには、前記非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質及び導電助剤の他、任意成分が含まれていてもよい。
(非水電解質二次電池正極用添加剤)
非水電解質二次電池正極用添加剤は、上記のとおり、ジヒドロキシプロピルセルロースを含有するものである。
前記スラリーにおける非水電解質二次電池正極用添加剤の含有量は、有機溶媒を除く、スラリーの固形分全体に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
非水電解質二次電池正極用添加剤は、活物質同士の結着性、及び塗膜と集電体との密着性を向上できるため、非水電解質二次電池用正極のバインダーとして好適である。このとき、バインダーとして従来公知のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の有機系フッ素化合物と、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤とを併用してもよい。
また、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、電極を構成する材料の分散性を高めることもできるため、非水電解質二次電池用正極の分散剤としても好適である。
例えば、上記スラリーを調製する工程において、有機溶媒に対し、正極活物質を添加して分散し、導電助剤を添加して分散し、さらに、前記非水電解質二次電池正極用添加剤(例えば、前記ジヒドロキシプロピルセルロース)を添加して分散することによりスラリーを調製する方法を用いる場合に、導電助剤に代えて、導電助剤、前記非水電解質二次電池正極用添加剤(例えば、前記ジヒドロキシプロピルセルロース)及び少量の有機溶媒を分散したものを用いることができる。導電助剤は、活物質に比べて粒子径が小さく、分散性に乏しいため、予め前記非水電解質二次電池正極用添加剤(例えば、前記ジヒドロキシプロピルセルロース)及び少量の有機溶媒と分散しておくことにより、得られるスラリー全体をより均一に分散できる。
(正極活物質)
正極活物質とは、二次電池において、充放電に直接関与する物質であって、正極に用いられるものをいう。
正極活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池に使用されている従来公知のもの、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出可能とする、リチウム−遷移金属複合酸化物及びリチウム−遷移金属リン酸化合物等が挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiMnO、LiCoO、及びLiNiO等が、リチウム−遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO等が挙げられる。
前記スラリーにおける正極活物質の含有量は、有機溶媒を除くスラリーの固形分全体に対して、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下がより好ましい。
(導電助剤)
導電助剤とは、活物質間の導電を補助する物質をいう。
導電助剤としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、及び気相成長カーボン繊維等の導電性カーボンが挙げられる。これらの導電助剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スラリーにおける導電助剤の含有量は、有機溶媒を除く、スラリーの固形分全体に対して、1質量%以上25質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、及びキシレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エステル等のエステル系溶媒;並びに、ヘキサン、及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、上記のとおり、特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に対する溶解性に優れる。したがって、スラリーの調製に用いられる有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好適である。
前記スラリーにおける有機溶媒の含有量は、有機溶媒を除く、スラリーの固形分を100質量部として、50質量部以上300質量部以下が好ましく、75質量部以上150質量部以下がより好ましい。
(任意成分)
スラリーには、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤及び有機溶媒の他、必要に応じて、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤、及び増粘剤等の従来公知の任意成分が含まれていてもよい。
分散剤としては、疎水性鎖と親水性基をもつ高分子化合物;硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等を有するアニオン性化合物;及びアミン等のカチオン性化合物等を用いることができる。具体的には、例えば、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチラール、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、及びポリビニルピロリドン等を用いることができる。また、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤が含有するジヒドロキシプロピルセルロースは、電極を構成する材料の分散性を高めることもできるため、非水電解質二次電池用正極の分散剤としても好適である。
(前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程)
前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程において、スラリーを箔状の集電体に塗布する方法としては、従来公知のものを採用できる。スラリーを集電体に塗布する方法としては、バーコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、及びインクジェット法等があげられる。
スラリーの塗布により形成される塗膜の厚み及び面積は特に限定されず、用途に応じて塗布量、塗布面積等を適宜調整して塗布すればよい。また、箔状の集電体の一方の面に塗布してよく、両面に塗布してもよい。塗布量としては、例えば、片面目付け量が100g/m以上500g/m以下であってよい。
集電体を形成する材料としては、従来公知の材料を用いることができる。例えば、リチウムイオン二次電池の正極集電体として知られるアルミニウムを用いることが好ましい。なお、正極集電体として知られるアルミニウムを用いる場合、負極集電体としては、銅を用いることができる。また、正極集電体の厚みは、1μm以上100μm以下であってよい。
(任意工程)
前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程の後、塗布したスラリーを乾燥してもよい。スラリーの乾燥により、主に有機溶媒等を除去して、箔状の集電体上に塗膜を定着させる。
乾燥の条件(例えば、乾燥温度や所要時間)は、スラリーの固形分率、スラリーに含まれる材料、目的とする塗膜の厚み等に応じて適宜決定すればよい。スラリーに含まれる有機溶媒の引火温度を下回り、かつ集電体の酸化や変色が生じる温度を下回る温度が好ましい。例えば、有機溶媒として、N−メチル−2−ピロリドンを用い、集電体として、アルミニウムを用いる場合、乾燥温度は60℃以上130℃以下が好ましく、70℃以上110℃以下がより好ましい。
乾燥方法としては、例えば熱風装置、低湿風装置、真空装置、各種赤外線装置、電磁誘導装置、マイクロ波装置等の適当な乾燥装置や、送風機等の乾燥促進手段を単独または組み合わせて用いることができる。
また乾燥は複数回に分けて実施してもよく、例えば、集電体の一方の面に配置した場合は1回、両面に配置した場合は2回実施することが出来る。
集電体上に形成される乾燥後の塗膜の厚みとしては、従来公知の厚みを採用できる。例えば、10μm以上80μmであってよい。
[非水電解質二次電池]
上記の非水電解質二次電池正極の製造方法により製造した非水電解質二次電池用正極を用いて、非水電解質二次電池を製造する場合、従来公知の方法により製造すればよい。
少なくとも、非水電解質二次電池は、正極、負極、及び正極と負極との間に配置された電解質を備えることができる。非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池を製造する場合、電解質(特に電解液)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネート等のカーボネート類の有機溶媒を用いることができる。
本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、これらのカーボネート類の有機溶媒、特に、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートにより膨潤しにくい。そのため、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤を含有する電極は、これらのカーボネート類の有機溶媒を電解質としても、耐電解質性、特に、耐膨潤性、及び耐溶解性に優れる。したがって、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤を含有する電極により構成される非水電解質二次電池は、充放電の繰り返しにより、電極の膨張及び収縮が繰り返されても、電池特性の低下を抑制することが期待される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
(実施例A−1)
攪拌機、冷却管を備えた丸底フラスコに、水800g、NaOH60g、及び尿素40gからなる混合液を入れ、当該混合液にセルロース(「微結晶セルロース」)20gを加え、−20℃で、12時間攪拌した。続いて、グリシドール140gを混合液に滴下し、室温で24時間攪拌を継続した。さらに、酢酸93gを加えて、NaOHを中和した後、メタノール1600gを加えて、生成しているジヒドロキシプロピルセルロースを沈殿させた。得られた沈殿物をろ過にて回収し、メタノール1000mLで繰り返し洗浄することで、ジヒドロキシプロピルセルロースを30.1g得た。
得られたジヒドロキシプロピルセルロースについて、以下の方法で、ジヒドロキシプロピルセルロース置換度(DS)、グルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)を測定し、また、耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性をそれぞれ評価した。結果は表1に示す。
(実施例A−2)
グリシドールの仕込み量を90gに変更した以外は、実施例A−1と同様にして、ジヒドロキシプロピルセルロースを24.8g得た。
得られたジヒドロキシプロピルセルロースについて、以下の方法で、ジヒドロキシプロピルセルロース置換度(DS)、グルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)を測定し、また、耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性をそれぞれ評価した。結果は表1に示す。
(ジヒドロキシプロピルセルロース置換度(DS))
DMSO中で13C-NMRを測定することにより定量した。
(グルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS))
ジヒドロキシプロピルセルロースを完全プロピオニルエステル化したのち、H-NMRを測定することにより定量した。
(耐電解質性)
サンプル濃度が約5質量%となるよう、容量9mlのサンプル管に、サンプルを約0.1g入れ、続いて、電解質として有機溶媒を約2g入れた。45℃で一晩攪拌し、サンプル管内の様子を目視で観察した。有機溶媒としてエチレンカーボネートを用いた場合、及び有機溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた場合、それぞれについて耐電解質性の評価を行った。
耐電解質性を以下の基準により評価した。
A:サンプルは、有機溶媒に溶解しない、膨潤も起こらず、粉状のままである。
B:サンプルは、有機溶媒に溶解しないが、膨潤がおきており、粉状は残っていない。
C:サンプルは、有機溶媒にほぼ溶解している。膨潤部分も無く、多少にごりがあるか、もしくは透明の溶液となっている。
(有機溶媒への溶解性)
サンプル濃度が約5質量%となるよう、容量9mlのサンプル管に、サンプルを約0.1g入れ、続いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を約2g入れた。45℃で一晩攪拌し、サンプル管内の様子を目視で観察した。
有機溶媒への溶解性を以下の基準により評価した。
A:サンプルは、有機溶媒に溶解しない、膨潤も起こらず、粉状のままである。
B:サンプルは、有機溶媒に溶解しないが、膨潤がおきており、粉状は残っていない。
C:サンプルは、有機溶媒にほぼ溶解している。膨潤部分も無く、多少にごりがあるか、もしくは透明の溶液となっている。
(比較例A−1)
セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.9、LT−35:(株)ダイセル製)について、上記の方法で耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性を評価した。結果は表1に示す。
(比較例A−2)
セルロースジアセテート(アセチル置換度:2.4、L−30:(株)ダイセル製)について、上記の方法で耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性を評価した。結果は表1に示す。
(比較例A−3)
メチルセルロース(メチル置換度:1.8、和光純薬(株)製)について、上記の方法で耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性を評価した。結果は表1に示す。
(比較例A−4)
PVDF(ポリフッ化ビニリデン:KYNAR(登録商標)HSV900)について、上記の方法で耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性を評価した。結果は表1に示す。
(比較例A−5)
PVDF(ポリフッ化ビニリデン:KYNAR(登録商標)HSV1800)について、上記の方法で耐電解質性、及び電極の作製に用いる有機溶媒への溶解性を評価した。結果は表1に示す。
Figure 2020009680
表1に示すように、本開示の非水電解質二次電池正極用添加剤は、非水電解質二次電池の電極の作製に用いられる有機溶媒に対する優れた溶解性を有すると共に、電解質に対しては溶解も膨潤もせず優れた耐電解質性を有する。
(実施例B−1)
コバルト酸リチウム(LiCoO)(日本化学工業製、セルシードC5H)100質量部、カーボンブラック(電気化学工業製、デンカブラック)2質量部、実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロース2質量部を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー(言い換えれば、スラリー状の正極合剤)を調製した。N−メチル−2−ピロリドンの添加量はジヒドロキシプロピルセルロースのインヘレント粘度(極限粘度)に応じて適宜調整し、合剤の粘度が、E型粘度計を用いて、25℃、せん断速度2s−1で測定を行った際、5000〜30000mPa・sとなるよう調整した。N−メチル−2−ピロリドンの添加量は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、カーボンブラック、及び実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロースの合計含量100質量部に対し、120質量部となった。
前記スラリー(言い換えれば、正極合剤)を、厚み15μmのAl(アルミニウム)箔上にバーコーターで塗布し(バーコート法)、110℃で30分熱風乾燥し、片面目付け量が200g/mの片面塗工電極(正極)を作製した。得られた電極について、以下の方法で電極塗膜と集電体との密着性を評価した。結果は表2に示す。
(密着性:電極折り曲げ試験)
電極塗膜と集電体との密着性を以下の方法により評価した。電極を幅25mm×長さ90mmの矩形に切って試験片とした。試験片を直径10mmのステンレス棒に巻きつけ、目視にて電極の割れの有無を以下の基準により評価した。ひび割れまたは剥がれが少ないほど、電極が柔軟性が高く、電極塗膜と集電体との密着性に優れることを示す。
A:割れは認められなかった
B:表面にひびが認められた
C:割れが発生し、剥離が生じた
(実施例B−2)
コバルト酸リチウム(LiCoO)(日本化学工業製、セルシードC5H)100質量部、カーボンブラック(電気化学工業製、デンカブラック)2質量部、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ(株)製)2質量部、及び実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロース2質量部を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリー(言い換えれば、スラリー状の正極合剤)を調製した。N−メチル―2−ピロリドンの添加量はフッ化ビニリデン系共重合体とジヒドロキシプロピルセルロースのインヘレント粘度(極限粘度)に応じて適宜調整し、合剤の粘度が、E型粘度計を用いて、25℃、せん断速度2s−1で測定を行った際、5000〜30000mPa・sとなるよう調整した。N−メチル−2−ピロリドンの添加量は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、カーボンブラック、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロースの合計含量を100質量部に対し、135質量部となった。
前記スラリー(言い換えれば、正極合剤)を、厚み15μmのAl(アルミニウム)箔上にバーコーターで塗布し(バーコート法)、110℃で30分熱風乾燥し、片面目付け量が200g/mの片面塗工電極(正極)を作製した。得られた電極について、上記の方法で電極塗膜と集電体との密着性を評価した。結果は表2に示す。
(実施例B−3)
平均一次粒径14nm、比表面積290m/gのカーボンブラック(CB)25質量部、実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロース3.75質量部、N−メチル2−ピロリドン(NMP)71.25質量部を混合し、体積87mlの混合物を得た。この混合物に対して媒体粒子として直径が0.25mmのジルコニアビーズを87cm使用し、サンドミルを用いてディスク回転周速10m/秒の速さで2時間、分散を行い、CBスラリーを得た。
このときのジルコニアビーズの媒体粒子数Nは、CBスラリー体積あたり約81500個/mlであった。また、このCBスラリーの平均粒径をレーザー回折散乱法により測定したところ、202nmであった。
次いで、このCBスラリー40質量部と、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)(日本化学工業製、セルシードC5H)を85質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部とを、溶媒としてN−メチル2−ピロリドン(NMP)を用いて、固形分濃度が45質量%となるように混合し、直径が0.25mmのジルコニアビーズを87cm使用し、サンドミルを用いてディスク回転周速7.5m/秒の速さで15分間、混合を行い、スラリー(言い換えれば、スラリー状の正極合剤)を調製した。
前記スラリー(言い換えれば、正極合剤)を、厚み15μmのAl(アルミニウム)箔上にバーコーターで塗布し(バーコート法)、110℃で30分熱風乾燥し、片面目付け量が200g/mの片面塗工電極(正極)を作製した。得られた電極について、上記の方法で電極塗膜と集電体との密着性を評価した。結果は表2に示す。
(比較例B−1)
ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ(株)製)2質量部、及び実施例A−1により得られたジヒドロキシプロピルセルロース2質量部を用いる代わりに、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ(株)製)4質量部を用いて、実施例B−2と同様な方法で、片面塗工電極(正極)を作製した。得られた電極について、上記の方法で電極塗膜と集電体との密着性を評価した。結果は表2に示す。
Figure 2020009680
表2に示すように、本開示の非水電解質二次電池用正極は、柔軟性が高く、電極塗膜と集電体との密着性に優れる。

Claims (4)

  1. ジヒドロキシプロピルセルロースを含有し、
    前記ジヒドロキシプロピルセルロースのジヒドロキシプロピル置換度(DS)が0.1以上である、非水電解質二次電池正極用添加剤。
  2. 前記ジヒドロキシプロピルセルロースのグルコース単位あたりに結合したジヒドロキシプロピル基の平均数(MS)が、0.5以上10以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池正極用添加剤。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池正極用添加剤を含有する、非水電解質二次電池用正極。
  4. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池正極用添加剤、正極活物質、導電助剤、及び有機溶媒を分散してスラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを箔状の集電体上に塗布する工程とを有する、非水電解質二次電池用正極の製造方法。
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