JP2020121702A - 車両用電気ケーブルの固定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動を吸収して車両用電気ケーブルに対するダメージを低減するとともに、車両用電気ケーブルに対する保持力の低下を抑制できる車両用電気ケーブルの固定装置を提供する。【解決手段】車両用電気ケーブル90の固定装置である中継プロテクタ80は、3本の車両用電気ケーブル90を第2方向に並べて挿通させた状態で挟持する相対向する支持部材50及びカバー部材60を備える。支持部材50において、内側の第1部材10は弾性部材(例えば、エチレン・プロピレン・ジエン・ゴム)であり、外側の第3部材30は金属(例えば冷間圧延鋼板)である。カバー部材60において、内側の第2部材20は弾性部材であり、外側の第4部材40は金属である。第1部材10の内側には、車両用電気ケーブル90を第2方向の両側から挟むことによりその変形を抑制する第1突部10aが設けられている。【選択図】図5
Description
本発明は、車両用電気ケーブルを保持して固定する車両用電気ケーブルの固定装置に関する。
車両用電気ケーブルを保持して固定する車両用電気ケーブルの固定装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のものがそれである。特許文献1に記載の車両用電気ケーブルの固定装置では、被固定部材である車両用電気ケーブルは筒形状の金属パイプの内部に収容され、その金属パイプがクランプ具により位置固定の部材に固定されている。
上述の特許文献1に記載の車両用電気ケーブルの固定装置では、車両用電気ケーブルを収容する金属パイプが必要であるため、コスト削減のために固定装置が車両用電気ケーブルを直接保持することが考えられる。例えば、車両用電気ケーブルを相対向する弾性部材で挟持して保持することが考えられるが、この場合には車両用電気ケーブルに対する振動は吸収される一方、車両用電気ケーブルがそれを挟持する弾性部材により変形させられてしまい車両用電気ケーブルに対する保持力(押圧力)が低下してしまうおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、振動を吸収して車両用電気ケーブルに対するダメージを低減するとともに、車両用電気ケーブルに対する保持力の低下を抑制できる車両用電気ケーブルの固定装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、複数本の車両用電気ケーブルを並列方向に並べて挿通させた状態で挟持する相対向する支持部材及びカバー部材を備える車両用電気ケーブルの固定装置であって、前記支持部材及び前記カバー部材の内側はそれぞれ弾性部材であり、前記支持部材及び前記カバー部材の外側はそれぞれ金属であり、前記支持部材及び前記カバー部材の少なくとも一方の前記内側には、前記複数本の車両用電気ケーブルを前記並列方向における両側から挟む相対向する仕切部が設けられ、前記相対向する仕切部は前記複数本の車両用電気ケーブルの変形を抑制することにある。
本発明によれば、前記支持部材及び前記カバー部材の内側はそれぞれ弾性部材であり、前記支持部材及び前記カバー部材の外側はそれぞれ金属であり、前記支持部材及び前記カバー部材の少なくとも一方の前記内側には、前記複数本の車両用電気ケーブルを前記並列方向における両側から挟む相対向する仕切部が設けられ、前記相対向する仕切部は前記複数本の車両用電気ケーブルの変形を抑制する。
支持部材及びカバー部材の外側の金属が、それぞれ支持部材及びカバー部材の内側の弾性部材を内側に向けて押さえているため、支持部材及びカバー部材の内側の弾性部材による車両用電気ケーブルに対する保持力の低下が抑制される。また、支持部材及びカバー部材の少なくとも一方の内側に弾性部材によって設けられた隣接する仕切部の間に形成されたそれぞれの溝部に複数の車両用電気ケーブルがそれぞれ挿通され、車両用電気ケーブルを並列方向における両側から挟む相対向する仕切部によって車両用電気ケーブルの変形が抑制される。車用用電気ケーブルの変形が抑制されるため、仕切部が設けられず車両用電気ケーブルの変形が抑制されていない場合に比較して、相対向する支持部材及びカバー部材のそれぞれの内側の弾性部材による車両用電気ケーブルに対する保持力の低下が抑制される。支持部材及びカバー部材のそれぞれの内側の弾性部材は、車両用電気ケーブルの振動を吸収する。したがって、車両用電気ケーブルに対して振動が発生した場合でも支持部材及びカバー部材のそれぞれの内側の弾性部材によってその振動が吸収されて車両用電気ケーブルへのダメージが低減されるとともに、車両用電気ケーブルの変形が抑制されて支持部材及びカバー部材の内側の弾性部材による車両用電気ケーブルに対する保持力の低下が抑制される。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の実施例に係る車両用電気ケーブル90の固定装置である中継プロテクタ80の適用例を説明する図である。
図1に示されているのは、電気自動車100のエンジンルーム内の概略構成である。エンジンルーム内では、不図示のトランスアクスル、インバータ110、電動機130、及び充電器150が互いに締結されている。電気自動車100では、充電器150に充電された直流電力がインバータ110により交流電力に変換され、その変換された交流電力により電動機130が回転駆動される。この電動機130の駆動力が電気自動車100の駆動輪に伝達される。
インバータ110から電動機130への電力供給は、複数本(本実施例では3本)の車両用電気ケーブル90(以下、「電気ケーブル90」と記す。)を介して行われる。例えば、3本の電気ケーブル90は、U相、V相、及びW相の三相の交流電力の供給を行うものである。3本の電気ケーブル90の一端側は、インバータ側コネクタ120に接続され、それらの他端側は、電動機側コネクタ140に接続されている。インバータ側コネクタ120には、インバータ110内のケーブルが接続され、電動機側コネクタ140には、電動機130内のケーブルが接続されている。これにより、インバータ110から出力された交流電力が、インバータ側コネクタ120、複数本の電気ケーブル90、及び電動機側コネクタ140を介して電動機130に供給される。
3本の電気ケーブル90は、例えばそれぞれ金属線を撚り合せた電線の外周を絶縁性樹脂が用いられて被覆したものである。その両端がインバータ側コネクタ120と電動機側コネクタ140とによって拘束される比較的電線径が太い電気ケーブル90は、たわむことによる周辺部品への接触等の干渉を抑制するために、電気ケーブル90の中間部(すなわち、電気ケーブル90の一端側と他端側との間の部分)が中継プロテクタ80によって保持される。なお、中継プロテクタ80は、本発明における「固定装置」に相当する。
図2は、図1に示す中継プロテクタ80の斜視図である。図3は、図2に示す中継プロテクタ80を構成する第1部材10及び第2部材20の斜視図である。図4は、図2に示す中継プロテクタ80を構成する第3部材30及び第4部材40の斜視図である。なお、図2、図3、図4、後述の図5、及び後述の図6のそれぞれにおいて示されている第1(幅)方向、第2(長手)方向、及び第3(厚み)方向は、図が異なってもそれぞれ同じ方向である。第1方向及び第2方向は互いに垂直な方向であり、第3方向は第1方向及び第2方向のいずれに対しても垂直な方向である。
図2に示すように、中継プロテクタ80は、第1部材10、第2部材20、第3部材30、及び第4部材40を備える。中継プロテクタ80において、第1部材10及び第3部材30が支持部材50を構成し、第2部材20及び第4部材40がカバー部材60を構成する。支持部材50及びカバー部材60は、相対向して電気ケーブル90を挿通させた状態で電気ケーブル90の中間部を挟持する。ここで、支持部材50及びカバー部材60において、電気ケーブル90を挟持した状態における電気ケーブル90側を内側とし、その内側とは反対側を外側ということとする。第1部材10は支持部材50の内側の部材であり、第3部材30は支持部材50の外側の部材である。第2部材20はカバー部材60の内側の部材であり、第4部材40はカバー部材60の外側の部材である。なお、第1部材10及び第3部材30は、それぞれ本発明における「支持部材の内側」及び「支持部材の外側」に相当し、第2部材20及び第4部材40は、それぞれ本発明における「カバー部材の内側」及び「カバー部材の外側」に相当する。
図3に示すように、第1部材10は、全体として第2方向に長手状の部材である。第1部材10は、弾性部材(例えばエチレン・プロピレン・ジエン・ゴムEPDM等のゴム部材)である。なお、弾性部材である第1部材10は、後述する鋼板等の金属製である第3部材30よりも弾性率が小さい。第1部材10の第3方向における内側には、第1方向に伸びる複数の第1突部10aが電気ケーブル90の半径(=直径D0/2)よりも大きく直径D0よりも小さい高さで設けられている(図5参照)。隣接する第1突部10aの間には電気ケーブル90を確実に収容できる溝幅で第1方向に貫通する第1溝部10bが形成され、第1溝部10bは第3方向における内側方向に開口部を有している。第1部材10の第3方向における外側には、第1方向の両端部にそれぞれ第2方向に伸びる第2突部10cが設けられている。この両端部に設けられた第2突部10cの間には第2方向に貫通する第2溝部10dが形成され、第2溝部10dは第3方向における外側方向に開口部を有している。
図3に示すように、第2部材20は、全体として第2方向に長手状の部材である。第2部材20は、弾性部材(例えばエチレン・プロピレン・ジエン・ゴムEPDM等のゴム部材)である。なお、弾性部材である第2部材20は、後述する鋼板等の金属製である第4部材40よりも弾性率が小さい。第2部材20の第3方向における内側には、第2方向の両端部にそれぞれ第3方向の内側に突出する第1突部20a(図3では、一端部側の第1突部20aのみが図示されている)が設けられている。第2部材20の第3方向における外側には、第1方向の両端部にそれぞれ第2方向に伸びる第2突部20bが設けられている。この両端部に設けられた第2突部20bの間には第2方向に貫通する溝部20cが形成され、溝部20cは第3方向における外側方向に開口部を有している。第2部材20において、溝部20cの底面を構成して第2方向に伸びている部分が平坦部20dである。
図4に、第3部材30の斜視図が示されている。第3部材30は、金属製(例えば冷間圧延鋼板等の鋼板)である。例えば、第3部材30は金属板を加工して形成される。第3部材30の第2方向における中央部には、第1部材10の第2溝部10dに対応して嵌込み可能な押さえ部30aが設けられている。押さえ部30aの第2方向の一端側には第1端部30bが設けられ、他端側には第2端部30dが設けられている。押さえ部30aとの接続部分における第1端部30bの第1方向の両端は、押さえ部30aの両端よりも第1方向にそれぞれ伸びている。押さえ部30aとの接続部分における第2端部30dの第1方向の両端は、押さえ部30aの両端よりも第1方向にそれぞれ伸びている。
第1端部30bには、第3方向に貫通する貫通穴30cが1箇所設けられている。第2端部30dの第2方向における中間部において、第2端部30dは第3方向における内側方向に折り曲げられた部分を有する。第2端部30dは、押さえ部30aとの接続部分から第2方向の外方(押さえ部30aとの接続部分とは反対の方向)へ伸びるのに従って第1方向に幅広となっている。第2端部30dにおける折り曲げられた部分よりも第2方向の外方に伸びている部分には、第3方向に貫通するボルト穴30fが2箇所設けられている。このボルト穴30fは、複数本の電気ケーブル90を保持した中継プロテクタ80を非回転部材、例えばトランスアクスルのケースに固定して取り付けるためのボルトを通す穴である。押さえ部30aの第2端部30d側には、被係止部30eが設けられている。
図4に、第4部材40の斜視図が示されている。第4部材40は、金属製(例えば冷間圧延鋼板等の鋼板)である。例えば、第4部材40は金属板を加工して形成される。
第4部材40には、第2部材20の溝部20cに対応して嵌込み可能な押さえ部40aが設けられている。押さえ部40aの一端側には、第1端部40bが設けられ、他端側には第2端部40dが設けられている。
第1端部40bは、押さえ部40aとの接続部分から第3方向における内側方向に折り曲げられた部分及びさらにその折り曲げられた先端から第2方向における外方(押さえ部40aとの接続部分とは反対の方向)へ折り曲げられた部分である。第2端部40dは、押さえ部40aとの接続部分から第3方向における内側方向に折り曲げられた部分及びさらにその折り曲げられた先端に係止部40eが設けられた部分である。後述するように中継プロテクタ80が組み立てられた場合には、第4部材40の係止部40eは第3部材30の被係止部30eに係止可能な構成となっている。押さえ部40aとの接続部分における第1端部40bの第1方向の両端は、押さえ部40aの両端よりも第1方向にそれぞれ伸びている。押さえ部40aとの接続部分における第2端部40dの第1方向の両端は、押さえ部40aの両端よりも第1方向にそれぞれ伸びている。
第1端部40bの第2方向における外方へ折り曲げられた部分には、第3方向に貫通する貫通穴40cが1箇所設けられている。後述するように中継プロテクタ80が組み立てられた場合には、第4部材40の貫通穴40cと第3部材30の貫通穴30cとは、第1方向及び第2方向における位置が同じになる。
ここから、中継プロテクタ80の組み立て方法について説明する。まず、第3部材30の押さえ部30aに対して第1部材10の第2溝部10dを嵌め込み、第1部材10に対向させて第2部材20を配置する。さらに、第4部材40の係止部40eを第3部材30の被係止部30eに係止させつつ、第2部材20の溝部20cに対して押さえ部40aを嵌め込み、第4部材40の第1端部40bと第3部材30の第1端部30bとが重なるようにする。第3部材30の貫通穴30cと第4部材40の貫通穴40cとは第1方向及び第2方向における位置が同じであるため、これら貫通穴30c及び貫通穴40cをリベットで固定する。これにより、図2に示す中継プロテクタ80が組み立てられる。なお、実際には、相対向する第1部材10の第1溝部10bと第2部材20の平坦部20dとで囲まれたそれぞれの部分において、3本の電気ケーブル90が第2方向に並べて挿通された状態でそれぞれ挟持されて保持される。なお、第2方向は、本発明における「並列方向」に相当する。
組み立て後の状態において、第1部材10の第1方向への移動は、押さえ部30aの第1部材10の第2溝部10dへの嵌め込みにより制限され、第1部材10の第2方向への移動は、第1端部30b及び第2端部30dの押さえ部30aとの接続部分における第1方向に伸びている部分がそれぞれ第1部材10の第2突部10cを第2方向で挟んでいるため制限される。組み立て後の状態において、第2部材20の第1方向への移動は、押さえ部40aの第2部材20の溝部20cへの嵌め込みにより制限され、第2部材20の第2方向への移動は、第1端部40b及び第2端部40dの押さえ部40aとの接続部分における第1方向に伸びている部分がそれぞれ第2部材20の第2突部20bを第2方向で挟んでいるため制限される。
図5は、図2に示す中継プロテクタ80及び電気ケーブル90の状態を説明する模式図であって、(a)は電気ケーブル90が中継プロテクタ80の支持部材50とカバー部材60とで挟持される前の状態(組み立て前の状態)であり、(b)は電気ケーブル90が中継プロテクタ80の支持部材50とカバー部材60とで挟持された状態(組み立て後の状態)である。図5は、図2に示す第1方向から見た電気ケーブル90及び中継プロテクタ80の断面図である。
図5(a)に示すように、電気ケーブル90が中継プロテクタ80の支持部材50とカバー部材60とで挟持される前の状態では、断面が直径D0[mm]の円形の3本の電気ケーブル90が第1部材10における溝幅W[mm](>D0)の第1溝部10bにそれぞれ嵌め入れられている。電気ケーブル90の直径D0は、第3方向における第1部材10の第1突部10aの高さH1[mm]と第2部材20の第1突部20aの高さH2[mm]との合計値よりも大きい。そのため、第2方向における両端部での第1突部10aと第1突部20aとの間には隙間がある。第1突部10aの高さH1は、電気ケーブル90の直径D0よりも小さく、半径(=D0/2)よりも大きい。第3方向において、第1部材10の外側には第3部材30の押さえ部30aがあり、第2部材20の外側には第4部材40の押さえ部40aがある。
図5(b)に示すように、電気ケーブル90が中継プロテクタ80の支持部材50とカバー部材60とで挟持された状態では、第3方向における第1溝部10bの底面と平坦部20dとの間の隙間の距離G1[mm]は、金属である押さえ部30a及び押さえ部40aによる第3方向における隙間の距離G0[mm]に応じて変化する。隙間の距離G1が、第1突部10aの高さH1と第1突部20aの高さH2との合計値よりも小さい場合には、第2方向の両端部における第1突部10a及び第1突部20aは、押さえ部30a及び押さえ部40aにより第3方向に押しつぶされた状態となっている。隙間の距離G1の大きさに応じて、第1部材10及び第2部材20が電気ケーブル90を挟持する押圧力が変化する。
図5(b)に示すように、電気ケーブル90は、第1部材10及び第2部材20により押圧されることで変形する。電気ケーブル90の断面は円形から楕円形に変形し、第2方向の長径(長軸の長さ)D1[mm]が直径D0よりも大きくなり、第3方向の短径(短軸の長さ)D2[mm]が直径D0よりも小さくなる。電気ケーブル90の断面について第2方向の長径D1が大きくなることが電気ケーブル90の第2方向における両側に配設された第1突部10aによって抑制されるため、第2方向の長径D1は第1溝部10bの溝幅Wに制限される。言い換えると、第1部材10には、電気ケーブル90のそれぞれを第2方向における両側から挟むことにより電気ケーブル90の変形を抑制する相対向する第1突部10aが設けられている。なお、第1部材10の内側に設けられた第1突部10aは、本発明における「仕切部」に相当する。
電気ケーブル90の断面について第2方向の長径D1が大きくなることが抑制されるため、電気ケーブル90の断面について第3方向の短径D2が小さくなることが抑制され、第3方向の短径D2は隙間の距離G1よりも大きくされる。このため、電気ケーブル90は、第3方向において弾性部材である第2部材20の平坦部20dに食い込む。これにより、電気ケーブル90は、第3方向において弾性部材である第1部材10の第1溝部10bの底面と第2部材20の平坦部20dとにより押圧された状態で挟持されて保持される。なお、第3方向において、弾性部材である第1部材10は金属である第3部材30の押さえ部30aにより押さえられており、弾性部材である第2部材20は金属である第4部材40の押さえ部40aにより押さえられている。そのため、弾性部材である第1部材10及び第2部材20がそれぞれ外側に向かって変形することが押さえ部30a及び押さえ部40aにより抑制され、押さえ部30a及び押さえ部40aが無い場合に比較して、電気ケーブル90に対する保持力(押圧力)が低下することが抑制される。
図5(b)では、理解を容易とするために意図的に電気ケーブル90の断面が楕円形に変形して第2部材20の平坦部20dにのみ食い込むように示して説明されている。しかし、実際には、第1部材10の第1突部10a(すなわち第1溝部10bの側壁)及び第1溝部10bの底面の弾性率と第2部材20の平坦部20dの弾性率とに応じて、電気ケーブル90の断面は厳密には完全な楕円形には変形せず、また第2部材20の平坦部20dの他、第1部材10の第1突部10a及び第1溝部10bの底面にも食い込み得る。
図6は、比較例に係る中継プロテクタ280及び電気ケーブル90の状態を説明する模式図であって、電気ケーブル90が中継プロテクタ280の支持部材250とカバー部材260とで挟持された状態(組み立て後の状態)である。
比較例に係る中継プロテクタ280の構成は、本実施例に係る中継プロテクタ80の構成と略同じであるが、中継プロテクタ80では電気ケーブル90の変形を抑制する第1突部10aがあったのに対し、中継プロテクタ280では第1突部10aがない点が異なる。そのため、中継プロテクタ280が中継プロテクタ80と共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
中継プロテクタ280は、第1部材210、第2部材220、第3部材30、及び第4部材40を備える。中継プロテクタ280において、第1部材210及び第3部材30が支持部材250を構成し、第2部材220及び第4部材40がカバー部材260を構成する。第1部材210の構成は、前述の第1部材10の構成と略同じであるが、第1部材210では第1突部10aが無い。第2部材220の構成は、前述の第2部材20の構成と略同じであるが、第2部材220では第1突部20aが無い。
図6に示すように、電気ケーブル90が中継プロテクタ280の支持部材250とカバー部材260とで挟持された状態において、前述の図5(b)との比較のため、第3方向における第1部材210と第2部材220との間の隙間の距離G1は図5(b)と同じである。電気ケーブル90は、第1部材210及び第2部材220により押圧された状態で挟持されて保持される。しかし、時間の経過とともに電気ケーブル90が弾性部材である第1部材210及び第2部材220から押圧力を受け続けることにより電気ケーブル90の絶縁性樹脂が塑性変形し、電気ケーブル90の断面は、第2方向の長径D3[mm]が前述の長径D1よりも大きく、第3方向の短径D4[mm]が前述の短径D2よりも小さな楕円形になる。
これは、第1突部10aが無いために、電気ケーブル90の断面について第2方向の長径D3が溝幅Wよりも大きくなることが抑制されず、そのため電気ケーブル90の断面について第3方向の短径D4が小さくなることが抑制されないからである。電気自動車100のようにインバータ110から電動機130へ供給される交流電力が大きい場合には、供給電力による電気ケーブル90内の電線の発熱量を抑制するために電気ケーブル90内の電線が太くされる。このように電線が太くされるほど、すなわち電気ケーブル90の直径D0が大きくされるほど、電気ケーブル90が押さえられた場合に電気ケーブル90の断面が楕円形に変形しやすくなって電気ケーブル90の第3方向における径が小さくなり、絶縁性樹脂の厚みが減少する。これにより、弾性部材である第1部材210と第2部材220とによる中継プロテクタ280の電気ケーブル90に対する保持力(押圧力)が前述した中継プロテクタ80の場合よりも低下してしまう。
なお、図6においても、図5(b)と同様に理解を容易とするために意図的に電気ケーブル90の断面が楕円形に変形するように示して説明されているが、電気ケーブル90の断面は厳密には完全な楕円形には変形しない。
本実施例の中継プロテクタ80によれば、支持部材50における内側の第1部材10及びカバー部材60における内側の第2部材20はそれぞれ弾性部材であり、支持部材50における外側の第3部材30及びカバー部材60における外側の第4部材40はそれぞれ金属である。支持部材50の内側の第1部材10には、電気ケーブル90を第2方向における両側から挟むことにより電気ケーブル90の変形を抑制する相対向する第1突部10aが設けられている。
支持部材50において外側の金属である第3部材30が内側の弾性部材である第1部材10を内側に向けて押さえており、カバー部材60において外側の金属である第4部材40が内側の弾性部材である第2部材20を内側に向けて押さえているため、第1部材10及び第2部材20による電気ケーブル90に対する保持力の低下が抑制される。
また、弾性部材である第1部材10に設けられた隣接する第1突部10aの間に形成されたそれぞれの第1溝部10bに3本の電気ケーブル90がそれぞれ挿通され、電気ケーブル90を第2方向における両側から挟む相対向する第1突部10aによって電気ケーブル90の変形(断面の円形から楕円形への変形)が抑制される。電気ケーブル90の変形が抑制されるため、第1突部10aが設けられず電気ケーブル90の変形が抑制されていない場合に比較して、相対向する弾性部材である第1部材10及び第2部材20による電気ケーブル90に対する保持力の低下が抑制される。弾性部材である第1部材10及び第2部材20は、電気ケーブル90の振動を吸収する。したがって、電気ケーブル90に対して振動が発生した場合でも弾性部材である第1部材10及び第2部材20によってその振動が吸収されて電気ケーブル90へのダメージが低減されるとともに、電気ケーブル90の変形が抑制されて第1部材10及び第2部材20による電気ケーブル90に対する保持力の低下が抑制される。
本実施例の中継プロテクタ80によれば、第3部材30の押さえ部30a及び第4部材40の押さえ部40aによる第3方向における隙間の距離G0[mm]が調整されることで、第3方向における第1溝部10bの底面と平坦部20dとの間の隙間の距離G1が簡便に変更できる。この隙間の距離G1の大きさの変更により、第1部材10及び第2部材20が電気ケーブル90を挟持する押圧力が調整可能である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、仕切部として機能するのは第1部材10に設けられた第1突部10aであったが、これに限らない。例えば、第2部材20の平坦部20dの第3方向における内側に仕切部として機能する突部が設けられても良い。また、第1部材10に仕切部として機能する第1突部10aが設けられるとともに、第2部材20の平坦部20dの第3方向における内側にも仕切部として機能する突部が設けられても良い。すなわち、支持部材50の内側にある第1部材10及びカバー部材60の内側にある第2部材20の少なくとも一方の第3方向における内側に、電気ケーブル90を第2方向における両側から挟むことにより電気ケーブル90の変形を抑制する相対向する仕切部として機能する突部が設けられれば良い。
前述の実施例では、第1部材10における第1溝部10bの溝幅Wは、挟持される前の電気ケーブル90の断面の直径D0よりも大きかったが、これに限らない。電気ケーブル90の絶縁性樹脂の塑性変形を考慮して第1溝部10bに電気ケーブル90を嵌め入れることが可能であれば、第1溝部10bの溝幅Wは電気ケーブル90の断面の直径D0と同じでも良いし、第1溝部10bの溝幅Wが電気ケーブル90の断面の直径D0よりも少し小さくても良い。
前述の実施例では、第1方向及び第2方向は互いに垂直な方向であったが、これに限らない。第1方向及び第2方向は互いに交差する方向であれば良い。
前述の実施例では、第3部材30の貫通穴30c及び第4部材40の貫通穴40cはリベットで固定されていたが、これに限らない。例えば、ボルト、溶接、接着剤など他の固定方法でも良い。
前述の実施例では、本発明に係る中継プロテクタ80は電気自動車100に適用されたが、これに限らない。例えば、本発明は、内燃機関であるエンジンと電動機との両方を備えたハイブリッド車両に適用されても良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:第1部材(支持部材の内側)
10a:第1突部(仕切部)
20:第2部材(カバー部材の内側)
30:第3部材(支持部材の外側)
40:第4部材(カバー部材の外側)
50:支持部材
60:カバー部材
80:中継プロテクタ(固定装置)
90:車両用電気ケーブル
10a:第1突部(仕切部)
20:第2部材(カバー部材の内側)
30:第3部材(支持部材の外側)
40:第4部材(カバー部材の外側)
50:支持部材
60:カバー部材
80:中継プロテクタ(固定装置)
90:車両用電気ケーブル
Claims (1)
- 複数本の車両用電気ケーブルを並列方向に並べて挿通させた状態で挟持する相対向する支持部材及びカバー部材を備える車両用電気ケーブルの固定装置であって、
前記支持部材及び前記カバー部材の内側はそれぞれ弾性部材であり、前記支持部材及び前記カバー部材の外側はそれぞれ金属であり、
前記支持部材及び前記カバー部材の少なくとも一方の前記内側には、前記複数本の車両用電気ケーブルを前記並列方向における両側から挟む相対向する仕切部が設けられ、前記相対向する仕切部は前記複数本の車両用電気ケーブルの変形を抑制する
ことを特徴とする車両用電気ケーブルの固定装置。
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