JP2020157501A - 化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 Download PDF

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光男 櫻井
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篤之 中尾
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【課題】 高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ軽量な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の化粧シートは、意匠シートと基体とを有し、意匠シートは、第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側にインクジェット意匠層を有しており、基体は、ガラス繊維から構成される層を有しており、基体の一方の面側と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とが接着されており、基体の他方の面側に、さらに第2の塩化ビニル系樹脂シートを有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ軽量な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法に関するものである。
東日本大震災などでの天井落下による被害拡大を受けて、内装用天井材として軽量な膜天井材の需要が高まっている。内装用天井材として使用するためには、軽量かつ不燃性能を持つことが必須であり、さらに近年では木目絵柄などのような高い意匠性も求められている。
また、膜天井材として膜天井用化粧シートを体育館などに使用されることを想定すると、膜天井用化粧シートが設置される天井近くの壁面に明り取り用の窓が設置されている場合も多いため、耐候性にも優れていることが望ましい。不燃性能を得るために、ガラス繊維や塩化ビニルシートを使用した製品が提案されている。
また、膜天井材の一部が損傷した際に、損傷した部位のみを貼り替えることがあるが、そのような場合には褪色した周辺部に対し、貼り替え部分は褪色していない新規な膜天井材であるため、差異が目立ってしまい好ましくない。膜天井材に用いられる膜天井用化粧シートの意匠層はグラビア印刷法により形成されることが多い。しかしながら、グラビア印刷法は同種の膜天井用化粧シートを大量生産する場合には好ましいものの、多品種を少量ずつ生産する場合や、損傷した部位のみの貼り替えのような少量生産には向いていない。さらには褪色した色に合わせ印刷色を変更することへの難易度も高い。
特許文献1においては、屋内や屋外において掲示される広告物用途を念頭に、表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物を、アクリル系樹脂を含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディアに対し、紫外線硬化型インクを用いてインクジェットプリントがされたプリント物が提案されている。このようなインクジェットプリント用メディアであれば軽量かつ不燃性能を有し、またインクジェット印刷法であれば、少量生産に対応でき、また印刷色の調整も容易であるため、損傷した部位のみを褪色した周囲の色調に色合わせした上で貼り替えるような少量の膜天井用化粧シートの生産に適用できると考えられる。
特開2011−161645号公報
しかしながら特許文献1においては、表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物を、アクリル系樹脂を含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディア(被印刷物)に対し、インクジェット印刷を行っている。この場合、被印刷物であるインクジェットプリント用メディアは厚さが厚いため、印刷機において被印刷物の搬送が困難となり、例えば被印刷物のタルミなどに起因した印刷蛇行や、被印刷物がインクジェット印刷機の印刷ヘッドに接触することによる意匠のカスレなど、意匠性を悪化させる不具合が発生し得るという課題がある。また該インクジェットプリント用メディアのような積層体は、広幅になるほど、厚さや坪量の均一性の管理が困難で、すなわち被印刷物の均一性が低くなり、上記不具合を回避すること、すなわち上記課題を解決することが一層困難となる。
本発明は上記課題などを解決することを念頭になされたものであり、本発明の目的は、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ軽量で少量生産への対応も容易な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することである。
本発明の化粧シートは、意匠シートと基体とを有し、意匠シートは、第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側にインクジェット意匠層を有しており、基体は、ガラス繊維から構成される層を有しており、基体の一方の面側と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とが接着されており、基体の他方の面側に、さらに第2の塩化ビニル系樹脂シートを有する化粧シートである。
上記化粧シートにおいて、ガラス繊維から構成される層がガラス織布を有する層であってもよい。
上記化粧シートにおいて、ガラス繊維から構成される層がガラス不織布を有する層であってもよい。
上記化粧シートにおいて、インクジェット意匠層が、紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷法により形成された層であってもよい。
上記化粧シートにおいて、意匠シートは、第1の塩化ビニル系樹脂シートとインクジェット意匠層との間にアクリル層を有していてもよい。
上記化粧シートにおいて、アクリル層の厚さが1μm以上5μm以下であってもよい。
上記化粧シートにおいて、インクジェット意匠層の第1の塩化ビニル系樹脂シートとは反対の面側に耐候層を有していてもよい。
本発明の建築物内装材は、上記化粧シートを有する建築物内装材である。
本発明の化粧シートの製造方法は、意匠シートと基体とを有する化粧シートの製造方法であって、第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側に、インクジェット意匠層をインクジェット印刷法により形成し、意匠シートを準備する工程と、ガラス繊維から構成される層を有する基体を準備する工程と、基体の一方の面側と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とを接着する工程である第1の接着工程と、基体の他方の面側と、第2の塩化ビニル系樹脂シートとを接着する工程である第2の接着工程と、を有する化粧シートの製造方法である。
上記化粧シートの製造方法において、インクジェット意匠層を形成する際のインクジェット印刷法に、紫外線硬化型のインクジェットインクを用いてもよい。
上記化粧シートの製造方法において、第1の接着工程と第2の接着工程とは、同時に行われ実質的に1つの工程であってもよい。
上記化粧シートの製造方法において、第1の塩化ビニル系樹脂シートとインクジェット意匠層との間にアクリル層を有していてもよい。
上記化粧シートの製造方法において、インクジェット意匠層の第1の塩化ビニル系樹脂シートとは反対の面側に耐候層を有していてもよい。
本発明によれば、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、かつ軽量で少量生産への対応も容易な化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第2実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第3実施形態の層構成の概略を示す概略断面図 本発明の第4実施形態の層構成の概略を示す概略断面図
〔化粧シート〕
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状、装飾などは理解を容易にするため適宜誇張、単純化などしている。また説明に直接的な関係しない構成などについては適宜省略している。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
図1に本発明の第1実施形態に係る化粧シート1を示す。
化粧シート1は、意匠シート20と基体10とを有し、意匠シート20は、第1の塩化ビニル系樹脂シート(以降、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21と呼ぶこともある)の一方の面側にインクジェット意匠層22を有しており、基体10は、ガラス繊維から構成される層11を有しており、基体10の一方の面側と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とが、接着剤層(以降、意匠側接着剤層31と呼ぶこともある)を介して接着されており、基体10の他方の面側に、さらに第2の塩化ビニル系樹脂シート(以降、基体側塩化ビニル系樹脂シート12と呼ぶこともある)を有している。
また図1に示す通り、基体10と基体側塩化ビニル系樹脂シート12との間に、基体側接着剤層32を有していても良い。
すなわち図1に示す第1実施形態に係る化粧シート1は、図1における下側から順に、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、基体側接着剤層32、ガラス繊維から構成される層11、意匠側接着剤層31、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、およびインクジェット意匠層22がこの順に積層されている。なお、基体側接着剤層32は必須の構成ではなく、また、上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。例えば基体10は、ガラス繊維から構成される層11とは異なる別の層を含んでいても良い。
このように本発明の化粧シート1は、ガラス繊維から構成される層11、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、および意匠側塩化ビニル系樹脂シート21を主体として構成されているため、高い不燃性能を有する。また、このように比較的簡単な層構成であるため、軽量なものとなっている。
特許文献1においては、表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物を、アクリル系樹脂を含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディア(被印刷物)、すなわち厚さの厚い積層体の被印刷物、に対しインクジェット印刷を行っている。それに対し、本発明においては、まず、単層の(すなわち、ガラス繊維から構成される層11が未積層の状態において、)意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側にインクジェット意匠層22を印刷し意匠シート20とした後で、意匠シート20と基体10とが意匠側接着剤層31を介して接着され積層される。すなわち本発明においては、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21上にインクジェット意匠層22を印刷形成する際に、基体10に含まれるガラス繊維から構成される層11(特許文献1における、ガラス繊維からなる平織物)表面の凹凸の影響を受けることがない。
また本発明のインクジェット意匠層22は、少なくとも基体10、および意匠側塩化ビニル系樹脂シート21が積層されたような厚さの厚い被印刷物に対し印刷形成されるのではなく、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21単体(あるいは後述の通り、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とアクリル層23の積層体)のような厚さの薄い被印刷物に対し印刷形成されている。そのため本発明においては、特許文献1において課題とした、印刷機において厚さの厚い被印刷物の搬送が困難となることに起因する、被印刷物のタルミなどによる印刷蛇行や、被印刷物がインクジェット印刷機の印刷ヘッドに接触することによる意匠のカスレなど、意匠性を悪化させる不具合が発生を大幅に抑制することができる。そのため、インクジェット印刷法による、多色かつ高精細な印刷が可能となるため、高い意匠性を有する化粧シートを得ることができる。
上記の通り本発明においては、多色かつ高精細な印刷が可能とし、高い意匠性を有する化粧シートを得るために、厚さの薄い被印刷物に対しインクジェット意匠層22を印刷形成している。しかし、高い意匠性を有する化粧シートを得るための多色かつ高精細な印刷は、その観点のみからするとインクジェット印刷法に限らず、たとえばグラビア印刷法でも良いこととなる。しかしながらグラビア印刷法では、品種ごと、およびインク色ごとに版胴を作成する必要があり、また品種の切り替え時には印刷機において版胴の交換が必要であり、またインク色ごとに調肉が必要であるなど、少量多品種の生産には不向きである。またオフセット印刷法においても、色(Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒))ごとにPS版と呼ばれる原版を作成する必要があり、品種の切り替え時には印刷機においてPS版の交換が必要であるなど、グラビア印刷法と同様に少量多品種の生産には不向きである。
それに対し、本発明のインクジェット意匠層22は、インクジェット印刷法により印刷形成されている。インクジェット印刷法であれば、版胴(あるいはPS版)の作成は不要であり、また品種の切り替え時に印刷機において版胴(あるいはPS版)の交換作業も不要である。さらに色調の調整においても、グラビア印刷法における調肉作業や、オフセット印刷法におけるPS版の再作成の様な負荷の高い作業は不要であり、単にインクジェット印刷機に送信する画像データの調整のみで褪色した意匠層の色調への色合わせに対応可能である。すなわちインクジェット印刷法は、品種の切り替え時およびその準備における作業負荷が低いため、少量多品種の生産に適した印刷方法である。したがって本発明の化粧シート1は、多品種を少量ずつ生産する場合や、損傷した部位のみ褪色した周囲の意匠層の色調へ色合わせした化粧シートに貼り替えるような少量生産において、好適に適用できる。
また上記の通り、基体10と基体側塩化ビニル系樹脂シート12との間に、基体側接着剤層32を有する場合においては、基体側接着剤層32により接着強度が増し、両者の接着をより確実なものとすることができる。
以下、本発明の化粧シート1における各構成について詳細に説明する。
本発明の化粧シート1において、基体10は少なくともガラス繊維から構成される層11を有する。ガラス繊維から構成される層11は、ガラス織布あるいはガラス不織布などのようなシート状のガラス繊維から構成される。厚さは10μm以上150μm以下が好ましい。化粧シート1として形成された際の厚さ、強度、重量などを加味し適当なものを選択すればよく、一例として50μmである。
ガラス繊維は、ガラス、好ましくは石英ガラスなどの無アルカリガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
ガラス繊維としては、シラン化合物で表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理剤としてのシラン化合物としては、カップリング剤や、その重合物からなるポリシロキサンが使用できる。このようなシラン系カップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランの他、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン等を挙げることが出来る。ガラス繊維に表面処理を行う方法は、例えば、シラン化合物を含有する溶液をガラス繊維表面に塗布、乾燥して行うことが出来る。シラン化合物の付着量は、通常、ガラス繊維100質量部に対して0.05〜5質量部程度である。
ガラス繊維から構成される層11は、ガラス織布を有する層であることが好ましい。ガラス織布とは、ガラス繊維の束を糸として、経糸と緯糸から製織したものである。製織する前に、二つ以上のガラス繊維の束を予め合撚してもよい。経糸の織り密度を20〜75本/25mm、緯糸の織り密度を20〜75本/25mmとなるように平織りで形成されたものであることが好ましく、織り密度の一例としては、経糸、緯糸とも32本/25mmである。ガラス織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、またガラス不織布より引張強度に優れるからである。
ガラス繊維から構成される層11は、ガラス不織布を有する層であってもよい。ガラス不織布は例えば、ガラス繊維を水中に分散させ、抄紙機で抄造する湿式法で製造され、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを用いて、ガラス繊維同士を結着させたものである。ガラス不織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維
意匠シート20が有する意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。このような意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末などを調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れており、可塑剤の添加量によって表面硬度や伸び率(剛性)が容易に調整可能だからである。また比較的剛性が高いため、その表面にインクジェット意匠層22をインクジェット印刷法にて良好に形成することができる。
また、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は、着色されていることが好ましい。化粧シート1を通常の観察方向であるインクジェット意匠層22側(図1における上面側)から観察した場合に、ガラス繊維から構成される層11が透けて見えることによる意匠性の低下を軽減することができ、また、化粧シート1として可視光の透過性が低下することにより、インクジェット意匠層22をより深みのある色調として観察することが可能となるからである。また、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の色は、一例として、インクジェット意匠層22の絵柄が木目絵柄である場合には白色、茶褐色等を挙げることができる。しかし意匠側塩化ビニル系樹脂シート21が透明であっても、意匠側接着剤層31が着色されていれば上記と同様の効果を得ることができるため、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は透明であっても良い。厚さは25μm以上300μmが好ましい。インクジェット印刷機に対する適用性や、化粧シート1として形成された際の重量、厚さ、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
また、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は、その一方の表面上にインクジェット意匠層22を印刷形成するため、その印刷面(図1においては該シート21の下側の面)の表面粗さは小さいことが好ましい。該印刷面の表面粗さとしては、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さRaが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.1μm以下とする。
本発明の第1実施形態においては、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムである。しかし、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21に代えて、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ4フッ化エチテン等のフッ素系樹脂を主成分とするフィルムであってもよい。フッ素系樹脂シートの場合であっても、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の場合の上記各特性、すなわち不燃性能、防炎性能、剛性をほとんど損なうことなく、耐候性や耐溶剤性などを大幅に向上させることができる。一方、フッ素系樹脂は意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の場合に比べ、防炎性能に若干劣り、また高価である。
意匠シート20が有するインクジェット意匠層22は、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図1における上面側)に形成されるものである。インクジェット意匠層22の絵柄としては、例えば木目絵柄、石目絵柄、布目絵柄、皮紋絵柄、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。インクジェット意匠層22はインクジェット印刷法により印刷形成された層である。インクジェット印刷法である理由は、上述の通り、多色かつ高精細な印刷により、高い意匠性を有する化粧シートを得ることが可能であること、および多品種を少量ずつ生産する場合や、損傷した部位のみの貼り替えのような少量生産において、好適に適用できるからである。
インクジェット意匠層22は紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷法により印刷形成された層であることが好ましい。印刷ヘッド部分に搭載された紫外線光源により吐出後のインクを瞬時に硬化させることができるためインクの厚盛が可能となり、幅広い色調表現が可能である。また硬化(乾燥)の際に熱をかける必要がないため、被印刷物に対し熱によるダメージが少なく、また硬化(乾燥)時間も短い。また、溶剤系のインクは一般的に高艶であるが、紫外線硬化型のインクであれば、膜天井用途において好まれる低艶から溶剤系のインクと同様の高艶まで好みに応じて調整可能である。
インクジェット意匠層22の形成に用いる紫外線硬化型のインクとしては、光重合タイプを一般的に用い、光重合性オリゴマー、光重合成モノマー、光重合開始剤、有機又は無機の顔料からなる色材等を主要な組成とする。このような紫外線硬化型のインクは、紫外線照射によって光重合開始剤からラジカルが発生し、反応性モノマーやオリゴマーを攻撃し活性化させる。その後、活性化した反応性モノマーやオリゴマー同士が反応し高分子化され、これによって意匠側塩化ビニル系樹脂シート21に定着される。このため、水分を吸収しにくい意匠側塩化ビニル系樹脂シート21に対しても、確実な定着が得られ、ポリ塩化ビニル(PVC)の他、ポリ・エチル・テトラエチレン(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)への印刷も可能である。
また、使用樹脂としては、アクリレート系が一般的である。
開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾフエノン等を用いる。
なお、ポリマー性のインクの場合、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21をはじめ、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリ・エチル・テトラエチレン(PET)、ポリ炭酸塩(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などのプラスチック材料、およびその他の有機ポリマーで構成された被印刷物に対し好適に適用可能である。
インクジェット意匠層22の塗布量は1〜40g/m2が好ましく、2〜25g/m2であることがより好ましい。2g/m2を下回る場合は濃度の薄い意匠しか表現することができないため意匠が限定される懸念があり、25g/m2を上回る場合には有機分が増加するため不燃性能が損なわれる懸念があるからである。
基体側塩化ビニル系樹脂シート12は、基体10に対し、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21と接着される面側(一方の面側、図1における上面側)とは反対の面側(他方の面側、図1における下面側)に接着されるものである。基体側塩化ビニル樹脂シート12は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであり、着色されていることが好ましい。着色されていれば、化粧シート1を通常の観察方向であるインクジェット意匠層22側(図1における上面側)とは反対側(図1における下面側)から観察した場合に、ガラス繊維から構成される層11が透けて見える程度を軽減することができるからである。また、化粧シート1として可視光の透過性が低下することにより、化粧シート1を通常の観察方向であるインクジェット意匠層22側(図1における上面側)から観察した場合に、インクジェット意匠層22の色調をより深みのあるものとして観察することが可能となるからである。また化粧シート1において、基体側塩化ビニル系樹脂シート12側の面から光を取り込む場合、基体側塩化ビニル系樹脂シート12側の面から観察されることもあるため、意匠的観点から、基体側塩化ビニル系樹脂シート12は着色されていることが好ましいのである。
このような基体側塩化ビニル系樹脂シート12は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多く、白色に着色する場合には、例えば酸化チタンあるいは体質顔料としてシリカ、あるいはその両方などが用いられる。これらのように、無機顔料で白色化されたものは、紫外線の反射率が上がるため、耐久性が向上する。
厚さは25μm以上300μm以下が好ましい。化粧シート1として形成された際の重量、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
本発明の化粧シート1は図1に示す通り、ガラス繊維から構成される層11、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、および基体側塩化ビニル系樹脂シート12を主体として構成されている。上述の通り、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、および基体側塩化ビニル系樹脂シート12はともに塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであり、塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れる。またガラス繊維から構成される層11も不燃性能、防炎性能に優れる。そのため化粧シート1は、不燃性能、防炎性能に優れたものとなっている。
なお、塩化ビニル系樹脂とは、以下のいずれかの形態の樹脂を意味する総称である。
(1)塩化ビニル単量体(monomer)の単独重合体、すなわち狭義のポリ塩化ビニル。
(2)塩素化ポリ塩化ビニル。
(3)塩化ビニル単量体に塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させた塩化ビニル共重合体、ここで他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
(4)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか2種または3種の混合物。
(5)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか1種または2種以上、あるいは(4)の混合物に、さらに、他の樹脂を混合した混合物。ここで他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
なお、前記(1)から(5)に列記の各種塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、各種添加剤を添加する。該添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤等)、紫外線吸収剤(UVA)、界面活性剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤のうち、可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(略称DOP)、ジイソノニルフタレート(略称DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(略称TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、平均粒径200nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の金屬酸化物粒子等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
基体側接着剤層32は、基体10と基体側塩化ビニル系樹脂シート12との間に形成される両者を接着するための層である。基体側接着剤層32は、接着剤を含み、その組成として塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。基体側接着剤層32は、基体10と基体側塩化ビニル系樹脂シート12とを基体側接着剤層32を介した熱圧着によるラミネートに用いられることが好ましい。
また、基体側接着剤層32は本発明においては必須の構成ではない。例えば、ガラス繊維から構成される層11における前記意匠側塩化ビニル系樹脂シートと接着された面側とは反対の面側に、着色された塩化ビニル樹脂の液状組成物をコーティングし該液状組成物を固化することにより基体側塩化ビニル系樹脂シート12を形成した場合は、基体側接着剤層32の介在無しに直接、層11上に基体側塩化ビニル系樹脂シート12が形成される。なお、この形態の場合、該液状組成物の固化層が基体側接着剤層32および基体側塩化ビニル系樹脂シート12の両層を兼備していると見なすこともできる。
また、基体側塩化ビニル系樹脂シート12と同色とした着色塩化ビニル系樹脂組成物からなる基体側接着剤層32をコーティングして、別途成膜済みの基体側塩化ビニル系樹脂シート12と該接着剤層32とを熱圧着によるラミネートしたような場合には、化粧シート1において、基体側塩化ビニル系樹脂シート12と基体側接着剤層32との両層が存在しているにも関わらず、両層12と32とが異なる層として識別できないこともあり得る。
意匠側接着剤層31は、基体10と、意匠シート20における意匠側塩化ビニル系樹脂シート21との間に形成される両者を接着するための層である。意匠側接着剤層31は、接着剤を含み、その組成は基体側接着剤層32と同様に、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。意匠側接着剤層31は、基体10と、意匠シート20に含まれる意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とを意匠側接着剤層31を介した熱圧着によるラミネートに用いられることが好ましい。本発明のように、意匠側接着剤層31がこのように形成される場合は、インクジェット意匠層22は、接着前である平滑性の高い意匠側塩化ビニル系樹脂シート21に形成されることになるため、インクジェット印刷法を好適に適用でき、高い意匠性を有するインクジェット意匠層22を形成することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。第2実施形態における化粧シート101は図2に示す通り、図1に示す第1実施形態における化粧シート1と比較して、意匠シート120において、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とインクジェット意匠層22との間にアクリル層23を有する点が異なっている。
すなわち図2に示す第2実施形態に係る化粧シート101は、図2における下側から順に、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、基体側接着剤層32、ガラス繊維から構成される層11、意匠側接着剤層31、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、アクリル層23、およびインクジェット意匠層22がこの順に積層されている。なお、基体側接着剤層32は必須の構成ではなく、また、上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。例えば基体10は、ガラス繊維から構成される層11とは異なる別の層を含んでいても良い。
アクリル層23は、アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂を含む層であり、通常は印刷あるいはコーティング、好ましくはグラビア印刷法により形成される。アクリル層23が存在する場合には、インクジェット意匠層22はアクリル層23の表面にインクジェット印刷されることとなる。上述のように、インクジェット意匠層22にはアクリル系樹脂が含まれることが一般的であるため、インクジェット意匠層22と被印刷物表面との密着性は、被印刷物の表面が意匠側塩化ビニル系樹脂シート21である場合よりもアクリル層23である場合の方が優れる。すなわち意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の上にアクリル層23を形成することで、さらにその上に印刷形成されるインクジェット意匠層22の密着性をより高めることが可能となる。
また、アクリル層23の厚さは1μm以上5μm以下であることが好ましい。厚さが1μmを下回る場合には、アクリル層23をグラビア印刷法で均一に塗布形成することが困難となり、また5μmを上回る場合には、化粧シート101としてのしなやかさが損なわれてしまうからである。
なお本発明において、インクジェット意匠層22がグラビア印刷法ではなくインクジェット印刷法にて形成されていることの利点について説明してきた。しかるにアクリル層23は例えばグラビア印刷法にて形成している。その理由として以下を挙げることができる。アクリル系樹脂が含まれるアクリル層23をインクジェット印刷法にて形成することは一般的には困難であること。またアクリル層23はベタ柄であるため、インクジェット印刷法にて形成することは印刷速度面などにおいて効率が悪いこと。半面グラビア印刷法においては、アクリル層23はベタ柄であり、しかもアクリル層23はインクジェット意匠層22いかんによらず共通、汎用の層であるため、一度版胴を作成すれば、その版胴は印刷幅が共通であれば品種いかんによらず共通に使用することが可能であるため、版胴を作成する負荷は高くなく、また印刷幅が共通であれば品種が異なっていても一度に印刷して作り置きが可能であるため工程負荷もさほど高くない。さらにグラビア印刷機において使用するユニットは1ユニットのみであるため、品種の切り替え時に版胴の交換が必要な場合であっても、その負荷はさほど高くない。すなわちアクリル層23の形成においては、インクジェット意匠層22の形成時と比較して、インクジェット印刷法の欠点が増すのに対し、グラビア印刷法の欠点は減少し、グラビア印刷法の適用性は悪くないのである。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図3を参照して説明する。第3実施形態における化粧シート201は図3に示す通り、図1に示す第1実施形態における化粧シート1と比較して、意匠シート220において、インクジェット意匠層22の意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とは反対の面側(図3における上面側)に耐候層24を有している点が異なっている。
すなわち図3に示す第3実施形態に係る化粧シート201は、図3における下側から順に、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、基体側接着剤層32、ガラス繊維から構成される層11、意匠側接着剤層31、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、インクジェット意匠層22、および耐候層24がこの順に積層されている。なお、基体側接着剤層32は必須の構成ではなく、また、上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。例えば基体10は、ガラス繊維から構成される層11とは異なる別の層を含んでいても良い。
耐候層24は、意匠シート220において、インクジェット意匠層22の意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とは反対の面側(図3における上面側)に、前記の紫外線吸収剤(UVA)、および光安定剤(ラジカル捕捉剤)(HALS)のいずれか、好ましくは両者を含む、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体系のインクをグラビア印刷法により形成したものであることが好ましい。あるいは紫外線吸収剤(UVA)、および光安定剤(ラジカル捕捉剤)(HALS)のいずれか、好ましくは両者を成分として含む透明シートを接着したものであっても良い。
耐候層24に含まれる紫外線吸収剤(UVA)、および光安定剤(ラジカル捕捉剤)(HALS)により、インクジェット意匠層22の褪色や変色などを軽減することができる。また耐候層24の厚さは2μm以上15μm以下が好ましい。化粧シート1としての耐候性、重量、しなやかさなどを加味し適当な厚さとすればよく、一例として5μmである。15μmを超える場合には、劣化によりクラックが発生する恐れがあり、好ましくない。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図4を参照して説明する。第4実施形態における化粧シート301は図4に示す通り、図2に示す第2実施形態における化粧シート101と比較して、意匠シート320において、インクジェット意匠層22のアクリル層23とは反対の面側(図4における上面側)に耐候層24を有している点が異なっている。
すなわち図4に示す第4実施形態に係る化粧シート301は、図4における下側から順に、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、基体側接着剤層32、ガラス繊維から構成される層11、意匠側接着剤層31、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21、アクリル層23、インクジェット意匠層22、および耐候層24がこの順に積層されている。なお、基体側接着剤層32は必須の構成ではなく、また、上記積層順を乱さず、本発明の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。例えば基体10は、ガラス繊維から構成される層11とは異なる別の層を含んでいても良い。
第4実施形態に係る化粧シート301は、アクリル層23、および耐候層24をともに有している。そのため化粧シート301においては、上記第1実施形態において説明した化粧シート1の基本的な効果の他、上記第2実施形態において説明したアクリル層23を有することによる効果、および上記第3実施形態において説明した耐候層24を有することによる効果をともに得ることができる。
〔建築物内装材〕
上記化粧シート1、101、201、301は、主としてその高い不燃性能と高い意匠性から、化粧シート1、101、201、301単体で建築物の天井に施工する事も可能であるが、あるいは化粧シート1、101、201、301と基板、吊り具、枠材、棧、ねじ等他の部材を組み合わせた上で、建築物内装材として使用することもできる。建築物内装材の用途としては、空港、駅、店舗内などの天井材の他、天井からの吊り下げ広告、柱巻きなどの店舗装飾、展示会パネル、ビニールカーテン、簡易間仕切り、養生シート、機械などの各種カバー、破れ補修や生地の補強材などを挙げることができる。上記例における建築物内装材においても、化粧シート1、101、201、301の持つ、高い不燃性能、高い耐候性、高い意匠性、軽量であること、耐水性などの特長により、不特定多数が利用する空間や、建築工事現場内などで好適に使用することができる。
〔化粧シートの製造方法〕
(第1実施形態の製造方法)
次に、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法の一例を説明する。第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法は、意匠シート20と基体10とを有する化粧シート1の製造方法であって、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側に、インクジェット意匠層22をインクジェット印刷法により形成し、意匠シート20を準備する工程と、ガラス繊維から構成される層11を有する基体10を準備する工程と、基体10の一方の面側と、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の他方の面側とを意匠側接着剤層31を介して接着する工程である第1の接着工程(以降、意匠側接着工程と呼ぶこともある)と、基体10の他方の面側と、基体側塩化ビニル系樹脂シート12と接着する工程である第2の接着工程(以降、基体側接着工程と呼ぶこともある)と、を有する化粧シート1の製造方法である。
具体的な一例として、まず意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図1における上面側)にインクジェット意匠層22を紫外線硬化型のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法により形成し、意匠シート20を準備する。また別途、ガラス繊維から構成される層11を有する基体10、および基体側塩化ビニル系樹脂シート12を準備しておく。次に基体10を接着剤に浸すことにより、接着剤を基体10に含浸させ、その一方の面側に意匠側接着剤層31となる接着剤を、他方の面側に基体側接着剤層32となる接着剤を塗布する。その直後に意匠シート20の意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の他方の面側(図1における下面側)と、基体10の一方の面側(図1における上面側)とを意匠側接着剤層31を介してラミネートにより接着するとともに、基体10の他方の面側(図1における下面側)と基体側塩化ビニル系樹脂シート12とを基体側接着剤層32を介してラミネートにより接着し、化粧シート1を得る。
以上の通り、本発明の製造方法により製造される化粧シート1は、ガラス繊維から構成される層11、基体側塩化ビニル系樹脂シート12、および意匠側塩化ビニル系樹脂シート21を主体として構成されているため、高い不燃性能を有する。また、このように比較的簡単な層構成であるため、軽量なものとなっている。
特許文献1においては、表裏両面を塩化ビニル系樹脂で被覆したガラス繊維からなる平織物を、アクリル系樹脂を含有する混合樹脂にて被覆したインクジェットプリント用メディア(被印刷物)に対し、インクジェット印刷を行っている。それに対し本発明の製造方法により製造される化粧シート1においては、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側にインクジェット意匠層22を印刷し意匠シート20とした後で、意匠シート20と基体10とが意匠側接着剤層31を介して接着される。すなわち本発明においては、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21上にインクジェット意匠層22を印刷形成する際に、基体10に含まれるガラス繊維から構成される層11(特許文献1における、ガラス繊維からなる平織物)表面の凹凸の影響を受けることがない。
また本発明の製造方法によるインクジェット意匠層22は、少なくとも基体10、および意匠側塩化ビニル系樹脂シート21が積層されたような厚さの厚い被印刷物に対し印刷形成されるのではなく、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21単体(あるいは第2実施態様、第4実施態様においては、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とアクリル層23の積層体)のような厚さの薄い被印刷物に対し印刷形成されている。そのため本発明の製造方法においては、特許文献1において課題とした、印刷機において厚さの厚い被印刷物の搬送が困難となることに起因する、被印刷物のタルミなどによる印刷蛇行や、被印刷物がインクジェット印刷機の印刷ヘッドに接触することによる意匠のカスレなど、意匠性を悪化させる不具合の発生を大幅に抑制することができる。そのため、インクジェット印刷法による、多色かつ高精細な印刷が可能となるため、高い意匠性を有する化粧シートを得ることができる。
上記の通り、本発明の製造方法においては、多色かつ高精細な印刷が可能とし、高い意匠性を有する化粧シートを得るために、厚さの薄い被印刷物に対しインクジェット印刷法によりインクジェット意匠層22を印刷形成している。しかし、高い意匠性を有する化粧シートを得るための多色かつ高精細な印刷は、その観点のみからするとインクジェット印刷法に限らず、たとえばグラビア印刷法でも良いこととなる。しかしながらグラビア印刷法では、品種ごと、インク色ごとに版胴を作成する必要があり、また品種の切り替え時には印刷機において版胴の交換が必要であり、またインク色ごとに調肉が必要であるなど、少量多品種の生産には不向きである。またオフセット印刷法においても、色(C、M、Y、K)ごとにPS版と呼ばれる原版を作成する必要があり、品種の切り替え時には印刷機においてPS版の交換が必要であるなど、グラビア印刷法と同様に少量多品種の生産には不向きである。
それに対し、本発明の製造方法におけるインクジェット意匠層22は、インクジェット印刷法により印刷形成されている。インクジェット印刷法であれば、版胴(あるいはPS版)の作成は不要であり、また品種の切り替え時に印刷機において版胴(あるいはPS版)の交換作業も不要である。さらに色調の調整においても、グラビア印刷法における調肉作業や、オフセット印刷法におけるPS版の再作成の様な負荷の高い作業は不要であり、単にインクジェット印刷機に送信する画像データの調整のみで褪色した意匠層の色調への色合わせに対応可能である。すなわちインクジェット印刷法は、品種の切り替え時およびその準備における作業負荷が低いため、少量多品種の生産に適した印刷方法である。したがって本発明の化粧シート1は、多品種を少量ずつ生産する場合や、損傷した部位のみ褪色した周囲の意匠層の色調へ色合わせした化粧シートに貼り替えるような少量生産において、好適に適用できる。
また上記の通り、基体10と基体側塩化ビニル系樹脂シート12との間に、基体側接着剤層32を有する場合においては、基体側接着剤層32により接着強度が増し、両者の接着をより確実なものとすることができる。
また上記製造方法においては、インクジェット意匠層22を紫外線硬化型のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法により形成している。紫外線硬化型のインクジェットインクであれば、印刷ヘッド部分に搭載された紫外線光源により吐出後のインクを瞬時に硬化させることができるためインクの厚盛が可能となり、幅広い色調表現が可能である。また硬化(乾燥)の際に熱をかける必要がないため、被印刷物に対し熱によるダメージが少なく、また硬化(乾燥)時間も短い。さらに溶剤系のインクに比べ環境負荷が低く、耐候性にも優れるという利点がある。
また上記製造方法は、上記意匠側接着工程と、上記基体側接着工程とが同時に行われ実質的に1つの工程である例である。このように意匠側接着工程と、基体側接着工程とが同時に行われ実質的に1つの工程であれば、工程数を削減することができるため、化粧シート1の生産に要する時間、費用などを削減することができる。しかしこれに限らず、意匠側接着工程と、基体側接着工程とは別々に実施されても良く、その場合いずれの接着工程が先であっても良い。また上記は、意匠側接着剤層31となる接着剤と、基体側接着剤層32となる接着剤とが、同じ接着剤であり、同時に塗布される例である。しかしこれに限らず、意匠側接着剤層31となる接着剤と、基体側接着剤層32となる接着剤とは、異なる成分の接着剤であっても良く、また塗布は同時ではなく個別に塗布しても良い。
(第2実施形態の製造方法)
次に、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法の一例を説明する。第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法は、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法に対し、意匠シート120において、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とインクジェット意匠層22との間にアクリル層23を有する化粧シート101の製造方法である点が異なる。具体的な一例として、まず意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図2における上面側)にアクリル層23をグラビア印刷法にて塗布形成する。次いでアクリル層23上にインクジェット意匠層22を紫外線硬化型のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法により形成し、意匠シート120を準備する。以降は第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法と同様の製造方法で化粧シート101を得る。
第2実施形態の製造方法に係る化粧シート101のようにアクリル層23が存在する場合には、インクジェット意匠層22はアクリル層23の表面にインクジェット印刷されることとなる。上述のように、インクジェット意匠層22にはアクリル系樹脂が含まれることが一般的であるため、インクジェット意匠層22と被印刷物表面との密着性は、被印刷物の表面が意匠側塩化ビニル系樹脂シート21である場合よりもアクリル層23である場合の方が優れる。すなわち意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の上にアクリル層23を形成する第2実施形態の製造方法に係る化粧シート101においては、さらにその上に印刷形成されるインクジェット意匠層22の密着性をより高めることが可能となる。上記においてはアクリル層23はグラビア印刷法にて塗布形成しているが、これに限らず他の形成方法であっても良い。
(第3実施形態の製造方法)
次に、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法の一例を説明する。第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法は、第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法に対し、意匠シート220において、インクジェット意匠層22の意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とは反対の面側に耐候層24を有する化粧シート201の製造方法である点が異なる。具体的な一例として、まず意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図3における上面側)に、インクジェット意匠層22を紫外線硬化型のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法により形成する。次いでインクジェット意匠層22の上にバインダー樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂との7対3質量比混合物からなり、これにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤からなる光安定剤とを各々該バインダー樹脂100質量部に対して3質量部ずつ含むインクをグラビア印刷することで、耐候層24を形成し、意匠シート220を準備する。以降は第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法と同様の製造方法で化粧シート201を得る。
第3実施形態の製造方法に係る化粧シート201のように、インクジェット意匠層22の上(図3における上面側)に耐候層24を有する場合には、耐候層24に含まれる紫外線吸収剤(UVA)、および光安定剤(ラジカル捕捉剤)(HALS)により、インクジェット意匠層22の褪色や変色などを軽減することができる。本発明の第1実施形態および第2実施形態の製造方法においては、インクジェット意匠層22が最外層に露出しているが、本発明の製造方法に係る化粧シートが屋外で使用されることが見込まれる場合には、第3実施形態の製造方法のように耐候層24を有することが好ましい。上記の効果に加え、物理的にもインクジェット意匠層22を保護することができるからである。
上記においては、耐候層24はグラビア印刷法により形成しているがこれに限らない。例えば、紫外線吸収剤(UVA)、および光安定剤(ラジカル捕捉剤)(HALS)のいずれか、好ましくは両者を含有する、好ましくは透明なシートを、インクジェット意匠層22の意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とは反対の面側にラミネートしてもよい。また、他の方法により耐候層24を形成しても良い。
(第4実施形態の製造方法)
次に、第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法の一例を説明する。第4実施形態に係る化粧シート301の製造方法は、第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法に対し、意匠シート320において、インクジェット意匠層22のアクリル層23とは反対の面側に耐候層24を有する化粧シート301の製造方法である点が異なる。具体的な一例として、まず意匠側塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図4における上面側)にアクリル層23をグラビア印刷法にて塗布形成する。次いでアクリル層23上にインクジェット意匠層22を紫外線硬化型のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法により形成する。その後さらにインクジェット意匠層22の上にバインダー樹脂がアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂との7対3質量比混合物からなり、これにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤からなる光安定剤とを各々該バインダー樹脂100質量部に対して3質量部ずつ含むインクをグラビア印刷することで、耐候層24を形成し、意匠シート320を準備する。以降は第1実施形態に係る化粧シート1の製造方法と同様の製造方法で化粧シート301を得る。
第4実施形態の製造方法に係る化粧シート301は、意匠側塩化ビニル系樹脂シート21とインクジェット意匠層22との間にアクリル層23を有し、さらにインクジェット意匠層22の上(図4における上面側)に耐候層24を有する。この場合においては、上記第2実施形態に係る化粧シート101の製造方法に係る効果と、第3実施形態に係る化粧シート201の製造方法に係る効果を共に有することができる。
(実施例)
以下本発明に係る実施例を説明する。酸化チタンおよびシリカを含む幅2000mm、厚さ150μmで可塑剤部数がDINP20質量部の白色ポリ塩化ビニルフィルム(意匠側塩化ビニル系樹脂シート21)を用意した。その一方の面側に、樹脂成分がアクリル樹脂であり、顔料が、C:銅フタロシアニン、M:Pigment Red122、Y:Pigment Yellow11、K:カーボンブラック、ホワイト:酸化チタンである紫外線硬化型のインクを用い、EFI社製インクジェット印刷機 VUTEk GS5000rにてインクジェット印刷を行い、木目絵柄のインクジェット意匠層22を形成し、意匠シート20を得た。該インクジェット印刷機の印刷ヘッドに搭載された紫外線光源はメタルハライドランプであり、またインクジェット意匠層22の塗布量は20g/m2であった。
次に経糸および緯糸の織り密度がともに32本/25mmであるガラス織布(ガラス繊維から構成される層11、基体10)を塩化ビニル系樹脂を含む接着剤に浸し、接着剤の塗布量が両面合わせて40g/m2となるように含浸させ、ガラス織布の両面に接着剤を塗布した。その直後に白色ポリ塩化ビニルフィルムの他方の面側と、ガラス織布の一方の面側とを熱圧着によりラミネートするとともに、ガラス織布の他方の面側と、酸化チタンおよびシリカを含む幅2000mm、厚さ150μmで可塑剤部数がDINP20質量部でチタン白を10質量部含む白色ポリ塩化ビニルフィルム(基体側塩化ビニル系樹脂シート12)とを熱圧着によりラミネートし、(すなわちガラス織布の両面に対し同時にラミネートし、)実施例に係る幅2000mmの化粧シート1を得た。
上記実施例においては、インクジェット印刷機の紫外線光源はメタルハライドランプであったが、LEDであっても構わない。LEDであればメタルハライドランプの場合と比べ、印刷部(紫外線照射部)の温度を低くすることができ、また光源の寿命長いため、光源を交換する負荷を軽減することができる。
またインクジェット意匠層22の塗布量は例えば重量差分法により測定することができる。重量差分法の一例として、原反(例えばPET)における単位面積(例えば10cm×10cm)における、印刷前後の重量の差分から塗布量を算出することができる。
(比較例1)
比較例1として、表裏の最外層がともに白色塩化ビニル系樹脂シート層からなり、内層にガラス織布から構成される層を有する幅2000mmのいわゆるターポリンの、一方の面側にグラビア印刷法にて厚さ約5μmの意匠層を形成し、比較例1に係る幅2000mmの化粧シートを得た。
(比較例2)
比較例2として、表裏の最外層がともに白色塩化ビニル系樹脂シート層からなり、内層にガラス織布から構成される層を有する幅2000mmのいわゆるターポリンの、一方の面側に紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷法にて意匠層を形成し、比較例2に係る幅2000mmの化粧シートを得た。実施例と同様に該インクジェット印刷機の印刷ヘッドに搭載された紫外線光源はLEDであった。また意匠層の塗布量は20g/m2であった。
(評価1:蛇行評価)
評価(実施例、各比較例)に係る各化粧シートにおける長尺方向20mの範囲において、意匠層側から目視にて、化粧シートの幅方向の端部を基準とした絵柄の蛇行幅を確認した。化粧シートの幅方向の端部を基準とした絵柄の蛇行幅とは、版胴周長ごとに繰り返し印刷される絵柄における、例えば絵柄左端のある同一部分について、化粧シートの左端からの幅方向の距離の最大値と最小値との差のことをいう。蛇行幅が5mm以内のものを〇、蛇行幅が5mmを超えるものを×とした。
(評価2:意匠のカスレ評価)
評価(実施例、各比較例)に係る各化粧シートに対し、意匠層側から目視にて意匠のカスレを確認した。カスレを認識できないものを〇、カスレを認識できるものを×とした。
評価に係る各化粧シートに対する評価1、および評価2の結果を表1に示す。
(評価1結果)
意匠層印刷時の蛇行を評価する評価1の結果は表1の通り、実施例は〇、比較例1および比較例2は×であった。比較例1においては、表面の凹凸が大きく、厚さが厚く、厚さの変動が大きなターポリンに対してグラビア印刷法により意匠層を形成する際に、テンションコントロールが困難であるため、結果的に5mmを超える変動幅の蛇行が生じたものと考えられる。また、比較例2においても同様に、表面の凹凸が大きく、厚さが厚く、厚さの変動が大きなターポリンに対してインクジェット印刷法により意匠層を形成する際に、同様にテンションコントロールが困難であるため、結果的に5mmを超える変動幅の蛇行が生じたものと考えられる。
それらに対し、本発明に係る実施例においては、ガラス織布とラミネート接着する前の全体の厚さの薄い塩化ビニル系フィルムに対して意匠層を形成するため、上記比較例1および比較例2におけるターポリンの厚さに起因したテンションコントロールが困難となる不具合を回避することができ、結果的に蛇行幅は5mm以内に収まったものと考えられる。
(評価2結果)
意匠のカスレを評価する評価2の結果は表1の通り、実施例は〇、比較例1および比較例2は×であった。比較例1においては、表面の凹凸が大きくまた厚さの変動が大きなターポリンに対してグラビア印刷法により意匠層を形成するため、印刷時の押圧(印圧)が安定せず、そのためグラビアインクの転写量が設計よりも少なすぎることによるカスレ、あるいは転写量が設計よりも多すぎることによるこすれによるカスレが発生したものと考えられる。また、比較例2においても同様に、表面の凹凸が大きく、厚さが厚く、厚さの変動が大きなターポリンに対して、インクジェット印刷法により意匠層を形成する際に、テンションコントロールが困難なことに起因する被印刷物のタルミなどにより、被印刷物がインクジェット印刷機の印刷ヘッドに接触することにより意匠のカスレが発生したものと考えられる。
それらに対し、本発明に係る実施例においては、ガラス織布とラミネート接着する前の全体の厚さの薄い塩化ビニル系フィルムに対して意匠層を形成するため、上記比較例1および比較例2におけるターポリンの厚さに起因して被印刷物の搬送が困難となるなどの不具合を回避することができ、結果的に被印刷物がインクジェット印刷機の印刷ヘッドに接触してカスレが発生することが回避できたものと考えられる。
以上の評価により、本発明の実施例に係る化粧シートは、印刷蛇行および意匠のカスレが発生しにくい、良好な化粧シートであることが確認された。
以上、本発明に係る化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る化粧シート、および建築物内装材は、高い不燃性能と高い意匠性を両立させ、軽量かつ耐候性にも優れたものである。そのため、膜天井用シートや吊り天井用シート、ブラインドなどとして好適に利用することができる。また天井、床、壁面など、あるいは室内の建具や扉、間仕切りなどに被覆して、それらの不燃性能や耐候性を高めつつ、優れた意匠外観とするような利用もできる。
1、101、201、301 化粧シート
10 基体
11 ガラス繊維から構成される層
12 基体側塩化ビニル系樹脂シート
20、120、220、320 意匠シート
21 意匠側塩化ビニル系樹脂シート
22 インクジェット意匠層
23 アクリル層
24 耐候層
31 意匠側接着剤層
32 基体側接着剤層

Claims (13)

  1. 意匠シートと基体とを有し、
    前記意匠シートは、第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側にインクジェット意匠層を有しており、
    前記基体は、ガラス繊維から構成される層を有しており、
    前記基体の一方の面側と、前記第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とが接着されており、
    前記基体の他方の面側に、さらに第2の塩化ビニル系樹脂シートを有する、化粧シート。
  2. 前記ガラス繊維から構成される層がガラス織布を有する層である請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記ガラス繊維から構成される層がガラス不織布を有する層である請求項1に記載の化粧シート。
  4. 前記インクジェット意匠層が、紫外線硬化型のインクを用いたインクジェット印刷法により形成された層である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記意匠シートは、前記第1の塩化ビニル系樹脂シートと前記インクジェット意匠層との間にアクリル層を有する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記アクリル層の厚さが1μm以上5μm以下である請求項5に記載の化粧シート。
  7. 前記インクジェット意匠層の前記第1の塩化ビニル系樹脂シートとは反対の面側に耐候層を有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の化粧シートを有する建築物内装材。
  9. 意匠シートと基体とを有する化粧シートの製造方法であって、
    第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側に、インクジェット意匠層をインクジェット印刷法により形成し、前記意匠シートを準備する工程と、
    ガラス繊維から構成される層を有する前記基体を準備する工程と、
    前記基体の一方の面側と、前記第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側とを接着する工程である第1の接着工程と、
    前記基体の他方の面側と、第2の塩化ビニル系樹脂シートとを接着する工程である第2の接着工程と、を有する化粧シートの製造方法。
  10. 前記インクジェット意匠層を形成する際の前記インクジェット印刷法に、紫外線硬化型のインクジェットインクを用いる請求項9に記載の化粧シートの製造方法。
  11. 前記第1の接着工程と前記第2の接着工程とは、同時に行われ実質的に1つの工程である請求項9または請求項10に記載の化粧シートの製造方法。
  12. 前記第1の塩化ビニル系樹脂シートと前記インクジェット意匠層との間にアクリル層を有する請求項9〜請求項11のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  13. 前記インクジェット意匠層の前記第1の塩化ビニル系樹脂シートとは反対の面側に耐候層を有する請求項9〜請求項12のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
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