JP2022012004A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行情報を取得不能な異常時に、作業車両の安全を確保しつつ、エンジンの停止を抑制できる、作業車両の制御装置を提供する。【解決手段】検出系統A,Bにより検出される走行情報を取得可能な正常時には、検出系統A,Bにより検出される走行情報を用いて、走行制御および旋回制御が行われる。検出系統Aにより検出される走行情報を取得不能な異常が発生した場合(S1:YES)、エンジンが停止されずに、検出系統Bにより検出される走行情報を利用した走行制御がフェイルセーフ制御として行われる(S3,S6)。【選択図】図4

Description

本発明は、コンバインなどの作業車両の制御装置に関する。
コンバインなどの作業車両には、エンジンの動力を走行装置に伝達する駆動伝達ユニットに、HST(Hydro Static Transmission:静油圧式無段変速機)を備えたものがある。
HSTは、油圧ポンプおよび油圧モータを備え、油圧ポンプと油圧モータとの間で作動油が循環する閉回路を有している。HSTでは、エンジンの動力で油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプが吐出する油により油圧モータが駆動される。そして、HSTの油圧モータの動力がギヤを含む動力伝達機構を介してそれぞれ左右のクローラに伝達される。
油圧ポンプには、斜板角度を変更するサーボピストンが付随して設けられている。油圧ポンプの斜板角度の変更により、油圧ポンプからの油の吐出方向および流量が変化し、油圧モータの回転方向および回転数が変化する。サーボピストンの駆動方式には、運転台の操作パネルに設けられた変速レバーがサーボピストンに機械的に接続されて、変速レバーの操作によりサーボピストンを動作させる機械式と、2個の比例減圧制御弁からなる圧力制御弁に供給される電流を制御して、それらの圧力制御弁からサーボピストンに供給される油圧によりサーボピストンを移動させる電子制御式(電子サーボ式)とがある。左右の走行装置のそれぞれに対応してHSTを備える2ポンプ2モータの構成では、電子制御式が採用される。
特開2004-116757号公報
電子制御式では、直進性能および旋回性能を確保するため、油圧ポンプの斜板角度の制御(サーボピストンの制御)に、油圧ポンプのポンプ斜板の角度位置を検出するポンプ斜板位置センサと、左右の車軸の回転速度を検出する車速センサとが用いられる。
ポンプ斜板位置センサおよび車速センサの一方に異常が生じると、車軸の回転速度(回転数)の目標が最大値に設定されるため、コンバインの走行を停止させる必要がある。従来の制御では、走行停止措置として、エンジンが停止される。ところが、エンジンが停止されると、刈取装置や脱穀装置などの走行装置以外の装置の動作が急停止されるため、走行停止措置としてのエンジンの停止には、走行装置以外の装置が故障するリスクが伴う。
本発明の目的は、油圧ポンプのポンプ斜板の角度位置や左右の車軸の回転速度などの走行情報を取得不能な異常時に、作業車両の安全を確保しつつ、エンジンの停止を抑制できる、作業車両の制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、エンジンと、エンジンの動力で駆動されるポンプおよびポンプが吐出する油により駆動されるモータを備える静油圧式無段変速機と、静油圧式無段変速機から出力されるモータの動力により駆動される左右の走行装置とを搭載した作業車両の制御装置であって、第1走行情報を取得する第1走行情報取得手段と、第2走行情報を取得する第2走行情報取得手段と、第1走行情報および第2走行情報を取得可能な正常時に、第1走行情報取得手段により取得される第1走行情報および第2走行情報取得手段により取得される第2走行情報を用いて、静油圧式無段変速機の制御を行う通常制御手段と、第1走行情報を取得不能かつ第2走行情報を取得可能な異常時に、エンジンを停止させずに、第2走行情報取得手段により取得される第2走行情報を用いたフェイルセーフ制御を行うフェイルセーフ制御手段とを含む。
この構成によれば、第1走行情報および第2走行情報を取得可能な正常時には、その第1走行情報および第2走行情報を用いて、静油圧式無段変速機が制御される。第1走行情報を取得不能な異常が発生した場合、エンジンが停止されずに、第2走行情報を取得可能であれば、第2走行情報を用いたフェイルセーフ制御が行われる。これにより、第1走行情報を取得不能な異常時に、作業車両の安全を確保しつつ、エンジンの停止を抑制できる。そして、エンジンが停止されないので、エンジンの動力で駆動される作業装置を作動させることができる。
作業車両には、エンジンの動力により駆動される作業装置がさらに搭載されており、フェイルセーフ制御手段は、エンジンを停止させずに作業装置を作動可能とすることが好ましい。
この構成により、第1走行情報を取得不能な異常が発生しても、作業装置を作動させることができる。
たとえば、作業車両がコンバインであり、作業装置が脱穀装置である場合、第1走行情報を取得不能な異常が発生しても、脱穀装置による脱穀が可能であるから、異常発生時までに刈り取った穀稈からの脱穀を完了させることができる。
フェイルセーフ制御手段は、作業車両の走行中に、第1走行情報を取得不能かつ第2走行情報を取得可能な異常が発生した場合に、第2走行情報取得手段により取得される第2走行情報を用いて、エンジンを停止させずに作業車両の走行を停止させてもよい。
作業車両の走行が停止するので、車速の目標が最大値に設定されることを抑制でき、作業車両を安全に保つことができる。
フェイルセーフ制御手段は、第2走行情報取得手段により取得される第2走行情報を用いて、作業車両の直進走行を可能する制御を行ってもよい。
この場合、作業車両の直進走行が担保されるので、たとえば、作業車両が圃場内での作業中に異常が発生した場合に、作業車両の直進走行により圃場外に脱出させることができる。
フェイルセーフ制御手段は、第2走行情報取得手段により取得される第2走行情報を用いて、作業車両の旋回走行を可能とする制御を行ってもよい。
この場合、作業車両の旋回走行が担保されるので、作業車両の直進走行も担保される。そのため、作業車両が圃場内での作業中に異常が発生した場合に、作業車両を直進走行および旋回走行により圃場外に脱出させることができる。
第1走行情報および第2走行情報の一方は、ポンプのポンプ斜板の位置であり、その他方は、走行装置の車軸の回転速度であってもよい。
本発明によれば、走行情報を取得不能な異常時に、作業車両の安全を確保しつつ、エンジンの停止を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載されるコンバインの右側面図である。 駆動伝達ユニットの油圧回路図である。 コンバインの電気的構成の要部を示すブロック図である。 フェイルセーフ制御の流れを示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<コンバインの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るコンバイン1の右側面図である。
コンバイン1は、圃場を走行しながら穀稈の刈り取りおよび穀稈からの脱穀を行う収穫機の一例である。コンバイン1は、圃場などの不整地を走破する能力を有する走行装置として、左右一対のクローラ2を採用しており、その左右一対のクローラ2に支持される機体3には、キャビン4およびグレンタンク5が設けられている。
キャビン4は、クローラ2の前端部上に配置されている。キャビン4は、その内部に運転者が搭乗する空間を提供し、その空間内には、たとえば、運転者が着座する運転席や操作レバーおよび操作ペダルなどの操作部材が配置されている。キャビン4の右側面には、開閉可能なドア6が設けられており、運転者は、ドア6を開いて、キャビン4内に乗り込むことができる。
グレンタンク5は、クローラ2上でキャビン4の後方に配置されている。
また、コンバイン1の機体3には、刈取装置7および脱穀装置(図示せず)が設けられている。刈取装置7は、クローラ2の前側に配置されており、コンバイン1の前進に伴って、圃場に植立されている穀稈を刈り取る。脱穀装置は、グレンタンク5の左側に配置されており、刈取装置7に刈り取られた穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって後側に搬送し、穀稈の穂先側を扱室に供給して脱穀する。そして、穀稈から外れた穀粒が脱穀装置からグレンタンク5に搬送されて、グレンタンク5に穀粒が貯留される。グレンタンク5には、アンローダ8が接続されており、グレンタンク5に貯留された穀粒は、アンローダ8により搬出して機外に排出することができる。
<駆動伝達ユニット>
図2は、コンバイン1の駆動伝達ユニット13の左側面図である。図3は、駆動伝達ユニット13の油圧回路図である。
コンバイン1は、エンジン11の動力をクローラ2に伝達する駆動伝達ユニット13を備えている。
駆動伝達ユニット13には、ユニットプーリ14が設けられている。ユニットプーリ14には、図3に示されるように、無端状のベルト15が巻き掛けられている。ベルト15は、エンジン11の出力軸16に固定されたエンジンプーリ17にも巻き掛けられている。これにより、エンジン11の動力は、エンジンプーリ17およびベルト15を介してユニットプーリ14に伝達され、ユニットプーリ14およびユニットプーリ14を相対回転不能に支持する入力軸18を回転させる。
入力軸18の回転は、チャージポンプ21のポンプ軸22に伝達される。チャージポンプ21は、固定容量型の油圧ポンプであり、ポンプ軸22の回転により、チャージ油路23にオイルを送出する。
チャージ油路23には、フィルタ24が介装されている。チャージポンプ21からチャージ油路23に送出されるオイルは、フィルタ24を通過して濾過された後、駆動伝達ユニット13の各部に供給される。また、チャージ油路23には、チャージリリーフバルブ25が接続されている。チャージリリーフバルブ25の機能により、チャージ油路23の油圧が所定のチャージ圧に維持される。
駆動伝達ユニット13には、左側HST(Hydro Static Transmission:静油圧式変速機)31Lおよび右側HST31Rを備えている。
左側HST31Lは、油圧ポンプ41Lと油圧モータ42Lとの間で作動油が循環するように、油圧ポンプ41Lと油圧モータ42Lとを第1油路43Lおよび第2油路44Lで接続した閉回路の構成を有している。第1油路43Lは、油圧ポンプ41Lの第1ポート45Lと油圧モータ42Lの第1ポート46Lとに接続されている。第2油路44Lは、油圧ポンプ41Lの第2ポート47Lと油圧モータ42Lの第2ポート48Lとに接続されている。
また、第1油路43Lは、第1チェックバルブ51Lを介してチャージ油路23に接続されている。第2油路44Lは、第2チェックバルブ52Lを介してチャージ油路23に接続されている。第1油路43Lの油圧がチャージ油路23の油圧、つまりチャージ圧よりも低くなると、第1チェックバルブ51Lが開成して、チャージ油路23から第1チェックバルブ51Lを介して第1油路43Lに作動油が供給される。また、第2油路44Lの油圧がチャージ圧よりも低くなると、第2チェックバルブ52Lが開成して、チャージ油路23から第2チェックバルブ52Lを介して第2油路44Lに作動油が供給される。これにより、第1油路43Lおよび第2油路44Lの油圧がチャージ圧以上に維持される。
油圧ポンプ41Lは、可変容量型の斜板式ピストンポンプであり、シリンダブロック、シリンダブロック内に放射状に配置された複数のピストンおよびピストンが摺動するポンプ斜板などを備えている。油圧ポンプ41Lには、入力軸18からの動力が伝達され、シリンダブロックは、その動力により回転する。
油圧ポンプ41Lのポンプ斜板の傾斜角度を変更するため、電子制御式のサーボピストン53Lが設けられている。サーボピストン53Lは、前進圧力制御弁54Lから油圧が供給される第1圧力室55Lと、後進圧力制御弁56Lから油圧が供給される第2圧力室57Lとを有している。また、サーボピストン53Lは、第1圧力室55Lと第2圧力室57Lとの差圧により直動するロッド58Lを有しており、このロッド58Lの直動により、ポンプ斜板の傾斜角度が変更される。
油圧ポンプ41Lの回転軸線(シリンダブロックの回転軸線)に対するポンプ斜板の傾斜角度が大きいほど、油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出量が少なくなり、ポンプ斜板の傾斜角度が90°であるとき、油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出が停止する。また、ポンプ斜板の傾斜角度が90°を超えると(傾きが逆転すると)、傾斜角度が90°未満のときと油圧ポンプ41Lからの作動油の吐出方向が逆転する。
油圧モータ42Lは、可変容量型の斜板式ピストンモータであり、モータ回転軸61L、モータ回転軸61Lと一体に回転するシリンダブロック、シリンダブロック内に放射状に配置された複数のピストンおよびピストンが押しつけられるモータ斜板などを備えている。油圧モータ42Lのモータ回転軸61Lの軸線に対するモータ斜板の傾斜角度が一定である場合、油圧モータ42Lに供給される作動油の量、つまり油圧ポンプ41Lから吐出される作動油の量が多いほど、モータ回転軸61Lの回転数が増加する。
また、油圧モータ42Lに供給される作動油の量が一定である場合、モータ斜板の傾斜角度が大きいほど、モータ回転軸61Lの回転数が低下する。油圧モータ42Lのモータ斜板の傾斜角度を変更するため、副変速ピストン62Lが設けられている。副変速ピストン62Lには、低速切替弁63および高速切替弁64が接続されている。低速切替弁63がオンにされ、高速切替弁64がオフにされて、低速切替弁63から副変速ピストン62Lに油圧が供給されることにより、副変速ピストン62Lのロッド65Lが低速位置に位置し、モータ斜板の傾斜角度が相対的に大きくなる。一方、低速切替弁63がオフにされ、高速切替弁64がオンにされて、高速切替弁64から副変速ピストン62Lに油圧が供給されることにより、副変速ピストン62Lのロッド65Lが高速位置に位置し、モータ斜板の傾斜角度が相対的に小さくなる。したがって、低速切替弁63および高速切替弁64のオン/オフの切り替えにより、モータ回転軸61Lの回転数が相対的に大きくなる高速段と、モータ回転軸61Lの回転数が相対的に小さくなる低速段との2段に切り替えることができる。
右側HST31Rは、左側HST31Lと同様の構成であるから、右側HST31Rについて、左側HST31Lの各部に相当する部分に、それらの各部に付されている参照符号の末尾「L」を「R」に変更した参照符号を付して、その説明を省略する。なお、低速切替弁63および高速切替弁64については、左側HST31Lの副変速ピストン62Lと右側HST31Rの副変速ピストン62Rとに共用されている。
左側HST31Lのモータ回転軸61Lの動力(回転)は、ギヤ列を介して、左の車軸に伝達される。これにより、左のクローラ2が駆動される。また、右側HST31Rのモータ回転軸61Rの動力(回転)は、ギヤ列を介して、右の車軸に伝達される。これにより、右のクローラ2が駆動される。
<電気的構成>
図3は、コンバイン1の電気的構成の要部を示すブロック図である。
コンバイン1には、エンジン11および駆動伝達ユニット13を制御するため、制御装置71が搭載されている。制御装置71は、マイクロコントローラユニット(MCU:Micro Controller Unit)を含む構成であり、マイクロコントローラユニットには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
制御装置71には、主変速レバー72の操作位置に応じた検出信号を出力する主変速レバーセンサ73と、操向レバー74の操作位置に応じた検出信号を出力する操向レバーセンサ75と、左の車軸の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する車速センサ76Lと、右の車軸の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する車速センサ76Rとが接続されており、これらの検出信号が入力される。
主変速レバー72および操向レバー74は、キャビン4に設けられている操作レバーである。主変速レバー72は、前後方向に傾動可能であり、その傾動操作により、コンバイン1の前進および後進の切り替えを指示することができ、また、その前進または後進の速度の変更を指示することができる。操向レバー74は、左右方向および前後方向に傾動可能であり、左右方向の傾動操作により、直進、左旋回および右旋回を指示することができ、前後方向の傾動操作により、刈取装置7の昇降を指示することができる。
また、制御装置71には、左側HST31Lの前進圧力制御弁54Lに供給される電流値に応じた検出信号を出力する前進弁電流センサ81Lと、左側HST31Lの後進圧力制御弁56Lに供給される電流値に応じた検出信号を出力する後進弁電流センサ82Lと、左側HST31Lの油圧ポンプ41Lのポンプ斜板の位置(角度)に応じた検出信号を出力するポンプ斜板位置センサ83Lとが接続されており、これらの検出信号が入力される。
さらに、制御装置71には、右側HST31Rの前進圧力制御弁54Rに供給される電流値に応じた検出信号を出力する前進弁電流センサ81Rと、右側HST31Rの後進圧力制御弁56Rに供給される電流値に応じた検出信号を出力する後進弁電流センサ82Rと、右側HST31Rの油圧ポンプ41Rのポンプ斜板の角度位置に応じた検出信号を出力するポンプ斜板位置センサ83Rとが接続されており、これらの検出信号が入力される。
制御装置71は、主変速レバーセンサ73、操向レバーセンサ75、車速センサ76L,76R、前進弁電流センサ81L,81R、後進弁電流センサ82L,82Rなどの各種センサの検出信号から取得される情報などに基づいて、コンバイン1の走行および旋回を制御するために、エンジン11、前進圧力制御弁54L,54R、後進圧力制御弁56L,56R、低速切替弁63および高速切替弁64の動作を制御する。
<走行制御>
コンバイン1の走行は、制御装置71によって制御される。この走行制御では、主変速レバーセンサ73の検出信号から主変速レバー72の位置が取得される。
主変速レバー72の位置が中立位置(停止位置)であるときには、左側HST31Lおよび右側HST31Rのそれぞれについて、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流の制御により、それらの各開度が調節されて、油圧ポンプ41L,41Rのポンプ斜板の傾斜角度が90°にされる。これにより、油圧ポンプ41L,41Rから作動油が吐出されないので、油圧モータ42L,42Rが回転せず、車軸に油圧モータ42L,42Rの動力が伝達されない。よって、クローラ2が作動せず、コンバイン1が停止する。
主変速レバー72が停止位置から前側に傾動されると、左側HST31Lについて、前進圧力制御弁54Lおよび後進圧力制御弁56Lに供給される電流の制御により、前進圧力制御弁54Lからサーボピストン53Lの第1圧力室55Lに供給される油圧が後進圧力制御弁56Lから第2圧力室57Lに供給される油圧よりも大きくされる。これにより、第1圧力室55Lと第2圧力室57Lとに差圧が生じ、この差圧により油圧ポンプ41Lのポンプ斜板の傾斜角度が90°よりも小さくなる。その結果、油圧ポンプ41Lから作動油が吐出され、油圧モータ42Lがその作動油を受けて回転する。右側についても同様に、前進圧力制御弁54Lおよび後進圧力制御弁56Lに供給される電流の制御により、油圧ポンプ41Rのポンプ斜板の傾斜角度が90°よりも小さくされて、油圧ポンプ41Rから作動油が吐出され、油圧モータ42Rがその作動油を受けて回転する。そして、油圧モータ42L,42Rの回転(動力)が左右の車軸に伝達されて、クローラ2が前進方向に回転することにより、コンバイン1が前進する。
主変速レバー72が停止位置から後側に傾動されると、左側HST31Lについて、前進圧力制御弁54Lおよび後進圧力制御弁56Lに供給される電流の制御により、後進圧力制御弁56Lから第2圧力室57Lに供給される油圧が前進圧力制御弁54Lからサーボピストン53Lの第1圧力室55Lに供給される油圧よりも大きくされる。これにより、第1圧力室55Lと第2圧力室57Lとに差圧が生じ、この差圧により油圧ポンプ41Lのポンプ斜板の傾斜角度が90°よりも大きくなる。その結果、油圧ポンプ41Lから作動油が前進時と逆方向に吐出され、油圧モータ42Lがその作動油を受けて前進時と逆方向に回転する。右側についても同様に、前進圧力制御弁54Rおよび後進圧力制御弁56Rに供給される電流の制御により、油圧ポンプ41Rのポンプ斜板の傾斜角度が90°よりも大きくされて、油圧ポンプ41Rから作動油が吐出され、油圧モータ42Rがその作動油を受けて回転する。そして、油圧モータ42L,42Rの回転(動力)が左右の車軸に伝達されて、クローラ2が後進方向に回転することにより、コンバイン1が後進する。
また、前進時または後進時に、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流の制御により、油圧ポンプ41L,41Rのポンプ斜板の傾斜角度が変更されると、油圧ポンプ41L,41Rからの作動油の吐出量が変化し、油圧モータ42L,42Rの回転数が変化する。したがって、主変速レバー72の停止位置からの傾動量に応じて、油圧ポンプ41L,41Rのポンプ斜板の傾斜角度位置を調節することにより、コンバイン1の前進および後進の速度を無段階に変化させることができる。
<旋回制御>
コンバイン1の直進(前進・後進)走行時に、操向レバー74が中央の直進位置から左側または右側の旋回位置に傾動操作されると、制御装置71により、コンバイン1を旋回させるための旋回制御が開始される。
旋回制御では、旋回比の目標値である目標旋回比が設定される。そして、実際の旋回比(実旋回比)が目標旋回比に一致するように、左側HST31Lおよび右側HST31Rのそれぞれの前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流(油圧ポンプ41L,41Rのポンプ斜板の傾斜角度位置)が制御されることにより、旋回内側のクローラ2の回転速度が下げられる。
旋回比は、旋回外側のクローラ2に対する旋回内側のクローラ2の速度比であり、具体的には、旋回外側が左側である場合、左側の車軸の回転速度に対する旋回内側である右側の車軸の回転速度の比であり、旋回外側が右側である場合、右側の車軸の回転速度に対する旋回内側である左側の車軸の回転速度の比である。左側の車軸の回転速度は、車速センサ76Lの検出信号から算出することができ、右側の車軸の回転速度は、車速センサ76Rの検出信号から算出することができる。旋回外側が左側である場合、車速センサ76Lの検出信号から算出される車軸の回転速度に対する車速センサ76Rの検出信号から算出される車軸の回転速度の比を求めることにより、実旋回比を算出することができる。旋回外側が右側である場合、車速センサ76Rの検出信号から算出される車軸の回転速度に対する車速センサ76Lの検出信号から算出される車軸の回転速度の比を求めることにより、実旋回比を算出することができる。
<フェイルセーフ制御>
図4は、フェイルセーフ制御の流れを示すフローチャートである。
たとえば、メインキースイッチがオンにされると、制御装置71により、フェイルセーフ制御が開始される。メインキースイッチは、コンバイン1の運転開始(始動)および運転終了の際に、ユーザがキーをキーシリンダに挿入して操作することにより、オン/オフするスイッチである。
フェイルセーフ制御では、車速センサ76L,76Rによる車軸の回転速度(車速に対応)を検出する車速検出系統と、ポンプ斜板位置センサ83L,83Rによる油圧ポンプ41R,41Lのポンプ斜板の角度位置を検出する斜板位置検出系統とが異常判定の対象とされる。車速検出系統の異常は、車速センサ76L,76Rの故障や断線などにより、左および/または右の車軸の回転速度を検出不能な異常をいう。斜板位置検出系統の異常は、ポンプ斜板位置センサ83L,83Rの故障や断線などにより、油圧ポンプ41Lおよび/または油圧ポンプ41Rのポンプ斜板の角度位置を検出不能な異常をいう。
フェイルセーフ制御が開始されると、まず、車速検出系統または斜板位置検出系統の一方に異常が発生したか否かが判断される(ステップS1)。
車速検出系統および斜板位置検出系統の一方に異常が発生した場合(ステップS1のYES)、その異常が発生している車速検出系統および斜板位置検出系統の一方を検出系統Aとし、他方を検出系統Bとして、検出系統Bにより検出される走行情報が取得される(ステップS2)。すなわち、車速検出系統に異常が発生した場合、斜板位置検出系統により油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置が検出されて、その検出されたポンプ斜板の角度位置が走行情報として取得される。一方、斜板位置検出系統に異常が発生した場合、車速検出系統により左右の車軸の回転速度が検出されて、その検出された左右の車軸の回転速度が走行情報として取得される。
その後、検出系統Bにより検出される走行情報を利用して、エンジン11を停止させずに、コンバイン1の走行が停止するように、油圧ポンプ41R,41Lのポンプ斜板の角度位置が制御される(ステップS3:走行停止制御)。具体的には、検出系統Bが斜板位置検出系統である場合には、油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置が検出可能であるから、その検出される角度位置が90°の位置になるように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。一方、検出系統Bが車速検出系統である場合には、左右の車軸の回転速度が検出可能であるから、その検出される回転速度が0になるように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。
この走行停止制御の開始後、コンバイン1の走行が停止したことが確認されると(ステップS4のYES)、主変速レバーセンサ73により検出される主変速レバー72の位置が中立位置であるか否かが判断される(ステップS5)。
作業者により主変速レバー72が中立位置に戻されて、主変速レバー72の位置が中立位置であることが確認されると(ステップS5のYES)、検出系統Bを利用した走行制御が行われる(ステップS6)。この走行制御では、検出系統Bにより検出される走行情報が取得されて、その走行情報を利用して、コンバイン1の直進走行および旋回走行を可能とする制御が行われる。
車速検出系統に異常が発生した場合、斜板位置検出系統により油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置が検出されて、その検出されたポンプ斜板の角度位置が走行情報として取得される。そして、コンバイン1を直進走行させる場合には、油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置が一致するように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。また、コンバイン1を旋回走行させる場合には、油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置に旋回方向に応じた差が生じるように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。
斜板位置検出系統に異常が発生した場合、車速検出系統により左右の車軸の回転速度が検出されて、その検出された左右の車軸の回転速度が走行情報として取得される。そして、コンバイン1を直進走行させる場合には、左右の車軸の回転速度が一致するように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。また、コンバイン1を旋回走行させる場合には、左右の車軸の回転速度に旋回方向に応じた差が生じるように、前進圧力制御弁54L,54Rおよび後進圧力制御弁56L,56Rに供給される電流が制御される。
<作用効果>
以上のように、検出系統A,Bにより検出される走行情報(左右の車軸の回転速度および油圧ポンプ41R,41Lの各ポンプ斜板の角度位置)を取得可能な正常時には、検出系統A,Bにより検出される走行情報を用いて、走行制御および旋回制御が行われる。検出系統Aにより検出される走行情報を取得不能な異常が発生した場合、エンジン11が停止されずに、検出系統Bにより検出される走行情報を利用した走行制御がフェイルセーフ制御として行われる。これにより、検出系統Aにより検出される走行情報を取得不能な異常時に、コンバイン1の安全を確保しつつ、エンジン11の停止を抑制できる。
エンジン11が停止されないので、エンジン11の動力で駆動される刈取装置7や脱穀装置を作動させることができる。そのため、検出系統Aにより検出される走行情報を取得不能な異常が発生しても、脱穀装置による脱穀が可能であるから、異常発生時までに刈り取った穀稈からの脱穀を完了させることができる。
また、検出系統Bにより検出される走行情報を利用した走行制御が行われる前に、エンジン11を停止させずに、コンバイン1の走行を停止させる走行停止制御が行われる。コンバイン1の走行が停止するので、車速の目標が最大値に設定されることを抑制でき、コンバイン1を安全に保つことができる。
検出系統Bにより検出される走行情報を利用した走行制御では、コンバイン1の直進走行および旋回走行が可能である。これにより、コンバイン1を直進走行および旋回走行により圃場外に脱出させることができる。たとえば、コンバイン1の後方の領域が穀稈を既に刈り取った領域であれば、コンバイン1を後方に直進走行させて、未刈取の穀稈を傷めることなく、コンバイン1を圃場から脱出させることができる。また、コンバイン1の左右側方に穀稈を刈り取った領域がある場合には、コンバイン1をその領域に向けて旋回走行させて、未刈取の穀稈を傷めることなく、コンバイン1を圃場から脱出させることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
たとえば、車速センサ76L,76Rは、左右のクローラ2の速度に応じた値を検出可能であれば、左右の斜軸の回転速度を検出可能なものに限らず、その設置位置なども問わない。
ポンプ斜板位置センサ83L,83Rについても、油圧ポンプ41R,41Lのポンプ斜板の角度位置を検出可能であれば、その構成(接触式、非接触式)や設置位置は適宜に設定されるとよい。
また、作業車両の一例として、作業装置としての刈取装置7および脱穀装置を備えるコンバイン1を取り上げたが、本発明は、人参や大根、枝豆、キャベツなどの野菜を収穫して搬送する収穫搬送装置を作業装置として備える収穫機、苗植付装置を作業装置として備える田植機、播種装置を作業装置として備える直播機、プラウを作業装置として備えるトラクタ、バケットを作業装置として備える建設作業車など、種々の作業車両に適用することができる。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:コンバイン
2:クローラ(走行装置)
7:刈取装置(作業装置)
11:エンジン
31L:左側HST(静油圧式無段変速機)
31R:右側HST(静油圧式無段変速機)
41L,41R:油圧ポンプ
42L,42R:油圧モータ
71:制御装置(第1走行情報取得手段、第2走行情報取得手段、通常制御手段、フェイルセーフ制御手段)
76L,76R:車速センサ
83L,83R:ポンプ斜板位置センサ

Claims (7)

  1. エンジンと、前記エンジンの動力で駆動されるポンプおよび前記ポンプが吐出する油により駆動されるモータを備える静油圧式無段変速機と、前記静油圧式無段変速機から出力される前記モータの動力により駆動される左右の走行装置とを搭載した作業車両の制御装置であって、
    第1走行情報を取得する第1走行情報取得手段と、
    第2走行情報を取得する第2走行情報取得手段と、
    前記第1走行情報および前記第2走行情報を取得可能な正常時に、前記第1走行情報取得手段により取得される前記第1走行情報および前記第2走行情報取得手段により取得される前記第2走行情報を用いて、前記静油圧式無段変速機の制御を行う通常制御手段と、
    前記第1走行情報を取得不能かつ前記第2走行情報を取得可能な異常時に、前記エンジンを停止させずに、前記第2走行情報取得手段により取得される前記第2走行情報を用いたフェイルセーフ制御を行うフェイルセーフ制御手段と、を含む、制御装置。
  2. 前記作業車両には、前記エンジンの動力により駆動される作業装置がさらに搭載されており、
    前記フェイルセーフ制御手段は、前記エンジンを停止させずに前記作業装置を作動可能とする、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記作業車両は、コンバインであり、
    前記作業装置は、脱穀装置である、請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記フェイルセーフ制御手段は、前記作業車両の走行中に、前記第1走行情報を取得不能かつ前記第2走行情報を取得可能な異常が発生した場合に、前記第2走行情報取得手段により取得される前記第2走行情報を用いて、前記エンジンを停止させずに前記作業車両の走行を停止させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
  5. 前記フェイルセーフ制御手段は、前記第2走行情報取得手段により取得される前記第2走行情報を用いて、前記作業車両の直進走行を可能とする制御を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 前記フェイルセーフ制御手段は、前記第2走行情報取得手段により取得される前記第2走行情報を用いて、前記作業車両の旋回走行を可能とする制御を行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
  7. 前記第1走行情報および前記第2走行情報の一方は、前記ポンプのポンプ斜板の位置であり、その他方は、前記走行装置の車軸の回転速度である、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
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