本項では、先行技術に限られない、本開示に関する背景情報を提供する。また、本項は本開示の概要も示すが、開示の全範囲又はその特徴の全てを包括的に明示するものではない。
ステントは、体内の管の開存性の維持、すなわち、人体の様々な臓器や組織における、閉塞又は器質的障害が生じた血管及び血管以外の循環導管の再開通に使用される、埋込型の医療機器である。
毎年、眼瞼外傷事例の16%~36%において涙器系の損傷が生じており、外来患者の3%近くを流涙症が占めている。各眼内ステントの費用は平均で約500ドルである。
涙道を通る涙液の排出に欠陥が生じる流涙症は、珍しい眼疾患ではない。涙液の排出異常は、機能的問題及び身体構造的問題へと更に細分される。機能的障害は、涙点のずれや、眼瞼の弛緩、眼輪筋の衰弱、又は第7脳神経のまひによって生じうる、涙管のポンプ機能の低下に関わる。身体構造的な閉塞は、涙液排出路に沿ったどの部分にも生じうるもので、先天性又は外傷によって生じることがある。
流涙症は、視界不良、目脂、皮膚のただれ、及び/又は泣き続ける状態を引き起こすことで、患者の生活の質(QOL)に影響することがある。極端な例では、涙液の停滞によって雑菌の増殖や真菌、ウイルスに冒され、炎症や感染症といった二次的合併症を引き起こすこともある。
子供と大人とでの閉塞の病態生理学的な違いによって、好適な治療法も異なっている。子供はハスナー弁の本来の鼻弁口を塞ぐ閉塞膜を有することが多いが、多くの場合は自然に消散するか、(局所的な抗生剤やマッサージといった)保存的療法によって消散する。大人の流涙症の治療は、プロービング、洗浄及び抗生剤治療といった医学的管理によるものだが、無益であることが多い。
一般的な治療法として、シリコーン挿管を伴う又はシリコーン挿管を伴わない涙嚢鼻腔吻合術も選択できるが、多くの場合において全身麻酔を要し、また顔に傷痕が残る上、6%~21%の確率で失敗が生じている。こうした欠点を克服するために、流涙症の治療では、蛍光透視での非手術性のバルーン拡張術及びステントの設置が用いられてきた。
涙導管狭窄とは涙液導管が狭まることであり、通常の眼の表面からの涙液排出を防いでしまう。この現象によって、眼の痒みや充血からより深刻な感染症まで、多くの様々な問題が人の眼に生じうる。涙液が適切に排出されないと、停滞した涙液によって雑菌の増殖や真菌、ウイルスに冒されることがある。雑菌の増殖や炎症が重なると感染症が生じうる。
こうした簡単な問題や深刻な問題を防止するために、現在の処置には涙道ステントを涙導管内へと設置することが含まれている。このステントは、涙導管に対して外方への円周圧力をかけることで涙導管を開くようになっている。ステントの設置は、涙導管を適切に矯正して、数か月後にステントを取り外した後に涙液が導管を通って排出されるようにするのに重要なものである。ステントの設置は、涙嚢内へと続く、眼の隅にある涙点内へとステントを送り込む手術を通して行われる。
現在使用されているステントの問題は、涙液を、ステント内の管腔を介してではなく、ステントと涙器系との間でステントの外側に流すことでしか涙液を排出できないことである。これは、狭窄が生じている涙導管は既に狭い上にステントが場所をとるため、流路が制限されてしまうことから、流体の搬送に最適な手段とはいえない。患者によっては、彼等の涙器系が拡張されるまで何か月も、又は何年もステントを設置し続ける必要がある。
他に先駆けて、ソン氏による、理論上バルーン涙嚢形成術よりも再閉塞の確率が低い、涙器系内の閉塞を跨いで設置できるステントの開発がなされた。こうして、ポリウレタン製のソン鼻涙ステントが最もよく使用される涙道ステントとなった。
閉塞部分を跨いで導入されるソン鼻涙ステントは高い成功率を示した(93%)。ソンの技術については、リトレン(Ritleng)プローブを使用して閉塞部分を通してガイドワイヤを導入することや、クロウフォード(Crawford)フックを使用して鼻からガイドワイヤを回収することを含んだ変更例も提案されていた。
しかし、昨今報告されているソン・ステントの長期的な成功率は50%~86%となっている。ステントの失敗には主な原因が3つあるように見受けられる。そもそもステントの挿入が不可能な場合、鼻涙系内の位置異常、そして肉芽組織による閉塞である。
ソンの技術における制限を軽減できる新たに改善されたステントの需要が、本発明の開発へと繋がった。
ここで、添付の図面を参照して、実施例の例をより十分に説明する。
実施例の例は、本開示が詳細なものであり、当業者に対してその範囲を十分に伝えられるものとなるように提供される。本開示の実施例が十分に理解されるように、具体的な構成要素、装置及び方法の例といった多くの具体的な詳細が示される。当業者には、必ずしも具体的な詳細を採用する必要がなく、実施例の例は多くの異なる形態で実施することができ、且つ本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでないということが明白であろう。幾つかの実施例の例では、周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術の詳細は説明されない。
本明細書で使用される用語は、特定の実施例の例を説明するためだけのものであり、限定を意図するものではない。本明細書で使用されているように、「a」、「an」及び「the」といった単数形には、文脈によって明示されていない限り、複数形も含まれるようにしてもよい。「備える」、「備えた」、「含む」及び「有する」といった単語は包括的であることから、記載の特徴、整数、工程、動作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在を除外するものではない。本明細書に説明される方法の工程、プロセス及び動作は、実行の順序として具体的に明記されていない限り、記載又は例示される特定の順序での実行を必ず必要とするものとは解釈されない。また、追加又は代替の工程が採用されうることも理解されよう。
要素又は層が他の要素又は層に対して「上」であったり、「係合」、「接続」又は「連結」していると記されている場合、他の要素又は層に対して直接的に上であったり、係合、接続又は連結しているか、或いは介在する要素又は層が存在していることもある。一方、要素が他の要素又は層に対して「直接的に上」であったり、「直接的に係合」、「直接的に接続」又は「直接的に連結」していると記されたりしている場合、介在する要素又は層は存在しない。要素間の関係を説明するのに用いられる他の語も同様に解釈されるべきである(例えば「間」対「間に直接的に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」等)。本明細書で使用されるように、「及び/又は」という単語には、1つ以上の関連する記載項目のいずれか及びその全ての組み合わせが含まれる。
第1、第2、第3等の単語は、様々な要素、構成要素、範囲、層及び/又は部分を説明するのに本明細書で使用されるが、これらの要素、構成要素、範囲、層及び/又は部分はこれらの単語によって限定されるべきではない。これらの単語は、1つの要素、構成要素、範囲、層又は部分を他の範囲、層又は部分から区別するためだけに使用される。本明細書で使用される際の「第1」、「第2」及び他の数字用語といった単語は、文脈によって明示されていない限り、並び又は順序を意味するものではない。このため、以下に記載される第1の要素、構成要素、範囲、層又は部分は、例示的な実施例の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、範囲、層又は部分と称されてもよい。
「内側」、「外側」、「真下」、「下」、「下方」、「真上」、「上方」等といった空間に関する単語は、説明を容易にするために本明細書で使用されて、図面に示すような、或る要素又は特徴の他の(1つ又は複数の)要素又は(1つ又は複数の)特徴に対する関係を説明する。空間に関する単語は、図面に描かれた配向の他、使用中又は動作中の装置の様々な配向を包含するようになっている。例えば図面の装置が裏返された場合、他の要素又は特徴の「下」又は「真下」にあるとして説明された要素は、その他の要素又は特徴の「真上」に配向されることになるといえる。このため、単語例「下」は、真上及び下の配向の両方を包含できる。或いは、装置は(90度に回転されるか他の配向へと)配向されて、本明細書で使用される空間に関する記号がそれに伴って解釈されてもよい。
ヒト等の哺乳動物の良好な視覚機能にとって、安定した涙液層は重要なものである。しかし、流涙症は過剰な涙液を意味する状態である。流涙症は、生活の質を低下させうる状態として全く珍しいものではなく、運転や読書、テレビの視聴、外出、社会的交流といった活動に干渉し、特に子供にとっては涙液導管の感染症(涙嚢炎)への主なリスクとなる。更に、絶えず頬を拭うことが皮膚への刺激となることもあり、眼に対する感染症のリスクも生じる。
流涙症の有病率は不明だが、1996年~2000年の症候性の鼻涙管閉塞の発生率は100,000人あたり30.47人、又は各年における鼻涙管閉塞の新たな事例が約120,000件だった。その発病率は世界的には更に高く、インド、シンガポール及び韓国からの症例シリーズ公表は、重大な世界疾病負荷であると示唆している。
流涙症の治療では、適切な治癒を促進するために、外科医は一時的なシリコーンチューブを治癒対象の涙液排出系内に設置して、ステント留置によって治癒プロセス中の流路を作ることが多い。この処置は毎年数千件行われ、ステントを留置する時間が長いほど、手術の長期的な成功が実現され易い。しかし、従来のステントは極めて狭い涙液排出装置内で場所をとってしまうため、処置後に数週間から数か月経ってステントが取り除かれるまで、涙液排出の最大限の改善が遅れてしまう。この問題は、乳がん用のドセタキセル(タキソテール)化学療法といった化学療法中のがん患者にとっては、ステント留置の延長が必要となるために更に悪化してしまう。
ステントが中空の管腔を有しているにも関わらず、管腔が開かれていて内部の涙液排出を促進できるようなステントは市場では知られていない。これは、涙液を流すのに十分な大きさでありながら、ステントが弱く脆くなり過ぎて早々に破損してしまうほど大きくはない適切な開口部を管腔内に作ることが、工学的に困難であるためと考えられる。これは、この産業においてこれまで対処されたことのない肝要な工学的困難といえる。米国で毎年行われる約120,000件、世界的には数百万件の処置という市場において、そして価格相場が100ドル~500ドルであるシリコーンステントにおいて、まだ満たされていない需要や、新たな優れた製品の開発を支持する市場が存在する。本教示の原理によれば、涙道ステント全体の構造を著しく弱めることのない、ステント構造内に軸線方向の切れ込み又は孔を有するステントが提供される。
眼科医と機械工学士との積極的な共同研究を通して、本教示の涙道ステントは、管腔内排出用のシリコーンチューブの基本的な特徴を最適化するとともに、管腔内へと涙液を排出するように戦略的に構築された(1つ又は複数の)開口部を提供する。こうしたステントは、症候性且つ衰弱性の流涙症の治療におけるステントの使用に革命をもたらすことができる。
幾つかの実施例では、図1~図5に示すように、本教示によって涙道ステント10が提供され、涙道ステント10は、涙液を眼表面から空洞内又はステント10の管腔16内へと流して、患者又は哺乳動物の鼻腔内へと落とすように設計された1つ以上の軸線方向の切れ込み又は孔14をもつ、概して筒状で中空のシリコーン構造12を有する。
特に図4を参照すると、ヒトの涙液排出系100は、概して、上眼瞼102及び下眼瞼104に位置する小さな開口部(涙点)101から、涙小管106と呼ばれる小さな管内へと延在して、眼の隅の内側に位置する涙嚢108内へと通じる。涙嚢内の開口部は、鼻を囲む骨構造を通過する管で、涙液を鼻腔内へと排出する鼻涙管110内へと通じる。本教示の原理によれば、図4に示すように、涙道ステント10は、1つ以上の軸線方向の切れ込み又は孔14が、眼の隅に概して隣接するように位置付けられて涙液の排出を促進させるように、特に涙液排出系100内に設置することができる。図2は、軸線方向の切れ込み又は孔14から管腔16に涙液が流入する涙道ステント10を示す。幾つかの実施例では、涙道ステント10は、涙液排出系100内に十分に設置できるように500~1000マイクロメートルの大きさの外径を有する。
引き続き図1~図5を参照すると、幾つかの実施例では、涙液を涙道ステント10の管腔16内へと効率よく流すために、構造12の外面18に設計されて作られる軸線方向の切れ込み又は孔14が涙道ステント10に採用される。幾つかの実施例では、軸線方向の切れ込み又は孔14の開口部20は、僅かな抵抗か全く抵抗がない状態で涙液が開口部20の表面を通る(すなわち、表面張力や他の障害に打ち勝つ)ように、十分な大きさを有することが望ましい。しかし、この要望は、涙道ステント10の構造の完全性を維持したいという相反する要望と比較考量される。このために、軸線方向の切れ込み又は孔14の開口部20は、流体の流れを十分に許容するような大きさに作られ、構成され且つ配向されると共に、涙道ステント10の構造の完全性を維持するような大きさに作られ、構成され且つ配向される。
上述したように、表面張力は本発明の成功における重要な要素である。涙液の表面張力は、涙液が軸線方向の切れ込み又は孔14の開口部20に到達した際に、涙液が涙道ステント10の管腔16内へと通る能力を妨げることがある。幾つかの実施例では、開口部20が涙液の流入に適切な大きさに作られていないと、凝集力が分散されず、液体が管腔16内に入らなくなってしまう。幾つかの実施例では、2ミリメートルより大きい長さ及び/又は約300マイクロメートルより大きい深さをもったスロット開口部20が、より排出の効率が良い。
十分な流体の流れ及び構造の完全性を更に提供するために、幾つかの実施例では、軸線方向の切れ込み又は孔14は、概して滑らかで曲線的な細長いU字形状であり、そのため、張力を受けている際(例えば設置又は取り外しの際)に、涙道ステント10にかかっている応力が、涙道ステント10材を通してより均等に分散されるようになっている。これにより、涙道ステント10は十分な強度を維持して、通常使用時の破損に抵抗することができる。個別の軸線方向の切れ込み又は孔14の切れ込み深さは、通常、涙道ステント10の直径の40%~65%である。これは、十分な強度を維持しながら涙液が涙道ステント10(開口部はより大きいほどよい)の管腔16内へと流れることを可能にするように求められたものである。
幾つかの実施例では、図5に示すように、軸線方向の切れ込み又は孔14の開口部20における滑らか且つ/又は清潔な縁部が、応力集中を最低限に抑える(強度を維持するのに重要)のを更に助けると共に、涙液が涙道ステント10の管腔16内に流入するための妨げの無い通り道を提供する。また、曲線的な縁部を有する開口部20及び/又は軸線方向の切れ込み又は孔14は、患者の快適性を向上させ且つ管腔16を通した涙液の排出を向上させることがわかっている。
幾つかの実施例では、軸線方向の切れ込み又は孔14は、構造12周りに約120度の径方向間隔で位置付けられ、どの回転配向で涙道ステント10が設置されても問題ないようになっており、涙液は常に妨げの無い開口部から流入される。例えば、全ての開口部が一方の側にあると、眼の隅の方へ回転した際にこれらの開口部が塞がれてしまう可能性がある。しかし、軸線方向の切れ込み又は孔14は、他の径方向間隔、例えばこれに限らないが90度~150度の範囲内で位置付けられてもよいことが理解されよう。
幾つかの実施例では、軸線方向の切れ込み又は孔14は、或る軸線方向の切れ込み又は孔14が他の軸線方向の切れ込み又は孔14に重ならないように、構造12に沿って長手方向に離隔して、涙道ステント10の全体強度の維持を助けるようになっている。軸線方向の切れ込み又は孔14が長手方向に重なっていると、涙道ステント10の壁部分が狭くなり過ぎてしまい、使用中に問題が生じうる。
好適な実施例では、3つの軸線方向の切れ込み又は孔14が、涙道ステント10の長手方向に合計10ミリメートル~15ミリメートルにわたって作られてもよい。これにより、軸線方向の切れ込み又は孔14は、互いに重なることはないが眼の隅に収まることができるように十分に近接して、どの回転配向でも涙液の排出を促進することができる。
幾つかの実施例では、涙道ステント10は、涙道ステント10の遠端に沿って形成される排出切れ込み30を更に含み、管腔16内の流体が排出切れ込み30から流れるようにしてもよい。
本発明は、涙道ステント10を、涙嚢内へと続く眼の隅における涙点101内へと送り込む手術を通した涙道ステント10の正しい設置を重視するものであり、効率的な涙液の収集及び排出を促進する。幾つかの実施例では、涙液排出系100内での涙道ステント10の適切な設置を容易にする目印を提供するために、位置合わせマーカー36を涙道ステント10の構造12上及び/又は外面18上に設けてもよい。このために、位置合わせマーカー36を、患者の眼瞼又は他の身体構造物に隣接して均等に設けて、機能性及び快適性の最適化を確実なものとするようにしてもよい。
製造の際、軸線方向の切れ込み又は孔14は、これに限らないが直接噴射又は圧縮成形、カミソリ切断若しくはレーザー切断を含んだ数多くの様々な方法で製造できる。カミソリ切断技術を用いる場合、涙道ステント10をその位置に保持するように固定具を作るのが好ましい。すなわち、固定具には、好適にはステンレス鋼等の硬い材料から作られた、精密に圧延された四角形の固定具が含まれてもよく、この固定具は、涙道ステント10を押し込むことができる、異なる深さをもった細長く狭い経路を含む。幾つかの実施例では、涙道ステント10が締まり嵌めによって経路内に押し込まれてその位置に保持されるように、経路の内幅を涙道ステント10の外幅よりも約10%小さく切り出してもよい。経路の深さは、所望の軸線方向の切れ込み又は孔をもたない部分が涙道ステント10の直径よりも大きな深さをもち、所望の軸線方向の切れ込み又は孔をもつ部分が涙道ステント10の直径よりも小さな深さをもつように選択されてもよい。この異なる経路の深さによって、提案される1つ又は複数の軸線方向の切れ込み部又は孔部の部分(「突出ステント部」)を、固定具の平坦上面の真上に部分的に持ち上げながら、所望の変更されていない1つ又は複数の部分が固定具の平坦上面の下に収まるようにできる。こうして、カミソリの刃等の切断装置を固定具の上面にわたって滑らせて、選択的に持ち上げられた部分を滑らか且つ正確に切断することができる。
幾つかの実施例では、開口部20の曲線的な縁部が、軸線方向の切れ込み又は孔14と同時に作られてもよい。しかし、これらの特徴は、成形、特定のレーザーパターンによる切断、又は軸線方向の切れ込み14の曲線形状に特化した切断固定具/切断刃を用いて作ることができることが理解されよう。
本発明は、涙液が効率よく涙道ステント10の管腔16を通って流れるのを促進することで、現在使用されている(涙液をシリコーンチューブの外側に流す)ステントの欠点を克服する。従来の技術は、狭窄した涙導管は既に狭い上に涙道ステント10が場所をとるため、流体の搬送に効率的な手段とはいえなかった。患者によっては何か月も、又は何年も涙道ステント10を設置し続ける必要があるが、涙液が涙道ステント10の管腔を通って流れるようにすることで流涙症の症状が改善されるだろう。
本教示には変更が見込まれることが理解されよう。例えば、涙道ステント10が設置位置から動いてしまうのを防止するために、複数の段状の釣り針に似た突起38(図3)を、涙道ステント10の外面18に成形してもよい。これにより、涙道ステント10が一方向又は他方向に引張られるのを防止しながらも、突起38が一方向への取り外しインターフェイスを作り出すため、取り外すことも可能となる。また、幾つかの実施例では、涙液の流量の増加を促進するために、涙道ステント10の少なくとも内側に(親水性及び/又は疎水性のコーティング等の)表面コーティング又はテクスチャ40を追加してもよい。更に、幾つかの実施例では、軸線方向の切れ込み又は孔14が、涙道ステント10の管腔内の涙液の流れを促進し且つ構造の完全性を維持するように、連続気泡マトリックス状に形成された複数の開口部を有する多孔質材料として構成されてもよい。
上述した実施例の説明は、例示及び説明を目的として提供されている。これは、網羅的であったり本開示を限定したりするのを意図するものではない。特定の実施例の個別の要素又は特徴は、概して特定の実施例に限定されるものではなく、特に示されたり説明されたりしていなくても、適用可能な場合には置き換え可能であり、選択された実施例に使用できる。また、これらは様々な方法で変更されてもよい。こうした変更は、本開示からの逸脱とは見なされず、全てのこうした変更例は本開示の範囲内に含まれるものとする。