JP2022123718A - 熱伝導シート - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本発明において、ゴム粒子の「平均直径」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
C0.6=100×{1-(T0.6/T0.05)}[%]・・・(1)
により算出される圧縮率C0.6が10%以上であることが好ましい。上述の式(1)で算出される圧縮率(以下、「0.6MPaにおける圧縮率」と略記する場合がある。)が上記値以上であれば、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高めることができる。
なお、本発明において、熱伝導シートの「厚み」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて求めることができる。
C0.9=100×{1-(T0.9/T0.05)}[%]・・・(2)
により算出される圧縮率C0.9が15%以上であることが好ましい。上述の式(2)で算出される圧縮率(以下、「0.9MPaにおける圧縮率」と略記する場合がある。)が上記値以上であれば、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高めることができる。
なお、本発明において、熱伝導シートの「熱伝導率」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
なお、本発明において、ゴム粒子の「ガラス転移温度」は、示差熱分析測定装置を用いて測定することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
本発明の熱伝導シートは、樹脂と、熱伝導性充填材と、ゴム粒子とを含み、任意に、その他の成分を更に含有する。具体的には、例えば図1に示すように、本発明の熱伝導シート10は、樹脂と、熱伝導性充填材とを含み、任意にその他の成分を更に含有するシート本体11にゴム粒子20の一部または全部が埋設された構造を有している。
そして、本発明の熱伝導シートは、上述したゴム粒子の平均直径が5μm以上50μm以下であることを特徴とする。
ここで、熱伝導シートに含まれる樹脂としては、常温常圧下で液体の樹脂と、常温常圧下で固体の樹脂との少なくとも一方を用いることができる。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
また、常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
そして、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
なお、上述した樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱伝導シートに含まれる熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、既知の熱伝導性充填材を用いることができる。具体的には、熱伝導性充填材としては、粒子状熱伝導性充填材、繊維状熱伝導性充填材などを用いることができる。なお、粒子状熱伝導性充填材および繊維状熱伝導性充填材は、何れか一方を単独で使用してもよいし、両方を併用してもよいが、熱伝導シートの熱伝導性を容易に高める観点からは、少なくとも粒子状熱伝導性充填材を使用することが好ましい。また、熱伝導シートの熱伝導性を高めつつ、熱伝導シートから粒子状熱伝導性充填材が粉落ちすることを防止する観点からは、粒子状熱伝導性充填材および繊維状熱伝導性充填材を併用することがより好ましい。
なお、本発明において、熱伝導性充填材が「粒子状」であるとは、任意選択される100個の熱伝導性充填材の長径および短径を測定し、短径の平均値で長径の平均値を除して得られるアスペクト比が、1以上5未満であることをいう。
また、本発明において、熱伝導性充填材が「繊維状」であるとは、任意選択される100個の熱伝導性充填材の長径および短径を測定し、短径の平均値で長径の平均値を除して得られるアスペクト比が、5以上であることをいう。
ここで、粒子状熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子および粒子状炭素材料(例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛、カーボンブラック等)などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、粒子状熱伝導性充填材としては、粒子状炭素材料を用いることが好ましく、膨張化黒鉛を用いることがより好ましい。粒子状炭素材料を使用すれば、熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができる。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠して測定することができ、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
そして、熱伝導性充填材中の粒子状熱伝導性充填材の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましく、100質量%以下とすることができ、99.9質量%以下であることが好ましい。熱伝導性充填材中の粒子状熱伝導性充填材の含有割合が上記下限値以上であれば、熱伝導シート中で粒子状熱伝導性充填材がより良好に配向し、粒子状熱伝導性充填材同士が接触して良好な伝熱パスを形成する。その結果、熱伝導シートにより高い熱伝導性を発揮させることができる。また、粒子状熱伝導性充填材の含有割合が99.9質量%以下であれば、熱伝導シートからの粒子状熱伝導性充填材の粉落ちを防止し得る。
ここで、繊維状熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、例えば、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。熱伝導シートに繊維状熱伝導性充填材を含有させれば、熱伝導シートの熱伝導性を更に向上させることができると共に、粒子状熱伝導性充填材と併用した際に粒子状熱伝導性充填材の粉落ちをより防止することもできる。なお、繊維状熱伝導性充填材を配合することで粒子状熱伝導性充填材の粉落ちを防止することができる理由は、明らかではないが、繊維状熱伝導性充填材が三次元網目構造を形成することにより、熱伝導性や強度を高めつつ粒子状熱伝導性充填材の脱離を防止しているためであると推察される。
なお、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層CNTおよび/または多層CNTを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのCNTであることが好ましく、単層CNTであることがより好ましい。単層CNTを使用すれば、多層CNTを使用した場合と比較し、熱伝導シートの熱伝導性および強度を更に向上させることができる。
そして、熱伝導性充填材中の繊維状熱伝導性充填材の含有割合は、0.001質量%以上であることが好ましく、100質量%未満であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。熱伝導性充填材中の繊維状熱伝導性充填材の含有割合が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの熱伝導性および強度を十分に向上させることができると共に、粒子状熱伝導性充填材と併用した際に粒子状熱伝導性充填材の粉落ちを十分に防止することができる。また、繊維状熱伝導性充填材の含有割合が上記上限値以下であれば、繊維状熱伝導性充填材の配合により熱伝導シートの硬度が過度に上昇する(即ち、柔軟性が過度に低下する)のを抑制することができる。
また、熱伝導シート中における熱伝導性充填材の含有量は、特に限定されないが、樹脂100質量部当たり、40質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、130質量部以下であることが好ましく、120質量部以下であることがより好ましく、110質量部以下であることが更に好ましい。熱伝導シート中における熱伝導性充填材の含有量が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの高荷重下における熱伝導性を更に向上させることができる。また、熱伝導シート中における熱伝導性充填材の含有量が上記上限値以下であれば、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高めることができる。
本発明の熱伝導シートに含まれるゴム粒子は、上述した樹脂とは異なる成分であり、熱伝導シート中において安定に存在し、その形状が維持される粒子である。すなわち本発明の熱伝導シートにおいて、樹脂で構成される部位と、ゴム粒子で構成される部位は明確に区別することができる。
ここで、ゴム粒子としては、特に限定されることなく、例えば、ポリアクリル酸アルキル粒子、ポリメタクリル酸アルキル粒子、具体的には、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリルアミドの重合体、またはその共重合体などの(メタ)アクリル系ゴム粒子;アクリロニトリル-スチレン共重合体、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-ブチレン共重合体などのポリスチレン系ゴム粒子;ポリエーテル-ポリカーボネート共重合体などのポリカーボネート系ゴム粒子;ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのウレタン系ゴム粒子;ポリスチレン-ポリブタジエンなどのスチレン-ブタジエンゴム(SBR)系ゴム粒子;エチレン-酢酸ビニル共重合体などのエチレン酢酸ビニル(EVA)系ゴム粒子;等を用いることができる。
なお、ゴム粒子を形成するゴムは、架橋されていることが好ましい。これらの中でも、耐熱性および入手し易さの観点からは、ゴム粒子としては、(メタ)アクリル系ゴム粒子が好ましく、ポリアクリル酸アルキル粒子、ポリメタクリル酸アルキル粒子がより好ましく、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メトキシエチル、ポリエチレン-メチルアクリレートまたはそのモノマーの共重合体が更に好ましく、ポリメタクリル酸ブチルが特に好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、本発明に用いられるゴム粒子は、平均直径が5μm以上50μm以下であることが必要であり、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。ゴム粒子の平均直径が5μm未満であると、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性が低下する。一方、ゴム粒子の平均直径が50μm超であると、熱伝導シートの高荷重下における潰れ抑制および熱伝導性が低下する。
なお、上述した平均直径を有するゴム粒子は、例えば図2に示すように熱伝導シートの厚み全体に亘って埋設されていてもよいし、図3および図4に示すように熱伝導シート内に埋没していてもよい。また、上述した平均直径を有するゴム粒子は、熱伝導シートの表面から一部が突出していてもよい。中でも、ゴム粒子は、熱伝導シート内に埋没していることが好ましい。
また、本発明に用いられるゴム粒子は、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-20℃以下であることが更に好ましい。また、ゴム粒子のガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されないが、例えば、-120℃以上とすることができ、-60℃以上とすることができる。
熱伝導シートは、上述した樹脂、熱伝導性充填材およびゴム粒子以外に、任意で、その他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤などを使用することができる。そして、熱伝導シートの形成に使用し得る既知の添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、赤りん系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等の難燃剤;可塑剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の受酸剤;シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸無水物等の接着力向上剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;などが挙げられる。
なお、熱伝導シート中の上記その他の成分の含有割合は、本発明の所望の効果が得られる範囲内で任意に設定することができる。
そして、熱伝導シートは、特に限定されないが、以下の性状を有していることが好ましい。
本発明の熱伝導シートは、常温常圧下において、厚みが50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることが更に好ましく、1000μm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましい。常温常圧下における熱伝導シートの厚みが上記上限値以下であれば、熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟んで好適に使用し得る。また、熱伝導シートの厚みが上記下限値以上であれば、熱伝導シートの強度、耐久性およびハンドリング性を高めることができる。
また、本発明の熱伝導シートは、熱伝導シートの厚みに対するゴム粒子の平均直径の割合が、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、100%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。熱伝導シートの厚みに対するゴム粒子の平均直径の割合が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの厚み方向の潰れを抑制することができる。また、熱伝導シートの厚みに対するゴム粒子の平均直径の割合が上記上限値以下であれば、熱伝導シートの高荷重下における熱伝導性を一層高めることができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、0.6MPaにおける圧縮率が10%以上であることが好ましく、11%以上であることがより好ましく、12%以上であることが更に好ましい。熱伝導シートの0.6MPaにおける圧縮率が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高めることができる。また、熱伝導シートの0.6MPaにおける圧縮率の上限は特に限定されないが、例えば、25%以下とすることができ、20%以下とすることができる。
更に、本発明の熱伝導シートは、0.9MPaにおける圧縮率が15%以上であることが好ましく、16%以上であることがより好ましく、17%以上であることが更に好ましい。熱伝導シートの0.9MPaにおける圧縮率が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性を一層高めることができる。また、熱伝導シートの0.9MPaにおける圧縮率の上限は特に限定されないが、例えば、35%以下とすることができ、30%以下とすることができる。
また、本発明の熱伝導シートは、0.9MPa加圧下での熱伝導率が10W/m・K以上であることが好ましく、15W/m・K以上であることがより好ましく、20W/m・K以上であることが更に好ましい。熱伝導シートの0.9MPa加圧下における熱伝導率が上記下限値以上であれば、熱伝導シートの高荷重下における熱伝導性を更に向上させることができる。また、熱伝導シートの0.9MPa加圧下における熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば、35W/m・K以下とすることができ、30W/m・K以下とすることができる。
そして、本発明の熱伝導シートは、温度25℃でのアスカーC硬度が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましく、90以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましい。熱伝導シートの温度25℃におけるアスカーC硬度が上記範囲内であれば、室温環境下における熱伝導シートの可撓性およびハンドリング性を良好にすることができる。
なお、本発明において、熱伝導シートの「アスカーC硬度」は、本明細書の実施例に記載の方法で測定することができる。
上述した構成を有する熱伝導シートは、特に限定されることなく、例えば、樹脂と、熱伝導性充填材と、ゴム粒子とを含み、任意に、その他の成分を更に含有する組成物を用いて熱伝導シートを作製する方法(方法1)や、樹脂と、熱伝導性充填材とを含み、任意に、その他の成分を更に含有する組成物を用いてシート本体を作製した後、シート本体にゴム粒子を埋め込んで熱伝導シートとする方法(方法2)を用いて製造することができる。
ここで、方法1では、特に限定されることなく、例えば、上記組成物を加圧してシート状に成形し、プレシートを得る工程(プレシート成形工程)と、プレシートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレシートを折畳または捲回して、積層体を得る工程(積層体形成工程)と、得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、熱伝導シートを得る工程(スライス工程)と、を経て熱伝導シートを製造することができる。
なお、方法1では、通常、ゴム粒子の平均直径が熱伝導シートの厚みの100%以下である熱伝導シートが得られる。
プレシート成形工程では、樹脂と、熱伝導性充填材と、ゴム粒子とを含み、任意に、その他の成分を更に含有する組成物を加圧してシート状に成形し、プレシートを得る。ここで、樹脂、熱伝導性充填材、ゴム粒子、その他の成分としては、本発明の熱伝導シートに含まれ得るものとして上述したものを用いることができる。
なお、プレシートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
積層体形成工程では、プレシート成形工程で得られたプレシートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、プレシートを折畳または捲回して、積層体を得る。ここで、プレシートの折畳による積層体の形成は、特に限定されることなく、折畳機を用いてプレシートを一定幅で折り畳むことにより行うことができる。また、プレシートの捲回による積層体の形成は、特に限定されることなく、プレシートの短手方向または長手方向に平行な軸の回りにプレシートを捲き回すことにより行うことができる。
更に、プレシートの表面に設ける接着層としては、特に限定されることなく、両面テープなどを用いることができる。
ここで、接着剤や接着層には、得られる熱伝導シートが硬くなりすぎない範囲で熱伝導性フィラーが配合されていてもよい。
スライス工程では、積層体形成工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる熱伝導シートを得る。ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、スリットを有する平滑な盤面と、このスリット部より突出した刃部とを有するスライス部材(例えば、鋭利な刃を備えたカンナやスライサー)を用いることができる。
ここで、方法2において、プレシート成形工程、積層体形成工程およびスライス工程は、組成物としてゴム粒子を含有しない組成物を用いる以外は、それぞれ方法1のプレシート成形工程、積層体形成工程およびスライス工程と同様にして行うことができる。
そして、方法2の埋め込み工程では、スライス工程で得られたシート本体に対し、任意の方法でゴム粒子を埋め込んで熱伝導シートとすることができる。具体的には、埋め込み工程では、例えば、シート本体の一方の表面上の所望の位置にゴム粒子を載置した後、ピンセット等の押し込み具を用いてシート本体の厚み方向に押し込むことにより、シート本体にゴム粒子を埋め込むことができる。
ゴム粒子の平均直径は、以下のようにして求めた。
まず、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK-X250)を用いて100個のゴム粒子を倍率20~50倍で観察し、得られた各ゴム粒子の画像に平面計測ツールで円を描き、描いた円の直径の最大値と最小値を直線計測にて測定した。
そして、直径の最大値と最小値の算術平均値をゴム粒子の直径とし、100個のゴム粒子の直径の平均値をゴム粒子の平均直径とした。
<熱伝導シートのアスカーC硬度>
熱伝導シートのアスカーC硬度は、日本ゴム協会規格(SRIS 0101)のアスカーC法に準拠し、硬度計(高分子計器社製、製品名「ASKER CL-150LJ」)を使用して、温度25℃の環境下で測定した。
<熱伝導シートの厚みおよび圧縮率>
熱伝導シートの厚みは、デジマチックインジケーター(株式会社ミツトヨ社製、ID-C112X)を用いて、(1/1000mm)の精度で測定した。
具体的には、熱伝導シートについて、無加圧下での厚み、0.05MPa加圧下での厚み(T0.05)、0.6MPa加圧下での厚み(T0.6)、および、0.9MPa加圧下での厚み(T0.9)を測定した。そして、0.6MPaにおける圧縮率(C0.6)と0.9MPaにおける圧縮率(C0.9)を、それぞれ下記式(1)および(2)に基づいて求めた。
C0.6=100×{1-(T0.6/T0.05)}[%]・・・(1)
C0.9=100×{1-(T0.9/T0.05)}[%]・・・(2)
この圧縮率が大きいほど、熱伝導シートの低荷重下における圧縮性が優れていることを示す。
<熱伝導シートの熱伝導率>
熱伝導シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m2/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)および比重ρ(g/m3)を、それぞれ、以下の方法で測定した。
[厚み方向の熱拡散率α]
熱拡散・熱伝導率測定装置(株式会社アイフェイズ製、製品名「アイフェイズ・モバイル 1u」)を使用して、ISO 22007-3の規定に基づき測定した。
[定圧比熱Cp(J/g・K)]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下における比熱を測定した。
[比重ρ(g/m3)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER-H」)を用いて比重(密度)(g/m3)を測定した。
そして、得られた測定値を下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入して、熱伝導シートの熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
熱伝導シートの熱伝導率は、熱伝導シートの熱抵抗値に基づいて算出した。具体的には、熱伝導シートの熱抵抗値を、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製)を用いて測定した。その際、ゴム粒子を含む0.5cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、試料温度50℃において、0.05MPa加圧下での試料の熱抵抗値R1(℃/W)と、1.5MPa加圧下での試料の熱抵抗値R2(℃/W)とを測定した。
そして、熱抵抗値R1および熱抵抗値R2から、0.05MPa加圧下での試料の熱伝導率C1(W/m・K)と、1.5MPa加圧下での試料の熱伝導率C2(W/m・K)とを、熱伝導シート1cm角に換算したときの値として下記式:
熱伝導率(W/m・K)=[1/熱抵抗値(℃/W)]×[(試料厚み(mm)/(試料面積(mm2)]×1000
より求めた。
また、下記式:
熱伝導率の変化率=[1.5MPa加圧下での試料の熱伝導率(C2)/(0.05MPa加圧下での試料の熱伝導率(C1)]
に基づいて、熱伝導率の変化率を求め、以下の基準で評価した。この熱伝導率の変化率が大きいほど、熱伝導シートの高荷重下における潰れ抑制および熱伝導性が優れていることを示す。
A:熱伝導率の変化率が0.5超である。
B:熱伝導率の変化率が0.3超0.5未満である。
C:熱伝導率の変化率が0.3未満である。
<繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体の調製>
[分散液の調製]
繊維状炭素ナノ構造体(ZEONANO(登録商標)SG101、日本ゼオン社製、比表面積:600m2/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN-20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、繊維状炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20%の分散液を得た。
[溶媒の除去]
その後、上述のようにして得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、繊維状熱伝導性充填材としての、シート状の繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体を得た。
<組成物の調製>
常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエル(登録商標)G-101」、以下「G101」と称する。)を70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオン(登録商標)FC-2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃、以下「FC-2211」と称する。)を30部と、ゴム粒子(架橋ポリブチルアクリレート系、ガラス転移温度(Tg):-40℃、松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアー S-100、平均直径20μm、以下「S-100」と称する。)を3.2部、熱伝導性充填材である粒子状熱伝導性充填材としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm、短軸方向の平均粒子径:10~20μm、以下「EC300」と称する。)を93部と、繊維状熱伝導性充填材としての上記繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体を0.5部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
<プレシート成形工程>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmのプレシートを得た。
<積層体形成工程>
続いて、得られたプレシートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、プレシートの厚み方向に300枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約150mmの積層体を得た。
<スライス工程>
その後、二次加圧された積層体の積層側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0度の角度で(換言すれば、積層されたプレシートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横150mm×厚み0.3mmの熱伝導シートを得た。
組成物の調製時に、S-100の使用量を3.2部から8.0部に変更し、EC300の使用量を93部から97部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100の平均直径を20μmから30μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100の使用量を3.2部から12.9部に変更し、EC300の使用量を93部から101部に変更し、繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体の使用量を0.5部から0.6部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100の使用量を3.2部から18.2部に変更し、EC300の使用量を93部から107部に変更し、繊維状炭素ナノ構造体の易分散性集合体の使用量を0.5部から0.6部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100を使用せず、またEC300の使用量を93部から90部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、FC-2211およびS-100を使用せず、またG101の使用量を70部から100部に変更し、EC300の使用量を93部から70部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100の平均直径を30μmから3μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
組成物の調製時に、S-100の平均直径を30μmから60μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、熱伝導シートを作製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
一方、ゴム粒子を含まない熱伝導シートを用いた比較例1では、熱伝導シートの圧縮率が低下しており、低荷重下における圧縮性が低下していることが分かる。
また、ゴム粒子を含まない熱伝導シートを用いた比較例2では、熱伝導シートの柔軟性を表すアスカー硬度は実施例2と同じであるにもかかわらず、熱伝導シートの圧縮率および熱伝導率の変化率が実施例2に比べて低下しており、低荷重下における圧縮性と、高荷重下における潰れ抑制および熱伝導性とが低下していることが分かる。
更に、ゴム粒子の平均直径が所定範囲外である比較例3および4では、熱伝導シートの圧縮率および熱伝導率の変化率が低下しており、低荷重下における圧縮性と、高荷重下における潰れ抑制および熱伝導性とが低下していることが分かる。
11 シート本体
20 ゴム粒子
Claims (10)
- 樹脂と、熱伝導性充填材と、ゴム粒子とを含み、
前記ゴム粒子の平均直径が5μm以上50μm以下である、熱伝導シート。 - 0.6MPa加圧下での前記熱伝導シートの厚みをT0.6とし、0.05MPa加圧下での前記熱伝導シートの厚みをT0.05として、下記式(1):
C0.6=100×{1-(T0.6/T0.05)}[%]・・・(1)
により算出される圧縮率C0.6が10%以上である、請求項1に記載の熱伝導シート。 - 0.9MPa加圧下での前記熱伝導シートの厚みをT0.9とし、0.05MPa加圧下での前記熱伝導シートの厚みをT0.05として、下記式(2):
C0.9=100×{1-(T0.9/T0.05)}[%]・・・(2)
により算出される圧縮率C0.9が15%以上である、請求項1または2に記載の熱伝導シート。 - ISO 22007-3に準拠して測定した、0.9MPa加圧下での熱伝導率が10W/m・K以上である、請求項1~3の何れかに記載の熱伝導シート。
- 厚みが50μm以上1000μm以下である、請求項1~4の何れかに記載の熱伝導シート。
- 前記樹脂が、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂を含む、請求項1~5の何れかに記載の熱伝導シート。
- 前記熱伝導性充填材の含有量が、前記樹脂100質量部当たり40質量部以上130質量部以下である、請求項1~6の何れかに記載の熱伝導シート。
- 前記ゴム粒子の含有量が、前記樹脂100質量部当たり1質量部以上20質量部以下である、請求項1~7の何れかに記載の熱伝導シート。
- 前記ゴム粒子のガラス転移温度(Tg)が20℃以下である、請求項1~8の何れかに記載の熱伝導シート。
- 前記ゴム粒子が(メタ)アクリル系ゴム粒子である、請求項1~9の何れかに記載の熱伝導シート。
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