JP2024032425A - 炭素系金属吸着材 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024032425000001
【課題】金属に対して優れた吸着性能を有する吸着材を提供すること。
【解決手段】本発明は比表面積が100~4000m/g、カルボキシ基量が0.6~5.0meq/g、且つ塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が3~100μeq/g、である炭素系金属吸着材。
【選択図】図1

Description

本発明は炭素系金属吸着材に関するものである。
工場などからの排水に含まれる金属は微量であっても河川汚染や土壌汚染などの原因となり、また人体にも悪影響を及ぼす。また製品の生産過程などで使用された洗浄水などの液体からは金属は不純物として除去することが求められている。そのため浄水や排水などの液体に含まれている金属を除去する手段の一つとして活性炭などの多孔質吸着材が用いられている。
近年、多孔質吸着材を改質して金属吸着性能をより一層向上させる技術が提案されている。
例えば特許文献1には、炭素質材料を酸性ガスにより賦活処理して得られた活性炭をさらに酸化剤で処理して、全酸性官能基量とカルボン酸由来の酸性官能基量を制御した活性炭が開示されている。
また特許文献2には、金属酸化物多孔体の細孔内に窒素含有有機化合物を導入し、該有機化合物を熱分解させて細孔内に炭素原子と窒素原子により骨格が形成された多孔体が開示されている。
特開2004-315243号公報 特開2004-168587号公報
本発明の目的は、金属に対して優れた吸着性能を有する吸着材を提供することである。
本発明の金属吸着材は以下の構成を有する。
[1] 比表面積が100~4000m/g、
カルボキシ基量が0.6~5.0meq/g、且つ
塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が3~100μeq/g、
である炭素系金属吸着材。
[2] 前記炭素系金属吸着材を元素分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素の比率が1~20質量%、且つ
前記塩基性官能基量が0.17meq/g超、0.60meq/g以下、
である[1]に記載の炭素系金属吸着材。
[3] 全酸性官能基量が1.5~5.0meq/g、且つ
全酸性官能基量に対するカルボキシ基量の比率が31~100%、
である[1]に記載の炭素系金属吸着材。
[4] 前記炭素系金属吸着材は、アルカリ賦活された活性炭である[1]に記載の炭素系金属吸着材。
[5] 前記金属が、周期表第3~第15族に属する金属である[1]に記載の炭素系金属吸着材。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の炭素系金属吸着材を用いた金属除去材、または金属担持体。
本発明によれば、金属、特に周期表第3~第15族に属する金属に対して優れた吸着性能を有する炭素系金属吸着材を提供できる。
図1は実施例1と比較例2の各金属吸着量を示すグラフである。 図2は実施例2と比較例3、5の各金属吸着量を示すグラフである。 図3は実施例3と比較例4の各金属吸着量を示すグラフである。 図4は実施例2と比較例1の各金属吸着量を示すグラフである。
本発明の炭素系金属吸着材は、比表面積が100~4000m/g、カルボキシ基量が0.6~5.0meq/g、且つ塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が3~100μeq/gである。
塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分は、炭素系金属吸着材を元素分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素の比率を塩基性官能基量に乗じた値である。
特に本発明の炭素系金属吸着材は、(I)カルボキシ基量、及び(II)塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分を適切に制御することによって、これらが制御されていない従来の吸着材と比べて優れた金属吸着性能を示す。
炭素系金属吸着材
本発明の炭素系金属吸着材は、炭素を主体とする吸着材である。炭素を主体とは、炭素系金属吸着材を元素分析装置で分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する炭素の比率が好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは65質量%以上である。
炭素系金属吸着材は細孔を有する多孔質体であり、金属は細孔内に吸着される。このような性質を有する炭素系金属吸着材としては、好ましくはアルカリ賦活された活性炭(アルカリ賦活炭ということがある)である。
なお、本発明の優れた金属吸着性能とは、同等の比表面積を有する従来の多孔質吸着材と比べた場合に金属吸着量が多いことを意味する。吸着材の金属吸着量は比表面積を大きくすると増加するため、比表面積を同等にして比較する。
吸着対象である金属は、特に限定されないが、好ましくは周期表第3~第15族に属する金属、より好ましくは周期表第3~第14族、さらに好ましくは周期表第3~第11族、よりさらに好ましくは周期表第8~第11族である。また吸着対象の金属は周期表第8~14族であってもよい。あるいは本発明の吸着対象の金属は好ましくは任意の1以上の重金属、より好ましくは任意の1以上の遷移金属、さらに好ましくはコバルト、鉄、銅、および鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
比表面積
本発明の炭素系金属吸着材の比表面積は100~4000m/gである。
比表面積を大きくすると金属含有溶液等の被処理媒体との接触面積が大きくなるため処理性能が向上すると共に、金属吸着量が増大する。一方、比表面積が大きくなりすぎると、カルボキシ基などの酸性官能基量が減少すると共に、炭素系金属吸着材中の窒素含有量が減少し、所望の金属吸着性能を発揮できないことがある。
炭素系金属吸着材の比表面積は、好ましくは250m/g以上、より好ましくは1000m/g以上、さらに好ましくは1500m/g以上、よりさらに好ましくは2000m/g以上であって、好ましくは3500m/g以下、より好ましくは3000m/g以下である。
細孔容積
本発明では炭素系金属吸着材の細孔容積を適切に制御することも好ましい実施態様である。
細孔容積が小さすぎると十分な金属吸着容量を確保できないことがある。一方、細孔容積が大きすぎると嵩高くなって使用時の充填量が減少すると共に金属吸着に適していない微細な細孔が増えて金属吸着性能が低下することがある。
炭素系金属吸着材の細孔容積は、好ましくは0.05ml/g以上、より好ましくは0.1ml/g以上であって、好ましくは2.5ml/g以下、より好ましくは2.0ml/g以下である。
平均細孔径
本発明では炭素系金属吸着材の平均細孔径を適切に制御することも好ましい実施態様である。平均細孔径が小さすぎると金属が細孔内に入り込みにくく、十分な吸着性能が得られないことがある。一方、平均細孔径が大きくなりすぎると嵩高くなって使用時の充填量が減少することがある。
炭素系金属吸着材の平均細孔径は、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上、さらに好ましくは1.5nm以上であって、好ましくは4nm以下、より好ましくは3.5nm以下、さらに好ましくは3.0nm以下、よりさらに好ましくは2.5nm以下である。
全酸性官能基量
全酸性官能基とはカルボキシ基、カルボニル基、フェノール基、ラクトン基など、実施例に記載の方法で測定される全ての酸性官能基である。
本発明では炭素系金属吸着材の全酸性官能基量を適切に制御することも好ましい実施態様である。全酸性官能基量が増えると金属イオンとイオン交換可能なカルボキシ基の含有量が増加し、優れた金属吸着性能を示す。全酸性官能基量が少なすぎると、十分なカルボキシ基量を確保できないことがある。一方、全酸性官能基量が多すぎると塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が減少することがある。
本発明の炭素系金属吸着材に含まれる全酸性官能基量は好ましくは1.5meq/g以上、より好ましくは1.7meq/g以上、さらに好ましくは2.0meq/g以上、よりさらに好ましくは2.2meq/g以上、最も好ましくは2.5meq/g以上であって、好ましくは5.0meq/g以下、より好ましくは4.0meq/g以下、さらに好ましくは3.5meq/g以下、よりさらに好ましくは3.0meq/g以下である。
カルボキシ基量
本発明の炭素系金属吸着材に含まれるカルボキシ基量は0.6~5.0meq/gである。
カルボキシ基の含有量が多いと金属に対する吸着性能が向上する。一方、カルボキシ基の含有量が多くなりすぎると塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が低くなり、金属吸着性能が低下する。
カルボキシ基の含有量は、好ましくは0.61meq/g以上、より好ましくは0.65meq/g以上、さらに好ましくは0.69meq/g以上、よりさらに好ましくは0.7meq/g以上であって、好ましくは4.0meq/g以下、より好ましくは3.5meq/g以下、さらに好ましくは3.0meq/g以下、よりさらに好ましくは2.5meq/g以下、最も好ましくは2.0meq/g以下である。
全酸性官能基量に対するカルボキシ基量の比率
本発明では炭素系金属吸着材の全酸性官能基量に対するカルボキシ基量の比率を適切に制御することも好ましい実施態様である。カルボキシ基量の比率が高い程、金属吸着性能が向上する。
全酸性官能基量に対するカルボキシ基量の比率は、好ましくは31%以上、より好ましくは32%以上であって、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは60%以下、よりさらに好ましくは40%以下である。
塩基性官能基量
本発明では炭素系金属吸着材に含まれる塩基性官能基量を適切に制御することも好ましい実施態様である。
塩基性官能基とは、アミノ基などの正の荷電を有する官能基であり、実施例に記載の方法で測定される全ての塩基性官能基である。
塩基性官能基の含有量が少なすぎると、塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が上記範囲を外れ、金属吸着性能が低下することがある。一方、塩基性官能基量が多くなりすぎるとカルボキシ基量が低くなり、金属に対する吸着性能が低下することがある。
塩基性官能基の含有量は、好ましくは0.17meq/g超、より好ましくは0.2meq/g以上、さらに好ましくは0.3meq/g以上、よりさらに好ましくは0.35meq/g以上であって、好ましくは0.60meq/g以下、より好ましくは0.5meq/g以下、さらに好ましくは0.4meq/g以下である。
窒素の比率
本発明では炭素系金属吸着材を元素分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素の比率を制御することも好ましい実施態様である。
炭素系金属吸着材に含まれる窒素比率を高くすると、塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が増加して金属吸着性能が向上する。窒素比率が高すぎると比表面積およびカルボキシ基量が減少することがあり、バランスが取れず金属吸着性能が低下することがある。
窒素の比率は、炭素系金属吸着材を元素分析装置で分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素量の比率を算出する。なお、酸素量は実施例に記載の式に基づいて算出された値である。
炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素量の比率は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上であって、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。
塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分
本発明の炭素系金属吸着材は、塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分は3~100μeq/gである。
カルボキシ基量が上記所定の範囲において、塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が所定の範囲で存在すると、優れた金属吸着性能を発揮する。塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が多くなる程、金属吸着性能は向上するが、多くなりすぎるとカルボキシ基含有量が低くなり、金属吸着性能が低下する。
塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分は好ましくは4μeq/g以上、より好ましくは5μeq/g以上、さらに好ましくは7μeq/g以上、よりさらに好ましくは10μeq/g以上であって、好ましくは80μeq/g以下、より好ましくは70μeq/g以下、さらに好ましくは60μeq/g以下、よりさらに好ましくは50μeq/g以下である。
本発明の炭素系金属吸着材は、用途に応じた形状にすればよく、粉末状、粒状、破砕状(顆粒状)、繊維状などが例示される。また炭素系金属吸着材は、必要に応じてバインダーや他の吸着材と共に、円柱状、球状、シート状など任意の形状に成形してもよい。
また本発明の炭素系金属吸着材は、任意のサイズでよく、ボールミルなどの粉砕装置を用いて所望のサイズに粉砕することができる。なお、粉砕は製造過程で行ってもよいし、製造後に行ってもよい。
本発明の炭素系金属吸着材は、液相中に存在する金属成分に対して優れた吸着性能を有している。液相としては水、有機溶媒など各種用途に応じた液体が例示され、該液体中に含まれる金属成分の除去に極めて優れた吸着性能を発揮する。本発明の炭素系金属吸着材は、例えば、めっき液中の不純物除去や金属含有廃液からの金属の回収等に有用である。
本発明の炭素系金属吸着材を用いて金属除去材を構成してもよい。また本発明の炭素系金属吸着材に所望の金属を吸着させて、金属担持体として触媒などの用途に使用することもできる。
以下、本発明の炭素系金属吸着材の好適な実施態様であるアルカリ賦活された活性炭の製造方法を説明するが、本発明の製造方法は上記所望の物性が得られれば下記製造方法に限定されず、また製造条件は適宜変更することも可能である。なお、下記製造条件は好ましい範囲を示したものであり、所望の物性が得られるように各製造条件を適切に調整することを要する。
(賦活原料)
本発明の賦活原料は窒素を含有する炭素質物質の炭化物である。本発明では賦活原料に窒素含有炭素質物質の炭化物を用いることで賦活して得られた炭素系金属吸着材のカルボキシ基量と塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分を上記範囲に制御できる。
賦活原料は窒素含有量が好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、よりさらに好ましくは10質量%以上であって、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下である。
窒素含有炭素質物質としては例えばメラミン樹脂;グアニジン樹脂;尿素樹脂;アニリン樹脂;スルホンアミド樹脂;イミド樹脂;ウレタン樹脂;ポリアクリロニトリルなどのニトリル樹脂;ポリベンゾイミダゾール樹脂;カルバゾール樹脂;アクリジン樹脂;ピリジン樹脂;ピロール樹脂;などの窒素含有樹脂が挙げられる。特にポリアクリロニトリル樹脂は賦活後の活性炭中の窒素量が多いため好ましい。窒素含有樹脂は窒素含有モノマーを主成分とし、それ以外のモノマーを副成分として用いた共重合体であってもよい。窒素含有樹脂は単独、または2種以上併用してもよい。
(炭化処理工程)
賦活原料は窒素含有炭素質物質を賦活処理前に炭化処理して得られる。炭化処理は窒素含有炭素質物質を窒素などの不活性ガス中で熱処理、例えば400℃~1000℃で1時間~3時間保持すればよい。
(アルカリ賦活処理工程)
本発明の賦活処理工程はアルカリ金属化合物を含む賦活剤と、賦活原料とを混合し、不活性ガス中で加熱して活性炭を得るアルカリ賦活処理である。
本発明のアルカリ賦活処理工程ではアルカリ賦活剤としてアルカリ金属化合物を使用する。アルカリ金属化合物は例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩である。好ましくはアルカリ金属水酸化物であり、より好ましくは水酸化カリウムである。
賦活剤の使用量は、賦活原料に対する賦活剤の混合比率を高くする程、活性炭の比表面積が増大傾向を示す。一方、賦活剤の混合比率が高くなりすぎると活性炭の密度が低下傾向を示す。本発明では上記比表面積となるように賦活剤の混合比率を調整すればよく、賦活原料に対する賦活剤の質量比(賦活剤の質量/賦活原料の質量)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは2.0以上であって、好ましくは10.0以下、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下である。
本発明のアルカリ賦活処理はアルゴン、ヘリウム、窒素など任意の不活性ガス雰囲気下で行う。
本発明のアルカリ賦活処理温度は、低すぎると十分な比表面積とカルボキシ基量を確保できない。一方、賦活温度が高くなりすぎると窒素とカルボキシ基が離脱して所定量を確保できなくなる。
アルカリ賦活処理時の加熱温度は好ましくは350℃以上、より好ましくは400℃以上であって、好ましくは800℃以下、より好ましくは750℃以下、さらに好ましくは700℃以下である。
上記加熱温度までの昇温速度は好ましくは1℃/分以上、より好ましくは5℃/分以上であって、好ましくは20℃/分以下、より好ましくは15℃/分以下である。
上記加熱温度域における賦活処理時間は好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であって、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。
(洗浄処理工程)
洗浄処理工程は、アルカリ賦活処理後の活性炭に水洗浄処理や無機酸洗浄処理を行って活性炭中に残留するアルカリ金属を除去する工程である。洗浄処理は複数回繰り返すことでアルカリ金属除去率を高めることができる。
(水洗浄処理)
水洗浄処理で使用する水の温度は好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上であって、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下である。水洗浄処理は水洗浄とろ過を複数回繰り返し、ろ液のpHが7.0以下となるまで行うことが望ましい。
(無機酸洗浄処理)
無機酸洗浄処理では無機酸として塩酸、フッ化水素酸等の水素酸や、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸等の酸素酸などを使用でき、好ましくは塩酸である。活性炭の物性を維持しつつ、アルカリ金属除去率を高める観点から活性炭100質量部に対し、無機酸10質量部~100質量部となるように無機酸濃度を調整することが好ましい。無機酸水溶液の液温は、無機酸の揮発を抑制しつつ、活性炭中のアルカリ金属除去効率を高めることができる温度域に設定することが望ましく、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上であって、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下である。無機酸洗浄処理は洗浄とろ過を複数回繰り返し、好ましくは活性炭中のカリウム残存量が5000mg/kg以下(0mg/kg超)、より好ましくは活性炭中のアルカリ金属残存量が2500mg/kg以下(0mg/kg超)、さらに好ましくは1000mg/kg以下(0mg/kg超)となるまで行うことが望ましい。アルカリ金属残存量はICP発光分光分析装置で測定できる。
(水洗浄工程)
無機酸洗浄処理後の後処理工程として、水洗浄処理をして活性炭中に残留する無機酸を除去する。水洗浄処理で使用する水の温度は無機酸の除去効率を高める観点から好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上であって、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下である。水洗浄処理は水洗浄とろ過を複数回繰り返し、ろ液のpHが6.5以上となるまで行うことが望ましい。
(乾燥処理工程)
洗浄処理後、乾燥処理を行って活性炭を乾燥させてもよい。乾燥は活性炭に残存する水分を除去できる条件であればよく、例えば大気雰囲気下で加熱(例えば100~150℃)し、0.5時間~24時間乾燥させることが望ましい。
なお、本発明では賦活処理して得られたアルカリ活性炭には高温(例えば150℃超)の加熱処理は行わない。アルカリ活性炭に高温で加熱処理を行うと、酸性官能基量や比表面積が減少し、金属吸着性能が低下する。
各製造条件を適切に調整して得られたアルカリ賦活炭は、本発明の炭素系金属吸着材として上記構成を有する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
賦活原料
炭素質物質としてポリアクリロニトリル(PAN)樹脂をマッフル炉(光洋サーモス社製)に装入し、窒素雰囲気下、炉内温度650℃まで昇温(昇温速度10℃/分)し、該温度で2時間保持し、得られたPAN樹脂炭化物を賦活原料とした。
賦活処理工程
得られたPAN樹脂炭化物に、賦活剤として質量比([賦活剤のアルカリ成分の質量]/[賦活原料の質量]:以下、KOH/C比という)が2.0となるように市販のアルカリ賦活剤(濃度48.5%水酸化カリウム水溶液)を添加し、窒素雰囲気中400℃まで昇温し、該温度で3.75時間保持し、アルカリ賦活炭を得た。
水洗浄処理工程
得られたアルカリ賦活炭は、ろ液のpHが7.0以下になるまで60℃の温水で洗浄を繰り返した。
無機酸洗浄工程
次いでアルカリ賦活炭は、5.25wt%塩酸水溶液中で1時間の酸洗浄を行った後、吸引ろ過を行った。
後処理工程(水洗工程)
さらにろ過後のアルカリ賦活炭は、ろ液のpHが6.5以上になるまで60℃の温水で洗浄を繰り返した。
乾燥処理工程
得られたアルカリ賦活炭は、115℃に設定した乾燥機で24時間の乾燥処理を行って活性炭1を得た。
実施例2
賦活温度を600℃、KOH/C比を3.0とした以外は実施例1と同様にして活性炭2を得た。
実施例3
賦活温度を650℃、KOH/C比を2.5とした以外は実施例1と同様にして活性炭3を得た。
比較例1
上記活性炭No.2を小型炉に装入し、窒素雰囲気中450℃まで昇温(昇温速度:10℃/分)し、該温度で2時間保持して比較活性炭1を得た。
比較例2
炭素質物質をPAN樹脂から石油コークス(DPC)に変更し、KOH/C比を1.0とした以外は実施例1と同様にして比較活性炭2を得た。
比較例3
炭素質物質をPAN樹脂から石油コークスに変更し、賦活温度を600℃、KOH/C比を5.0とした以外は実施例1と同様にして比較活性炭3を得た。
比較例4
炭素質物質をPAN樹脂から石油コークスに変更し、賦活温度を650℃、KOH/C比を3.0とした以外は実施例1と同様にして比較活性炭4を得た。
比較例5
賦活原料
炭素質物質としてフェノール樹脂をマッフル炉(光洋サーモス社製)に装入し、窒素雰囲気下、炉内温度700℃まで昇温(昇温速度10℃/分)し、該温度で2時間保持し、得られた球状フェノール樹脂炭化物を賦活原料とした。
賦活処理工程
賦活温度を600℃、KOH/C比を3.0とした以外は実施例1と同様にして比較例5の活性炭を得た。
評価
上記各活性炭は、体積基準の累積頻度50%における粒子径(D50)が8~12μm程度になるようディスクミルで粉砕した後、各分析に供した。
なお、粉砕した活性炭(試料)の粒度はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD(登録商標)-2200)を用いて測定し、粒度分布の測定結果から体積基準の累積頻度曲線を求め、累積頻度50%における粒子径(D50)を平均粒子径とした。
比表面積
活性炭(0.2g)を250℃で真空乾燥させた後、窒素吸着装置(マイクロメリティックス社製ASAP-2420)を用いて液体窒素雰囲気下(-196℃)における窒素ガスの吸着量を測定して窒素吸着等温線を求め、BET法にて比表面積(m2/g)を求めた。
全細孔容積
窒素吸着等温線から相対圧(P/P0)=0.93における窒素吸着量から全細孔容積(mL/g)を算出した。
平均細孔径(4V/A)
活性炭の細孔をシリンダー状と仮定し、下記式に基づいて平均細孔径を算出した。
平均細孔径(nm)=4×全細孔容積(mL/g)/比表面積(m2/g)×1000
全酸性官能基
全酸性官能基量は、Boehm法(文献「H.P.Boehm, Adzan.Catal, 16,179(1966)」)に従って求めた。
具体的には、活性炭1gにナトリウムエトキシド水溶液(0.1mol/L)を50mL加え、2時間、500rpmで撹拌した後、24時間放置した。24時間経過後、さらに30分間撹拌を行いろ過分離した。得られたろ液25mLに対して0.1mol/Lの塩酸を滴下し、pH4.0になるときの塩酸滴定量を測定した。
また、ブランクテストとして、前記ナトリウムエトキシド水溶液(0.1mol/L)25mLに対して0.1mol/Lの塩酸を滴下し、pH4.0になるときの塩酸滴定量を測定した。そして、下記式により全酸性官能基量(meq/g)を算出した。
全酸性官能基量(meq/g)=[(a-b)×0.1]/[(S×25)/50]
a:ブランクテストにおける塩酸滴定量(mL)
b:試料を反応させたときの塩酸滴定量(mL)
S:試料重量(g)
個別酸性官能基
0.1mol/1000mLのナトリウムエトキシド(NaOEt)水溶液を、0.1mol/1000mL NaOH、または0.05mol/1000mL Na2CO3、または0.1mol/1000mL NaCO3として全酸性官能基量と同じように評価を行なった。また、各酸性官能基の算出は下記式により求めた。
Figure 2024032425000002
活性炭の官能基量の定量方法は一般的に知られている、[表面、34[2](1996)音羽p.62]、または[Catal.,1966[16](米)p.179]に基づくものである。具体的には、活性炭1gを100mLのエルレンマイヤーフラスコに取り、N/10のアルカリ試薬((a)炭酸水素ナトリウム、(b)炭酸ナトリウム、(c)苛性ソーダ、(d)ナトリウムエトキシド)を各々50mL加え、24時間振とうした後ろ別し、未反応のアルカリ試薬をN/10塩酸で滴定し、カルボキシル基は試薬(a)~(d)の全て、ラクトン基は試薬(b)~(d)、水酸基は試薬(c)~(d)、キノン基は試薬(d)と反応するので、各々の滴定量を差し引きすることによって官能基量を定量する。
塩基性官能基
塩基性官能基量は、全酸性官能基量測定時の逆滴定により求めた。具体的には活性炭1gに塩酸(0.1mol/L)を50mL加え、2時間、500rpmで撹拌した後、24時間放置した。24時間経過後、さらに30分間撹拌を行いろ過分離した。得られたろ液25mLに対して0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを滴下し、pH8.0になるときの水酸化ナトリウム滴定量を測定した。また、ブランクテストとして、前記塩酸(0.1mol/L)25mLに対して0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを滴下し、pH8.0になるときの水酸化ナトリウム滴定量を測定した。そして、下記式により塩基性官能基量(meq/g)を算出した。
塩基性官能基量(meq/g)=[(c-d)×0.1]/[(S×25)/50]
c:ブランクテストにおける水酸化ナトリウム滴定量(mL)
d:試料を反応させたときの水酸化ナトリウム滴定量(mL)
S:試料質量(g)
炭素、水素、窒素、酸素
試料に含まれている炭素(C)量、水素(H)量、窒素(N)量の質量割合(質量%)をCHNコーダー(ジェイ・サイエンス・ラボ社製 JM1000HCN)にて測定した。また、得られたC量、H量、およびN量の各割合(質量%)から下記式に基づいて試料内の酸素(O)量(質量%)を算出した。
O量(質量%)=100質量%-C量(質量%)-H量(質量%)-N量(質量%)
カルボキシ基
全酸性官能基量(meq/g)とカルボキシ基(R-COOH基)量(meq/g)から下記式に基づいて全酸性官能基量に占めるカルボキシ基量の比率を算出した。
カルボキシ基量の比率=カルボキシ基量(meq/g)/全酸性官能基量(meq/g)×100
塩基性窒素官能基
塩基性官能基量(meq/g)と元素分析により得られたN量(質量%)から下記式に基づいて塩基性窒素官能基量を算出した。
塩基性窒素官能基量=塩基性官能基量(meq/g)×N量(質量%)/100×1000(単位調整)
金属含有水溶液
1Lのメスフラスコに金属試薬を初濃度C0(mg/L)が100mg/Lとなるように投入した後、標線まで純水でメスアップすることにより各金属含有水溶液を調製した。なお、金属含有水溶液の調製には下記の試薬を用いた。
・コバルト(Co)含有水溶液:CoCl2・6水和物(キシダ化学社製、特級、純度99%)
・鉄(Fe)含有水溶液:FeCl3・6水和物(キシダ化学社製、特級、純度99%)
・銅(Cu)含有水溶液:CuSO4・5水和物(キシダ化学社製、特級、純度99.5%)
・鉛(Pb)含有水溶液:PbCl2(キシダ化学社製、特級、純度98%)
金属吸着量
115℃に設定した乾燥機で2時間乾燥させた活性炭0.1gを100mLのエルレンマイヤーフラスコに投入した後、初濃度C0(mg/L)が100mg/Lとなるように調製した上記金属含有水溶液100mLを加え、25℃の恒温槽内にて500rpmで24時間攪拌した。24時間攪拌後、シリンジフィルターで活性炭をろ別し、得られたろ液をICP発光分光分析装置(サーモエレクトロン株式会社製)を用いて測定し、吸着後に残留した金属濃度C1(mg/L)を定量した。吸着前後の金属濃度(mg/L)から下記式に基づいて活性炭重量当たりの金属吸着量(mg/g)を求めた。
金属吸着量(mg/g)=[(C0(mg/L)-C1(mg/L))×0.1(L)]/0.1(g)
Figure 2024032425000003
比表面積によって吸着量が変動するため、上記結果に基づいて比表面積毎に実施例と比較例を対比した結果を図1~図4に示す。なお、図中左よりCo、Fe、Cu、Pbの各吸着量である。
図1に示すように比較例2は実施例1よりも比表面積が大きいが、各金属の吸着量は少なかった。
同様に図2~4に示すように実施例2、3も夫々同等の比表面積を有する比較例1、3、4、5よりも各金属の吸着量が多かった。
なお、Pbの吸着量が突出しているのは、Pbは原子量がCo、Fe、Cuよりも大きくmg/g換算の吸着量では差が顕著になるためである。
以上の結果より、カルボキシ基量と塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が適切に制御されている本発明の活性炭1~3は、いずれか一方、または両方を満足しない比較活性炭1~5よりも優れた金属吸着性能を示した。

Claims (6)

  1. 比表面積が100~4000m/g、
    カルボキシ基量が0.6~5.0meq/g、且つ
    塩基性官能基量に占める炭素系金属吸着材中の窒素分が3~100μeq/g、
    である炭素系金属吸着材。
  2. 前記炭素系金属吸着材を元素分析して得られる炭素、窒素、水素、酸素の合計量に対する窒素の比率が1~20質量%、且つ
    前記塩基性官能基量が0.17meq/g超、0.60meq/g以下、
    である請求項1に記載の炭素系金属吸着材。
  3. 全酸性官能基量が1.5~5.0meq/g、且つ
    全酸性官能基量に対するカルボキシ基量の比率が31~100%、
    である請求項1に記載の炭素系金属吸着材。
  4. 前記炭素系金属吸着材は、アルカリ賦活された活性炭である請求項1に記載の炭素系金属吸着材。
  5. 前記金属が、周期表第3~第15族に属する金属である請求項1に記載の炭素系金属吸着材。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の炭素系金属吸着材を用いた金属除去材、または金属担持体。
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