JP2025166757A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

積層セラミック電子部品

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JP2025166757A JP2024070979A JP2024070979A JP2025166757A JP 2025166757 A JP2025166757 A JP 2025166757A JP 2024070979 A JP2024070979 A JP 2024070979A JP 2024070979 A JP2024070979 A JP 2024070979A JP 2025166757 A JP2025166757 A JP 2025166757A
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Abstract

【課題】 残留応力を低減し、DCバイアス特性が改善された積層セラミック電子部品を提供する。【解決手段】 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層構造を備え、内部電極層は、ケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびボロンから選ばれる少なくとも1種の酸化物と、からなるケイ酸塩構造物質を含む。【選択図】 図1

Description

本開示は、積層セラミック電子部品に関する。
積層セラミック電子部品については、製造時の残留応力を減少させて製品の歩留まり向上させること、バイアス特性の改善が常に望まれるが、特許文献1ではAC電圧特性を向上させるために、内部電極層に金属粒子間の立体障害として機能するアモルファスシリカを共存させることが提案されている。
特開2022-151231号公報
内部電極ペーストにアモルファスシリカを含んだ状態で焼成すると、アモルファスシリカは、内部電極内に一部取り込まれ、一部は内部電極層外へ排出されるが、焼成の際に、アモルファスシリカからクリストバライト等の高熱膨張率結晶の生成されることがあり、熱膨張係数が大きくなってしまうおそれがある。また、熱膨張係数が大きいと、誘電体層に発生する残留応力が大きくなり、バイアス特性が低下し、場合により、クラックが生じるおそれがある。本開示は、残留応力を低減し、DCバイアス特性が改善された積層セラミック電子部品を提供する。
本開示に係る積層セラミック電子部品は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層構造を備え、
前記内部電極層は、ケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびボロンから選ばれる少なくとも1種の酸化物と、からなるケイ酸塩構造物質を含む。
本開示によれば、内部電極層に存在するケイ酸塩構造物質は、焼成後の冷却において、内部電極層の収縮を抑制し、誘電体層の残留応力を減少させるので、誘電体層に発生する残留応力を減少させることができ、DC印加時の分極反転を容易にし、DCバイアス特性を向上させることができる。
本開示に係る実施形態の積層セラミックコンデンサ1を示す斜視図である。 図1の積層セラミックコンデンサ1の素体部品2を示す斜視図である。 焼成後の積層体13を示す斜視図である。 内部電極層に生じる空隙に存在するケイ酸塩構造物質を示す模式図である。 誘電体層と内部電極層とが接着していない状態を模式的に示す図である。 誘電体層と内部電極層とが接着されている状態を模式的に示す図である。 内部電極層にケイ酸塩構造物質を含む素体部品を模式的に示す図である。 内部電極層における電極連続率と残留応力との関係を示すグラフである。 セラミック粒径と実効比誘電率との関係を示すグラフである。
本開示について、以下、図面を参照しつつ、本開示の積層部品の実施形態について説明する。なお、以下では、積層部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明するが、本開示の対象となる積層部品は、積層セラミックコンデンサに限られず、積層型圧電素子、積層サーミスタ素子、積層チップコイル、およびセラミック多層基板など強磁性体層を有する様々な積層部品に適用することができる。
<積層セラミック電子部品>
本実施形態において、図1は、本開示に係る実施形態の積層セラミックコンデンサ1を示す斜視図であり、図2は、図1の積層セラミックコンデンサ1の素体部品2を示す斜視図であり、図3は、図2の素体部品2の前駆体を示す斜視図である。図2は、焼成後の素体部品2を示す図であるが、焼成前の素体部品を示す図でもある。焼成後の素体部品2は、焼成によって収縮しているが、焼成前の素体部品2と同一構造を有している。図3は、焼成後の積層体13を示す図であるが、焼成前の積層体を示す図でもある。
積層セラミック電子部品の実施形態である積層セラミックコンデンサ1は、積層体13と、誘電体保護層6A,6Bとを備える。積層セラミックコンデンサ1は、図1に示すように、外部との電気的接続のための第1外部電極3A及び第2外部電極3Bを備えていてもよい。積層体13及び誘電体保護層6A,6Bは、図2に示すように、素体部品2を構成する。積層体13は、素体部品2の前駆体であり、素体前駆体13とも称される。誘電体保護層6A,6Bは、保護層6とも称される。
積層体13は、図3に示すように、誘電体層4と内部電極層5とが第3方向(Z軸方向)に交互に積層されて構成されている。積層体13は、略直方体状の形状を有している。積層体13は、第3方向において互いに対向する第1面7A及び第2面7Bを有している。積層体13は、第1方向(X軸方向)において互いに対向する第1端面8A及び第2端面8B、ならびに第2方向(Y軸方向)において互いに対向する第1切断側面9A及び第2切断側面9Bを有している。
第1外部電極3A及び第2外部電極3Bを纏めて外部電極3と記載することがある。また、第1面7A及び第2面7Bを纏めて主面7と記載することがあり、第1端面8A及び第2端面8Bを纏めて端面8と記載することがあり、第1切断側面9A及び第2切断側面9Bを纏めて切断側面9と記載することがある。以下、構成要素ごとに説明する。
<誘電体層>
誘電体層4は、絶縁性を有する材料で構成されている。誘電体層4は、例えばBaTiO(チタン酸バリウム)、CaTiO(チタン酸カルシウム)、SrTiO(チタン酸ストロンチウム)、BaZrO(ジルコン酸バリウム)等のセラミック材料で構成されていてもよい。また、誘電体層4は、Y(イットリウム)、Dy(ジスプロジウム)、Ho(ホルミニウム)、Yb(イッテルビウム)などの希土類元素のほか、V(バナジウム)、マンガンなどを微量含んでいてもよい。
本実施形態においては、誘電体層4を構成する絶縁性材料は、粒径が0.2μm以下であることが好ましい。これにより、誘電体層中の絶縁性材料の粒子数が大きくなり、粒界の数を大きくできるので、DCバイアス特性がない常誘電体のシェルの体積が増加することができ、DCバイアス特性を向上させることができる。誘電体層4の厚みが薄いほど、積層セラミックコンデンサ1の静電容量が大きくなる。誘電体層4の厚みは、例えば0.5μm~10μmであってもよい。
<内部電極層>
内部電極層5は、図3に示すように、第1切断側面9A及び第2切断側面9Bに露出している。内部電極層5は、切断側面9に露出した端部19を有しており、端部19は第1方向に延びている。また、内部電極層5は、極性別に第1端面8A又は第2端面8Bに露出している。
内部電極層5は、導電性を有する材料で構成されている。導電性を有する材料としては、例えばNi(ニッケル)、Cu(銅)、Ag(銀)、Sn(スズ)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Au(金)等の金属材料又はこれらの金属材料を含む合金材料で構成されていてもよい。本実施形態において、内部電極層5は、ケイ酸塩構造物質10を含み、ケイ酸塩構造物質10は、焼成により内部電極層5を構成する金属粒の成長に伴って内部電極層5に生じる空隙に存在する。本実施形態におけるケイ酸塩構造物質10は、粒径が0.2μm~8μmであるのが好ましい。
図4は、焼成後の積層体13における内部電極層5と、焼成により内部電極層5に生じる空隙に存在するケイ酸塩構造物質10と、を模式的に示す図である。ケイ酸塩構造物質10としては、ケイ酸を含み、焼成後の冷却時において、内部電極層5の収縮を抑制して、内部電極層5の空隙周囲の誘電体層4に生じる残留応力を減少させることができるものであればよい。このようなケイ酸塩構造物質10としては、例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびバナジウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物と、を含むケイ酸塩構造物質が挙げられる。
具体的には、SiOおよびAlと、LiO、B、MgO、ZnO、BaO、TiO、ZrO、P、NaO、KOおよびVから選ばれる少なくとも1種と、を含むケイ酸塩構造物質10が挙げられる。より具体的には、ケイ酸塩構造物質10は、SiO-TiO-Al-B系ガラス、LiO-Al-SiO系ガラス、MgO-Al-SiO系ガラス、ZnO-Al-SiO系ガラスであってもよい。
また、本実施形態のケイ酸塩構造物質10は、熱膨張係数が0.1×10-6/K~1.0×10-6/Kであってもよい。本実施形態のケイ酸塩構造物質10の熱膨張係数が小さいのは、素体部品2が焼成されて積層セラミックコンデンサ1が製造された際に、内部電極層5にβ-石英型構造のケイ酸塩構造物質10が形成されたことによるものと推測される。β-石英型構造は、石英構造の中に、Liイオンなどのイオンが固溶している構造であり、AlはSiの4配位位置に固溶し、前記イオンが結晶格子の間隙に入り込んだ状態にある。これによって、温度上昇に伴うLiの移動により、結晶の収縮効果があるため、熱膨張率が低くなり、内部電極(Ni)層5の収縮を抑えることで、誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO)の圧力負担を減らすことができる。
図5A~図5Cは、素体部品2を焼成した後、冷却する際における誘電体層4と内部電極層5との収縮率の違いによる応力吸収メカニズムを模式的に示す図である。図5Aは、誘電体層4と内部電極層5とが接着していない状態を模式的に示し、焼成前は、誘電体層4と内部電極層5との長さが同じであったものが、焼成後の冷却により、それぞれの収縮率に応じた長さにまで収縮した状態となる。
図5Bは、誘電体層4と内部電極層5とが接着されている状態を模式的に示し、焼成後の冷却で、それぞれ収縮率に応じて収縮するが、誘電体層4と内部電極層5とが接着されているため、収縮率の大きい内部電極層5の収縮を、収縮率の小さい誘電体層4が抑えつつ収縮する。そのため、誘電体層4には、内部電極層5の収縮方向に引っ張られる力(残留応力)がかかることになり、素体部品2の強度が残留応力よりも小さいとクラックが発生する。
図5Cは、内部電極層5にケイ酸塩構造物質10を含む素体部品2を模式的に示し、内部電極層5に存在するケイ酸塩構造物質10は、収縮率が極めて小さいため収縮することなく、冷却後も、誘電体層4とともに、収縮方向に引っ張られる力(残留応力)を受け止め、誘電体層4の残留応力を減少させる働きを持つ。これにより誘電体層4に発生する残留応力を減少させることで、DC印加時の分極反転を容易にし、その結果DCバイアス特性を向上させることができる。
β-石英型構造のケイ酸塩構造物質10としては、β-ペタライト(LiO-Al-8SiO)、β-スポジュメン(LiO-Al-4SiO)、β-ユークリプタイト(LiO-Al-2SiO)があるが、本実施形態においてはこれらのいずれであってもよい。
前記内部電極層5に含まれるケイ酸塩構造物質10は、前記のSiOおよびAlと、LiO、B、MgO、ZnO、BaO、TiO、ZrO、P、NaO、KOおよびVから選ばれる少なくとも1種と、からなるが、これらのうちSiOおよびAlと、少なくともLiOおよびB3とを主成分として含むケイ酸塩構造物質10が好ましい。
前記SiOおよびAlと、少なくともLiOおよびBとを主成分として含むケイ酸塩構造物質10を例として、組成比の一例を説明すると、例えば1モルのSiOに対して、Alを0.05~0.40モル、LiOを0.05~0.30モル、Bを0.05~0.15モル含むものを用いることが好ましい。また、前記ケイ酸塩構造物質10は、そのガラス軟化点が400~600℃の範囲となるようにガラス粉末を調整することが好ましい。例えば、ガラス粉末は、酸化物の混合物を使用する。ガラス軟化点は、組成比を調整することで調整する。
積層セラミックコンデンサ1が、高積層数のコンデンサである場合、内部電極層5の厚みTは、例えば0.4μm~1.0μmであってもよい。コンデンサとしての特性が確保できる限りにおいて、内部電極層5の厚みTが薄いほど、内部応力による内部欠陥が減少し、積層セラミックコンデンサ1の信頼性を向上させることができる。
本実施形態において、内部電極層5は、電極連続率が75%~90%であるのが好ましく、電極連続率が75%を下回る場合には、残留応力を十分に緩和するものの、内部電極層5の有効面積が小さくなるため実効静電容量が小さくなるおそれがある。また電極連続率が90%を超える場合には、残留応力の発生を十分に緩和することできないおそれがあり、実効静電容量が小さくなるおそれがある。
電極連続率は、内部電極層5の形成に用いる導電性材料と、ケイ酸塩構造物質10との組成比率やそれぞれの粒径を調整することによって、調整することができる。好ましい組成比率の一例としては、例えば、Ni100質量部に対し、SiOが0.74~6.74質量部、Alが0.10~0.87質量部、Bが0.05~0.46質量部、LiOが0.15~1.39質量部である。
<保護層>
積層体13には、保護層6が設けられる。保護層6は、絶縁性を有する材料で構成されている。保護層6は、例えばBaTiO、CaTiO、SrTiO、BaZrO等のセラミック材料で構成されてもよい。保護層6は、誘電体層4を構成するセラミック材料と同じセラミック材料で構成されてもよい。第1保護層6Aは、第1切断側面9Aに位置し、第1切断側面9Aに露出した内部電極層5を覆っている。また、第2保護層6Bは、第2切断側面9Bに位置し、第2切断側面9Bに露出した内部電極層5を覆っている。
<外部電極ほか>
外部電極3は、図1に示すように、第1外部電極3A及び第2外部電極3Bを含む。第1外部電極3Aは、第1端面8Aに位置し、第1端面8Aに露出した内部電極層5と電気的に接続されている。第2外部電極3Bは、第2端面8Bに位置し、第2端面8Bに露出した内部電極層5と電気的に接続されている。外部電極3は、第1面7A及び第2面7Bに回り込んでいる。
第1外部電極3Aは、第1切断側面9A上及び第2切断側面9B上に回り込み、第1保護層6Aにおける第1端面8A寄りの部位を覆っている。第2外部電極3Bは、第1切断側面9A上及び第2切断側面9B上に回り込み、第2保護層6Bにおける第2端面8B寄りの部位を覆っている。第1外部電極3Aと第2外部電極3Bとは、互いに電気的に絶縁されている。
外部電極3は、素体部品2に接続する下地層と、はんだ実装を容易にするめっき外層とで構成されていてもよい。下地層は、焼成後の素体部品2に塗布焼き付けしてもよく、焼成前の素体部品2に塗布し、素体部品2と同時に焼成してもよい。
下地層は、素体部品2に直接めっきして形成されていてもよい。下地層及びめっき外層は、各々、単一層からなっていてもよく、複数層からなってもよい。下地層及びめっき外層は、例えばNi、Cu、Ag、Pd、Au等の金属材料又はこれらの金属材料を含む合金材料で構成されてもよい。下地層及びめっき外層は、中間層又は外層として、導電性樹脂層を有していてもよい。
積層体13の切断側面9においては、正極の内部電極層5と負極の内部電極層5とが誘電体層4を挟んで交互に隣接している。
本実施形態では、第1切断側面9A及び第2切断側面9Bに、極性の異なる内部電極層5同士の電気的絶縁及び端部19の物理的保護のための保護層6が位置している。保護層6は、セラミック材料で構成されていてもよく、この場合、保護層6は、絶縁性及び比較的高い機械的強度を有することができる。また、保護層6がセラミック材料で構成されている場合、積層体13と保護層6とを同時に焼成することが可能となる。図2では、積層体13と保護層6との境界を二点鎖線で示しているが、実際の境界は明瞭に現われるわけではない。保護層6の厚みが薄いほど、積層セラミックコンデンサ1を小型大容量化することができる。保護層6の厚みは、例えば5μm~40μmであってもよい。
<製造方法>
本開示の積層部品は、以下の方法により製造することができる。先ず、セラミック誘電体材料に添加剤を加えたセラミックの混合粉体をビーズミルで湿式粉砕混合する。セラミック誘電体材料としては、電子部品に使用されるものであればよく、特に限定されないが好ましい具体例をあげると、チタン酸バリウムと、五酸化二バナジウム(V)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホルミニウム(Ho)および酸化イッテルビウム(Yb)からなる希土類元素酸化物のいずれか1種と、炭酸マンガンとを混合する。
このとき、チタン酸バリウム(BaTiO)は、Ba/Tiのモル比が1.001~1.01であり、純度が99.9%以上であって、平均粒径が0.1~0.2μmのものであればよい。また、チタン酸バリウム(BaTiO)100モルに対して、五酸化二バナジウム(V)であれば0.03~0.1モル、酸化マグネシウム(MgO)であれば0.5~1モル、酸化イットリウム(Y)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホルミニウム(Ho)および酸化イッテルビウム(Yb)であれば0.5~2モルであることが好ましく、炭酸マンガンであれば0.2~0.3モルであることが好ましい。
次に、粉砕混合したスラリーに、ポリビニルブチラール系バインダ、可塑剤、および有機溶剤を加えて混合し、セラミックスラリーを作製する。
次に、ダイコーターを用いて、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成形する。セラミックグリーンシートの厚みは、例えば、1~10μm程度であってもよい。セラミックグリーンシートの厚みを薄くするほど、積層セラミックコンデンサの静電容量を高くすることができる。セラミックグリーンシートの成形は、ダイコーターだけに限られず、例えば、ドクターブレードコーターまたはグラビアコーター等を用いて行ってもよい。次に、上記で作成したセラミックグリーンシートに、スクリーン印刷法を用いて、内部電極層5となる強磁性金属材料であるニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを所定のパターンで印刷する。導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷法だけに限られず、例えば、グラビア印刷法等を用いて行ってもよい。
導電性ペーストは、例えばNi、Pd、Cu、Ag等の金属、またはそれらの合金などの金属のほか、ケイ酸塩構造物質原料を含む。ケイ酸塩構造物質原料としては例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびバナジウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物が挙げられる。このうち、リチウムおよびホウ素の酸化物が好ましく、具体的には、たとえば酸化ケイ素1モルに対して酸化リチウムを0.05~0,3モル、酸化アルミニウムを0.05~0.4モル、酸化ホウ素を0.05~0.15モルとなるように用いるのが好ましい。
印刷後、導電性ペーストを乾燥させる。乾燥によって主に溶剤分が揮発するので、乾燥後の内部電極層は、有機バインダ中にニッケル粒子と、ケイ酸塩構造物質原料とが分散した状態となる。コンデンサとしての特性が確保できる限りにおいて、内部電極層5の厚みが薄ければ薄いほど、内部応力による内部欠陥を減らすことができる。高積層数のコンデンサであれば、内部電極層5の厚みは、例えば、2.0μm以下であってもよい。
次に、所定枚数積層したセラミックグリーンシートの上に、内部電極層5が印刷されたセラミックグリーンシートを所定枚数積層し、さらに、セラミックグリーンシートを所定枚数積層する。内部電極層5が印刷されたセラミックグリーンシートは、内部電極層5のパターンをずらしながら所定枚数積層する。次に、セラミックグリーンシートを複数枚積層されてなる積層体を積層方向にプレスして、母積層体を得る。積層体のプレスは、例えば静水圧プレス装置を用いて行うことができる。母積層体の内部では、セラミックグリーンシートを挟んで内部電極層5が層状に埋め込まれている。母積層体が縦横に切断されると、図3に示す素体前駆体13になる。
次に、素体前駆体13または素体部品2を前述の整列方法によって整列させ、各素体部品2の側面9に対して必要な加工処理を行う。加工処理は、素体前駆体13に保護層6を形成する処理であってもよく、素体部品2を研磨加工する処理であってもよい。このようにして得られた素体部品2を焼成したのち、外部電極3を形成し、積層セラミックコンデンサ1を製造することができる。
焼成温度は、誘電体層4と内部電極層5となる導電性ペーストに含まれる金属材料等に応じて、またケイ酸塩構造物質原料からケイ酸塩構造物質10が形成される温度に応じて、適宜設定することができる。焼成温度は、例えば、1100~1250℃であればよい。磁界内で方向整列した後の素体前駆体13の取出し時は、垂直磁界範囲で素体部品が反転しない領域に移動してから取り出すと、方向整列した状態のまま取り出すことができる。磁石が電磁石である場合は、スイッチを切ってから取り出してもよい。
実施例1
以下、具体的に積層型のコンデンサを作製して本発明の効果を確認した。まず、セラミック層用の材料として以下の誘電体粉末を調製した。誘電体粉末の原料粉末として、粉末ごとに平均粒径をそれぞれ変えたチタン酸バリウム粉末、MgO粉末、Dy粉末およびMnCO3粉末を準備した。これらの各種粉末を、チタン酸バリウム粉末量を100モルとしたときに、MgO粉末を0.5モル、Dy粉末を1モル、MnCO粉末を0.3モル添加し、さらに、チタン酸バリウム粉末100質量部に対して、ガラス粉末(SiO=55,BaO=20,CaO=15,LiO=10(モル%))を1.3質量部添加して誘電体粉末を調製した。次いで、この誘電体粉末を直径0.1mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとからなる混合溶媒を添加し湿式混合した。
電極ペーストとして、Ni100質量部に対し、ケイ酸塩構造物質原料としてSiO、LiO、AlおよびBをそれぞれ3.74質量部、0.48質量部、0.26質量部および0.77質量部を加えてNi電極ペーストを製造した。これらを用いて、内部電極が印刷されたシートを260層積層した後、内部電極を印刷していない誘電体グリーンシートで上下を挟み圧着した。圧着後に小片にカットし、窒素ガス雰囲気中で熱処理(脱バインダ処理)した。ついで水素-窒素ガス中、1200℃で焼成した。焼成後のチップに再酸化処理を施し、DC特性測定用の積層セラミックコンデンサとした。焼成後の誘電体層の厚さは、1.32μmであった。
得られたDC特性測定用の積層セラミックコンデンサについて、BaTiOおよび希土類元素の平均粒径の変化と、ケイ酸塩構造物質原料の有無の場合とを組合せによるDCバイアス特性を測定し、前記組み合せによる影響を調べた。
<測定方法>
残留応力は次のようにして測定した。試料を樹脂で包埋し、断面出しを行い、測定試料とした。各試料の中央箇所において、二次元回折パターンの取得できる検出器を用いて、広角X線回折パターンを測定した。装置にはBrukerJapan製測定器を使用した。BaTiOの323ピーク(2θ≒128.7℃)を用いて、X線残留応力測定(2D法)により、各箇所の残留応力を求めた。BaTiOのヤング率及びポアソン比はそれぞれ100GPa、ポアソン比は0.30とした。
比誘電率及び実効比誘電率は次のようにして測定した。室温(25℃)における静電 容量はLCRメータ(Keysight社製 E4980A)を用いて、温度25℃、周波数1.0kHz、AC電圧を1.0V/μmとして測定した。試料数は20個とし、平均値を求めた。DCバイアス特性は、DC10V/μmを印加し、同様に測定を行った。
<結果および考察>
結果は、図7に示すとおりである。図7から、内部電極層にケイ酸塩構造物質を含む積層セラミックコンデンサは、誘電体層のセラミックの平均粒径が同じであっても、内部電極層にケイ酸塩構造物質を含まない積層セラミックコンデンサに比べて、残留応力が抑制されるので、実効比誘電率が高く、セラミック粒径0.25μm以上では実効比誘電率差が50(10V/μm)であり、セラミック粒径0.20μmでは実効比誘電率差が100(10V/μm)であり、0.15μmでは実効比誘電率差が200(10V/μm)であることがわかる。
また、セラミックが同じ平均粒径の積層セラミックコンデンサの場合には、内部電極層にケイ酸塩構造物質を含む積層セラミックコンデンサでも、内部電極層にケイ酸塩構造物質を含まない積層セラミックコンデンサであっても、平均粒径が0.2μm以下の場合に、実効比誘電率差が大きくなった。
このことは、積層セラミックコンデンサの内部電極層がケイ酸塩構造物質を含むこと、セラミックの粒径が0.2μmとすること、により積層セラミックコンデンサの残留応力が抑制され、粒界の数が増えることにより常誘電体のシェル体積が増加し、結果として、積層セラミックコンデンサのDCバイパス特性が向上することを示すものである。
実施例2
内部電極層5における電極連続率と残留応力との関係を調べるために、シミュレーションを行った。シミュレーションには有限要素法を基にしたソフトウェアであるANSYSを用いた。シミュレーションでは、前記実施例1と同様にして製造した積層セラミックコンデンサの積層部分の一部を抜き出した2Dモデルとした。この2Dモデルの構造は、誘電体層厚みtd=1μm、電極層厚みte=0.5μm、積層数N=5層、有効部W長さ=200μm、サイドマージン幅SM=50μm、カバー厚みCM=1μmとした。このモデルをもとに、電極の途切れ部分の材料と電極連続率による残留応力変化も調査した。電極連続率を変更する際は、長さ1-4μmの電極途切れ場所の候補から、電極連続率に応じてランダムに途切れ部の場所を選んだ。残留応力は有効部の残留応力の平均値をとり、100回ランダムで計算した際の平均を電極連続率に対して比較した。
<結果および考察>
結果は、図6に示すとおりであり、電極連続率が100%の場合に比べて、電極連続率が増加すると残留応力が減少し、電極連続率が75%以上90%以下であることが、残留応力σを緩和し、実効静電容量の低下を抑制することが明らかである。
本開示によれば、内部電極層5に存在するケイ酸塩構造物質10は、焼成後の冷却において、内部電極層5の収縮を抑制し、誘電体層4の残留応力σを減少させるので、誘電体層4に発生する残留応力σを減少させることができ、DC印加時の分極反転を容易にし、DCバイアス特性を向上させることができる。
本開示は、以下の構成(1)~(4)で実施可能である。
(1)誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層構造を備え、
前記内部電極層は、ケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびボロンから選ばれる少なくとも1種の酸化物と、からなるケイ酸塩構造物質を含む積層セラミック電子部品。
(2)前記ケイ酸塩構造物質は、熱膨張係数が0.1×10-6/K~1.0×10-6/Kである上記構成(1)に記載の積層セラミック電子部品。
(3)前記誘電体層は、セラミックから構成され、該誘電体層を構成するセラミックは、粒径が0.2μm以下である上記構成(1)または(2)に記載の積層セラミック電子部品。
(4)内部電極層の電極連続率が75%以上90%以下である上記構成(1)または(2)に記載の積層セラミック電子部品。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 積層セラミックコンデンサ
2 素体部品
3 外部電極
3A 第1外部電極
3B 第2外部電極
4 誘電体層
5 内部電極層
6 保護層
6A,6B 保護層
7 主面
7A 第1面
7B 第2面
8 端面
8A 第1端面
8B 第2端面
9 切断側面
9A 第1切断側面
9B 第2切断側面
10 ケイ酸塩構造物質
13 積層体(素体前駆体)

Claims (4)

  1. 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層構造を備え、
    前記内部電極層は、ケイ素およびアルミニウムの酸化物と、リチウム、ホウ素、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、ジルコニウム、リン、ナトリウム、カリウムおよびボロンから選ばれる少なくとも1種の酸化物と、からなるケイ酸塩構造物質を含む積層セラミック電子部品。
  2. 前記ケイ酸塩構造物質は、熱膨張係数が0.1×10-6/K~1.0×10-6/Kである請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記誘電体層は、セラミックから構成され、該セラミックは、粒径が0.2μm以下である請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 内部電極層の電極連続率が75%以上90%以下である請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
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