JP2507724B2 - 耐炎性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

耐炎性ポリエステルの製造方法

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JP2507724B2 JP62013167A JP1316787A JP2507724B2 JP 2507724 B2 JP2507724 B2 JP 2507724B2 JP 62013167 A JP62013167 A JP 62013167A JP 1316787 A JP1316787 A JP 1316787A JP 2507724 B2 JP2507724 B2 JP 2507724B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐炎性ポリエステルの製造方法に関するも
のであり、さらに詳しくは高い極限粘度のサーモトロピ
ック液晶性を有する耐炎性ポリエステルを製造する方法
に関するものである。
(従来の技術) 従来より、ポリエステルは、一般成形品としての用途
を広く認められるに到っているが、多くのポリエステル
は曲げ強度、曲げ弾性率を始めとする種々の機械的物性
が不十分であるため、高物性を要求される分野には適し
ていなかった。
近年、繊維、フィルムもしくは成形品のいずれかを問
わず、強度、剛性、耐熱性及び耐薬品性等に優れた素材
に対する要望が高まっている。
既に、かかる高物性を有するポリエステルの先鞭とし
て、W.J.ジャクソンはポリエチレンテレフタレートと4
−ヒドロキシ安息香酸(4HBA)とからなるサーモトロピ
ック液晶性ポリエステル(LCP)を報告しており、かか
るサーモトロピック液晶性ポリエステルに注目が集まっ
ている。このサーモトロピック液晶性ポリエステルは通
常のサーモトロピック液晶性を示さないポリエステルに
数倍する機械的物性を有しており、高機能性高分子に新
しい可能性を見出した。
一般に、このサーモトロピック液晶性ポリエステル
は、製造の第一工程でポリエチレンテレフタレート(PE
T)と4−アセトキシ安息香酸(4HBA-A)とを接触させ
てアシドリシス反応によりPETを解重合させ、次いで第
二工程でその解重合物を重縮合させることにより製造さ
れる。
ところで、近年、火災予防の観点から各種プラスチッ
ク製品の耐炎性への要請が強まっている。特に、前記し
たPET/4HBA系のLCPは耐炎性が芳香族系のLCPに比べ劣っ
ているとされているので、その対応策の確立が急がれて
いる。
従来、ポリエステルに耐炎性を付与する方法は種々提
案されており、ポリエステルにリン化合物を含有させる
ことが有効であるとされている。
例えば、特公昭55-41610号公報には耐炎性のポリエス
テルを製造するに際し、特定のリン化合物を添加、共重
合する方法が提案されているが、この方法で高重合度の
ポリエステルを製造するには添加するリン化合物を予め
2価のエステル形成性官能基を有する化合物としておく
必要があり、その場合,選択するエステル形成性官能基
を有する部分を構成する成分の種類によっては、添加す
るリン化合物の価格が高くなったり、極めて製造が困難
であったりして、結局経済面での問題が残されていた。
また、特公昭56-9178号公報には特定の構造を有する
リン化合物をポリエステルに配合する方法が提案されて
いるが、この方法においてP−H結合のようにポリエス
テルを解重合する官能基を有するリン化合物を用いると
ポリエステルの重合度を著しく低下させたり、あるいは
ポリエステルの末端を封鎖したりして、得られるポリエ
ステルの物性を低下させ、実用的でないという問題があ
る。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、物性を低下させることなくポリエステルに
耐炎性を付与でき、しかもサーモトロピック液晶性を有
するポリエステルを経済的に製造する方法を提供しよう
とするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前記のごとき問題点のないサーモトロ
ピック液晶性を有する耐炎性ポリエステルの製造方法に
ついて鋭意研究の結果、不飽和化合物を予めポリエステ
ルの主鎖に共重合させておき、しかるのち、特定のP−
H結合を有するリン化合物を、該不飽和結合に付加させ
ることが極めて効果的であることを知見し、本発明に到
達した。
すなわち、本発明は、下記式(I)で表される芳香族
オキシカルボン酸成分とアルキレンテレフタレート成分
とからなり、両者のモル比が30:70〜95:5であり、極限
粘度が0.5以上のサーモトロピック液晶性ポリエステル
を製造するに際し、エステル形成性官能基を有する不飽
和化合物を該サーモトロピック液晶性ポリエステルを構
成する全繰り返し単位に対して0.5〜10モル%となるよ
う共重合させ,しかるのち下記式(II)で示されるリン
化合物を反応させることを特徴とする耐炎性ポリエステ
ルの製造方法を要旨とするものである。
(式においてArは2価の芳香族基を示す。ただし、芳香
環は置換基で置換されていてもよい。また、Rは水素原
子,ヒドロキシル基もしくは低級アシル基、R1、R2は水
素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びア
リロキシ基からなる群から選ばれた同種又は異種の基で
あり、R1、R2は互いに環を形成していてもよい。) 本発明の方法により製造したポリエステルの極限粘度
〔η〕は、少なくとも0.5dl/g以上、好ましくは0.5〜1.
0dl/g、最適には0.6〜0.8dl/gである。極限粘度〔η〕
が0.5dl/g以上でないと目的とする曲げ特性を始めとす
る各種の物理的、機械的物性値が劣る。
本発明において、サーモトロピック液晶性ポリエステ
ルは、前記式(I)で表される芳香族オキシカルボン酸
成分とアルキレンテレフタレート成分から主としてな
る。
本発明において用いられる、芳香族オキシカルボン酸
成分は式(I)で示される化合物であり、例えば、4−
ヒドロキシ安息香酸(4HBA)、1−ヒドロキシ−4−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸、4−
ヒドロキシ−3−クロル安息香酸、2−ヒドロキシ−6
−ナフトエ酸等もしくはこれらの酢酸エステル、プロピ
オン酸エステル、酪酸エステル、イソプロピオン酸エス
テル、α,α−ジメチルプロピオン酸エステル等の低級
脂肪酸エステルがあげられるが、4HBAもしくは4−アセ
トキシ安息香酸(4HBA-A)が最適である。なお、芳香族
オキシカルボン酸として芳香族オキシカルボン酸そのも
のを用いた時には、当然のことながら、芳香族オキシカ
ルボン酸と当量となる量以上(好ましくは、1.05〜1.25
倍当量)の低級脂肪酸の酸無水物を併用することは言う
までもない。また、サーモトロピック液晶性ポリエステ
ルを得るためには、生成するサーモトロピック液晶性ポ
リエステルの剛直部分を担うため、基本的にはパラ配向
性、もしくはアンフィ配向性の化合物が選ばれることが
必要であるが、生成するポリエステルの液晶性を損ねな
い限り、オルト、メタ、アナ、エピ、カタ、ペリ、プロ
スの各配向性の化合物を共重合することができる。
本発明にいうアルキレンテレフタレート成分とは、主
として、PETや、ポリブチレンテレフタレート(PBT)も
しくはこれらのオリゴマー、モノマー等に基づくもので
あるが、必要に応じて他の成分を共重合成分として少量
含有するものでもよいが、特にPETが好適であり、かか
るPETの好ましい極限粘度は0.60dl/g以下、とくに0.20d
l/g程度である。これらの範囲を越えて極限粘度が高く
なり過ぎると得られるポリエステルのランダム性が失わ
れ易く、芳香族オキシカルボン酸成分だけが局部的にホ
モポリエステルを形成し、これが高融点の結晶となって
ポリエステル溶融体から析出し、異物となることがある
ので好ましくない場合がある。本発明において、ポリア
ルキレンテレフタレートは、従来公知の任意のポリエス
テルの製造法、たとえばエステル化法、エステル交換法
で製造できる。
本発明において用いられるエステル形成性官能基を有
する不飽和化合物としては、カルボキシル基又は水酸基
を1〜4個、好ましくは2個有する化合物が適当であ
る。具体的には、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸、
シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸等のジカルボ
ン酸、もしくはそれらの酸無水物、エステル等からなる
不飽和ジカルボン酸、又は2−ブテン−1,4−ジオー
ル、3−ブテン−1,2−ジオール等の不飽和ジオールも
しくはそれらのエステル等があげられるが、最も好まし
いのはマレイン酸もしくはその誘導体である。
本発明において、エステル形成性官能基を有する不飽
和化合物を共重合する割合は、サーモトロピック液晶性
ポリエステルを構成する全繰り返し単位に対し、0.5〜1
0モル%であり、この共重合割合が0.5モル%より少ない
と実質上共重合の効果が発現しないし、一方、10モル%
より多いと得られるポリエステルがサーモトロピック液
晶性を示さなくなったり、ひいてはゲル化等の好ましく
ない現象を招来してともに好ましくない。
本発明において用いられる前記式(II)で示されるリ
ン化合物の具体な例としては次の化合物が挙げられる。
本発明において、前記式(II)で示されるリン化合物
の含有割合は、リン化合物の割合があまりに少ないと、
最終的に得られるサーモトロピック液晶性ポリエステル
の耐炎性が不十分となり、一方、この割合が多すぎると
得られるポリエステルの物理的特性が損なわれることが
あるので、通常不飽和化合物の不飽和結合の当量を越え
ない範囲の量で、かつ、全ポリエステルを構成する全繰
り返し単位に対し0.5〜10モル%、好ましくは2.0〜7.0
モル%、最適には2.5〜5.0モル%とするのが適当であ
る。なお、リン化合物のポリエステル中への残存量は、
リン化合物の種類によって異なるが、通常70〜100%で
あるので、それを考慮して添加量を選択すればよい。
本発明の方法によりポリエステルを製造するにあた
り、エステル形成性官能基を有する不飽和化合物はリン
化合物の添加前に予め添加しておくことが必要である。
この方法には、大きく分けて3種類の方法がある。すな
わち、ポリアルキレンテレフタレートの製造時に不飽
和化合物を添加して共重合させたのち、リン化合物を添
加し、しかるのち芳香族オキシカルボン酸と反応させる
方法、芳香族オキシカルボン酸とポリアルキレンテレ
フタレートと不飽和化合物を反応させ、しかるのちリン
化合物を添加する方法、芳香族オキシカルボン酸と不
飽和化合物とを反応させたのち、リン化合物を添加し、
しかるのちポリアルキレンテレフタレートと反応させる
方法であるが、の方法が最適である。
より具体的には、不飽和化合物を共重合したポリアル
キレンテレフタレートの極限粘度が0.5以上となった時
点で、反応系を窒素ガス下で常圧とし、260〜310℃、好
ましくは270〜290℃の温度で前記式(II)で示されるリ
ン化合物を添加し、5〜60分間、好ましくは10〜30分間
攪拌下に反応させる。そののち、(イ)アシル芳香族オ
キシカルボン酸、好ましくはそれと0.05〜0.25倍当量の
無水酢酸、もしくは、(ロ)芳香族オキシカルボン酸と
それと当量以上の無水酢酸、好ましくは1.05〜1.25倍当
量の無水酢酸を添加し0.01〜10torrの減圧下に260〜310
℃、好ましくは270〜290℃の温度で所定の重合度のポリ
エステルが得られるまで重縮合すればよい。
本発明の製造方法において、前記したように無水酢酸
のような低級脂肪酸の酸無水物を併用し、芳香族オキシ
カルボン酸のヒドロキシル基を有効にアシル化すること
が好ましいが、さらに、PETもしくはそのオリゴマー、
モノマーの全グリコール末端基の当量数を越える量の低
級脂肪酸の酸無水物を添加することが反応速度を向上さ
せかつ異物の発生を抑制する点で好ましい方法である。
なお、かかるPETの全グリコール末端基は、極限粘度
が0.1dl/gの時は、1,200〜1,500当量/ton-PET、極限粘
度が0.2dl/gの時は、600〜700当量/ton-PET程度であ
る。
かかる低級脂肪酸の酸無水物としては、通常炭素原子
1〜8個の低級脂肪酸の酸無水物、すなわち、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジク
ロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロム酢酸、
無水ジブロム酢酸、無水トリブロム酢酸、無水モノフル
オロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢
酸、無水ブロム酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン
酸、無水コハク酸、無水β−ブロムプロピオン酸、無水
酪酸、無水イソ酪酸、無水プロピル酢酸、無水吉草酸、
無水ピバル酸等が挙げられるが、価格と沸点のレベルか
ら、無水酢酸が特に好適に用いられ、以後の説明は無水
酢酸(Ac2O)で代表させる。
なお、前記式(II)で示されるリン化合物は、若干の
還元性を有している場合があるので、リン化合物を添加
する以前に添加する重縮合触媒としては、後述するもの
のうち、たとえばアンチモン等、還元性の雰囲気では失
活するおそれのあるものは使用しないほうがよい。
以下、本発明の方法が特に好適に適用出来る例として
不飽和化合物を共重合したPETを第一構成単位、4HBA残
基を第二構成単位とするポリエステルを例にとって、本
発明の構造方法をさらに詳しく説明することにする。
第一構成単位と第二構成単位の比率は、繰り返し単位
モル比で30:70〜95:5であり、好ましくは30:70〜70:30
である。第一構成単位の比率が小さすぎると明瞭な液晶
性を示すポリエステルが得られず、逆に大きすぎると融
点が高くなりすぎて製造、使用が困難となる。
本発明においては、不飽和化合物を共重合したPETを
主たる構成成分とするポリエステルを極限度0.5以上と
なるまで重縮合し、しかるのち、反応系を窒素ガス下で
常圧とし、260〜310℃、好ましくは270〜290℃の温度で
前記式(II)で示されるリン化合物を添加し、5〜60分
間、好ましくは10〜30分間攪拌下に反応させ、その後、
4HBA-Aと前記した量のAc2Oとを反応機に仕込み、後述す
る反応スケジュール(a)、(b)、(c)及び(d)
の順で反応させるのが適当である。まず、(a)不活性
雰囲気で、150℃を越えない温度で、30分〜4時間反応
させる。温度が150℃を越えたり、反応時間が30分未満
であると反応が不十分となり、重縮合段階における反応
速度が緩慢になる時があるため好ましくない。一方、4
時間以上反応させても、効果は飽和状態となるだけであ
るから、経済面でこれも好ましくない。ついで(b)不
活性雰囲気で、150℃〜230℃の温度で、30分〜8時間反
応させる。温度が230℃越えたり、反応時間が30分未満
であると反応が不十分となり、最終的に得られるポリエ
ステルの極限粘度が上昇しなくなったり、4−アセトキ
シ安息香酸が前記したようにホモポリエステルを形成し
たり、4−アセトキシ安息香酸やAc2Oが飛散したりして
好ましくない。一方、8時間以上反応させても、効果は
飽和状態となるばかりか却って得られるポリエステルの
色調を損ねるだけであるから、これも好ましくない。そ
の後、(c)不活性雰囲気で、230℃から250℃〜310℃
の温度まで昇温し、遅くとも温度が270℃に到達した時
点で、フルバキュームまで60分以上、好ましくは、その
時間が90分となるような減圧スケジュールで減圧を開始
する。温度が310℃越えたりすると、得られるポリエス
テルの色調を損ねるだけであるし、一方、減圧スケジュ
ールが60分未満であると、4−アセトキシ安息香酸が飛
散したりしてともに好ましくない。しかるのち、(d)
通常260〜310℃の温度で、0.01torr〜10torr程度の高減
圧下に数十分〜数時間、溶融相で酢酸(AcOH)を溜出さ
せつつ、重縮合反応させることによって、ポリエステル
を製造することができる。
本発明においては、前記した二つの構成単位の他、例
えば2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキ
シビフェニル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリ
トール、ナフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、2,2−ビス(4′−カルボキシフェ
ニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタ
ン、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、トリメ
リット酸等が共重合成分として好適に用いられる。
また、通常、重縮合反応には触媒が用いられるが、本
発明の方法によりポリエステルを製造するには、例え
ば、各種金属化合物あるいは有機スルホン酸化合物の中
から選ばれた1種以上の化合物が用いられる。
かかる金属化合物としては、アンチモン、チタン、ゲ
ルマニウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、マグネシウ
ム、カルシウム、マンガン、ナトリウム、カリウムある
いはコバルトなどの化合物が用いられ、一方有機スルホ
ン酸化合物としては、スルホサリチル酸、o−スルホ安
息香酸無水物(OSB)などの化合物が用いられるが、二
酸化ゲルマニウム(CS)やOSBが特に好適に用いられ
る。前記触媒の添加量としては、ポリエステルの構成単
位1モルに対し通常0.1×10-4〜100×10-4モル、好まし
くは0.5×10-4〜50×10-4モル、最適には1×10-4〜10
×10-4モル用いられる。
また、本発明の方法によれば、例えばポリエステルの
熱的特性値としては融点200℃以上、熱変形温度60℃以
上、好ましくは融点220℃以上、熱変形温度100℃以上、
最適には融点220〜250℃、熱変形温度100〜130℃のポリ
エステルが得られ、かかるポリエステルは耐熱性と各種
の物理的、機械的特性値とを兼ね備えている点で好まし
いものである。
(作用) 本発明の方法によって高い極限粘度を有し、耐炎性に
優れたポリエステルを経済的に製造することができる理
由は十分解明されているわけではないが、ポリエステル
の主鎖中に予め不飽和化結合を存在させ、しかるのち、
かかる不飽和結合にP−H結合を有するリン化合物がポ
リエステルの主鎖にペンダント状に付加する結果、ポリ
エステルの物理的性質を低下させることなく、優れた耐
炎性を有するポリエステルが得られるものと推察され
る。
(実施例) 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明す
る。
なお、例中のポリマーの〔η〕は、フェノールと四塩
化エタンの等重量混合溶媒中20℃で測定した溶液粘度か
ら求めた。
また、ポリアルキレンテレフタレートの全グリコール
末端基は、極限粘度から逆算した全末端基数から後述す
るカルボキシル末端基数を引いたものである。カルボキ
シル末端基はベンジルアルコール中で1/10規定の水酸化
ナトリウム溶液で滴定して求めた。
また、本発明に言うサーモトロピック結晶性はホット
ステージ付Leitz偏光顕微鏡で確認した。
また、ポリエステル中のリン原子の含有量は、蛍光X
線法により定量した。
また、耐炎性はJIS K 7201規格に準拠し、限界酸素指
数(LOI)により評価した。
実施例1 テレフタル酸(TPA)498gとエチレングリコール(E
G)279gとマレイン酸18.3g(マレイン酸の共重合割合は
5モル%)とからなる混合物をオートクレーブ中で260
℃で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次い
で、二酸化ゲルマニウムを触媒として2.5×10-4モル/
酸成分添加し、系の温度を1時間で275℃に昇温し、系
の圧力を徐々に減じて1時間後に0.1torrとし、この条
件で、さらに重縮合反応を続けた。このポリエステル
(PET-1)の極限粘度が0.62となった時点で反応系を窒
素ガスで常圧にし、前記式(h)で示されるリン化合物
(HCA)を16.5g(全酸成分1モルに対してHCAが2.36モ
ル%となる量)添加し、275℃で20分攪拌した。その
後、2,000当量/ton-PET-1のAc2O及びPET-1に対し1.5倍
モルの4−アセトキシ安息香酸を添加し、5時間かけて
230℃まで順次昇温し、そのまま2時間攪拌混合した。
次いで、さらに2時間かけて270℃まで昇温し、その
後、フルバキューム(1torr)まで90分となるような減
圧スケジュールで減圧を開始した。最終的に通常270℃
の温度で、0.3torrの減圧下に4時間、溶融相で重縮合
反応させた。
その結果、極限粘度0.72のサーモトロピック液晶性ポ
リエステルが得られた。そして、このポリエステルから
得た1/3インチ厚みの試験片のLOIは33であった。
実施例2 テレフタル酸(TPA)498gとエチレングリコール(E
G)279gからなる混合物をオートクレーブ中で260℃で2.
5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、マレ
イン酸18.3g(マレイン酸の共重合割合は5モル%)
と、二酸化ゲルマニウムを触媒として2.5×10-4モル/
酸成分添加し、系の温度を1時間で275℃に昇温し、260
℃で30分間攪拌した。その後は実施例1とほぼ同様に反
応させた。
その結果、極限粘度0.67のサーモトロピック液晶性ポ
リエステルが得られた。そして、このポリエステルから
得た1/3インチ厚みの試験片のLOIは32であった。
実施例3 リン化合物として前記式(j)の化合物を用いた他
は、実施例1とほぼ同様に反応させてサーモトロピック
液晶性ポリエステルを得た。結果を第1表に示した。
実施例4 マレイン酸の共重合割合を17.6モル%とし、また、HC
Aを全酸成分1モルに対しHCAが8.24モル%となる量用い
た以外は実施例1とほぼ同様に反応させてサーモトロピ
ック液晶性ポリエステルを得た。結果を第1表に示し
た。
実施例5〜8 リン化合物として前記式(a)、(b)、(c)及び
(e)のリン化合物を使用し、いずれも全酸成分1モル
に対しリン化合物が2.5モル%となる量用いた以外は実
施例1とほぼ同様に反応させてサーモトロピック液晶性
ポリエステルを得た。結果を第1表に示した。
実施例9〜11 不飽和化合物としてそれぞれ無水マレイン酸、イタコ
ン酸、あるいは2−ブテン−1,4−ジオールを使用した
以外はほぼ実施例1と同様に反応させてサーモトロピッ
ク液晶性ポリエステルを得た。結果を第2表に示した。
実施例12 アシル芳香族オキシカルボン酸として、4−アセトキ
シ安息香酸と3−アセトキシ安息香酸とをモル比で9:1
となるように用いた以外はほぼ実施例1と同様に反応さ
せてサーモトロピック液晶性ポリエステルを得た。結果
を第3表に示した。
実施例13 アシル芳香族オキシカルボン酸として、2−アセトキ
シ−6−ナフトエ酸(BON6)を用いた以外はほぼ実施例
1と同様に反応させてサーモトロピック液晶性ポリエス
テルを得た。結果を第3表に示した。
実施例14 テレフタル酸ジメチル(DMT)582gと1,4−ブタンジオ
ール(BD)660gからなる混合物と触媒としてテトラブチ
ルチタネート2.4×10-4モル/酸成分をオートクレーブ
に仕込み、エステル交換を行った。次いで、マレイン酸
18.3g(マレイン酸共重合割合は5モル%)を添加し、
その後は実施例2とほぼ同様に反応させてサーモトロピ
ック液晶性ポリエステルを得た。結果を第3表に示す。
比較例1 マレイン酸の添加量を1.2g(マレイン酸の共重合割合
は0.34モル%)とした以外はほぼ実施例2と同様に反応
させてサーモトロピック液晶性ポリエステルを得た。得
られたポリエステルの極限粘度は0.39に止まり、かろう
じて得た試料のLOIは27であった。
比較例2 マレイン酸の添加量を67.0g(13.5モル%)とした以
外はほぼ実施例2と同様に反応させてポリエステルを得
たが、サーモトロピック液晶性を示さないばかりか、ゲ
ル状を呈して実用上の使用に耐えないものであった。
比較例3 リン化合物としてリン酸トリフェニルを20.7g使用し
た以外はほぼ実施例2と同様に反応させてポリエステル
を得たが、サーモトロピック液晶性を示さないばかり
か、やはりゲル状を呈して実用上の使用に耐えないもの
であった。
(発明の効果) 本発明によれば、ポリエステルの優れた物理的性質を
低下させることなく、耐炎性に優れたサーモトロピック
液晶性ポリエステルを経済的に安定して製造することが
できる。本発明によって得られるサーモトロピック液晶
性ポリエステルは特に難燃性を要求される用途に使用さ
れる高物性の素材として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−172017(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表される芳香族オキシカル
    ボン酸成分とアルキレンテレフタレート成分とからな
    り、両者のモル比が30:70〜95:5であり、極限粘度が0.5
    以上のサーモトロピック液晶性ポリエステルを製造する
    に際し、エステル形成性官能基を有する不飽和化合物を
    該サーモトロピック液晶性ポリエステルを構成する全繰
    り返し単位に対して0.5〜10モル%となるよう共重合さ
    せ、しかるのち下記式(II)で示されるリン化合物を反
    応させることを特徴とする耐炎性ポリエステルの製造方
    法。 (式においてArは2価の芳香族基を示す。ただし、芳香
    環は置換基で置換されていてもよい。また、Rは水素原
    子、ヒドロキシル基もしくは低級アシル基、R1、R2は水
    素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びア
    リロキシ基からなる群から選ばれた同種又異種の基であ
    り、R1、R2は互いに環を形成していてもよい。)
  2. 【請求項2】ポリアルキレンテレフタレート成分と不飽
    和化合物を反応させたのち、リン化合物を添加し、しか
    るのち、芳香族オキシカルボン酸成分を反応させる特許
    請求の範囲第1項記載の耐炎性ポリエステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】不飽和化合物がマレイン酸又はそのエステ
    ル形成性誘導体である特許請求の範囲第1項記載の耐炎
    性ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】リン化合物が下記式(III)で示される化
    合物である特許請求の範囲第1項記載の耐炎性ポリエス
    テルの製造方法。 (式において、ベンゼン環は置換基で置換されていても
    よい。)
  5. 【請求項5】芳香族オキシカルボン酸成分が4−ヒドロ
    キシ安息香酸成分である特許請求の範囲第1項記載のポ
    リエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】ポリエステルの極限粘度が0.5以上となっ
    た時点で前記式(II)で示されるリン化合物を不飽和化
    合物の不飽和結合の当量を越えない量で添加し、ついで
    重縮合を完結させることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載のポリエステルの製造方法。
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