JP2532760B2 - 配向制御膜と液晶素子 - Google Patents

配向制御膜と液晶素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶分子の配向制御膜及
び液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子やその集合体などの配向を制御する
ための技術として、液晶素子においては、ポリイミドや
ポリアミドなどの合成高分子を基板上に塗布、乾燥し、
その表面を布等で擦って配向制御を行うラビング処理を
行った配向制御膜が主に用いられている。また、ラビン
グ処理を行わない方法としては酸化珪素などの斜方蒸着
法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液晶素子において、分
子などの配向を制御する方法の一つであるラビング処理
は単純な方法であるため、低コストで実施できるが、大
面積化及び画素数の増大が望まれるようになると従来用
いていたポリイミドやポリアミドなどの配向制御膜では
これに対応しきれず、配向の均一性が不十分であるとい
う課題を有していた。一方、牛血清アルブミン等のタン
パク質を配向制御膜として用いると、均一な配向が実現
できるが、強誘電性を示す液晶を用いた液晶素子に応用
した場合、分子の配向方向の双安定性の長期安定性が不
十分であるという課題を有していた。一方、ラビング処
理を行わずに液晶を配向させる方法としては、斜方蒸着
法がある。そして、この方法を用いれば、良好な性能を
有する液晶素子が製造できるが、蒸着工程が複雑で一般
にコストが高く特に大面積において低コスト化が困難で
あるという課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の配向制御膜は、側鎖にカルボキシル基を有す
る解離性アミノ酸残基から成るポリペプチド、または、
側鎖にカルボキシル基を有する解離性アミノ酸残基を少
なくとも1つ以上含むタンパク質中のアミノ酸残基のカ
ルボキシル基部分をアミン化合物により修飾した塗膜
で、かつ該塗膜がラビング処理により配向処理を受けた
配向制御膜であり、強誘電性液晶素子は、少なくとも一
方の液晶支持板上に前記特徴を有する配向制御膜を備え
たものである。
【0005】
【作用】本発明は、側鎖にカルボキシル基を有する解離
性アミノ酸残基から成るポリペプチド、または、側鎖に
カルボキシル基を有する解離性アミノ酸残基を少なくと
も1つ以上含むタンパク質中のアミノ酸残基のカルボキ
シル基部分をアミン化合物により修飾した塗膜にラビン
グによる配向処理を施すことによって、分子やその集合
体の良好な配向が実現可能となる。また、これを液晶素
子に応用した場合は、素子の全面にわたって均一な配向
を容易に低コストで実現できる。中でも、強誘電性を示
す液晶を用いた液晶素子では、双安定性を1000時間
以上の長期にわたり完全に保持したままで均一な配向を
低コストで実現できる。
【0006】
【実施例】以下本発明の一実施例の配向制御膜およびそ
れを用いた液晶素子について、図面を参照しながら説明
する。(図1)は本発明の配向制御膜を用いた液晶素子
の概略を示す図である。ガラスやプラスチック等の基板
11上にインジウム・錫酸化物よりなる透明電極12を
形成し、その上に配向制御膜13を形成後配向処理を施
し、スペーサ兼シール樹脂14を印刷し、2枚の液晶支
持板15を貼合わせ、開口部より液晶16を注入後、開
口部を封止していわゆる液晶セルを完成した。(図2)
は、ポリ−L−グルタミン酸をポリオキシプロピレンジ
アミン(分子量400)により修飾した塗膜を配向制御
膜として用い、上記の方法により作製した強誘電性液晶
セルの電気光学特性を示す図である。(図2)中の○は
電圧を印加したときの最大の相対輝度でありバルクの応
答を示し、×は一連の測定波形を1000ライン走査後
の相対輝度でありメモリ応答を表すが、(図2)から急
峻なしきい値と良好な双安定性を示すことがわかる。
尚、ポリオキシプロピレンジアミン(分子量400)の
構造式は
【0007】
【化1】
【0008】である。(実施例1)1.0gのポリ−L
−グルタミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶か
し、1.0重量%のポリ−L−グルタミン酸ナトリウム
水溶液を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の
塩酸水溶液で中和した後、あらかじめ調整しておいたポ
リオキシプロピレンジアミン(分子量400)のクロロ
ホルム溶液加え十分撹拌した。靜置後水相とクロロホル
ム相間に生じたポリ−L−グルタミン酸のポリオキシプ
ロピレンジアミン(分子量400)塩のゲル状沈澱物を
分取し、それをN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし
た。このようにして作製したポリ−L−グルタミン酸の
ポリオキシプロピレンジアミン(分子量400)塩の
N,N−ジメチルホルムアミド溶液をITO電極のパタ
ーンを形成したガラス基板に500回転/分で10秒間
回転塗布した後、連続して2300回転/分で1分間回
転塗布を行なった。塗布後170℃の電気炉で1時間乾
燥を行なった後、塗膜の表面をレーヨンの布を用いて同
一方向に10回ラビング処理を行い配向制御膜を完成し
た。こうしてポリ−L−グルタミン酸のポリオキシプロ
ピレンジアミン(分子量400)塩の配向制御膜を形成
したガラス液晶支持板を2枚用意し(図3)に示すよう
にその片方の支持板(例えば下側液晶支持板22)の配
向制御膜を形成した面にスペーサ兼シール樹脂25とし
て直径2μmのガラス繊維を分散した酸無水物硬化型エ
ポキシ樹脂を1辺のみ辺の中央に5mmの幅を残して他
の周辺に0.2mm幅で印刷した上で、上側液晶支持板
21と下側支持板22に形成した配向制御膜のラビング
処理方向23,24が平行でかつ配向制御膜面を対向さ
せた状態で加圧し、140℃で4時間加熱して硬化接着
した。接着後、液晶が等方性を示す温度すなわち80℃
付近まで加熱し、開口部から毛管現象により市販の液晶
(メルク社製商品名ZLI−3654)を注入した。注
入後、室温まで徐冷し開口部を市販の酸無水物硬化型エ
ポキシ樹脂で封止し、強誘電性液晶セルを完成した。こ
のようにして完成した強誘電性液晶セルは、配向ムラ及
びラビング筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加
により、双安定性の確保された良好な電気光学特性が得
られ、さらに、双安定性は1000時間以上の長期にわ
たり保持された。
【0009】(実施例2)1.0gのポリ−D−グルタ
ミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.0
重量%のポリ−D−グルタミン酸ナトリウム水溶液を調
整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水溶液
で中和した後、あらかじめ調整しておいたポリオキシプ
ロピレンジアミン(分子量400)のクロロホルム溶液
加え十分撹拌した。靜置後水相とクロロホルム相間に生
じたポリ−D−グルタミン酸のポリオキシプロピレンジ
アミン(分子量400)塩のゲル状沈澱物を分取し、そ
れをN,N−ジメチルホルムアミドに溶かした。
【0010】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング
筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加により、双
安定性の確保された良好な電気光学特性が得られ、さら
に、双安定性は1000時間以上の長期にわたり保持さ
れた。
【0011】(実施例3)1.0gのポリ−DL−グル
タミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.
0重量%のポリ−DL−グルタミン酸ナトリウム水溶液
を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水
溶液で中和した後、あらかじめ調整しておいたポリオキ
シプロピレンジアミン(分子量400)のクロロホルム
溶液加え十分撹拌した。靜置後水相とクロロホルム相間
に生じたポリ−DL−グルタミン酸のポリオキシプロピ
レンジアミン(分子量400)塩のゲル状沈澱物を分取
し、それをN,N−ジメチルホルムアミドに溶かした。
この溶液を用いて実施例1と同様の操作により作製し
た強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング筋の少ない
良好な配向状態を示し、電圧印加により、双安定性の確
保された良好な電気光学特性が得られ、さらに、双安定
性は1000時間以上の長期にわたり保持された。
【0012】(実施例4)1.0gのポリ−DL−アス
パラギン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、
1.0重量%のポリ−DL−アスパラギン酸ナトリウム
水溶液を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の
塩酸水溶液で中和した後、あらかじめ調整しておいたポ
リオキシプロピレンジアミン(分子量400)のクロロ
ホルム溶液加え十分撹拌した。靜置後水相とクロロホル
ム相間に生じたポリ−DL−アスパラギン酸のポリオキ
シプロピレンジアミン(分子量400)塩のゲル状沈澱
物を分取し、それをN,N−ジメチルホルムアミドに溶
かした。
【0013】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング
筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加により、双
安定性の確保された良好な電気光学特性が得られ、さら
に、双安定性は1000時間以上の長期にわたり保持さ
れた。
【0014】(実施例5)1.0gの牛血清アルブミン
を99.0gの純水に溶かし、1.0重量%の牛血清ア
ルブミン水溶液を調整した。牛血清アルブミンは582
個のアミノ酸残基から成り、その内、側鎖にカルボキシ
ル基を有する解離性アミノ酸残基としてグルタミン酸を
59個、アスパラギン酸を41個含む。この水溶液にあ
らかじめ調整しておいたポリオキシプロピレンジアミン
(分子量400)のクロロホルム溶液加え十分撹拌し
た。靜置後水相とクロロホルム相間に生じた牛血清アル
ブミンのポリオキシプロピレンジアミン(分子量40
0)塩のゲル状沈澱物を分取し、それをN,N−ジメチ
ルホルムアミドに溶かした。
【0015】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング
筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加により、双
安定性の確保された良好な電気光学特性が得られ、さら
に、双安定性は1000時間以上の長期にわたり保持さ
れた。
【0016】(実施例6)1.0gのポリ−DL−グル
タミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.
0重量%のポリ−DL−グルタミン酸ナトリウム水溶液
を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水
溶液で中和した後、あらかじめ調整しておいたベンジル
アミンのクロロホルム溶液加え十分撹拌した。靜置後水
相とクロロホルム相間に生じたポリ−DL−グルタミン
酸のベンジルアミン塩のゲル状沈澱物を分取し、それを
N,N−ジメチルホルムアミドに溶かした。
【0017】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング
筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加により、双
安定性の確保された良好な電気光学特性が得られ、さら
に、双安定性は1000時間以上の長期にわたり保持さ
れた。
【0018】(実施例7)1.0gのポリ−DL−グル
タミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.
0重量%のポリ−DL−グルタミン酸ナトリウム水溶液
を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水
溶液で中和した後、あらかじめ調整しておいたデカメチ
レンジアミンのクロロホルム溶液加え十分撹拌した。靜
置後水相とクロロホルム相間に生じたポリ−DL−グル
タミン酸のデカメチレンジアミン塩のゲル状沈澱物を分
取し、それをN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし
た。
【0019】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルは配向ムラ及びラビング
筋の少ない良好な配向状態を示し、電圧印加により、双
安定性の確保された良好な電気光学特性が得られ、さら
に、双安定性は1000時間以上の長期にわたり保持さ
れた。
【0020】尚、強誘電性液晶はZLI−3654に限
定されるものではない。また、透明電極層上に上下基板
間での短絡を防ぐ目的で絶縁層を片面あるいは両面に形
成した上に配向制御膜を形成しても構わない。
【0021】また、配向制御膜としては、上記したポリ
グルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のポリペプチドや
牛血清アルブミン等のタンパク質に限定されるものでは
なく、あらゆる種類の側鎖にカルボキシル基を有する解
離性アミノ酸残基から成るポリペプチド、または、側鎖
にカルボキシル基を有する解離性アミノ酸残基を少なく
とも1つ以上含むタンパク質を用いてもよい。
【0022】また、配向制御膜中に加えるアミン化合物
は、上記したポリオキシプロピレンジアミン(分子量4
00)、ベンジルアミン、デカメチレンジアミン以外
に、シクロヘキシルアミン、フェニルエチルアミン、フ
ェニルプロピルアミン、ベンジルエタノールアミン等の
アミン化合物を用いてもよく、その混合比は、ポリペプ
チドまたはタンパク質に対して、重量比で20重量%か
ら50重量%が好ましい。
【0023】(比較例1)1.0gのポリ−L−グルタ
ミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.0
重量%のポリ−L−グルタミン酸ナトリウム水溶液を調
整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水溶液
で中和した後、クロロホルム溶液を加えゲル状のポリ−
L−グルタミン酸を抽出し、それをN,N−ジメチルホ
ルムアミドに溶かした。
【0024】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルでは、液晶分子は配向し
なかった。
【0025】(比較例2)1.0gのポリ−DL−グル
タミン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、1.
0重量%のポリ−DL−グルタミン酸ナトリウム水溶液
を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の塩酸水
溶液で中和した後、クロロホルム溶液を加えゲル状のポ
リ−DL−グルタミン酸を抽出し、それをN,N−ジメ
チルホルムアミドに溶かした。
【0026】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルでは、液晶分子は配向し
なかった。
【0027】(比較例3)1.0gのポリ−DL−アス
パラギン酸ナトリウムを99.0gの純水に溶かし、
1.0重量%のポリ−DL−アスパラギン酸ナトリウム
水溶液を調整した。次いで、この水溶液を10重量%の
塩酸水溶液で中和した後、クロロホルム溶液を加えゲル
状のポリ−DL−アスパラギン酸を抽出し、それをN,
N−ジメチルホルムアミドに溶かした。
【0028】この溶液を用いて実施例1と同様の操作に
より作製した強誘電性液晶セルでは、液晶分子は配向し
なかった。
【0029】(比較例4)1.0gの牛血清アルブミン
を99.0gの純水に溶かし、1.0重量%の牛血清ア
ルブミンの水溶液を調整した。
【0030】この水溶液を用いて実施例1と同様の操作
により作製した強誘電性液晶セルでは、良好な配向を示
し、電圧印加により双安定性を示したが、その双安定性
は24時間以内に劣化した。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明は、側鎖にカルボキ
シル基を有する解離性アミノ酸残基から成るポリペプチ
ド、または、側鎖にカルボキシル基を有する解離性アミ
ノ酸残基を少なくとも1つ以上含むタンパク質中のアミ
ノ酸残基のカルボキシル基部分をアミン化合物により修
飾した塗膜にラビングによる配向処理を施し液晶配向制
御膜とすることで分子やその集合体等の配向を制御する
ことが可能になる。また、これを強誘電性液晶素子に応
用した場合には、素子の全面にわたって均一な配向を容
易に低コストで実現でき、1000時間以上の長期にわ
たり安定なメモリ性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の概略図である。
【図2】強誘電性液晶セルの電気光学特性図である。
【図3】本発明の配向制御膜および配向制御法を用いた
強誘電液晶素子の略平面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 透明電極層 13 配向制御膜 14 スペーサ兼シール樹脂 15 液晶支持板 16 液晶 21 上側液晶支持板 22 下側液晶支持板 23 上側液晶支持板のラビング処理方向 24 下側液晶支持板のラビング処理方向 25 スペーサ兼シール樹脂

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖にカルボキシル基を有する解離性ア
    ミノ酸残基から成るポリペプチド、または、側鎖にカル
    ボキシル基を有する解離性アミノ酸残基を少なくとも1
    つ以上含むタンパク質の塗膜であり、かつ該塗膜のアミ
    ノ酸残基のカルボキシル基部分がアミン化合物により修
    飾され、さらにラビングにより配向処理が施されている
    ことを特徴とする配向制御膜。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方の基板上に、側鎖にカル
    ボキシル基を有する解離性アミノ酸残基から成るポリペ
    プチド、または、側鎖にカルボキシル基を有する解離性
    アミノ酸残基を少なくとも1つ以上含むタンパク質のア
    ミノ酸残基のカルボキシル基部分をアミン化合物により
    修飾した塗膜にラビング法により配向処理を施した配向
    制御膜を有してなる一対の液晶支持板対向間隔中に液晶
    物質を保持したことを特徴とする液晶素子。
  3. 【請求項3】 液晶支持板対向間隔中に保持する液晶物
    質が強誘電性を示すことを特徴とする請求項2記載の液
    晶素子。
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