JP2572820B2 - テルビウム付活希土類タンタル系複合酸化物蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

テルビウム付活希土類タンタル系複合酸化物蛍光体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は螢光体及びその製造方法に関し、特にX線励
起下で高輝度の緑色発光を呈するテルビウム(Tb)付活
希土類タンタル系複合酸化物蛍光体及びその製造方法に
関する。
〔従来の技術〕
希土類タンタル酸塩を母体とし、これをニオブ(Nb)
又はツリウム(Tm)で付活した螢光体はX線励起によっ
て高輝度の青色発光を呈し、また、希土類タンタル酸塩
をTbで付活した螢光体はX線励起下でTbに特有する緑色
発光を呈することが知られている(Journal of Lumines
cence誌第3巻第109頁(1970年)、特公昭58−22063号
公報、特開昭62−58244号公報、特開昭62−246988号公
報等参照)。
ところで、Nb付活希土類タンタル酸塩螢光体はレギュ
ラータイプのX線フィルムと組合わせて用いる青色発光
の増感紙として既に実用に供されている。しかしながら
Tb付活希土類タンタル酸塩螢光体を螢光体層に用いた増
感紙についてはこれをオルソタイプのX線フィルムと組
合わせてX線写真撮影に供した場合に写真画質(特に粒
状性)は良好であるものの、感度(光変換効率)が低い
という欠点を有するために未だ実用化されるに至ってお
らず、そのため、Tb付活希土類タンタル酸塩螢光体のX
線励起下での発光輝度を向上させるための種々の試みが
なされてきている。そこで本出願人も先に、Tb付活希土
類タンタル酸塩螢光体よりも一層高輝度の緑色発光螢光
体として組成式(Ln1−x′Tbx′2O3・mTa2O5・wB2
O3(ただし、LnはY、La、GdおよびLuの中から選ばれた
少なくとも1種の元素であり、x′、mおよびwはそれ
ぞれ5×10-4≦x′≦0.1、0.95≦m≦1.05および0.01
<w≦5.0なる条件を満足する数である)で表わされ
る、希土類タンタル酸塩と酸化硼素(B2O3)との複合酸
化物を母体とし、これをTbで付活した螢光体を提案した
(特願昭62−176010号)が、更に高輝度のTb付活希土類
タンタル酸塩螢光体の開発が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者等は、従来のTb付活希土類タンタル酸塩螢光
体に比べて、特にX線励起下で高輝度の緑色発光を呈す
る螢光体並びにその製造方法を提供することを目的にし
て、Tb付活希土類タンタル酸塩螢光体の製造時に添加さ
れる化合物と、得られる螢光体のX線励起下での発光輝
度との相関について種々検討の結果、Tb付活希土類タン
タル酸塩螢光体並びに本出願人が先に提案した組成式が
(Ln1−x′Tbx′2O3・mTa2O5・wB2O3(ただし、L
n、x′、mおよびwは上記と同様である)で表わされ
るTb付活複合酸化物螢光体(これらのTb付活希土類タン
タル酸塩螢光体とTb付活複合酸化物螢光体を総称して、
本明細書では「Tb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光
体」と言うことにする)において、螢光体焼成時に弗化
ナトリウム(NaF)を添加し、これを螢光体中に含有
(本明細書において含有とは洗浄によっても除去されな
いことを意味する)させることによって、得られるTb付
活希土類タンタル系複合酸化物螢光体の発光輝度をより
向上させ得ることを見出し、本発明に至った。
本発明のTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光体は
組成式が (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3・zNaF (式中、LはY、La、GdおよびLuの中から選ばれた少な
くとも1種の元素であり、n,xおよびyはそれぞれ5×1
0-4≦n≦0.1、0.95≦x≦1.05、0≦y≦5.0および0
<z≦0.52となる数である) で表わされることを特徴とする。
更に本発明のTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光
体の製造方法は、 i)一般式L2O3(式中、LはY、La、GdおよびLuの中か
ら選ばれた少なくとも1種の元素である)で表わされる
Lの酸化物または高温でLn2O3に変わり得るLの化合
物、 ii)五酸化タルタン(Ta2O5)又は高温でTa2O5に変わり
得るTaの化合物、 iii)酸化硼素(B2O3)又は高温でB2O3に変わり得るB
の化合物、および iv)酸化テルビウム(Tb2O3)又は高温でTb2O3に変わり
得るTbの化合物 を化学量論的に (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3 (式中、L、n、xおよびyは上記と同様である)なる
混合組成となるように混合し、これに上記化学式量の1
重量%乃至200重量%の弗化ナトリウム(NaF)を混合し
て焼成することを特徴とする。
以下に、本発明を更に詳しく説明する。
本発明のTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光体は
以下に述べる方法によって製造することができる。
まず、螢光体原料としては i) 酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O
3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化ルテチウム(Lu
2O3)、および加熱により容易にY2O3,La2O3,Gd2O3,Lu2O
3に変わり得る硝酸塩、炭酸塩、塩化物、水酸化物、蓚
酸塩などのイットリウム化合物、ランタン化合物、ガド
リニウム化合物、ルテチウム化合物、から選ばれた化合
物の1種または2種以上、 ii) 酸化タルタン(Ta2O5)および加熱によりTa2O5
変わり得る二酸化タルタン(Ta2O2)、酸化タルタン(T
aCl5)等のタルタン化合物、から選ばれた化合物の1種
または2種以上、 iii) 酸化硼素(B2O3)および加熱によりB2O3に変わ
り得る硼酸(H3BO3)等の硼素化合物、から選ばれた化
合物の1種または2種以上、 iv) 酸化テルビウム(Tb2O3)および加熱によりTb2O3
に変わり得る硝酸塩、塩化物、炭酸塩、蓚酸塩等のテル
ビウム化合物、から選ばれた化合物の1種または2種以
上、 が用いられる。上記4種類の螢光体原料を化学量論的に (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3 (式中、L、n、xおよびyは前記と同じ定義を有す
る)なる混合組成となるように秤取し、更にこれにNaF
を加えて充分に混合する。混合はボールミル、ミキサー
ミル、乳鉢などを用いて乾式で行なってもよいし、水、
アルコール等を媒体としてペースト状で湿式で行なって
もよい。特に得られる螢光体の発光強度の点から、n、
xおよびyの値がそれぞれ2×10-3≦n≦5×10-2、0.
98≦x≦1.02および0.1≦y≦2.0であることがより好ま
しく、またLがGdの時に特に高輝度の螢光体を得ること
ができる。
また、NaFの添加量は、同じく、得られる螢光体の発
光輝度の点から、上記化学式量の1重量%乃至200重量
%の範囲とすることが好ましく、特に5重量%乃至100
重量%の範囲とすることがより好ましい。
なお、本発明のTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢
光体の内、B2O3を含まない螢光体(上記組成式中、n=
0の場合)を製造する場合には、上記螢光体原料iii)
は用いないことは言うまでもない。
次いで、上記螢光体原料混合物をアルミナルツボ、石
英ルツボ等の耐熱性容器に充填して焼成を行なう。焼成
は900〜1550℃の温度で行なうが、1000〜1300℃の温度
で行なえばより好ましい。また、焼成は2回もしくはそ
れ以上行なってもよく、その場合には最初に1000〜1200
℃で予備焼成し、2回目以降の焼成を1100〜1300℃で行
なうのがより好ましい。焼成時間は螢光体原料の充填量
および焼成温度によっても変わるが、一般的には1時間
ないし16時間行なうのが適当である。即ち、一般に焼成
時間は焼成温度が高いほど短くてすみ、例えば焼成温度
が1200℃の場合、所定の発光強度を示す本発明の希土類
タンタル系複合酸化物螢光体を得るのに15時間の焼成を
必要とするものが、1400℃で焼成した場合は1ないし4
時間ですむ。
さらに、本発明の希土類タンタル系複合酸化物螢光体
の製造に際し、例えば特公昭58−22063号公報に開示さ
れた希土類タンタル酸塩燐光体の製造法と同様に、1回
目もしくは2回目以降の焼成時に予め前記螢光体原料中
にLi2SO4,LiCl,BaCl2等の化合物をフラックスとして混
合しておいてもよい。
こうして焼成を終えたら、得られた焼成物を粉砕、洗
浄、乾燥、ふるい分けなど、螢光体製造時に一般に採用
される各処理操作を施せば、目的とする本発明の複合酸
化物螢光体が得られる。
〔実施例〕
次に実施例によって本発明を説明する。
実施例1 酸化ガドリニウム(Gd2O3) 35.9g 五酸化タルタン (Ta2O5) 44.2g 酸化テルビウム (Tb4O7) 0.374g 上記螢光体原料を混合し、さらに上記螢光体原料の1
重量%のNaF及びフラックスとして、上記螢光体原料の
各50重量%のLiClおよびLi2SO4・H2Oを加えて充分に混
合し、アルミナルツボに詰めて電気炉に入れ、空気中
で、1250℃の温度で、15時間焼成した。焼成後、得られ
た焼成物を水洗し、乾燥した後、ふるいにかけて(Gd
0.99,Tb0.012O3・Ta2O5・zNaF(この場合に0<z<
0.0002)で表わされる螢光体〔I〕を得た。
次に上記螢光体原料の1重量%のNaFに代えて、それ
ぞれ上記螢光体原料の3重量%、10重量%、30重量%、
100重量%、200重量%および300重量%のNaFを添加する
以外は螢光体〔I〕と同様にして螢光体〔II〕、螢光体
〔III〕、螢光体〔IV〕、螢光体〔V〕、螢光体〔VI〕
および螢光体〔VII〕を製造した。
これとは別に比較のため、上記螢光体原料中にNaFを
添加しない以外は螢光体〔I〕と同様にして、螢光体
〔R I〕を製造した。
このようにして得られた螢光体〔I〕〜〔VII〕およ
び螢光体〔R I〕に80kvp.のX線を照射した時の発光輝
度を測定し、比較したところ、第1表のような結果が得
られた。また全組成に対するNaF含有量は第1表に示す
通りであった。
第1図は上記螢光体〔I〕〜〔VII〕の製造の際に添
加されるNaFの添加量、NaF含有量および得られた螢光体
を80kvp.のX線を照射した時の発光輝度の相関を示すグ
ラフである。第1図において横軸は、各螢光体の製造時
に添加されるNaFの添加量を螢光体{(Gd0.99,Tb0.01
2O3・Ta2O5}に対する重量%で示しており、左側縦軸は
NaFを添加しないで製造された従来の螢光体の発光輝度
を100とした時の各螢光体の相対発光輝度を示してお
り、右側縦軸は、NaF含有量を全組成に対する重量%で
示している。
第1図からわかるように(Gd0.99,Tb0.012O3・Ta2O
5螢光体においては、螢光体製造時に、螢光体のおよそ2
00重量%以下のNaFを添加することによって、NaFが添加
されていない従来の(Gd0.99,Tb0.012O3・Ta2O5に比
べて発光輝度が大きくなり、NaFの添加量が5重量%乃
至100重量%である時、淡褐色の体色が消え、体色の白
い、特に高輝度の螢光体が得られた。
実施例2 酸化ガドリニウム(Gd2O3) 44.6g 五酸化タンタル (Ta2O5) 54.9g 酸化硼素 (B2O3) 0.87g 酸化テルビウム (Tb4O7) 0.465g 上記螢光体原料を混合し、さらに上記螢光体原料の1
重量%のNaF及びフラックスとして上記螢光体原料の各5
0重量%のLiClおよびLi2SO4・H2Oを加えて充分に混合
し、アルミナルツボに詰めて電気炉に入れ、空気中で、
1250℃の温度で15時間焼成した。焼成後、得られた焼成
物を水洗し、乾燥した後ふるいにかけて(Gd0.99,Tb
0.012O3・Ta2O5・0.1B2O3・zNaF(この場合に0<z
<0.0002)で表わされる螢光体〔VIII〕を得た。
次に上記螢光体原料の1重量%のNaFに代えて、それ
ぞれ上記螢光体原料の3重量%、10重量%、30重量%、
100重量%、200重量%および300重量%のNaFを添加する
以外は螢光体〔VIII〕と同様にして螢光体〔IX〕、螢光
体〔X〕、螢光体〔XI〕、螢光体〔XII〕、螢光体〔XII
I〕および螢光体〔XIV〕を製造した。
これとは別に比較のため、上記螢光体原料中にNaFを
添加しない以外は螢光体〔VIII〕と同様にして螢光体
〔R II〕を製造した。
このようにして得られた螢光体〔VIII〕〜〔XIV〕お
よび螢光体〔R II〕に80kvp.のX線を照射した時の発光
輝度を測定したところ、第2表に示したような結果が得
られた。また全組成に対するNaF含有量は第2表に示す
通りであった。
第2表からわかるように、(Gd0.99,Tb0.012O3・Ta
2O5・0.1B2O3螢光体においては、螢光体製造時に、螢光
体のおよそ200重量%以下のNaFを添加することによっ
て、NaF2が添加されなかった従来の(Gd0.99,Tb0.012
O3・Ta2O5・0.1B2O3螢光体に比べて発光輝度が大きくな
った。
なお、例示していないが、(Gd0.99,Tb0.012O3・Ta
2O5螢光体および(Gd0.99,Tb0.012O3・Ta2O5・0.1B2O
3螢光体以外の、組成式が(L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2
O3で表わされるTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光
体についても、これらの製造時に螢光体原料中に添加さ
れるNaFの添加量と得られた螢光体の発光輝度との間に
は第1図とほぼ類似の関係があり、NaFの添加量がおよ
そ200重量%より少ない量のNaFを添加しすることによっ
てNaFを含まない従来のテルビウム付活希土類タンタル
系複合酸化物螢光体よりも高輝度であり、NaFの添加量
が5重量%乃至100重量%の時、特に発光輝度の高い螢
光体が得られることが確認された。
本発明のテルビウム付活希土類タンタル系複合酸化物
螢光体を螢光膜として用いた増感紙は、特に粒状性にす
ぐれ、管電圧50〜150kVのX線による一般のX線写真撮
影用に加え、片面乳剤フィルム又は両面乳剤フィルムと
組合わせて、管電圧20〜40kVのX線による低圧X線写真
撮影(マモグラフィー等)用としても用いることができ
る。
〔発明の効果〕
以上に詳述したように、Tb付活希土類タンタル系複合
酸化物にNaFを含有させることによって、従来のものに
比べてより高輝度の螢光体が得られ、特に、オルソタイ
プのX線フィルムと組合わせて用いられる緑色発光増感
紙やX線螢光板等として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図はTb付活希土類タンタル系複合酸化物螢光体に添
加されたNaFの添加量、NaF含有量および螢光体の相対発
光輝度の相関を例示するグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−28095(JP,A) 特公 平7−110944(JP,B2) 特公 平7−110945(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成式が (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3・zNaF (式中、LはY、La、GdおよびLuの中から選ばれた少な
    くとも1種の元素であり、n,xおよびyはそれぞれ5×1
    0-4≦n≦0.1、0.95≦x≦1.05、0≦y≦5.0および0
    <z≦0.52となる数である) で表わされることを特徴とするテルビウム付活希土類タ
    ンタル系複合酸化物蛍光体。
  2. 【請求項2】(i)一般式L2O3(式中、LはY、La、Gd
    およびLuの中から選ばれた少なくとも1種の元素であ
    る)で表わされるLの酸化物、又は高温でL2O3に変わり
    得るLの化合物、 (ii)五酸化タルタン(Ta2O5)又は高温でTa2O5に変わ
    り得るTaの化合物、 (iii)酸化硼素(B2O3)又は高温でB2O3に変わり得る
    Bの化合物、および (iv)酸化テルビウム(Tb2O3)又は高温でTb2O3に変わ
    り得るTbの化合物 を化学量論的に (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3 (式中、LはY、La、GdおよびLuの中から選ばれた少な
    くとも1種の元素であり、n,xおよびyはそれぞれ5×1
    0-4≦n≦0.1、0.95≦x≦1.05および0≦y≦5.0なる
    条件を満足する数である) なる混合組成となるように混合し、これに上記化学式量
    の1重量%乃至200重量%の弗化ナトリウム(NaF)を混
    合して焼成することを特徴とする、 組成式が (L1-nTbn2O3・xTa2O5・yB2O3・zNaF (式中、LはY、La、GdおよびLuの中から選ばれた少な
    くとも1種の元素であり、n,xおよびyはそれぞれ5×1
    0-4≦n≦0.1、0.95≦x≦1.05、0≦y≦5.0および0
    <z≦0.52となる数である) で表わされるテルビウム付活希土類タンタル系複合酸化
    物蛍光体の製造方法。
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