JP2665324B2 - ポラリトン導波路およびその製造方法 - Google Patents

ポラリトン導波路およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポラリトンおよびそれ
に準じる励起子が伝搬する、ポラリトン導波路およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来考えられてきた導波路のうち、電子
導波路は2次元電子ガスをショットキ電極で複数の細線
状に切り、これら細線の間隔を電子のトンネル長程度に
することによって、細線間の結合を得ようという構造が
ほとんどであった(特願平3−223352号、特願平
1−294368号)。
【0003】また、光導波路の場合には、伝搬に用いる
光の波長が通常1μm前後であり、光を導波路内に閉じ
こめる必要上から、導波路の径は光の波長よりも大きく
なる(アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phy
s.Lett.)1991年第58巻、6号、562頁)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常電
子導波路に用いられるGaAsなどの材料の場合には電
子のトンネル長が1〜2nm程度であり、これは3原子
層程度に相当する。また電子のふるまいはこの数原子層
の壁の形状に極めて敏感であるため、導波路の設計に対
して高度な制御性を必要とする。
【0005】また、光導波路による結合器は、光の波長
が通常1μm程度と大きいために導波路そのものの径が
太くなり、結合器としてのサイズも大きくなってしま
う。さらに、その作製法においても、通常、半導体基板
の上にエピタキシャル成長した薄膜をリソグラフィとエ
ッチングを用いて形成するが、工程数が多くなるため結
晶にダメージも入りやすく、多数の導波路を作製するこ
とは困難である。
【0006】本発明の目的は、導波路の設計に高度な制
御性を必要とせず、光導波路に比してサイズが小さい導
波路および結合器を得ることであり、また、従来技術に
比べて容易であり、多量の高品質で小型な導波路の製造
方法を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、伝搬媒体と
してポラリトンを用い、入射する波長以下の径をもつ複
数の導波路を、互いに電子または正孔のド・ブロイ波長
以上の間隔を設けて形成することにより、導波路の径が
光導波路よりも小さく、したがって全体のサイズも小さ
く、かつ、電子導波路ほど作製上の制約が厳しくないポ
ラリトン伝搬導波路および結合器を得ることができる。
また、本発明により導波路の径が100nm以下の細線
状で、導波路間隔が10nm以上離れているポラリトン
導波路および結合器を得ることができる。また、上記導
波路を針状結晶により構成することにより、ポラリトン
導波路および結合器が容易に作製できる。
【0008】さらに、上記導波路を針状結晶で構成する
場合に、半導体基板に形成されたリッジとアルミニウム
の斜め蒸着を組み合わせることにより、所望の位置に針
状結晶を形成することができ、容易にポラリトン導波路
や結合器を得ることができる。
【0009】
【作用】ポラリトンにおける物理現象では信号強度が極
めて小さいため、通常は実用に供することが困難である
と見做されてきたが、光をガイドするコア中に量子井戸
を形成した導波路の上記量子井戸中に、ポラリトンを閉
じ込めて伝搬させると、導波路のガイド機構により光と
励起子とが分離することなく、励起子ポラリトンとして
一体になって伝搬して密度を増し、ポラリトンの相互作
用を安定して大幅に増大させることができる。導波路中
を伝搬する励起子ポラリトンは、励起子を構成する電子
・正孔対と光との混成波である。しかしながら、近接す
る2本の導波路間に励起子が存在しない場合には、ポラ
リトンは隣接する導波路間を光を介して結合する。この
ため、近接する導波路間では光の波長程度離れていても
十分に結合することができ、ポラリトン結合器を容易に
構成することが可能である。
【0010】励起子ポラリトンは関与する実効的な屈折
率が大きく、極微細な導波路でも伝搬でき光の波長より
小さい100nm以下の径を有する導波路を伝搬する
が、さらに、電子のド・ブロイ波長程度の径をもつ導波
路中でも伝搬することが可能である。このような導波路
では、好ましくない波長の波が混入しないため、むしろ
制御が容易になる。また、励起子ポラリトンが、従来の
結合導波路間隔よりは大きな、光の波長程度離れたとこ
ろに存在する導波路とも結合できるという性質を利用し
て、上記のように光導波路よりも小さなサイズの導波路
を、電子導波路よりも容易に形成することができる。す
なわち、ポラリトン導波路の径が100nmをこえ、間
隔が10nm未満である場合は、従来の導波路よりもさ
らに小さなサイズの導波路を得ることができない。
【0011】また、上記のようにド・ブロイ波長程度の
径をもつ微細な導波路中でも容易に伝搬できるため、ポ
ラリトン導波路に針状結晶を利用することも可能であ
り、そのためには、半導体基板上に形成したリッジとア
ルミニウムの斜め蒸着とにより、上記リッジ側面の所望
位置に金蒸着部を形成し、この金蒸着部に細線状の針状
結晶を成長させてポラリトン導波路とすることによっ
て、光導波路よりもサイズが小さいポラリトン導波路を
容易に形成することができる。
【0012】
【実施例】つぎに本発明の実施例を図面とともに説明す
る。図1は本発明によるポラリトン導波路を用いた結合
器の第1実施例を示す概念図、図2は上記結合器の断面
図、図3は上記ポラリトン導波路および結合器の斜視
図、図4は針状結晶によるポラリトン導波路を用いた結
合器の第2実施例を示す斜視図、図5は針状結晶による
導波路形成を示し、(a)〜(e)はそれぞれの工程を
示す図、図6は針状結晶によるポラリトン導波路の第3
実施例を示す図で、(a)、(b)、(c)はそれぞれ
の工程を示す図、図7は上記ポラリトン導波路を得る他
の方法を示す図である。
【0013】第1実施例 図1は本発明の第1実施例として平行型のポラリトン導
波路を用いた結合器を示す図である。ダイオード等から
なる光入出力部位2から入射した光は、近接した導波路
1の間で光を介して結合する。結合部の設計や電極4を
設けるなどして結合部の屈折率を変調することにより、
入射した光を図に示す導波路1のどちら側からも取り出
すことができるようになる。ここで、通常の光導波路で
は導波路間距離dがおよそ1μm程度であるのに対し、
導波路1の幅rも数μmになってしまう。一方、電子導
波路の場合には、導波路1の幅rは10nm程度、導波
路間距離dは1nm程度と極めて小さくなり、逆に導波
路の設計が難しくなってしまう。ポラリトン導波路では
導波路の幅rが10nm程度で導波路間距離dは1μm
程度であり、現在のわれわれがもつ技術でも十分に設計
可能な領域の素子を構成することができる。
【0014】本実施例では従来技術を用いてポラリトン
導波路およびそれを用いた結合器を構成する手段を示
す。まず、ガリウムひ素基板(以下、GaAs基板)の
上に分子線ビームエピタキシ(MBE)等の技術を用い
てGaAs、AlGaAsの多重量子井戸構造(MQ
W)を作成し、それをウェットエッチングにより断面が
図2に示すように形成する。図2の量子井戸層3はポラ
リトンが伝搬するクラッドになっている。ここではGa
As、AlGaAs層をそれぞれ5nmで5層ずつ積層
した。したがって、導波路の高さhはおよそ50nmと
なり、導波路の幅rを100nmとし、導波路間距離d
を1μm程度にした。このような細い導波路には通常の
1μm程度の波長をもつ光を導波できないが、ポラリト
ンでは導波することができる。また、近接の導波路とも
光を介して結合するため、導波路間距離dが1μm程度
あっても十分な結合を得ることができる。本実施例では
入射する光を750nmとした。導波するポラリトンは
導波路の長さによってどちら側の導波路とも結合でき
る。この結合の仕方は導波路の屈折率を変調することに
よって自由に制御できる。屈折率の変調は図3に示すよ
うに電極4をポラリトン導波路1の途中に設け、電極4
に電圧を印加することにより容易に行える。また、ポラ
リトンは光に比べて印加電圧の影響を受けやすいため、
導波路および導波路間距離を含めた結合の為に必要な結
合距離も短くてすむ。
【0015】第2実施例 針状結晶による導波路を備えたポラリトン結合器の第2
実施例を図4に示す。針状結晶を用いることによって、
従来技術を用いた場合よりも容易にポラリトン導波路を
構成することができ、したがってポラリトン結合器の構
成も容易である。図4では手前側にある針状結晶の導波
路5から入射した光21がポラリトンとなって伝搬し、
制御電極4により奥側の針状結晶からなる導波路5に結
合し、光21として右側から取り出されているところを
示している。
【0016】つぎに、上記構造のポラリトン導波路の作
製方法を説明する。まず、図5(a)に示すように通常
の半導体基板(例えばGaAs基板)7をエッチングに
より0.5μm程度削りリッジ6を形成する。このと
き、針状結晶は{111}ひ素面上に<111>B方向
に成長するので、上記リッジ6の側面が{111}ひ素
面になるようにする。このため、基板7には(110)
基板や(211)Bを用いるとよい。つぎに熱化学気相
成長(T−CVD)法などでSiO2膜10を50nm
成長しておき、その上に電子線で感光するようなレジス
ト9を塗布する。そして、電子線ビーム8で上記リッジ
6を横切るような0.1μm幅位のパタンを図5(b)
のように描き、下地のSiO2膜10までをエッチング
する。つぎに図5(c)に示すようにアルミニウムを斜
め方向11から200nm位蒸着する。斜め方向11か
ら入射したアルミニウムは、リッジ6の反対側側面に対
しては上記リッジ6が陰になって蒸着されない。つぎに
反対側の斜め方向13から今度は金を蒸着する。金の蒸
着量は平均厚さ0.1nmになる程度でよい。その後、
アルミニウムおよびSiO2膜をはがすと図5(d)に
示すように、電子線で描画された僅かな領域がAu蒸着
部14となって残る。この状態の基板をアルシン雰囲気
中の500℃でアニールし、トリメチルガリウムとアル
シンを用いて、基板温度420℃でGaAs針状結晶を
成長させる。成長時間はせいぜい10分位で2μm程度
の長さの針状結晶が、図5(e)に15で示すように得
られる。なお、第3実施例にも示すが、リッジを2つ以
上設けることによって、図4に示すようなポラリトン結
合器を形成することができる。
【0017】第3実施例 針状結晶を用いた導波路構造の他の簡単な作製方法を第
3実施例としてつぎに説明する。GaAs(110)基
板や(211)B基板を用いて、<110>B方向が図
6(a)に示す方向になるようにし、50nm程度のS
iO2膜をT−CVDで堆積したのち、図6(a)のよ
うにエッチングする。つぎにGaAs基板7を図6
(b)に示すように0.5μm程度エッチングしたの
ち、再びSiO2膜16を蒸着する。その後、斜め方向
13から金を平均厚さが0.1nm程度になるように蒸
着する。そして第2実施例に示したのと同様にアニール
して結晶成長を行うと、図6(c)に15で示すように
適当な間隔を距てて針状結晶の導波路構造を得ることが
できる。ただし、この方法によるときは針状結晶の横方
向の位置制御を行っていないので、横方向にはランダム
に結晶が成長する。
【0018】あるいは、図7に示すようにSiO2膜1
0が相対するように基板上に堆積したのち、エッチング
して凹状の段差を設け、再度SiO2膜を蒸着したの
ち、図6(b)に示したのと同様に斜め方向13から金
を蒸着し、以下同様の工程を経て針状結晶を成長させる
ことによっても、ポラリトン導波路を得ることができ
る。
【0019】なお、針状結晶を成長させる種として第2
実施例および第3実施例では金蒸着部を形成したが、こ
れは必ずしも金である必要はなく、GaAsと合金液滴
を形成する金属ならよく、また、斜め蒸着に用いたアル
ミニウムもこれに限らない。
【0020】さらに、上記各実施例ではGaAsを基板
として用いているが、基板の材料はGaAsに限らず、
例えば、Si、InP、InAs、GaN、ZnS、Z
nAs等の材料を使用することによっても、上記のよう
なポラリトン導波路および結合器を得ることが可能であ
る。
【0021】
【発明の効果】上記のように本発明によるポラリトン導
波路は、入射光の波長以下の径をもつ複数の導波路が、
伝搬媒体として用いるポラリトンの電子または正孔のド
・ブロイ波長以上の間隔を保って、互いに形成されてい
ることにより、光導波路よりも小さなサイズの導波路が
高度の制御性を要しないで形成でき、形成されたポラリ
トン導波路を用いて小型の結合器を得ることができる。
さらに、半導体基板上にリッジを形成してアルミニウム
の斜め蒸着を行い、上記リッジ側面に針状結晶を成長さ
せることによって、ポラリトン導波路および結合器を容
易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポラリトン導波路を用いた結合器
の第1実施例を示す概念図である。
【図2】上記結合器の断面図である。
【図3】上記ポラリトン導波路を用いた結合器の斜視図
である。
【図4】針状結晶によるポラリトン導波路を用いた結合
器の第2実施例を示す斜視図である。
【図5】針状結晶による導波路の形成を示し、(a)〜
(e)はそれぞれの工程を示す図である。
【図6】針状結晶によるポラリトン導波路の第3実施例
を示す図で、(a)、(b)、(c)はそれぞれ製作工
程を示す図である。
【図7】上記ポラリトン導波路を得る他の方法を示す図
である。
【符号の説明】
1 ポラリトン導波路 5 針状結晶のポラ
リトン導波路 6 リッジ 11 アルミニウム
斜め蒸着方向 15 針状結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝山 俊夫 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−106726(JP,A) 特開 昭63−110414(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入射光の波長以下の径をもつ複数の導波路
    が、伝搬媒体として用いるポラリトンの電子または正孔
    のド・ブロイ波長以上の間隔を保って、互いに形成され
    ていることを特徴とするポラリトン導波路。
  2. 【請求項2】上記導波路は、その径が100nm以下の
    細線状で、複数個で構成される各導波路間隔が10nm
    以上離れていることを特徴とする請求項1記載のポラリ
    トン導波路。
  3. 【請求項3】上記導波路は、針状結晶により構成されて
    いることを特徴とする請求項1または請求項2記載のポ
    ラリトン導波路。
  4. 【請求項4】入射光の波長以下の径をもつポラリトン導
    波路の製造方法において、半導体基板上に形成したリッ
    ジにアルミニウムの斜め蒸着を組み合わせ、上記リッジ
    側面に針状結晶を成長させて導波路を形成することを特
    徴とするポラリトン導波路の製造方法。
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