JP2832070B2 - 亜鉛めっき性の優れた鋼板の製造法 - Google Patents

亜鉛めっき性の優れた鋼板の製造法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は亜鉛めっき性の優れた鋼板の製造法(引張強
さ50〜60kgf/mm2級鋼)に関するもので、橋梁、建築、
鉄塔などの防錆のために構造部材を溶接後、溶融亜鉛め
っきする分野に用いることができる。
(従来の技術) 近年、鋼構造物の耐食効果を向上させるため溶接後、
構造物を溶融亜鉛めっきする方法が増加しつつある。し
かし溶接鋼造物を溶融亜鉛めっき浴に浸漬した時、溶接
熱影響部(HAZ)の粒界に割れが発生することがある。
この現象は液体金属脆化として知られており、応力下の
固体金属に液体金属が接すると、固体金属の粒界に液体
金属が侵入して粒界強度が低下し、割れが発生するもの
と考えられている。
そこで鋼の材質、とくにHAZ組織の改善の観点から亜
鉛めっき割れを防止するために、これまでに数多くの研
究が行なわれてきた(たとえば特開平01−198449号公
報、特開平02−57669号公報など)。しかし現在では溶
接鋼造物の大型、複雑化によって、溶接残留応力、めっ
き時の熱応力(変形)が増大するために、溶融亜鉛めっ
きによる割れを完全に防止できるには至っていない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は溶融亜鉛めっき性の優れた鋼板の安価な製造
技術を提供しようとするものである。よく知られている
ように、亜鉛めっき時に割れが発生するか否かはHAZに
加わる応力とHAZの粒界の性状で決まる。
本発明はHAZ粒界の性状を改善して亜鉛めっき性を従
来鋼に比較して画期的に改善しようとするものである。
その結果、本発明法に基づいて製造した鋼板を用いた溶
接構造物は、大型かつ複雑であっても亜鉛めっき性に優
れ、割れは発生しない。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨はC:0.10〜0.18%、Si:0.03超〜0.5%以
下、Mn:0.9〜1.3%、Nb:0.005〜0.02%、Ti:0.005〜0.0
25%、Al:0.06%以下、N:0.001〜0.005%に必要に応じ
てV:0.01〜0.05%、Ni:0.05〜0.30%、Cu:0.05〜0.30
%、Cr:0.05〜0.30%の1種または2種以上を含有し、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、Z値(=Mn+
20Nb+10V+Ni+Cu+Cr+3Mo)が1.6%以下を満足する
鋼を1100〜1250℃の温度範囲に加熱し950℃以下の累積
圧下量30%以上、終了温度750〜900℃で圧延を行なった
後、冷却速度5〜40℃/秒で550℃以下の任意の温度ま
で加速冷却することである。
一般に圧延ままあるいは加速冷却鋼(母材)の亜鉛め
っき性は極めて優れているが、これはその組織が旧オー
ステナイト(γ)粒界が不明瞭で比較的柔らかく、微細
であるからと考えられる。そこで本発明者らは、HAZ組
織を母材に近づけ亜鉛めっき性を改善する研究を行なっ
た。
まずHAZの旧γ粒界を不明瞭なものとし柔らかく微細
な組織を得るために、Cを除いた焼入性の低減(Z値=
Mn+20Nb+10V+Ni+Cu+Cr+3Moの限定)と微量Ti添加
を実施した。またZ値を低減した低い合金成分で高強度
を達成するために圧延後の加速冷却を適用した。
Z値の限定と微量Ti添加によって小入熱でもHAZのγ
粒界が不明瞭になり、亜鉛めっき性は従来鋼に比較して
飛躍的に向上することがわかった。Z値はCを除いた焼
入性で、Z値が1.6%以下であるとHAZの旧γ粒界が消失
し亜鉛めっき性は著しく向上する。しかしZ値が1.6%
以下であってもHAZ組織が粗大化すると、旧γ粒界が出
現する。
そこで微量Tiを添加しTiNを形成させて溶接時のγ粒
の成長を抑制する必要があることが明らかになった。
しかしこのような低成分で高強度を得るためには、鋼
の化学成分のみの限定では不十分であり、鋼(スラブ)
の再加熱、圧延、冷却条件を以下のように限定する必要
がある。
まず再加熱温度を1100〜1250℃の範囲に限定する。再
加熱温度はNb,Vなどの析出物を固溶させ、高強度を確保
するために1100℃以上としなければならない(望ましく
は1150℃以上)。この温度以下では、Nbが十分に固溶せ
ず、Nbによる析出硬化や焼入性が不足して十分な強度が
得られない。
しかし再加熱温度が1250℃以上では、γ粒が著しく粗
大化し圧延によっても完全に微細化できず、低温靱性が
劣化するので、再加熱温度は1250℃以下とする必要があ
る。
つぎに圧延工程において950℃以下の累積圧下量を30
%以上、圧延終了温度を750〜900℃としなければならな
い。これはγ組織を微細化して適当な強度と靱性を得る
ためである。
累積圧下量の不足や高温での圧延終了は延靱性に有害
である。しかし圧延終了温度が低すぎると続く加速冷却
の効果が減少し、高強度が得られない。このため圧延終
了温度の加減を750℃に限定した。
さらに圧延後の鋼板は冷却速度5〜40℃/秒で550℃
以下の任意の温度まで加速冷却しなければならない。冷
却速度が低すぎたり(5℃/秒以下)、停止温度が高す
ぎる(550℃超)と加速冷却による高強度化効果が十分
に得られない。しかし余りにも冷却速度が高すぎて40℃
/秒を超えると、硬化組織が出現し旧γ粒界が明瞭とな
って亜鉛めっき性の劣化のみでなく、延靱性の劣化も招
くので冷却速度の上限を40℃/秒に限定した。
なお圧延後、鋼板を脱水素あるいは延靱性の改善のた
めにAc1変態点以下の温度で焼戻処理しても、何ら本発
明の特徴を損なうものではない。
以下、本発明の個々の元素の限定理由について説明す
る。
Cは本発明鋼の強化元素として極めて重要である。低
成分(低焼入性)で50kgf/mm2以上の強度を得るため
に、Cの最小量は0.10%である。しかしC量が多過ぎる
と焼入性の増加による亜鉛めっき性や溶接性の著しい劣
化を招くので、上限を0.18%とした。この範囲のC量で
は、亜鉛めっき性はCにほとんど依存することなく良好
である。
Siは0.03%超の添加も可能であるが、多く添加しすぎ
ると溶接性、HAZ靱性を劣化させるため、上限を0.5%と
した。鋼の脱酸はAl,Tiのみでも十分あり、Siはかなら
ずしも添加する必要はない。
Mnは強度、靱性を確保する上で不可欠な元素であり、
その下限は0.9%である。しかしMn量が多過ぎると焼入
性が増加して亜鉛めっき性だけでなく溶接性、HAZ靱性
を劣化させるので上限を1.3%とした。
Nbは本発明では母材の強度、低温靱性を得るために必
須の元素であり、その下限は0.005%である。しかしそ
の添加量は多過ぎると焼入性、析出硬化の増加によって
亜鉛めっき性やHAZ靱性、溶接性を著しく害するので、
その上限を0.02%とした。
Tiは本発明に必須の元素である。TiはAl量が少ないと
き(たとえば0.003%以下)、Oと結合してTi2O3を主成
分とする酸化物を形成してHAZ靱性を向上させ、さらに
Nと結合してTiNを形成し、HAZのγ粒粗大化を抑制、γ
粒界を不明瞭にして亜鉛めっき性を大幅に向上させる。
これらの硬化を得るためにはTiは最低0.005%必要であ
る。しかし多過ぎるとTiCを形成し低温靱性や溶接性を
劣化させるので、その上限は0.025%である。
Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、脱酸
はSiまたはTiだけでも十分であり、本発明鋼において
は、その下限は限定しない。しかしAl量が多くなると鋼
の清浄度が悪くなるばかりでなく、溶接金属の靱性が劣
化するので上限を0.06%とした。
Nは不可避的不純物として鋼中に含まれる元素である
が、TiNを形成して前述のように亜鉛めっき性を高め
る。このためのN量として最低0.001%必要である。し
かしながら過剰のNはHAZ靱性、溶接性に有害であり、
この影響は高強度鋼ほど著しい。このため上限を0.005
%に限定する。
つぎにV,Ni,Cu,Crを添加する理由について説明する。
基本となる成分にさらに、これらの元素を添加する主
たる目的は本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強
度、靱性などの特性向上と板厚の増大をはかるためであ
る。したがって、その添加量は自ら制限される性質のも
のである。
VはNbとほぼ同じ効果をもつ元素であるが、Nbに比較
して焼入性、析出硬化能はやや弱い。V添加による強靱
化硬化を得るためには、最小0.01%が必要である。しか
しV量が0.05%を超えると焼入性や析出硬化の増大によ
って亜鉛めっき性を劣化させるので、その上限を0.05%
とした。
Niは亜鉛めっき性、溶接性に悪影響をおよぼすことな
く、強度、靱性を向上させるほか、Cu−クラックの防止
にも硬化がある。しかし0.3%を超えると亜鉛めっき
性、溶接性に好ましくないため、上限を0.3%とした。
Cuも亜鉛めっき性や溶接性、HAZ靱性に悪影響をおよ
ぼすことなく、強度を向上させるほか、耐触性の向上に
も硬化を発揮する。しかし0.3%を超えると亜鉛めっき
性、溶接性を害するので、上限を0.3%とした。
Crはその添加量が0.30%以内では、ほぼNi,Cuと同様
の効果を発揮する。
なおNi,Cu,Cr量の下限は、これらの元素による強靱化
効果が得られる最小量で、0.05%である。
本発明鋼においては不純物であるP,S量をとくに限定
しない。Pの低減は粒界破壊を防止し、S量の低減はMn
Sによる靱性の劣化を防止するが、本発明鋼では極端に
低減する必要はない。好ましいP,S量はそれぞれ0.02%,
0.006%以下である。
(実 施 例) 転炉−連続鋳造−厚板工程で種々の鋼成分の鋼板(板
厚10〜30mm)を製造し、その亜鉛めっき性や強度、靱性
を調査した。
表1に実施例を示す。なお亜鉛めっき性の評価は第1
図に示す。切欠付丸棒引張試験法で評価した。
まず丸棒試験片にピーク温度1400℃、800〜500℃の冷
却時間8秒(溶接入熱17kJ/cmの小入熱溶接相当の再現
熱サイクルを付与した後、切欠加工を行ない、切欠部に
亜鉛めっきして、高温引張試験を行なった(比較のため
亜鉛めっきしない試験片による高温引張も実施)。
第2図に高温引張試験の応力・温度履歴の模式図を示
す。
高温引張試験の温度は実際の亜鉛めっき浴への構造物
の浸漬を想定し470℃(昇温時間30秒)とし、初期付加
応力は変化させ、応力速度は0.5kgf/mm2とした。
亜鉛めっき性の評価は、試験開始から400秒経過時のS
LM(%)=亜鉛めっきを施した切欠試験片の破断応力/
亜鉛めっきのない切欠試験片の破断応力×100で評価し
た(400秒という時間は実際の溶融亜鉛めっきの浸漬時
間にほぼ相当する)。
亜鉛めっき性はSLM(%)が大きいほど良好である
が、従来の知見によれは42%以上あれば、通常の構造物
では亜鉛めっき割れは発生しないとされている。しかし
本発明では、大型、複雑な構造物でも割れを皆無とする
ためにSLM(%)が70%以上を目標としている。
本発明法にしたがって製造した鋼板(本発明鋼)はす
べて良好な亜鉛めっき性、強度・靱性を有する。これに
対して本発明によらない比較鋼は、亜鉛めっき性または
強度・靱性に劣る。鋼9はMn量が高くTiを含有しないた
めに、亜鉛めっき性が悪く、靱性も今一歩である。鋼10
はTiを含有しないために、母材靱性、亜鉛めっき性が悪
い。鋼11はMn量が高く、亜鉛めっき性が今一歩であり、
またNbを含有しないために母材強度も発明鋼に比較して
低い。鋼12,14はZ値が高いために、亜鉛めっき性が悪
く、鋼13はC量が高すぎるために、母材靱性、亜鉛めっ
き性が悪い、鋼15,16,17の化学成分はいずれも本発明鋼
と同様である。しかし鋼15は加速冷却が適用されていな
いために、鋼16,17はそれぞれ再加熱温度、圧延終了温
度が低すぎるために強度が十分でない(本発明鋼の引張
強さが55kgf/mm2以上であるのに対して50kgf/mm2を満足
するのが精一杯である)。
(発明の効果) 本発明により、亜鉛めっき性の優れた引張強さ50,60k
gf/mm2鋼の製造が可能となった。その結果、現場での作
業能率や溶接鋼造物の安全性が著しく向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ),(ロ)は引張試験片形状の説明図、第2
図は高温引張試験の応力、温度履歴の図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 晴雄 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−294848(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C:0.10〜0.18%、 Si:0.03超〜0.5%、 Mn:0.9〜1.3%、 Nb:0.005〜0.02%、 Ti:0.005〜0.025%、 Al:0.06%以下、 N:0.001〜0.005%、 残部が鉄および不可避的不純物からなり、Z値(=Mn+
    20Nb+10V+Ni+Cu+Cr+3Mo)が1.6%以下を満足する
    鋼を1100〜1250℃の温度範囲に加熱し、950℃以下の累
    積圧下量30%以上、終了温度750〜900℃で圧延を行なっ
    た後、冷却速度5〜40℃/秒で550℃以下の任意の温度
    まで加速冷却することを特徴とする亜鉛めっき性の優れ
    た鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】重量%で、 V:0.01〜0.05%、 Ni:0.05〜0.30%、 Cu:0.05〜0.30%、 Cr:0.05〜0.30% の1種または2種以上を含有する請求項1記載の亜鉛め
    っき性の優れた鋼板の製造法。
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