JPH10204584A - 耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型耐震鋼材 - Google Patents

耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型耐震鋼材

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JPH10204584A
JPH10204584A JP1256997A JP1256997A JPH10204584A JP H10204584 A JPH10204584 A JP H10204584A JP 1256997 A JP1256997 A JP 1256997A JP 1256997 A JP1256997 A JP 1256997A JP H10204584 A JPH10204584 A JP H10204584A
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steel
less
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crack resistance
earthquake
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JP1256997A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Ishikawa
信行 石川
Yasuo Kobayashi
泰男 小林
Toshimichi Omori
俊道 大森
Hisafumi Maeda
尚史 前田
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶接性と耐亜鉛メッキ割れ性に優れ、かつ活断
層タイプの大地震等で生じる高速変形下においても、耐
脆性破壊特性が優れた調質型耐震鋼材を提供する。 【解決手段】重量% で、C:0.05〜0.15%,Si:0.01 〜0.5
%,Mn:0.5 〜2%,Ti:0.005〜0.05%,Al:0.005〜0.1%,Ca:0.
0005〜0.005%, N:0.0005〜0.01%,B:0.00015%以下,S:0.0
05% 以下,O:0.002% 以下とを含有し、且つ溶接割れ感受
性指数Pcm 値≦0.2%, 焼入性指数及びB含有量に基づく
指数Y値≦0.42% を満足する鋼であって、応力集中係数
が5 以上となる切欠を有する試験片を用いた引張試験に
おいて、静的載荷条件で30% 以上の絞り値を有すること
を特徴とする、耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型
耐震鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は橋梁や鉄塔等の各種
構造物に利用される、溶接性及び耐亜鉛メッキ割れ性に
優れた調質型高張力鋼材に関し、特に地震等で生じる高
速変形下においても優れた耐脆性破壊特性が要求される
構造物への利用に適した調質型耐震鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】橋梁や鉄塔等の溶接構造物に高張力鋼を
用いた場合、破壊防止の観点から溶接時の予熱が必要と
されており、施工能率の低下を招き問題となっている。
そのため特開平2−8322号公報には、溶接性を阻害
するCを低減し、かつ、Pcm=C+Si/30+Mn
/20+Cu/20+Ni/30+Cr/20+Mo/
15+V/10+5Bで定義されるPcmを0.2%以
下とすることにより溶接性を改善した高張力鋼が開示さ
れている。
【0003】また、鋼材の防錆及び美観の観点から、鋼
構造物に亜鉛メッキを施す手段が広く用いられている。
溶接構造物に亜鉛メッキを施す際には溶接熱影響部に割
れ(亜鉛メッキ割れ)が生じる場合があり、構造物の安
全上その改善が求められている。そのため、特開平2−
57669号公報には、鋼材の合金元素量を一定範囲に
規定するとともに、Ceq(B)=C+Mn/10+S
i/30+Cr/10+Mo/20+V/3+Nb/3
+Ti/5+1/4000B≦0.19%なる関係を満
足させることにより、耐亜鉛メッキ割れ性に優れた高張
力鋼が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−8322号公報に開示された高張力鋼は低C化によ
り溶接性は改善されているものの、低C化を補うために
他の合金元素量が増加しており耐亜鉛メッキ割れ性は劣
っている。また、特開平2−57669号公報に開示さ
れたた高張力鋼は耐亜鉛メッキ割れ性に優れている反
面、C、Ti含有量が高いため溶接性が劣っている。
【0005】一方、鋼構造物の耐震性能に対しては、建
築構造物では鋼材の塑性変形によって地震のエネルギー
を吸収することにより、建築物の崩壊を防ごうとする設
計がなされており、降伏比が低く塑性変形能に優れた鋼
材が一般的に使用されているが、橋梁や鉄塔等において
は地震動によって鋼材が塑性変形を受けないような設計
がなされており、使用する鋼材については耐震性能に関
する検討は特になされていない。しかし、1994年1
月のアメリカ・ノースリッジ地震や1995年1月の阪
神淡路大地震では、橋梁を含む多くの鉄骨構造物が甚大
な被害を受けており、橋梁や鉄塔等においても優れた耐
震性能が要求されている。
【0006】アメリカ・ノースリッジ地震や阪神淡路大
地震で見られた特徴的な破壊形態として、溶接接合部で
の脆性破壊があげられる。鋼構造物のほとんどは溶接施
工によって建造されるが、溶接金属の止端部や未溶着
部、または溶接欠陥等が応力集中源となり破壊の起点に
なりやすい。また、ノースリッジ地震や阪神淡路大地震
は活断層タイプの地震で震源が近かったために、揺れの
速度が非常に速く、変形速度は歪速度で1〜10/sに
も達していたと考えられている。
【0007】鋼材が高速変形を受けた場合、通常の静的
な変形速度に比べ延性脆性遷移温度が上昇するといわれ
ているが、ノースリッジ地震や阪神淡路大地震でみられ
た破壊は、溶接接合部にある応力集中部に高速の変形が
加わったため、その部分の延性脆性遷移温度が上昇し、
脆性破壊を生じたと考えられる。このため、たとえ従来
の耐震性の考えを取り入れた鋼材を低降伏比化したとし
ても、ノースリッジ地震や阪神淡路大地震のような揺れ
の速度が速い地震が起きた場合、脆性破壊発生による鋼
構造物の崩壊を防ぐことは困難であると考えられる。
【0008】本発明の目的は上記した問題点を解決する
ために、溶接性と耐亜鉛メッキ割れ性に優れ、かつ、活
断層タイプの大地震等で生じる高速変形下においても、
耐脆性破壊特性が優れた調質型耐震鋼材を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の鋼材は、重量%で、C:0.05〜0.
15%と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.5
〜2%と、Ti:0.005〜0.05%と、Al:
0.005〜0.1%と、Ca:0.0005〜0.0
05%と、N:0.0005〜0.01%と、B:0.
00015%以下と、S:0.005%以下と、O:
0.002%以下とを含有し、且つ下記(1)、(2)
式を満足する鋼であって、応力集中係数が5以上となる
切欠を有する試験片を用いた引張試験において、静的載
荷条件で30%以上の絞り値を有することを特徴とす
る、耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型耐震鋼材で
ある。
【0010】 Pcm=C%+Si%/30+Mn%/20+Cu%/20+Ni%/30+ Cr%/20+Mo%/15+V%/10+5B%≦0.2% …(1) Y=Ceq+600B%≦0.42% …(2) ただし、 Ceq=C%+Mn%/6+Si%/24+Ni%/4
0+Cr%/5+Mo%/4+V%/14 (2)本発明の鋼材は、重量%で、さらに、Nb:0.
005〜0.05%、V:0.005〜0.1%、Z
r:0.005〜0.05%、Cu:1%以下、Ni:
1%以下、Cr:1%以下、及びMo:0.5%以下の
群から選択された1種または2種以上を含有する、上記
(1)に記載の耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型
耐震鋼材である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者は、溶接性と耐亜鉛メッ
キ割れ性に優れ、かつ、活断層タイプの大地震等で生じ
る高速変形下においても、耐脆性破壊特性が優れた調質
型耐震鋼材を得るために、高速変形下での鋼材の破壊特
性について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0012】鋼材が塑性変形する場合、塑性変形に要し
たエネルギーが熱エネルギーに変わるが、高速変形下で
は熱伝導により熱が散逸する時間が少ないため、鋼材の
温度が上昇する。そして、塑性変形量が多いほどそれに
よる発熱も大きくなる。一般に温度が高いほど鋼材のシ
ャルピー吸収エネルギーが高くなるとともに、脆性破面
率が低下するが、溶接接合部に見られる応力集中部が高
速変形下でも十分に塑性変形すれば、応力集中部の温度
が上昇し、高速変形による延性脆性遷移温度の上昇、つ
まり脆性破面率の上昇を抑制できることから、阪神淡路
大地震等において見られたような脆性破壊を防ぐことが
可能となる。
【0013】しかし、鋼材の塑性変形能は、JIS・Z
2201に規定された平行部を有すする引張試験片によ
り求まる絞り値や延びで評価されるのが一般的である
が、溶接接合部で見られる溶接金属の止端部や未溶着
部、または溶接欠陥等の周辺は高い3軸応力状態にある
ため、このような応力集中部、すなわち高い3軸応力状
態での塑性変形能は、従来の平行部を有する引張試験片
では正しく評価できない。そこで、高い3軸応力状態で
の塑性変形能を評価する方法について検討を重ねた結
果、柱−梁接合部やスカラップ部等で見られる溶接金属
の止端部や未溶着部、または溶接欠陥等の周辺の応力集
中状態に相当する応力集中係数を有する切欠付試験片を
用いて引張試験を行えば、その時の絞り値によって、応
力集中部での塑性変形能を正しく評価できることがわか
った。
【0014】H型鋼から採取した切欠付試験片(図1、
応力集中係数α=6.7)を用いて、引張試験を行った
ときの脆性破面率と温度の関係を図2に示す。評点間の
平均歪速度が0.001/s(静的変形)と10/s
(地震時の高速変形に対応)の2条件で行ったが、静的
変形に比べ高速変形の方が脆性破面率が高く、延性脆性
遷移温度が上昇していることが明らかであり、ノースリ
ッジ地震や阪神淡路大地震でみられたような、高速変形
下での破壊挙動が再現されていることがわかる。
【0015】そして、上記の切欠付試験片を用いて静的
条件で引張試験を行った場合の絞り値が、一定値以上と
なる鋼材であれば、高速変形下においても十分に塑性変
形するため応力集中部の温度が上昇し、脆性破壊を抑制
することが可能となるものである。
【0016】ここで、鋼の脆性破壊に対する抵抗につい
ては、従来JIS・Z2242に規定されたシャルピー
衝撃試験等によって評価されている。しかし、シャルピ
ー衝撃試験では変形速度による破壊挙動の違いを比較す
ることはできず、地震で見られるような高速変形による
脆性破面率の上昇に対する抵抗力、すなわち高速変形下
での耐脆性破壊特性を評価することは不可能である。高
速変形下での耐脆性破壊特性を向上するには、高い3軸
応力状態での塑性変形能を高めることが重要なのであ
り、たとえシャルピー衝撃試験による破面遷移温度(vT
rs)が低い、すなわち靭性が高い鋼であっても、切欠試
験片での絞り値が低ければ、高速変形での脆性破面率の
上昇を抑制することは困難となるものである。
【0017】また鋼の塑性変形能、すなわち延性に対し
て硫化物系及び酸化物系介在物が悪影響を及ぼすことは
以前より知られており、通常、S及びOは材質が劣化し
ない程度まで低減されている。しかし、柱−梁接合部や
スカラップ部等で見られる溶接金属の止端部や未溶着
部、または溶接欠陥等の周辺は高い3軸応力状態にある
ため、通常の引張試験で評価されるような伸びや絞り値
が低下しない程度のS量またはO量であっても、硫化物
系及び酸化物系介在物がミクロボイドの発生起点とな
り、延性亀裂が進展しやすくなるため、十分な塑性変形
能が得られない場合がある。そのため、応力集中部での
塑性変形能を高めるためにはS量またはO量を厳しく制
限する必要がある。
【0018】そして、溶接性及び耐亜鉛メッキ割れ性に
対しては、Pcm=C%+Si%/30+Mn%/20
+Cu%/20+Ni%/30+Cr%/20+Mo%
/15+V%/10+5B%で定義されるPcm及び、
Y=Ceq+600B%、ただしCeq=C%+Mn%
/6+Si%/24+Ni%/40+Cr%/5+Mo
%/4+V%/14で定義されるY値を一定値以下に抑
えるとともに、耐亜鉛メッキ割れ性を著しく阻害するB
の含有量を厳しく制限することにより、溶接性と耐亜鉛
メッキ割れ性がともに優れた鋼材を得ることが可能とな
るものである。
【0019】以上の知見に基づき、本発明者は、鋼のS
量またはO量を厳しく制限し、かつ、Pcm値(溶接割
れ感受性指数)及びY値(焼入性指数及びB含有量に基
づく指数)を一定値内に制限し、さらに、応力集中係数
を特定した切欠試験片を用いた静的載荷条件下の引張試
験における絞り値を一定値以上に制御するようにして、
高速変形下における耐脆性破壊特性に優れ、かつ溶接性
と耐亜鉛メッキ割れ性が優れた本発明の調質型耐震鋼材
を見出し、本発明を完成させた。
【0020】すなわち、本発明は、鋼組成、Pcm値
(溶接割れ感受性指数)、Y値(焼入性指数及びB含有
量に基づく指数)及び切欠試験片による静的載荷条件下
の引張特性(絞り値)を下記範囲に限定することによ
り、溶接性と耐亜鉛メッキ割れ性に優れ、かつ、活断層
タイプの大地震等で生じる高速変形下においても、耐脆
性破壊特性が優れた調質型耐震鋼材を得ることができ
る。
【0021】以下に本発明の成分添加理由、成分限定理
由、及び応力集中部での塑性変形特性の限定理由につい
て説明する。 (1)成分組成範囲 C:0.05〜0.15% Cは鋼材の強度を確保するために必要な元素であるが、
0.05%未満では強度が不足し、0.15%を超えて
添加すると溶接性を損ねるので、その含有量は0.05
〜0.15%である。 Si:0.01〜0.5% Siは鋼材の強度を高めるとともに製鋼過程における脱
酸剤として必要であるが、0.01%未満ではその効果
が不十分であり、0.5%を超えて添加すると溶接部の
靭性が劣化するとともに、メッキ焼けの原因となるた
め、その含有量は0.05〜0.5%である。
【0022】Mn:0.5〜2% Mnは鋼材の強度を高めるために添加されるが、0.5
%未満では強度が不足し、2%を超えて添加すると中心
偏析が多くなり板厚中央の靭性が劣化するため、その含
有量は0.5〜2%である。 Ti:0.005〜0.05% TiはTiNを形成し、溶接部の組織粗大化を抑制しH
AZ靭性の向上に寄与するとともに、耐亜鉛メッキ割れ
性を向上する元素であるが、0.005%未満ではその
効果が不十分であり、0.05%を超えて添加するとH
AZ靭性が低下するので、その含有量は0.005〜
0.05%である。 Al:0.005〜0.1% Alは脱酸剤として必要であるが、0.005%未満で
は脱酸が不十分であり、0.1%を超えて添加されると
連鋳スラブの表面疵の原因となるため、その含有量は
0.005〜0.1%である。 Ca:0.0005〜0.005% Caは硫化物系介在物の形状を制御することにより、靭
性を向上するとともに、耐亜鉛メッキ割れ性を著しく向
上する元素であるが、0.0005%未満ではその効果
が得られず、0.005%を超えて添加すると鋼の清浄
性に悪影響を及ぼすため、その含有量は0.0005〜
0.005%以下である。 N:0.0005〜0.01% NはNb、Vと窒化物形成し強度、靭性の向上に寄与す
るとともに、耐亜鉛メッキ割れ性を向上する元素であ
る。しかし、0.0005%未満では析出物の量が不足
し、0.01%を超えると母材靭性または溶接継手靭性
を損ねるので、その含有量は0.0005〜0.01%
である。 B:0.00015%以下 Bは耐亜鉛メッキ割れ性を著しく劣化させる元素である
ため、その含有量を厳しく制限する必要がある。しか
し、0.00015%(1.5ppm)以下なら問題な
いので、その上限は0.00015%である。
【0023】S:0.005%以下 Sは硫化物系介在物を生成する元素であるが、柱−梁接
合部やスカラップ部等の応力集中部のような高い3軸応
力状態では、硫化物系介在物がミクロボイドの発生起点
となり、延性亀裂発生進展を助長するため、応力集中部
での塑性変形能が著しく低下する。しかし、0.005
%以下では問題ないので、その含有量の上限は0.00
5%である。
【0024】O:0.002%以下 Oは酸化物系介在物となって鋼中に存在するが、硫化物
系介在物と同様にミクロボイドの発生起点となり、延性
亀裂発生進展を助長するため、応力集中部での塑性変形
能が著しく低下する。しかし、0.002%以下では問
題ないので、その含有量の上限は0.002%である。
【0025】Pcm:0.2%以下 Pcmは溶接割れ感受性指数であり、C%+Si%/3
0+Mn%/20+Cu%/20+Ni%/30+Cr
%/20+Mo%/15+V%/10+5B%で定義さ
れる。溶接施工時の予熱温度の低減を図るために、Pc
mを0.2%以下に制限する。
【0026】Y:0.42%以下 溶接性及び高い引張強さを確保した上で、さらに耐亜鉛
メッキ割れ性を高めるために、亜鉛メッキ割れ感受性を
高める合金元素の添加量は、焼入れ性指数Ceq及び亜
鉛メッキ割れ感受性に影響を与えるB含有量に基づいて
Y=Ceq+600B%、ただしCeq=C%+Mn%
/6+Si%/24+Ni%/40+Cr%/5+Mo
%/4+V%/14で定義されるY値を0.42%以下
とする必要がある。
【0027】本発明では上記の合金元素のほかに、鋼材
の強度・靭性を高めるためにNb、V、Zr、Cu、N
i、Cr、Moの1種または2種以上を含有してもよい
が、以下にその成分の限定理由を述べる。
【0028】Nb:0.005〜0.05% Nbは母材強度及び溶接継手強度の向上に寄与する元素
であるが、0.005%未満ではその効果が得られず、
0.05%を超えると溶接継手靭性が損なわれるので、
その含有量は0.005〜0.05%である。
【0029】V:0.005〜0.1% VはVCとして析出し強度向上に寄与するが、0.00
5%未満ではその効果が得られず、0.1%を超えて添
加してもその効果が飽和するので、その含有量は0.0
05〜0.1%である。 Zr:0.005〜0.05% Zrは炭窒化物を形成し、結晶粒微細化に有効な元素で
ある。しかし、0.005%未満ではその効果が得られ
ず、また、0.05%を超えて添加しても効果が飽和す
るとともに、コスト上昇になるので、その含有量は0.
005〜0.05%である。
【0030】Cu:1%以下 Cuは強度・靭性の向上に有効な元素であるが、1%を
超えて添加すると熱間加工性が低下するだけでなく、表
面疵が発生しやすくなるので、その含有量は1%以下で
ある。 Ni:1%以下 Niは靭性の向上に極めて有効な元素であるが、また非
常に高価な元素であることから1%を超えて添加すると
コスト的に不利になるため、その含有量は1%以下であ
る。 Cr:1%以下 Crは強度向上に有効な元素であるが、1%を超えて添
加すると溶接性が低下するので、その含有量は1%以下
である。 Mo:0.5%以下 MoもCrと同様に強度向上に有効な元素であるが、
0.5%を超えて添加すると溶接性が低下するだけでな
く、耐亜鉛メッキ割れ性を損ねるので、その含有量は
0.5%以下である。なお、Pは本発明の効果を阻害し
ない範囲での混入は許容される。
【0031】上記の成分組成範囲に調整することによ
り、応力集中部において高い塑性変形能が得られるた
め、高速変形時の発熱量が大きく優れた耐脆性破壊特性
を有し、かつ溶接性及び耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れ
た調質型耐震鋼材を得ることが可能となる。このような
特性の鋼は、さらに以下の切欠試験片による静的載荷条
件下の引張特性を有する。 (2)切欠試験片による静的載荷条件下の引張特性 上記の優れた耐脆性破壊特性を得るためには、応力集中
係数が5以上となる切欠を有する試験片により、静的載
荷条件で引張試験を行ったときの絞り値が30%以上と
なることが必要である。
【0032】応力集中係数が5以上となる切欠を有する
試験片を用いるのは、応力集中係数が5未満の切欠を有
する試験片あるいは切欠のない試験片では、高速変形下
(歪み速度で1/秒以上)での耐脆性破壊特性を評価す
ることは不可能であるためである。また、静的載荷条件
下で引張試験を行った時の絞り値が30%以上と限定し
た理由は、切欠引張試験での絞り値が30%未満では応
力集中部の塑性変形能が十分とは言えず、地震で生じる
高速変形下において、柱−梁接合部やスカラップ部等で
見られる応力集中部の温度上昇が小さく、延性脆性遷移
温度が上昇、すなわち脆性破面率が増加することにより
脆性破壊を生じやすくなるためである。なお、切欠試験
片は、応力集中係数が5以上であれば、任意のものを使
用することができる。
【0033】上記の成分組成範囲及び切欠試験片による
静的載荷条件下の引張特性(絞り値)に調整することに
より、溶接性と耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れ、かつ活
断層タイプの大地震等で生じる高速変形下においても、
耐脆性破壊特性が優れた高張力鋼を得ることが可能とな
る。
【0034】なお、本発明は、上記成分の鋼を用いて焼
入れ焼戻し処理により所定の強度を得る。この時の製造
条件は限定されないが、570N/mm2 以上の高い強
度を得るためには、1000〜1250℃の温度に加
熱、圧延後、Ar3 変態点以上より直接焼入れるか、ま
たは再加熱後焼入れを行い、次いで、Ac1 変態点以下
の温度で焼戻しを行うことが望ましい。以下に本発明の
実施例を挙げ、本発明の効果を立証する。
【0035】
【実施例】表1に示した成分の鋼(本発明鋼No.1〜
13、比較鋼No.14〜21)を溶製し、熱間圧延
後、直接焼入れ、焼戻しにより板厚38mmの鋼板に製
造した。この時、熱間圧延時の加熱温度は1150℃、
直接焼入れ温度は900〜950℃、そして焼戻し温度
は600〜650℃とした。これらの板について、JI
S・Z2201の引張試験により測定した素材の降伏応
力、引張強度を示した。なお、このときの引張試験片及
び衝撃試験片は板厚1/4位置で、圧延方向に平行な方
向から採取した。溶接性試験としては、JIS・Z31
58に規定された斜めy割れ試験、及びJIS・Z31
58に規定された最高硬さ試験を行った。耐亜鉛めっき
割れ性試験としては、鉄と鋼vol.79(1993)
No.9に示される丸棒引張試験によりSLM−400
値を測定した。ここで、斜めy割れ試験については割れ
発生の有・無を評価基準とした。
【0036】これらの試験結果を表2にまとめて示し
た。本発明鋼であるNo.1〜13はいずれも、SLM
−400値が50%を超えており、耐亜鉛メッキ割れ性
に優れていることがわかる。またy割れ試験において割
れの発生は確認されず、溶接熱影響部の最高硬さ(HV
max )の値もHV283以下であり、溶接性についても
優れていることがわかる。一方、比較鋼であるNo.1
4〜17の鋼は、B含有量、Pcm、Y値のいずれかが
本発明範囲から外れているため、SLM−400値が低
いか、溶接熱影響部の最高硬さ(HVmax )の値が高く
なっており、また、比較鋼No.15,17については
y割れ試験で割れが生じていることから、耐亜鉛メッキ
割れ性または溶接性のいずれかが劣っている。また、比
較鋼No.18〜21についてはSまたはO含有量が本
発明範囲から外れているが、B含有量、Pcm、Y値は
本発明範囲にあるため、耐亜鉛メッキ割れ性と溶接性に
ついては優れた特性を示している。
【0037】次に、本発明鋼No.1〜13及び比較鋼
No.18〜21の鋼板から、図1に示したような応力
集中係数6.7の切欠を有する試験片を採取した。この
ときの試験片採取方向も板厚1/4位置で、圧延方向に
平行な方向とした。そして、評点間の平均歪速度で0.
001/secの静的引張試験、及び平均歪速度10/
secの高速引張試験を行い、引張強度、絞り値及び脆
性破面率を測定した。そして、高速変形による脆性破面
率の変化量より、耐脆性破壊特性を評価した。なお、試
験温度は全て−40℃で行った。
【0038】これらの結果を表3にまとめて示した。本
発明鋼であるNo.1〜13はいずれも静的引張試験で
の絞り値が30%以上であり、高速引張試験においては
脆性破面率が低下していることから、本発明鋼は高速変
形下での耐脆性破壊特性に優れていることが明らかであ
る。一方、比較鋼であるNo.18〜21いずれも成分
が本発明範囲から外れており、静的引張試験での絞り値
も本発明の範囲より小さいため、高速引張試験では脆性
破面率が大幅に増加している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上に示したように、本発明によれば鋼
組成、Pcm値(溶接割れ感受性指数)、Y値(焼入性
指数及びB含有量に基づく指数)及び切欠試験片による
静的載荷条件下の引張特性(絞り値)を特定することに
より、高速変形下においても応力集中部の脆性破面率が
増加する現象が起きないことから、耐脆性破壊特性に優
れており、かつ、耐亜鉛メッキ割れ性と溶接性について
も優れている鋼材を提供することが可能であり、地震な
どで高速変形を受けるような鋼構造物への利用に適して
いるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る引張試験片の形状を示す
図。
【図2】本発明の実施の形態に係る引張試験での温度と
脆性破面率との関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 尚史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.05〜0.15%
    と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.5〜2%
    と、Ti:0.005〜0.05%と、Al:0.00
    5〜0.1%と、Ca:0.0005〜0.005%
    と、N:0.0005〜0.01%と、B:0.000
    15%以下と、S:0.005%以下と、O:0.00
    2%以下とを含有し、且つ下記(1)、(2)式を満足
    する鋼であって、応力集中係数が5以上となる切欠を有
    する試験片を用いた引張試験において、静的載荷条件で
    30%以上の絞り値を有することを特徴とする、耐溶融
    亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型耐震鋼材。 Pcm=C%+Si%/30+Mn%/20+Cu%/20+Ni%/30+ Cr%/20+Mo%/15+V%/10+5B%≦0.2% …(1) Y=Ceq+600B%≦0.42% …(2) ただし、 Ceq=C%+Mn%/6+Si%/24+Ni%/4
    0+Cr%/5+Mo%/4+V%/14
  2. 【請求項2】 重量%で、さらに、Nb:0.005〜
    0.05%、V:0.005〜0.1%、Zr:0.0
    05〜0.05%、Cu:1%以下、Ni:1%以下、
    Cr:1%以下、及びMo:0.5%以下の群から選択
    された1種または2種以上を含有する、請求項1に記載
    の耐溶融亜鉛メッキ割れ性に優れた調質型耐震鋼材。
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