JP2875397B2 - 抗感染症剤及びその製造方法 - Google Patents

抗感染症剤及びその製造方法

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幸成 栢
将純 吉原
昌俊 中野
秀喜 中島
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、抗感染症剤、さらに詳しくは、免疫力低
下、エイズ(後天性免疫不全症候群)等の感染症に対す
る免疫力回復及び予防効果を有する抗感染症剤及びその
製造方法に関する。
技術背景 従来、感染症として、インフルエンザ、肝炎、麻疹、
日本脳炎、成人T細胞白血病、あるいはエイズなど多く
の疾患があるが、このような感染症に対して有効な薬剤
は少なく、またその効果も明確でない。
このうち、エイズは、HIVが生体内の免疫防御機構の
中心であるT4リンパ細胞に感染して細胞内で増殖し、細
胞を破壊するに至り、人が重篤な免疫不全に陥るもので
ある。このため通常は病気を起こさないような微生物が
体内にはびこり、カリニ肺炎や、カボジ肉腫などの日和
見感染症を末期症状とし、発病後数年以内に患者は殆ど
死に至る病気である。
しかし、エイズに対しては、有効な治療手段が見つけ
られておらず、現在あるものは効力も弱く、また、副作
用があり人体に危険なものが多い。
また、エイズウィルス感染症の治療薬としては、この
ウィルスの持つ特殊性を特に、考慮する必要がある。す
なわち、HIV感染初期から長期間にわたって、場合によ
っては一生、連続投与が必要となることから、副作用の
少ない経口薬、または、機能性を持った食品であること
が必要となる。
また、エイズウィルスは、脳神経系の細胞に感染して
脳症状を引き起こすことから、脳にも達することのでき
る物質であることが望ましく、それにはHIV感染初期か
ら、HIVの細胞への吸着や感染細胞からHIVの増殖を抑制
して発病を阻止し、さらに免疫力を高め長期間摂取して
も副作用のない機能性を持つことが必要となる。
以上の見地により、本発明は、エイズウィルスの細胞
への吸着や増殖を抑制し、脳神経系にも達して脳症状を
改善し、さらに、日常飲食も可能で予防効果も有する抗
感染症剤を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明は、中国四川省周辺に産する杜仲の木の樹皮、
または葉をよく乾燥させて熱水で抽出した杜仲茶が、肝
臓・肥満・老化防止・血圧降下・ストレスの解消等に役
立つとして一般に中国古来から飲用されてきたことに着
目し、この成分及び製造法を鋭意研究を重ねた結果、杜
仲の木の樹皮、葉の熱水抽出した後の残渣物をアルカリ
抽出により抽出した物質が、エイズウィルスの感染を抑
制し、エイズウィルスの細胞への障害を阻止し、しか
も、長期に使用しても副作用がなく、前記課題を解決で
きるとの知見を得て本発明を完成した。
つまり、本発明は、杜仲の木の樹皮または葉を熱水抽
出し、熱水抽出後の残渣物をアルカリ水溶液によって抽
出処理して得た抽出分画を含有してなる抗感染症剤及び
その製造方法で、具体的には、杜仲の木の樹皮または葉
を熱水抽出し、熱水抽出後の残渣物(茎、葉、または
根)に、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムのい
ずれかのアルカリ水溶液を加えて撹拌または振とうし、
濾過して抽出液を分離して得た物質による抗感染症剤及
びその製造方法である。
図面の簡単な説明 第1図は、表1、2の結果を示す図、第2図は、表
3、4の結果を示す図である。
発明の実施するための最良の形態 杜仲は、主に中国、西南部・四川省に自生している落
葉樹で、高さ20mの巨木に成長した杜仲の木の樹皮をは
がし、または、葉を乾燥させて粉砕したものを用いる。
熱水抽出は、慣用手段が用いられ、例えば、杜仲の前
記粉砕物に2〜100倍の50〜100℃の熱水で3分〜3時間
抽出し、熱水抽出残渣物を得る。このとき、抽出溶媒
は、水以外に、エタノール、アセトン等を用いることが
できる。
得られた熱水抽出残渣物に、アンモニア水等のアルカ
リ溶液を加え撹拌し、アルカリ抽出をおこなう。このと
き、熱水抽出残渣物からの抽出は、複数回おこなうこと
が望ましい。次いで、抽出液を濾過処理し、濾液に酢
酸、または、塩酸等を加え中和処理し、透析したのち抽
出溶媒を凍結乾燥法等により乾燥処理して留去し、粉末
状の抽出物を得る。なお、熱水抽出の過程を経ずに杜仲
の粉砕物を直接アルカリ抽出してアルカリ抽出物を得る
こともできる。
アルカリ溶液の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化アンモニウム等である。
抽出にあたっても他の慣用手段等を用いることができ
る。抽出液の分離も、通常のろ紙による濾過、綿を用い
た濾過、デカンテーションや遠心分離等の慣用手段を用
いることができる。抽出溶媒は水以外にエタノール、ア
セトンなどを用いることができ、抽出溶媒の留去も他の
慣用手段を用いることができる。
そして、有効成分を生理学的に許容される担体、賦形
剤、結合剤、希釈剤と混合し、例えば、顆粒剤、粉剤、
硬カプセル剤、軟カプセル剤、塗布剤、シロップ、坐
剤、注射剤として経口または非経口的に、または、茶の
中に混合したり、錠剤、乳剤、ゼリー状など任意の形態
で単独投与、または、他の飲食物に混合して飲食するこ
ともできる。
投与量は、対象となる疾患の種類、程度により異なる
が、飲料として常用する場合には、1mg〜10g/リットル
溶液を20ml〜500ml/日を摂取するのが好ましい。また、
抽出液粉末を用いる場合には、0.2mg〜1g/日の量を摂取
するのが好ましい。
杜仲の樹皮、葉のアルカリ抽出物は、ラットに対する
急性毒性試験で死亡例は皆無であり、生化学血液検査及
び病理組織学的検査においても異常が認められなかっ
た。
実施例 製造例1 杜仲の木の樹皮を乾燥させて粉砕した杜仲粉砕物1kg
に4リットルの水を加えて沸騰させ、30分間熱水抽出し
て熱水抽出残渣物を得た。
この熱水抽出残渣物に、0.85%アンモニア水を10リッ
トル加え、40℃で4時間撹拌した。この工程を2回繰り
返した。
抽出液を濾過処理し、濾液9.5リットルに酢酸、また
は、塩酸を加えpH6.5になるように中和処理した。さら
に、透析したのち回収物を凍結乾燥法により乾燥処理
し、粉末状の酸性多糖類である抽出物Aを得た。収量は
粉砕物1kgに対して約50gのアルカリ抽出物乾燥粉末であ
った。
製造例2 製造例1において、樹皮の替わりに、葉を用いた以外
は製造例1に準じて粉末状の酸性多糖類である抽出物B
を得た。収量は杜仲の粉砕物1kgに対して約120gであっ
た。
製造例3 製造例1と同じであるが、熱水抽出を省略して直接ア
ルカリ抽出をした。
杜仲粉砕物1kgに、0.8%のアンモニア水を10リットル
加え、40℃で4時間撹拌した。この工程を2回繰り返し
た。
次いで、抽出液を濾過処理し、濾液9.5リットルに酢
酸、または、塩酸を加えpH6.5になるように中和処理し
た。さらに、透析したのち回収物を凍結乾燥法により乾
燥処理し、粉末状の酸性多糖類である抽出物Cを得た。
収量は粉砕物1kgに対して約130gのアルカリ抽出物乾燥
粉末であった。
抽出物による抗エイズウィルス試験方法 成人T細胞白血病ウィルスであるHTLV−1陽性細胞様
のMT−4細胞にHIVを感染させ、細胞質内にHIVの抗原蛋
白質の出現により細胞のDNA合成が抑制され、細胞障害
効果により感染細胞が死滅していく現象を利用して抗HI
V効果を測定する方法により試験した。
このHIVに感染した細胞に製造例1、2で得た抽出物
A、Bを種々の濃度で加え、その抗HIVの度合いをウィ
ルス感染による細胞障害の阻止力で評価した。
実施例1 96穴マイクロタイタープレーと製造例1、2で得た濃
度を変化させた杜仲の木の樹皮(A)、葉(B)の抽出
物をHIV HTLV−111B、または、HIV−2RODが感染したMT4
細胞(1.5×105/well.MOI:0.01)に感染した直後に加え
て培養した。
同時に製造例1及び2より抽出したA、Bの抽出物自
体が有するMT4細胞に対する細胞毒性を検査するため
に、ウィルス非感染細胞を同様に抽出物A、Bを種々の
濃度で加えて培養した。
試験方法としては、CO2インキュベーターで37℃、5
日間10%・牛胎児血清を含むRPMT1640培地で培養した
後、生細胞のミトコンドリア内膜中に存在する呼吸鎖に
よりMTT(3−(4.5ジメチルアゾール2−イル)2.5−
ジフォニル−テトラゾリウム)が開裂され、MTTフォル
マザンが生成することにより、生細胞数を比例測定し
た。
このとき、A、Bの抽出液を加えた培養細胞が存在し
ておれば、抽出液A、Bは、細胞内の酵素の働きで青褐
色のフォルゼンに変換され、培養液は青褐色になる。こ
の色調の変化を吸光度計で測定し、細胞生存率を算定し
た。[Pauwels R et al,J,Viral Methods.16,171−185
(1987)] 結果を表1〜4及びそれぞれのグラフを第1図、第2
図に示す。第1、第2図中、横軸は、抽出物A、Bの濃
度を示し、縦軸は生存細胞数(コントロールに対する
%)を示す。また、第1、2図のグラフに於て、黒塗棒
はウィルス非感染細胞に関する試験結果であり、本発明
の抽出物A、Bを添加しないで行ったコントロール(表
2、表4)の結果を100%として生存細胞数を相対的に
示す。斜線を付した棒はエイズウィルスに感染した細胞
に関する試験結果により(表1、表3)、前記コントロ
ール結果を100%として生存細胞数を相対的に示した。
これらの表及び図から明らかなように、杜仲の樹木、
葉から得た抽出物A、Bは濃度の上昇に応じて生存する
細胞の数が増大しており、HIV−1、及び、HIV−2の感
染により生ずる細胞障害を抑制することが理解される。
又、ウィルス非感染細胞に関する試験結果(黒塗棒)か
ら見ると、杜仲の樹皮から得た抽出液Aの抗ウィルス活
性は、163μg/ml〜260μg/ml、杜仲の葉から得た抽出液
Bの抗ウィルス活性は、169μg/ml〜242μg/mlでそれぞ
れ90%の有効濃度であることがわかる。また、抽出物C
は、200μg/ml〜280μg/mlで90%の有効濃度であった。
産業上の利用可能性 本発明によれば、エイズウィルスの細胞への吸着や増
殖を抑制し、また、脳神経系にも達して脳症状を改善
し、また、長期間使用しても副作用がなく、日常飲食が
可能で予防効果を有する抗感染症剤を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉原 将純 愛知県名古屋市天白区中平1―1002 メ ゾン平中406 (72)発明者 中野 昌俊 愛知県知立市新林町茶野36―16 (72)発明者 中島 秀喜 山梨県中巨摩郡玉穂町成島1559―1 E ―103 (56)参考文献 特開 平6−56684(JP,A) 特開 昭59−164717(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 35/78

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】杜仲の木の樹皮または葉をアルカリ抽出し
    て得られた抽出物を有効成分とする抗感染症剤。
  2. 【請求項2】感染症がエイズである請求の範囲第1項の
    抗感染症剤。
  3. 【請求項3】杜仲の木の樹皮、または、葉を熱水抽出
    し、熱水抽出後の残渣物にアルカリ水溶液を加えて撹拌
    し、濾過後、抽出液を中和処理して抽出液を分離するこ
    とを特徴とする抗感染症剤の製造方法。
  4. 【請求項4】アルカリ水溶液が、炭酸ナトリウム、炭酸
    水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、
    水酸化アンモニウムのいずれかである請求の範囲第3項
    記載の抗感染症剤の製造方法。
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