JP2928200B2 - 金属製真空二重壁容器 - Google Patents

金属製真空二重壁容器

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JP2928200B2
JP2928200B2 JP14055697A JP14055697A JP2928200B2 JP 2928200 B2 JP2928200 B2 JP 2928200B2 JP 14055697 A JP14055697 A JP 14055697A JP 14055697 A JP14055697 A JP 14055697A JP 2928200 B2 JP2928200 B2 JP 2928200B2
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泰彦 小宮
毅 桑名
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州央 松田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス鋼から
なる金属製真空二重壁容器に関し、特に強度および耐食
性が高い金属製真空二重壁容器に関する。
【0002】
【従来の技術】金属製真空断熱容器の材料としては、耐
食性に優れたSUS304などのオーステナイト系ステ
ンレス鋼が広く用いられている。このオーステナイト系
ステンレス鋼は強い塑性変形を加えると、加工誘起マル
テンサイト変態が起こり、加工硬化が生じるので、この
特性を利用してステンレス鋼の材料強度を上げることが
できる。しかしこのオーステナイト系ステンレス鋼のマ
ルテンサイト変態により以下のような不都合が生じる。
【0003】まず加工硬化により、強度は上昇するもの
の、マルテンサイト変態の発生や残留応力が大きくなる
ことから、耐食性が低下する。特に高い塑性変形を受け
た部分に、応力腐食割れが生じる場合がある。例えば図
2に示すような金属製真空二重壁容器を作製する場合、
金属製の内容器1と外容器2とをまず成形するが、特に
高い塑性変形を受けた、内容器1の内方突出部1b、張
り出し部1c、内筒底部6a、外容器2のネジ部2b、
張り出し部2c、外筒底部2dなどの部分に、割れや腐
食が起こることがある。そのため過度の塑性変形を行わ
ずに、胴部4を丸め加工と縦溶接線5での溶接を行い、
図2に示す内容器1の形状に成形した後、これとは別に
底部6を成形し、溶接線7でこれら胴部4と底部6を溶
接して容器全体を成形する方法を用いることが多い。し
たがって溶接線5,7の溶接工程が必要になるばかりで
なく、これらの溶接部分において、過飽和の炭素がCr
炭化物として結晶粒界に析出し、粒界近傍のCr含有量
が減じて耐食性が低下して粒界腐食を生じるという別の
問題が発生する。
【0004】このような加工誘起マルテンサイト変態を
起こした状態のステンレス鋼に対し焼鈍温度870℃以
上での焼鈍処理を実施して、Cr炭化物あるいはぜい化
相を固溶させて、オーステナイト系ステンレス鋼として
標準的な機械的性質ならびに耐食性を得、加工硬化ひず
みを除く方法がある。しかしながらこの焼鈍により材料
強度の低下が起こり、座屈、変形などを起こすことがあ
った。
【0005】さらに図2に示したような金属製真空二重
壁容器を作製する場合、成形した内容器と外容器を空隙
を隔てて口部1a、2aで接合一体化して二重壁構造と
した後、加熱真空排気処理を行って真空断熱層3を形成
することが必要である。ところがオーステナイト中のC
r炭化物の粒界析出を起こしやすい温度範囲である60
0〜800℃でこの加熱真空処理を行うと、粒界腐食を
起こしやすくなる。したがって通常加熱真空処理は少な
くともこの温度以上で行う必要があるが、上述のごとく
高温での加熱処理は、材料強度の低下を招く恐れがあ
る。すなわち、真空二重壁容器の製造において必須工程
である真空排気のための加熱処理を高温で行うと、強度
を低下させ、内容器および外容器の厚みを厚くしなけれ
ばならず軽量化の妨げになるが、真空排気のための加熱
処理を低温で行なっても、われや耐食性劣化の問題が生
じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記事情に鑑
みてなされたもので、金属製真空二重壁容器において、
焼鈍工程が不要で、強度および耐食性が高い金属製真空
二重壁容器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の金属製真空二重
壁容器は、内容器と外容器を備え、該内容器と外容器と
の間に形成された密閉空間を真空断熱層とした金属製真
空二重壁容器において、前記内容器と外容器の少なくと
も一方が、銅を1.5〜5%を含むオーステナイト系ス
テンレス鋼から成形されたことを特徴としている。前記
内容器が、銅を1.5〜5%を含むオーステナイト系ス
テンレス鋼から成形された構成としてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明を詳し
く説明する。図1に示す容器は、本発明の容器の一実施
例を示したもので、金属製の内容器1と外容器2とを空
隙を隔てて口部1a、2aで接合一体化して二重壁構造
とし、この空隙を真空断熱層3とした金属製真空二重壁
容器である。上記内容器1および外容器2の少なくとも
一方、好ましくは両方が、銅を1.5〜5%含むオース
テナイト系ステンレス鋼(以下単に銅含有ステンレス鋼
という)、好ましくは、1.5〜3%含む銅含有ステン
レス鋼を用いて成形されている。
【0009】ここで内容器1または外容器2を構成する
ステンレス中の銅の含有量が1.5%を下回ると、マル
テンサイト変態とそれに起因する加工硬化を抑えること
ができず、十分な耐食性が発揮されず、深絞りなどの加
工をすることが困難となる。逆に銅の含有量が5%を越
えると、高温で粒界ぜい化を促進し、熱間加工性が阻害
され、高温われに敏感になる傾向がある。さらに銅含有
量3%以下のステンレス鋼は、ステンレス鋼母材に対す
る銅の固溶の均一性が高いので、特に好ましく用いられ
る。銅含有ステンレス鋼で形成された内容器1または外
容器2は、内容器1の内方突出部1b、張り出し部1
c、内筒底部6a、外容器2のネジ部2b、張り出し部
2c、外筒底部2dなどの強い変形を受けた部分のマル
テンサイト変態を抑えられるので、耐食性の低下が防止
でき、焼鈍工程が不要となって強度低下の問題が解消さ
れる。さらに後述するように、図1に示した内容器1お
よび外容器2は、一枚の銅含有ステンレス鋼板から深し
ぼり加工で成形したものであり、図2に示した従来型の
容器のような溶接が不要となり溶接箇所における腐食の
おそれがない。
【0010】上記構成の金属製真空二重壁容器は、内容
器1と外容器2とをその少なくとも一方に銅含有ステン
レス鋼を用いて成形し、これら内容器1と外容器2を空
隙を隔てて口部1a、2aで接合一体化して二重壁構造
とし、空隙を真空排気して真空断熱層3を形成すること
により作製される。本発明において、内容器1および外
容器2の成形方法は限定されず、丸め加工、絞り加工、
張り出し加工、溶接加工などの加工法を用いることがで
きるが、銅含有ステンレス鋼の場合は、一枚の鋼板から
の深しぼり成形が可能であり、胴部と底部を分けて成形
した場合に必要であった溶接工程を省略することができ
る。さらに、マルテンサイト変態が抑えられているの
で、成形において表面の成形歪やわれが防止でき、成形
後の焼鈍の工程を省略することができる。
【0011】ついで、内容器1の口部1aと外容器2の
口部2aを合わせて接合一体化した後、真空排気炉に入
れて400〜1200℃、好ましくは400〜600℃
にて真空排気を行う。このように本発明の金属製真空二
重壁容器においては、耐食性が高いので、加熱真空処理
を焼鈍温度(870℃)以下で行うことができる。した
がって従来の金属製真空二重壁容器を作製する場合と比
べて、電力の節約、設備の簡素化が図れる。真空排気後
の断熱層の封止手段としては、外容器底部中央等に取り
付けたチップ管を介して所定の真空度に排気した後チッ
プ管を圧接して封止する方法や、固形ロウ材の溶融固化
など通常の方法を用いることができる。
【0012】以上、本発明を金属製の内容器と外容器と
が空隙を隔てて口部で接合一体化して二重壁構造とさ
れ、前記空隙を真空断熱層とした真空二重壁容器の例に
基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、真空断熱層を備えた二重壁容器であればよい。
特に本発明の金属製真空二重壁容器は、成形性の高い銅
含有ステンレス鋼が用いられているので、銅を含まない
オーステナイト系ステンレス鋼を用いた場合に比べて、
成形部材の形状を自由に設計できる。したがって例え
ば、内容器と外容器筒状部までを平板から深しぼり成形
並びに逆再しぼり成形などの方法で1点部材とし、この
部材と外容器底面部材とを接合し一体化して二重壁構造
とすることもできる。また本発明は、図示したような魔
法瓶の他、断熱調理鍋、マグカップ、食缶、ランチジャ
ーなどに適用することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳しく説明す
る。 (実施例1)図1に示した構造の真空断熱魔法瓶を製造
した。内容器と外容器の両方を、銅含有量が3〜4%で
ある日新製鋼(株)製オーステナイト系ステンレス鋼S
USXM7(電気抵抗は、縦40mm×横10mm×厚
み0.2mmの大きさで0.8オーム)を用いて絞り加
工で成形した。外容器底部中央には真空排気のための排
気孔を形成した。つぎに内容器と外容器の口元部を合わ
せて溶接して二重壁容器とした後、排気孔にろう材を配
して真空加熱炉に入れて500℃で真空排気を行いつ
つ、内外容器間の空隙を真空排気し、ろう材よりなる封
止材の溶融により真空封止し、真空断熱魔法瓶とした。
この真空断熱魔法瓶を、雰囲気温度35℃の中で5重量
%食塩水を噴霧する試験を72時間行ったが、錆の発生
はなかった。 (実施例2)実施例1において、内容器と外容器の口元
部を合わせて溶接して二重壁容器とした後、外容器底部
中央にチップ管を設け、400℃で加熱真空排気を行い
つつ、内外容器間の空隙を真空排気し、チップ管を加圧
圧着にして真空封止し、それ以外は実施例1と同様にし
て真空断熱魔法瓶を作製し、塩水噴霧試験を行った。
【0014】(比較例1)内外容器を銅を含まないオー
ステナイト系ステンレス鋼SUS304(電気抵抗は、
縦40mm×横10mm×厚み0.2mmの大きさで1
オーム)で成形し、溶接加工を行った以外は実施例1と
同様に真空断熱魔法瓶を作製し、塩水噴霧試験を行っ
た。 (比較例2)内外容器を銅を含まないオーステナイト系
ステンレス鋼SUS304で成形した以外は実施例2と
同様に真空断熱魔法瓶を作製し、塩水噴霧試験を行っ
た。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1に示したように、比較例1および2の
魔法瓶では、強い塑性変形を受けた内容器の内方突出
部、張り出し部、内筒底部、外容器のネジ部、張り出し
部、外筒底部に腐食が認められたが、実施例1および2
の魔法瓶では腐食はおこらなかった。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属製真空
二重壁容器の内容器または外容器は、銅含有オーステナ
イト系ステンレス鋼を用いて成形されるので、強い塑性
変形を加えてもマルテンサイト変態やそれに起因するわ
れ、腐食の発生が抑えられ、耐食性の高い内容器または
外容器となる。したがって焼鈍工程を省略でき、真空排
気処理の実施温度も低く設定できるので、耐食性と強度
の高い、高品質の金属製真空二重壁容器が提供される。
またこのように十分な強度が得られることから、内容器
および外容器の厚みを薄くすることができ、容器全体を
軽量化することもできる。さらに、強い塑性変形を加え
ることができるので、従来胴部と底部に分けて成形しこ
れらを溶接することが必須であった深い容器を深絞り加
工だけで成形することが可能となり、工程数が減少し、
耐食性の低い溶接部の形成を避けることができる。また
焼鈍工程を省略でき、真空排気処理の実施温度も低く設
定できるので、省力化となり、製造コストが低減化でき
る。本発明の金属製真空二重壁容器はまた、銅を含むた
め抗菌性を有しており、飲食物を保温・保冷するための
容器あるいは調理容器として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属製真空二重壁容器の一例を示す
一部断面図である。
【図2】 従来の金属製真空二重壁容器の一例を示す一
部断面図である。
【符号の説明】
1…内容器、2…外容器、3…真空断熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 州央 東京都港区西新橋1丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47J 41/02 102 WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内容器と外容器を備え、該内容器と外容
    器との間に形成された密閉空間を真空断熱層とした金属
    製真空二重壁容器において、 前記内容器と外容器の少なくとも一方が、銅を1.5〜
    5%を含むオーステナイト系ステンレス鋼から成形され
    たことを特徴とする金属製真空二重壁容器。
  2. 【請求項2】 前記内容器が、銅を1.5〜5%を含む
    オーステナイト系ステンレス鋼から成形されたことを特
    徴とする請求項1記載の金属製真空二重壁容器。
JP14055697A 1997-05-29 1997-05-29 金属製真空二重壁容器 Expired - Lifetime JP2928200B2 (ja)

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JP14055697A JP2928200B2 (ja) 1997-05-29 1997-05-29 金属製真空二重壁容器
KR1019980018408A KR19980087268A (ko) 1997-05-29 1998-05-21 단열 이중벽 용기
TW087107948A TW350768B (en) 1997-05-29 1998-05-22 Insulating double-wall container
CA 2238779 CA2238779A1 (en) 1997-05-29 1998-05-27 Insulating double-layered container
EP19980401257 EP0880929A2 (en) 1997-05-29 1998-05-27 Insulating double-layered container
CN 98102483 CN1203058A (zh) 1997-05-29 1998-05-29 隔热双层壁容器

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