JP2930448B2 - 静磁場を利用する鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

静磁場を利用する鋼の連続鋳造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静磁場を利用する鋼の
連続鋳造方法、特に鋳造条件を考慮するまでもなく鋳型
幅方向に均一な溶鋼流を得ることができ、しかも、製品
欠陥(スリバー,UT欠陥,ブリスター,フクレ)が多発
することがないように、静磁場の作用を制御しながら鋳
造する方法について提案するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、鋳型内の溶鋼流
動を制御することは、鋳造された鋳片の内部欠陥や表面
欠陥を低減するうえで極めて重要である。
【0003】この鋳型内の溶鋼流動を制御する手段とし
ては、従来、特公平2−20349 号公報や特開平2−2847
50号公報に開示されているように、鋳型内溶鋼に対し静
磁場を印加し、いわゆる電磁ブレーキの効果により鋳型
内の強い流れを分散あるいは減速させることにより、溶
鋼流の制御,すなわち鋳型幅方向の溶鋼流動の均一化を
図る方法が提案されている。
【0004】特に、特開平2−284750号公報は、特公平
2−20349 号公報に開示された技術が抱える課題,すな
わち、磁場不均一による鋳型内溶鋼流動を改良したもの
である。すなわち、この特開平2−284750号公報の開示
というのは、磁場を鋳型幅方向の一部に印加しただけで
は、磁場の弱い部分に溶鋼流が集中して、予期せぬ流動
パターンとなる。そこで、溶鋼流を完全に制御するに
は、鋳型の幅方向全域にわたって磁場を印加することが
必要である。そのために、鋳型の幅方向の全領域にわた
って鋳片の厚み方向と平行に静磁場を印加することによ
り、溶鋼表面流速を抑制し、かつ鋳型下方への強い流れ
を減速させて、高品質の鋳片が鋳造する方法について提
案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
改良された従来の連続鋳造方法であっても、本発明者ら
が、水銀を用いたモデル実験により鋳型内溶鋼の流動パ
ターンを検討した結果、必ずしも所望の流動制御効果が
得られていないことが判明した。しかも、実際の連続鋳
造機に適用した場合でも、鋳片の表面および内部品質に
関してはある程度改善されてはいるものの、すべての鋳
造条件で満足すべき結果が得られているところまでは到
達していないのが実情である。
【0006】そこで、本発明は、上記従来技術の問題を
有利に解決することを目的とするものであり、特に溶鋼
供給速度などの鋳造条件が変化しても、鋳型幅方向の溶
鋼流速が常に均一になるように制御することにより、製
品欠陥のない優れた品質の鋳片を得るのに有効な静磁場
を利用する連続鋳造技術を確立することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上掲の目的実現のために
鋭意研究した結果、本発明者らは、静磁場を利用する鋼
の連続鋳造において、鋳型幅方向に均一な流速分布をも
つ溶鋼流を得るには、鋳型内溶鋼の流速分布に応じた磁
束密度分布となるように、前記鋳型の幅方向全域に静磁
場を印加することが必要であることを見出し、本発明に
想到した。
【0008】すなわち、本発明は、浸漬ノズルから連続
鋳造用鋳型内に供給される溶鋼の吐出噴流を制御するた
めに、前記鋳型の幅方向全域に静磁場を印加しながら連
続鋳造を行うに当たり、上記鋳型の幅方向全域に印加さ
れる磁場の磁束密度分布を、鋳型の短辺部近傍に印加さ
れる磁場の磁束密度と、鋳型中央部に印加される磁場の
磁束密度との比が、鋳型幅方向中央部の磁束密度を1と
した場合に、1.2 〜3.0 倍の範囲内になるようにして
造することを特徴とする静磁場を利用する鋼の連続鋳造
方法である。
【0009】
【作用】本発明の連続鋳造方法は、例えば低C−Alキル
ド鋼などを高速で連続鋳造する場合においても、欠陥の
ない鋳片を製造する際に不可欠な鋳型内溶鋼流の均一制
動を実現するものである。
【0010】ところで、本発明者らは、磁石センサーを
用いて水銀流速を測定する水銀モデル実験と数値シミュ
レーションにより、鋳型内の流動パターンおよび電磁力
分布を詳細に検討した。
【0011】まず、鋳型内溶鋼に対して静磁場の印加を
全く行わない例では、図4(a) に示すように、浸漬ノズ
ルからの吐出噴流は、鋳型の短辺部に衝突し、一部は、
上方へ反転して溶鋼表面流となり、また他の一部は、短
辺部に沿って下降する強い流れとなる。これらの溶鋼流
動は、溶鋼プール表面でのスラグの巻き込み、あるいは
脱酸生成物や気泡を溶鋼プールの深部にまで持ち込む原
因をつくり、最終的には製品鋼板の表面欠陥や内部欠陥
となることが判った。
【0012】次に、従来技術では、図4(b) や図4(c)
に示すように、上述した溶鋼流の上方への反転流や下方
への強い流れは弱められるものの、その制動が不十分で
ある。すなわち、図4(b) の例は、鋳型の幅方向全域に
磁場を印加していないために、磁場の相対的に弱い部分
に強い流れが生じ、溶鋼流の制動を十分に達成できな
い。一方、鋳型の幅方向全域に磁場を印加する図4(c)
の例は、浸漬ノズルから噴出した溶鋼流が一旦鋳型短辺
部に衝突したのち、その溶鋼流の方向が上下,左右に分
かれ、そのために鋳型短辺部近傍の流れが非常に複雑と
なる。このことは、鋳型幅方向の中央部近傍について
は、溶鋼流の乱れが少なく、比較的小さな磁場の印加に
よっても電磁制動の効果が十分発揮されるのに対し、鋳
型短辺部近傍では、上述したように溶鋼流が複雑になる
分だけ電磁制動の効果が弱くなることが判った。
【0013】そこで、本発明では、鋳型内溶鋼の流動を
制御するために連続鋳造用鋳型の幅方向全域に静磁場を
印加することとした場合において、上記鋳型の幅方向全
域に印加される磁場の磁束密度分布が、鋳型内溶鋼の流
速分布に対応した分布となるように、すなわち鋳型短辺
部近傍での磁場が強くなるような磁場分布を与える
、鋳型の短辺部近傍と鋳型幅中央部に印加される磁場
の磁束密度の比が、鋳型幅中央部の磁束密度を1とした
場合に、1.2 〜3.0 の範囲内として鋳造することにした
ものである。
【0014】このような磁束密度分布調整を行う理由
は、鋳型幅中央部の磁束密度を1とした場合の鋳型短辺
部近傍における磁束密度を種々変化させて、鋳型幅中央
部の下降流速を1とした場合の鋳型短辺部近傍の下降流
速の大きさを調査した結果に基づくものである。すなわ
ち、図8に示すように、鋳型短辺部近傍にのみ静磁場を
与えた場合(図中A点)や、短辺部近傍と中央部との磁
束密度の比が3.0 を超える場合(図中Bの範囲)では、
却って流れが幅中央部に集中する傾向が現れ、所望の効
果が得られず、また上記磁束密度の比が1.2 未満の場合
は下降流の制動が十分されず、鋳片内への介在物の巻き
込みを防止できないからである。
【0015】このように本発明の連続鋳造方法によれ
ば、図5(a) に示すように、鋳型短辺部に沿う強い下降
流が弱められ、鋳型幅方向にほぼ均一な下降流を得るこ
とができる。なお、図5は、磁石センサーを用いて水銀
流速を測定する水銀モデル実験を行い、鋳型幅方向に一
様な磁場分布を与える従来法による場合(図5(b) )
と、鋳型短辺部近傍の磁束密度が大きくなるように磁場
を印加することとした本発明法による場合(図5(a) )
とを比較したものである。ここで、図中の矢印は、セン
サーで測定した水銀流速の大きさとその方向を示してい
る。
【0016】
【実施例】
(実施例1)磁場印加用電磁石を、厚み260mm ,幅1200
mmの連続鋳造用鋳型に図1(a),(b)に示すように取付
け、鋳型内溶鋼表面と鋳型の下部領域に対向して、鋳片
厚み方向に平行な静磁場を印加しながら、低炭素鋼を4.
0t/minの溶鋼供給速度で鋳造した。
【0017】なお、本発明例の実施に当たっては、図2
(a) に示すような形状の電磁石用鉄芯を用い、図3(a)
に示すような鋳型幅方向の磁束密度分布になるように、
磁場を印加した(鋳造時に印加した磁束密度は、幅中央
部で1200ガウス,短辺部近傍で1800ガウスとした。)。
一方、比較例の実施に当たっては、図2(b) に示すよう
な形状の電磁石用鉄芯を用い、図3(b) に示すような鋳
型幅方向全域(1200mmの範囲)に均一な磁束密度分布に
なるように、磁場を印加した(鋳造時に印加した磁束密
度は、幅方向全域1200ガウスとした。)。
【0018】このようにして、上記実施例および比較例
で鋳造したスラブについて、そのスラブ表面のノロカミ
個数およびスラブ内の全酸素分析値(1/4 厚み部)を比
較した結果を、それぞれ図6および図7に示す。これら
の図から明らかなように、本発明の方法によれば、スラ
ブ表面および内部の品質が大幅に改善できることが判
る。
【0019】(実施例2)磁場印加用電磁石の鉄芯形状
により、鋳型短辺部近傍と幅中央部との磁束密度の比を
変化させて、上記実施例1と同一の鋳型および鋳造条件
で鋳造した。このようにして得られたスラブ内の介在物
量を比較した結果を図9に示す。この図から明らかなよ
うに、鋳型短辺部近傍と幅中央部との磁束密度の比を1.
2 〜3.0 の範囲とすることにより、スラブ内の介在物量
を著しく低減することができる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋳型幅方向の磁束密度の大きさに差を設け、鋳型短辺部
近傍における磁場の磁束密度を幅方向中央部のそれより
も大きくし、特に、強度比にして1.2 〜3.0 倍となるよ
うに鋳造することから、鋳型短辺部近傍に沿う強い下降
制動が可能になり、ひいては鋳型幅方向に均一な溶
鋼流を得ることができるから、鋳片や最終製品の品質が
著しく向上する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法の実施における電磁石の鋳型への配置
状態を示す(a) 正面図,(b) 側面図である。
【図2】(a) 本発明法にかかる磁石用鉄芯,(b) 従来法
にかかる磁石用鉄芯、の構造を示す図である。
【図3】図2(a),(b) の磁石用鉄芯を用いた場合の鋳型
幅方向の磁束密度分布を示す図である。
【図4】(a) 本発明法による鋳型幅全域への磁場印加の
場合,(b)従来法による鋳型への磁場印加の場合,(c)
鋳型への磁場印加を行わない場合、の溶鋼流動パターン
を示す図である。
【図5】(a) 本発明法の場合,(b) 従来法の場合、の水
銀モデル実験による流速測定結果を示す図である。
【図6】本発明法と従来法によって得られたスラブ表面
のノロカミ個数を比較した図である。
【図7】本発明法と従来法によって得られたスラブ内全
酸素分析値を比較した図である。
【図8】水銀モデル実験における鋳型短辺部と中央部の
磁束密度比と短辺部の下降流速の関係を示す図である。
【図9】鋳型短辺部と中央部の磁束密度比とスラブ内の
介在物量の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造用鋳型 2 浸漬ノズル 2a 吐出口 3 電磁石用鉄芯 4 鋳片 5 溶鋼 6 磁場発生用コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜谷 敏和 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平1−99763(JP,A) 特開 平1−266949(JP,A) 特開 平2−284750(JP,A) 特開 平4−190949(JP,A) 特開 平3−258442(JP,A) 実開 平4−104250(JP,U) 実開 平4−104251(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/10 350 B22D 11/10 B22D 11/04 311 B22D 11/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬ノズルから連続鋳造用鋳型内に供給
    される溶鋼の吐出噴流を制御するために、前記鋳型の幅
    方向全域に静磁場を印加しながら連続鋳造を行うに当た
    り、上記鋳型の幅方向全域に印加される磁場の磁束密度
    分布を、鋳型の短辺部近傍に印加される磁場の磁束密度
    と、鋳型中央部に印加される磁場の磁束密度との比が、
    鋳型幅方向中央部の磁束密度を1とした場合に、1.2 〜
    3.0 倍の範囲内になるようにして鋳造することを特徴と
    する静磁場を利用する鋼の連続鋳造方法。
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JP3304884B2 (ja) * 1998-06-09 2002-07-22 住友金属工業株式会社 溶融金属制動装置及び連続鋳造法
JP5369808B2 (ja) * 2009-03-24 2013-12-18 Jfeスチール株式会社 連続鋳造装置及び連続鋳造方法
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