JP2949899B2 - 慣性飛込み式始動装置 - Google Patents

慣性飛込み式始動装置

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JP2949899B2 JP11908291A JP11908291A JP2949899B2 JP 2949899 B2 JP2949899 B2 JP 2949899B2 JP 11908291 A JP11908291 A JP 11908291A JP 11908291 A JP11908291 A JP 11908291A JP 2949899 B2 JP2949899 B2 JP 2949899B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は慣性飛込み式始動装置に
係り、特にリングギヤに噛合するピニオンのストローク
を大とし、噛合性を向上せしめた慣性飛込み式始動装置
である。
【0002】
【従来の技術】慣性飛込み式始動装置においては、始動
モータの回転により始動装置のドライブギヤおよび該ギ
ヤを支承するシヤフトが回転せしめられると、該シヤフ
トにヘリカルスプラインを介してアウタ部材が噛合して
いる一方向クラツチの慣性によつて、該一方向クラツチ
のインナ部材および該インナ部材と一体的に回転するピ
ニオンギヤが前記シヤフトの軸方向に飛び出し、前記ピ
ニオンギヤは内燃機関のクランク軸に固定されているリ
ングギヤに衝突し、前記ピニオンギヤはリングギヤの端
面を滑りながら該リングギヤに噛合する。この状態を図
8により説明する。図8はリングギヤの周面に沿うリン
グギヤの歯71,71の配置を平面に展開して、ピニオ
ンギヤの歯72がリングギヤの歯71に噛合する状態を
説明する図である。ピニオンギヤの歯72はリングギヤ
からシヤフトの軸方向に距たつた位置から矢印方向に前
進し、破線73に示す位置でリングギヤの端面に衝突
し、該リングギヤの周方向に矢印方向に滑動する。次い
でピニオンギヤの歯72は、該歯72の面取り部がリン
グギヤの歯71の面取り部に沿つて破線74で示すよう
に前記軸方向に前進し、一点鎖線75で示す位置におい
てリングギヤの隣接する歯71に衝突する。この状態か
らはピニオンギヤの歯72はリングギヤの周方向への滑
動は阻止され、衝突したリングギヤの歯71に沿つて前
記軸方向に前進し、噛合を完了する。
【0003】図8において、ピニオンギヤの歯72が一
点鎖線75で示す位置においてリングギヤの歯71と衝
突したときの噛合い深さh(図8)が大であるほど、噛
合性が良好であり、ピニオンギヤおよびリングギヤの損
傷が比較的に少ないことが、一般的に知られている。上
記噛合い深さを得る手段として、図9に示すように、始
動装置のシヤフト81に設けられる一方向クラツチ82
のクラツチアウタ83を前記シヤフト81にヘリカルス
プライン84を介して螺合させ、クラツチアウタ83の
椀状拡大径部の内側にローラ85を介して従動側を構成
する円筒状のクラツチインナ86が設けられ、このクラ
ツチインナ86の内周をピニオンギヤ87のスリーブ8
8にストレートスプラインにより噛合させ、前記ピニオ
ンギヤ87のスリーブ88とクラツチアウタ83の椀状
拡大径部の底辺との間にゴム・合成樹脂等の弾性体から
なる緩衝装置89を介在させたものが、特公昭56−1
1074号公報に開示されている。上記装置によれば、
ピニオンギヤ87がリングギヤ(図示せず)に衝突した
とき(図8の破線73)から後は、ピニオンギヤ87の
前進は止められ、クラツチアウタ83が緩衝装置89を
圧縮させながら前進し、緩衝装置89を所定量だけ撓ま
せた後ピニオンギヤ87をリングギヤの端面で滑らせ、
互いの面取り部で滑り(図8の破線74)、その後緩衝
装置89に蓄えられた弾力でピニオンギヤ87を飛出さ
せることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように一方向ク
ラツチのクラツチアウタとピニオンギヤとの間に緩衝装
置を配設した慣性飛込み式始動装置において、ピニオン
ギヤがリングギヤに衝突した時において前述の噛合深さ
hを十分に大とするには、比較的高荷重で長いストロー
クのばね特性を有する緩衝装置ほど有利である。しか
し、図9に示す構造の場合、緩衝装置として高荷重で長
いストロークのばね特性を有するものを使用するには、
緩衝装置に設定荷重に耐え得るばね応力をもたせなけれ
ばならない点を考慮すると、緩衝装置の大型化による一
方向クラツチの大型化を招き、内燃機関に搭載するのに
不適切となる。そこで本発明は、一方向クラツチの大型
化を招来することなく、リングギヤに対するピニオンギ
ヤの良好な噛合性を備えた慣性飛込み式始動装置を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、駆動シヤフト
上に、該シヤフトに対し回転および軸方向移動自在に設
けられたピニオンギヤと、前記駆動シヤフトに駆動側部
材がヘリカルスプラインを介して螺装され、始動操作時
に前記駆動シヤフトと前記駆動側部材との相対回転に基
いて前記ピニオンギヤを前記軸方向に押進するとともに
一体的に回転せしめる従動側部材とを有する一方向クラ
ツチを備えた慣性飛込み式始動装置において、前記一方
向クラツチの駆動側部材と従動側部材との間に第1のば
ねを挟持せしめるとともに、前記駆動シヤフトの軸方向
に予め定めた寸法aだけ両部材の相対近接移動を許容す
る第1の隙間部と、前記駆動側部材と従動側部材との間
において、前記両部材の何れか一方の部材に基部が取付
けられ、他方の部材に自由端部を向けた第2のばねが配
設され、かつ前記駆動シヤフトの軸方向に両部材が相対
近接移動自在とされている第2の隙間部とを備え、前記
第1のばねはそのばね定数を前記第2のばねのばね定数
より小に設定するとともに、前記第2のばねの自由伸長
状態において、該第2のばねの前記自由端部と該自由端
部が対向する前記他方の部材との間に、前記寸法aより
小なる寸法cの間隔を隔てさせたことを特徴とするもの
である。
【0006】
【実施例】図1に本発明の一実施例を一部欠截側面図
で、図2にその要部を断面図で示す。図において、始動
装置の駆動シヤフト1はその一部の周面にヘリカルスプ
ライン2を備え、該ヘリカルスプライン2に一方向クラ
ツチ3の駆動側部材4が螺装され、前記一方向クラツチ
3の従動側部材5は前記駆動シヤフト1に軸受6を介し
て回転および摺動自在に支承される。前記従動側部材5
はその一端にピニオンギヤ7を一体にかつ同軸的に形成
している。一方向クラツチ3の駆動側部材4は、図2に
示すように内周面に前記ヘリカルスプライン2に噛合す
るスプライン部を形成した小径筒部41と、該小径筒部
41より大径に形成した大径筒部42と、両筒部41,
42を連結して駆動シヤフト1の半径方向に延在する環
状部43とよりなる。前記従動側部材5は駆動側部材4
の大径筒部41の内周面と、ローラ40とともに一方向
クラツチ機能を果たす内周面を備えた基筒部51とピニ
オンギヤ7を形成した支持筒部52とよりなり、支持筒
部52において駆動シヤフト1に軸受6で支承されてい
る。前記駆動シヤフト1にはヘリカルスプライン2に隣
接した位置に、駆動ギヤ8がセレーシヨンまたはキーに
より駆動シヤフト1と一体に回転するように同軸的に取
付けられ、前記駆動ギヤ8は始動モータ(図示せず)に
より回転せしめられるシヤフト9に形成したギヤ91と
噛合せしめられる。前記駆動シヤフト1の他端には、前
記ピニオンギヤ7を形成した従動側部材5の支持筒部5
2の端面が当接するに適した形状のストツパ10が、駆
動シヤフト1に形成した周溝11に嵌めたスナツプリン
グ12により支承され、前記従動側部材5の支持筒部5
2とストツパ10との間にリターンスプリング13が介
装される。本実施例において始動モータが電源に接続さ
れてシヤフト9が急激に回転せしめられると、ギヤ9
1,駆動ギヤ8を介して駆動シヤフト1が回転せしめら
れ、一方向クラツチ3のアウタ部材に相当する駆動側部
材4の小径筒部41と駆動シヤフト1のヘリカルスプラ
イン2との係合および一方向クラツチ3の慣性とによ
り、インナ部材に相当する従動側部材5とともに、リタ
ーンスプリング13の付勢力に抗して急激に駆動シヤフ
ト1の軸方向に移動を開始し、ピニオンギヤ7の歯端面
の一部が、内燃機関のクランクシヤフトに同軸的に固定
したリングギヤ(図示せず)に衝突する。
【0007】一方向クラツチ3の従動側部材5の基筒部
51の自由端53にはその外周部の端面を軸方向に削除
して前記自由端53の中心部を環状に突出せしめた段部
壁54を形成するとともに、駆動側部材4の環状部43
の前記段部壁54と対向する面に内径側を削除して凹設
した底壁44を形成し、前記段部壁54と底壁44との
間に形成される空間に環状のばね14(これを第1のば
ねと称する)を挿置して、該ばね14の弾力を従動側部
材5を駆動側部材4より離反する方向に付勢せしめる。
前記駆動側部材4の大径筒部42の開口端にはローラ4
0の脱落防止のための円環状端板(平ワツシヤ)45が
当接せしめられ、その外側に半環状ワツシヤ46が2枚
当接され、さらにその外側に半環状形の外形形状を有す
るばね15(これを第2のばねと称する)が2枚当接せ
しめられた上で、大径筒部42の外周面全面に装着せし
めた金属板よりなるほぼ椀状のカバー16の端縁を前記
ばね15の外側面に当接させて、前記環状部43側にか
しめ込み、大径筒部42に固定せしめる。前記第1のば
ね14は、その平面形状を図3に、その直径線に沿う断
面を図4に示すようにウエーブワツシヤ状の板ばねで、
その環状内周縁により前記従動側部材5の段部壁54に
当接し、その環状外周縁により前記駆動側部材4の底壁
44に当接する。また前記第2のばね15は平面形状を
図5に、その側面形状を図6に示すとおりの構成のもの
で、平面形状において半円環状に延在する周縁連結部6
1より半径方向に延在する複数個の直線状隙間62を介
して平面形状が台形のばね部63を複数個形成し、前記
周縁連結部61を周縁とする皿状に成形された板ばね
で、前記周縁連結部61において前記駆動側部材4の大
径筒部42の開口端の半環状ワツシヤ46とカバー16
の端縁との間で挟持され、その台形のばね部63の各自
由端縁64を、前記従動側部材5の基筒部51のピニオ
ンギヤ7側または該ピニオンギヤの基部に形成した半径
方向外方に向かう支壁55に対向せしめている。これら
ばね14,15は、第1のばね14のばね定数が、第2
のばね15のばね定数よりかなり小になるように設定さ
れる。
【0008】一方向クラツチ3の従動側部材5の基筒部
51の自由端53と、駆動側部材4の前記底壁44との
間には、第1のばね14の自由伸長状態において、駆動
シヤフト1の軸方向に予め定めた寸法aの隙間(これを
第1の隙間部と称する)を有する。また駆動側部材4に
固定された半環状ワツシヤ46と従動側部材5に形成さ
れた前記支壁55との間には、前記第1のばね14の自
由伸長状態において、前記寸法aより大なる寸法bの隙
間(これを第2の隙間部と称する)を有し、さらに第1
および第2のばね14,15の自由伸長状態において、
前記第2のばね15の台形状のばね部63の自由端縁6
4と前記支壁55との間には、前記寸法aよりは大では
ない寸法cの隙間を形成する。そして前述したように始
動モータが電源に接続されて一方向クラツチ3の駆動側
部材4がヘリカルスプライン2との係合および一方向ク
ラツチ3の慣性とにより、従動側部材5を伴つて急激に
駆動シヤフト1の軸方向に移動し、ピニオンギヤ7の歯
端面の一部が前記リングギヤ(図示せず)に衝突する
と、従動側部材5の基筒部51とローラ40との間に駆
動シヤフト1の軸方向の滑りを生じ、従動側部材5が駆
動側部材4に対し軸方向に相対移動を開始し、従動側部
材5の基筒部51の端部に形成した段部壁54と駆動側
部材4の環状部43に形成した底壁44との間で第1の
緩衝ばね14が撓まされ始め、前記基筒部51の自由端
53と前記駆動側部材4の環状部43に形成した底壁4
4との間の第1の隙間部の寸法aは減少する。前記従動
側部材5の駆動側部材4に対する前記軸方向の相対移動
量が寸法cに達すると、従動側部材5の基筒部51に形
成した支壁55が第2のばね15のばね部63の自由端
縁64に当接し、該ばね部63を撓ませ始める。この第
1のばね14および第2のばね15の撓みによる弾発力
は、ピニオンギヤ7の歯端面のリングギヤとの押圧力
(荷重)として作用するから、当該押圧力は、図7に実
線Xで示すように、ピニオンギヤ7の歯端面がリングギ
ヤに当接してからの従動側部材5の駆動側部材4に対す
る相対移動量(ばねのストローク)が寸法cに達するま
では一点鎖線Yで示す第1のばね14により生ずる押圧
力(ばね荷重)に等しく、相対移動量が寸法cを超える
と、第1のばね14により生ずる押圧力と破線Zで示す
第2のばね15により生ずる押圧力(ばね荷重)が合成
されたものとなる。
【0009】従つてピニオンギヤ7の歯の面取り部がリ
ングギヤの面取り部に係合可能な位置まで回転する(図
8の破線74の位置)と、ピニオンギヤ7および一方向
クラツチ3の従動側部材5は、先ず第2のばね15の強
い押圧力で飛び出すように前進し、その余勢を補うよう
に第1のばね14が従動側部材5を押し出すこととな
る。さらに駆動シヤフト1の回転によりピニオンギヤ7
の歯がリングギヤに端面当りした歯に隣接した歯に当接
して(図8の一点鎖線75の位置)噛合深さhを得た後
は、ピニオンギヤ7または従動側部材5の支持筒部52
の端面がストツパ10に当接するまで前進して、ピニオ
ンギヤ7のリングギヤに対する噛合が完了する。ピニオ
ンギヤ7がリングギヤと噛合した後における駆動シヤフ
ト1の回転は、一方向クラツチ3のクラツチ作用によ
り、ピニオンギヤ7およびリングギヤを介して内燃機関
のクランクシヤフトを回転させ、内燃機関が始動すると
一方向クラツチ3の従動側部材5は駆動側部材4に対し
てオーバランし、始動モータと電源との接続を断つこと
で、一方向クラツチ3はリターンスプリング13により
原位置に戻される。
【0010】なお前記実施例においては、ピニオンギヤ
7を一方向クラツチ3のクラツチインナに相当する従動
側部材5と一体に成形したものを示したが、前記実施例
におけるピニオンギヤ7を一体に成形した基筒部51と
ローラ40に当接するクラツチインナとを別体に形成
し、両者を駆動シヤフト1の軸方向に平行なセレーシヨ
ンまたはキーで一体に回転するように連結してもよく、
また第2のばね15を平面形状において内周に半円環状
に内縁連結部を形成し複数のばね部を前記内縁連結部よ
り半径方向外方に向けて形成したものを用い、内縁連結
部において従動側部材5の支壁55に固定し、ばね部の
先端を半環状ワツシヤ46の側面に対向せしめてもよ
い。さらに第1および第2のばね14,15は図示の板
ばねに代え、コイルばね等の形状の異なるもの、または
ゴム、合成樹脂等の材質の異なる弾性体のばねを用いる
こともできる。
【0011】
【発明の作用および効果】本発明は、駆動シヤフト上に
該シヤフトに対し回転および軸方向移動自在に設けられ
たピニオンギヤと、前記駆動シヤフトに駆動側部材がヘ
リカルスプラインを介して螺装され、始動操作時に前記
駆動シヤフトと前記駆動側部材との相対回転に基いて前
記ピニオンギヤを前記軸方向に押進するとともに一体的
に回転せしめる従動側部材とを有する一方向クラツチを
備えた慣性飛込み式始動装置に関するものである。上記
始動装置は始動操作時に始動モータにより駆動シヤフト
が静止状態から急激に回転せしめられると、一方向クラ
ツチは、その慣性と、該一方向クラツチの駆動側部材が
ヘリカルスプラインを介して駆動シヤフトに螺装されて
いることにより、該一方向クラツチの従動側部材とピニ
オンギヤとを伴つて駆動シヤフトの軸方向に急激に前進
し、前記ピニオンギヤを内燃機関のクランクシヤフトに
固定されているリングギヤに衝突させ、前記ピニオンギ
ヤを回転させつつ前記リングギヤに噛合させてこれを回
転させ、内燃機関を始動させることが知られている。
【0012】本発明においては、前記一方向クラツチの
駆動側部材と従動側部材との間に第1のばねを挟持せし
めるとともに、前記駆動シヤフトの軸方向に予め定めた
寸法aだけ両部材の相対近接移動を許容する第1の隙間
部と、前記第1の隙間部のほかに、前記一方向クラツチ
の駆動側部材と従動側部材との間に、前記両部材の何れ
か一方に基部が取付けられ、他方の部材に自由端部を向
けた第2のばねが配設され、かつ前記駆動シヤフトの軸
方向に両部材が相対移動自在とされている第2の隙間部
が備えられたことにより、前記始動操作時に一方向クラ
ツチとともに前進したピニオンギヤがリングギヤに衝突
すると、前記ピニオンギヤはリングギヤの端面で軸方向
の移動が止められるが、一方向クラツチの駆動側部材と
従動側部材とは、前記第1の隙間部により許容されてい
る寸法aの範囲内において、一方向クラツチの駆動側部
材に対し駆動シヤフトの軸方向に相対移動可能とされて
いるから、前記駆動側部材は先ず第1のばねを撓ませ、
次に前記第2の隙間部の寸法cだけ前進すると前記第2
のばねを撓ませて、さらに前進する。このとき両ばねの
撓み荷重だけ前記ピニオンギヤのリングギヤに対する押
圧力を高める。これにより前記ピニオンギヤがリングギ
ヤに衝突した際の軸方向の衝撃力が第1および第2のば
ねにより吸収される。このとき、両ばねの合成ばね特性
は、例えば図7のごとく設定されているので、これと同
じ撓み荷重で同じ撓み量を一つのばねで達成する場合よ
り、圧縮時の応力との関係から、ばねのスペースを小さ
くすることができる。
【0013】前記第1の隙間部の寸法aの範囲内で、前
記従動側部材に対して前記駆動側部材が前進するが、そ
の前進力が前記第1および第2のばねの撓み荷重より大
なるときは、寸法aだけ前進し、前記従動側部材と前記
駆動側部材とが当接したときに、また、小なるときは、
その前進力が前記第1および第2のばねの荷重がつり合
つたときに、ヘリカルスプラインの作用により一方向ク
ラツチがシヤフトの回転とともに回転し、前記ピニオン
ギヤがリングギヤと適切に噛合う位置を求めて、リング
ギヤの端面を滑動する。それにより、ピニオンの歯がリ
ングギヤの歯に適切に噛合する位置にもたらされたと
き、ピニオンギヤを押進する一方向クラツチの従動側部
材には、第1および第2のばねの撓み荷重による押圧力
が作用しているから、ピニオンギヤ及び従動側部材は先
ず第2のばねに蓄えられていた荷重により飛び出すよう
に前進し、その余勢を補うように第1のばねに蓄えられ
ていた荷重がピニオンギヤ及び従動側部材を押進する。
これにより、さらに一方向クラツチが回転し、リングギ
ヤの次の歯にピニオンギヤが当接したときのピニオンギ
ヤのリングギヤに対する噛合深さh(図8参照)を大き
くすることができる。次にピニオンギヤは、リングギヤ
の次の歯に当接したため、周方向の滑動は阻止され、リ
ングギヤの歯に沿つて軸方向に前進し、噛合を完了す
る。
【0014】以上のごとく本発明においては、始動装置
の始動操作におけるピニオンギヤの急激な前進によるリ
ングギヤに対する衝突の衝撃力は、前記ピニオンギヤを
押進する一方向クラツチの従動側部材と該一方向クラツ
チの駆動側部材との間に備えた第1および第2のばねに
より吸収できるとともに、リングギヤに噛合う時の噛合
深さを得るピニオンスプリングを長ストロークで低荷重
の第1のばねと短ストロークで高荷重の第2のばねとを
併用することにより、ピニオンスプリングを大型化する
ことなく、それぞれのスプリングが許容応力内で使用で
きる、長ストロークで高荷重のばね特性が得られるた
め、より大きな噛合深さを得ることができ、始動装置の
噛合性及び耐久性を向上する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の一部欠截側面図。
【図2】その要部拡大断面図。
【図3】第1のばねの平面図。
【図4】その直径線に沿う断面図。
【図5】第2のばねの平面図。
【図6】その側面図。
【図7】第1および第2のばねの合成荷重を示す線図。
【図8】ピニオンギヤがリングギヤに噛合する状態の説
明図。
【図9】従来の慣性飛込み式始動装置における一方向ク
ラツチの要部断面図。
【符号の説明】
1 駆動シヤフト 2 ヘリカルスプライン 3 一方向クラツチ 4 その駆動側部材 5 その従動側部材 7 ピニオンギヤ 14 第1のばね 15 第2のばね 40 ローラ 41 駆動側部材の小径筒部 42 その大径筒部 43 その環状部 44 その底壁 51 従動側部材の基筒部 52 その支持筒部 53 その自由端 54 その段部壁 55 その支壁

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動シヤフト上に、該シヤフトに対し回
    転および軸方向移動自在に設けられたピニオンギヤと、
    前記駆動シヤフトに駆動側部材がヘリカルスプラインを
    介して螺装され、始動操作時に前記駆動シヤフトと前記
    駆動側部材との相対回転に基いて前記ピニオンギヤを前
    記軸方向に押進するとともに一体的に回転せしめる従動
    側部材とを有する一方向クラツチを備えた慣性飛込み式
    始動装置において、前記一方向クラツチの駆動側部材と
    従動側部材との間に第1のばねを挟持せしめるととも
    に、前記駆動シヤフトの軸方向に予め定めた寸法aだけ
    両部材の相対近接移動を許容する第1の隙間部と、前記
    駆動側部材と従動側部材との間において、前記両部材の
    何れか一方に基部が取付けられ、他方の部材に自由端部
    を向けた第2のばねが配設され、かつ前記駆動シヤフト
    の軸方向に両部材が相対近接移動自在とされている第2
    の隙間部とを備え、前記第1のばねはそのばね定数を前
    記第2のばねのばね定数より小に設定するとともに、前
    記第2のばねの自由伸長状態において、該第2のばねの
    前記自由端部と該自由端部が対向する前記他方の部材と
    の間に、前記寸法aより小なる寸法cの間隔を隔てさせ
    たことを特徴とする慣性飛込み式始動装置。
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