JP2959426B2 - 伸び率演算方法 - Google Patents

伸び率演算方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】所定の伸び率を付与する場合にお
ける伸び率演算方法に関し、特に金属等の帯状物等の圧
延機やテンションレベラー等に適用するのに、好適な伸
び率演算方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属帯等の帯状物は圧延機やテンション
レベラー等において帯状物の材質やサイズ等から定める
所定の伸び率が付与される。圧延機やテンションレベラ
ー等における帯状物の伸び率演算は、一般的に当該装置
の前後に配置したブライドルロールあるいはデフレクタ
ーロールの端部に取り付けられたパルス発生装置のパル
ス数を通過する帯状物の定距離(単位測定長さ)毎に測
定し、次式によって計算するようになっている。
【0003】たとえば、入り側出側各ブライドルロール
に取り付けられたパルス発生装置で同時に長さの計測を
開始し、入り側で計測された長さがlE となったときの
出側で計測された長さをlD とすると、帯状物の伸び率
εは、 ε={(lD −lE )/lE }×100〔%〕 で求められる。通常、lE をある定距離(単位測定長
さ)として伸び率の計測を行なう。
【0004】この場合、計測誤差として1パルス分に対
応する誤差を避けることができない。従って、lE を大
きくすればするほど計測誤差は小さくなるが、それに伴
って計測に必要な走向距離(時間)即ちサンプリング間
隔(時間)が長くなって応答性が悪くなるという問題点
がある。
【0005】このような帯状物の伸び率演算にあたっ
て、伸び率制御の応答性を改善する技術としては、特開
昭60−180615号公報や特開平1−71511号
公報のように帯状物の処理速度に応じて単位測定長さを
変更することにより、低速部の検出時間を短縮する技術
や、特開昭60−148612号公報のように、低速時
のパルス数のカウントを定距離カウントから定時間カウ
ントに切り換える技術や、特開平6−11339号公報
のように帯状物の伸び率検出周期をその伸び率自体によ
り変化させ、伸び率演算の測定精度を向上させる技術が
知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−1806
15号公報や特開平1−71511号公報の技術は、低
速時の伸び率検出の応答性は向上するが、伸び率の測定
長さが短くなるため、伸び率検出精度が劣る。特に、低
伸び率材料では、その精度が著しく劣ることになる。
【0007】また、特開昭60−148612号公報の
技術は、応答性を改善する方法が異なるが上記と同様の
問題点がある。
【0008】特開平6−11339号公報の技術は、低
伸び率から高伸び率まで伸び率検出の精度は向上し、か
つ高伸び率材料では伸び率検出の応答性が向上する利点
を有するが、同一材料では伸び率検出周期が一定であ
る。一方、伸び率計で検出された伸び率を使用して、伸
び率の制御を行なう場合には、伸び率検出周期が一種の
無駄時間となり、制御系を不安定にする要因となる。と
くに、伸び率の目標値と実際値との偏差が大きい場合に
は、操作量も大きくなるため、操作結果を早くフィード
バックする必要がある。しかしながら、従来の伸び率検
出方法では、前述したように、同一材料では伸び率の検
出周期が一定であるので、特に偏差が大きい場合の応答
性が不十分となるという問題点を有していた。
【0009】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、伸び率の目標値と実際値との偏差
が大きい場合でも、充分に早い応答性を制御系に与える
ことができ、かつ偏差が小さい場合には、充分な検出精
度を有する伸び率検出方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の問題点を解決する
ための手段は、以下のとおりである。 (1)伸び率を検出するにあたり、伸び率偏差の測定精
度が確保できる範囲内で、伸び率目標値と伸び率測定値
との偏差絶対値が基準値より大きいときには伸び率の単
位測定長さを基準長さより短く変更し、変更された単位
測定長さについて伸び率演算を行い、偏差絶対値が基準
値より小さいときには伸び率の単位測定長さを変更しな
いで基準長さについて伸び率を演算する、ことを特徴と
する伸び率演算方法。 (2)前記(1)において、伸び率偏差の測定精度が確
保できる範囲を、伸び率検出誤差が伸び率偏差絶対値の
a倍以下となる範囲とすることを特徴とする伸び率演算
方法。 但し、0.05≦a≦0.5 (3)前記(1)又は(2)において、伸び率目標値と
伸び率測定値との偏差絶対値の変化量に対して伸び率の
単位測定長さを階段状に変更することを特徴とする伸び
率演算方法。
【0011】
【作用】伸び率目標値と伸び率測定値との偏差絶対値が
大きいときには、伸び率の単位測定長さが短くされるの
で、伸び率が短い間隔で測定され、応答が早くなる。よ
って、系の無駄時間が短くなるので、伸び率制御系の操
作量を大きくしても(サンプリング制御の場合は出力間
隔を短くしても)、安定した制御を実現することができ
る。この場合には、伸び率の検出精度が低下するが、偏
差が大きい部分では伸び率の検出精度は粗くて差し支え
ない。一方、伸び率目標値と伸び率測定値との偏差絶対
値が小さいときには、伸び率制御系の応答が遅くてもそ
れほど問題にならない。この場合には、伸び率の検出精
度の方が重要視されるが、伸び率の単位測定長さが長く
されるので充分な検出精度が得られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を用い
て説明する。図1は、本発明の伸び率検出方法および伸
び率制御の系統を示す図である。図1において、帯状物
1は、ロール群4a、4b、4cからなる入側ブライド
ルロール4と、ロール群5a、5b、5cからなる出側
ブライドルロール5間で張力を付与されながら、圧延機
のバックアップロール3a、3bにバックアップされた
ワークロール2a、2bにて圧延される。圧延機の入側
ブライドルロール4cの軸には入側パルス発生装置6が
設けられ、入側パルスカウンタ8はその発生パルスをカ
ウントし、伸び率演算装置10に入力する。圧延機の出
側ブライドルロール5aの軸には出側パルス発生装置7
が設けられ、出側パルスカウンタ9はその発生パルスを
カウントし、伸び率演算装置10に入力する。伸び率演
算装置10は伸び率εを演算し出力する。
【0013】該伸び率εと伸び率目標値εaim を伸び率
偏差絶対値演算装置11に入力する。伸び率偏差絶対値
演算装置11は、帯状物の材質やサイズ等から定める伸
び率目標値εaim と伸び率測定値εの偏差Δε=εaim
−εの絶対値Δεabを下記の(1)式から演算し、伸び
率単位測定長さ演算装置12に入力する。
【0014】
【数1】
【0015】伸び率単位測定長さ演算装置12は、伸び
率の偏差絶対値Δεabより伸び率単位測定長Lを演算
し、伸び率演算装置10に出力する。
【0016】また、伸び率演算装置10で演算された伸
び率εと伸び率目標値εaim を伸び率制御装置13に入
力し、伸び率偏差に応じて圧延機の圧下装置14や図示
されていない張力制御装置へ信号を入力する。入側ブラ
イドルロール4cに取付けられた入側パルス発生装置6
にて発生したパルスカウンタ8で計数し、カウント値N
E を得る。1回転当たりのパルス数をPE 、ロール径を
E 、伸び率測定長をLとすると、NE は、下記の
(2)式で表される。
【0017】 NE =(L/πDE )×PE ・・・(2)式 一方、この間に出側ブライドルロール5aに取付けられ
た出側パルス発生装置7にて発生したパルスをカウンタ
9で計数し、カウント値ND を得る。一回転あたりのパ
ルス数をPD 、ロール径をDD とすると、その間に通過
した帯状物長さLD は、下記の(3)式で表される。
【0018】 LD =π×DD ×(ND /PD ) ・・・(3)式 伸び率εの演算はLに対応するNE を検出する毎に行う
のが一般的である。このとき伸び率εは、下記の(4)
式で表される。
【0019】 ε=(LD−L)/L}×100[%](LD/L)−1 ×100[%]・・・(4)式 したがって、εは、(2)式〜(4)式から下記の
(5)式で表される。
【0020】 ε=(LD/L)−1}×100[%]{πDD×(ND/PD)}/{πDE×(NE/PE)}−1 ×100[%](DD/DE)×(ND/NE)×(PE/PD)−1 ×100[%]・・・(5)式 伸び率制御系の応答性を向上させるためには、伸び率測
定長Lを極力短くすれば良い。なぜなら、伸び率εの演
算結果をより早く知ることができ、圧延機の圧下装置1
4など伸び率制御アクチェータへの出力ピッチを短くで
き、伸び率制御の応答性向上が図られるためである。
【0021】しかし、前記の(5)式からわかるように
伸び率測定Lを短くすると、NEおよびNDの値自体が
小さくなって、NEおよび/もしくはNDの読み取り誤差
(1パルスのカウントミス)の影響が伸び率εの精度を
大きく左右することになる。
【0022】ところで、伸び率偏差絶対値Δεabが大き
な場合、伸び率偏差絶対値の非常に小さなレベルの状態
で要求される伸び率εの検出精度がなくても制御上問題
とならない。すなわち、伸び率偏差の値自体の精度が確
保できる範囲で伸び率偏差絶対値Δεabが大きな場
合、伸び率測定長Lを短くするように変更すればパルス
数の小さな安価なパルス発生装置においても合理的に応
答性を高めることができ、伸び率偏差絶対値Δεabをよ
り早く小さなものにすることが可能となる。
【0023】この場合の伸び率測定長Lの設定方法の一
例を以下に説明する。この例においては、伸び率偏差絶
対値Δεabに対する伸び率測定長Lの設定は、伸び率検
出誤差εaが伸び率偏差絶対値Δεabのa(例えば0.
05〜0.5)倍以下なるように、後記する(9)式
で伸び率測定長Lを設定している。
【0024】ここで、出側ブライドルロールに設置した
出側パルス発生装置7で1パルスカウントミスが発生し
た場合を想定すれば、見掛けの出側通過長さLD'は、下
記の(6)式で表される。
【0025】 LD'=πDD ×{( ND +1)/PD } ・・・(6)式 したがって、この場合の見掛けの伸び率ε’は前記の
(4)式と同様にして、下記の(7)式で表される。
【0026】 ε’=(LD'−L)/L}×100[%] ・・・(7)式 伸び率検出誤差εaはε’−εで求められる。この伸び
率検出誤差εaを、伸び率偏差絶対値Δεabのa倍以下
となるようするには、下記の(8)式を満足する必要
がある。
【0027】 a×Δεab≧ε’−ε ・・・(8)式 したがって、(4)式、(7)式、(8)式から、伸び
率測定長Lを求めると、下記の(9)式で表される。
【0028】 a×Δεab{(LD'−L)/L}−{(LD−L)/L} ×100[%] ∴ L≧(1/a)×(πDD/PD)×(1/Δεab)・・・(9)式 上記のような方法で伸び率測定長Lを伸び率偏差絶対値
Δεabに応じて変更した場合の応答性の向上の度合を、
伸び率検出誤差εaが10%と20%の場合について図
2に破線で示す。
【0029】従来技術の応答性を1.0とし、即ちL=
0と定義し、相対評価(応答性をL0/Lで定義)をし
た場合、伸び率偏差絶対値に対する伸び率検出誤差εa
を例えば10%〜20%の範囲内に収まるように伸び率
測定長Lを設定した1例を図2における実線で示す。図
2において、伸び率偏差絶対値Δεabが0.10%(基
準値)以下の場合には、従来例と同じように伸び率測定
長LをL0 (基準長さ)とする。Δεabが0.10%
(基準値)を越えて0.15%以下の場合は、伸び率測
定長Lを5.58mとする。Δεabが0.15%を越え
て0.20%以下の場合は、伸び率測定長Lを4mとす
る。Δεabが0.20%を越えて0.275%以下の場
合は、伸び率測定長Lを3mとする。Δεabが0.27
5%を越える場合は、伸び率測定長Lを2mとする。こ
のようにすれば、検出誤差の伸び率偏差絶対値Δεab
対する割合は、図2に示す10%と20%の点線の間に
入る。そして、応答性を示すL0/Lは、伸び率偏差絶
対値Δεabの増大と共に増加する。
【0030】本発明は帯状物に限定せず、形、条材、線
材などにも適用出来るものである。板厚1.0mm、板
幅1,007mmの冷延鋼板について、ライン速度20
0mpm、圧延機入側張力および出側張力一定の条件
で、通常の伸び率制御をかけながら圧延し、圧延途中で
伸び率目標値を1.4%から1.0%に変更した。圧延
に際して、本発明例では、図1に示す装置を用いて、図
2の伸び率偏差絶対値Δεab−伸び率測定長L線図の図
中に表示される本発明の線図に従って、伸び率偏差絶対
値Δεabに応じて伸び率の単位測定長Lを変更しながら
圧延した。伸び率変更前後における圧延荷重の測定値、
伸び率測定値をそれぞれ図3の(a)、(b)に示す。
図3には、比較のために伸び率の単位測定長Lを一定の
条件で圧延した従来技術の例を示す。
【0031】本発明例によるものは従来技術の例による
ものに比べて、伸び率変更タイミング直後での圧延機の
荷重変更量が大きくなり、結果として伸び率εが伸び率
目標値εaim へ早く収束している。
【0032】前記の本発明の実施例は前後にブライドル
ロールを配置した圧延機についての場合であるが、前後
にブライドルロールを配置したテンションレベラーの場
合についても同様に本発明を適用することができる。
【0033】また、ピンチローラ、ローラによる測長方
式の各種のラインにも適用可能である。他に、調質圧延
機、矯正、伸線、磨き加工、押出加工など伸び率を速や
かに所定の値の範囲内に入れるための各種のプロセスに
適用可能である。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、安価な伸び率検出装置
で伸び率検出精度を確保しながら、伸び率制御の目標値
に対する伸び率測定値の偏差が大きな時の応答性を格段
に高めることができ、伸び率不良部長さを大幅に短縮で
きる。また、伸び率偏差絶対値が小さな場合、ライン速
度の高低にかかわらず伸び率検出精度を十分に確保で
き、製品品質保証に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伸び率検出および伸び率制御の系統を
示す概略図である。
【図2】本発明の伸び率測定長の設定方法および応答性
を説明する図である。
【図3】本発明および従来技術で伸び率目標値を変更し
た時の応答性を示すチャートである。
【符号の説明】
1 帯状物 2a、2b ワークロール 3a、3b バックアップロール 4a、4b、4c 入側ブライドルロール 5a,5b,5c 出側ブライドルロール 6 入側パルス発生装置 7 出側パルス発生装置 8 入側パルスカウンタ 9 出側パルスカウンタ 10 伸び率演算装置 11 伸び率偏差絶対値演算装置 12 伸び率単位測定長さ演算装置 13 伸び率制御装置 14 圧延機圧下装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸び率を検出するにあたり、伸び率偏差
    の測定精度が確保できる範囲内で、伸び率目標値と伸び
    率測定値との偏差絶対値が基準値より大きいときには伸
    び率の単位測定長さを基準長さより短く変更し、変更さ
    れた単位測定長さについて伸び率演算を行い、偏差絶対
    値が基準値より小さいときには伸び率の単位測定長さを
    変更しないで基準長さについて伸び率を演算すること
    を特徴とする伸び率演算方法。
  2. 【請求項2】 伸び率偏差の測定精度が確保できる範囲
    を、伸び率検出誤差が伸び率偏差絶対値のa倍以下とな
    る範囲とすることを特徴とする請求項1記載の伸び率演
    算方法。 但し、0.05≦a≦0.5
  3. 【請求項3】 伸び率目標値と伸び率測定値との偏差絶
    対値の変化量に対して伸び率の単位測定長さを階段状に
    変更することを特徴とする請求項1又は2記載の伸び率
    演算方法。
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